JP3484822B2 - ポリエステルマルチフィラメント複合糸条及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステルマルチフィラメント複合糸条及びその製造方法

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JP3484822B2
JP3484822B2 JP13610295A JP13610295A JP3484822B2 JP 3484822 B2 JP3484822 B2 JP 3484822B2 JP 13610295 A JP13610295 A JP 13610295A JP 13610295 A JP13610295 A JP 13610295A JP 3484822 B2 JP3484822 B2 JP 3484822B2
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右広 西田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はソフトな触感とドライな触感を共
に満足し、尚かつ適度なはり、腰、ふくらみ、弾発性を
兼ね備えた、ドレス、ブラウス、ジャケット、スカート
等の婦人衣料用途に好適なポリエステルマルチフィラメ
ント複合糸条とその製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、市場で展開されているポリエステ
ル長繊維加工糸としては仮撚加工糸が主流を占めていた
が、昨今は熱収縮性を異とする2種以上の糸条よりなる
熱収縮差を有するインターレース混繊糸が多数提案され
てきている。しかし、これらの製品はその熱収縮差を利
用して織編物にふくらみ(嵩高性)を付与し、更にアル
カリ減量加工を組み合わせることによって繊維間及び組
織がルーズ化され、絹に近づいた風合いを付与すること
が可能であるが、ふかついたりボテ感があり、しかもド
ライ感が不足しており、単に絹に似た風合いを呈するに
過ぎず、織編物に新規風合いを付与するには不十分であ
った。またドライタッチ、清涼感については従来よりシ
ックアンドシン糸によるアプローチによって種々検討さ
れてきているが、これらのものはふくらみに欠けるだけ
でなく、ソフト感も不十分なものである。しかるに、市
場では適度なはり腰、ふくらみ、更には弾発性及び適度
なソフト感、ドライ感を具備した合繊素材が強く要望さ
れてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的とする
ところは従来の二律背反的な関係にあったドライ感、清
涼感とふくらみ感、ソフト感、更には適度の弾発性を兼
備した織編物に加工し得るポリエステルマルチフィラメ
ント複合糸条とその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のポリエステルマ
ルチフィラメント複合糸条は以下の構成よりなる。破断
伸度DEが140%以上であり、160℃乾熱収縮率S
HDが負であるポリエステルマルチフィラメント糸群
(A)及び160℃乾熱収縮率SHDが正であるポリエ
ステルマルチフィラメント糸(B)からなる複合糸条で
あり、該ポリエステルマルチフィラメント糸群(A)が
下記式を満足する160℃乾熱収縮率SHDを有するフ
ィラメント糸(a)、フィラメント糸(b)を含む、2
種以上のフィラメント糸によって構成されることを特徴
とするポリエステルマルチフィラメント複合糸条: −10%≦SHD(a)−SHD(b)≦−2% −10%<SHD(a)<SHD(b)<0% 但し、SHD(a)、SHD(b)はフィラメント糸
(a)、フィラメント糸(b)の160℃乾熱収縮率
(%)を示すものである。
【0005】また本発明のポリエステルマルチフィラメ
ント複合糸条の製造方法は以下の方法よりなる。即ち、
エチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とする固有
粘度〔η〕が0.45〜0.65である線状ポリエステ
ルを溶融紡糸し紡糸引取速度2000〜4000m/m
in.で巻き取ったポリエステルマルチフィラメント未
延伸糸を実質的に延伸することなく熱処理してポリエス
テルマルチフィラメント糸群(A)を得、次いでエチレ
ンテレフタレートを主な繰り返し単位とする線状ポリエ
ステルを溶融紡糸して得たポリエステルマルチフィラメ
ント糸(B)と複合することを特徴とするポリエステル
マルチフィラメント複合糸条の製造方法である。
【0006】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を構成するマルチフィラメント糸群(A)を得
るために使用する線状ポリエステルはエチレンテレフタ
レートを主な繰り返し単位とする固有粘度〔η〕が0.
45〜0.65の範囲のものであることが必要である
が、本発明の効果を損なわない範囲であれば1,4−ブ
タンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオー
ル成分、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボ
ン酸成分、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール成
分、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸成分を共重
合したものでもよく、また安定剤や蛍光剤、顔料、艶消
剤、強化剤などの物質を添加したものであってもよい。
またポリエステルマルチフィラメント糸(B)を得るた
めに使用する線状ポリエステルに関してもエチレンテレ
フタレートを主な繰り返し単位とするものであることが
必要であるが、エチレングリコール以外のジオール成分
或いは芳香族ジオール成分を共重合したものやテレフタ
ル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分或いは脂肪族ジカル
ボン酸成分を共重合したものであってもよく、必要に応
じて艶消剤、顔料などの第3成分を添加したものであっ
てもよい。
【0007】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を構成するマルチフィラメント糸群(A)を得
るために使用する線状ポリエステルは固有粘度〔η〕が
0.45〜0.65、より好ましくは0.55〜0.6
5の範囲にあることが必要である。該固有粘度〔η〕が
0.45未満の範囲となれば織編物に加工する際のアル
カリ減量加工によって選択的に強くアルカリ加水分解作
用を受けるために脆化の程度が著しく、織編物の引裂強
力低下、或いは織編物のはり、腰、ふくらみ感不足など
織編物の一般消費性能や風合い面からも好ましくない。
また逆に固有粘度〔η〕が0.65を超過すると引裂強
力など織編物の一般消費性能は満足なものと成り得る
が、織編物のアルカリ減量速度が遅くなるために相当の
アルカリ減量加工時間を必要とし、生産コストの向上に
つながり好ましくないのである。またポリエステルマル
チフィラメント糸(B)に関してもエチレンテレフタレ
ートを主な繰り返し単位とする線状ポリエステルを溶融
紡糸して得るものであり、該ポリエステルの固有粘度
〔η〕に関しては特に限定を加えるものではないが、マ
ルチフィラメント糸群(A)を構成する線状ポリエステ
ルと同程度、即ち固有粘度〔η〕として0.45〜0.
