JP2003147661A - 綾織物 - Google Patents

綾織物

Info

Publication number
JP2003147661A
JP2003147661A JP2001342325A JP2001342325A JP2003147661A JP 2003147661 A JP2003147661 A JP 2003147661A JP 2001342325 A JP2001342325 A JP 2001342325A JP 2001342325 A JP2001342325 A JP 2001342325A JP 2003147661 A JP2003147661 A JP 2003147661A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
warp
woven fabric
twill
weft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001342325A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuyuki Yamamoto
満之 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2001342325A priority Critical patent/JP2003147661A/ja
Publication of JP2003147661A publication Critical patent/JP2003147661A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 風合いがソフトで、織物表面のシボ発現がな
く、伸縮性に極めて優れ、耐摩耗性に優れた綾織物を安
価に提供する。 【解決手段】 経糸及び/又は緯糸がポリエステル系サ
イドバイサイド型複合マルチフィラメント糸で構成され
た綾組織の織物であって、この複合マルチフィラメント
糸を構成する少なくとも一成分がポリトリメチレンテレ
フタレートであることを特徴とする綾織物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経糸及び/又は緯
糸がポリエステル系サイドバイサイド型複合マルチフィ
ラメント糸で構成された伸縮性に優れた織物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、スポーツブームの高まりと共に、
ウインドブレーカー等のように平坦な表面感があって、
且つソフトなフィット感と軽快なストレッチ機能を併せ
持ったW&W性スポーツ衣料用織物の出現が強く望まれ
るようになってきている。
【0003】従来、弾性繊維を混用する事によって比較
的ストレッチ性の高い織物を得る方法や、伸縮回復性に
優れ、ストレッチ素材用に適したポリエステル系繊維を
用いる方法として、例えば、特開平9−78373号公
報に、ポリプロピレンテレフタレートを主たる成分とす
るポリエステル系仮撚加工糸が提案されている。しかし
ながら、弾性繊維を用いる方法の場合は締め付け力が強
い上、シボ気味の目面になるのを抑えるためにコストの
高いダブルカバリング糸を用いる必要があったり、耐候
性に難点がある上、更に、染色性の問題や染色仕上げ加
工での歩留まりが低い等の難点があった。
【0004】また、特開平9−78373号公報に記載
されているポリプロピレンテレフタレートを主たる成分
とするポリエステル系仮撚加工糸は、レギュラーポリエ
ステル糸に比べて伸長回復性に優れ、ヤング率が低いこ
とからソフトであるという特徴を有する。しかし、織物
にした場合、ストレッチ性を高くしようとすると織物表
面がシボ調あるいは楊柳調となり、織物表面を平坦にす
るには織物を緊張状態にして仕上げ加工を行う必要があ
り、この結果として平坦性のある織物は得られるもの
の、ふかついた風合いのストレッチ率の低いものしか得
られず、織物表面が平坦で且つ高ストレッチな織物は得
られなかった。即ち、ストレッチ機能の付与とシボ立ち
抑制とはお互いに相反する機能の同時追求であり、この
二つの機能を両立させることは非常に困難な技術課題で
あった。
【0005】そこで、これらの課題を解決する方法の一
つとして、前記のポリトリメチレンテレフタレート系仮
撚加工糸を仮撚の撚り方向とは異方向に追撚し、この追
撚した仮撚加工糸を用いることによって、ふかつき感が
なく織物表面性に優れ、且つ伸縮性と伸長回復性に優れ
た織物を得ることができる。しかしこのような方法は、
追撚工程を必要とするためコストが高くなるというデメ
リットがある。
【0006】一方、特開平5−295670号公報に記
載されているように、ポリエチレンテレフタレートの潜
在捲縮性複合繊維に強撚を施した糸を用いて織物にした
場合は、風合いが粗硬で、若干のストレッチ性は得られ
るものの、ストレッチ性と回復性は、満足すべきレベル
からはほど遠いものであった。又、ストレッチ性能を十
分に発揮させるためには、経糸/緯糸の組織点をルーズ
な織物組織にする必要があり、その結果、抗スナッギン
グ性に劣る織物となってしまうという問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するために成されたものであり、ソフトな風合
い、優れた抗スナッギング性、極めて優れた伸縮性、回
復性、特に優れた経又は緯ストレッチ性、経緯ストレッ
チ性等の特性を少なくとも一つ以上有する綾織物を、低
コストで提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
ついて鋭意検討した結果、特定の複合マルチフィラメン
ト糸を用い、更には特定の織組織を採用することによ
り、上記課題が解決される事を見出し、本発明に到達し
た。
【0009】即ち、本発明は下記の通りである。
【0010】1.経糸及び/又は緯糸がポリエステル系
サイドバイサイド型複合マルチフィラメント糸で構成さ
れた綾組織の織物であって、この複合マルチフィラメン
ト糸を構成する少なくとも一成分がポリトリメチレンテ
レフタレートであることを特徴とする綾織物。
【0011】2.複合マルチフィラメント糸が、固有粘
度差が0.05〜0.3(dl/g)である2種類のポ
リトリメチレンテレフタレートで構成された複合マルチ
