JP2004308097A - 剥離紙用原紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリエチレンラミネート紙並に、無溶剤系シリコーンに対する塗工適性を有する上、塗工後のドライヤー工程、仕上げ時のマシンカレンダー工程でのロール汚れやマシンカレンダ工程での断紙を起こすことなく、オンマシン塗工で製造可能である上、古紙として再生することが可能な、クレータイプの剥離紙用原紙を提供すること。
【解決手段】 木材パルプ系繊維を主体とする基紙の少なくとも片面に顔料とバインダーを主成分とする顔料塗工層を設けてなる剥離紙用原紙。該顔料塗工層のバインダーは、トルエンに対するゲル含量が90重量%以上100重量%未満であると共にガラス転移温度が−5〜30℃であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを使用し、且つ王研式透気抵抗度が500秒以上25,000秒以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、粘着ラベル、粘着シール、粘着テープ等に使用する剥離紙に用いられる剥離紙用原紙に関し、特に、基紙上にポリエチレンをラミネートすることなく無溶剤型剥離剤を直接塗布することができると共に、使用後は古紙パルプとして再利用が可能な剥離紙用原紙に関する。
従来、粘着ラベル、粘着シール、粘着テープ等に使用される剥離紙に使用する基材としては、ポリエチレンラミネートタイプ、グラシン紙タイプ、クレーコートタイプ、水系樹脂コートタイプ等の基材が知られている。
これらの基材の中で、シリコーン樹脂等の剥離剤溶液の浸透を抑制し、少量で剥離剤としての性能を最大限に発揮させるために、木材パルプ系繊維を主原料とする上質紙、片艶紙及びクラフト紙等の表面にポリエチレンをラミネートしたポリエチレンラミネートタイプの基材が一般的に用いられている。しかしながら、ポリエチレンフィルムは疎水性であるため、この基材を再度回収し、製紙工程で再生利用することは困難であるので、廃棄処分されているのが現状である。
一方、ポリエチレンラミネートタイプの基材と比較するとシリコーン樹脂等の剥離剤溶液の浸透の抑制はやや劣るものの、高度に叩解したパルプを原料とすることにより剥離剤溶液の浸透を抑制させた、グラシン紙タイプの剥離紙用原紙も用いられている。しかしながら、グラシン紙タイプの剥離紙用原紙は、原料のパルプを極度に叩解して使用する上、カレンダー処理等によって繊維間結合が強固になっているため、離解再生利用しようとしても、水中で容易に分散しないという欠点を有している。さらに、たとえ機械的処理を強化し、あるいは化学的処理を導入することによって水中で分散できたとしても、叩解処理の強化により繊維が著しく損傷している上に、離解処理でさらに繊維の損傷が進行するので、一般の紙の原料として再利用することは困難である。
再生性を有する剥離紙用原紙としては、ポリビニルアルコール、澱粉等の水溶性高分子、あるいはスチレン・ブタジエンラテックス、アクリル・スチレン共重合体等の疎水性樹脂エマルジョンを、単独でまたは2種以上を混合して原紙表面に塗工したもの、あるいは前述の樹脂をバインダーとして顔料と共に塗工したものなど、多くの特許が開示されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許2946794号公報 特開平7−97797号公報 特開平8−144198号公報 特開平10−131094号公報
しかしながら、樹脂のみを単独で、5g/m程度の少ない量を塗工しても、原紙表面の繊維を充分に被覆することができず、繊維間の空隙にクレーター状の凹部が出来るため、そこに粘着剤が食い込んで剥離性が悪化するので好ましくない。また、塗工量を増加させると被覆は充分となるが、これらの樹脂はポリエチレンに比べて高価であるため、原料費が上昇するので実用的でない。また、顔料と共に塗工する場合には、10g/m程度の塗工量で表面の被覆性は充分であるものの、特に顔料/バインダー比が大きいものは、形成された塗工層に微小な空隙が形成され、溶剤が塗工層、更には紙層に進入するので、使用するシリコーン量が増加し、コストアップの原因となる。
また、剥離紙原紙のクレーコートタイプでは、抄紙機によって塗工原紙を抄造し巻き取った後に塗工する、いわゆるオフマシン塗工が一般的であった。オフマシン塗工の場合、ブレードタイプやエアーナイフタイプ等の塗工ヘッドで原紙に塗工液を塗布した後、スキャッフドライヤーに代表されるエアーフォイルドライヤーを用いて塗工紙に熱風を吹き付け、水を除去して乾燥する。塗料が液状の段階では、塗工面はロール等へ接触しない構造をしているため、乾燥の際にロール等へ塗工面が取られてロールを汚すという問題は発生しない。しかしながら、前記したように、原紙の抄紙機と塗工機が異なるため、作業が煩雑でコストアップの原因になっていた。
