JPH0797650B2 - アノード側p領域と、隣接する低ドーピングされたnベース領域とを有する半導体構成素子 - Google Patents

アノード側p領域と、隣接する低ドーピングされたnベース領域とを有する半導体構成素子

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JPH0797650B2
JPH0797650B2 JP62505703A JP50570387A JPH0797650B2 JP H0797650 B2 JPH0797650 B2 JP H0797650B2 JP 62505703 A JP62505703 A JP 62505703A JP 50570387 A JP50570387 A JP 50570387A JP H0797650 B2 JPH0797650 B2 JP H0797650B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は請求範囲1の上位概念による半導体構成素子に
関する。
電力整流器ダイオードはP+NN+領域構造を有し、従つて
P−ないしN−導電形の2つの高ドーピングされた領域
(これら領域は半導体デイスクの表面に隣接している)
と、その間に位置する低ドーピングされた1つの領域
(これは一般にN導電形を有する)とから成る。
高速整流器ダイオードにより要求されることは十分小さ
い順方向電圧と十分小さい阻止電流のほかに、次のこと
がある、即ち導通状態から転流の際逆方向電流ピーク及
び蓄積時間が小さく、かつ株に逆方向電流最大値のほう
に向つての逆方向電流の低下がわずかな急峻度で行なわ
れる(ソフト−リカバリー特性)ことである。このこと
を或程度まで行なわせ得る公知手段によれば、金、白金
又は、電子−,ガンマ−,又はプロトン照射により生ぜ
しめられた欠陥のような再結合中心によるキヤリア寿命
の低減に存する。
上記手法の欠点は阻止電流が再結合中心密度に比例して
増大し、特に有効な再結合レベルのもとでバンドギヤツ
プの中心の付近で過度に高いものとなり得ることであ
る。このような現象ないし作用は金(これはその他の有
利な特性のため最も頻繁に用いられる)の場合、比較的
に高い温度下で極めて不都合な影響を及ぼすのである。
上記現象ないし作用により、許容金濃度、ひいてはリカ
バリ(回復)特性の改善度が制限される。
順方向電圧を考慮しても、再結合中心密度は過度に大で
あつてはならない、すなわちキヤリヤ寿命は過度に小に
選定されてはいけない。
(D両極性拡散定数、高注入の際のτキヤリヤ寿命)が
2より大である場合、順方向電圧は により指数関数的に上昇し、過度に大になる。リカバリ
特性にとつて重要な蓄積電荷も、τと共に下方に向つて
制限される。付加的制限を加えるのは、過度補償の回避
をするには再結合中心濃度はNベース領域の通常の伝導
性ドーピング(これは所望の阻止能によつて定められ
る)を著しく下回わらなければならないことである。こ
の条件が充足されない場合は電流パルス印加の際当初過
度に高いダイナミックな電圧ピークが生じ、順方向特性
回復時間(この時間の後順方向電圧は初期の高まりの10
%を除いて定常値に近づいている)は過度に大となる。
このことからも、調整すべきキヤリヤ寿命に対して、下
回つてはいけない下限が設けられる。この条件は多くの
場合、定常的順方向特性による制限より厳しいものであ
る。
再結合中心の局在分布は一般にそれぞれの技術如何によ
つて定められ、要するに、最適の整流器特性に必要なよ
うにそのまま選定されるわけにはゆかない。プロトン照
射の手法の場合のみ著しく好都合な中心分布が得られる
ものの、そのようなプロトン照射法は高価な手法であつ
て、これまで半導体構造には使用されない。他の照射方
法も、それによつては一般には製造工場にてもキヤリヤ
寿命調整を行ない得ないという欠点がある。
整流器ダイオードのリカバリ特性の改善のため、ヨーロ
ツパ特許出願公開第0090722号公報から公知の半導体構
造では低ドーピングされたN−ベース領域と高ドーピン
グされたN+−区域との間に、1014〜1016/cm3の範囲内に
ある平均的ドーピング濃度のN−領域が設けられてい
る。上記の中間領域の作成のためは著しい技術的コスト
が必要であると、それというのは上記領域は出発シリコ
ンにてエピタキシヤル成長により作成されるか又は付加
的拡散手段により近似せしめられなければならないから
である。殊に、ダイオード特性のそのようにして行なわ
れ得る改善は極く些細なものである、それというのは空
間電荷領域の構成は急激な電圧上昇の際逆方向電流ピー
クの時に、構造(ストラクチユア)におけるアノードに
流れる自由ホールによつて決定され上記のホールにより
正の空間電荷が著しく高められるからである。従つて、
空間電荷領域は逆方向電流ピークに達すると短時間では
平均的ドーピング濃度領域のところまで突き抜けず、そ
の結果逆方向電流が既に小さくなつているときはじめて
当該領域はリカバリ(回復)特性に作用を及ぼす。
さらに、PNN+−整流器ダイオード(TEEE Trans.Electro
n Dev.ED−31、1984年第1314頁)ではラテラル(横方
向)で小さなチヤネル領域区分にてアノード側P領域の
厚さW及び、ドーピング濃度Pはわずかである、例えば R=5×1015/cm3,かつW=1μm 他の面領域区分では遥かに大である、例えば P=4×1018/cm3,且W=5μm である。チヤネル領域区分のラテラル(横方向)寸法は
(拡がり)2μmのオーダである。わずかなドーピング