フィラメント糸であることを特徴とする上記1記載の綾
織物。
【0012】3.複合マルチフィラメント糸が、撚数の
係数K1の値が7000〜25000である有撚糸であ
ることを特徴とする上記1又は2記載の綾織物。
【0013】但し、K1は下記式で定義され、式中、D
は糸の繊度(dtex)、T1は撚数(T/m)を表
す。
【0014】K1=D1/2×T1 4.複合マルチフィラメント糸が仮撚加工糸であること
を特徴とする上記1又は2記載の綾織物。
【0015】5.仮撚加工糸が70〜400%の顕在捲
縮伸長率を有することを特徴とする上記4記載の綾織
物。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明の綾織物は、少なくとも一成分が繊
維形成性を有するポリトリメチレンテレフタレートであ
るポリエステル系のサイドバイサイド型複合マルチフィ
ラメント糸で経糸及び/又は緯糸が構成されている。
【0018】本発明で使用するポリエステル系複合マル
チフィラメント糸は、繊度が20〜300dtexであ
ることが好ましく、より好ましくは44〜167dte
xの範囲であり、単糸繊度は0.5〜10dtexであ
ることが好ましく、より好ましくは1.5〜6dtex
程度である。単糸繊度がこの範囲であると、回復性に優
れ、ソフトな風合いの織物が得られる。
【0019】本発明で使用する複合マルチフィラメント
糸は、強度が1.8cN/dtex以上であることが好
ましく、2.0〜4.0cN/dtexの範囲であるこ
とがより好ましい。また、伸度は25%以上であること
が好ましく、30〜50%の範囲であることがより好ま
しい。強度および伸度がこの範囲であると、仮撚加工す
る場合に仮撚り時の糸切れ頻度が少なく、十分な強度の
仮撚加工糸が得られる。弾性率は30cN/dtex以
下であることが好ましく、17.6〜26.5cN/d
texであることがより好ましい。弾性率がこの範囲で
あると、ソフトな風合いの織物が得られる。
【0020】また、複合マルチフィラメント糸の形態
は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、
断面形状においても丸型、三角、繭型、L型、T型、Y
型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形
型、多葉型、中空型や不定形なものでもよく、特に限定
されないが、紡糸安定性の面から丸型、三角、繭型が好
ましい。
【0021】本発明において、複合マルチフィラメント
糸の少なくとも一成分を構成するポリトリメチレンテレ
フタレートは、トリメチレンテレフタレート単位を主た
る繰り返し単位とするポリエステルであり、トリメチレ
ンテレフタレート単位を好ましくは約50モル%以上、
より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80
モル%以上、最も好ましくは90モル%以上のものをい
う。従って、第三成分として、他の酸成分及び/又はグ
リコール成分の合計量が、好ましくは約50モル%以
下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは
20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下の範囲
で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを包含す
る。
【0022】ポリトリメチレンテレフタレートは、テレ
フタル酸又はその機能的誘導体と、トリメチレングリコ
ール又はその機能的誘導体とを、触媒の存在下で、適当
な反応条件下に結合せしめることにより合成される。こ
の合成過程において、適当な一種又は二種以上の第三成
分を添加して共重合ポリエステルとしてもよい。又、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト等のポリトリメチレンテレフタレート以外のポリエス
テル、あるいはナイロン等と、ポリトリメチレンテレフ
タレートとをブレンドしてもよい。
【0023】添加する第三成分としては、脂肪族ジカル
ボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン
酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボ
ン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸
等)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール
等)、脂環族グリコール(シクロヘキサンジメタノール
等)、芳香族を含む脂肪族グリコール(1,4−ビス
(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、ポリエーテ
ルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等)、脂肪族オキシカルボン酸(ω−オキ
シカプロン酸等)、芳香族オキシカルボン酸(p−オキ
シ安息香酸等)等が挙げられる。又、1個又は3個以上
のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又
はグリセリン等)も、重合体が実質的に線状である範囲
内で使用出来る。
【0024】さらに、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸
等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外
線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑
剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃
剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤
等が含有されていてもよい。
【0025】本発明において、サイドバイサイド型複合
マルチフィラメントを構成する繊維形成性を有するポリ
エステルは、ポリトリメチレンテレフタレ−トとの界面
接着性が良好で、紡糸が安定に行えるポリエステルであ
