JPH08139598A - Pll回路 - Google Patents

Pll回路

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JPH08139598A
JPH08139598A JP6297908A JP29790894A JPH08139598A JP H08139598 A JPH08139598 A JP H08139598A JP 6297908 A JP6297908 A JP 6297908A JP 29790894 A JP29790894 A JP 29790894A JP H08139598 A JPH08139598 A JP H08139598A
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JP
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circuit
pll
loop
frequency
pull
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JP6297908A
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English (en)
Inventor
Kenji Taniguchi
研二 谷口
Hiroyuki Shirahama
弘幸 白濱
Kazuhiko Hikasa
和彦 日笠
Yoshikazu Era
佳和 江良
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Stabilization Of Oscillater, Synchronisation, Frequency Synthesizers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 雑音帯域が小さく且つ高速引き込み可能なP
LL回路を提供する。 【構成】 制御信号に従って発振周波数が制御される局
部発振器15、その出力信号と外部入力信号の位相差に
従った信号を形成する位相比較回路11、及び位相比較
回路の出力に基づき局部発振器の制御信号を形成するロ
ウパスフィルタ14を含んで成るPLL本体回路を主体
に、上記外部入力信号に対する周波数引き込み時にPL
L本体回路を用いてスイッチ22を経由する第1PLL
ループを、位相引き込みと定常時にPLL本体回路を用
いて第2PLLループを形成し、更に周波数引き込みで
得た局部発振器への制御信号を記憶保持し、第2PLL
ループ動作時の局部発振器の実効自走周波数を設定する
状態制御回路2を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PLL(フェーズ・ロ
ックド・ループ)回路に関するもので、例えば、LAN
(ローカル・エリア・ネットワーク)、携帯電話、その
他高速ディジタル通信システムのクロック信号またはデ
ータ信号の抽出用装置に利用して有効な技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】本願発明者は、高速ディジタル通信にお
けるクロックまたはデータ抽出用素子として、PLL回
路を利用することを考えた。従来形のPLL回路は基本
的に、位相比較器、ロウパスフィルタ、電圧制御発振器
(あるいは電流制御発振器)である局部発振器から構成
されているが、場合によってはチャージポンプおよびサ
ンプルホールド回路(平滑フィルタ)を含むこともあ
る。現在までにPLL回路の低ジッタ、高速引き込みの
ための工夫は行われており、代表的なものとしてPLL
のループ定数を最適化し、PLLの動特性を制御するこ
とができる。PLL回路について記載された文献の例と
しては1986年2月10日に秋葉出版株式会社より発
行された「PLL−ICの使い方」がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
PLL回路では、引き込み特性を向上させるためPLL
の周波数感度を増大させると出力信号ジッタが増大し、
出力信号ジッタを減少させるため周波数感度を低下させ
ると引き込み時間が増大し、低ジッタ、高速引き込み特
性を持つPLL回路を設計することは困難であった。こ
の問題を解決するために例えば、(1)IEEE J. Solid-
State-Circuits, Vol. 24, No.6, pp.1560-1568, Dec.
1989.には複数個の位相比較器を用いてPLLの動特性
を制御するPLL回路が開示され、(2)電子情報通信
学会論文誌B−I分冊、J−BI−75巻、第10号、
pp.817−825、1991年10月発行には引き
込み時と定常時でPLL回路のロウパスフィルタの構成
を変化させPLL回路の動特性を制御するPLL回路が
開示され、(3)電子情報通信学会論文誌, B-II, Vol.
J76-B-II, No.10, pp.679-687, Oct.1993.には周波数
差検出器を用いて動特性を制御するPLL回路が開示さ
れている。上記(1),(2)の文献に記載されたPL
L回路では、周波数引き込みに従来形のPLL回路を用
いているために当該従来形のPLL回路に比し飛躍的に
特性を改善することは難しく、また、(3)の文献に記
載されたPLL回路では周波数差検出器の出力信号誤差
が生じるために局部発振器の周波数変換特性に非線形性
があるものには適応することが難しい。このように、現
在のところ、クロック再生用のPLL回路などに求めら
れている低ジッタ、高速引き込み特性を実現するには至
っていない。
【0004】本発明の目的は、低ジッタ、高速引き込み
を行うことができるPLL回路を提供することにある。
【0005】本発明の前記並びにその他の目的と新規な
特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるで
あろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記
の通りである。
【0007】〔1〕制御信号に従って発振周波数が制御
される局部発振器(15)と、その出力信号と外部入力
信号との位相差に従った出力信号を形成する位相比較器
(11)と、上記位相比較器の出力に基づいて上記局部
発振器の制御信号を形成するロウパスフィルタ(14)
とを含んで成るPLL本体回路を主体とするPLL回路
に、上記外部入力信号に対する周波数引き込み時に上記
PLL本体回路を用いて第1PLLループを形成し、位
相引き込み及び定常時に上記PLL本体回路を用いて第
