JPH08134795A - リサイクル可能な耐水性透明紙および窓開き封筒用フィルム - Google Patents

リサイクル可能な耐水性透明紙および窓開き封筒用フィルム

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JPH08134795A
JPH08134795A JP27076994A JP27076994A JPH08134795A JP H08134795 A JPH08134795 A JP H08134795A JP 27076994 A JP27076994 A JP 27076994A JP 27076994 A JP27076994 A JP 27076994A JP H08134795 A JPH08134795 A JP H08134795A
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alkali
transparent paper
water
resistant layer
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JP27076994A
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Junji Harada
純二 原田
Sukeji Wakaura
資治 若浦
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リサイクル性の良好な耐水性透明紙および窓
開き封筒用フィルムを提供する。 【構成】 セルロース繊維を用いて製造した透明度70
%以上の透明紙の少なくとも片面に、熱硬化性のカルボ
キシル基含有樹脂あるいは熱硬化性のフェノール性水酸
基含有樹脂の中から選ばれる1種類以上の熱硬化性のア
ルカリ可溶性樹脂を主成分とするアルカリ可溶性樹脂組
成物を塗布し、熱硬化したアルカリ可溶性の耐水化層を
有することを特徴とするリサイクル可能な耐水性透明紙
およびそれを用いた窓開き封筒用フィルム。 【効果】 窓開き封筒用に十分な耐ブロッキング性、耐
水性を有し、使用後は容易に回収工程にまわせる透明紙
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透明紙に関するものであ
り、特に使用時や加工時においてはカール特性、透明性
に優れ、耐ブロッキング性、耐水性、耐伸長性、耐油
性、耐傷性があり取扱いやすく、使用後においては合成
樹脂フィルムなどと異なり不燃物を用いず、耐水層を透
明紙から容易に離脱、分解でき、紙の再利用・リサイク
ルが可能な窓付き封筒用の耐水性透明紙などに用いられ
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護意識の高まりから紙の回
収およびその再利用が盛んに行われている。しかしなが
ら、新聞、雑誌、ダンボール、あるいはコピー用紙など
の再利用に比べ、窓付き封筒の再利用は技術的に非常に
困難なものであり、現在までそのリサイクル使用はなさ
れていない。ここでいう窓付き封筒とは、上質紙あるい
は塗工紙の一部に窓にあたる開口部を設けて封筒化し、
その開口部分に透明フィルムを貼ることにより封筒内部
に納められた書類の記載部の一部、たとえば住所、氏名
などが封筒の状態で見れるものである。また封筒の用紙
の一部をワックスなどの薬品を含浸させて透明化した封
筒(フィルム貼りによる窓付き封筒と区別して、ワック
ス封筒と称する)も、リサイクルのしにくさからリサイ
クルされていない。
【0003】これらの窓付き封筒は、リサイクルされて
いないのみでなく、例えばオフィスの紙ゴミの大部分を
占める上質紙、あるいは家庭での紙ゴミの大部分を占め
る新聞紙と広告紙などに混入されやすく、資源ゴミとし
て一緒に回収されるものの、窓付き封筒が混入している
と再生紙の原料に適さないために、回収後に人手で分別
して排除しているのが現状である。当然これらの作業は
多大な労力を有するばかりでなく、再生紙原料としての
故紙のコストアップになるものであった。
【0004】このような労力をかけても、ある程度の割
合で再生紙原料に窓付き封筒は混入するが、このような
窓付き封筒が混入した再生紙原料を一般の故紙と同様に
脱墨、再生した場合、以下のような問題が生じる。
【0005】透明な合成樹脂フィルムで窓が構成されて
いる場合には、分離した合成樹脂フィルムが脱墨工程に
おいて紙繊維に混じって良好な故紙パルプにならなら
ず、リサイクルできないか、あるいは貼合せ部分の紙と
合成樹脂フィルムが分離しないとかの問題があった。紙
繊維に付着した合成樹脂フィルムが故紙パルプ中に残
り、再生した紙の印刷適性が非常に悪化するという印刷
紙としては致命的な問題があった。
【0006】また、合成樹脂フィルムは一般に接着性が
乏しいため、上質紙との貼合せには強接着性の接着剤や
ホットメルト接着剤が使われているが、このような接着
剤は一般の故紙再生用のアルカリ浴程度では完全な分離
・分解が非常に困難で、剥離、分解するほど過酷な条件
(高アルカリ濃度、高温浴、機械的攪拌)によって分離
した場合には、支持体そのものの分解、劣化が生じて故
紙パルプとしての適性が低下するという問題があった。
【0007】ワックス封筒の場合は、このような強接着
性の接着剤の問題は回避できるが、やはりパルプ回収工
程においてワックス分が故紙パルプに残留し、再生紙と
した場合にワックス分がインクをはじくという、印刷紙
に用いるには致命的な問題があった。
【0008】窓付き封筒用のフィルムをトレーシングペ