一方、抄紙機の乾燥機中央部に塗工機が設置され、一回の工程で塗工紙を作製できるオンマシン塗工の場合には、コストダウンが図れる。しかしながら、塗工液を塗工した後の原紙がドラムドライヤーと接触するため、塗工面の乾燥が不十分な状態であると、ドラム上に塗膜が取られたり、ドライヤーカンバスを汚すという欠点があった。特に、塗工層のベタツキが高い場合には汚れが発生しやすい。従って、剥離紙原紙のように、塗工面に空隙を持たない連続被膜が必要とされる場合には、バインダー成分が高配合となりベタツキやすくなるので、オンマシン塗工は不適当であった。
一方、剥離剤としては、シリコーン樹脂と、オレフィン系、長鎖アルキル基含有ポリマー系、及びフッ素系に代表される非シリコーン樹脂があり、エマルジョンや溶剤型または無溶剤型として使用されている。実用上は、剥離性能や経時安定性に優れたシリコーン樹脂が大半を占めている。
日本では、これらシリコーン樹脂を溶剤で希釈した溶剤型シリコーンを剥離紙用基材に塗布するのが一般的である。その理由は、ユーザーの様々な剥離性能の要求に対応するため、剥離剤を塗布する際、溶剤で希釈することにより流動性を適宜調節し、基材表面に剥離剤被膜の均一な層を形成させ、剥離剤の性能を最大限に発揮させることが容易にできるという点にある。しかしながら、近年、PRTRやISO14001との関連もあり、安全面や公害面に対して配慮しなければならないだけでなく、作業者の健康保持の面からも剥離剤の無溶剤化が強く望まれていた。
溶剤型から無溶剤型への転換に伴って、塗工ヘッドも、ダイレクトグラビアやメイヤバーから、オフセットグラビアやマルチロールコーティング方式が主流となるに至った。このような剥離剤塗工量の少量化や塗工ヘッドの変更に対応できるように、基材に対しては従来以上に高度な平滑性が求められ、また塗工層表面に存在する異物を除去することが新たに要求されている。
無溶剤型剥離剤は濃度が100%の状態で塗工されるため、高価なシリコーンを使用する場合には、それを最小限の塗工量で基紙の表面に均一に塗工できるかどうかによって、低コスト化の可否が決まる。従って、基材にはより高い平滑性が必要となる。また、基材に塗布される剥離剤は0.5〜2.0g/mであるため、基材と接触する塗工ロールに異物が存在すると、異物部分については基材に剥離剤が塗工されない。従って粘着剤層を有する表面基材を貼り合わせた粘着シートの使用に際し、粘着剤層を伴った表面基材を剥がすときの剥離力が極度に重くなり、品質面において極めて重大な欠点となる。
塗工ロール上への異物の転写は、ポリエチレンラミネート紙では発生しにくいものの、再生可能な従来のクレータイプ等の剥離紙用原紙においては確認されている。この異物の転写は、剥離剤の浸透を抑えかつ塗工層表面の凹凸や微小な空隙が少なくなるように、塗工層中のバインダーの使用量を多くすることによって、塗工層がベタツキ、このベタツキに起因して、巻き取り保管されている状態で、非塗工面から塗工面へ紙粉等が転移されることによって生じていると考えられる。
一方、溶剤系剥離剤を剥離紙用基材に塗布する場合には、剥離剤が溶剤で希釈されているので塗布量が多くなる。従って塗工面に多少の異物が存在し塗工ロールに付着しても、流動性を有する塗布液によって洗い流されるので、塗工ロール汚れが発生しにくいと考えられる。
上記の理由から、安全面及び公害面で優れている無溶剤型剥離剤の浸透を抑制し、基材表面に均一な薄膜を形成することのできる剥離紙用基材の開発が強く望まれている。さらに、森林資源保護の観点から再生利用可能な剥離紙が強く望まれているが、現状ではこれらの要件を充分満たし得る剥離紙は提供されていない。
そこで、本発明者らは、オンマシンによって安価に製造可能であると共に、マシンカレンダによる高平滑化が容易でかつ再生性を有する剥離紙用原紙を提供すべく鋭意検討した結果、特定のスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスと顔料を用いた顔料塗工層を設けることによって良好な結果を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
従って本発明の目的は、ポリエチレンラミネート紙並に、無溶剤系シリコーンに対する塗工適性を有する上、塗工後のドライヤー工程、仕上げ時のマシンカレンダー工程でのロール汚れやマシンカレンダ工程での断紙を起こすことなく、オンマシン塗工で製造可能である上、古紙として再生することが可能な、クレータイプの剥離紙用原紙を提供することにある。