ればよく、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好
ましく、ポリマーの粘度差を有するポリトリメチレンテ
レフタレートがより好ましい。
【0026】粘度差を有するポリトリメチレンテレフタ
レートを用いる場合は、二種類のポリトリメチレンテレ
フタレートの固有粘度差は、0.05〜0.3(dl/
g)であることが好ましく、0.1〜0.25(dl/
g)であることが更に好ましい。例えば、高粘度側の固
有粘度を0.7〜1.3(dl/g)から選択した場合
には、低粘度側の固有粘度は0.5〜1.1(dl/
g)から選択されるのが好ましい。固有粘度差が上記の
範囲であると、紡糸工程において紡口から吐出時の糸曲
がりや紡口汚染がほとんど無く、安定した製造が出来
る。
【0027】なお、本発明でいう固有粘度の値は、使用
する原料ポリマーではなく、紡糸して得られた糸におけ
る固有粘度を云う。この理由は、ポリトリメチレンテレ
フタレートは、ポリエチレンテレフタレート等と比較し
て熱分解が生じ易く、高い固有粘度のポリマーを使用し
ても紡糸工程で熱分解によって固有粘度が低下して、得
られた複合マルチフィラメント糸においては、原料ポリ
マーでの固有粘度差をそのまま維持することが困難であ
るためである。
【0028】本発明で用いられる複合マルチフィラメン
ト糸は、前記の二種類のポリエステルを、サイドバイサ
イド型紡口を用いて紡糸して得られた未延伸糸を、例え
ば、3000m/分以下の巻取り速度でパッケージに巻
き取った後、2〜3.5倍程度で延伸して製造すること
が好ましい。本発明の目的を損なわない範囲であれば、
紡糸と延伸を連続して行う直接紡糸延伸法(スピンドロ
ー法)や、巻取り速度5000m/分以上の高速紡糸法
(スピンテイクアップ法)を採用してもよい。
【0029】本発明の綾織物は、上記のようなポリエス
テル系複合マルチフィラメント糸を、そのまま経糸およ
び/又は緯糸の全部又は一部に用いることができるが、
さらに、この糸を有撚糸や仮撚加工糸として用いること
が好ましい。
【0030】本発明においては、複合マルチフィラメン
ト糸の有撚糸及び/又は仮撚加工糸を経糸の全部に用い
ても、経糸の一部に用いてもよい。経糸の一部に用いる
場合には、もう一方の糸(以下、相手糸という)の種類
は特に限定されない。複合マルチフィラメントの有撚糸
を用いる場合は、相手糸も同様の条件で撚糸を施した糸
を用いることが好ましい。
【0031】有撚糸及び/又は仮撚加工糸を経糸の一部
に用いる場合は、全経糸の30質量%以上用いることが
好ましく、より好ましくは40質量%以上、さらに好ま
しくは50質量%以上である。
【0032】有撚糸を経糸の一部に用いる場合の糸の配
列は、通常、有撚糸:相手糸を1:2〜3:1の規則配
列とする。配列比は、規則性を有する設計がよく、不規
則配列にすると、筋欠点に見える場合がある。規則配列
の場合においても、最小リピート本数毎に筬羽に引き通
して製織をした方が、経筋欠点を防止する上で好まし
い。最小リピート本数は4本以下が好ましく、5本以上
にすると、筬羽内での各経糸の開口が円滑にならず、張
力斑や開口斑の原因となる。
【0033】有撚糸:相手糸の規則配列比が1:2を下
回る場合、例えば、1:3、1:4等の場合は、有撚糸
の伸縮性が小さくなり、所望のストレッチ特性を有する
ストレッチ織物が得られ難くなる傾向がある。また、規
則配列比が3:1を上回る場合、例えば、4:1、5:
1等の場合は、有撚糸の伸縮性と相手糸とのトルクバラ
ンスが崩れ、経筋欠点のように見える場合がある。
【0034】緯糸においても、有撚糸を使用する場合、
経糸に用いる有撚糸とのストレッチバランスや糸条の撚
方向の組み合わせを考慮した設計が好ましい。
【0035】有撚糸とする場合、撚糸を行う方法として
は、リングツイスター、イタリー撚糸機、ダブルツイス
ター等による方法が挙げられるが、コスト的な面からダ
ブルツイスターによる方法が特に好ましい。
【0036】撚数(T1)は、次式で計算される撚数の
係数K1の値が7000〜25000であることが好ま
しく、より好ましくは10000〜20000である。
K1の値がこの範囲であると、表面にシボの無い、スト
レッチ性に優れた織物が得られる。
【0037】K1=D1/2×T1 式中、Dは糸の繊度(dtex)、T1は撚数(T/
m)を表す。
【0038】ストレッチ性に優れ、取り扱い性に優れた
有撚糸を得るためには、撚り止めセットをすることが好
ましく、その方法としては、スチームセッター等を用い
てセット温度50〜100℃でセットすることが好まし
く、より好ましくは60〜90℃である。また、撚り止
めセット時間は30〜60分で行うことが好ましい。セ
ット条件が上記の範囲であると、糸のビリツキ等による
製織時のトラブルがなく、ストレッチ性に優れた織物が
得られる。
【0039】仮撚加工糸を経糸の一部に用いる場合の糸
の配列は、通常、仮撚加工糸:相手糸を1:2〜3:1
の規則配列とするのが好ましい。配列比は、規則性を有
する設計がよく、不規則配列にすると、筋欠点に見える
場合がある。規則配列の場合においても、最小リピート
本数毎に筬羽に引き通して製織をした方が経筋欠点を防
止する上で好ましい。最小リピート本数は4本以下が好
ましく、5本以上にすると、筬羽内での各経糸の開口が
円滑にならず、張力斑や開口斑の原因となる。
【0040】仮撚加工糸:相手糸の規則配列比が1:2
を下回る場合、例えば、1:3、1:4等の場合は、仮
撚加工糸の伸縮性が小さくなり、所望のストレッチ特性
を有するストレッチ織物が得られ難くなる傾向がある。
また、規則配列比が3:1を上回る場合、例えば、4:
1、5:1等の場合は、仮撚加工糸の伸縮性と相手糸と
のトルクバランスが崩れ、経筋欠点のように見える場合
がある。
【0041】仮撚加工糸を用いる場合、仮撚加工糸の物
性は、強度が1.5cN/dtex以上であることが好
ましく、1.8〜4.0cN/dtexの範囲であるこ
とがより好ましい。強度がこの範囲であると、引裂強力
に優れた織物が得られる。また、弾性率は22cN/d
tex未満であることが好ましく、12〜20cN/d
texであることがより好ましい。弾性率がこの範囲で
あると、ソフト性に優れた織物が得られる。
【0042】仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率は70〜40