濃度及び厚さのP領域−各区分によつては順方向(導
通)動作の際Nベース領域のP側にて注入荷電キヤリヤ
のわずかな濃度が生ぜしめられ、それにより良好なリカ
バリ特性を得るものである。逆方向(遮断、阻止)負荷
の際はチヤネル領域区分がスタチツクに遮蔽され、その
結果空間電荷領域はP領域のわずかなドーピング濃度及
び厚さにも拘らず当該の領域区分にて表面のところまで
は突き進まない。上記構造の欠点となるのはそのように
してはたんにほぼ150Vまでの阻止能しか得られず、当該
構造は高電圧にも不適であるそれというのは順電圧が過
度に大になるからである)。また、別の欠点となるのは
ラテラルのP領域構造(ストラクチユア)における個々
の偏差及び欠陥によつて阻止能の著しい損失が惹起さ
れ、その結果その種の大面積ダイオードの場合の不良発
生率が過度に大になり経済性の点で適用上問題が起こ
る。
高速サイリスタにより要求されるのは、小さなターンオ
フ時間のほかに、伝導(導通)状態からの転流の際逆方
向電流ピークが小さくかつ逆方向電流積分値が小さいこ
とである。この要求は整流器ダイオードについて前述し
た如く、公知のサイリスタでは再結晶中心を以てのドー
ピングによつては不十分にしか実現、充足されない、そ
れというのは十分な順方向(導通)特性及び十分小さい
逆方向(阻止)電流という付随的必要性に基づきそれの
適用可能性が制限されているからである。
本発明の目的ないし課題とするところは、アノード側P
領域と、隣接する低ドーピングされたN領域とを有する
半導体構成素子であつて、良好な順方向(導通)特性及
びわずかな阻止電流と、転流の際の改善されたリカバリ
特性とを併せ備え、且つ、広い電流−、電圧領域に対し
て技術的に簡単に作成され得るものを提供することにあ
る。
上記課題は請求範囲1中の特徴事項の構成要件により解
決される。
本発明の有利なほかの構成態様は従属クレーム中に規定
されている。
本発明により達成される利点とするところは当該半導体
構成阻止において、逆方向電流ピークが著しく低減さ
れ、かつ、最大値に向つての逆方向電流の低減が平坦で
あることにある。逆方向(阻止)電流は低減され、その
結果この半導体構成阻止は比較的高い動作温度に対して
も使用され得る。更に、この半導体構成素子は技術上高
価な照射法を用いず、且、FET素子に必要なマスキング
精密技術なしで大きな面積でも高い収率(歩留り)で作
成可能である。
次に図示の実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
第1図は本発明の基本的な整流器ダイオード構造及び同
上各領域における荷電キヤリヤ分布の特性経過を示す。
第2図は本発明の整流器ダイオード及び従来技術のそれ
における逆方向電流の時間的特性経過のダイヤグラムを
示す。
第3図は本発明による整流器ダイオードの構成を示す。
第4図は第3図により構成された整流器ダイオードにお
ける領域構造のドーピングプロフアイルを示す。
第5図は種々の導通電流密度のもとでの第3図の整流器
ダイオードにおける注入された荷電キヤリヤの分布状態
を示す。
第6図は高い及び低いP−エミツタ効率の横方向(ラテ
ラル)に交番する領域区分を有する本発明の整流器ダイ
オードの別の構成を示す。
第7図は種々の電子流密度の場合における第6図の整流
器ダイオードにおけるホール濃度のラテラル(横方向)
分布状態を示す。
第8図は第6図の整流器ダイオードの高いPエミツタ効
率の領域区分の半径に依存しての注入されたホール濃度
の最大値を示す。
第9図は種々の導通電流密度の場合における第6図の整
流器ダイオードにおける注入された荷電キヤリヤの分布
状態を示す。
第10図は本発明の整流器ダイオードの別の構成を示す。
第11図は第10図により構成された整流器ダイオードにお
ける領域構造のドーピングプロフアイルを示す。
第12図は本発明のサイリスタの構成を示す。
第1a図はリカバリ特性の改善のためのP−領域2にて電
子シンクSを有する整流器ダイオード1を示す。電子シ
ンクは表面によつて、又は、後述するように、P−領域
2中におけるN−領域によつて形成され得る。その際P
−領域2は電子シンクSの前のところで次のように低く
ドーピングされている。即ち、順方向負荷の際高注入区
域が、電子シンクSの近くのところまで達するように低
くドーピングされている。但し、電子シンクの前のとこ
ろでのドーピング濃度は阻止方向負荷の際空間電荷領域
が電子シンクのところまでは延び(拡がら)ないように
するのに十分なものである。詳細には図示してないが、
P−領域2はオーム接触接続のため表面にて少なくとも
部分領域区分にて高いドーピング濃度の領域を有する。
P−領域2につづいて、内側に向つて、低ドーピングさ
れたN−ベース領域3が、またこの領域3につづいて、
高ドーピングされたN+領域4がつづいている。
第1b図のダイヤグラムには順方向動作(t=0)の際及
び転流切換の開始後種々の時点における第1a図のダイオ
ードにおける電子−、ホール分布状態を示す。無段可能
なドーピング濃度を有する高注入領域区分にて電子濃度
nと、ホール濃度Pは等しい。nとPの各特性カーブは
たんにNN+接合部J2にてドーピング濃度NDの上昇と共に
益々相互に離れていく。
ダイヤグラムから明かなように、P−領域2にて設けら
れた電子シンクSにより、順方向負荷の際PN−接合部J1
の領域区分においてP−側にて、注入された荷電キヤリ
ヤの濃度の著しい低下が生ぜしめられる。PN接合J1′に
おける荷電キヤリヤ濃度は例えばたんにほぼ2×1616/c