本発明の上記の目的は、木材パルプ系繊維を主体とする基紙の少なくとも片面に、顔料とバインダーを主成分とする顔料塗工層を設けてなる剥離用原紙であって、該顔料塗工層のバインダーとして、トルエンに対するゲル含量が90重量%以上100重量%未満であると共に、ガラス転移温度が−5〜30℃であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを使用し、且つ王研式透気抵抗度が500秒以上25,000秒以下である剥離紙用原紙によって達成された。上記顔料とスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスの配合割合は、前者100重量部に対して後者15〜45重量部であることが好ましく、また、顔料塗工層の塗工量は、片面当たり4〜13g/mであることが好ましい。
本発明により得られた剥離紙用原紙を使用した剥離紙は、パルプ繊維の離解性に優れるだけでなく、ポリエチレンをラミネートする工程が省略できる上、さらにオンマシン塗工が可能であるために製造原価が極めて安価である。また、トルエン等の溶剤を全く使用しない無溶剤型剥離剤を用いるため、安全面や公害面において優れているという利点を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明で使用される木材パルプ系繊維を主体とする基紙は、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、サルファイトパルプ等の化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプ、リファイナーグラインドパルプ等の機械パルプ、及び、新聞、コート紙、上質紙等から得られる再生パルプ等を、適宜配合して得ることが出来る。また、必要に応じてケナフ、麻、竹等の非木材系のパルプ、ガラス繊維、ポリエチレン繊維等の、セルロース繊維以外の繊維材料を配合することも可能である。
上記基紙の抄紙に際しては、サイズ剤、紙力増強剤、定着剤、歩留まり向上剤、染料等の内添薬品を添加したり、抄紙工程の途中で、澱粉、ポリビニルアルコール等の紙力向上剤、表面サイズ剤、及び染料等を、サイズプレス、ゲートロール等を用いて塗布する等、適宜表面処理を行うことも可能である。内添填料は、紙粉として脱落する恐れがある上、無溶剤剥離紙を塗布する際における、塗工ロールへの混入異物の一つとなりうるため、配合を極力抑えるべきである。
本発明の剥離紙用原紙は、上述した基紙の少なくとも片面にバインダー及び顔料を主成分とする顔料塗工層を設けたものであり、その王研式透気抵抗度は、500秒以上25,000秒以下である。透気抵抗度をこの範囲にすることにより、無溶剤シリコーンに対する塗工適性を良好にすることができると共に、顔料塗工層のオンマシン塗工時の操業性を向上させることが可能となる。透気抵抗度が500秒未満であると無溶剤シリコーン塗工液の顔料塗工層への滲み込み量が多くなり、均一なシリコーン膜が形成されないため、粘着加工後の使用時に剥離強度が重くなる。一方、無溶剤シリコーン塗工に対応するために、オンマシン塗工時にマシンカレンダ処理を行って原紙を高平滑なものとするが、その際、透気抵抗度が25,000秒を超えると、空気が抱き込まれたままカレンダーでニップされる場合が生じるので、紙裂け現象、すなわち断紙が発生し、剥離紙用原紙の製造が困難となる。
本発明においては、バイダーとして、トルエンに対するゲル含量(以下、単にゲル含量とする)が90重量%以上100重量%未満であり、かつガラス転移温度が−5〜30℃であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを使用する。このような高架橋化樹脂を使用することによって、塗料成膜後の塗工面のベタツキを軽減することが出来る。また、高架橋化樹脂は原紙のバリア性を向上させるため、溶剤系シリコーンを塗布する際における、シリコーン塗工液中のトルエンやヘキサン等に対する原紙の耐溶剤性が向上するので、溶剤系剥離紙用原紙としての利用も可能となる。ラテックス中のゲル含量が90重量%未満であると塗工層のベタツキが増すため、塗工後の巻き取り時における非塗工面から塗工面への紙粉の転移が多くなり、無溶剤シリコーン塗工時に塗工ロール汚れが発生する。
本発明においては、無機顔料とスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスとを組み合わせることにより、塗工液を高濃度化しても高せん断力下での粘度を低く抑えることができる。これによって顔料塗工液の基材への塗布が容易となり、生産効率の良いブレードコータによる塗工が可能となったので、コスト的に有利である。また、従来は、基紙を抄紙機によって抄造した後、オフマシン塗工機によって塗工を実施していたが、このことによって処理が煩雑となるため、コストアップの要因となっていた。これに対し、本発明では、抄紙機内に設置された塗工機を用いてオンマシンで剥離紙用原紙を一貫生産するので、製造コストが大巾に低減される。