0%であることが好ましく、更に好ましくは100〜4
00%、最も好ましくは120〜400%である。顕在
捲縮伸長率が70%以上であると、熱処理による捲縮発
現がより容易であるばかりでなく、表面性が良好な織物
を容易に得ることができ、ひいては大きな伸長性の織物
を得ることができる。顕在捲縮伸長率が小さすぎると、
熱処理により急激に捲縮発現が起こった場合、織物の交
錯点において糸が滑動しにくく、組織点が固定されたま
ま幅収縮や経収縮が起こるためにシボが発現しやすい傾
向にある。
【0043】仮撚加工糸の顕在捲縮弾性率は80〜10
0%であることが好ましく、更に好ましくは82〜10
0%、最も好ましくは85〜100%である。顕在捲縮
弾性率がこの範囲であると、伸長回復性に優れた織物が
得られる。
【0044】また、本発明で用いる仮撚加工糸の捲縮伸
長率は100〜400%であることが好ましく、より好
ましくは120〜400%である。捲縮弾性率は80〜
100%であることが好ましく、より好ましくは90〜
100%である。捲縮伸長率、捲縮弾性率は最終的に染
色した後の織物の伸長性とストレッチバック感に直接影
響を与える特性であり、これらの値が大きいほど伸長性
とストレッチバック感に優れた織物が得られる。
【0045】仮撚加工糸としては、一般的な仮撚加工方
法で得られた加工糸が好ましい。仮撚方法としては、ピ
ンタイプ、フリクションタイプ、ニップベルトタイプ、
エアー加撚タイプ等、任意の方法を採用できるが、好ま
しくはピンタイプである。ピンタイプ法で仮撚加工する
と、より均整なクリンプ状態が得られ易い。仮撚加工糸
は、いわゆる2ヒーターの仮撚加工糸(セットタイプ)
よりも、いわゆる1ヒーターの仮撚加工糸(ノンセット
タイプ)を用いる方が、より高いストレッチ率の織物が
得られるので好ましい。
【0046】ストレッチ性に優れた仮撚加工糸を得るた
めには、仮撚加工時の熱固定温度は150〜190℃が
好ましい。熱固定温度がこの範囲であると、仮撚工程で
の糸切れがなく、回復性の優れた織物が得られる。
【0047】仮撚数(T2)は、次式で計算される仮撚
数の係数K2の値が21000〜33000であること
が好ましく、より好ましくは25000〜32000で
ある。K2の値がこの範囲であると、仮撚工程での糸切
れがなく、捲縮性、ストレッチ性に優れた加工糸が得ら
れる。
【0048】K2=D1/2×T2 式中、Dは糸の繊度(dtex)、T2は撚数(T/
m)を表す。
【0049】本発明において、仮撚加工糸を織物の経糸
及び/又は緯糸に用いる場合、基本的には無撚であるこ
とが好ましいが、集束性を高めるためには、仮撚方向と
同方向又は異方向に撚係数(K3)5000以下の撚り
を付与してもよい。
【0050】撚係数K3は次式で与えられる。
【0051】K3=D1/2×T3 式中、Dは加工糸の繊度(dtex)、T3は撚数(T
/m)を表す。
【0052】本発明の織物の織組織は、綾組織であるこ
とが重要であり、平組織では、本発明の目的である優れ
た織物表面平坦性と伸長性及び回復性を両立することは
困難であり、一方、朱子組織では、優れた織物表面平坦
性と伸長性及び回復性を両立することは容易であるが、
スナッギングやピリング等の耐摩擦性能が劣る。
【0053】本発明で言う綾組織とは、2/2綾、2/
1綾、3/1綾、3/2綾の群の中から選ばれる組織を
いい、これらの組織を組み合わせたものであっても構わ
ない。これらの織組織のうち最も好ましい織組織は2/
2綾組織である。これらの織組織よりも組織点がルーズ
な織組織、例えば4/1綾では、スナッギングやピリン
グ等の耐摩擦性能が劣る。
【0054】織物の経糸及び緯糸の密度としては、経糸
繊度20〜300dtexの場合、経糸密度は40〜3
00本/2.54cm、緯糸繊度20〜300dtex
の場合、緯糸密度は40〜300本/2.54cmの範
囲内で、織物組織や用途に応じて設定すればよい。
【0055】本発明の綾織物は、その経糸方向及び/又
は緯糸方向のストレッチ率が20%を超えることが好ま
しく、より好ましくは25%以上である。より具体的に
は、経糸方向には20%超〜50%が好ましく、より好
ましくは25〜50%であり、緯糸方向には20%超〜
65%が好ましく、より好ましくは25〜65%であ
る。ストレッチ率がこの範囲であると、本発明の織物の
主たる使用用途であるスポーツ衣料での局部的且つ瞬間
的な運動変位に対してスムーズに追従することができ
る。又、経糸方向50%超や緯糸方向65%超のストレ
ッチ率を得ることも可能であるが、回復性が劣ったり、
残留収縮が大きくなったりすることがある。
【0056】なお、本発明の綾織物は、スポーツ衣料以
外の用途分野においても適用可能なことは言うまでもな
い。
【0057】本発明の綾織物の回復率は80〜100%
であることが好ましく、より好ましくは83〜100
%、更に好ましくは85〜100%である。回復率がこ
の範囲であると、バック性に優れた織物となる。
【0058】本発明において、経糸方向のみにストレッ
チを付与する場合には、経糸にポリエステル系サイドバ
イサイド型複合マルチフィラメント糸を、緯糸方向のみ
にストレッチを付与する場合には、緯糸にポリエステル
系サイドバイサイド型複合マルチフィラメント糸を、経
糸及び緯糸方向にストレッチを付与する2ウェイストレ
ッチ織物の場合には、経糸及び緯糸にポリエステル系サ
イドバイサイド型複合マルチフィラメント糸を用いれば
良く、目的に応じて任意に選択することができる。
【0059】経ストレッチ織物又は2ウェイストレッチ
織物は、着用時の着圧が低いために長時間着用しても疲
れが出にくい上に、伸長回復性が優れているために膝抜
けや肘抜け等の欠陥が発生し難い。更に、パンツ(ズボ
ン)やスカートなどを着用した際に、膝裏や尻回り部に
発生する横方向の折れ皺、いわゆる着用皺も発生しにく
い。そのため、パンツやスカート等のボトム商品やユニ
フォーム等に極めて適性が高い。
【0060】本発明の綾織物においては、ポリエステル
系サイドバイサイド型複合マルチフィラメント糸の混率
は20〜100%であることが好ましく、30〜100
%であることがより好ましい。混率がこの範囲である
と、ストレッチ機能やソフト風合いの特徴が充分に発揮
される。
【0061】本発明の綾織物において、複合マルチフィ