ーパーやグラシン紙などの透明紙にした場合、このよう
な再生紙工程からくるトラブルはなくなるものの、第一
に透明度が不足している点、第二に耐水性がなく、窓付
き封筒が雨に濡れるとシワになったり破れたりする点、
さらには糊付けにより窓枠に貼り付ける時点でシワが入
りやすいなどの問題点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明が解決
しようとする課題は、高い透明度と耐水性を有し、耐ブ
ロッキング性があり作業性の良好なリサイクル可能な透
明紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、セ
ルロース繊維を用いて製造した透明度70%以上の透明
紙の少なくとも片面に、熱硬化性のカルボキシル基含有
樹脂あるいは熱硬化性のフェノール性水酸基含有樹脂の
中から選ばれる1種類以上の熱硬化性のアルカリ可溶性
樹脂組成物を塗布し、熱硬化したアルカリ可溶性の耐水
化層を有することを特徴とするリサイクル可能な耐水性
透明紙の発明である。
【0011】また、アルカリ可溶性樹脂組成物中には、
平均粒径が1〜20μmである顔料を混合することによ
り、耐ブロッキング性が向上する。
【0012】本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂組
成物を熱硬化した耐水化層において、顔料の重量が5〜
50重量%の範囲にあることが好ましい。
【0013】本発明のリサイクル可能な耐水性透明紙
は、窓開き封筒用フィルムの代替品として用いることが
できる。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】一般に故紙、あるいは故紙を構成する故紙
パルプ、脱墨パルプ(DIP)の製法、すなわち紙のリ
サイクルは以下の工程によっている。
【0016】1)パルパーによる離解工程、機械力およ
びアルカリなどの薬品によって故紙を繊維状に分解、イ
ンキ成分を故紙から分離する工程。
【0017】2)除塵工程、粗選、フローテーション、
スクリーン、クリーナー、洗浄の各工程において、故紙
に含まれるプラスチック、金属、無機物などを除去する
工程。
【0018】3)脱墨工程、故紙より分離した印刷イン
キをフローテーション法、あるいは洗浄法で系外に分離
する工程。これらの工程の複合技術によって作成され
る。
【0019】本発明者らは、窓付き封筒のリサイクルを
検討した結果、紙支持体(キャスト紙、アート紙、コー
テッド紙などの塗工紙、上質紙)の一部に窓に相当する
開口部を設け、合成樹脂フィルムを接着剤にて貼り付け
た窓付き封筒は、上で示すような故紙パルプの製造工程
では良好な故紙パルプが製造できないことを確認した。
すなわち、透明な合成樹脂フィルムで窓が構成されてい
る場合には、分離した合成樹脂フィルムが脱墨工程にお
いて紙繊維に混じって良好な故紙パルプにならならず、
リサイクルできないか、あるいは貼合せ部分の紙と合成
樹脂フィルムが分離しないとかの問題があり、故紙パル
プ中に残った合成樹脂フィルムにより再生した紙の印刷
適性が非常に悪化する。また、一般に接着性の良くない
合成樹脂フィルムと上質紙や塗工紙との貼合せには強接
着性の接着剤やホットメルト接着剤が使われているが、
このような接着剤は一般の故紙再生用のアルカリ浴程度
では完全な分離・分解が非常に困難である。剥離、分解
するほど過酷な条件(高アルカリ濃度、高温浴、機械的
攪拌)によって分離した場合には、支持体そのものの分
解、劣化が生じて故紙パルプとしての適性が低下する。
合成樹脂フィルムに代えてトレーシングペーパーやグラ
シン紙などの透明紙にした場合、リサイクルする以前の
問題として透明度が不足して良好な窓付き封筒になら
ず、かつ耐水性がなく、窓付き封筒が雨に濡れるとシワ
になったり破れたりするなどの問題点がある。
【0020】しかしながら、本発明に示すようなアルカ
リ可溶性樹脂組成物による耐水化層を有する透明紙にお
いては、使用後に処理する場合、一般の故紙、あるいは
故紙を構成する故紙パルプ、脱墨パルプ(DIP)の工
程によりきわめて良好な故紙パルプを回収することがで
きることが判明した。
【0021】本発明で用いる透明紙は、セルロース繊維
を用いて製造した透明度70%以上の透明紙であること
が好ましい。本発明の透明紙の坪量は、回収上はいくら
であっても問題ないが、取扱いやすさと透明度の観点か
ら10〜45g/m2であることが好ましい。
【0022】本発明で言う透明度とは、100から不透
明度値を差引いた値として表した。不透明度値とは、J
IS P8138にて測定した不透明度(%)である。
厚みは、JIS P8118で規定される紙及び板紙の
厚さと密度の試験方法により測定した値である。
【0023】本発明においては、透明度が70%以上の
紙を透明紙と呼ぶ。透明度が70%以上のものであれ
ば、窓開き封筒用フィルムの代替品としてはグラシン
紙、樹脂含浸紙、タイプライター用紙、コンデンサーペ
ーパー、トレーシングペーパー、含浸トレーシングペー
パーなど特に制限するものではないが、回収性を考慮す
ると単に透明度を向上させるために樹脂含浸した紙は好
ましくなく、トレーシングペーパーなどセルロース主体
の透明紙が適している。樹脂含浸も、本発明に用いられ
ているようなアルカリ可溶性樹脂組成物であれば問題な
い。なお、本発明で称するトレーシングペーパーとは、
ナチュラルトレペあるいは天然トレペとも称される透明
紙のことである。
【0024】ここでいうトレーシングペーパーとは、最
新紙加工便覧(テックタイムス編昭和63年8月20日
発行)によると次のように説明されている。『ナチュラ