抄紙機内に設置された塗工機を用いる所謂オンマシン塗工においては、塗料の成膜性が優れるだけでなく、塗工後のドライヤー工程及びマシンカレンダー工程で、ロール汚れを生じないことが必要である。塗料の成膜性は、バインダーのガラス転移温度に依るところが大きい。つまり、ガラス転移温度の低いバインダーを使用するとラテックスと顔料が瞬時に成膜し、強固な膜で基材表面を効率良く被覆するので、基材表面からの物質の浸透を抑制することができる。しかも、塗工後のドライヤー工程やマシンカレンダー工程で、塗工物がロールに付着して、ロールを汚すということもない。これに対して、ラテックスのガラス転移温度が高いと基材表面への被覆性及び成膜性に乏しくなるので、塗工後のドライヤー工程やマシンカレンダー工程でロール汚れが発生する。
従って、本発明で使用するスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを、そのガラス転移温度が−5〜30℃の範囲であるものの中から選択することが必要である。ガラス転移温度が−5℃未満になると、塗工層の粘着性が増加して塗工し難くなる上、再利用する場合の離解性や耐ブロッキング性が低下する。30℃を超えると成膜性が不十分となる為、塗工後のドライヤー工程やマシンカレンダー工程でロール汚れが発生し、また原紙表面の繊維の被覆が不十分となるため、剥離性も悪化する。
本発明における、上記の塗工液中には、剥離紙の性能を落とさない範囲で、公知の他のバインダーを配合することも可能である。
本発明で使用する顔料は特に制限されるものではないが、一般の印刷用塗工紙に使用されている無機顔料の中から適宜選択することができる。このような無機顔料としては、例えばカオリン、タルク、クレー、二酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、ホワイトカーボン等が挙げられる。また、尿素樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機合成顔料を適宜配合することもできる。
顔料とバインダーの配合比は、顔料100重量部に対して、バインダーであるラテックスが15〜45重量部の範囲であることが好ましい。バインダーが45重量部を超えると、造膜性の良い合成ラテックスの比率が高すぎるので、剥離紙として使用した後の再利用に際するパルパーによる離解性が劣るため、製紙原料として再利用することが困難になる。また、バインダーが多すぎると剥離紙原紙表面のベタツキをより助長するため、シリコーン加工時の塗工ロール汚れが生じる。
一方、バインダーが15重量部未満であると、顔料と顔料の空隙に樹脂を充分に充填することができず微細な空隙が多数発生するので、無溶剤型シリコーン剥離剤の溶液が顔料塗工層及び基材内部に浸透することを抑えることが出来ない。従って、均一なシリコーン層を得るために、高価な無溶剤型シリコーン剥離剤の塗工量を増加させなければならないのでコストアップとなる。
顔料塗工層の塗工量は片面当たり4g/m以上13g/m以下の範囲であることが好ましい。4g/m未満であると基材表面のパルプ繊維間の空隙を完全に目留めすることが出来ないため、無溶剤型シリコーン剥離剤の基材内部への浸透を抑えることが出来ない。また、塗工量が13g/mを越えても塗工量の増加に伴う品質の向上が期待できないので不経済である上、塗工面のベタツキや離解再生性の観点からも好ましくない。また、透気抵抗度も高くなるため、断紙が発生し易くなる。
顔料塗工層には、必要に応じて澱粉、ポリビニルアルコール、アクリル系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル系共重合体ラテックス、酢酸ビニル系共重合体ラテックス等のバインダーを配合することも可能である。また、必要に応じて、顔料塗工液中に分散剤、耐水化剤、潤滑剤、消泡剤、防腐剤、染料等を適宜添加することも可能である。
剥離紙用原紙を剥離紙に加工するために使用する無溶剤型シリコーン剥離剤としては、熱硬化型シリコーン化合物、紫外線硬化型シリコーン化合物、電子線硬化型シリコーン化合物等が挙げられる。これらの剥離剤を剥離紙用原紙に塗工する方法としては、マルチロールコーター、グラビアコーター等が使用される。この場合の塗工量は0.5〜2.0g/m程度、より好ましくは0.5〜1.5g/m程度の範囲で適宜調節される。なお、塗工量が0.5g/m未満では剥離剤層としての作用効果に劣り、2.0g/mを越えると経済的な面から実用性に乏しい。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、例中の部及び%はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。また、塗布量、部数、混合割合等は全て固形分で表した。