ラメント糸に混用する繊維としては、特に限定はなく、
長繊維、短繊維でも、ポリトリメチレンテレフタレート
繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等のポリエステ
ル系繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系
繊維、アセテート繊維等の合成繊維や、キュプラ、レー
ヨン、綿、麻、ウール等の天然繊維を用いることができ
る。又、その形態も、原糸でも仮撚加工糸に代表される
嵩高加工糸でもよく、従来公知の各種形態の糸条を用い
ることができる。混用形態については、経糸及び/又は
緯糸使いにおいて、例えば、1本交互や2本交互更には
3本以上の変則配列であってもよいが、癖の少ない目面
を得る上からは、経糸又は緯糸の一方に用いるか、また
は1本交互とすることがより好ましい。
【0062】本発明の綾織物を製織するための織機とし
ては、特に限定されるものではなく、エアージェットル
ームやウォータージェットルーム等に代表されるような
流体噴射織機を初め、レピアルームやグリッパールー
ム、フライシャットルルーム、有杼織機等などが使用で
きるが、緯方向のストレッチ性を最大限に発揮させるこ
とに加え、織物の幅方向でのストレッチ率のバラツキを
抑制する点から、低張力緯入れが可能で緯糸に優しいエ
アージェットルームやウォータージェットルーム等の流
体噴射織機、中でも特にエアージェットルームの適性は
高い。また、これらの織機において、経糸ビームと綜絖
の間に経糸にワックス剤等が付くような機構を織機に設
けて、経糸の摩耗を減らして毛羽発生を抑え、製織工程
性を高めてもよい。
【0063】なお、本発明においては、前記のようなポ
リエステル系サイドバイサイド型複合マルチフィラメン
ト糸を用いることによって、初めて、風合いがソフト
で、着圧感を感じないほどに僅かな力で伸縮性に極めて
優れ、且つ回復性に優れた織物となる。したがって、そ
れ以外の例えば、1種類のポリトリメチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリブチレ
ンテレフタレート等のポリエステルからなるマルチフィ
ラメントを用いた仮撚加工糸や、2種類のポリマーの
内、少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレー
トではないポリエステル系複合マルチフィラメント糸
や、そのような糸の有撚糸あるいは仮撚加工糸を用いて
も、本発明の目的を達成することはできない。
【0064】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明をさら
に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定さ
れるものではない。
【0065】なお、測定方法、評価方法等は以下の通り
である。
【0066】(1)固有粘度 固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて
求められる値である。
【0067】
【数1】
【0068】式中、ηrは純度98%以上のo−クロロ
フェノール溶媒で溶解したポリトリメチレンテレフタレ
ート糸又はポリエチレンテレフタレート糸の稀釈溶液の
35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度
で除した値であり、相対粘度と定義されているものであ
る。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度であ
る。
【0069】なお、本発明における2種類の繊維からな
るサイドバイサイド型複合マルチフィラメント糸は、紡
糸して得られた糸を構成する繊維ポリマーのそれぞれの
固有粘度を測定することは困難であるので、複合マルチ
フィラメント糸の紡糸条件と同じ条件で2種類の糸をそ
れぞれ単独で紡糸し、得られた糸を用いて測定した固有
粘度を、複合マルチフィラメント糸を構成する繊維ポリ
マーの固有粘度とした。
【0070】(2)織物のストレッチ率と回復率 織物の経方向及び緯方向のストレッチ率及び回復率は、
仕上げ加工反を用いて測定した。
【0071】島津製作所(株)製の引張試験機を用い
て、つかみ幅2cm、つかみ間隔10cm、引張速度1
0cm/分で試料を経方向又は緯方向に伸長させた時
の、2.94N/cmの応力下での伸び(%)をストレ
ッチ率とした。その後、再び同じ速度でつかみ間隔10
cmまで収縮させた後、再度、応力−歪み曲線を描き、
応力が発現するまでの伸度を残留伸度(A)とする。回
復率は以下の式によって求めた。
【0072】 回復率(%)=〔(10−A)/10〕×100 (3)仮撚加工糸の顕在捲縮伸長率及び顕在捲縮弾性率 島津製作所(株)製の引張試験機を用いて、つかみ間隔
10cmにて仮撚加工糸を初荷重0.9×10-3cN/
dtexで取り付けた後、引張速度10cm/分で伸長
し、0.0882cN/dtexの応力に達したときの
伸び(%)を顕在捲縮伸長率とした。その後、再び同じ
速度でつかみ間隔10cmまで収縮させた後、再度、応
力−歪み曲線を描き、初荷重の応力が発現するまでの伸
度を残留伸度(B)とする。顕在捲縮弾性率は以下の式
によって求めた。
【0073】顕在捲縮弾性率(%)=〔(10−B)/
10〕×100 (4)仮撚加工糸の捲縮伸長率、捲縮弾性率 巻き取りパッケージから解舒した仮撚加工糸を、無荷重
下で98℃の熱水中に20分浸漬した後、無荷重下で2
4時間乾燥した試料を用いた以外は、顕在捲縮伸長率及
び顕在捲縮弾性率の測定と同様の方法にて測定し、それ
ぞれを捲縮伸長率、捲縮弾性率を求めた。
【0074】(5)スナッギング性 スナッギングは、JIS−L−1058(D−3法、フ
レイング法)スナッグ試験方法に準じて測定した。
【0075】〔製造例〕ポリトリメチレンテレフタレー
ト繊維の原糸を以下のようにして製造した。
【0076】固有粘度が[η]=0.8のポリトリメチ
レンテレフタレートを、紡糸温度265℃、紡糸速度1
200m/分で未延伸糸を得、次いで、ホットロール温
度60℃、ホットプレート温度140℃、延伸倍率3
倍、延伸速度800m/分で延撚して、84dtex/
24fの延伸糸を得た。
【0077】この延伸糸の強伸度、弾性率は各々、3.