2PLLループを形成し、更に上記周波数引き込みによ
って得られた局部発振器への制御信号を記憶保持回路
(Cvco)で保持して上記第2PLLループの動作時
における局部発振器の実効自走周波数を設定する状態制
御回路(2)を設けるものである。
【0008】〔2〕別の観点による本発明は、同じくP
LL本体回路(1)を主体とし、上記外部入力信号に対
する周波数引き込み時に上記PLL本体回路を用いて第
1PLLループを形成し、位相引き込みおよび定常時に
上記PLL本体回路を用いて第2PLLループを形成
し、更に上記周波数引き込みによって得られた局部発振
器への制御信号を記憶保持回路(Cvco)で保持して
上記第2PLLループの動作時における局部発振器の実
効自走周波数を設定する状態制御回路(2)を設け、上
記状態制御回路には周波数引き込み及び位相引き込み時
における第1及び第2PLLループのループゲインに対
して定常時における第2PLLループのループゲインを
小さくする利得制御手段(25,26)を設けるもので
ある。
【0009】〔3〕周波数引き込みによって得られた局
部発振器への制御信号を安定に記憶保持するための記憶
保持回路は例えば容量素子(Cvco)によって構成す
ることができる。当該容量素子(Cvco)は、第1P
LLループにて上記局部発振器の出力周波数が外部入力
信号周波数にほぼ等しくされるときの当該局部発振器へ
の制御信号を保持し、第2PLLループの動作時におけ
る局部発振器の実効自走周波数を設定するものとされ
る。
【0010】〔4〕物理的回路規模の増大を抑えてPL
Lループの切換えを可能にするには、上記状態制御回路
は、電圧制御発振器の入力に出力が結合された2入力加
算器(23)と、当該2入力加算器の一方の入力とロウ
パスフィルタ(14)の出力とを選択的に接続して第1
PLLループを形成するための第1のスイッチ(22)
と、上記2入力加算器の他方の入力とロウパスフィルタ
の出力とを選択的に接続して第2PLLループを形成す
るための第2のスイッチ(21)とを有し、上記記憶保
持回路(Cvco)を第1のスイッチ(22)と上記2
入力加算器(23)の他方の入力とを結ぶ経路に接続し
て構成するとよい。
【0011】〔5〕PLL回路自らがPLLループの切
換えを制御できるようにするには、上記容量素子のよう
な記憶保持回路に保持される制御信号の変化率が所定以
下とされる状態を検出して、第1スイッチ(22)によ
る第1PLLループの選択状態を第2スイッチ(21)
による第2PLLループの選択状態に切り換え制御する
ループ切換え制御回路(24,27)を採用するとよ
い。
【0012】〔6〕上記ロウパスフィルタは、第2PL
Lループの形成に同期して当該ループを2次ループと
し、第1PLLループの形成に同期して当該ループを1
次ループとする切り換えスイッチ(142)を備えて構
成できる。
【0013】
【作用】上記した手段によれば、PLL回路の状態を少
なくとも第1PLLループによる周波数引き込み状態
と、第2PLLループによる位相引き込み及び同期保持
(定常時)状態に分け、周波数引き込みにおいては1次
ループの第1PLLループにより高速引き込みを行うと
共に、周波数引き込みによって得られた局部発振器への
制御信号を記憶保持回路に保持し、これを位相引き込み
及び定常時の局部発振器の実効自走周波数設定に用いる
ことによって、比較的ループゲインが小さくても、全体
としての引き込み動作の完了を高速化し、しかも定常時
における雑音帯域を小さくすることを達成する。
【0014】引き込み状態と同期保持(定常時)状態と
でループ定数を利得制御手段(25)で切り換えること
により、換言すれば、引き込み状態におけるループゲイ
ンを同期保持状態におけるループゲインよりも相対的に
大きくし、若しくは同期保持状態におけるループゲイン
を引き込み状態におけるループゲインよりも相対的に小
さくすることにより、PLL回路の高速引き込み、低出
力雑音特性を更に改善することが可能になる。
【0015】位相引き込み状態における局部発振器の実
効自走周波数を設定する制御信号を、容量(Cvco)
のような記憶保持回路に保持された周波数引き込み完了
時の制御電圧値のような情報で与えることは、第1PL
Lループから第2PLLループへの切換えに際して、位
相引き込み状態における上記制御信号記憶保持値がスイ
ッチ(21,22)の切換えノイズなどによって変動す
ることを防止するという作用も持つ。この点においても
引き込み動作のための処理時間を短縮する。
【0016】同期保持動作を2次ループのPLLで行う
ように構成することは、容量(Cvco)のような記憶
保持回路を持つ周波数引き込み用の第1PLLループが
周波数引き込みを終えた後に、外部入力信号周波数の変
化や容量(Cvco)の出力値の変化(例えばクロスト
ークや出力電圧の変化)等に伴い入出力信号間の周波数
差が発生した場合に、上記ローパスフィルタ(14)の
作用によってその周波数差を補正することができる。す
なわち、同期外れ時あるいは起動時から出発してPLL
回路が同期動作を行う場合に、まず上記第1PLLルー
プが引き込み動作を行い、上記位相比較器の出力信号に
よって上記局部発振器の出力周波数を入力信号周波数に
ほぼ等しく設定し、かつ記憶保持回路がその出力周波数
を制御する制御信号の保持を行うことにより周波数引き
込みを完了し、次に上記第2PLLループによって、P
LL出力信号の位相を外部入力信号の位相に一致させる
位相引き込み動作と同期保持動作を行い、かつ位相引き
込み時あるいは同期保持動作を行っているときに外部入
力信号周波数の変化や記憶保持回路における保持値の変
動、例えば容量の放電による電圧の低下による出力周波
数の変化に対応して、2次ループとされる上記第2PL
Lループが出力周波数を制御する。すなわち、1次ルー
プとされる第1PLLループが周波数を設定した後に生
じた入出力信号間の周波数差を2次ループとされる第2
PLLループが補正する。
【0017】PLL回路の回路構成が1次ループのPL
L回路を基本とすることにより、いかなるループ定数を
選択してもジッタ伝達特性にピークやジッタの蓄積がな
く、回路規模が非常に小さく、更に、周波数引き込みを
1次ループの第1PLLループによって行うことによっ
て非線形特性を持つ電圧制御発振器を使用したPLL回
路においても高速引き込みができ、かつプルインレンジ
も広くすることができる。
【0018】以上の作用を総合すれば、PLL回路にお
いては同期外れ状態に対応してトリガ信号が生成される
とき、或いは外部からトリガ信号が印加されるとき、こ
れによって動作する状態制御回路はPLL回路の状態
を、周波数引き込み状態、位相引き込み状態、同期保持