ルトレペとは、製図における原図用紙といえば、トレー
ス作業とジアゾコピー作業を考慮したトレーシングペー
パーであった。トレーシングペーパーは透明紙である。
なぜ紙は不透明で白いかというと、一般の上質紙は体積
中に50%前後の空気を含んでいる。微細な空隙の分布
とセルロース繊維と空気の屈折率の違いにより紙は白く
見え、不透明になる。トレーシングペーパーには、ナチ
ュラルトレペと含侵トレペの2種類のトレーシングペー
パーがある。ナチュラルトレペは、パルプ繊維を高度に
叩解させて15〜25%と空隙が少なくなる様に抄造し
た紙である。それに対して、含浸トレペは一般の上質紙
にセルロースと屈折率の同じ透明化樹脂を含浸させた透
明紙である。』、『トレーシングペーパーにおいて事務
用には40〜60g/m2の薄物品が使用され、設計製図、
第二原図用には55g/m2以上のものが使用されてい
る。』。
【0025】さらに、新版印刷事典(日本印刷学会編
大蔵省印刷局)の透明紙の項には、『薄くて透明な筆記
用紙の一種。原図を透き写し、バンダイク法・青写真な
どの原稿用に用いる。2種類あって、1)は原料を高度
の粘状に叩解し透明になるようにすいたもの、または薄
紙にカナダバルサム・テレビン油・植物油などの混合物
を塗って透明にした加工紙。2)はコウゾ・ミツマタな
どを用いて流しずき法によって抄造した薄葉和紙。図引
き用紙ともいう。』との記載がある。
【0026】紙パルプ技術便覧(1982年 紙パルプ
技術協会)によれば、『薄葉の総称で、辞典用紙、ライ
スペーパー、タイプ用紙、印刷用紙など用途により種類
多く、坪量は40g/m2以下で、薄葉和紙は20g/m2以下
である。』との記載がある。
【0027】以上の記載を踏まえた上で、便宜上本発明
においては、耐水性透明化に適した透明度が70%以上
の紙を透明紙と呼ぶ。本発明の透明紙には、木材パル
プ、合成パルプ、填料、サイズ剤、紙力増強剤、染料
等、通常抄紙で用いられる原材料を必要に応じて使用す
ることが可能である。透明紙自体を着色して用いること
は可能であるが、着色後の透明度が十分に保たれる着色
方法である必要がある。
【0028】本発明の透明紙は、坪量が10〜45g/m2
であることが好ましい。透明紙の坪量が10g/m2より小
さいと寸法安定性が悪くて加工時に張力制御が困難で、
しわが入りやすく、また窓枠に貼り付け時に破れる事が
あり好ましくない。また、坪量が45g/m2より大きいと
耐水化層を設けた後の厚みが厚くなり紙のしなやかさが
なくなったり、封筒化した後に凹凸ができて内部に書類
を入れるのに障害になったりするほか、コスト的にも好
ましくない。
【0029】本発明の耐水化層に用いられるカルボキシ
ル基含有樹脂、フェノール性水酸基含有樹脂(以下、両
方を合わせてアルカリ可溶性樹脂と呼ぶ)としては、例
えば、ニトロセルロース樹脂に脂肪酸、脂肪酸エステル
を混合した樹脂、メタクリル酸エステル又はアクリル酸
エステルとアクリル酸の共重合樹脂からなるアクリル系
樹脂、ロジン/マレイン酸樹脂やアミノアルキド樹脂に
マレイン酸を含む樹脂、ポリパラビニルフェノールなど
フェノール性水酸基を含有する樹脂を用いることができ
る。
【0030】本発明のアルカリ可溶性樹脂は、熱硬化性
を有し、無溶媒であるいは溶媒とともに用いることがで
きるが、透明化層の形態としては単にアルカリ可溶性樹
脂の溶液を熱乾燥して造膜した物でもよい。アルカリ可
溶性樹脂としては透明紙に容易に塗布、乾燥(硬化)が
可能なアクリロイル基やメタクリロイル基、エポキシ
基、イソシアネート基を有する熱硬化性のアルカリ可溶
性樹脂を好ましく用いることができる。
【0031】ここでいう熱硬化性のアルカリ可溶性樹脂
としては、分子末端あるいは側鎖に熱硬化性の官能基と
カルボキシル基またはフェノール性水酸基を同時に有す
るものであり、トリメチロールプロパンジアクリレート
フマレート、トリメチロールプロパンジフマレートモノ
アクリレート、アクリロイルオキシエチルサリチレー
ト、メタクリロイルオキシエチルサリチレート、アクリ
ロイルオキシエチルモノフタレート、メタクリロイルオ
キシエチルモノフタレート、アクリロイルオキシプロピ
ルモノフタレート、メタクリロイルオキシプロピルモノ
フタレート、アクリロイルオキシエチルモノサクシネー
ト、メタクリロイルオキシエチルモノサクシネート、ア
クリロイルオキシプロピルモノサクシネート、メタクリ
ロイルオキシプロピルモノサクシネート、アクリロイル
オキシエチルモノテトラヒドロフタレート、メタクリロ
イルオキシエチルモノテトラヒドロフタレート、アクリ
ロイルオキシプロピルモノテトラヒドロフタレート、メ
タクリロイルオキシプロピルモノテトラヒドロフタレー
ト、アクリロイルオキシエチルモノヘキサヒドロフタレ
ート、メタクリロイルオキシエチルモノヘキサヒドロフ
タレート、アクリロイルオキシプロピルモノヘキサヒド
ロフタレート、メタクリロイルオキシプロピルモノヘキ
サヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジアクリ
レートモノサリチレート、ペンタエリスリトールジアク
リレートモノフマレート、などの多官能アクリレートや
多官能カルボン酸、あるいはその複合体、カルボキシル
基あるいはフェノール性水酸基を有するモノアクリレー
トなどが挙げられる。
【0032】本発明においては、架橋性の低い状態で用
いるならば、フェノール樹脂を用いることができる。本
発明においては、クレゾール、キシレノール、トリメチ
ルフェノール、アリルフェノール、アルケニルフェノー
ル、ポリハイドリックフェノール、ポリフェノール等フ