m3であるが、NN+接合部J2にては1×1017/cm3より大で
ある。そのような非対称的に荷電キヤリヤ分布に基づき
転流過程の際PN接合部J1から迅速に荷電キヤリヤが消失
する。このことは転流切換の開始後t=1.4μs,1.8μs,
2.2μsに対する荷電キヤリヤ分布から明らかである。
t=1.4μsにおいて既に、PN接合部J1の比較的近い周
囲における注入された荷電キヤリヤの濃度は零に等し
く、その結果空間電荷領域、及び外部電圧と逆向きの相
応の阻止電圧が形成されている。逆方向電流irは阻止電
圧印加と共に低下し始めるので、逆方向電流ピークの到
達までの時間はわずかであり、それにより、一定のdi/d
tをもつての通常の転流の際わずかな逆方向電流ピーク
さえも生ぜしめられる。ただし、ダイオードにおける既
に高い電圧にも拘らず、N−ベース領域区分にてN−領
域4の付近にてなお多くの電荷が第1図にも同様に示さ
れているように蓄積されている。従つて電流は急峻には
途切れ(瞬断され)得ず、従つて、整流ダイオードの第
2図に示されているソフト−リカバリ特性が得られる。
第2図ではカーブaは従来技術の整流ダイオードにおけ
る逆方向電流irの時間経過を示し、カーブbは本発明の
整流器ダイオードにおける逆方向電流の時間的経過を示
す。図から明かなように、本発明の整流器ダイオードに
おいては逆方向電流ピークcが著しく低減され、最大値
に向つての逆方向電流irの減少状態は一層フラツト(平
坦)に経過している。
本発明の整流器ダイオードについて述べたことは実質的
に、順方向動作の際の類似の荷電キヤリヤ分布を有する
サイリスタの転流切換についても成立つ。
第3図の整流器ダイオードの構成の場合P領域2は低ド
ーリングされた厚みのある内部P−部分領域2aと、薄い
高ドーピングされたP+表面領域2bとから成り、この領域
2bにより半導体デイスクが支持板7上に合法ないしろう
付で接合されている。P−部分領域2aには低ドーピング
されたNベース領域3と、これにつづいて高ドーピング
されたN+領域とがつづいている。このN+領域はその表面
にてオーム接触接続層9を有する。P−部分領域2aとN
ベース領域3との間のPN接合部には阻止電圧が印加され
る。表面パツシベーシヨンのために整流器ダイオードは
ベベリングを有する。
第4図に示す、第3図の整流器ダイオードのドーピング
プロフアイルから明かなように、P領域2の低ドーピン
グされた領域区分2aはたんに 1×1015/cm3〜1×1016/cm3 の表面濃度を有する。その厚さは例えば40μmである。
阻止方向負荷の際空間電荷領域Rはたんに当該領域内に
P側にてひろがるのみであり、要するに、最大の阻止方
向負荷の際でも表面までは達しない。このような全般的
に拡散された領域により公知のように高い阻止能が得ら
れる。これに反して、順方向動作の際、平均的ないし高
注入荷電キヤリヤ濃度の区域は小さな電流密度例えば5A
/cm2からもうすでに、表面のすぐ近くのところまで達
し、その結果上記表面は実効電子シンクとして作用する
薄いP+表面領域2bはたんにオーム接触接続のために用い
られ、それに十分なドーピング濃度を有する。その時そ
の濃度は概して3×1017/cm3より大である。表面領域2b
の厚さは次のような小さな値に選定される、即ちN+領域
4から到来する電子が当該表面領域により、この表面に
おける電子シンクのところへ流れ(ここでは上記電子は
再結合し又はトンネルプロセスにより金属中に移行す
る)るのをわずかな程度しか妨げられないような小さな
値に選定されている。有利には厚さは2μmより小、例
えば0.2μmに等しい値にされる。第1図を用いて説明
したように、P−側にて荷電キヤリヤ濃度は例えば5A/c
m2を上回る電流の際著しく低減される。それにより、リ
カバリ特性の所望の改善が行なわれ得る。順方向電圧
(これは再結合中心によつても、本発明のP領域2の構
成においても高められる)の点で可能な限り、整流器ダ
イオードは有利に付加的に再結合中心でドーピングされ
る。この理由から再結合中に密度が同等の対比可能な公
知の整流器ダイオードにおけるよりわずかであるので、
阻止電流も相応してよりわずかなものとなる。
最大の逆方向(阻止)負荷の際の空荷電荷領域Rはなお
低ドーピングされたP−部分領域2a内に延びており、他
方では平均的且高い注入(率)の区域が順方向負荷の際
表面の近くのところまで達するという条件はドーピング
積分値 Nint=∫Ndx すなわち、P−部分領域2aへの、ドーピング原子の面被
覆度を用いて表わされ得る。阻止能力を確保するにはN
intはほぼ1.3×1012/cm2より大に選定され、ダイオード
の順方向極性付けの際当該表面が有効な電子シンクを形
成するにはNintはほぼ1×1013/cm2より小にすると好適
である。
次にこの1×1013/cm2の数値の根拠を説明する。
P領域のドーピング積分値は空間電荷領域の、金属接触
部へのパンチスルーが生じない位に十分に大きくする必
要がある。しかし他方、導通時相において陽極側のベー
ス領域における電荷担体濃度をできるだけ小さくするた
めに、ドーピング濃度は不必要に大きくしてはならな
い。空間電荷領域におけるP領域のドーピング濃度は次
の式で与えられる。
この式はポワソンの式εε0dE/dx=qNAから得られる。
ただしEmはPn接合における電界の最大値である。
ブレークダウン電圧の場合、Emは臨界電界強度Ecrに等
しい。
Em=Ecr=2×105v/cmにより、前述の式の右辺の値は1.
