JP2006253489A - 光起電力素子及びこれを用いた光センサー - Google Patents

光起電力素子及びこれを用いた光センサー Download PDF

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Masaomi Sasaki
正臣 佐々木
Masashi Torii
昌史 鳥居
Shinichi Kawamura
慎一 河村
Toshiya Kosaka
俊也 匂坂
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Abstract

【課題】 安定性に優れ、かつピンホールを生じにくく、かつ湿式成膜可能で製造が容易な光起電力素子、及びこの光起電力素子を用いた有用な光センサーを提供する。
【解決手段】 少なくとも一方が透光性である二つの電極2、5の間に、接合により内部電界を生じる電子受容性有機物層3と電子供与性有機物層4とが積層された構成を有し、前記電子供与性有機物層4に、所定の化学構造を有する高分子材料を含有させた光起電力素子を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光起電力素子及びこれを用いた光センサーに関する。
近年においては、有機物を能動材料として適用した光起電力素子ついての多く研究、報告がなされている。これは、単結晶、多結晶、アモルファスのSiでは、従来達成が困難であるものと考えられている、安価で毒性のない光起電力素子を開発するためである。
光起電力素子は、光エネルギーを電気エネルギー(電圧×電流)に変換する素子であるため、変換効率がその主要な評価対象となる。光電流の生成には内部電界の存在が必要であるが、内部電界を生成する方法としては、以下に挙げる素子構成が知られている。
(1)ショットキー接合またはMIS型接合
これは、金属/半導体接合で生じる内部電界を利用したものである。
これを構成する有機半導体材料としては、メロシアニン染料、フタロシアニン顔料等が報告されている(下記非特許文献1)。
この素子は、開放電圧(Voc)は大きくとれるが、電極として金属材料が用いられているため、電極の光透過率が低くなる。
実際の光透過率は、良くても30%、通常は10%前後である。
また、これらの材料は耐酸化性に乏しい。従って、この素子形態においては、高い変換効率と、安定した特性を作り出すことは望めない。
(2)n型無機半導体/p型有機半導体接合を利用したヘテロpn接合
n型無機半導体/p型有機半導体を接合したときに生じる内部電界を利用したものである。
n型材料としては、CdS、ZnO等が用いられる。
p型有機半導体材料としては、メロシアニン染料、フタロシアニン等が報告されている(下記非特許文献2)。
この素子は、電荷生成が主として有機層でなされるため、分光感度の制限を受ける。通常、有機層は単一の材料から形成されるが、400nm〜800nmの波長領域まで強い光吸収をもつ有機半導体は現在存在しないからである。
従って、この素子構成では光入射電極の光透過性や、電極の安定性の問題はクリアできるが、分光感度領域が狭いため、高い変換効率は望めない。
(3)有機/有機ヘテロpn接合を利用したもの
電子受容性の有機物と電子供与性の有機物を接合したときに生じる電界を利用したものである。
電子受容性の有機物としては、マラカイトグリーン、メチルバイオレット、ピリリウム等の染料、フラバンスロン、ペリレン顔料等の縮合多環芳香族化合物が報告されており、電子供与性有機物としては、フタロシアニン顔料、メロシアニン染料等が報告されている(下記非特許文献3)。
この素子は、上記(1)、(2)の挙げた二種の素子の構成と比べ、実用上優れていると考えられている。これは、透明電極からの光照射が行え、また、2種の材料で光電荷生成が可能であるため、分光感度も広げることができるという利点を有しているからである。しかし、Tang氏の技術は次の様な欠点を有している。
すなわち、電子供与性の有機物、及び電子受容性有機物の光電流、開放電圧、安定性等の特性、及び成膜時ピンホールが生じやすいこと等の問題がある。
また、電子受容性有機物として適用する材料は、短波長領域に分光感度を有し、電子供与性有機物として適用する材料は、長波長領域に分光感度を有しているため、積層する組合せが限定されてしまうという問題もある。
従来においては、かかる問題に鑑みて、電子供与性有機物、または電子受容性有機物として、特定のジイミダゾール化合物を用いた光起電力素子が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
しかし、この素子構成においても、未だ電子供与性有機物と電子受容性有機物との組合せの最適化は充分であるとは言えず、今後、より一層の光電変換効率の向上が求められるものと考えられる。