ェノール類に属し、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類
と反応して硬化する樹脂の総称としてフェノール樹脂と
いう単語を用いる。
【0033】フェノール樹脂としては、例えば、乾性油
変性フェノール樹脂、乾性油/芳香族炭化水素ホルムア
ルデヒド変性フェノール樹脂、ポリブタジエン変性フェ
ノール樹脂、アルキルフェノール変性フェノール樹脂等
が挙げられる。フェノール樹脂の基本となるフェノール
類も、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノ
ール、p−アルキルフェノール、レゾルシン等限定せず
に用いることができる。これらの樹脂は、アルコール等
の溶剤で溶解したフェノール樹脂溶液、或はこれを水性
エマルジョンとして、或は水溶性フェノール樹脂(レゾ
ール)として用いることができる。水やアルコール、ト
ルエン等の有機溶剤を用いてフェノール樹脂を希釈する
こと、或はバインダー樹脂を併用することは何等差し支
えない。
【0034】フェノール樹脂を硬化するために、ホルム
アルデヒド等の架橋剤、アニリン等の変性剤、塩酸、シ
ュウ酸等の酸触媒、アンモニア、ヘキサメチレンテトラ
ミン等の塩基性触媒や硬化剤を混合して用いることは何
等差し支えない。
【0035】本発明のアルカリ可溶性樹脂は、他のバイ
ンダー成分となるアルカリ可溶性を示さない架橋性の熱
硬化性樹脂と併用して適度な架橋性を出して用いること
も可能で、多官能の熱硬化性樹脂を架橋剤、希釈剤、あ
るいはバインダー成分としてアルカリ可溶性の熱硬化性
樹脂と共に用いることができる。架橋性の熱硬化性樹脂
としては、この分野で通常使用されている重合が可能な
不飽和結合を有する化合物であれば、いずれも使用可能
である。即ち、アクリロイル基、メタクリロイル基、エ
ポキシ基、アクリルアミド基、アリル基、イソシアネー
ト基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基などを
含む化合物であり、例えば、アクリル酸アルキルエステ
ル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリドン、各種イソ
シアネートなどが挙げられるが分子内に架橋性結合が二
個以上、より好ましくは三個以上あることが架橋性を向
上させるうえで適当である。
【0036】架橋性の熱硬化性樹脂としては具体的に、
ポリオールの不飽和エステル類、例えば、エチレンジア
クリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グ
リセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパン
トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリ
レート等が挙げられる。又エポキシ環を一個もしくは二
個以上有する化合物、例えば、グリシジルアクリレート
等も好ましい。更には、これらの化合物は、高分子量体
であってもよい。特に好ましくは、高分子鎖の末端或は
側鎖にアクリレート基を有する化合物であり、ポリエス
テル骨格、ポリウレタン骨格、エポキシ樹脂骨格、ポリ
エーテル骨格、ポリエーテルアクリルアミド樹脂、ポリ
カーボネート骨格を有するプレポリマー等が挙げられ
る。これら上記のモノマーとプレポリマーを単独もしく
は混合して用いてもよい。架橋剤としての役割が必要な
場合は、3官能以上の架橋性化合物を混合することによ
り、良好な架橋性が得られる。
【0037】透明紙上に設けられた、アルカリ可溶性樹
脂からなる耐水化層は、中性あるいは酸性の雰囲気にお
いては強固な被膜層を形成していて、多少の湿気、水
分、溶媒を含有する接着剤、汗、あるいはオイルなどに
より耐水化層が破壊、あるいは透明紙から剥離すること
はなく、窓枠用の透明紙としての利用に差し支えない。
しかしながら、使用後にアルカリ浴により処理すると、
熱硬化したアルカリ可溶性樹脂は、水溶性の塩を形成
し、すみやかに被膜が破壊され、アルカリ浴に分散・溶
解する。この場合、アルカリ浴のアルカリ、あるいは界
面活性剤は、耐水化層のエッジ部分、あるいは透明紙背
後から浸透してくると考えられる。透明紙は、アルカリ
浴には比較的安定であるため、耐水化層のみがアルカリ
浴に分散・溶解した時点で、比重の差により、あるいは
界面活性剤の作用により、耐水化層と透明紙の分離が非
常に容易となる。
【0038】特に本発明において得られる耐水性透明紙
は、アルカリ可溶性の耐水化層が透明紙の表面にコーテ
ィングされている構造であり、耐水化層は分子レベルで
アルカリにより溶解し、得られた回収セルロース繊維に
耐水化層成分が付着していることがない。このため、回
収された透明紙で再度、紙を作成しても耐水化層成分に
よるインクのハジキや汚れがなく、良好な印刷支持体を
作成できる。
【0039】熱硬化性のアルカリ可溶性樹脂と架橋性の
熱硬化性樹脂とを混合した組成物として用いる場合、ア
ルカリ可溶性樹脂は、組成物の固形分に対して重量比で
5%以上であることが好ましい。これは、アルカリ可溶
性樹脂の割合が5%より少ないとアルカリ浴に入れた場
合の剥離適性が悪いためである。
【0040】本発明において用いられるアルカリ可溶性
樹脂組成物からなる耐水化層の塗布量は1〜40g/m2
好ましく、3〜20g/m2がより好ましい。耐水化層がこ
の量より少ないと、透明紙の凹凸を埋める事が出来ず、
耐水化層を設ける場合に平滑性に難があり良好な表面性