(定常時)状態の3つの状態を考慮して切り換えること
になる。引き込み過程の最初の段階である周波数引き込
み状態では、例えば1次ループのPLL、すなわちロウ
パスフィルタが抵抗のみで構成されているPLL回路に
出力周波数に対応する局部発振器制御信号を記憶保持す
るための記憶保持回路例えば容量(Cvco)を付加し
た第1PLLループが選択される。この第1PLLルー
プはそのループゲインの逆数すなわちPLLループの時
定数程度の時間で周波数引き込みが完了される。位相引
き込み状態では、前過程でPLL回路の出力周波数が入
力信号の周波数にほぼ等しく設定されることによって得
られた容量(Cvco)の端子電圧の値を利用する第2
PLLループが選択され、例えば通常の1次ループのP
LLと同様に位相引き込み動作が行われる。同期保持動
作は基本的には上記の位相引き込み動作を行った第2P
LLループによって行われるが、PLL回路をより高性
能化するために、同期保持時と引き込み時においてPL
Lのループゲインを切り換えることも可能である。この
ように、本PLL回路は周波数引き込み、位相引き込
み、及び同期保持(定常時)に着目し、夫々の状態に最
適なループゲインを持つPLLループを設定して同期動
作を行う。このことが、高速引き込み、低ジッタ特性を
実現させ、かつ各々の状態において、PLL回路の各構
成要素がほとんど変わらないために物理的回路規模の増
大も最小限に抑えられる。
【0019】
【実施例】図1には本発明の第1実施例に係るPLL回
路のブロック図が示される。本実施例のPLL回路は、
従来のPLL回路と略同一のPLL本体回路1に、状態
制御回路2及びトリガ信号発生回路3を設けて構成さ
れ、内部状態を少なくとも後述の第1PLLループによ
る周波数引き込み状態と、後述する第2PLLループに
よる位相引き込み及び保持状態に分けることができる基
本的な回路構成を示すものである。
【0020】上記PLL本体回路1は、特に制限されな
いが、位相比較器11、平滑フィルタ12、チャ−ジポ
ンプ13、ロウパスフィルタ14、及び電圧制御発振器
15を備えて成る。
【0021】上記位相比較器11は、外部入力信号40
1と電圧制御発振器15の出力信号402を入力とし、
両信号の位相差に応じた出力信号を形成する。すなわ
ち、外部入力信号401の位相が電圧制御発振器15の
出力信号402の位相より進んでいる場合に位相比較器
11は、UP出力端子112に両者の位相差に応じたパ
ルス幅を持つ信号を出力する。逆に外部入力信号401
の位相が電圧制御発振器15の出力信号402の位相よ
り遅れている場合に位相比較器11は、DOWN出力端
子112に両者の位相差に応じたパルス幅を持つ信号を
出力する。
【0022】平滑フィルタ12は位相比較器11のUP
出力端子111およびDOWN出力端子112から出力
される信号を平滑化する。チャージポンプ13は平滑化
された信号を入力して上記UP出力端子111およびD
OWN出力端子112から出力される信号のパルス幅に
応じた電流を後段のロウパスフィルタ14に出力する。
【0023】上記ロウパスフィルタ14はPLL回路の
諸特性を大きく左右する重要な構成要素であり、チャ−
ジポンプ13の出力信号を入力とし、入力電流信号を所
定の電圧信号131に変換して出力する。なお、図1に
示すような1次ループのPLL回路のロウパスフィルタ
は抵抗Rのみで構成され、厳密にはロウパスフィルタと
言うことはできないが、PLL回路においてはこのよう
に抵抗Rのみで構成されたフィルタに対しても慣用的に
ロウパスフィルタと称することがあるので本明細書では
それをもロウパスフィルタと言う。
【0024】電圧制御発振器15はアナログ加算器23
の出力信号を入力とし、入力信号に応じた発振周波数を
持つ出力信号402を出力端子に形成する。電圧制御発
振器15の入力信号電圧が上昇すると出力信号周波数は
上昇し、入力信号電圧が降下すると出力信号周波数は降
下する。また、本実施例のPLL回路で用いられる電圧
制御発振器15は入力電圧が零であるときその出力信号
は一定周波数即ち固有自走周波数を持つものと仮定して
以下の説明を行う。
【0025】従来のように上記位相比較器11、平滑フ
ィルタ12、チャ−ジポンプ13、ロウパスフィルタ1
4、及び電圧制御発振器15だけでPLL回路を構成し
た場合、PLL本体回路1の雑音帯域幅を広く設定する
場合(例えばループゲインを大きくする場合)、高速同
期(高速引き込み動作)を行えるが出力の雑音は増大
し、逆に雑音帯域幅を狭く設定する場合、出力雑音は減
少するが高速同期を行うことはできない。本実施例にお
いて状態制御回路2はそれらを解決するために設けられ
る。
【0026】上記状態制御回路2は第1スイッチ22、
第2スイッチ21、アナログ加算器23、及び第1状態
制御パルス発生回路24からなり、PLL本体回路1の
動作状態を切り換える働きをする。すなわち、本実施例
のPLL回路の引き込み動作の第1段階である周波数引
き込み時において、例えば同期はずれ時に対応してトリ
ガ発生回路3(例えば、文献 H.Shirahama et. al., "
A NEW VERY FAST PLLSYSTEM WITH ANTI-PSEUDO-LOCK FU
NCTION", 1993 VLSI Symposium on Circuits,Digest of
Tecnical Papers, pp.75-76(May 1993). に示すような
回路)で生成されるトリガ信号301に応じて、第1状
態制御パルス発生回路24の出力信号がアクティブレベ
ルに変化する。この第1状態制御パルス発生回路24の
出力信号がアクティブレベルにされると、第2スイッチ
21が開き(オフ状態)、第1スイッチ22が閉じ(オ
ン状態)、PLL回路は位相比較器11、平滑フィルタ
12、チャージポンプ13、ロウパスフィルタ14、第
1スイッチ22、アナログ加算器23、記憶保持回路で
ある容量Cvco、及び電圧制御発振器15からなる1
次のPLLの構成を採る(以下そのようなループを第1
PLLループと称する)。この第1PLLループはその
ループのループゲインに従って周波数引き込みを完了す
ることになる。
【0027】斯る周波数引き込み動作において、第1P
LLループにおける動作では通常のPLL回路の動作に
対して、周波数引き込み動作で所定の値に制御された電
圧制御発振器15の実効自走周波数の制御電圧が、以下
に説明する同期保持動作時においても、記憶保持回路で
ある容量Cvcoによって保持される。
【0028】次に、本実施例のPLL回路は第2段階で
ある位相引き込み及び同期保持動作を行う。本実施例の