また材料が低分子化合物であるため、素子作製プロセスにおいては、蒸着プロセスが主となってしまい、多量生産や大面積化が容易ではないという実用上の課題も残されている。
特開平5−21823号公報 A.K.Ghoshら、J.Appl.Phys.49,5982(1978) A.Horら Appl.Phys.Lett.,42.15(1983) C.Tang Appl.Phys.Lett.,48,183(1986)
そこで本発明においては、上述した従来の実情に鑑みて、有機/有機pnタイプの光起電力素子に対し、湿式成膜可能で製造が容易であり、ピンホールを生じにくく、優れた安定性を有し、かつ高い変換効率を実現可能な有機光起電力素子、及びこれを用いた光センサーを提供することとした。
請求項1に係る発明においては、少なくとも一方が透光性である二つの電極の間に、接合により内部電界を生じる電子受容性有機物層と電子供与性有機物層とが積層された構成を有し、前記電子供与性有機物層に、少なくとも、下記一般式(1)で示される高分子材料が含有されているものとした光起電力素子を提供する。
Figure 2006253489
但し、R、R、R、R4は、それぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、またはアルコキシ基、もしくはアルキルチオ基から選択される基を表す。
x、y、z、wは、それぞれ独立に0から4の整数を表す。
、R、R、R4が、各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。
Ar2は、置換または無置換の単環式、非縮合多環式および縮合多環式芳香族炭化水素基を表し、Ar1は、置換または無置換の単環式、非縮合多環式、及び縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表す。
請求項2に係る発明においては、少なくとも一方が透光性である二つの電極の間に、接合により内部電界を生じる電子受容性有機物層と電子供与性有機物層とが積層された構成を有し、前記電子供与性有機物層に、少なくとも、下記一般式(2)で表される高分子材料が含有されているものとした光起電力素子を提供する。
Figure 2006253489
但し、R5、R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、またはアルコキシ基、もしくはアルキルチオ基から選択される基を表す。
vは0から5の整数を表す。
a、b、c、dは、それぞれ独立に0から4の整数を表す。
5、R6、R7、R8、R9が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。
Ar3は、置換または無置換の単環式、非縮合多環式および縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表す。
請求項3に係る発明においては、透明電極、電子受容性有機物層、電子供与性有機物層、及び背面電極が、順次積層された構成を有し、前記電子供与性有機物層に、少なくとも上記一般式(1)、及び(2)で示される高分子材料が含有されているものとした請求項1又は2に記載の光起電力素子を提供する。
請求項4に係る発明においては、透明電極、透光性n型無機半導体層、電子受容性有機物層、電子供与性有機物層、及び背面電極が、順次積層された構成を有し、前記電子供与性有機物層に、少なくとも上記一般式(1)、及び(2)で示される高分子材料が含有されているものとした請求項1又は2に記載の光起電力素子を提供する。
請求項5に係る発明においては、透明電極、電子受容性有機物層、第一電子供与性有機物層、第二電子供与性有機物層、及び背面電極が、順次設けられた構成を有し、前記第二電子供与性有機物層に、少なくとも上記一般式(1)、及び(2)で示される高分子材料が含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光起電力素子を提供する。
請求項6に係る発明においては、透明電極、透光性n型無機半導体層、電子受容性有機物層、第一電子供与性有機物層、第二電子供与性有機物層、及び背面電極が、順次積層された構成を有し、前記第二電子供与性有機物層に、少なくとも上記一般式(1)、及び(2)で示される高分子材料が含有されているものとした請求項1又は2に記載の光起電力素子を提供する。
請求項7に係る発明においては、請求項1乃至6のいずれか一項に記載された光起電力素子を具備している光センサーを提供する。
本発明によれば、安定性に優れ、製造工程においてピンホールを生じにくく、かつ湿式成膜可能で製造工程が簡易かつ容易な、光起電力素子、及びこの光起電力素子を用いた光センサーを提供することができた。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明するが、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