が得られないし、この量より多いと、アルカリ浴での剥
離が悪く、透明紙の回収適性が悪化する。
【0041】本発明の耐水化層に耐ブロッキング性を向
上させるために平均粒径が1〜20μmである顔料を含
有することができる。本発明において顔料成分は、耐水
化層の耐ブロッキング性をより向上させるものである
が、そればかりでなく耐水性透明紙のリサイクルを検討
した場合、顔料の含有は耐水化層の耐水性を低下させる
ことなく、アルカリによる耐水化層の可溶化、あるいは
透明紙であるセルロース成分からの分離が極めて速やか
に行われるという意外な事実を見いだした。このような
特性の向上は耐水性透明紙あるいはそれを用いた窓開き
封筒のリサイクルを行う場合、アルカリ処理工程の時間
を短縮させたり、アルカリ負荷を低減させることができ
るため、著しくリサイクル性を向上させるものである。
【0042】本発明の耐水化層に含有される顔料として
は、無機顔料、有機顔料のいずれでもよく、具体的には
シリカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、水酸化ア
ルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ガラス粒子、シラ
スバルーン、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂
粒子、スチレン樹脂微粒子、ポリメタクリル酸メチル樹
脂微粒子、ポリオレフィン樹脂微粒子、でんぷん粒子な
どが例示できるが、中でもシリカ、ガラス粒子、でんぷ
ん粒子および有機顔料系の樹脂微粒子が好ましい。顔料
の配合比は、耐水化層を構成するアルカリ可溶性樹脂組
成物を構成する熱硬化性のアルカリ可溶性樹脂と架橋性
の熱硬化性樹脂の種類、その架橋性、顔料自身の屈折率
により異なるが、これらの耐水化層中に5〜50重量%
の範囲で使用でき、好ましくは10〜40重量%の範囲
で使用することができる。顔料成分がこの割合より少な
いと耐ブロッキング性が十分でない場合があり、顔料成
分がこの範囲を越えると耐水化層の塗布が困難になるば
かりでなく、耐水性を低下させたり、透明性を低下させ
る場合がある。
【0043】本発明において用いる顔料の大きさは平均
粒径で1〜20μmの範囲にあることが好ましく、この
範囲より大きいか、あるいは小さい粒子が存在していて
もよいが、顔料の平均粒径がこの範囲より小さいと十分
に耐ブロッキング性が発現できず、この範囲より大きい
と耐水化層の面強度が低下し、耐水化層が摩擦やテープ
剥離などで透明紙から脱落するなどの問題が起こる場合
がある。
【0044】本発明の方法において、有利に用いられる
天然パルプを主成分とする原紙には、各種高分子化合
物、添加剤を含有せしめることができる。例えば、デン
プン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル誘導体、ゼラチン等の乾燥紙力増強剤、脂肪酸塩、ロ
ジン誘導体、ジアルキルケテンダイマー乳化物等のサイ
ズ剤、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド
等の湿潤紙力増強剤、安定剤、顔料、染料、酸化防止
剤、蛍光増白剤、各種ラテックス、無機電解質、pH調
整剤等を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
また、本発明において透明紙と耐水化層の接着性を良く
するために、コロナ処理、オゾン処理、火炎処理等によ
る表面処理を行なってもよい。
【0045】透明紙上にアルカリ可溶性樹脂組成物を塗
布する方法としては、ドクターコート、ブレードコー
ト、エアナイフコート、スクイズコート、リバースロー
ルコート、グラビアコート、オフセットグラビアコー
ト、トランスファーロールコート、カーテンコート、エ
クストルージョンコート、ダイコート、スライドコー
ト、リップコート、マイクログラビアコート、ディップ
コートなどの方法が利用できる。また、アルカリ可溶性
樹脂組成物によっては可能であれば、ホットメルトコー
ト、あるいは溶融押し出しコートにより耐水化層を設け
てもよい。
【0046】本発明のアルカリ可溶性樹脂組成物は、無
溶媒で用いることも可能であるが、水あるいは有機溶剤
に溶解あるいは分散して用いることができる。また、ア
ルカリ可溶性樹脂組成物中に熱重合開始剤を含有するこ
とは何等差し支えない。熱重合(反応)開始剤として
は、例えば過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、
具体的には過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエ
ート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることがで
きる。
【0047】本発明の透明紙の裏面には、カール防止、
帯電防止、あるいは表面と同様な耐水化層などのバック
コート層を設けることが出来、バックコート層には帯電
防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬膜剤、顔
料、界面活性剤、粘着剤等を適宜組み合わせて含有する
ことができる。本発明の耐水性透明紙を窓開き封筒用の
フィルム代替として用いる場合には、貼り付け用の接着
剤もアルカリ分解性あるいはアルカリ可溶性であること
が好ましい。
【0048】
【作用】本発明の透明紙においては、透明紙上に設けら
れた、硬化性の良好なアルカリ可溶性樹脂からなる耐水
化層の働きで、中性あるいは酸性の状況においては強固