PLL回路の状態は、タイマ回路、シングルショット回
路等によって、周波数引き込み開始時から所定の時間が
経過した後に出力信号が変化するように構成された回路
の出力信号、あるいは本PLL回路が周波数引き込みを
完了したことを検出して出力信号が変化するように構成
された回路の出力信号、である第1クリア信号302の
変化によって、第1段階から第2段階へ移行される。す
なわち、第1状態制御パルス発生回路24のクリア端子
CLRに与えられる第1クリア信号302が周波数引き
込みの完了に対応してアクティブレベル(例えばロウレ
ベルからハイレベル)に変化されると、第1状態制御パ
ルス発生回路24の出力信号241がインアクティブレ
ベル(例えばハイレベルからロウレベル)にされ、今度
は第2スイッチ21が閉じ、第1スイッチ22が開き、
本実施例のPLL回路は位相比較器11、平滑フィルタ
12、チャージポンプ13、ロウパスフィルタ14、第
2スイッチ21、電圧制御発振器15、アナログ加算器
23からなるPLLの構成を採る(以下そのようなルー
プを第2PLLループと称する)。この第2PLLルー
プは、そのループゲインに従って位相引き込みを完了
し、PLL回路を同期保持状態とするように動作され
る。本実施例において第2PLLループは1次ループと
される。
【0029】ここで、上記アナログ加算器23は第1P
LLループと第2PLLループを介する電圧制御発振器
15への制御入力信号を合成するための回路である。即
ち、本実施例のPLL回路における周波数引き込み状態
時には(スイッチ21=オフ、スイッチ22=オン)、
アナログ加算器23の出力信号はロウパスフィルタ14
の出力電圧と等しくなり、位相引き込み状態時には(ス
イッチ21=オン、スイッチ22=オフ)、その出力信
号はロウパスフィルタ14の出力電圧と容量Cvcoの
電圧の和に等しくなるように構成されている。したがっ
て、第2PLLループにおいて容量Cvcoは、周波数
引き込み完了時点における電圧制御発振器15の出力周
波数に応ずる制御電圧を記憶保持しており、これが、ス
イッチ21からの電圧信号211に加算され、位相引き
込み及び同期保持時の実効自走周波数を設定する制御電
圧として電圧制御発振器15に供給される。すなわち、
本実施例ではPLL回路の状態を少なくとも第1PLL
ループによる周波数引き込み状態と、第2PLLループ
による位相引き込み及び同期保持状態に分け、位相引き
込み状態における電圧制御発振器15の実効自走周波数
を設定する制御電圧を、容量Cvcoに記憶保持した電
圧として与えることになる。尚、第1PLLループと第
2PLLループとにおけるループゲインは、各ループの
抵抗成分や容量成分を相違させることによって簡単に相
違させることができる。それらのループゲインを積極的
に制御する構成については後の実施例で詳述する。
【0030】図2に示すように、本実施例のPLL回路
はトリガ信号301がアクティブレベルにされると、第
1PLLループによって周波数引き込み動作が行われ
(例えばPLL回路への入力信号の1000周期以下の
時間で完了され)、定常位相誤差出力によって電圧制御
発振器15の制御電圧がVsetに設定されることによ
り、電圧制御発振器15の実効自走周波数が外部入力信
号401の周波数にほぼ等しく制御される。このときの
電圧制御発振器15の制御電圧は容量Cvcoにホール
ドされる。この直後に、本実施例のPLL回路は第2P
LLループとされ、位相引き込みと同期保持を行う。
【0031】本実施例によれば、〔1〕PLL回路の状
態を少なくとも第1PLLループによる周波数引き込み
状態と、第2PLLループによる位相引き込み及び同期
保持状態に分け、周波数引き込みにおいては1次ループ
である第1PLLループによって引き込みを行うと共
に、周波数引き込み終了時に得られる電圧制御発振器1
5への制御電圧を容量Cvcoに記憶保持し、これによ
り位相引き込み及び同期保持時の電圧制御発振器15の
実効自走周波数を設定することにより、ループゲインが
比較的小さくても、引き込み動作の高速化を確保して雑
音帯域を小さくすることができる。〔2〕本実施例では
制御電圧の記憶保持を容量Cvcoで行っており、第1
PLLループから第2PLLループへの切換えに際し
て、スイッチ21,22の切換えノイズなどによって制
御電圧が不所望に変動することを防止できる。〔3〕本
実施例のPLL回路の回路構成は1次ループのPLL回
路を基本としているために、いかなるループ定数を選択
してもジッタ伝達特性にピークやジッタの蓄積がなく、
従来の2モードPLL回路や周波数差検出器を持つPL
L回路に比べて回路規模が非常に小さく、更に、周波数
引き込みを1次ループの第1PLLループによって行っ
ているために、非線形特性を持つ電圧制御発振器を使用
したPLL回路においても高速引き込みができ、かつプ
ルインレンジも広くすることができる。
【0032】図3には本発明の第2実施例に係るPLL
回路が示される。第2実施例に係るPLL回路は上記第
1PLLループと第2PLLループのループゲインを利
得制御増幅器25で相違させることによって最適化を図
った具体例として位置付けられる。本実施例のPLL回
路は図1に示されるPLL回路に対して、PLL回路の
各状態(周波数引き込み状態、位相引き込み状態、同期
保持状態)に対応してループ定数(ループゲイン)を変
更できるように構成されている。PLL回路のループ定
数K[1/s]は位相比較器利得Kd[A/rad]
(平滑フィルタ利得を含む)、VCO利得Ko[rad
/s/V]、抵抗Rの積、すなわちK=Kd・Ko・R
で表され、以下の式(2)〜(4)に示すように、引き
込み時間tp、プルインレンジfp及び雑音帯域幅BL
を大きく左右するパラメータである。本実施例のPLL
回路の入出力信号間の位相差φの時間tに対する振舞い
は、入力信号が入力した時間を零(すなわちt=0)と
して、φ=(Δω/K) {1−exp(−Kt)} {u(0)−
u(t1)}+(Δω/K){1−exp(−Kt1)}exp{−
K(t−t1)}u(t1)…(1) のように表される。ここで、Δωはt=0における入出
力信号間の角周波数差、t1は本PLL回路の構成が第
1PLLから第2PLLに切り変わる時間であり、uは
単位ステップ関数である。そして、この式を時間tにつ
いて解くと引き込み時間tpが tp=t1+K log(φ1/φe) …(2) のように求まる。ここで、φeは許容位相誤差、φ1は
時間t1における入出力信号間の位相差;φ1=Δω/
K(1−exp(−Kt1))である。プルインレンジ
fpは引き込み時において入出力信号間の位相差の最大
値が±πを超えないような周波数差の範囲と定義する