本発明の電界発光素子について、以下、図を参照して説明する。
なお、下記において説明する図1〜図4は、それぞれ本発明の光起電力素子の一例の概略断面図を示すものとし、有機/有機pnタイプの光起電力素子において、電子供与性有機物層に特定の高分子材料を用いるものである。
図1に示す光起電力素子は、透明絶縁支持体1の上に、透光性である電極、すなわち透明電極2、電子受容性有機物層3、電子供与性有機物層4、及び背面電極5が積層されており、透明電極2と背面電極5とにそれぞれリード線6が取り付けられた構成を有している。
図2に示す光起電力素子は、透明電極2と電子受容性有機物層3との間に、透光性n型無機半導体層7を設けた構成を有している。
図3に示す光起電力素子は、図1に示した素子における電子供与性有機物層4が、第一電子供与性有機物層41と、第二電子供与性有機物層42の二層からなる構成としたものである。
図4に示す光起電力素子は、図2と図3に示す素子構成を組み合わせたものであり、具体的には、図3に示した素子の透明電極2と電子受容性有機物層3との間に、透光性n型無機半導体層7を設けた構成を有している。
本発明の光起電力素子を構成する各層について説明する。
透明絶縁支持体1としては、ガラス、プラスチックフィルム等の従来公知の材料を適用できる。
透明電極2としては、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、半透明Au等が適用できる。透明電極2は、膜厚を100〜10000Åとすることが好ましい。
透光性n型半導体層7の材料としては、酸化亜鉛、3価の金属がドープされた酸化亜鉛、CdS、酸化チタン等が適用できる。透光性n型半導体層7は、膜厚を10〜10000Åとすることが好ましい。
電子受容性有機物層3の材料としては、ペリレン系顔料(Pigment Red(以下PR)179,PR190,PR149,PR189,PR123,Pigment Brown 26等)、ペリノン系顔料(Pigment Orange 43,PR 194等)、アントラキノン系顔料(PR168,PR177,Vat Yellow 4等)、フラバンスロン等の含キノン黄色顔料、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、マラカイトグリーン等の染料フルオレノン、2,4,7トリニトロフルオレノン、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等のアクセプター化合物が挙げられる。これらは蒸着、スピンコート法、ディッピング法により、成膜することができる。電子受容性有機物層3は、膜厚を100〜3000Åとすることが好ましい。
電子供与性有機物層4を単独で形成する場合、すなわち図1、図2に示す層構成の場合の、当該層の形成方法については後述する。
図3、図2に示す層構成の場合には、第一電子供与性有機物層41の材料としては、フタロシアニン系顔料(中心金属がCu,Zn,Co,Ni,Pb,Pt,Fe,Mg等の2価のもの、無金属フタロシアニン、アルミニウムクロルフタロシアニン、インジウムクロルフタロシアニン、インジウムブロムフタロシアニン、ガリウムクロルフタロシアニン等のハロゲン原子が配位した3価金属のフタロシアニン、塩素化銅フタロシアニン、塩素化亜鉛フタロシアニン、その他バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の酸素が配位したフタロシアニン)、インジゴ、チオインジゴ系顔料(Pigment Blue 66,Pigment Violet 36等)、キナクリドン系顔料(Pigment Violet 19,Pigment Red 122等)、メロシアニン化合物、シアニン化合物、スクアリウム化合物等の染料が挙げられる。この層は蒸着、スピンコート法、キャスト法、インクジェット工法、ディッピング塗工法等の公知の方法によって成膜できる。膜厚は、50〜3000Åとすることが好ましい。
第二の電子供与性有機物層42は、単独構成とした場合と同様とする。
背面電極5としては、Au,Pt,Ni,Pd,Cu,Cr,Ag等の仕事関数の高い金属が適用できる。膜厚は50〜3000Åとすることが好ましい。
図1〜図4に示す光起電力素子が、光起電力能を有する(すなわち光センサーとしても機能する)理由は、電子受容性有機物層3と電子供与有機物層4との界面で、両層のフェルミレベルの違いによって生ずる局所的な内部電界に起因している。この内部電界が働いている部分に光が吸収されることによりキャリアが発生する。これが最終的に、外部に電流として取り出される。従って、この界面にいかに多くの光が到達し吸収されるか、電子受容性有機物層3と、電気供与有機物層4との間に生ずる内部電界の大きさ等のキャリア発生能と電子受容性有機物層3、電子供与有機物層4の電子及び正孔の移動能及び注入性等が光起電力素子の変換効率の大きな因子となる。これらは電子受容性有機物層3、電子供与有機物層4に使用される材料に大きく左右されるものである。
