JPH0766436A - 有機光起電力素子 - Google Patents

有機光起電力素子

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JPH0766436A JP5209403A JP20940393A JPH0766436A JP H0766436 A JPH0766436 A JP H0766436A JP 5209403 A JP5209403 A JP 5209403A JP 20940393 A JP20940393 A JP 20940393A JP H0766436 A JPH0766436 A JP H0766436A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機光起電力素子に設けた保護層の長期的な
使用による剥離を防止し、長寿命化を図る。 【構成】 少なくとも一方が透光性である2つの電極の
間に、整流接合を形成する電子受容性有機物層と電子供
与性有機物層の積層した構成を持ち、さらに素子の表面
に、炭素を主成分とし、それ以外に水素、酸素、窒素を
含有し、窒素と炭素の含有原子量比(N/C比)が0.
005以下である保護層を設けた有機光起電素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機太陽電池、光セン
サ、フォトカプラー等として有用な光起電素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】有機物を能動材料として用いた光起電力
素子が多く研究されている。その目的は、無機物の光起
電材料である単結晶、多結晶、アモルファスのSiやII
I−V族化合物では達成が困難とされている、安価で生
産性に優れ低毒性の光起電力素子を開発するためであ
る。光起電力素子は、光エネルギを電気エネルギ(電圧
×電流)に変換する素子であるため、変換効率がその主
要な評価対象となる。光電流の生成には内部電界の存在
が必要であるが、内部電界を生成する方法としていくつ
かの素子構成が知られている。能動材料として有機物を
用いた場合の、各々の既知の構成での変換効率のベスト
データは以下の通りである。
【0003】1)ショットキー接合またはMIS型接合 金属/半導体接合で生じる内部電界を利用したもので、
有機半導体材料としてメロシアニン染料、フタロシアニ
ン顔料等が報告されている。Al/メロシアニン/Ag
素子に対する78mW/cm2の白色光照射で変換効率
0.7%(Voc=1.2V,Jsc=1.8mA/c
2,ff=0.25)が報告されている。〔A.K.
GhoshらJ.Appl.Phys.49,5982
(1978)〕 このタイプの素子に用いられている有
機半導体で変換効率が高いものはp型に限定されてい
る。従って、電極材料もAl,In,Mg等の仕事関数
が低いものが使用されるが、これらは容易に酸化され
る。
【0004】2)n型無機半導体/p型有機半導体接合
を利用したヘテロpn接合 n型無機半導体/p型有機半導体を接合したときに生じ
る内部電界を利用したもので、n型材料としてCdS,
ZnO等が用いられる。p型有機半導体材料としてメロ
シアニン染料、フタロシアニン等が報告されている。I
TO/電着CdS/塩素化アルミニウムクロロフタロシ
アニン/Au素子に対する75mW/cm2のAM−2
光照射で変換効率0.22(Voc=0.69V,Js
c=0.89mA/cm2,ff=0.29)がベスト
である〔A.HorらAppl.Phys.Let
t.,42,15(1983)〕。
【0005】3)有機/有機ヘテロ接合を利用したもの 電子受容性の有機物と電子供与性の有機物を接合したと
きに生じる整流接合による電界を利用したもので、前者
の有機物としてマラカイトグリーン、メチルバイオレッ
ト、ピリリウム等の染料、フラバンスロン、ペリレン顔
料等の縮合多環芳香族化合物が報告されており、後者の
例として、フタロシアニン顔料、メロシアニン染料等が
報告されている。
【0006】ITO/銅フタロシアニン/ペリレン顔料
/Ag素子に対する75mW/cm2のAM−2光照射
で変換効率0.95%(Voc=0.45V,Jsc=2.