1cN/dtex、46%、26.4cN/dtexで
あった。
【0078】〔実施例1〕固有粘度の異なる二種類のポ
リトリメチレンテレフタレートを比率1:1でサイドバ
イサイド型に押出し、紡糸温度265℃、紡糸速度15
00m/分で未延伸糸を得、次いで、ホットロール温度
55℃、ホットプレート温度140℃、延伸速度400
m/分、延伸倍率は延伸後の繊度が84dtexとなる
ように設定して延撚し、84dtex/24fのサイド
バイサイド型複合マルチフィラメント糸を得た。
【0079】得られた複合マルチフィラメント糸の固有
粘度は、高粘度側が[η]=0.90、低粘度側が
[η]=0.70であった。この延伸糸の強伸度、弾性
率は各々、2.5cN/dtex、32%、22.4c
N/dtexであった。次いで、撚数を1500T/m
になるように設定して(撚係数K=13748)、撚方
向Sの撚糸を製造した。撚糸は,ダブルツイスターDT
−310F(村田機械(株)製)を用い、スピンドル回
転数10000rpmで行った。更に、真空セッターに
て70℃で40分間ビリ止めセットを行った。
【0080】得られたサイドバイサイド型複合マルチフ
ィラメント糸の撚糸を緯糸に用い、前記製造例で得た8
4dtex/24fのサイドバイサイド型ではないポリ
トリメチレンテレフタレート糸の無撚糊付け糸を経糸に
用いて、エアージェットルームにて製織を行い、経11
0本/2.54cm、緯110本/2.54cm密度の
2/2綾組織の生機を得た。
【0081】得られた生機を、95℃で液流リラクサー
にて精練リラックス後、テンターを用い160℃で中間
セットした後、液流染色機にて120℃の分散染料によ
る染色を行い、160℃でファイナルセットを行い、経
169本/2.54cm、緯128本/2.54cm密
度の綾織物を得た。
【0082】この綾織物の表面性はシボがなく(織物表
面性○)、風合いはソフトで、ふかつき感のない(ふか
つき感○)ものであった。綾織物のストレッチ率、回復
率、スナッギング性は、各々33%、84%、3級であ
った。
【0083】〔実施例2〕実施例1得られた84dte
x/24fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメン
ト糸を使用し、石川製作所製IVF−338にて、第1
ヒーター温度170℃、仮撚数3200T/mで仮撚加
工を行い、顕在捲縮伸長率200%、顕在捲縮弾性率9
0%、捲縮伸長率250%、捲縮弾性率93%の仮撚加
工糸を得た。顕在捲縮伸長率、顕在捲縮弾性率、捲縮伸
長率、捲縮弾性率のいずれも優れたストレッチ性と回復
性を示す物性値であった。
【0084】得られたサイドバイサイド型複合マルチフ
ィラメント糸の仮撚加工糸を緯糸とし、実施例1と同じ
経糸を用い、実施例1と同様にして製織を行い、経12
0本/2.54cm、緯110本/2.54cm密度の
2/2綾組織の生機を得た。
【0085】得られた生機を、95℃で液流リラクサー
にて精練リラックス後、テンターを用い160℃で中間
セットした後、液流染色機にて120℃の分散染料によ
る染色を行い、160℃でファイナルセットを行い、経
173本/2.54cm、緯125本/2.54cm密
度の綾織物を得た。この綾織物の表面性はシボがなく
(織物表面性○)、風合いはソフトで、ふかつき感のな
い(ふかつき感○)ものであった。綾織物のストレッチ
率、回復率、スナッギング性は、各々56%、85%、
3〜4級であった。
【0086】〔比較例1〕織組織を平組織に変更し、且
つ経糸の密度を変えたこと以外は、実施例1と同様にし
て行い、経95本/2.54cm、緯95本/2.54
cm密度の平組織の生機を得た。この生機を、95℃で
液流リラクサーにて精練リラックス後、テンターを用い
160℃で中間セットした後、液流染色機にて120℃
の分散染料による染色を行い、160℃でファイナルセ
ットを行い、経135本/2.54cm、緯113本/
2.54cm密度の平織物を得た。
【0087】この平織物の表面性は比較的良好で(織物
表面性○〜△)、風合いはソフトで、ふかつき感のない
(ふかつき感○)ものであった。平織物のストレッチ
率、回復率、スナッギング性は、各々18%、78%、
3級であり、実施例1に比べて、ストレッチ性及び回復
性は低いものであった。
【0088】〔比較例2〕織組織を平組織に変更し、且
つ経糸の密度を変えたこと以外は、実施例2と同様にし
て行い、経97本/2.54cm、緯95本/2.54
cm密度の平組織の生機を得た。この生機を、95℃で
液流リラクサーにて精練リラックス後、テンターを用い
170℃で中間セットした後、液流染色機にて120℃
の分散染料による染色を行い、170℃でファイナルセ
ットを行い、経148本/2.54cm、緯112本/
2.54cm密度の平織物を得た。
【0089】この平織物の表面性はシボがなく(織物表
面性○)、風合いはソフトで、ふかつき感のない(ふか
つき感○)ものであった。平織物のストレッチ率、回復
率、スナッギング性は、各々30%、78%、4級であ
り、実施例2に比べて、ストレッチ性、回復性は低いも
のであった。
【0090】〔比較例3〕固有粘度の異なる二種類のポ
リエチレンテレフタレートを用いて56dtex/12
fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメント糸を得
た。得られた複合マルチフィラメント糸の固有粘度は、
高粘度側が[η]=0.66、低粘度側が[η]=0.