3×1012/cm2となる。この数値は請求の範囲1に下限値
として示されている。
P−部分領域2aの面積抵抗Rに対する次の条件はほぼ同
意味を有する。
1.5KΩRO10KΩ 比較的に大きな阻止作用を有する構成素子において良好
な収率ないし歩留まりを得るにはP−部分領域2aの厚さ
を5μmより大に選定すると有利である。パッシベーシ
ョン及び順電圧と関連する理由から、他方では厚さは70
μmより小に選定すると有利である。ドーピング積分値
及び面積抵抗に対する条件を考慮して、P−部分領域2a
の最大ドーピング濃度は有利に1×1015/cm3〜2×1016
/cm3に選定するとよい。
明らかになったことは第3図及び第4図の整流器ダイオ
ードは再結合中心での適合ドーピングのもとでほぼ1000
Vの阻止能力に対してまで、順方向特性に関する要求を
充足し、よって、全体的に従来技術に比しての格段の改
善を成す。比較的高い阻止電圧用にN−ベース領域3の
設計構成の際、ほぼ200A/cm2の動作上の電流負荷に対す
る順方向電圧は余り大でないN−ベース厚のものとでな
お常に許容限界内にあるが、過電流動作(経路動作)の
場合生じるような高い電流密度の際の順方向電圧は予期
せずに著しく増加し、その結果過電流に対する耐久性
(耐量、耐力)が著しく低減される。それの原因を第5
図を用いて説明する。この第5図中では第3図及び第4
図の整流器におけるホール分布が種々の順電流密度に対
して示してある。ドーピング経過は破線で示してある。
200A/cm2の動作電流密度に対して、図示の非対称的ホー
ル分布が生じこの分布は低ドーピングの領域にて電子分
布と一致する。電流増大と共に荷電キヤリヤ濃度は先ず
増大し、このことは1000A/cm2に対するカーブとの対比
から明らかである。さらに上昇する電流と共に、N−ベ
ース領域3のP側における低減された荷電キヤリヤ濃度
の区域が、Nベース領域3のN+側領域半部内にまで拡が
り、このことは5000A/cm2に対するカーブから明らかで
ある。当該ダイオードにおける蓄積された電荷はもはや
増大しないので、電流と共に電圧の著しい増大、よつ
て、過電流に対するわずかな耐量(耐力)が生じる。
P領域2a(第3図、第4図)の表面濃度の上昇により、
高い電流密度のもとでの荷電キヤリヤ濃度の相応の増
大、もつて、過電流耐力の改善が行なわれる。高ドーピ
ングされた表面領域2bの厚さの増大によつても所定の過
電流耐力(耐量)が得られる。両手段によつてもリカバ
リ特性は損なわれる、それというのは表面における電子
シンクの効率及びそれにより荷電キヤリヤ分布の非対称
性が動作電流のもとで低減されるからである。それにも
拘らず、そのようにして第3図及び第4図の整流器構造
により所定の許容の過電流のもとで、公知の整流器ダイ
オードによるよりも良好なリカバリ特性が得られる。
一層の改善が次のようにして得られる、即ち電子シンク
5が面状にP領域2の部分領域区分においてのみ有効で
ある(作用状態におかれる)ように配置され、一方、中
間領域区分におけるP領域2の注入能力(率)が高いも
のであるようにするのである。このような装置構成は第
6図の整流器構造に示されている。N+領域4(この領域
によつては半導体デイスクが伝導性状態で支持板7に被
着されている)には低ドーピングされたN−ベース領域
3がつづき、この領域3にはP領域2がつづき、このP
領域2はその表面にてオーム接触接続層9を有する。P
領域2は連続している低ドーピングされた部分領域2a
(これは第3図の整流器ダイオードにてNベース領域3
と共に阻止作用をするPN接合部J1を有する)のほかに、
薄い高ドーピングのP+領域2bを有しこの領域2bは当該領
域区分にて接触接続のために用いられ、部分領域区分C
にて比較的厚い高ドーピングのP+領域2c(これは高いエ
ミツタ効率を有する)を有する。P領域2は領域区分B
にて第3図及び第4図の整流器ダイオードにおけるよう
なドーピング経過を有する。低ドーピング部分領域2aの
ドーピング濃度及び高ドーピング部分領域2bの厚さのも
とで過電流耐力を考慮する必要はない、それはそのよう
な過電流耐力は領域2cによつて得られるからである。
領域区分BにおけるP領域は薄い表面領域2bを除いて低
ドーピングされているので、平均的から高い注入率の荷
電キヤリヤ濃度の領域が順方向動作の際表面のすぐ近く
のところまで達し、その結果この表面は領域区分にて有
効シンクとして作用する。シンクSによりPN接合部J1
おける横方向に平均化された荷電キヤリヤ濃度の著しい
低下が生ぜしめられ、その結果リカバリ特性は公知整流
器ダイオードに比して著しく改善されている。高ドーピ
ングされたP+領域2cによつては第3図の整流器ダイオー
ドに比して過電流耐力の改善が行なわれる、それという
のは当該の領域2cによつては電流と共に蓄積された電荷
の増大が行なわれ、一方、第3図の整流器ダイオードの
蓄積電荷は高い電流密度のもとでたんに極くわずかに又
はもはや増大しない(第5図に関連して述べた如く)か
らである。第6図の整流器ダイオードにおける電流と共
に蓄積電荷の増大はさらに次のようにして促進増強され
る、即ち、電流は増大すると共に小さいP−エミツタ効
率を有する領域区分Bから高いPエミツタ効率を有する
領域区分C中に益々移行する(その理由はその伝導性が
そこでは上昇するからである)ようにするのである。領
域区分B(ここでは電流密度は所与の全電流のもとで、
均質な電子シンクを有する第3図の整流器ダイオードに
おけるより小さい)では、過電流の場合、低減された電
流密度により極くわずかしか又は全く低減されない(第
5図)。第6図の整流器ダイオードにおける比較的高い
蓄積電荷により、面全体に亘り積分される全損失電力の
みならず、局所的損失電力が、高い電流密度の領域区分
Cにて所与の全電流のもとで低減され、その結果許容過
電流が高められる。リカバリ(回復)過電流複合特性は
