JPH0723188B2 - 油種判別装置付給油装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本発明は給油所等において使用され、自動車の燃料タン
クへガソリンや軽油といった油液を供給する装置に関す
るものでさらに詳しくは自動車の油種を判別する機能を
備えた装置に関するものである。

（ロ）従来技術とその問題点 近年軽油仕様の小型乗用車が増加し、しかも同一車種で
ガソリン仕様のものと軽油仕様のものとが混在している
ので油種を間違えて給油してしまう事故が多発してい
る。

そこで本出願人は特開昭64−58697において給油ノズル
の先端付近から自動車の給油口内のガスを吸引して油種
を判定し、判定した油種と給油ノズルの油種とが一致し
たときのみ給油が許可される装置を提案した。

その装置は非常に有効ではあるが、給油ノズルや給油ホ
ースは吸引用チューブを通した専用のものを使用するの
で高価にならざるを得ず、吸引用チューブ等の影響で油
流速の低下をまぬがれ得なかった。

（ハ）問題点を解決するための構成と作用 本発明は自動車の油種を判定する機能を損なうことや給
油速度の低下を生じることなく、より安価なシステムを
得ることを目的とするもので、その構成は、 油を汲み出すポンプと、流量計と、給油ノズルとを順次
接続した流路と、給油量の表示器とを備えるとともに給
油ノズルの待機位置での存在の有無を検知するノズル検
知手段と、給油口キャップの保持手段と、給油口キャッ
プからの遊離ガスに含まれる臭い物質との接触量に対応
する臭い検知信号を出力する臭いセンサーと、臭い検知
信号をもとに油種を判定する判定手段と、判定手段にお
ける油種の判定結果と給油ノズルの待機位置での有無と
から給油を制御する手段とを備えたもので、給油口キャ
ップを保持手段から取り去ることで臭いセンサーのクリ
ーニングを開始し、判定手段による油種の判定結果と待
機位置での不存在が確認された給油ノズルの油種とが一
致したときのみ当該給油ノズルによる給油が可能とな
る。

（ニ）実施例 第１図において、１はポンプユニットで、ポンプの他逆
止弁，フィルタ，空気分離器等が収納されていてモータ
ー２によって駆動されて図示しないタンクから汲油管３
を介して油を汲出し流量計４へ送る。

５は管継手で、その蒸留側には流量計４に繋がる送油管
６が接続され、その下流側には先端に給油ノズル７を備
えた給油ホース８が接続されている。

11は流量計４が計量した油量に対応する数の流量パルス
信号ａ（1/100リットルパルス）を出力する流量パルス
発信器、12は給油量を表示する表示器、13は給油待機時
に給油ノズル７が載置されるノズルケース、14はノズル
ケース13での給油ノズル７の存在時にノズル検知信号ｂ
を出力するノズル検知スイッチ、15は一方端がコンプレ
ッサー等の加圧空気発生源に繋がった加圧空気管、16は
加圧空気管15を開閉する空気弁、17は給油口キャップを
保持させるキャップ室（給油口キャップの保持手段）で
ある。

18は給油口キャップからの遊離ガスに含まれる臭い物質
との接触量に対応する臭い検知信号を出力する臭いセン
サーで、たとえば生体膜のモデルであるリポソームを使
って特定の臭いの強さを検出することでガソリン，灯
油，軽油等の油の種類を嗅ぎ分けることができる。

21は許可ランプ、22は注意ランプ、23は後述する電気回
路が収納された制御部である。

第２図において、24は自動車の給油口キャップで、回転
着脱用のハンドル25を上方へ向けて、その底が臭いセン
サー18に近接するようにキャップ室17の床26に載置され
ている。

27は磁界の歪や光の反射等を利用したキャップ検知セン
サーで、キャップを検出している間キャップ検知信号ｄ
を出力する。

28は空気ノズルで、加圧空気管15を介して送られてきた
油ガスを含まない加圧空気を噴射させ、キャップ室17内
や臭いセンサー18をクリーニングする。

第３図において、31は計数回路でノズル検知信号ｂの消
失時すなわち給油ノズル７をノズルケース13から取り外
したときに帰零され、流量パルス信号ａの数を計数して
その計数値を給油量信号ｅとして表示器12へ出力し、給
油量を表示させる。

32は判定回路で、臭い検知信号ｃの内容から当該給油装
置と同油種であるか否かを判定し、同油種であると確認
されたときのみ給油許可信号ｆを出力する。

33はモーター駆動回路で、給油許可信号ｆの入力とノズ
ル検知信号ｂの消失を条件にモーター駆動信号ｈを出力
してモーター２を付勢し、ノズル検知信号ｂの発生でモ
ーター駆動信号ｈを消失させてモーター２を消勢させ
る。