な被膜層を形成していて、透明紙から剥離することはな
く、耐水化層を有する透明紙として利用でき、使用に際
しては耐ブロッキング性が良好で、使用後にアルカリ浴
により処理すると、アルカリ可溶性樹脂からなる耐水化
層は耐水化層に含有される顔料の働きで、すみやかに被
膜が膨潤、破壊されアルカリ浴に分散・溶解し、透明紙
の回収を容易に、かつ効率よく行なうことができる。耐
水化層は分子レベルでアルカリ浴に溶解するため、得ら
れた回収透明紙に耐水化層成分が付着していることがな
く、良好な再生紙を生産できる原料となる。
【0049】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により、更
に詳細に説明するが、本発明の内容は、実施例に限られ
るものではない。尚、例中の「部」とはすべて「重量
部」を、%とはすべて重量%を示し、それぞれ乾燥後の
固形分値である。
【0050】実施例1 透明紙として、坪量15g/m2、透明度85%のトレーシ
ングペーパーを用い、以下の構成よりなるアルカリ可溶
性樹脂組成物1をオフセットグラビアコーターを用いて
5g/m2の塗布量で塗布し、加熱して乾燥、硬化させ耐水
化層として目的とするリサイクル可能な耐水性透明紙を
得た。
【0051】[アルカリ可溶性樹脂組成物1] トリメチロールプロパンジアクリレートモノサリチレー
ト:70部 イソシアヌル酸トリアクリレートモノサリチレート:3
0部 合成シリカ:(水沢化学工業製、ミス゛カシルP832、平均粒径
3μm):10部 反応開始剤(過酸化ベンゾイル):2部 トルエン:200部
【0052】実施例2 支持体として、坪量25g/m2、透明度82%のトレーシ
ングペーパーを用い、以下の配合のアルカリ可溶性樹脂
組成物2をグラビアコーターで4g/m2の塗布量で塗布
し、加熱して乾燥、硬化させ耐水化層として目的とする
リサイクル可能な耐水性透明紙を得た。
【0053】[アルカリ可溶性樹脂組成物2] アクリル酸ダイマー(東亜合成化学工業製品、商品名アロ
ニックスM-5600):68部フ゜ロヒ゜レンオキシト゛ 変性エチレンク゛リコールシ゛アクリレート(東亜合成化学工
業製品、商品名アロニックスM-220):30部 反応開始剤(過酸化ベンゾイル):2部 酢酸エチル:200部
【0054】実施例3 実施例2において、アルカリ可溶性樹脂組成物2に、さ
らに顔料成分としてソフトン3200(備北粉化工業
製、平均粒径0.7μm):50部を加えた事以外は実
施例2と同様にして透明紙を得た。
【0055】実施例4 紙支持体を坪量30g/m2、透明度80%のトレーシング
ペーパーとし、以下に示す配合のアルカリ可溶性樹脂組
成物3をグラビアコーターで8g/m2の塗布量で塗布し、
加熱して乾燥、硬化させ耐水化層とし、さらに裏面にも
同様の耐水化層を設けて目的とするリサイクル可能な耐
水性透明紙を得た。
【0056】[アルカリ可溶性樹脂組成物3]フェノール 樹脂アルコール溶液(住友デュレズ製、スミライトレシ゛ンPR-50
087):49部 ペンタエリスリトールジアクリレートモノフマレート:
49部 反応開始剤:(過酸化ベンゾイル)2部 水酸化アルミニウム:(昭和電工製、ハイシ゛ライトH42、平均粒径1
μm):100部 酢酸エチル/工業アルコール混合溶媒:200部
【0057】実施例5 実施例4において、顔料成分比を水酸化アルミニウム1
50部に変更した以外は実施例4と同様にして透明紙を
得た。得られた耐水化層は、やや接着性が悪く、傷を入
れて強く擦ると耐水化層が剥離する場合があった。
【0058】実施例6 実施例4において、顔料成分比を水酸化アルミニウム5
部に変更した以外は実施例4と同様にして透明紙を得
た。
【0059】実施例7 実施例4において、顔料成分比を水酸化アルミニウム2
部に変更した以外は実施例4と同様にして透明紙を得
た。
【0060】実施例8 支持体として、坪量45g/m2、透明度70%のトレーシ
ングペーパーを用い、以下の組成比のアルカリ可溶性樹
脂組成物4をグラビアコーターで10g/m2の塗布量で設
け、加熱して乾燥、硬化させ耐水化層として目的とする
リサイクル可能な耐水性透明紙を得た。
【0061】 [アルカリ可溶性樹脂組成物4] スチレン/ポリアクリル酸共重合体エマルジョン 70部 ウレタンアクリルエマルジョン 30部 小麦でんぷん(平均粒径10μm):50部
【0062】実施例9 支持体として、坪量40g/m2、透明度72%のトレーシ
ングペーパーを用い、以下の組成比のアルカリ可溶性樹
脂組成物5をグラビアコーターで5g/m2の塗布量で設
け、加熱して乾燥、硬化させ耐水化層として目的とする
リサイクル可能な耐水性透明紙を得た。
【0063】[アルカリ可溶性樹脂組成物5]ロシ゛ン /マレイン酸樹脂アルコール溶液(大日本インキ化学工業製品、
商品名ヘ゛ッカサイトJ-896):48部 フェノール樹脂アルコール溶液(住友デュレズ製、 スミラ
イトレシ゛ンPR-50087):47部 顔料:(平均粒径20μmのガラス粒):50部
【0064】実施例10 実施例9において、顔料成分をガラス粒子:(平均粒径
30μm)に変更した以外は実施例9と同様にして透明
紙を得た。得られた耐水化層の接着強度がやや弱く、傷
を入れて強く擦ると層が剥離する場合があった。
【0065】実施例11 実施例1において、耐水化層を片面に設けたあと、実施
例1と同様なアルカリ可溶性樹脂組成物を裏面に設け、
実施例1と同様な方法で硬化して両面に耐水化層を有す
る耐水性透明紙を得た。
【0066】実施例12 実施例2において、耐水化層を片面に設けたあと、実施
例2と同様なアルカリ可溶性樹脂組成物を裏面に設け、