また、ここでいう、透気抵抗度、塗工層のベタツキ、剥離層の被覆性及び離解性は、下記の方法によって評価した。さらに、抄紙機のドライヤーやカンバス等のマシン汚れ、マシンカレンダ部での断紙の状況、無溶剤型シリコーン剥離剤塗工時における顔料塗工層と接する塗工ロール汚れの状況を確認した。
<透気抵抗度>
Japan Tappi No.5に準じて測定した。
<塗工層のベタツキ>
剥離紙原紙の顔料塗工層とアルミ箔を、ロール温度が70℃のテストカレンダーで処理して貼合紙を得た。この貼合紙から、抄紙機の流れ方向を長辺とする20mm×250mmのサンプルを作製し、テンシロンRTC―1210A型(ORIENTEC社製)を用い、剥離速度0.3m/分の試験条件で、流れ方向に180度の引張り角度で剥離させたときの剥離力を測定した。
<剥離剤層の被覆性>
オイルレッドをトルエンに溶解して染色液を作製した。この染色液を、試料である剥離紙の剥離剤層上に均一に塗布し、2秒後にガーゼにより拭き取った後、班点状のピンホールを観察してその被覆効果を判定した。
<離解性>
Tappi標準の離解機を用い、試料濃度1.5%、容量2.0リットル、離解時間10分間としたときの剥離紙試料の離解の程度を評価した。
各評価結果を表1に示す。
〔剥離紙用原紙の製造〕
それぞれフリーネス450mlに叩解したLBKP90部とNBKP10部のパルプサスペンジョンに、サイズ剤としてロジンサイズ剤(商品名「サイズパインE」,荒川化学工業(株)製)を絶乾パルプに対して0.5%添加した。このパルプスラリーに硫酸バンドを添加して定着させた後、長網多筒式ドライヤ抄紙機で抄紙した。
この原紙に、抄紙機の乾燥機中間部に設置されたブレードコータによって、固形分濃度が60重量%の下記塗工液を、塗工量が7g/mとなるように片面に塗工した。更に、同長網抄紙機のマシンカレンダー処理を行って、平滑度が250秒で坪量が80g/mの剥離紙用原紙を作製した。
塗工液:顔料としてカオリン(商品名:アマゾンプラス、Cadam社製)100重量部、バインダーとしてゲル含量が95%で、ガラス転移点が10℃のスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス35重量部、及び、分散剤、消泡剤、潤滑剤を適宜配合した。
〔剥離紙の製造〕
加熱付加反応型無溶剤シリコーン剥離剤(信越化学工業(株)製:KNS−320)100部に対して触媒(信越化学工業(株)製:PL−56)2部を添加したシリコーン樹脂液を作製し、前記剥離紙用原紙の顔料塗工層上に、マルチロールコーターで1.0g/mとなるように塗布した後、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
実施例1の剥離紙用原紙に使用したスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス35部の代わりに、ゲル含量が97%でガラス転移温度が5℃のスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス30重量部を使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして原紙を作製し、シリコーン樹脂液を塗工し、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
実施例1の剥離紙用原紙に使用したスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスの配合部数を25重量部としたこと以外は、実施例1と全く同様にして原紙を作製し、シリコーン樹脂液を塗工し、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
実施例1の剥離紙用原紙に使用したスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスの配合部数を20重量部とし、剥離紙用原紙の塗工層の塗工量を11g/mに変更したこと以外は、実施例1と全く同様にして原紙を作製し、シリコーン樹脂液を塗工し、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
比較例1.