65、より好ましくは0.55〜0.65の範囲のもの
であることが望ましい。
【0008】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を構成するマルチフィラメント糸群(A)は線
状ポリエステルを溶融紡糸し紡糸引取速度2000〜4
000m/min.で巻き取ったポリエステルマルチフ
ィラメント未延伸糸を実質的に延伸することなく熱処理
して得るものである。該熱処理には乾熱の接触式ヒータ
ーや非接触式ヒーター等を使用することが生産性を考慮
した場合、非常に有効である。この熱処理では実質的に
延伸することなく熱処理を施すことが必要で、ポリエス
テルマルチフィラメント糸の分子配向を極力低下させる
ことなく、かつ加熱による結晶化を極力抑制しつつ、効
果的に収縮成分のみを取り除くことにより自己伸長能を
該ポリエステルマルチフィラメント糸に付与することが
でき、その効果によって織編物のソフト感、ふくらみ
感、弾発性等を向上させることが可能となる。この熱処
理における分子配向の低下と収縮成分の除去は互いに相
反する関係にあり、熱処理における弛緩率は充分考慮す
る必要がある。該弛緩率に関しては特に限定されるもの
ではないが、例えば非接触式ヒーターによる熱処理の場
合、弛緩率は織編物の風合いや生産性、糸種等を考慮し
概略10〜60%の範囲で適宜採用するとよい。
【0009】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を構成するマルチフィラメント糸群(A)は紡
糸引取速度は2000〜4000m/min.で巻き取
ったポリエステルマルチフィラメント未延伸糸を実質的
に延伸することなく熱処理して得るものであるが、該紡
糸引取速度が2000〜4000m/min.、より好
ましくは2600〜3800m/min.、更に好まし
くは3000〜3800m/min.の範囲にあること
が必要である。該紡糸引取速度2000m/min.未
満の範囲のものであれば、線状ポリエステルの繊維軸方
向への分子配向は軽度なものであり、仮に弛緩熱処理を
施したとしても自己伸長能を繊維に付与することがで
き、得られた織編物に適度なソフト感、ふくらみ感、弾
発性を付与することができない。また4000m/mi
n.を超過すると線状ポリエステルの繊維軸方向への分
子配向は充分なものであるが、配向結晶化の程度が大き
く、弛緩熱処理時に繊維が充分弛緩し得ないばかりか自
己伸長能も不十分なものとなってしまい織編物の風合い
も従来の異収縮混繊糸を使用したポリエステル織編物と
何ら変わらない、全く新規性のないものとなってしまう
のである。
【0010】またポリエステルマルチフィラメント糸
(B)については特に紡糸条件や延伸条件を限定するも
のではないが、例えば紡糸引取速度1000〜4000
m/min.で巻き取ったポリエステルマルチフィラメ
ント未延伸糸を延撚機を使用して延伸する手法、スピン
ドローによって紡糸直結延伸する手法等を用いることが
できる。該ポリエステルマルチフィラメント糸(B)は
通常延伸糸に限定されず、特殊な延伸法を用いたシック
アンドシン糸等であってもよい。
【0011】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を構成するマルチフィラメント糸群(A)は単
糸繊度が1デニール以下のフィラメント糸(a)と単糸
繊度が1〜10デニールのフィラメント糸(b)によっ
て構成されることが好ましいが、該混繊手法については
吐出口径の異なる紡糸パックを用い、同一紡糸パックよ
り吐出される紡糸ノズル内混繊の他、別々の紡糸パック
より吐出され、巻き取る直前で混繊される巻取前混繊、
或いはパッケージとして巻き取った後、別工程にて混繊
される巻取後混繊の何れであっても構わない。生産性や
操業安定性、取扱性等を考慮すると前者の紡糸ノズル内
混繊が適している。該フィラメント糸(a)とフィラメ
ント糸(b)の混繊比率は、重量比で10:90〜9
0:10の範囲、より好ましくは30:70〜70:3
0の範囲であることが望ましい。該フィラメント糸
(a)の比率が10%未満となると織編物のふくらみ感
や弾発性は良好であるが微妙なソフトタッチを織編物に
与えることができず、また該フィラメント糸(a)の比
率が90%を超過すると、微妙なソフトタッチを示す織
編物に仕上がるがふくらみ感や弾発性の乏しいものとな
ってしまい、見た目の嵩高さはある程度有するものの触
った時の質感に乏しいものとなってしまい好ましくな
い。
【0012】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条はポリエステルマルチフィラメント糸群(A)
とポリエステルマルチフィラメント糸(B)によって構
成されるものであるが、各々の混繊比率が重量比で1
0:90〜90:10の範囲、より好ましくは30:7
0〜70:30の範囲にあることが望まれる。該マルチ
フィラメント糸群(A)の比率が10%未満となると織
編物のはり、腰感は充分なものと成り得るが適度なソフ
ト感、ふくらみ感、弾発性を付与することができなくな
り、従来の異収縮混繊糸使いの織編物と殆ど差が確認さ
れない風合いのものとなってしまう。また該マルチフィ
ラメント糸群(A)の比率が90%を超過するとソフト
感、ふくらみ感、弾発性はある程度有するものの織編物
のはり、腰感が不足した、いわゆるタラッとした風合い
のものに仕上がってしまい好ましくない。
【0013】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条はマルチフィラメント糸群(A)とポリエステ
ルマルチフィラメント糸(B)によって構成されるもの
であるが、各々のマルチフィラメント糸の断面形状につ
いては何ら限定されるものではなく、丸断面糸の他、三
角断面糸、5〜8葉断面糸などの多葉断面糸或いは扁平
断面糸等何れを用いてもよく、これらを適宜ミックスし
て使用してもよい。また中実断面の他、中空断面であっ
ても構わない。特にポリエステルマルチフィラメント糸
(B)側に中空断面糸を使用すると単繊維の断面二次モ
ーメントが同デニールの中実断面糸と比較し大きくなる
ことによる布帛のはり、腰感の向上や中空の効果による
軽量感を与えることが可能となり好ましい。またポリエ
ステルマルチフィラメント糸群(A)を構成するフィラ
メント糸(a)、フィラメント糸(b)の断面形状も同
一である必要はなく、丸断面糸と三角断面糸との組合せ
等、適宜選択することができる。
【0014】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を構成するポリエステルマルチフィラメント糸
群(A)及びポリエステルマルチフィラメント糸(B)
の破断伸度DEはそれぞれ以下の数式の範囲であること
が望ましい。 DE(A)≧140% 25%≦DE(B)≦70% 但し、DE(A)、DE(B)はそれぞれポリエステル
マルチフィラメント糸群(A)、ポリエステルマルチフ
ィラメント糸(B)の破断伸度(%)を示すものであ
る。マルチフィラメント糸群(A)の破断伸度DE
(A)が140%未満の範囲となれば、マルチフィラメ
ント糸群(A)は実質的に自己伸長能を有さず、収縮し
てしまい、織編物に適度なソフト感、バルキー感を付与
することができなくなる。紡糸引取速度が2000〜4
000m/min.で紡糸されたポリエステルマルチフ