と、式(1)より fp= K/2 …(3) のように求まる。また、本PLL回路は1次ループのP
LLであるので、雑音帯域幅BLは BL=K/4 …(4) となる。したがって、本実施例のPLL回路ではループ
定数(ループゲイン)が大きな場合には、引き込み時間
が短くなり、プルインレンジが拡大するが、雑音帯域幅
は広くなる。図3に示される本実施例のPLL回路は引
き込み状態と同期保持状態(定常状態)との間でループ
定数を利得制御増幅器25で切り換えることにより、タ
イミング再生回路に適した特性、すなわち、高速引き込
み、広プルインレンジ、低出力雑音特性を持つように構
成されている。
【0033】図3において、本実施例のPLL回路は図
1のPLL回路に比べて状態制御回路の構成が相違され
る。PLL本体回路1及びトリガパルス発生回路3は上
記と同じに構成される。
【0034】状態制御回路2は上記同様の第2スイッチ
21、第1スイッチ22、アナログ加算器23、第1状
態制御パルス発生回路24を備え、それらに対して引き
込み時(周波数引き込みと位相引き込み)と同期保持時
との間でPLLのループ定数を切り換えるための回路、
すなわち、利得制御増幅回路25および第2状態制御パ
ルス発生回路26を付加して構成される。図4に示され
るように、本実施例のPLL回路は同期外れ状態に対応
して出力されるトリガパルス信号発生回路の出力301
をもとにして第1状態制御パルス発生回路24の出力信
号241および第2状態制御パルス発生回路26の出力
信号261が共にアクティブレベルにされることによっ
て周波数引き込み状態に入る。信号241がアクティブ
レベルにされることによってPLL回路は第1PLLル
ープによって動作され、信号261がアクティブレベル
にされることによって利得制御増幅回路25の利得は相
対的に大きな値K1にされる。その後、周波数引き込み
の終了を示す信号である第1状態制御パルス発生回路2
4のCLR端子への入力信号302がアクティブレベル
に変化することによって本実施例のPLL回路は位相引
き込み状態へ入る。すなわち、信号241がインアクテ
ィブレベルにされることによってPLL回路は第2PL
Lループによって動作される。この後、本実施例のPL
L回路は位相引き込み動作の完了に対応して出力信号が
変化する回路あるいはタイマ回路の出力信号である第2
クリア信号303がアクティブレベルにされて第2状態
制御パルス発生回路26のCLR端子に供給されるまで
の間、第2PLLループによって位相引き込みを行って
おり、第2状態制御パルス発生回路26のCLR端子に
供給される第2クリア信号303がアクティブレベルへ
変化されると、第2状態制御パルス発生回路26の出力
信号261がインアクティブレベルに変化されて、利得
制御増幅回路25の利得が例えばK1(=Kd・Ko・
Ka1・R)からK2(=Kd・Ko・Ka2・R)に変
化し、本実施例PLL回路は定常状態に入る。このとき
K1>K2である。
【0035】以上のように本実施例のPLL回路には周
波数引き込み、位相引き込み、同期保持の状態があり、
各々の状態において図5に示すようなの回路構成とルー
プ定数を持つように制御される。また、本実施例のPL
L回路の引き込み時間tp、プルインレンジfp、雑音
帯域幅BLは式(2)、(3)、(4)より tp=t1(K2/K1)+Klog(φ1/φe)…
(5) fp=K1/2…(6) BL=K2/4…(7) となる。
【0036】なお、本実施例PLL回路に示した状態制
御パルス発生回路24,26及び状態制御回路2の形式
は順序回路に限定されるものではなく、例えば、状態制
御パルス発生回路24,26はシングルショットパルス
発生回路でもよく、状態制御回路の形式も周波数引き込
み、位相引き込み、同期保持の状態において図5に示す
ようなループ定数および回路からなるPLL回路を構成
できるものであれば特に図4に制限されない。
【0037】図6には上記第1状態制御パルス発生回路
24のCLR端子に供給される第1クリア信号302の
発生回路(第1クリア信号発生回路)27の一例が示さ
れる。同図に示される第1クリア信号発生回路27は第
1PLLループのアナログ加算器23の入力信号221
(場合によってはロウパスフィルタの出力信号あるいは
平滑フィルタの出力信号でもよい)を入力信号とし、低
域フィルタ(積分器)271、高域フィルタ(微分器)
272およびしきい値回路273からなり、入力信号の
変化率が所定の値より小さくなったときに出力信号が変
化するように構成されている。すなわち、この第1クリ
ア信号発生回路27は入出力信号間の周波数差に比例し
たCvcoの電圧221が所定の値に落ち着いた(収束
した)ことを検出し、第1制御パルス発生回路24のク
リア信号302をアクティブレベルに変化させる。
【0038】図7には第1クリア信号発生回路27の各
部の出力信号と入力信号、すなわちCvcoの電圧22
1の関係が示される。同図に示されるように、低域フィ
ルタ271は入力信号のリプルを除去するために設けら
れたものであり、その時定数は入力信号の概形を変化さ
せない程度、すなわちPLL回路の動作周波数程度が望
ましい。
【0039】高域フィルタ272は低域フィルタ271
の出力信号を入力とし、Cvco間の電圧221の変化
率が所定の値以下に落ちついているか否かを検出するも
のである。しきい値回路273は、高域フィルタ272
の出力信号が所定の値以下であれば、すなわちCvco
間の電圧221の変化率が所定の値以下であれば、出力
信号を変化させる回路である。なお、本回路はノイズに
よる誤動作を防ぐために、入出力信号特性にヒステリシ
ス特性を持っている方がよい。
【0040】上記のような回路によって構成された第1
クリア信号発生回路27の入出力信号間には、図7に示
すような関係が成り立ち、PLL回路の周波数同期の完
了に対応して出力信号を変化させる。また、第1クリア
信号発生回路27は上記のような形式に制限されること
はなく、周波数引き込みの完了を示す信号を検出して、
これによって出力信号を変化させるもの(例えば入出力
信号間の周波数差を直接検出できる周波数差検出回路の
出力信号)や周波数引き込みが完了できるような時間の
後に出力信号を反転させるタイマ回路でもよい。なお、
第1制御パルス発生回路24としてトリガ信号が入力し
た時刻より一定時間が経過した後に、自動的に出力信号
を初期状態に戻すような回路を用いた場合(例えば、シ
ングルショットパルス回路)には、第1クリア信号発生
回路27は必要でない。
【0041】図8には第2状態制御パルス発生回路26
のCLR端子に供給される第2クリア信号303の発生