良好に注入を行なうP+領域2cのない電子シンクの均質な
配置構成に比し改善されている。それというのは、通常
の動作電流のもとでの蓄積電荷と、過電流の場合におけ
るそれとの比はより小さいからである。このことは次の
ような場合に比しても成立つ、即ち低ドーピングされた
領域2dの表面濃度又は高ドーピングされた領域2bの厚さ
(第3図及び第4図)が幾らか高められて、それによ
り、第3図の整流器ダイオードにおいて比較的高い過電
流耐量が得られる場合に比しても成立つ。
詳細には示してないが、第6図の半導体デイスクはP領
域2が支持体7に当接し、一方、N+領域4は接触接続層
9を有するようにしてもよい。
領域2cにより得られる改善について述べたことについて
は当該領域の周辺(周縁)における作用は、現象は考慮
しなかつた。P+P接合部J3はP+領域2cの周辺では金属層
9によりほぼ熱平衡状態におかれるものとしてある。そ
れにより、上記領域は周辺では注入されない。周縁から
離隔していくとはじめてP+P接合部J3は整流器ダイオー
ドの順方向極性づけの際電子流(これはP領域2aにおけ
る接合部J3に沿つて電子シンクSのほうへ流れる)によ
り益々順方向に極性づけられる。横方向に可変の注入率
により、P+領域2cへの境界部でのP領域2aにおけるホー
ル濃度の局在的変化が生ぜしめられる。30μmの半径を
有する円形状のP+領域2cに対してはPN接合部J1における
領域区分における種々の垂直方向電流密度jnxが第7図
に示してある。P+領域2cのすぐ前のところにおけるP領
域2aのドーピング濃度はPo=5×1015/cm3であり、電子
シンク(表面)はP+P接合部J3の平面においてP+領域2c
につづいている。図から明かなように、周縁におけるホ
ール濃度Pはr=raの場合P領域2aのドーピング濃度P0
に等しく、中央においては(r=0の際)Pは最大値Pm
をとる。r<raに対する注入ホール濃度は比較的大きな
電流に対して電子電流密度jnxと共に著しく増大する。
このことは同じようにして、全電流密度との関連性に対
しても成立ち、その際その全電流密度は付加的にホール
電流を含み、よつて、比較的に大である。
jnx=200A/cm2までは領域2aでは当該面に亘つて平均化
されたホール濃度(これはリカバリ特性を定める)は
まだ大しては上昇していない。P+領域2cがアノード側面
積全体の例えば1/3を占める場合、第7図の例jnx=200A
/cm2では面(積)に亘つて平均化された濃度は先ずは
Poより略50%位大である。但し、jnx=1000A/cm2の場
合、は同条件下でほぼ300%だけより大であり、5000A
/cm2の場合ほぼ20倍だけより大である。著しく高い電流
密度の場合PN接合部J1における最大値Pm及び平均化され
た荷電キヤリヤ濃度は全体的に同じ面積割合部分を有
する唯1つの又は比較的に少数の大面積のP+領域2cの場
合におけるホール濃度に近似する、それというのは高い
電流密度の場合における周縁作用が減少するからであ
る。
P+領域2cの半径raが,r=0の場合における最大注入ホー
ル濃度Pm−POの関係性は第8図にて領域区分Cにて2つ
の電流密度jnxに対して示してある。200A/cm2に対する
カーブは動作順方向電流密度に対するP+領域2cの注入能
率を表わし、一方、5000A/cm2に対するカーブは過電流
負荷の際のP+領域2cの注入度を表わす。Pm−Poは先ずra
と共に著しく増大し大きなraの場合、P+領域の体積特性
により与えられる飽和値に移行する。明かなように、動
作電流のもとでの注入ホール濃度と、過電流負荷の際の
それとの比が、小さな半径raの選定により、大面積のP+
領域2cの場合におけるホール濃度(飽和領域)の比より
遥か以下に低減され得る。有利にはraは次のように選定
される、即ち動作電流のもとでのホール注入度が最大許
容順電圧に必要なだけの大きさであり、一方逆電流のも
とでのホール注入率が飽和値にできるだけ近づくように
選定される。両条件が同時には十分には満たされない場
合、次のような妥協点が見付けられなければならない、
すなわち、整流器ダイオードの所定の使い方に応じて最
大の過電流耐量の値へより一層近い値、又は最良のリカ
バリ特性へより一層近い値の得られる妥協点が見付けら
れなければならない。いずれにしろ動作電流のもとでの
ホール注入度が、同じ面積割合部分を有する大面積P+
域2cの場合に比して著しく低減され得、その際過電流耐
量は損なわれない。過電流の際の横方向に平均化された
注入度が、ほぼ限界値に達すると、比較的小さい多数の
P+領域を使用した場合における過電流耐量は高められさ
えする、それというのは損失電力が半導体面に亘つて一
層均一に分布され、よつて熱放出が改善されるからであ
る。動作電流のもとでのP領域2の注入度の著しい減少
に基づき、高い過電流耐量にも拘らず、著しく改善され
たリカバリ特性が得られる。領域区分Cへの前述の電流
集中(密度)は半導体面へのP+領域2cの浸透が密になれ
ばなるほど、また、当該領域の半径raが小さくなければ
なるほど、小さなものとなる、それというのはその際横
方向拡散により一層強力な横方向荷電キヤリヤ補償が行
なわれるからである。
raが例えば50μmに等しく選定されると、動作電流のも
とでホール注入度としては Pm−Po=2.6×1016/cm3 が生じる。P+領域2cが上記例におけるごとく、整流器ダ
イオードのアノード側面全体の1/3を要する場合、これ
には面に亘つて平均化された注入されたホール濃度,
たんにほぼ4×1015/cm3 が相応する。例えば5×1015/cm3のP部分領域2aの表面
におけるドーピング濃度Poと相俟つて上記注入度はほぼ
1800Vまでの阻止能力に設計選定の際動作電流のもとで
十分小さな順電圧には事足り、しかもは非常に良好な
リカバリ特性が得られるほど小さい。過電流負荷の際の
注入度はそのようなraのもとで大きな面積の場合におけ