3mA/cm2,ff=0.65)が報告されている
〔C.Tang Appl.Phys.Lett.,4
8,183(1986)〕。この値は有機物を用いた光
起電力素子では最高のものである。また、同じ発明者に
よる特公昭62−4871には、この素子構成で別種の
ペリレン顔料に対して変換効率1%(Voc=0.44
V,Jsc=3.0mA/cm2,ff=0.6)が報告
されている。有機物を用いた光起電力素子は、無機半導
体を用いたものと比較して、短絡光電流(Jsc)が低
く、ffが小さい。そして素子の長期的寿命に問題があ
るものが多い。
【0007】素子の寿命が短いという原因としては、素
子に水や酸素の吸着などによる化学的劣化や連続使用に
よる整流接合部の破壊などが考えられる。また素子自体
の硬度は低いものが多く、機械的な負荷が加わった場
合、局部的な傷がつきやすいのも一因である。また、素
子の電極上に中間層を介さずに直接設ける保護層とし
て、気相成長法により炭素及び炭素を主成分とする膜を
用い、膜中の窒素量を制御しなかった場合、長期的な使
用により剥離することが判明した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は長期的な使用
による保護層の剥離を防止することにより、長寿命の有
機光起電力素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため、鋭意検討した結果、素子の保護層とし
て、気相成長法により炭素及び炭素を主成分とする膜を
保護層として設ける場合、膜中の窒素量を制御すること
により、長期的な使用による保護層の剥離が防止できる
との知見を得た。つまり少なくとも一方が透光性である
2つの電極の間に、整流接合を形成する電子受容性有機
物層と電子供与性有機物層の積層した構成を持ち、さら
に素子の表面に保護層を積層した構成を含む光起電力素
子において、該表面保護層は炭素を主成分とし、それ以
外に水素、酸素、窒素を含有し、窒素と炭素の含有原子
量比(N/C比)が0.005以下である膜を設けるこ
とにより、上記目的を達成することが判明した。さらに
表面保護層の膜厚が50nm以上である場合により一層
良好に上記目的を達成することができることを見出し
た。以下本発明の素子の構成、作製法、使用材料等につ
いて説明する。
【0010】本発明の電子受容性層と電子供与性層の整
流接合を有し、表面に保護層を持つ光起電力素子の構成
としては図1〜4に例示されるものがある。図1におい
て、電子受容性層と電子供与性層の順が逆であってもよ
い。さらに異なる構成として図2のものが挙げられる。
ここで、電子受容性層と電子供与性層の順が逆であって
もよく、その場合は電子供与性有機物層(2)、電子供
与性有機物層(1)、電子受容性有機物層の順となる。
【0011】さらに異なる構成として図3のものが挙げ
られる。ここで支持体は背面電極側にあってもよい。ま
た、電子受容性層と電子供与性層の順が逆であってもよ
く、その場合は、透光性n型無機半導体層、電子供与性
有機物層、電子受容性有機物層の順となる。さらに異な
る構成として図4のものが挙げられる。ここで支持体は
背面電極側にあってもよい。また、電子受容性層と電子
供与性層の順が逆であってもよく、その場合は電子供与
性雄器物層(2)、電子供与性有機物層(1)、電子受
容性有機物層、透光性n型無機半導体層の順となる。
【0012】なお、本発明において素子の構成は上記し
た構成に限定されるものではない。本発明において、有
機光起電力素子に設けられる炭素を主成分とし、それ以
外に水素、酸素、窒素を含有し、窒素と炭素の含有原子
量比(N/C比)が0.005以下である表面保護層と
は、好ましくは、SP3軌道を有するダイヤモンドと類
似のC−C結合を有する膜で形成され、膜厚が50nm
以上である方が望ましい。しかし、SP2軌道を有する
グラファイトと類似の構造を持つ膜でもかまわないし、
さらに非晶質性のものでもかまわない。この様な膜は一
般的にスパッタリング、熱フィラメントCVD法、プラ
ズマCVD法、グロー放電分解法、光CVD法、電子衝
撃CVD法等により形成されるが、特にその成膜方法は
限定されるものではない。
【0013】本発明において使用する透明絶縁支持体と
しては、ガラス、プラスチックフィルム透公知のものが
用いられる。本発明において使用する透明電極として
は、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ、酸化イ
ンジウム等が用いられる。その好ましい厚さは10〜1