本発明においては、電子供与性有機物層4に、下記一般式(1)で表される高分子材料を含有させることとし、これにより、光電変換効率が向上することを見いだした。
Figure 2006253489
但し、R、R、R、R4は、それぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、またはアルコキシ基、もしくはアルキルチオ基から選択される基を表す。
x、y、z、wは、それぞれ独立に0から4の整数を表す。
、R、R、R4が、各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。
Ar2は、置換または無置換の単環式、非縮合多環式および縮合多環式芳香族炭化水素基を表し、Ar1は、置換または無置換の単環式、非縮合多環式、及び縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表す。
なお、上記高分子材料は、芳香環上に置換基を有していてもよく、溶媒への溶解性の向上の観点からはアルキル基やアルコキシ基等が好適である。
置換基の炭素数が増加すれば溶解性はより向上するが、その反面キャリア移動度は低下してしまうため、溶解性が損なわれない範囲で所望の特性が得られるような置換基を選択することが好ましい。
その場合の好適な置換基の例としては炭素数が1〜25のアルキル基、及びアルコキシ基が挙げられる。
更に好適には、炭素数が2〜18のアルキル基、アルコキシ基、及びアルキルチオ基が挙げられる。
これら置換基は、同一のものを複数導入してもよいし、異なるものを複数導入してもよい。
また、これらのアルキル基、アルコキシ基、及びアルキルチオ基は、さらにハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、または炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基やアルコキシ基で置換されたフェニル基を含有していてもよい。
アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルコキシ基、アルキルチオ基としては、上記アルキル基の結合位に酸素原子または硫黄原子を挿入してアルコキシ基、アルキルチオ基としたものが挙げられる。
上記重合体は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基の存在により、溶媒への溶解性が向上する。溶解性を向上させることは、フィルムの湿式成膜過程の製造許容範囲が大きくなることから重要である。
例えば塗工溶媒の選択肢の拡大、溶液調製時の温度範囲の拡大、溶媒の乾燥時の温度及び圧力範囲の拡大となり、これらプロセッシビリティーの高さにより、結果的に高純度で均一性の高い高品質な薄膜が得られる可能性が高くなる。
前記一般式における置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基としては、単環基、多環基(縮合多環基、非縮合多環基)のいずれでもよい。
具体的には、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フルオレニル基、アズレニル基、アントリル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基等が挙げられる。また、これら芳香族炭化水素基は以下に示す置換基を有していてもよい。
(1)ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基。
(2)炭素数1〜25の無置換もしくは置換のアルキル基、アルコキシ基。
(3)アリールオキシ基。(アリール基としてフェニル基、ナフチル基を有するアリールオキシ基が挙げられる。これは、炭素数1〜25の無置換もしくは置換のアルキル基、炭素数1〜25の無置換もしくは置換のアルコキシ基、又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基等が挙げられる。
(4)置換メルカプト基又はアリールメルカプト基。(置換メルカプト基又はアリールメルカプト基としては、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(5)アルキル置換アミノ基。(具体的には、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(p−トリル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ユロリジル基等が挙げられる。)