る飽和値にほぼ等しい(このことは第8図から明らかで
ある)。
順電圧はNベース領域3の厚さと共に、即ち設計選定さ
れた阻止能と共に上昇するので、このことは平均的Pエ
ミツタ効率の調整の際半径raと、面全体におけるP+領域
2cの面積割合とによつて考慮され得る。高い阻止能の場
合、動作電流のもとでのPエミツタ効率は小さな阻止能
の場合におけるより大に選定され、それにより、順電圧
が過度に大にならないようにすべきである。
動作及び過電流の場合における横方向で平均化された注
入されたホール濃度Pに対する、P+領域2cの、アノード
側半導体面への比較的密な被覆の基本的影響を第9図に
示す。P+領域2cの横方向寸法(拡がり)は第8図に関連
して説明したように選定される。動作電流の際PN接合部
J1の周囲におけるはNN+接合部J2におけるより遥かに
小さい(このことは200A/cm2に対するカーブより示され
ている)。それにより、前述のように、第3図の整流器
ダイオードにおけると同じように良好なリカバリ特性が
得られる。但し、過電流の場合、PN接合部J1における平
均化されたホール濃度はNN+接合部J2におけるそれに等
しく、第3図の整流器ダイオードの第5図に示す荷電キ
ヤリヤ分布に比して著しく高められ、このことは第9図
及び第5図に5000A/cm2に対するカーブに示されてい
る。それにより、第7図、第8図を用いて説明した設計
選定による整流器ダイオードの著しく改善された過電流
特性が得られる。
第10図から明かなように、電子シンクSはn導電形の表
面領域10によつても形成され得、その際その表面領域は
P領域2内に位置しこの領域2と共にPN接合部J3を形成
する。n導電形表面領域10は高ドーピングされたN+領域
として構成されている。またこの表面領域10は表面に
て、P領域2と共に金属層7によつて接触接続されてい
る。N+領域10はP領域2よりわずかな厚さを有し、この
P領域はこれに当接する低ドーピングされたNベース領
域3と共に連続するPN接合部J1を形成する。Nベース領
域3には高ドーピングされたN+領域4がつづいており、
この領域はNベース領域3と共にNN+接合部J2を形成
し、また表面にて接触接続層9を有する。N+領域10に前
置して設けられた、P領域2の領域区分の厚さa及びド
ーピング濃度は次のような大きさに選定されている、即
ち阻止方向負荷の際空間電荷領域Rの拡がりがN+領域10
のところまで達しないような大きさに選定されている。
それによりPN接合部J1により整流器ダイオードの所望の
阻止能が確保される。更に、P領域2の前置して設けら
れた領域区分のドーピング濃度及び厚さaは次のような
小さな値に選定されている、即ち順方向動作の際高い注
入度の領域区分がN+P接合部J3の近くのところまで達す
るような小さな値に選定されている。その際その接合部
J3は順方向極性づけの際阻止方向に極性づけられ従つて
それぞれつづいているN+領域10と共に電子に対するシン
クとして作用するような小さな値に選定されている。こ
れらの条件は第3図に関連して説明したのと類似のよう
に領域区分BにおけるN+領域10に前置して設けられた、
P領域2の領域部分の面積抵抗Ro又はドーピング積分値
Nint=∫Ndxによつて表現され得る。第10図の構成では
空荷電荷領域RのP側境界部は第3図及び第6図の構成
と異なって電子シンクSから相当大きな距離間隔を保っ
て、それによりN+領域10、P領域2、Nベース領域3と
から形成されたNPNトランジスタが、整流器ダオードの
阻止方向負荷の際パンチスルーにより早過ぎてブレーク
ダウンしないようにしなければならず、これについては
以下詳述する。有利には領域区分BにおけるP領域2の
面積抵抗及びドーピング積分値が次の不等式に従って選
定される。
2×1012/cm2Nint2×1013/cm2 7kΩROKΩ 次にこの上限値2×1013/cm2について説明する。
高い帰還電流の時相中にパンチスルーが生じないように
するために、約1×1013/cm2のドーピング濃度が必要と
される。さらに安全のために2×1013/cm2が上限値とし
て選定されている。
領域区分BにおけるP領域の厚さは有利にはほぼ5μm
より大且ほぼ50μmより小に選定され、P領域2の上記
領域部分におけるドーピング濃度は最大値において有利
に3×1015/cm3〜3×1016/cm3である。
断面A1,A2における第10図の整流器ダイオードのドーピ
ング経過の例を第11図に示してある。即ち、総合ドーピ
ング濃度の経過が示してある、つまり、アクセプター、
ドナードーピング濃度の差の経過が絶対値として示して
ある。P領域2は表面にて断面A1において1×1019/cm3
のドーピング濃度を有し、断面A2にてN+領域10に前置し
て設けられた領域区分では総合ドーピング濃度は最大値
において6×1015/cm3である。P領域2の厚さは50μm
であり、前置して設けられた領域区分の厚さaは27μm
である。N+領域10は5×1019/cm3の−表面ドーピング濃
度及び23μmの厚さを有する。第11図のドーピングプロ
フアイルを有する第10図の整流器ダイオードの利点とす
るところは公知の拡散−、マーキング法に従つて簡単に
当該整流器ダイオードが作成できることである。P領域
2の表面濃度は第3図及び第6図の整流器ダイオードの
濃度ほど小さく調整しなくてもよい。
第10図の整流器の阻止方向負荷の際N+領域10とP領域2
との間のN+P接合部J3は順方向に極性づけられる。上記
の順方向極性づけは領域区分BにおけるN+領域10に前置
して設けられたP区域にて横方向電圧降下により、N+
域10のところを流れる逆方向ホール電流により生ぜしめ
られる。定常的遮断(阻止)状態において、横方向電圧
降下、ひいてはN+P接合部J3の順方向極性づけはわずか
な阻止電流に基づきわずかである。但し、導通状態から
の転流の際N+P接合部J3の順方向極性づけはリカバリ期