回路(第2クリア信号発生回路)28の一例が示され
る。図9には第2クリア信号発生回路28への入力信号
211と第2クリア信号発生回路の各部の信号が示され
る。
【0042】第2クリア信号発生回路28は第2PLL
のアナログ加算器23の入力信号211(場合によって
はロウパスフィルタの出力信号あるいは平滑フィルタの
出力信号でもよい)を入力し、低域フィルタ(積分器)
281及びしきい値回路282から成り、入力信号が所
定の値より小さくなったときに出力信号が変化するよう
に構成されている。すなわち、本回路は入出力信号間の
位相差に対応した第1スイッチ21の出力電圧211が
所定の値(許容位相誤差)以下になったことを検出し、
第2制御パルス発生回路26のクリア信号303を発生
させる。
【0043】第1クリア信号発生回路24と同様に、低
域フィルタ281は入力信号のリプルを除去するために
設けられたものであり、その時定数は入力信号の概形を
変化させない程度、すなわちPLL回路の動作周波数程
度が望ましい。また、本回路ではその信号処理の過程で
微分演算を施していないので、場合によってはこの回路
を省略することもできる。
【0044】しきい値回路282は、低域フィルタ28
1の出力信号が所定のレベル以下であれば、すなわちス
イッチ21の出力電圧211が所定の値以下であれば、
出力信号を変化させる回路である。なお、本回路はノイ
ズによる誤動作を防ぐために、入出力信号特性にヒステ
リシス特性を持っている方がよい。
【0045】また、第2クリア信号発生回路28は上記
のような形式に制限されることはなく、位相引き込みの
完了を示す信号を検出して、これによって出力信号を変
化させるものや位相引き込みが完了できるような時間の
後に出力信号を反転させるタイマ回路でもよい。なお、
第2制御パルス発生回路26としてトリガ信号が入力し
た時刻より一定時間が経過した後に、自動的に出力信号
を初期状態に戻すような回路(例えば、シングルショッ
トパルス回路)を用いた場合には、第2クリア信号発生
回路28は必要でない。
【0046】図10には第3実施例に係るPLL回路が
示される。このPLL回路は図3、図6、及び図8ので
説明した回路構成に対してトリガ信号発生回路の構成が
相違される。トリガ信号発生回路3は内部トリガ信号発
生回路30とトリガ信号混合回路31にて構成される。
内部トリガ信号発生回路30は、入力信号401と出力
信号402とを入力し、所定の時間(通常は定期的なサ
ンプリング時間)に行われる同期状態チェックの結果、
同期外れが検出されたときに、内部トリガ信号をアクテ
ィブレベルにする。すなわち、同期外れを生じたときに
内部トリガ信号をアクティブに変化させる。トリガ信号
混合回路31は上記内部トリガ信号又は外部トリガ信号
による周波数引き込み動作の開始の指示をトリガ信号3
01として出力する。尚そのようなトリガ信号発生回路
の参考文献としては、H.Shirahama et. al., "A NEW VE
RY FAST PLL WITH SYSTEM ANTI-PSEUDO-LOCK FUNCTION"
1993 VLSI Symposium on Circuits ,Digest of Technic
al Papers, pp.75-76 (May 1993)がある。
【0047】図11には本発明の第4実施例に係るPL
L回路が示される。本実施例のPLL回路は既に説明し
た各実施例のPLL回路とは、同期保持動作を2次ルー
プのPLLで行うように構成されている点が相違され
る。図11に示されるPLL回路は、図3に示される抵
抗Rで構成されたロウパスフィルタ14を、抵抗Rと容
量CLPFを直列接続したロウパスフィルタに変更した
ものである。これにより、本実施例のPLL回路は出力
周波数をホールドするための容量Cvcoを持つ周波数
引き込み用の第1PLLループが周波数引き込みを終え
た後に、入力信号周波数の変化や出力周波数をホールド
する容量Cvcoの出力値の変化(例えばクロストーク
や出力電圧の変化)等に伴い入出力信号間の周波数差が
発生した場合に、上記ローパスフィルタ14の作用によ
ってその周波数差を補正することができるようにしたも
のである。
【0048】図11のPLL回路は上記各実施例のPL
L回路と同様に、PLL本体回路1、状態制御回路2及
びトリガパルス発生回路3からなる。PLL本体回路1
はロウパスフィルタ14を除いて上記実施例のものと同
じ構成とされる。
【0049】状態制御回路2は図3で説明した実施例と
同様の、第2スイッチ21、第1スイッチ22、アナロ
グ加算器23、状態制御パルス発生回路24、利得制御
増幅回路25、及び第2状態制御パルス発生回路26を
備え、更に引き込み状態と同期保持状態でPLL回路の
ロウパスフィルタ14の構成を切り換えるための第3ス
イッチ142を付加した構成とされる。本実施例のPL
L回路は図3のPLL回路と同様の手順を経て引き込み
動作を完了する。すなわち、本実施例のPLL回路は同
期外れ状態に対応して出力されるトリガパルス信号発生
回路3の出力301をもとにして第1状態制御パルス発
生回路24の出力信号および第2状態制御パルス発生回
路26の出力信号がアクティブレベルに変化されること
によって引き込み(周波数引き込み)状態に入る。周波
数引き込み状態においてスイッチ27は容量CLPFを
抵抗Rから切り離し、代わりに抵抗Rの一端を接地す
る。その後、周波数引き込みの終了を示す信号である第
1状態制御パルス発生回路24のCLR端子への入力信
号302がアクティブレベルに変化されることによって
本実施例のPLL回路は位相引き込み状態へ入る。位相
引き込み状態においてスイッチ21はオン状態、スイッ
チ22はオフ状態、スイッチ142は容量CLPFを抵
抗Rに接続する。本実施例のPLL回路は位相引き込み
動作の完了に対応して出力信号が変化する回路あるいは
タイマ回路の出力信号である第2状態制御パルス発生回
路26のCLR端子への入力信号303がアクティブに
されるまでの間、第2PLLループによって位相引き込
みを行っており、第2状態制御パルス発生回路26のC
LR端子への信号303がアクティブに変化されると、
第2状態制御パルス発生回路26の出力信号がインアク
ティブレベルに変化されることによって、利得制御増幅
回路25の利得がK1(=Kd・Ko・Ka1・R)か
らK2(=Kd・Ko・Ka2・R)に変化し本PLL
回路は定常状態に入る。ただし、K1>K2とされる。
【0050】このように本実施例のPLL回路には周波
数引き込み、位相引き込み、同期保持の状態があり、第
2実施例に示したPLL回路と異なり、位相引き込みお
よび同期保持状態において、ロウパスフィルタの容量C