(6)アシル基。(アシル基としては、具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、マロニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。)
一般式(1)に示した重合体のうち、より好ましい態様を、下記一般式(2)に示す。
Figure 2006253489
但し、R5、R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、またはアルコキシ基、もしくはアルキルチオ基から選択される基を表す。
vは0から5の整数を表す。
a、b、c、dは、それぞれ独立に0から4の整数を表す。
5、R6、R7、R8、R9が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。
Ar3は、置換または無置換の単環式、非縮合多環式および縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表す。
上記一般式(1)、(2)に示される繰り返し単位を含む化合物の製造方法について説明する。
例えば、アルデヒドとホスホネートを用いたWittig-Horner反応、アルデヒドとホスホニウム塩を用いたWittig反応、ビニル置換体とハロゲン化物を用いたHeck反応、アミンとハロゲン化物を用いたUllmann反応等が適用できる。
上記一般式に示される高分子化合物の分子量は、ポリスチレン換算数平均分子量で1000〜1000000が好ましく、2000〜500000がより好ましい。
分子量が小さすぎると、成膜時にひびが入ったりして実用性に乏しくなる。
また、分子量が大きすぎる場合は一般溶媒への溶解性が悪くなり、溶液の粘度が高くなって塗工が困難になり、やはり実用性に乏しくなる。
上記一般式(1)、(2)に示される高分子化合物は、種々の一般的な有機溶媒、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、トルエン、ジクロロベンゼン及びキシレン等に対し良好な溶解性を示す。従ってこれらの適当な溶媒により所望の濃度の溶液を作製し、湿式成膜法により成膜を行うことができる。
湿式成膜法としては、スピンコート法、ディッピング法、ブレード塗工法、スプレー塗工法、キャスト法、インクジェット法、印刷法等の公知の湿式成膜技術を適用できる。
これら各種成膜法から選定する好適な方法に応じて、適切な溶媒を選定する。なお、電子供与性有機物層4の膜厚は、50〜3000Åが好適である。
また、上記一般式(1)、(2)に示される高分子材料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高分子材料の具体例としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジフェネチルベンゼン誘導体(特開平9−127713号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開平9−297419号公報に記載)、ブタジエン誘導体(特開平9−80783号公報に記載)、水素化ブタジエン(特開平9−80784号公報に記載)、ジフェニルシクロヘキサン誘導体(特開平9−80772号公報に記載)、ジスチリルトリフェニルアミン誘導体(特開平9−222740号公報に記載)、ジフェニルジスチリルベンゼン誘導体(特開平9−265197号、同9−265201号公報に記載)、スチルベン誘導体(特開平9−211877号公報に記載)、m−フェニレンジアミン誘導体(特開平9−304956号、同9−304957号公報に記載)、レゾルシン誘導体(特開平9−329907号公報に記載)、トリアリールアミン誘導体(特開昭64−9964号、特開平7−199503号、特開平8−176293号、特開平8−208820号、特開平8−253568号、特開平8−269446号、特開平3−221522号、特開平4−11627号、特開平4−183719号、特開平4−124163号、特開平4−320420号、特開平4−316543号、特開平5−310904号、特開平7−56374号、特開平8−62864号各公報、米国特許5,428,090号、同5,486,439号各明細書)等が挙げられる。
また、光電変換効率の向上等を目的として、低分子型電子供与性有機材料を、上記高分子材料と共に電子供与性有機物層4に含有させてもよい。