ィラメント未延伸糸の破断伸度は概略100〜280%
程度であり、実質的に延伸することなく熱処理し破断伸
度を140%以上にコントロールすることが必要とな
る。しかしながら該熱処理時、過度に弛緩率を増加させ
ると糸条が熱収縮しきれずループや弛みとなって残って
しまうために解舒性不良等、後工程の工程通過性に支障
を来す場合があるので破断伸度として140%以上20
0%以下の範囲に抑えておくことが望ましい。
【0015】またマルチフィラメント糸(B)の破断伸
度DE(B)は25%以上70%以下とすることが望ま
しい。本発明のポリエステルマルチフィラメント複合糸
条は比較的に破断伸度DEが高く、かつ破断強力の低い
マルチフィラメント糸群(A)にマルチフィラメント糸
(B)を組み合わせることによって実用的強度を保持さ
せるように設計したものであるため、マルチフィラメン
ト糸(B)は通常延伸糸に見られる領域の破断強度、破
断伸度を有することが望ましく、DE(B)が25%未
満となれば破断強度が大きいものとなり織編物の引裂強
力等の力学的強度は充分満足し得るものとなるが、破断
伸度が低いために撚糸や整経の際に単糸切断し毛羽を発
生し易く、工程通過性に支障を来す恐れがある。またD
E(B)が70%を超過すると、破断強度が小さいまま
留まってしまうために織編物の引裂強力等が不足してし
まい、実用的強度を保持し得ないものとなってしまう。
【0016】また本発明のポリエステルマルチフィラメ
ント糸群(A)を構成するフィラメント糸(a)、フィ
ラメント糸(b)の160℃乾熱収縮率SHDの関係は
下記要件を満たすことが必要である。 −10%≦SHD(a)−SHD(b)≦−2% −10%<SHD(a)<SHD(b)<0% 但し、SHD(a)、SHD(b)はそれぞれフィラメ
ント糸(a)、フィラメント糸(b)の160℃乾熱収
縮率SHDを示すものであり、フィラメント糸(a)、
フィラメント糸(b)共、実質的に160℃乾熱処理に
おいて自己伸長性を示すものである。SHD(a)及び
SHD(b)が共に0%以上となると、マルチフィラメ
ント糸群(A)は実質的に収縮してしまうために織編物
のソフト感、バルキー性、ふくらみ感、弾発性等が乏し
いものに仕上がってしまい、単なる異収縮混繊糸使いの
織編物の如き風合いに留まってしまい、何ら新規性を持
たないものとなってしまう。該マルチフィラメント糸群
(A)を構成するフィラメント糸(a)、フィラメント
糸(b)は共に自己伸長性を有し、単糸繊度の大きいフ
ィラメント糸(b)より単糸繊度の小さいフィラメント
糸(a)の方がSHDが低く、即ちフィラメント糸
(a)の方がより自己伸長率が高くなるように溶融紡糸
時のノズルドラフト比を設定することによって、織編物
の最外層を単糸繊度の小さいフィラメント糸(a)が覆
い、その内層を単糸繊度の大きいフィラメント糸(b)
で構成し、最内層をマルチフィラメント糸(B)で構成
させる、いわゆる3層構造をもたせることによって織編
物に適度なソフト感、バルキー性、弾発性、はり、腰感
を付与することが可能となるのである(図1参照)。
【0017】その効果を十分に与えるにはフィラメント
糸(a)、フィラメント糸(b)両者のSHDの差(S
HD(a)−SHD(b))が−10%以上−2%以下
である必要がある。−10%未満の範囲となればSHD
(b)と比較しSHD(a)が小さくなり過ぎ、3層構
造をとってもフィラメント糸(a)のみ表層部に浮き上
がってしまうために、織編物はふくらみ感には富むもの
の弾発性には乏しいものとなってしまう。また−2%を
超過するとSHD(a)、SHD(b)の差はかなり小
さいものとなってしまい3層構造とはならずに実質的に
2層構造となってしまうためにウール織編物のような弾
発性に優れたものにはならない。またSHD(b)より
SHD(a)は小さいことが必要でSHD(a)は−1
0%を越える範囲であることが必要である。SHD
(a)が−10%以下となるとフィラメント糸(a)の
自己伸長率はかなり大きいものとなり織編物はふかつき
感が大きいものとなり品位的、風合い的に好ましいもの
とはならない。
【0018】また本発明のポリエステルマルチフィラメ
ント複合糸条を構成するマルチフィラメント糸(B)の
160℃乾熱収縮率SHDは7%以上30%以下の範囲
であることが望ましい。マルチフィラメント糸(B)の
160℃乾熱収縮率SHD(B)が7%未満の範囲とな
れば織編物に適度なバルキー性を付与できず、質感に乏
しいものになるばかりか、更にメヨレやスリップ等を引
き起こす恐れがあり好ましくない。また30%を超過し
てしまうと織編物は締まった感じのものとなってしまい
ドレープ性に乏しい硬い風合いのものとなってしまう。
SHD(B)を7%以上30%以下、より好ましくは7
%以上20%以下の範囲とすることによって織編物に適
度なソフト感、バルキー性、弾発性、はり、腰感、更に
は適度なドレープ性を付与することが可能となるのであ
る。
【0019】更にマルチフィラメント糸(B)の沸水収
縮率SHW(B)は5%以上25%以下の範囲であるこ
とが望ましい。SHW(B)が5%未満の範囲であれば
織編物のふくらみ感、バルキー性が満足なものに仕上が
らないばかりか、メヨレやスリップ等を引き起こしやす
くなり、織編物の消費特性を考慮すると好ましい範囲と
は言い難い。また25%を超過すると織編物は締まった
感じのものに仕上がってしまい風合いは硬く、ドレープ
性や適度なソフト感を感じないものになってしまうので
ある。
【0020】またマルチフィラメント糸群(A)の沸水
収縮率SHW(A)に関しては特に限定されないが、製
織編前の撚糸キヤーセットやサイジング等の湿熱処理を
考慮すると−3%以上3%以下程度、より好ましくは−
1%以上3%以下程度であることが望ましい。SHW
(A)の範囲が−3%未満となると撚糸キヤーセットや
サイジングによる加熱によってマルチフィラメント糸群
(A)が自己伸長を示しループを多数形成してしまうた
め、整経工程或いは製織編工程における工程通過性に支
障を来し好ましくなく、0%以上であることがより望ま
しい。また3%を超過する範囲となると上記のような自
己伸長によるループ発生は確認されないが、該マルチフ
ィラメント糸群(A)の自己伸長能が実質的に低下して
しまい、製織編後の染色加工工程における湿熱処理によ
る自己伸長発現の程度が極めて小さいものに留まってし
まい、織編物に適度なソフト感、ふくらみ感を付与する
ことが困難となり好ましくないのである。
【0021】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条の総デニール、及びマルチフィラメント糸
(B)の単糸デニールに関しては特に限定を加えるもの
ではないが、該マルチフィラメント複合糸条の総デニー
ルは一般的な婦人衣料用途を想定すると大略30〜30
0デニールの範囲内でその目的や用途、風合いに応じて
適宜選定するとよい。またマルチフィラメント糸(B)
の単糸デニールについては大略3〜10デニール程度、
より好ましくは5〜10デニールの糸条を採用すると織
編物のはり、腰感が充分なものとなり使用するに好まし
い。
【0022】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を構成するマルチフィラメント糸群(A)は単
糸繊度が1デニール以下のフィラメント糸(a)と単糸