LPFを抵抗Rに接続して第2PLLループを2次ルー
プとし、これにより、容量Cvcoの保持電荷が変動し
ても、それによる局部発振器の実効自走周波数の変動分
を補正して出力周波数を制御することができる。
【0051】なお、本実施例のPLL回路に示した状態
制御パルス発生回路24,26および状態制御回路2の
形式は順序回路に限定されるものではなく、例えば、状
態制御パルス発生回路24,26はシングルショットパ
ルス発生回路でもよく、状態制御回路2の形式も周波数
引き込み、位相引き込み、同期保持の状態において図5
に示すようなループ定数および回路からなるPLL回路
を構成できるものであればよく、また引き込み用PLL
および同期保持用PLLのループの次数やPLLの直流
ループゲインの制御の有無等のPLLの具体的な構成方
法はPLL回路の用途に応じて多様に設定することがで
きる。
【0052】上記各実施例によれば以下の作用効果があ
る。〔1〕図1に示されるようにPLL回路の状態を少
なくとも第1PLLループによる周波数引き込み状態
と、第2PLLループによる位相引き込み及び同期保持
状態に分け、周波数引き込みにおいては1次ループであ
る第1PLLループによって引き込みを行う。そして、
周波数引き込みによって得られた電圧制御発振器15へ
の制御信号を容量Cvcoに記憶保持し、これにより位
相引き込み及び同期保持時の電圧制御発振器15の実効
自走周波数を外部入力信号周波数にほぼ等しくすること
ができるため、第2PLLループによる引き込みを高速
に行うことができる。更に、1次ループのPLLループ
ではループゲインを小さくしても高速動作が可能であ
る。したがって、それらにより、全体として高速で雑音
帯域の小さなPLL回路を実現することができる。
【0053】〔2〕位相引き込み状態における制御電圧
の初期状態を容量Cvcoで与えるから、第1PLLル
ープから第2PLLループへの切換えに際して、位相引
き込み状態における制御電圧の初期状態がスイッチ2
1,22の切換えノイズなどによって変動することを防
止でき、この点においても引き込み動作のための処理時
間短縮に寄与する。
【0054】〔3〕本実施例のPLL回路の回路構成は
1次ループのPLL回路を基本としているために、いか
なるループ定数を選択してもジッタ伝達特性にピークや
ジッタの蓄積がなく、従来の2モードPLL回路や周波
数差検出器を持つPLL回路に比べて回路規模が非常に
小さく、更に、周波数引き込みを1次ループの第1PL
Lループによって行っているために、非線形特性を持つ
電圧制御発振器を使用したPLL回路においても高速引
き込みができ、かつプルインレンジも広くすることがで
きる。
【0055】〔4〕図3に示される本実施例のPLL回
路は引き込み状態と同期保持状態(定常状態)とでルー
プ定数を利得制御増幅器25で切り換えることにより、
タイミング再生回路に適した特性、すなわち、高速引き
込み、広プルインレンジ、低出力雑音特性を持つように
構成されている。
【0056】〔5〕図11に示されるように、同期保持
動作を2次ループのPLLで行うように構成されたPL
L回路は、周波数引き込み後、容量Cvcoの保持電荷
が変動しても、その変動分を補正して位相引き込みを制
御することができる。
【0057】〔6〕本実施例にPLL回路は同期はずれ
状態を起こしているとき(起動時を含む)、あるいは外
部からトリガ信号が入力されたときに、まず、出力周波
数保持機能を持つ1次ループのPLLによって出力信号
周波数を入力信号周波数に等しくなるように制御し、次
に、通常の1次ループPLLにより出力信号位相を入力
信号位相に等しくなるように制御し、最後に、ループ定
数の大きなPLLにより同期保持を行うように構成され
ており、高速引き込み、低ジッタ特性の両立を図ること
ができる。このPLL回路は周波数引き込みを閉ループ
回路で行っているために、制御信号と出力周波数の間に
非線形性な特性がある局部発振器を用いたPLL回路に
おいても高速引き込みを実現することができる。
【0058】〔7〕また、本実施例のPLL回路では1
次ループのPLLによって周波数引き込みを行うので、
入力信号がNRZ(Non-Return-to-Zero)符号のように
不規則な場合でも、正確に高速引き込みを行うことがで
きる。したがって、本実施例のPLL回路は通信システ
ムにおいてクロック再生素子として用いる場合に非常に
有効である。また、本実施例のPLL回路で使用した異
なる2つの1次ループのPLLループの大部分の構成要
素は共用できるために、回路規模の増大を極力抑えるこ
とができる。
【0059】以上本発明者によってなされた発明を実施
例に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定
されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲におい
て種々変更可能であることは言うまでもない。
【0060】例えば、PLL本体回路の局部発振器は電
圧制御発振器であるが、電流制御発振器(CCO)の形
態をとることができ、また、その回路形式はエミッタ結
合型マルチバイブレータに限定されることもなく、例え
ば、リングオシレータの回路形式を採ることもできる。
また、第一段階で、周波数引き込みを時定数の小さな出
力周波数記憶保持機能を持つ1次ループのPLLで行
い、第二段階で、位相引き込みを時定数の小さな通常の
1次ループのPLLで行い、第三段階で、時定数の大き
な1次ループPLLにより同期保持を行わせる構成に限
定されず、各スイッチの配置およびその制御動作のタイ
ミングは適宜変更可能である。また、PLL回路はその
全部、又は外付けの抵抗成分や容量成分を除いてシング
ルチップ又はマルチチップで半導体集積回路化すること
ができる。
【0061】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記
の通りである。
【0062】すなわち、周波数引き込みによって得られ
た局部発振器への制御信号を記憶保持回路で保持して第
2PLLループの動作時における局部発振器の実効自走
周波数を設定し、また、周波数引き込み、位相引き込
み、定常時を考慮してループゲインの異なるPLLルー
プを選択することにより、引き込み動作の高速化と出力
の低ジッタ化とを達成することができる。
【0063】容量で構成されるような記憶保持回路を採
用するから、第1PLLループから第2PLLループへ
の切換えに際して、位相引き込み状態における制御電圧
の初期状態がループ切換えに伴うノイズなどによって変
動することを防止でき、この点においても引き込み動作