間(フエーズ)中比較的に大である。N+領域10、P領域
2、Nベース領域3から形成されるNPNトランジスタが
それにより導通制御されると、リカバリ電流の著しい増
大、さらにNPNトランジスタ、ひいては整流器ダイオー
ドのブレークダウンが定常的阻止能以下の状態で惹起さ
れ得る。両方の現象を避けるため、最大の阻止方向負荷
の際のN+P接合部J3からの空間電荷領域の間隔は十分大
きなものに選定され、N+領域10の横方向寸法(拡がり)
は十分小さな値に選定される。先ず、N+領域10からの空
間電荷領域Rの間隔Rにより、領域区分BにおけるP領
域2の残りの中性(ニユートラル)部分の面積抵抗を介
して、横方向電圧降下、ひいてはN+P接合部J3の順方向
極性づけの強さないし高さが制御される。さらに上記間
隔により、領域区分BにおけるP領域2の中性部分にお
いて少数キヤリヤ濃度の勾配を介して、所定の順方向極
性づけのもとでN+領域10から空間電荷領域R中に流れ込
む電子流が定められる。このような関係性は領域区分B
における前置配設されたP領域2全体の面積抵抗及びド
ーピング積分値Nintの上述のような設定の際考慮され
る。例えば Nint=4×1012/cm2が選定される場合、最大阻止電圧の
もとでなお存在する中性区域は領域区分BにおけるP領
域2全体の面導電度(コンダクタンス)の2/3をとる。
前置配設されたP領域2の、N+P接合部J3の順方向極性
付けに対して規定的働きをする面導電度(コンダクタン
ス)は例えば100A/cm2の逆方向電流の際、オーダ的に10
15/cm3の、空間電荷領域における濃度での自由荷電キヤ
リヤにより著しく高められている。更に、領域区分Bに
おける逆方向電流は導通期間(フエーズ)中比較的わず
かな注入荷電キヤリヤ濃度に基づき、高いエミツタ効率
の領域区分Cにおけるより小さく、その結果P領域2中
当該領域区分Bにて横方向ホール電流も相応に低減され
ている。Nベース領域3の厚さがN+領域10の半径Raより
小さい際、これが島状に円形状基面で構成されているな
らば、実質的に領域区分Bの周縁領域のみが、Nベース
厚Wのオーダの拡がりを以て、N+P接合部J3の順方向極
性付けに寄与する。2つの量Ra、Wのうちの最も小さい
ものは長さし。(これは相反的に、領域区分Bにおける
P領域2の面抵抗及び発生する逆方向電流密度とに依存
する)より大であつてはいけない。1000Vを越える阻止
能を有する整流器ダイオード(このダイオードではWn
ほぼ70μmより大である)では面積抵抗の代表的値に対
するRaは、当該構造にて生じる逆方向電流を考慮してほ
ぼ40μmより小に選定される。
前述した構成例では第11図のドーピング経過(分布)に
相応して、N+領域10の高いエミツタ効率が基礎とされて
いる。上記領域10の表面ドーピング濃度は良好な接触接
続性のため大きくする必要はあるが、N+P接合部J3のエ
ミツタ効率はN+領域10のわずかな厚さにより小い調整さ
れ得る。この場合、N+領域10の横方向寸法は比較的大に
選定され得る。
第6図の整流器ダイオードについて既に詳述した如く、
第10図の構成においても面状にたんに部分領域区分にて
配置された電子シンクSによつては第3図の整流器ダイ
オードに比して改善された過電流特性が生ぜしめられ
る。電子シンクSが島状に構成され高いエミツタ効率の
相補領域区分Cがつづいている(つながつている)か、
又は第7、第8図にて基礎とされた装置構成におけるよ
うに高いエミツタ効率の領域区分Cが島状に構成された
電子シンクがつづいている(連なつている)領域を形成
するか、又は当該面の、領域区分BとCへの分割するた
めの別の表面パターンが選定されるか余り大したことで
はない。第7図及び第8図を用いて説明された周縁作用
の利用のため、一般に、領域区分Bの横方向寸法(拡が
り)、即ち、最も近い電子シンクからの領域区分Bの各
点(個所)の最大間隔は次のように選定されるとよい、
即ち、面に亘つて平均化されたホール注入率は動作電流
密度のもとでできるだけ小であり、一方、過電流の際は
大面積領域区分Cの場合における飽和値をとるように選
定するとよい。
電子シンクSを有する前述のPエミツタ構造のうちの1
つの、サイリスタへの適用例を第12図に示す。アノード
側P領域2は第6図の整流器ダイオードにおけるよう
に、連続する低ドーピングされた部分領域2aと、領域区
分Bにおける薄厚の高ドーピングされたP+部分領域2b
(これは当該領域区分にて接触接続のために用いられ
る)と、領域区分Cにおける高いエミツタ効率の比較的
厚みのある高ドーピングされたP+部分領域2cとから成
る。P+表面領域2bのドーピング濃度は通常は3×1017/c
m3より大である。P領域2は表面において連続する接触
接続層7を有する。P領域2には内側に向つて低ドーピ
ングされたN−ベース領域3がつづいており、この領域
2には通常のサイリスタ構造におけるように、P−導電
形の制御ベース領域10と、n導電形のカソード側エミツ
タ領域11とがつづいている。それら領域は表面にて接触
接続層9を有する。P領域2の設計選定は第7図、第8
図を用いて説明したように行なうことができる。
第9図について説明した整流器におけるように、P領域
2は順方向動作密度(200A/cm2)の際、サイリスタ構造
にてP領域2に向つて低下する荷電キヤリヤ濃度を生じ
させる。第1図を用いて説明したように、そのようにす
ることにより、サイリスタに対しても転流後の逆方向電
流ピーク及び逆方向電流積分値の減少が行なわれる。P
領域2の、順電流と共に増大する注入率に基づき(第7
図〜第9図)許容過電流は低減されていない。サイリス
タにおけるP領域の設計選定の際第7図、第8図に関し
て述べたことのほかに、サイリスタの点弧−、ロツク電
流が所定の限界を越えて高められないように考慮しなけ
ればならない。このことは整流器ダイオードに比して比
較的にわずかな付加的な再結合中心密度により又はP部