実施例2と同様な方法で硬化して両面に耐水化層を有す
る耐水性透明紙を得た。
【0067】実施例13 実施例1〜12において得られた耐水性透明紙を用いて
窓開き封筒を作製した。片面コート紙(三菱製紙製、パ
ールコート)を用いて窓部を有する封筒を作製し、窓部
に窓部よりやや大きめの耐水性透明紙の4辺を貼り付け
て窓開き封筒とした。
【0068】比較例1 架橋型アルカリ可溶性樹脂による耐水化層を設けなかっ
た以外は実施例1と同様にして透明紙を得た。
【0069】比較例2 支持体として、実施例1と同様な透明紙を用い、厚み1
5μmでポリプロピレンを溶融押し出しコーティング
し、耐水性透明紙を得た。
【0070】比較例3 架橋型アルカリ可溶性樹脂による耐水化層を設けなかっ
た以外は実施例2と同様にして透明紙を得た。
【0071】比較例4 支持体として実施例2と同様な透明紙を用い、厚み12
μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを接着剤を用い
て貼り合わせて透明紙を得た。
【0072】比較例5 架橋型アルカリ可溶性樹脂による耐水化層を設けなかっ
た以外は実施例4と同様にして透明紙を得た。
【0073】比較例6 支持体に実施例4と同様な透明紙を用い低密度ポリエチ
レンを15μmの厚みで溶融押し出しコーティングする
ことにより耐水性透明紙を得た。
【0074】比較例7 架橋型アルカリ可溶性樹脂による耐水化層を設けなかっ
た以外は実施例8と同様にして透明紙を得た。
【0075】比較例8 支持体として、実施例8と同様な透明紙を用い、厚さ1
2μmのセロハンフィルムを接着剤を用いて貼合せ、耐
水性透明紙を得た。
【0076】比較例9 架橋型アルカリ可溶性樹脂による耐水化層を設けなかっ
た以外は実施例9と同様にして透明紙を得た。
【0077】比較例10 支持体として、実施例9と同様な透明紙を用い、厚さ1
2μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを接着剤を用い
て貼合せ、耐水性透明紙を得た。
【0078】比較例11 支持体として、実施例1と同様な透明紙を用い、熱硬化
性樹脂としてトリメチロールプロパントリアクリレート
(反応開始剤として2%の過酸化ベンゾイル含む)のト
ルエン溶液をオフセットグラビアコーターで5g/m2の塗
布量で塗布し、加熱して乾燥、硬化させ耐水化層とし
た。この方法で設けた耐水化層の架橋性は非常に高いも
のであった。
【0079】比較例12 紙支持体を坪量45g/m2、透明度60%の薄手のコピー
ペーパーとし、アルカリ可溶性樹脂組成物4をオフセッ
トグラビアコーターを用いて5g/m2の塗布量で塗布し、
加熱して乾燥、硬化させ耐水化層とした。
【0080】比較例13 比較例12において、耐水化層を片面に設けたあと、比
較例12と同様なアルカリ可溶性樹脂組成物を裏面に設
け、比較例12と同様な方法で硬化して両面に耐水化層
を有する耐水性透明紙を得た。
【0081】比較例14 厚み30μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムをその
まま用いた。
【0082】比較例15 厚み39μmの2軸延伸ポリエステルフィルムをそのま
ま用いた。
【0083】比較例16 比較例1〜15において得られた透明紙、耐水性透明
紙、フィルムを用いて窓開き封筒を作製した。片面コー
ト紙(三菱製紙製、パールコート)を用いて窓部を有す
る封筒を作製し、窓部に窓部よりやや大きめの透明紙、
耐水性透明紙、フィルムの4辺を貼り付けて窓開き封筒
とした。
【0084】以上の実施例、比較例で得られた透明紙あ
るいは耐水性透明紙に以下の試験を行い、その結果を表
1および表2に示した。
【0085】試験1(透視性) 得られた透明紙またはフィルムを貼り付けた窓開き封筒
において、内部の住所欄や差出し人欄が十分に見やす
く、郵送業務に支障無く使用することができる場合を透
視性優、住所、氏名などを透視するのに難がある場合を
透視性劣で判定した。この判定の透明度での目安は透明
度80%程度であるが、繊維分のムラなどにより透視性
が左右される場合がある。
【0086】試験2(耐水性) 得られた透明紙の耐水性を、水で濡らした綿棒で擦るこ
とにより評価した。透明紙に穴が開くまで綿棒で擦り、
その回数により耐水性を判定した。回数が100回以上
であれば十分に耐水性があり、フィルムなみの耐水強度
を有していると判断した。
【0087】試験3(回収性) 実施例13および比較例16で得られた透明紙を貼り付
けた窓開き封筒を、70℃、0.5規定の水酸化ナトリ
ウム、およびノニオン性界面活性剤として1%のポリオ
キシエチレンアルキルエーテルを含む溶液中に浸漬、攪
拌して故紙パルプ回収工程を再現し、耐水化層の剥離す
る時間で判定した。耐水化層の剥離は速いほど回収処理
が容易になるが、3分以内に剥離すれば支障無く故紙パ
ルプ回収工程で処理できる。5分以上かかるようでは、
効率的な故紙パルプ回収工程は期待できない。結果は表
1、表2において元の実施例、比較例の項に記した。
【0088】試験4(回収支持体の印刷性) 試験3において耐水化層を分離後、フローテーション法
により耐水化層を排出し、残存支持体を回収した。回収
した支持体(故紙パルプ)50%とバージンパルプ50
%を混合して紙を漉き、プレス乾燥後、全面印刷して印
刷性を測定した。1m四方の面積において、肉眼で識別
できる印刷ムラの個数を測定した。バージンパルプのみ
で紙を作成した場合、印刷ムラは1m四方で0箇所であ
る。許容できる範囲として1m四方で2個を基準として