のための処理時間短縮に寄与する。
【0064】上記効果は周波数引き込みのための第1P
LLループを1次ループとしても実現できるので、入力
信号がNRZ(Non-Return-to-Zero)符号のように不規
則な場合でも、正確に高速引き込みを行うことができ
る。したがって、本発明に係るPLL回路は通信システ
ムにおいてクロック再生素子として用いる場合に非常に
有効である。
【0065】局部発振器や位相比較器など第1及び第2
PLLループの大部分の回路要素は共用されるため、物
理的回路規模の増大を極力抑えて上記効果を得ることが
できる。
【0066】第2PLLループを選択的に2次ループと
することにより、周波数引き込み後、容量にホールドさ
れた局部発振器の制御信号情報電荷が変動しても、それ
による実効自走周波数の変動分を補正して位相引き込み
を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るPLL回路のブロッ
ク図である。
【図2】第1実施例における一例動作タイミングチャー
トである。
【図3】本発明の第2実施例に係るPLL回路のブロッ
ク図である。
【図4】第2実施例における一例動作タイミングチャー
トである。
【図5】第2実施例のPLL回路における周波数引き込
み、位相引き込み、及び同期保持の各状態での回路構成
とループ定数を示す説明図である。
【図6】第1クリア信号発生回路の一例ブロック図であ
る。
【図7】第1クリア信号発生回路の一例動作タイミング
チャートである。
【図8】第2クリア信号発生回路の一例ブロック図であ
る。
【図9】第2クリア信号発生回路の一例動作タイミング
チャートである。
【図10】本発明の第3実施例に係るPLL回路のブロ
ック図である。
【図11】本発明の第4実施例に係るPLL回路のブロ
ック図である。
【符号の説明】
1 PLL本体回路 11 位相比較器 14 ロウパスフィルタ R 抵抗 CLPF 容量 142 スイッチ 15 電圧制御発振器 2 状態制御回路 21,22 スイッチ Cvco 容量 23 アナログ加算器 24 第1状態制御パルス発生回路 26 第2状態パルス発生回路 27 第1クリア信号発生回路 28 第2クリア信号発生回路 3 トリガ信号発生回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江良 佳和 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 株 式会社日立製作所光技術開発推進本部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御信号に従って発振周波数が制御され
    固有の自走周波数を有する局部発振器と、その出力信号
    と外部入力信号との位相差に従った出力信号を形成する
    位相比較器と、上記位相比較器の出力に基づいて上記局
    部発振器の制御信号を形成するロウパスフィルタとを含
    んで成るPLL本体回路と、 上記外部入力信号に対する周波数引き込み時に上記PL
    L本体回路を用いて第1PLLループを形成し、位相引
    き込み及び定常時に上記PLL本体回路を用いて第2P
    LLループを形成し、更に上記周波数引き込みによって
    得られた局部発振器への制御信号を記憶保持回路で保持
    して上記第2PLLループの動作時における局部発振器
    の実効自走周波数を設定する状態制御回路と、を備えて
    成るものであることを特徴とするPLL回路。
  2. 【請求項2】 制御信号に従って発振周波数が制御され
    固有の自走周波数を有する局部発振器と、その出力信号
    と外部入力信号との位相差に従った出力信号を形成する
    位相比較器と、上記位相比較器の出力に基づいて上記局
    部発振器の制御信号を形成するロウパスフィルタとを含
    んで成るPLL本体回路と、 上記外部入力信号に対する周波数引き込み時に上記PL
    L本体回路を用いて第1PLLループを形成し、位相引
    き込み及び定常時に上記PLL本体回路を用いて第2P
    LLループを形成し、更に上記周波数引き込みによって
    得られた局部発振器への制御信号を記憶保持回路にて保
    持して上記第2PLLループの動作時における局部発振
    器の実効自走周波数を設定する状態制御回路とを備え、 上記状態制御回路は周波数引き込み及び位相引き込み時
    における第1及び第2PLLループのループゲインに対
    して定常時における第2PLLループのループゲインを
    小さくする利得制御手段を備えて成るものであることを
    特徴とするPLL回路。
  3. 【請求項3】 上記状態制御回路は、局部発振器の入力
    に出力が結合された2入力加算器と、当該2入力加算器
    の一方の入力とロウパスフィルタの出力とを選択的に接
    続して第1PLLループを形成するための第1のスイッ
    チと、上記2入力加算器の他方の入力とロウパスフィル
    タの出力とを選択的に接続して第2PLLループを形成
    するための第2のスイッチとを有し、上記記憶保持回路
    は第1のスイッチと上記2入力加算器の他方の入力とを
    結ぶ経路に接続されて成るものであることを特徴とする
    請求項1又は2記載のPLL回路。
  4. 【請求項4】 上記状態制御回路は更に、上記記憶保持
    回路に保持される制御信号の変化率が所定以下とされる
    状態を検出して、第1スイッチによる第1PLLループ
    の選択状態を第2スイッチによる第2PLLループの選
    択状態に切り換え制御するループ切換え制御回路を備え
    て成るものであることを特徴とする請求項3記載のPL
    L回路。
  5. 【請求項5】上記ロウパスフィルタは、第2PLLルー
    プの形成に同期して当該ループを2次ループとし、第1
    PLLループの形成に同期して当該ループを1次ループ
    とする切り換えスイッチを備えて成るものであることを
    特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のPLL回
    路。
  6. 【請求項6】 上記記憶保持回路は、第1PLLループ
    に接続される容量素子で構成されて成るものであること
    を特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のPLL
    回路。
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