繊度が1デニール〜10デニールのフィラメント糸
(b)を含む2種以上のマルチフィラメント糸によって
構成されることが望ましいが、該マルチフィラメント糸
群(A)を得る際に用いるマルチフィラメント未延伸糸
の紡糸条件は以下の数式を満足することが必要である。 50≦〔Vs /Vo 〕(a)−〔Vs /Vo 〕(b)≦
200 300≦|〔dγ/dt〕(a)−〔dγ/dt〕
(b)|≦3000 但し、〔Vs /Vo 〕(a)、〔Vs /Vo 〕(b)は
フィラメント糸(a)、フィラメント糸(b)のノズル
ドラフト比(−)であり、Vo は線速度(m/mi
n.)、Vs は紡糸速度(m/min.)を示すもので
ある。また〔dγ/dt〕(a)、〔dγ/dt〕
(b)はフィラメント糸(a)、フィラメント糸(b)
のノズルオリフィス内剪断速度(sec-1)である。
【0023】ここで線速度VO は下記式によって求め
る。 VO =Q/(100×S)×1/ρ 但し、Qはノズル単孔吐出量(g/min.)、Sはノ
ズルオリフィス断面積(cm2 )、ρはポリマー溶融密
度(g/cm3 )であり、使用ポリマーがポリエチレテ
レフタレートである場合、ポリマー溶融密度ρは下記式
を用いて算出することができる。 ρ=1.356−5×10-4×T 但し、Tは溶融ポリマー温度(℃)であり、吐出時の溶
融ポリマー温度はノズル面温度(℃)を代用して求める
ことができる。
【0024】またノズルオリフィス内剪断速度dγ/d
tはノズルの溶融ポリマー吐出孔の形状によって異な
り、丸形状及びスリット形状ではそれぞれ以下の式の如
くである。 (1) 丸形状 dγ/dt=32×Q/(π×d3 )×(1/ρ) (2) スリット形状 dγ/dt=6×Q/(W×h2 )×(1/ρ) 但し、Qは単孔ポリマー吐出量(g/sec.)、dは
丸形状吐出孔の直径(cm)、Wはスリット形状吐出孔
の長辺長さ(cm)、hはスリット形状吐出孔の短辺長
さ(cm)、ρはポリマー溶融密度(g/cm3 )であ
り上記式に従い算出することができる。
【0025】単糸繊度が1デニール以下のフィラメント
糸(a)と単糸繊度が1デニール〜10デニールのフィ
ラメント糸(b)を得る際の溶融紡糸時のノズルドラフ
ト比の差{〔Vs /Vo 〕(a)−〔Vs /Vo
(b)}は50以上200以下であることが望ましい。
ノズルドラフト比Vs /Vo は通常のポリエステル紡糸
の場合には大略200〜600程度の範囲であるが、フ
ィラメント糸(a)及びフィラメント糸(b)を得る際
のノズルドラフト比の差が50未満となれば実質的にフ
ィラメント糸(a)とフィラメント糸(b)の分子配向
や結晶化度が大差ないものとなってしまい、単糸繊度の
小さいフィラメント糸(a)、単糸繊度の大きいフィラ
メント糸(b)が混在して織編物の表層を覆ってしまう
ために3層構造とはならず実質的に2層構造となってし
まいウール織編物の如き弾発性に優れたものとはならな
い。またノズルドラフト比の差が200を超過するとフ
ィラメント糸(a)とフィラメント糸(b)の自己伸長
率差はかなり大きいものとなってしまい、3層構造とは
なるがフィラメント糸(a)のみ織編物表層部に浮き上
がってしまい、ふくらみ感はあるものの弾発性には乏し
いものとなってしまう。
【0026】また単糸繊度が1デニール以下のフィラメ
ント糸(a)と単糸繊度が1デニール〜10デニールの
フィラメント糸(b)を得る際の溶融紡糸条時のノズル
オリフィス内剪断速度差の絶対値|〔dγ/dt〕
(a)−〔dγ/dt〕(b)|は300sec-1以上
3000sec-1以下であることが望ましい。ノズルオ
リフィス内剪断速度dγ/dtは通常のポリエステル紡
糸の場合には大略3000〜10000sec-1程度の
範囲であるが、フィラメント糸(a)及びフィラメント
糸(b)を得る際のノズルオリフィス内剪断速度差の絶
対値が300sec-1未満であれば、得られるフィラメ
ント糸(a)とフィラメント糸(b)の自己伸長率は大
差ないものとなってしまい実質的に3層構造とはなら
ず、ふくらみ感は有するもののウール織編物の如き弾発
性を付与することができない。またノズルオリフィス内
剪断速度差の絶対値が3000sec-1を超過すると得
られるフィラメント糸(a)、フィラメント糸(b)の
自己伸長率差は大きくなり過ぎ、実質的には3層構造を
とるもののフィラメント糸(a)のみ織編物表層部に浮
き上がってしまうために見た目のふくらみ感、バルキー
性は有しても弾発性に乏しいものとなってしまうのであ
る。
【0027】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条はマルチフィラメント糸群(A)とマルチフィ
ラメント糸(B)を組み合わせてなるものであるが、複
合方法としては常温の高圧空気流による空気交絡手段を
用いることが望ましい。具体的には公知のインターレー
スノズルを使用して実施することができ、該空気交絡は
マルチフィラメント糸同士を簡便に纏め、糸割れ等によ
る後工程通過性に支障なきようにするのがその主たる目
的であり、交絡個数は糸条1m当たり20〜100ケ/
m程度あればよい。
【0028】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条は織編物に加工することによって自己伸長率が
大きく単糸繊度の小さいフィラメント糸(a)が織編物
の最表層部を占め、自己伸長率が小さく単糸繊度の大き
いフィラメント糸(b)がその内層部に位置し、マルチ
フィラメント糸(B)が最内層部を構成する3層構造と
することによって適度なソフト感、ふくらみ感、弾発
性、はり、腰感を織編物に与えるものであり、更に自己
伸長糸サイドが充分延伸されていないPOY( Partial
ly oriented yarn)の熱処理糸で構成されているため
にポリエステル特有のぬめり感がなく、未延伸残存部の
効果と考えられているドライ感をも付与することが可能
となり、全く新規な風合いの織編物を得ることが可能と
なった。
【0029】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条は製織編する際、そのまま、あるいは加撚して
使用されるが、加撚する場合の撚数は下記式の範囲であ
ることが望ましい。 3000/D1/2 ≦Tw≦27000/D1/2 但し、Twは糸条1m当たりに挿入される撚数(回/
m)であり、Dはポリエステルマルチフィラメント複合
糸条の総デニール( Den. )を示すものである。
【0030】該マルチフィラメント複合糸条に挿入され
る撚数は上記式に示される範囲内でポリエステル織編物
の風合い等を考慮し適宜選定することができる。例え
ば、ポリエステル織編物のソフト感やバルキー性を表面
に表したい場合にはTw(回/m)を3000/D1/2
〜7000/D1/2 の甘撚〜中撚の範囲とすれば良い
し、ポリエステル織編物のドライ感やシャリ味を表面に
表したい場合にはTw(回/m)を12000/D1/2
〜25000/D1/2 の強撚の範囲を採用すればよい。
該マルチフィラメント複合糸条を加撚する場合にはダブ
ルツイスター、アップツイスター、イタリ式撚糸機、リ
ングツイスター等、公知の撚糸機を使用して実施するこ
とができるが、生産性や工程安定性の面よりダブルツイ
スターの使用が適している。また該マルチフィラメント
複合糸条を加撚した場合の捩れやビリ込み防止のために