34は許可ランプ駆動回路で、給油許可信号ｆの入力でラ
ンプ点灯信号ｉを出力して許可ランプ21を点灯させ、モ
ーター駆動信号ｈの消失でランプ点灯信号ｉを消失させ
許可ランプ21を消灯させる。

35は空気弁制御回路で、キャップ検知スイッチ27がキャ
ップ24を検出しなくなったときその時点から一定時間
（たとえば５秒間）開弁信号ｊを出力して空気弁16を開
かせる。

36は注意ランプ制御回路で、ノズル検知信号ｂが発生し
た時点でキャップ検知信号ｂが入力されているとランプ
点灯信号ｋを出力して注意ランプ22を点灯させ、この状
態はキャップ検知信号ｄが消失するまでの間続けられ
る。

以下第1,2,3図をもとに請求項（１）の発明についてま
ずガソリン用の装置を前提として実施例を説明する。

給油口のキャップの24を第２図のようにキャップ室17の
床26へ載置するとキャップ検知スイッチ27からキャップ
検知信号ｄが出力される。

キャップ24にはシール用のゴムパッキン等が使われてい
てガソリンや軽油のガスが浸み込んでいるのでこれらか
ら常に発散されているガスによって油種特有の臭いがす
る。

そこで判定回路32はキャップ検知信号ｄの入力をきっか
けとして臭い検知信号ｃの内容がガソリンガスに該当し
ているかそれとも軽油ガスに該当しているかを判定し、
ガソリンガスであればただちに給油許可信号ｆを発生す
る。

給油許可信号ｆの発生によって許可ランプ21が点灯し、
油種が一致して当該給油装置による給油が可能であるこ
とを報知し、作業者がこの報知を確認して給油ノズル７
をノズルケース13から取り外すと給油許可信号ｆとノズ
ル検知信号ｂの消失とのアンド条件が成立するのでモー
ター駆動回路33からモーター駆動信号ｈが出力されてモ
ーター２が付勢されるのでこの後作業者は給油を行な
う。

給油作業が進行するにつれて流量計４での計量値は給油
量として表示器へ表示される。

所望量の給油が終了して給油ノズル７をノズルケース13
へ戻すとノズル検知信号ｂが発生され、これによって下
記の動作が行なわれる。

ノズル検知信号ｂの発生によりモーター駆動信号ｈ
が消失してモーター２が消勢される。

モーター駆動信号ｈの消失でランプ点灯信号１が消
失され許可ランプ21が消灯する。

ノズル検知信号ｂの発生とキャップ検知信号ｄの存
在とのアンド条件が成立するのでランプ点灯信号ｋが発
生されて注意ランプ22が点灯され、未だキャップ24が給
油口へ戻されていないことを報知する。

この後キャップ24をキャップ室17から取り出すとキャッ
プ検知信号ｄが消失するので空気弁16が開かれてキャッ
プ室17のクリーニングが行なわれランプ点灯信号ｋが消
失して注意ランプ22が消灯する。

以上ガソリン用の装置においてガソリン車へ給油を行な
う場合について説明したが、軽油用の装置で軽油車で給
油しようとした場合にもまったく同じように動作が行な
われる。

しかしガソリン用の装置で軽油車へ給油しようとした場
合や軽油用装置でガソリン車へ給油しようとした場合に
は当該装置の油種と臭い検知信号ｃの示す油種とが一致
せず、給油許可信号ｆが発生されないので許可ランプ21
が点灯されず、給油ノズル７をノズルケース13から外し
てもモーター２が付勢されないので給油はできない。

なお、本発明の構成は先の実施例の他、下記変形例も可
能である。

第１図で送油管６に油弁37を挿設し、第３図で油弁制御
回路38を設け、ここへ給油許可信号ｆとノズル検知信号
ｂとを導入することによってモーター２の消付勢をノズ
ル検知信号ｂの有無によってのみ制御させ、給油許可信
号ｆの発生で油弁37を開かせてノズル検知信号ｂの発生
でこれを閉じさせることができる。

また第４図に示したように第１図と同じ構成のもの二式
を１個の筐体へ収納し、一方をガソリン用他方を軽油用
とさせることもできる。

続いて第5,6図をもとに請求項（２）の実施例を説明す
るが請求項（１）の発明との違いは油種の異なる複数
（実施例では２個）の給油系統が１個の表示器を共有し
ており、よって一方の給油ノズルによる給油中は他方の
給油ノズルは使用できず、キャップの臭いによって使用
可能な給油系統が示される点にあり、請求項（１）の発
明と同一機能部分には同一名称を付すとともに同一符号
あるいは同一符号に添数字をしてあらわしその重複説明
は省略する。