分領域2aの表面濃度の増大により行なうことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−45081(JP,A) 特開 昭53−145577(JP,A) 特開 昭58−66369(JP,A)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アノード側P領域およびこれと隣接する低
    ドーピングされたN−ベース領域とを有し、該N−ベー
    ス領域は上記P領域と共に阻止作用をするPN−接合部を
    形成する形式の半導体構成素子において、アノード側P
    −領域(2)にはPN接合部(J1)からは離隔された、電
    子に対するシンク(S)を有し、該シンク(S)とPN接
    合部(J1)との間のP領域(2)の部分領域のドーピン
    グ濃度と厚さの選定の際、順方向負荷のときは該シンク
    は電子(S)に対して作用状態におかれ、逆方向素子負
    荷のときはP領域(2)における空間電荷領域の拡がり
    が電子のシンク(S)のところまでは達しないように、
    ドーピング積分値がほぼ1.3×1012/cm2より大でかつ2
    ×1013/cm2より小に、前記の厚さおよびドーピング濃度
    の値が選定されていることを特徴とする、アノード側P
    領域と、隣接する低ドーピングされたN−ベース領域と
    を有する半導体構成素子。
  2. 【請求項2】P領域(2)は低ドーピングされた連続す
    る内部部分領域(2a)と、高ドーピングされたわずかな
    エミッタ効率のP+表面領域(2b)とから成る、請求項1
    記載の半導体構成素子。
  3. 【請求項3】P領域(2)はわずかなエミッタ効率のP+
    表面領域(2b)のほかに当該面の部分領域区分にて高ド
    ーピングされた高エミッタ効率のP+表面領域(2c)を有
    する、請求項2記載の半導体構成素子。
  4. 【請求項4】P領域(2)は低ドーピングされた連続す
    る内部P部分領域(2a)と、面の部分領域区分に配置さ
    れた高エミッタ効率のP+表面領域(2c)とから成る、請
    求項1記載の半導体構成素子。
  5. 【請求項5】内部P部分領域(2a)のドーピング積分値
    はほぼ1.3×1012/cm2より大であり、かつ1×1013/cm2
    より小である、請求項2から4までのいずれか1項記載
    の半導体構成素子。
  6. 【請求項6】内部P部分領域(2a)の厚さは5μmより
    大で、かつ、ほぼ70μmより小であり、それの最大ドー
    ピング濃度はほぼ1×1015/cm3より大で、かつ2×1016
    /cm3より小である、請求項2から5までのいずれか1項
    記載の半導体構成素子。
  7. 【請求項7】わずかなエミッタ効率のP+表面領域(2b)
    の厚さの選定に際して、順方向負荷のときNベース領域
    (3)から到来する電子流がP+表面領域(2b)を通って
    表面のところにおける電子シンク(S)へ流れるように
    上記厚さは小さく選定されている、請求項2、3、5又
    は6記載の半導体構成素子。
  8. 【請求項8】P+表面領域(2b)の厚さが2μmより小で
    あり、それの表面におけるドーピング濃度は3×1017/c
    m3より大である、請求項7記載の半導体構成素子。
  9. 【請求項9】高エミッタ効率のP+表面領域(2c)の横方
    向寸法の選定に際して、それのホール注入度が順方向動
    作電流の際に当該電流にて最大順電圧に必要な程度に低
    減されるように上記横方向寸法は選定されている、請求
    項3から8までのいずれか1項記載の半導体構成素子。
  10. 【請求項10】高エミッタ効率のP+表面領域の横方向寸
    法の選定に際して、それのホール注入度が順方向動作電
    流のとき低減されるが過電流のときは十分に作用するよ
    うに当該横方向寸法は選定されている、請求項3から9
    までのいずれか1項記載の半導体構成素子。
  11. 【請求項11】高エミッタ効率のP+表面領域(2c)はほ
    ぼ30μmと100μmとの間の半径(ra)を有する円形基
    面を有する、請求項9又は10記載の半導体構成素子。
  12. 【請求項12】電子シンク(S)はP領域(2)にて設
    けられたn導電形の表面領域(10)を用いて形成されて
    いる、請求項1記載の半導体構成素子。
  13. 【請求項13】n導電形表面領域(10)のエミッタ効率
    又は横方向寸法(拡がり)は小さく選定されており、そ
    の際当該領域は半導体構成素子の逆方向極性付けの際大
    して注入されないように当該横方向寸法(拡がり)は小
    さく選定されている、請求項12記載の半導体構成素子。
  14. 【請求項14】n導電形表面領域(10)はほぼ40μmよ
    り小さい半径を有する、円形基面を有する請求項13記載
    の半導体構成素子。
  15. 【請求項15】n導電形表面領域(10)の相互間隔の選
    定に際して、P領域(2)のホール注入度は順方向動作
    電流のとき当該電流のもとで最大順電圧に必要な程度に
    低減されるように当該相互間隔は選定されている、請求
    項12から14までのいずれか1項記載の半導体構成素子。
  16. 【請求項16】n導電形表面領域の相互間隔の選定に際
    して、ホール注入度は順方向動作電流のとき低減される
    が過電流のとき十分作用をするように当該相互間隔は選
    定されている請求項12から15までのいずれか1項記載の
    半導体構成素子。
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