バキュームセットヒーター等を使用した湿熱撚固定、或
いはPVAやアクリル系糊材によるサイジングを実施す
ると、糸条の加撚方向へのトルクによる捩れやビリ込み
を抑制することができる。
【0031】上記湿熱撚固定やサイジング処理の際の温
度条件は85℃を越えない範囲とすることが望ましく、
好適には50〜80℃である。該温度条件が85℃を超
過するとポリエステルマルチフィラメント複合糸条を構
成する自己伸長性マルチフィラメント糸が若干伸長する
ことによってループを形成してしまい、該マルチフィラ
メント複合糸条の解舒性不良やポリエステル織編物のソ
フト感、バルキー性不足を引き起こしてしまうのであ
る。
【0032】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を用いて製織編した後、該織編物のソフト感や
バルキー性を更に向上させるためにサンディング処理や
エメリー起毛処理による表面起毛処理を併用することも
可能であるが、過度に表面起毛を施してしまうと自己伸
長糸よりなるループが欠落してしまい外観品位の低下や
ピリング発生等の問題を引き起こす恐れがあり処理条件
を充分考慮することが必要となる。
【0033】本発明のポリエステルマルチフィラメント
複合糸条を用いて製織編した後、液流染機等を使用しア
ルカリ減量処理や染色加工を実施する。該アルカリ減量
処理にはアルカリ金属或いはアルカリ土類金属の水酸化
物の水溶液中で織編物を攪拌しつつ、より均一に織編物
全体にわたってアルカリ加水分解反応が促進されるよう
に処理することが望まれる。好適に使用されるアルカリ
金属或いはアルカリ土類金属の水酸化物は水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等であり、最
も好ましいのは水酸化ナトリウムである。
【0034】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、勿論、本発明は以下の実施例に何ら限定される
ものではない。尚、本文中及び実施例中の各物性値は以
下の測定方法によるものである。 (a) 破断伸度(DE) オリエンテック社製テンシロンUTM−III −100型
を使用し、ゲージ長200mm、伸長速度100%/m
in.の条件にて試料(糸条)を伸長し、記録速度50
0mm/min.で描いたチャートより破断伸度を読み
取る。測定回数5回の平均値を以てその測定値とする。
【0035】(b) 160℃乾熱収縮率(SHD) 試料に1/30(g/d)の荷重を掛け、その長さl1
(mm)を測定する。次いで、その荷重を取り除き、試
料を乾燥機に入れ乾熱160℃で30分間乾燥する。乾
燥後冷却し、再度1/30(g/d)の荷重を掛けてそ
の長さl2(mm)を測定する。上記l1、l2を下記
式に代入し、乾熱収縮率(SHD)を算出する。尚、測
定回数5回の平均値を以てその測定値とする。 SHD(%)=(l1−l2)/l1×100
【0036】(c) 沸水収縮率(SHW) 試料を枠周1.125mの検尺機を使用し、1/10
(g/d)の初荷重を掛け120回/min.の速度で
巻き返し、巻き回数20回の小綛を作り、初荷重の40
倍の重りを掛けて、綛長l3(mm)を測定する。続い
て重りを外し、収縮が妨げられないような方法で沸騰水
(100℃)中に30分間浸漬した後、取り出して吸収
紙或いは綿布で水を拭き取り、水平状態にて風乾する。
風乾後、再度重り掛けて綛長l4(mm)を測定する。
上記l3、l4を下記式に代入し沸水収縮率(SHW)
を測定する。尚、測定回数5回の平均値を以てその測定
値とする。 SHW(%)=(l3−l4)/l3×100
【0037】(d) 固有粘度(〔η〕) フェノールとテトラクロロエタンの等重量混合物を溶媒
とし、ウベローデ粘度計を使用して20℃±0.5℃の
恒温条件下で粘度数ηSP/cを求め、ηSP/cを溶融濃
度cに対しプロットし、c→0にηSP/cを外挿するこ
とによって〔η〕を求めた。
【0038】実施例 1 固有粘度〔η〕が0.635であるポリエチレンテレフ
タレートセミダルレジンを用い、エクストルーダー内の
溶融ポリマー温度が285℃、紡糸ノズル面温度が28
7℃の条件で溶融紡糸し、冷却固化させた後、紡糸引取
速度が3000m/min.で巻き取った。使用した紡
糸ノズルの吐出孔口径及び吐出孔数は0.14mmφが
24個、0.26mmφが18個、何れも丸形状の吐出
孔を有する異口径混繊紡糸ノズルを使用し、ポリエステ
ルマルチフィラメントセミダル混繊未延伸糸40デニー
ル42フィラメントを得た。得られた糸条は後の工程に
おいて実質的に延伸しない条件で熱処理されポリエステ
ルマルチフィラメント糸群(A)となる。該ポリエステ
ルマルチフィラメント糸群(A)を構成する単糸繊度1
デニール以下のフィラメント糸(a)となる糸条がノズ
ル吐出孔口径0.14mmφから吐出された24本であ
り、単糸繊度1デニール〜10デニールのフィラメント
糸(b)となる糸条がノズル吐出孔口径0.26mmφ
から吐出された18本であり、それぞれのノズルドラフ
ト比の差、及びノズルオリフィス内剪断速度差の絶対値
は次の如くであった。 〔VS / VO 〕(a)−〔VS / VO 〕(b)=1
18.8(−) |〔dγ/dt〕(a)−〔dγ/dt〕(b)|=4
18(sec-1
【0039】該ポリエステルマルチフィラメントセミダ
ル混繊未延伸糸を雰囲気温度200℃のスリットヒータ
ー(非接触式加熱)で弛緩率45%、加工速度200m
/min.、ヒーター滞留時間0.18秒間の各条件に
て弛緩熱処理を施し58デニール42フィラメントのポ
リエステルマルチフィラメント糸群(A)を得た。因に
フィラメント糸(a)の単糸繊度は0.8デニールであ
り、フィラメント糸(b)の単糸繊度は2.2デニール
であった。得られたポリエステルマルチフィラメント糸
群(A)は破断伸度(DE)が185%、沸水収縮率
(SHW)は−0.9%であり、フィラメント糸(a)
とフィラメント糸(b)のそれぞれの160℃乾熱収縮
率(SHD)は−7.8%、−3.5%であり両者とも
実質的に自己伸長性を示すことが確認された。
【0040】該ポリエステルマルチフィラメント糸群
(A)と固有粘度〔η〕が0.635であるポリエチレ
ンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡
糸及び延伸を実施して得た破断伸度(DE)が35%、
160℃乾熱収縮率(SHD)が18.5%、沸水収縮
率(SHW)が16.0%のポリエステルマルチフィラ
メント延伸糸100デニール30フィラメントをポリエ
ステルマルチフィラメント糸(B)として用い、ファイ
バーガイド社製FG4型インターレースノズルを使用し
常温の高圧空気流によって空気交絡処理を施し、ポリエ
ステルマルチフィラメント複合糸条を得た。該マルチフ
ィラメント複合糸条の糸条1m当たりの交絡個数は65
ケ/mであり、糸割れやループ等の発生のない取扱性に
優れたものであった。
【0041】該マルチフィラメント複合糸条を村田機械
社製ダブルツイスター(No.310)を使用し、S撚
方向に1200回/m施撚した糸条を経糸として、緯糸
として該マルチフィラメント複合糸条をS撚、及びZ撚
方向にそれぞれ1000回/m施撚した糸条を作成し
て、緯糸がS、S、Z、Z、S、SとS撚糸とZ撚糸が