上記低分子電子供与性有機材料としては、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭57−73075号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955号、同55−156954号、同55−52063号、同56−81850号などの公報に記載)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭5−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報に記載)、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065号、同52−139066号公報に記載)、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体(特開平3−285960号公報に記載)、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報に記載)、スチリル誘導体(特開昭56−29245号、同58−198043号各公報に記載)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体(特開平2−94812号公報に記載)等が挙げられる。
これらの低分子電子供与性有機材料は、単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の光起電力素子の変換効率(η)は次式によって表される。
η(%) =(Voc×Jsc×ff×100)/Pin
但し、Vocは開放時の電圧、Jscは短絡時の電流、ffはフィルタファクターと呼ばれる光照射時の電圧−電流曲線の因子を示す値である。Pinは入射光エネルギーである。
図2及び図4に示す光起電力素子における構成上の特徴である透光性n型無機半導体層7は、電子受容性有機物層3と電極材料とのエネルギー障壁をなくし、電荷の移動を容易にする機能と、電子受容性有機物層のピンホールの影響を消失させる機能を有している。
また、図3及び図4に示す光起電力素子における構成上の特徴である第二電子供与性有機物層42は、光活性層における吸収光の有効利用や、生成した電荷の再結合確率を低減する等の機能を有している。
次に、具体的な実施例を挙げて本発明の光起電力素子について説明するが、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
充分に洗浄処理を行ったITOガラス(松崎真空製、30Ω/□)上に、真空蒸着法により、電子受容性有機物層として、ペリレンテトラカルボン酸メチルイミド(PL−ME)を、400Åの膜厚に形成した。
次に、一般式(1)で示される高分子化合物として、下記式(3)で示される化合物の、1.0wt%トルエン溶液を調製した。
Figure 2006253489
この溶液を、スピンコート法により、400Åの膜厚で塗布し、電子供与性有機物層4を形成した。
次に、この上層として、金を真空蒸着した。
上記ITOと金がなす面積は、0.25cm2とした。
2つの電極に銀ペーストにてリード線を取り付けた。
このようにして作製した光起電力素子のITO側に、75mW/cm2の白色光を照射しながら、6mV/sで掃引される電圧を印加して変換効率を測定したところ、Voc=0.36V、Jsc=1.82mA/cm2、ff=0.36となり、変換効率0.37%が達成された。
この値は有機光起電力素子としては、従来のものに比較して大きく、光電変換効率の向上が図られたことが確かめられた。
〔実施例2〕
充分に洗浄処理を行ったITOガラス(松崎真空製、30Ω/□)上に、基板温度約250℃で、導入ガスとしてアルゴンを用い、DCマグネトロンスパッタ法により、透光性n型無機半導体層7として、酸化亜鉛を1500Åの膜厚に成膜した。
その上層に、真空蒸着法により、電子受容性有機物層3として、ペリレンテトラカルボン酸メチルイミド(PL−ME)を、400Åの膜厚に形成した。
次に、一般式(1)で示される高分子化合物として、下記式(4)で示される化合物の、1.0wt%トルエン溶液を調製した。
Figure 2006253489
この溶液を、スピンコート法により、400Åの膜厚で塗布し、電子供与性有機物層4を形成した。
次に、この上層として、金を真空蒸着した。
上記ITOと金がなす面積は、0.25cm2とした。
2つの電極に銀ペーストにてリード線を取り付けた。
実施例1と同様にして変換効率を測定した。
その結果、Voc=0.39V、Jsc=1.9mA/cm2、ff=0.39となり変換効率0.41%が得られた。
この値は従来の有機光起電力素子と比較して大きい値であり、光電変換効率の向上が図られたことが確かめられた。
〔実施例3〕
充分に洗浄処理を行ったITOガラス(松崎真空製、30Ω/□)上に、真空蒸着法により、電子受容性有機物層3として、ペリレンテトラカルボン酸メチルイミド(PL−ME)を400Åの膜厚に形成し、次に、第一電子供与性有機物層41として、アルミニウムクロルフタロシアニン(AlClPc)を、100Åの膜厚に形成した。