判定した。
【0089】試験5(ブロッキング性) サンプルを巻取りで10cm幅にスリットし、窓開き封
筒の作製装置(富士袋機工業製、FWC−1)にセット
して連続して220枚/分の生産速度で100000枚
の封筒への窓部の貼り付けを行った。耐水性透明紙ある
いはフィルムが重送などにより正確に窓部に貼り付けら
れなかった枚数をブロッキング性として表わした。枚数
が少ないほどブロッキング性は良好で、窓開き封筒作製
の作業性が良い。
【0090】試験6(窓貼り性) 試験5で作成した窓開き封筒10000枚中で、耐水性
透明紙あるいはフィルムが接着剤による伸びの発生など
で、貼りにタルミあるいはシワが生じた枚数を窓貼り性
として表わした。枚数が少ないほど窓貼り性は良好で、
窓開き封筒作製の作業性およびその後の取扱性が良い。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】評価 上記表1および表2から明かなように、本発明による透
明紙は、アルカリ可溶性樹脂による耐水化層の効果で良
好な透明性、透視性、および耐水性を有するばかりでな
く、回収時のアルカリ浴において速やかな耐水化層の脱
離あるいは溶解を起こし、高いセルロース支持体の回収
性を示す。脱離した耐水化層は、小さく分解、分散ある
いは溶解しているため、界面活性剤の作用で排出するこ
とが可能で、セルロース支持体のみの回収が容易であ
る。このように、支持体のみが効率良く回収される結
果、得られた故紙パルプで紙を作成しても良好な印刷適
性を有している。また、耐水化層の働きで、窓開き封筒
への貼付時においてもシワ、タルミが発生せず、窓部が
十分な耐水性を有し、雨に濡れても大丈夫である。耐水
化層に適度の顔料を含有するため耐ブロッキング性が良
好で、窓開き封筒の作製時に重送によるトラブルが発生
せず、作業性が高い。
【0094】これに対して、同様な実験において耐水化
層を有さない比較例のサンプルは、透明性において劣る
だけでなく、耐水性も良好でない。ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリエステルなどの溶融押しだしコーティ
ングあるいは貼合せにより耐水化層を設けた場合、また
はこれらのフィルムを直接用いた場合は、リサイクル性
に乏しく、窓開き封筒などに用いた場合は紙としてのリ
サイクルは困難であるか、あるいは品質の低い故紙しか
得られない。アルカリ可溶性でない単なる熱硬化性樹脂
のみで耐水化層を設けた場合では、透明性、透紙性、耐
水性は良好であるがアルカリによる剥離性が悪く、また
耐水化層やラミネート層が回収された支持体に付着、混
合しているために、得られた故紙パルプで紙を作成して
も印刷適性が悪い。顔料を含むが平均粒径が小さい場合
には耐ブロッキングの向上が小さく、また大きい場合に
はラブオフが悪化する場合がある。アルカリ可溶性では
あるが顔料を含まない場合は、ブロッキング性に難があ
る。支持体が透明紙ではなく、透明度が70%を下回る
ような場合、アルカリ可溶性の耐水化層を設けても透明
度の改良に限界があり、良好な透視性を有するに至ら
ず、透明紙としての利用は困難である。
【0095】
【発明の効果】本発明の方法によるリサイクル型透明紙
は、使用時においては、耐水化層と支持体との接着性が
高く、耐水性、透明性ともに良好であり、使用時にはブ
ロッキングせず、かつ使用済みの透明紙をリサイクルす
る場合においては、耐水化層が容易に支持体から分離で
き、支持体のみの回収、再利用が容易であり、当然なが
ら窓開き封筒用のフィルムに用いれば何等分別すること
なく上質紙と同様に回収工程にまわせることから環境保
護、資源節約の面から、あるいは廃品の量を低減させる
意味からも、工業的価値の大なるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 19/44

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース繊維を用いて製造した透明度
    70%以上の透明紙の少なくとも片面に、熱硬化性のカ
    ルボキシル基含有樹脂あるいは熱硬化性のフェノール性
    水酸基含有樹脂の中から選ばれる1種類以上の熱硬化性
    のアルカリ可溶性樹脂を主成分とするアルカリ可溶性樹
    脂組成物を塗布し、熱硬化したアルカリ可溶性の耐水化
    層を有することを特徴とするリサイクル可能な耐水性透
    明紙。
  2. 【請求項2】 アルカリ可溶性樹脂組成物中に、平均粒
    径が1〜20μmである顔料を含有することを特徴とす
    る請求項1記載のリサイクル可能な耐水性透明紙。
  3. 【請求項3】 アルカリ可溶性の耐水化層が、5〜50
    重量%の顔料を含有してなることを特徴とする請求項1
    または2記載のリサイクル可能な耐水性透明紙。
  4. 【請求項4】 前記請求項1〜3記載のリサイクル可能
    な耐水性透明紙を用いた窓開き封筒用フィルム。
JP27076994A 1994-11-04 1994-11-04 リサイクル可能な耐水性透明紙および窓開き封筒用フィルム Pending JPH08134795A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003005647A (ja) * 2001-06-20 2003-01-08 Dainippon Ink & Chem Inc 金属光沢層領域を有する紙ラベル

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