50であった。次いで、この糸に実施例1と同様の方法
で撚糸、セットを行った。
【0091】得られたポリエチレンテレフタレートのサ
イドバイサイド型複合マルチフィラメント糸を緯糸と
し、実施例1と同じ経糸を用いて、実施例1と同様にし
て製織を行い、経110本/2.54cm、緯135本
/2.54cm密度の2/2綾組織の生機を得た。この
生機を、95℃で液流リラクサーにて精練リラックス
後、テンターを用い170℃で中間セットした後、液流
染色機にて120℃の分散染料による染色を行い、17
0℃でファイナルセットを行い、経143本/2.54
cm、緯150本/2.54cm密度の綾織物を得た。
【0092】この綾織物の表面性はシボがなく(織物表
面性○)、風合いは硬く、ふかつき感のない(ふかつき
感○)ものであった。綾織物のストレッチ率、回復率、
スナッギング性は、各々18%、82%、1〜2級であ
り、実施例1に比べて、ストレッチ性、スナッギング性
が低いものであった。
【0093】〔比較例4〕織組織、及び経密度を変えた
こと以外は、比較例3と同様にして行い、経95本/
2.54cm、緯115本/2.54cm密度の平組織
の生機を得た。この生機を、95℃で液流リラクサーに
て精練リラックス後、テンターを用い170℃で中間セ
ットした後、液流染色機にて120℃の分散染料による
染色を行い、170℃でファイナルセットを行い経11
6本/2.54cm、緯135本/2.54cm密度の
平織物を得た。
【0094】この平織物の表面性はシボがなく(織物表
面性○)、風合いは粗硬で、ふかつき感のない(ふかつ
き感○)ものであった。平織物のストレッチ率、回復
率、スナッギング性は、各々10%、81%、3級であ
り、実施例1に比べて、ストレッチ性、スナッギング性
が低いものであった。
【0095】〔実施例3〕固有粘度が[η]=0.93
と[η]=0.72の二種類のポリトリメチレンテレフ
タレートを、通常のサイドバイサイド型複合繊維紡糸用
紡口を用いて紡糸温度265℃、比率1:1で紡出し、
紡糸速度1500m/分で巻き取って未延伸糸を得た。
次いで、ホットロール温度55℃、ホットプレート温度
140℃、延伸速度400m/分、延伸後の繊度が56
dtexとなるように延伸倍率を設定して延撚し、56
dtex/12fのサイドバイサイド型複合マルチフィ
ラメント糸を得た。
【0096】得られた複合マルチフィラメント糸の固有
粘度は、高粘度側が[η]=0.90、低粘度側が
[η]=0.70であった。また、この糸の強度は2.
5cN/dtex、伸度は30%、弾性率は22.4c
N/dtexであった。
【0097】次いで、撚数を2000T/mになるよう
に設定して(撚係数K=14967)、撚方向S及びZ
の撚糸を製造した。撚糸は、ダブルツイスターDT−3
10F(村田機械(株)製)を用い、スピンドル回転数
10000rpmで行った。更に、真空セッターにて7
0℃で40分間ビリ止めセットを行った。
【0098】得られた撚糸糸条を、無糊の状態で、部分
整経機HB−M(カキノキ(株)製)を用いて巻取速度
140m/分で整経して経糸準備を行い、S撚とZ撚を
一本交互にした経密度(織機上の設定密度)193本/
2.54cm、通し幅145cmの経糸を準備し、エア
ージェットルームZA209i(津田駒工業(株))に
仕掛けた。
【0099】緯糸には、経糸と同じ糸を用い、S撚とZ
撚の糸を一本交互に緯密度(緯糸打ち込み密度)100
本/2.54cmで、経2重3/2綾の組織にて、50
0rpmの織機回転数で製織した。
【0100】得られた生機を、110℃にて液流リラッ
クスし、160℃にてプレセットし、染色(120
℃)、ファイナルセット(160℃)を行い、最終仕上
げ幅を95cmに設定し、経295本/2.54cm、
緯145本/2.54cm密度の綾織物を得た。
【0101】得られた綾織物の経方向/緯方向の物性
は、ストレッチ率が30%/30%、回復率が92%/
92%であり、スナッギング性は3級であった。
【0102】〔実施例4〕実施例2で得られた84dt
ex/24fのサイドバイサイド型複合マルチフィラメ
ント糸の仮撚加工糸にサイジングを施したものを、経糸
および緯糸として用い、実施例1と同様の方法で製織を
行い、2/2綾組織で、経100本/2.54cm、緯
100本/2.54cm密度の生機を得た。この生機を
オープンソーパーにて精練後、染色(120℃)、ファ
イナルセット(160℃)を行い、経150本/2.5
4cm、緯145本/2.54cm密度の綾織物を得
た。
【0103】得られた綾織物の表面性はシボがなく(織
物表面性○)、風合いはソフトで、ふかつき感のない
(ふかつき感○)ものであった。綾織物の経方向/緯方
向の物性は、ストレッチ率が25%/27%、回復率が
82/80%であり、スナッギング性は3級であった。
【0104】〔比較例5〕織組織を、経2重4/1綾組
織にしたこと以外は、実施例3と同様にして行い、経1
95本/2.54cm、緯100本/2.54cm密度
の生機を得た。これを実施例3と同様に精練リラック
ス、染色加工、ファイナルセットを行い、経230本/
2.54cm、緯150本/2.54cm密度の綾織物
を得た。
【0105】得られた綾織物の経方向/緯方向の物性
は、ストレッチ率が35%/33%、回復率が92%/
92%であり、スナッギング性は1〜2級であり、耐摩
耗性が劣るものであった。
【0106】
【発明の効果】本発明の綾織物は、極めてソフトな風合
いを有し、伸長性と回復性に優れている。また伸縮性に
極めて優れ、且つ耐摩耗性に優れており、特に、スポー
ツ衣料分野に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L036 MA05 MA17 MA24 MA33 MA37 MA39 MA40 PA01 PA03 PA06 PA18 PA21 RA04 UA01 4L041 AA08 AA20 BA02 BA05 BA09 BC20 BD13 BD14 BD20 CA08 DD01 DD04 4L048 AA22 AA30 AA46 AA47 AB07 AB14 AB21 BA01 BA02 CA04 DA01 EA01 EB05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 経糸及び/又は緯糸がポリエステル系サ