次に、一般式(1)で示される高分子化合物として、下記式(5)で示される化合物の、1.0wt%トルエン溶液を調製した。
Figure 2006253489
この溶液を、スピンコート法により、400Åの膜厚で塗布し、第二電子供与性有機物層42を形成した。
次に、この上層として、金を真空蒸着した。
上記ITOと金がなす面積は、0.25cm2とした。
2つの電極に銀ペーストにてリード線を取り付けた。
実施例1と同様にして変換効率を測定した。
その結果、Voc=0.38V、Jsc=1.89mA/cm2、ff=0.37となり変換効率0.39%が得られた。
この値は従来の有機光起電力素子と比較して大きい値であり、光電変換効率の向上が図られたことが確かめられた。
〔実施例4〕
充分に洗浄処理を行ったITOガラス(松崎真空製、30Ω/□)上に、基板温度約250℃で、導入ガスとしてアルゴンを用い、DCマグネトロンスパッタ法により、透光性n型無機半導体層7として酸化亜鉛を約1500Åの膜厚に成膜した。
この上層に、真空蒸着法により、電子受容性有機物層3として、ペリレンテトラカルボン酸メチルイミド(PL−ME)を400Åの膜厚に形成し、次いで第一電子供与性有機物層41として、アルミニウムクロルフタロシアニン(AlClPc)を100Åの膜厚に形成した。
次に、一般式(1)で示される高分子化合物として、前記式(3)の重合体の1.0wt%トルエン溶液を調製した。
この溶液をスピンコート法により、400Åの膜厚に塗布し、第二電子供与性有機物層42を形成した。
次に、この上層として、金を真空蒸着した。
実施例1と同様にして変換効率を測定した。
その結果、Voc=0.42V、Jsc=2.29mA/cm2、ff=0.45となり変換効率0.61%が得られた。
この値は従来の有機光起電力素子と比較して大きい値であり、光電変換効率の向上が図られたことが確かめられた。
〔実施例5〕
充分に洗浄処理を行ったITOガラス(松崎真空製、30Ω/□)上に、基板温度約250℃で、導入ガスとしてアルゴンを用い、DCマグネトロンスパッタ法により、透光性n型無機半導体層7として酸化亜鉛を1500Åの膜厚に成膜した。
この酸化亜鉛膜上に、真空蒸着法により、電子受容性有機物層3として、ペリレンテトラカルボン酸メチルイミド(PL−ME)を、400Åの膜厚に形成し、次いで第一電子供与性有機物層41としてアルミニウムクロルフタロシアニン(AlClPc)を100Åの膜厚に形成した。
次に、一般式(1)で示される高分子化合物として、前記式(4)の重合体の1.0wt%トルエン溶液を調製した。
この溶液をスピンコート法により、400Åの膜厚に塗布し、第二電子供与性有機物層42を形成した。
次に、この上層として、金を真空蒸着した。
実施例1と同様にして変換効率を測定した。
その結果、Voc=0.46V、Jsc=2.25mA/cm2、ff=0.49となり変換効率0.64%が得られた。
この値は従来の有機光起電力素子と比較して大きい値であり、光電変換効率の向上が図られたことが確かめられた。
〔実施例6〕
充分に洗浄処理を行ったITOガラス(松崎真空製、30Ω/□)上に、基板温度約250℃で、導入ガスとしてアルゴンを用い、DCマグネトロンスパッタ法により、透光性n型無機半導体層7として酸化亜鉛を1500Åの膜厚に成膜した。
この酸化亜鉛膜上に、真空蒸着法により、電子受容性有機物層3として、ペリレンテトラカルボン酸メチルイミド(PL−ME)を、400Åの膜厚に形成し、次いで第一電子供与性有機物層41としてアルミニウムクロルフタロシアニン(AlClPc)を100Åの膜厚に形成した。
次に、一般式(1)で示される高分子化合物として、前記式(5)の重合体の1.0wt%トルエン溶液を調製した。
この溶液をスピンコート法により、400Åの膜厚に塗布し、第二電子供与性有機物層42を形成した。
次に、この上層として、金を真空蒸着した。
実施例1と同様にして変換効率を測定した。
その結果、Voc=0.45V、Jsc=2.21mA/cm2、ff=0.47となり変換効率0.63%が得られた。
この値は従来の有機光起電力素子と比較して大きい値であり、光電変換効率の向上が図られたことが確かめられた。
本発明の光起電力素子の一例の概略断面図を示す。 本発明の光起電力素子の他の一例の概略断面図を示す。 本発明の光起電力素子の他の一例の概略断面図を示す。 本発明の光起電力素子の他の一例の概略断面図を示す。
符号の説明
1 透明絶縁支持体
2 透明電極
3 電子受容性有機物層
4 電子供与性有機物層
5 背面電極
6 リード線
7 透光性n型無機半導体層
41 第一電子供与性有機物層
42 第二電子供与性有機物層

Claims (7)

  1. 少なくとも一方が透光性である二つの電極の間に、