000nmである。本発明において使用するn型無機半
導体層としては、酸化亜鉛、3価の金属がドープされた
酸化亜鉛、CdS、酸化チタン、リンをドープしたアモ
ルファスシリコン等が挙げられる。この中で酸化亜鉛、
CdS等が好ましい。厚さは10〜1000nmが好ま
しい。
【0014】本発明に使用する電子供与性有機物層また
は電子供与性有機物層(1)としては、・フタロシアニ
ン系顔料(中心金属がCu,Zn,Co,Ni,Pb,
Pt,Fe,Mg等の2価のもの、無金属フタロシアニ
ン、アルミニウムクロロフタロシアニン、インジウムク
ロロフタロシアニン、ガリウムクロロフタロシアニン等
のハロゲン原子が配位した3価金属のフタロシアニン、
その他バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニ
ン等の酸素が配位したフタロシアニン)が使用される。
本発明に使用する電子供与性有機物層(2)としては、
電子供与性有機物層(1)に使用されるものと異なる。
【0015】・フタロシアニン系顔料(中心金属がC
u,Zn,Co,Ni,Pb,Pt,Fe,Mg等の2
価のもの、無金属フタロシアニン、アルミニウムクロロ
フタロシアニン、インジウムクロロフタロシアニン、ガ
リウムクロロフタロシアニン等のハロゲン原子が配位し
た3価金属のフタロシアニン、その他バナジルフタロシ
アニン、チタニルフタロシアニン等の酸素が配位したフ
タロシアニン)・インジゴ、チオインジゴ系顔料(Pi
gment Blue 66,Pigment Vio
let 36等)、キナクリドン系顔料(Pigmen
t Violet 19,Pigment Red 1
22等)、メロシアニン化合物、シアニン化合物、スク
アリウム化合物等の染料、・有機電子写真感光体で用い
られる電荷移動剤(ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合
物、トリフェニルメタン化合物、トリフェニルアミン化
合物等)、・電気伝導性有機電荷移動錯体で用いられる
電子供与性化合物(テトラチオフルバレン、テトラフェ
ニルテトラチオフラバレン等)、・導電性高分子(ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等)から選択
される。これらの層は蒸着、スピンコート、ディッピン
グ、電界重合等での方法で製膜される。この中で薄膜
化、均一化には蒸着が好ましい。
【0016】膜厚は電子供与性有機物層(1)では3〜
30nmが適当である。厚くなるとJscの増大がみら
れず、また、薄くなるとその層自体の光吸収効率が落
ち、Jscが低下する。電子供与性有機物層(2)では
適当な膜厚は5〜300nmである。電子供与性有機物
層が一層の場合は適当な膜厚は5〜300nmである。
また、本発明で用いられる背面電極としては、Au,P
t,Ni,Pd,Cu,Cr,Ag等が用いられ、特に
Auは安定で好ましい。膜厚は5〜300nmが適当で
ある。
【0017】本発明において使用する電子受容性有機物
層としては、 ペリレン系顔料 Pigment Red(以下PR)
179,PR190,PR149,PR189,PR1
23,PigmentBrown 26等 ペリノン系顔料 Pigment Orange 4
3,PR194等 アントラキノン系顔料 PR168,PR177,Va
t Yellow 4等 フラバンスロン等の含キノン黄色顔料 クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、マラカ
イトグリーン等の染料を挙げることができる。これらは
蒸着、スピンコート、ディッピングにて製膜される。薄
膜化、均一化には蒸着が好ましい。膜厚は10〜300
nmが好ましい。表面保護層の膜組成の分析する方法
は、XPS、AES、SIMS等の測定法を用いる。
【0018】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明に更に詳細に説
明する。 実施例1 よく洗浄したITOガラス(松崎真空製、30Ω/□)
上に基板温度約300℃で、導入ガスとしてアルゴンを
用い、DCマグネトロンスパッタ法で、酸化亜鉛を約1
10nmの厚さで設けた。その上に、真空蒸着法で電子
受容性物質であるペリレンテトラカルボン酸ビスメチル
イミド(PL−ME)を約40nmの厚さで、次いで電
子供与性物質であるアルミニウムクロロフタロシアニン
(AlClPc)を約12nmの厚さで設け、更に2,
9−ジメチルキナクリドン(QA−ME)を約30nm