    イドバイサイド型複合マルチフィラメント糸で構成され
    た綾組織の織物であって、この複合マルチフィラメント
    糸を構成する少なくとも一成分がポリトリメチレンテレ
    フタレートであることを特徴とする綾織物。
  2. 【請求項2】 複合マルチフィラメント糸が、固有粘度
    差が0.05〜0.3(dl/g)である2種類のポリ
    トリメチレンテレフタレートで構成された複合マルチフ
    ィラメント糸であることを特徴とする請求項1記載の綾
    織物。
  3. 【請求項3】 複合マルチフィラメント糸が、撚数の係
    数K1の値が7000〜25000である有撚糸である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の綾織物。但し、
    K1は下記式で定義され、式中、Dは糸の繊度(dte
    x)、T1は撚数(T/m)を表す。 K1=D1/2×T1
  4. 【請求項4】 複合マルチフィラメント糸が仮撚加工糸
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の綾織物。
  5. 【請求項5】 仮撚加工糸が70〜400%の顕在捲縮
    伸長率を有することを特徴とする請求項4記載の綾織
    物。
JP2001342325A 2001-11-07 2001-11-07 綾織物 Pending JP2003147661A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001342325A JP2003147661A (ja) 2001-11-07 2001-11-07 綾織物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001342325A JP2003147661A (ja) 2001-11-07 2001-11-07 綾織物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003147661A true JP2003147661A (ja) 2003-05-21

Family

ID=19156205

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001342325A Pending JP2003147661A (ja) 2001-11-07 2001-11-07 綾織物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003147661A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7143790B2 (en) 2003-11-20 2006-12-05 Invista North America S.A.R.L. Warp-stretch woven fabrics comprising polyester bicomponent filaments
WO2008015743A1 (fr) * 2006-08-02 2008-02-07 Toray Industries, Inc. Textiles

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7143790B2 (en) 2003-11-20 2006-12-05 Invista North America S.A.R.L. Warp-stretch woven fabrics comprising polyester bicomponent filaments
WO2008015743A1 (fr) * 2006-08-02 2008-02-07 Toray Industries, Inc. Textiles

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3915398B2 (ja) 織物
JP2006214056A (ja) 織物
JP2005105420A (ja) スポーツ衣料
JP3575395B2 (ja) ポリエステル系ストレッチ織物
JP4197981B2 (ja) ストレッチ糸及びストレッチ織編物
JP2005206994A (ja) 裏材
JP4073273B2 (ja) 交撚糸及び編み織物
JP3963356B2 (ja) 細幅織物
JP3963774B2 (ja) 織物
JP2006219796A (ja) 織物
JP2003147661A (ja) 綾織物
JP2002013034A (ja) 伸縮性複合糸および伸縮性織物
JP2003096642A (ja) 複合布帛とその製造方法
JP3444871B2 (ja) 先撚仮撚加工糸
JP4130782B2 (ja) 高密度織物
JP3996822B2 (ja) 織物
JP3800915B2 (ja) ポリエステル系ストレッチ織物
JP2002327341A (ja) 仮撚加工糸およびその製造方法
JP2001081640A (ja) 複合捲縮糸およびその製造方法ならびに布帛
JP2003268639A (ja) 仮撚加工糸およびその製造方法
JP3847144B2 (ja) ストレッチ性交織織物
JP4100486B2 (ja) ストレッチシャツ地
JP4108399B2 (ja) 貼布剤用基布及び貼布剤
JP2004250826A (ja) 織物
JP2004044063A (ja) 先染め織物

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20040122