    接合により内部電界を生じる電子受容性有機物層と電子供与性有機物層とが積層された光起電力素子であって、
    前記電子供与性有機物層に、少なくとも、下記一般式(1)で示される高分子材料が、含有されていることを特徴とする光起電力素子。
    Figure 2006253489

    但し、R、R、R、R4は、それぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、またはアルコキシ基、もしくはアルキルチオ基から選択される基を表す。
    x、y、z、wは、それぞれ独立に0から4の整数を表す。
    、R、R、R4が、各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。
    Ar2は、置換または無置換の単環式、非縮合多環式および縮合多環式芳香族炭化水素基を表し、Ar1は、置換または無置換の単環式、非縮合多環式、及び縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表す。
  2. 少なくとも一方が透光性である二つの電極の間に、
    接合により内部電界を生じる電子受容性有機物層と電子供与性有機物層とが積層された光起電力素子であって、
    前記電子供与性有機物層に、少なくとも、下記一般式(2)で表される高分子材料が、含有されていることを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
    Figure 2006253489

    但し、R5、R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立にハロゲン原子、置換もしくは無置換の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、またはアルコキシ基、もしくはアルキルチオ基から選択される基を表す。
    vは0から5の整数を表す。
    a、b、c、dは、それぞれ独立に0から4の整数を表す。
    5、R6、R7、R8、R9が各々複数存在する場合には、同一でも別異でもよい。
    Ar3は、置換または無置換の単環式、非縮合多環式および縮合多環式芳香族炭化水素基の2価基を表す。
  3. 透明電極、電子受容性有機物層、電子供与性有機物層、及び背面電極が、順次積層された光起電力素子であって、
    前記電子供与性有機物層に、少なくとも上記一般式(1)、及び(2)で示される高分子材料が含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光起電力素子。
  4. 透明電極、透光性n型無機半導体層、電子受容性有機物層、電子供与性有機物層、及び背面電極が、順次積層された光起電力素子であって、
    前記電子供与性有機物層に、少なくとも上記一般式(1)、及び(2)で示される高分子材料が含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光起電力素子。
  5. 透明電極、電子受容性有機物層、第一電子供与性有機物層、第二電子供与性有機物層、及び背面電極が、順次設けられた光起電力素子であって、
    前記第二電子供与性有機物層に、少なくとも上記一般式(1)、及び(2)で示される高分子材料が含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光起電力素子。
  6. 透明電極、透光性n型無機半導体層、電子受容性有機物層、第一電子供与性有機物層、第二電子供与性有機物層、及び背面電極が、順次積層された光起電力素子であって、
    前記第二電子供与性有機物層に、少なくとも上記一般式(1)、及び(2)で示される高分子材料が含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光起電力素子。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載された光起電力素子を具備していることを特徴とする光センサー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0766436A (ja) * 1993-08-24 1995-03-10 Ricoh Co Ltd 有機光起電力素子
JP2002515078A (ja) * 1995-09-04 2002-05-21 ヘキスト・リサーチ・アンド・テクノロジー・ドイチュラント・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー エレクトロルミネセンス物質としてトリアリールアミン単位を含むポリマー

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