2本交互の構成になるように生機密度として経133本
/吋、緯73本/吋のカシミヤ規格に製織した。該製織
布に精練、リラックスを施した後、液流染色機を使用し
95℃の水酸化ナトリウム水溶液中で該製織布を攪拌し
つつアルカリ減量加工を施した後、分散染料を使用し染
色加工を施し、次いで通常のファイナルセットを施して
仕上密度が経153本/吋、緯84本/吋の染色加工布
とした。
【0042】光学顕微鏡を使用し該染色加工布の表面を
約100倍に拡大して観察したところ単糸繊度の最も小
さいフィラメント糸(a)が自己伸長発現し、ループと
なってほぼ染色加工布表面全体を覆い、その内層部には
フィラメント糸(b)が自己伸長発現してなるループが
存在し、最内層部には収縮糸であるマルチフィラメント
糸(B)が存在しており、ほぼ3層構造をとっているこ
とが確認された(図1参照)。該加工布の風合いはふか
つき感のない優しい感じ、適度なはり、腰感、バルキー
性、独特のドライタッチ、更には3層構造を有すること
による弾発性、圧縮回復性に富む婦人用ジャケット、ス
カート、ドレス、パンツ素材として好適な、全く新規な
風合いを有する織物に仕上がった。
【0043】実施例 2 固有粘度〔η〕が0.635であるポリエステルセミダ
ルレジンを用い、エクストルーダー内の溶融ポリマー温
度が285℃、紡糸ノズル面温度が287℃の条件で溶
融紡糸し、充分に冷却固化させた後、紡糸引取速度が3
250m/min.で巻き取った。使用した紡糸ノズル
の吐出孔口径及び吐出孔数は0.20mmφが24個、
0.30mmφが12個、何れも丸形状の吐出孔を有す
る異口径混繊紡糸ノズルを使用し、ポリエステルマルチ
フィラメントセミダル混繊未延伸糸40デニール36フ
ィラメントを得た。得られた糸条は後の工程において実
質的に延伸しない条件で熱処理されポリエステルマルチ
フィラメント糸群(A)となる。該ポリエステルマルチ
フィラメント糸群(A)を構成する単糸繊度1デニール
以下のフィラメント糸(a)となる糸条がノズル吐出孔
口径0.20mmφから吐出された24本であり、単糸
繊度1デニール〜10デニールのフィラメント糸(b)
となる糸条がノズル吐出孔口径0.30mmφから吐出
された12本であり、それぞれのノズルドラフト比の
差、及びノズルオリフィス内剪断速度差の絶対値は次の
如くであった。 〔VS / VO 〕(a)−〔VS / VO 〕(b)=1
04.1(−) |〔dγ/dt〕(a)−〔dγ/dt〕(b)|=9
98(sec-1
【0044】該ポリエステルマルチフィラメントセミダ
ル混繊未延伸糸を雰囲気温度200℃のスリットヒータ
ー(非接触式加熱)で弛緩率40%、加工速度200m
/min.、ヒーター滞留時間0.18秒間の各条件に
て弛緩熱処理を施し56デニール36フィラメントのポ
リエステルマルチフィラメント糸群(A)を得た。因に
フィラメント糸(a)の単糸繊度は1.0デニールであ
り、フィラメント糸(b)の単糸繊度は2.8デニール
であった。得られたポリエステルマルチフィラメント糸
群(A)は破断伸度(DE)が158%、沸水収縮率
(SHW)は−0.8%、フィラメント糸(a)とフィ
ラメント糸(b)のそれぞれの160℃乾熱収縮率(S
HD)は−7.6%、−2.3%であり両者とも実質的
に自己伸長性を示すことが確認された。
【0045】該ポリエステルマルチフィラメント糸群
(A)と固有粘度〔η〕が0.635であるポリエチレ
ンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡
糸及び延伸を実施して得た破断伸度(DE)が35%、
160℃乾熱収縮率(SHD)が18.5%、沸水収縮
率(SHW)が16.0%のポリエステルマルチフィラ
メント延伸糸100デニール30フィラメントをポリエ
ステルマルチフィラメント糸(B)として用い、ファイ
バーガイド社製FG4型インターレースノズルを使用し
常温の高圧空気流によって空気交絡処理を施し、ポリエ
ステルマルチフィラメント複合糸条を得た。該マルチフ
ィラメント複合糸条の糸条1m当たりの交絡個数は67
ケ/mであり、糸割れやループ等の発生のない取扱性に
優れたものであった。
【0046】該マルチフィラメント複合糸条を村田機械
社製ダブルツイスター(No.310)を使用し、S撚
方向に1200回/m施撚した糸条を経糸として、緯糸
として該マルチフィラメント複合糸条をS撚及びZ撚方
向にそれぞれ1000回/m施撚した糸条を作成して、
緯糸打ち込みがS撚糸、Z撚糸が2本交互の構成になる
ように生機密度として経133本/吋、緯73本/吋の
カシミヤ規格に製織した。該製織布に精練、リラックス
を施した後、液流染色機を使用し95℃の水酸化ナトリ
ウム水溶液中で該製織布を攪拌しつつアルカリ減量加工
を施した後、分散染料を使用し染色加工を施し、次いで
通常のファイナルセットを施して仕上密度が経153本
/吋、緯84本/吋の染色加工布を得た。
【0047】光学顕微鏡を使用し該染色加工布の表面を
約100倍に拡大して観察したところ実施例1同様、単
糸繊度の最も小さいフィラメント糸(a)が自己伸長発
現し、ループとなってほぼ染色加工布表面全体を覆い、
その内層部にはフィラメント糸(b)が自己伸長発現し
てなるループが存在し、最内層部には収縮糸であるマル
チフィラメント糸(B)が存在し、大略3層構造をとる
ものとなっていることが確認された。該加工布の風合い
は実施例1同様、ふかつき感のない優しい感じ、適度な
はり、腰感、バルキー性、独特のドライタッチ、更には
3層構造を有することによる弾発性、圧縮回復性等に富
む、婦人衣料用途として好適な、全く新規な風合いを有
するものであった。
【0048】実施例 3 固有粘度〔η〕が0.635であるポリエステルセミダ
ルレジンを用い、エクストルーダー内の溶融ポリマー温
度が285℃、紡糸ノズル面温度が287℃の条件で溶
融紡糸し、充分に冷却固化させた後、紡糸引取速度が3
000m/min.で巻き取った。使用した紡糸ノズル
の吐出孔口径及び吐出孔数は0.18mmφが24個、
0.26mmφが18個、何れも丸形状の吐出孔を有す
る異口径混繊紡糸ノズルを使用し、ポリエステルマルチ
フィラメントセミダル混繊未延伸糸40デニール42フ
ィラメントを得た。得られた糸条は後の工程において実
質的に延伸しない条件で熱処理されポリエステルマルチ
フィラメント糸群(A)となる。該ポリエステルマルチ
フィラメント糸群(A)を構成する単糸繊度1デニール
以下のフィラメント糸(a)となる糸条がノズル吐出孔
口径0.18mmφから吐出された24本であり、単糸
繊度1デニール〜10デニールのフィラメント(b)と
なる糸条がノズル吐出孔口径0.26mmφから吐出さ
れた18本であり、それぞれのノズルドラフト比の差及
びノズルオリフィス内剪断速度差の絶対値は次の如くで
あった。 〔VS / VO 〕(a)−〔VS / VO 〕(b)=1
18.8(−) |〔dγ/dt〕(a)−〔dγ/dt〕(b)|=4
18(sec-1
【0049】該ポリエステルマルチフィラメントセミダ
ル混繊未延伸糸を雰囲気温度200℃のスリットヒータ
ー(非接触式加熱)で弛緩率30%、加工速度200m
/min.、ヒーター滞留時間0.18秒間の各条件に
て弛緩熱処理を実施し52デニール42フィラメントの
ポリエステルマルチフィラメント糸群(A)を得た。因
にフィラメント糸(a)の単糸繊度は0.7デニールで