の厚さで設けた。その上に金を真空蒸着し、更に表面保
護層として、プラズマCVD法により製膜し、素子とし
た。プラズマCVD法の製膜条件は、次に示す。
【0019】 反応ガス:C24/N2 ガス流量:90sccm/5sccm 反応圧 :0.03Torr RF出力:100W 膜厚 :40nm この膜の組成分析(XPS法)を行った結果、膜の組成
が、炭素、酸素、水素、窒素だけであり、N/C比が
0.0025であることが判明した。この素子にITO
側に75mW/cm2の白色光を照射しながら、6mV
/sで掃印される電圧を印加して変換効率を測定した。
また常温常湿状態で光を照射せず30日間放置後、同様
に変換効率を測定した。結果、初期の変換効率は1.0
2%であり、放置後の変換効率は、0.99%であった
(減少率3%)。さらに高温高湿状態(40℃、90
%)で光を照射せず5日間放置後、表面保護層側に粘着
テープ(住友3M社製:スコッチメンディングテープ8
10)をはりつけた後、ひきはがした(テープ剥離試
験)が、表面保護層は局部的な剥離が起った。
【0020】実施例2 よく洗浄したITOガラス(松崎真空製、30Ω/□)
上に基板温度約300℃で、導入ガスとしてアルゴンを
用い、DCマグネトロンスパッタ法で、酸化亜鉛を約1
30nmの厚さで設けた。その上に、真空蒸着法で電子
受容性物質であるカルボン酸ビスメチルイミド(PL−
ME)を約40nmの厚さで、次いで電子供与性物質で
ある銅フタロシアニン(CuPc)を約50nmの厚さ
で設けた。その上に金を真空蒸着し、更に表面保護層と
して、プラズマCVD法により製膜し、素子とした。プ
ラズマCVD法の製膜条件は、次に示す。
【0021】 反応ガス:C24/N2 ガス流量:100sccm/3sccm 反応圧 :0.01Torr RF出力:70W 膜厚 :100nm この膜の組成分析(XPS法)を行った結果、膜の組成
が、炭素、酸素、水素、窒素だけであり、N/C比が
0.002であることが判明した。この素子の実施例1
と同様に初期及び30日間の放置後の変換効率の測定を
行ったところ、初期0.65%、放置後0.64%であ
った(減少率2%)。高温高湿状態(40℃、90%)
で光を照射せずに5日間放置後、テープ剥離試験を行っ
た結果、表面層は剥離しなかった。
【0022】比較例1 表面保護層を設けないこと以外は全て実施例1と同様に
して測定を行った。その結果、変換効率は、初期1.0
3%、放置後0.88%であった(減少率15%)。
【0023】比較例2 表面保護層の製膜条件のガス流量を下記の条件にするこ
と以外は全て実施例1と同様にして測定を行った。 反応ガス:C24/N2 ガス流量:90sccm/45sccm この膜の組成分析(XPS法)を行った結果、膜の組成
が、炭素、酸素、水素、窒素だけであり、N/C比が
0.02であることが判明した。初期において、テープ
剥離試験を行ったところ、微小領域での表面層の剥離が
起った。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、有機光起電力素子の表
面に炭素または炭素を主成分とする表面保護層を設ける
ことにより、耐環境性に優れた長寿命の素子を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の説明図である。
【図2】本発明の他の実施例の説明図である。
【図3】本発明の他の実施例の説明図である。
【図4】本発明の他の実施例の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 一清 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透光性である2つの電
    極の間に、整流接合を形成する電子受容性有機物層と電
    子供与性有機物層の積層した構成を持ち、さらに素子の
    表面に表面保護層を積層した構成を含む光起電力素子に
    おいて、該表面保護層は炭素を主成分とし、それ以外に
    水素、酸素、窒素を含有し、窒素と炭素の含有原子量比
    (N/C比)が0.005以下である膜よりなることを
    特徴とする有機光起電力素子。
  2. 【請求項2】 表面保護層の膜厚が50nm以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の有機光起電力素子。
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