実施例1の剥離紙用原紙に使用したスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスの代わりに、ゲル含量が80%でガラス転移温度が0℃のスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして原紙を作製し、シリコーン樹脂液を塗工し、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
比較例2.
実施例1の剥離紙用原紙に使用したスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスの代わりに、ゲル含量が95%で、ガラス転移温度が−20℃のスチレン・ブタジエン共重合体ラテックスを使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして原紙を作製し、シリコーン樹脂液を塗工し、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
比較例3.
実施例1の剥離紙用原紙に使用したスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスの配合部数を60重量部としたこと以外は、実施例1と全く同様にして原紙を作製し、シリコーン樹脂液を塗工し、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
比較例4.
実施例1の剥離紙用原紙に使用したスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスの配合部数を13重量部としたこと以外は、実施例1と全く同様にして原紙を作製し、シリコーン樹脂液を塗工し、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
比較例5.
実施例1における剥離紙用原紙の塗工層の塗工量を3g/mに変更したこと以外は、実施例1と全く同様にして原紙を作製し、シリコーン樹脂液を塗工し、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
比較例6.
実施例3における剥離紙用原紙の塗工層の塗工量を15g/mに変更したこと以外は、実施例3と全く同様にして原紙を作製し、シリコーン樹脂液を塗工し、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
比較例7.
市販の剥離紙である片面ポリエチレンラミネート紙(基紙坪量75g/m、ラミ厚15μm)に対し、実施例1と全く同様にしてシリコーン樹脂液を塗工し、熱風で乾燥硬化させて剥離紙を得た。
表1から明らかなように、本発明の剥離紙用原紙は、ベタツキが少ないだけでなく剥離剤層の被覆性及び離解性も良好であった。また、抄紙機のマシン汚れや塗工ロールの汚れが少なく、断紙の発生も少なかった。
以上の結果から明らかなように、本発明の剥離紙用原紙は、特に無溶剤型剥離剤に対してポリラミネート紙に匹敵する加工性を有し、ポリラミネート紙にはない機能である離解再生性のあることが実証された。また、安価な填料と樹脂との組み合わせに加え、生産効率が優れた汎用のブレードコータで、しかもオンマシン塗工が可能であるため、非常に安価に製造が可能となる。これらの点から、本発明は実用上極めて有益である。
本発明の剥離紙用原紙は、ポリエチレンラミネート紙並に無溶剤系シリコーンに対する塗工適性を有すると共に、塗工後のドライヤー工程、仕上げ時のマシンカレンダー工程でのロール汚れやマシンカレンダ工程での断紙を起こすことなく、オンマシン塗工で製造可能である上、古紙として再生することが可能である。また、本発明により得られた剥離紙用原紙を使用した剥離紙は、パルプ繊維の離解性に優れるだけでなく、ポリエチレンをラミネートする工程が省略でき、さらにオンマシン塗工が可能であるために製造原価が極めて安価である上、トルエン等の溶剤を全く使用しない無溶剤型剥離剤を用いるため、安全面や公害面において優れているという利点を有するので、本発明は極めて有用である。

Claims (3)

  1. 木材パルプ系繊維を主体とする基紙の少なくとも片面に顔料とバインダーを主成分とする顔料塗工層を設けてなる剥離紙用原紙であって、該顔料塗工層のバインダーとして、トルエンに対するゲル含量が90重量%以上100重量%未満であると共にガラス転移温度が−5〜30℃であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを使用し、且つ王研式透気抵抗度が500秒以上25,000秒以下である剥離紙用原紙。
  2. 顔料塗工層が、顔料100重量部に対してスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを15〜45重量部含有する、請求項1に記載された剥離紙用原紙。
  3. 顔料塗工層を、抄紙機の乾燥機中央部に設置された塗工機によって、片面当たり4〜13g/mの塗工量となるように塗工してなる、請求項1〜3のいずれかに記載された剥離紙用原紙。
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