あり、フィラメント糸(b)の単糸繊度は2.0デニー
ルであった。得られたポリエステルマルチフィラメント
糸群(A)は破断伸度(DE)が148%、沸水収縮率
(SHW)は−0.6%であり、フィラメント糸(a)
とフィラメント糸(b)のそれぞれの160℃乾熱収縮
率(SHD)は−5.2%、−0.5%であり両者とも
実質的に自己伸長性を示すことが確認された。
【0050】該ポリエステルマルチフィラメント糸群
(A)と固有粘度〔η〕が0.635であるポリエチレ
ンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡
糸及び延伸を実施して得た破断伸度(DE)が35%、
160℃乾熱収縮率(SHD)が18.5%、沸水収縮
率(SHW)が16.0%のポリエステルマルチフィラ
メント延伸糸100デニール30フィラメントをポリエ
ステルマルチフィラメント糸(B)として用い、ファイ
バーガイド社製FG4型インターレースノズルを使用し
常温の高圧空気流によって空気交絡処理を施し、ポリエ
ステルマルチフィラメント複合糸条を得た。該マルチフ
ィラメント複合糸条の糸条1m当たりの交絡個数は64
ケ/mであり、糸割れやループ等の発生のない取扱性に
優れたものであった。
【0051】該マルチフィラメント複合糸条を村田機械
社製ダブルツイスター(No.310)を使用し、S撚
方向に1200回/m施撚した糸条を経糸として、緯糸
として該マルチフィラメント複合糸条をS撚及びZ撚方
向にそれぞれ1000回/m施撚した糸条を作成して、
緯糸打ち込みがS撚糸、Z撚糸が2本交互の構成になる
ように生機密度として経134本/吋、緯73本/吋の
カシミヤ規格に製織した。該製織布に精練、リラックス
を施した後、液流染色機を使用し95℃の水酸化ナトリ
ウム水溶液中で該製織布を攪拌しつつアルカリ減量加工
を施した後、分散染料を使用し染色加工を施し、次いで
通常のファイナルセットを施して仕上密度が経154本
/吋、緯85本/吋の染色加工布を得た。
【0052】光学顕微鏡を使用し該染色加工布の表面を
約100倍に拡大して観察したところ実施例1同様、単
糸繊度の最も小さいフィラメント糸(a)が自己伸長発
現し、ループとなってほぼ染色加工布表面全体を覆い、
その内層部にはフィラメント糸(b)が自己伸長発現し
てなるループが存在し、最内層部には収縮糸であるマル
チフィラメント糸(B)が存在し、大略3層構造をとる
ものとなっていることが確認された。該加工布の風合い
は実施例1、実施例2同様、ふかつき感のない優しい感
じ、適度なはり、腰感、バルキー性、独特のドライタッ
チ、更には3層構造を有することによる弾発性、圧縮回
復性等に富む、婦人衣料用途として好適な、全く新規な
風合いを有するものであった。
【0053】比較例 1 実施例1で用いたポリエステルマルチフィラメントセミ
ダル混繊未延伸糸を表面温度170℃のホットプレート
(接触式加熱)で弛緩率0%、加工速度300m/mi
n.、ヒーター滞留時間0.09秒間の各条件にて定長
熱処理を施し、40デニール42フィラメントの異繊度
混繊ポリエステルマルチフィラメント糸群を得た。因に
該マルチフィラメント糸群は単糸繊度は0.4デニール
と1.7デニールの異繊度混繊マルチフィラメントであ
った。得られた異繊度混繊ポリエステルマルチフィラメ
ント糸群は破断伸度(DE)が55%、沸水収縮率(S
HW)は1.7%であり、フィラメント糸(a)、フィ
ラメント糸(b)の160℃乾熱収縮率(SHD)はそ
れぞれ2.3%、3.8%であり自己伸長性を示すもの
とはならず、実質的に熱収縮性を示すものとなった。
【0054】該異繊度混繊ポリエステルマルチフィラメ
ント糸群と固有粘度〔η〕が0.633であるポリエチ
レンテレフタレートセミダルレジンを用い通常の溶融紡
糸及び延伸を実施して得た破断伸度(DE)が35%、
160℃乾熱収縮率(SHD)が18.5%、沸水収縮
率(SHW)が16.0%のポリエステルマルチフィラ
メント延伸糸100デニール30フィラメントをポリエ
ステルマルチフィラメント糸(B)として用い、ファイ
バーガイド社製FG4型インターレースノズルを使用し
常温の高圧空気流を用い空気交絡処理を施し、ポリエス
テルマルチフィラメント複合糸条を得た。該マルチフィ
ラメント複合糸条の糸条1m当たりの交絡個数は72ケ
であり、糸割れやループ発生は確認されなかった。
【0055】該複合糸条を村田機械社製ダブルツイスタ
ー(No.310)を使用し、S撚方向に1300回/
m施撚した糸条を経糸として、緯糸として該マルチフィ
ラメント複合糸条をS撚、及びZ撚方向に1100回/
m施撚した糸条を作成し、緯糸がS、S、Z、Z、S、
SとS撚糸とZ撚糸が2本交互の構成になるように生機
密度として経142本/吋、緯78本/吋のカシミヤ規
格に製織した。該製織布に精練、リラックスを施した
後、液流染色機を使用し95℃の水酸化ナトリウム水溶
液中で該染色加工布を攪拌しつつアルカリ減量処理を施
した後、分散染料を用いて染色加工を施し、通常のファ
イナルセットを実施して仕上密度が経161本/吋、緯
87本/吋の染色加工布とした。
【0056】該染色加工布の表面を光学顕微鏡を使用し
約100倍に拡大して観察したところ、実施例1の如く
3層構造にはなっておらず、まさに高収縮糸と異繊度混
繊低収縮糸を用いた2層構造の異収縮混繊糸織物の表面
形態であった。該染色加工布の風合いは適度なはり、腰
感及びドライ感は有するもののふくらみ感やバルキー性
は実施例1のものと比較し明らかに劣っているものであ
り、新規な風合いを有するとは言い難いものであった。
【0057】比較例 2 固有粘度〔η〕が0.635であるポリエチレンテレフ
タレートセミダルレジンを用い、エクストルーダー内の
溶融ポリマー温度が285℃、紡糸ノズル面温度が28
7℃の条件で溶融紡糸し、冷却固化させた後、紡糸引取
速度が3000m/min.で巻き取った。使用した紡
糸ノズルの吐出孔口径及び吐出孔数は0.16mmφが
24個、0.28mmφが18個で何れも丸形状の吐出
孔を有する異口径混紡糸ノズルを使用し、ポリエステル
マルチフィラメント混繊未延伸糸40デニール42フィ
ラメントを得た。得られた糸条は後の工程で実質的に延
伸されない条件で熱処理されるが単糸デニールが1デニ
ール以下のフィラメント糸(a)となる糸条が吐出孔口
径0.16mmφから吐出された24本、単糸デニール
が1デニール〜10デニールのフィラメント糸(b)と
なる糸条が吐出孔口径0.28mmφから吐出された1
8本であり、それぞれのノズルドラフト比の差、及びノ
ズルオリフィス内剪断速度差の絶対値は次の如くであっ
た。 〔VS / VO 〕(a)−〔VS / VO 〕(b)=−
52.0(−) |〔dγ/dt〕(a)−〔dγ/dt〕(b)|=2
670(sec-1
【0058】該ポリエステルマルチフィラメントセミダ
ル混繊未延伸糸を雰囲気温度200℃のスリットヒータ
ー(非接触式加熱)で弛緩率45%、加工速度200m
/min.、ヒーター滞留時間0.18秒間の各条件に
て弛緩熱処理を施し、58デニール42フィラメントの
マルチフィラメント糸群(A)を得た。因にフィラメン
ト糸(a)の単糸繊度は0.9デニール、フィラメント
糸(b)の単糸繊度は2.0デニールであった。得られ
たポリエステルマルチフィラメント糸群(A)は破断伸
度(DE)が176%、沸水収縮率(SHW)は−0.
8%でありフィラメント糸(a)、フィラメント糸
(b)の160℃乾熱収縮率(SHD)はそれぞれ−
5.3%、−4.5%で両者とも実質的に自己伸長性を
示すものであった。
【0059】該マルチフィラメント糸群(A)を用い実
施例1と同様の方法で染色加工布を得た。光学顕微鏡を
使用し該染色加工布の表面を約100倍に拡大し観察し
たところ、フィラメント糸(a)及びフィラメント糸
(b)が自己伸長してなるループを多数形成していたが
該フィラメント糸(a)、フィラメント糸(b)が混在
して該染色加工布表面を覆ってしまっており、実質的に
2層構造となっていることが確認された。該染色加工布
はふかつき感がなく、適度なはり、腰、バルキー性更に
は適度なドライタッチを示すものであったが、実施例1
のものと比較し弾発性、圧縮回復性、ふくらみ感が劣る
ものとなった。
【0060】上述の如く本発明のポリエステルマルチフ
ィラメント複合糸条を織編物に使用することによってふ
かつき感のない優しい感じの風合い、適度なはり、腰
感、バルキー性、独特のドライタッチ、更には自己伸長
糸の効果による3層構造をとることによる弾発性、圧縮
回復性、ふくらみ感に富む、婦人衣料用途に好適な新規
な風合いを有する素材を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステルマルチフィラメント複合
糸条を用いた織編物の経糸側面を拡大して示したもので
ある。
【符号の説明】
1 マルチフィラメント糸群(A) 2 フィラメント糸(a) 3 フィラメント糸(b) 4 マルチフィラメント糸(B) 5 緯糸(マルチフィラメント糸)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−307929(JP,A) 特開 昭57−139515(JP,A) 特開 平7−197339(JP,A) 特開 平7−3563(JP,A) 特開 平7−11513(JP,A) 特開 平7−310231(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D02J 1/00 - 13/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 破断伸度DEが140%以上であり、1
    60℃乾熱収縮率SHDが負であるポリエステルマルチ
    フィラメント糸群(A)及び160℃乾熱収縮率SHD
    が正であるポリエステルマルチフィラメント糸(B)か
    らなる複合糸条であり、該ポリエステルマルチフィラメ
    ント糸群(A)が下記式を満足する160℃乾熱収縮率
    SHDを有するフィラメント糸(a)、フィラメント糸
    (b)を含む、2種以上のフィラメント糸によって構成
    されることを特徴とするポリエステルマルチフィラメン
    ト複合糸条: −10%≦SHD(a)−SHD(b)≦−2% −10%<SHD(a)<SHD(b)<0% 但し、SHD(a)、SHD(b)はフィラメント糸
    (a)、フィラメント糸(b)の160℃乾熱収縮率
    (%)を示すものである。
  2. 【請求項2】 ポリエステルマルチフィラメント糸
    (B)が下記式を満足することを特徴とする請求項1記
    載のポリエステルマルチフィラメント複合糸条: 7%≦SHD(B)≦30% 5%≦SHW(B)≦25% 但し、SHD(B)はポリエステルマルチフィラメント
    糸(B)の160℃乾熱収縮率(%)を示し、SHW
    (B)はポリエステルマルチフィラメント糸(B)の沸
    水収縮率(%)を示すものである。
  3. 【請求項3】 ポリエステルマルチフィラメント糸群
    (A)を構成するフィラメント糸(a)、フィラメント
    糸(b)が下記式を満足することを特徴とする請求項1
    又は2記載のポリエステルマルチフィラメント複合糸
    条: d(a)≦1.0dpf. 1.0dpf.<d(b)<10.0dpf. 但し、d(a)及びd(b)はフィラメント糸(a)、
    フィラメント糸(b)の単糸繊度(dpf.)を示すも
    のである。
  4. 【請求項4】 ポリエステルマルチフィラメント糸
    (B)の破断伸度DEが下記式を満足することを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか記載のポリエステルマルチ
    フィラメント複合糸条: 25%≦DE(B)≦70% 但し、DE(B)はポリエステルマルチフィラメント糸
    (B)の破断伸度(%)を示すものである。
  5. 【請求項5】 ポリエステルマルチフィラメント糸群
    (A)を構成するフィラメント糸(a)、フィラメント
    糸(b)の混繊比率が重量比で10:90〜90:10
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の
    ポリエステルマルチフィラメント複合糸条。
  6. 【請求項6】 複合糸におけるポリエステルマルチフィ
    ラメント糸群(A)とポリエステルマルチフィラメント
    糸(B)の混繊比率が重量比で10:90〜90:10
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の
    ポリエステルマルチフィラメント複合糸条。
  7. 【請求項7】 エチレンテレフタレートを主な繰り返し
    単位とする固有粘度〔η〕が0.45〜0.65である
    線状ポリエステルを溶融紡糸し紡糸引取速度2000〜
    4000m/min.で巻き取ったポリエステルマルチ
    フィラメント未延伸糸を実質的に延伸することなく熱処
    理してポリエステルマルチフィラメント糸群(A)を
    得、次いでエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位
    とする線状ポリエステルを溶融紡糸して得たポリエステ
    ルマルチフィラメント糸(B)と複合することを特徴と
    する請求項1記載のポリエステルマルチフィラメント複
    合糸条の製造方法。
  8. 【請求項8】 ポリエステルマルチフィラメント糸群
    (A)とポリエステルマルチフィラメント糸(B)を組
    み合わせてなるポリエステルマルチフィラメント複合糸
    条の複合方法が常温の高圧空気流による空気交絡手段を
    用いたものであることを特徴とする請求項7記載の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 単糸繊度が1デニール以下のフィラメン
    ト糸(a)及び単糸繊度が1デニール〜10デニールの
    マルチフィラメント糸(b)から構成されるマルチフィ
    ラメント糸群(A)を得る際に用いるポリエステルマル
    チフィラメント未延伸糸の溶融紡糸条件が以下の数式を
    満足することを特徴とする請求項7又は8記載の製造方
    法: 50≦〔V/V〕(a)−〔V/V〕(b)≦200 300≦|〔dγ/dt〕(a)−〔dγ/dt〕(b)|≦3000 但し、〔V/V〕(a)、〔V/V〕(b)は
    フィラメント糸(a)、フィラメント糸(b)それぞれ
    のノズルドラフト比(−)であり、Vは線速度(m/
    min.)、Vは紡糸速度(m/min.)を示すも
    のである。また〔dγ/dt〕(a)、〔dγ/dt〕
    (b)はフィラメント糸(a)、フィラメント糸(b)
    それぞれのノズルオリフィス内剪断速度(sec−1
    を示すものである。
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