41は制御部で、下記の電気回路が収納されている。

42は計数回路で、ノズル検知信号b₁，b₂のどちらかが消
失すると計数値が帰零され、給油が行なわれた側の流量
パルス信号a₁またはa₂を計数し、その計数値を給油量信
号ｅとして出力する。

43は判定回路で、臭い検知信号ｃの内容がガソリンガス
に該当するか軽油ガスに該当するかを判断してガソリン
ガスに該当する場合には給油許可信号f₁を、軽油ガスに
該当すると判断したときは給油許可信号f₂を出力する。

44は注意ランプ制御回路で、ノズル検知信号b₁またはb₂
の発生時点でキャップ検知信号ｄが入力されているとラ
ンプ点灯信号ｋが発生される。

以下第2,5,6図に示した構成をもとに請求項（２）の発
明について説明を続ける。

給油口キャップ25を第２図のようにキャップ室17の床26
へ載置するとキャップ検知スイッチ27からキャップ検知
信号ｄが出力される。

そこで判定回路43は臭い検知信号ｃの内容がガソリンガ
スに該当しているかそれとも軽油ガスに該当しているか
を判定し、ガソリンガスであれば給油許可信号f₁を軽油
ガスであれば給油許可信号f₂を発生する。

給油許可信号f₁が発生されれば許可ランプ21−１が点灯
して給油ノズル７−１すなわちガソリン用ノズルが使用
可能であることを知らせ、給油許可信号f₂が発生されれ
ば許可ランプ21−２が点灯して給油ノズル７−２すなわ
ち軽油用ノズルが使用可能であることを知らせる。

作業者はこの給油許可ランプ21−1,21−２のうち点灯し
た側の給油ノズルを使用して給油を行なえば良く、たと
えば許可ランプ21−１が点灯していて給油ノズル７−１
をノズルケース13−１から外すと計数回路42の帰零とモ
ーター２−１の付勢とが行なわれるがこのとき許可ラン
プが点灯していない側の給油ノズル７−２を外してもモ
ーター２−２は付勢されない。

所望量の給油が終了して給油ノズル７−１をノズルケー
ス13−１へ戻すとノズル検知信号b₁が発生されてモータ
ー２−１の付勢，許可ランプ21−１の消灯の他このとき
キャップ検知信号ｄが存在していると注意ランプ22の点
灯が行なわれる。

この後キャップ24をキャップ室17から取り出すとキャッ
プ検知信号ｄが消失するので空気弁16が開かれてキャッ
プ室17のクリーニングが行なわれ、さらにランプ点灯信
号ｋが消失して注意ランプ22が消灯する。

判定回路43において軽油ガスであると判断され、給油許
可信号f₂が発生されたときには許可ランプ21−２が点灯
して給油ノズル７−２が使用可能になる以外は先の動作
と同じである。

なお、請求項（２）の発明についても請求項（１）の発
明と同じく油弁による送油の制御が可能であることは言
うまでもない。

以上請求項（１），（２）の発明について実施例を説明
したが、キャップ室17内の構造についてさらに他の変形
例を下記に示す。

第７図において床51は軸52を中心に臭いセンサー18を伴
って揺動可能でキャップ24が載置されていないときには
スプリング53の弾性によって床51の右端54がパネル55の
屈曲部56に当接する位置をとり、そのときキャップ検知
スイッチ57の図示しない接点は開いているが、キャップ
24が載置されていると床51がスプリング53の弾性に抗し
て図示位置まで変位し、スイッチ57の接点を閉じるので
キャップ検知信号ｄが発生されることになる。

第８図において、61はキャップ室17を閉塞する蓋で、軸
62を中心に回動が許容されており、蓋61の開閉が蓋スイ
ッチ（キャップ検知スイッチにあたる）63によって検出
されるので、この場合には蓋61が開いているときのみ空
気ノズル28からの空気噴射が行なわれるようにしておく
と蓋61を開いたときにキャップ17のクリーニングととも
に外部からのガスの侵入を防止できる。

第９図において、71はキャップ24を磁着させるマグネッ
トで、キャップ24の取扱いが容易になるように床72が傾
斜形成されている。

第10図において、傾斜した床82にキャップ24が載置され
たときにキャップ24の下面が臭いセンサー18に近接する
ようにストッパー81によって位置決めされている。

なお、それぞれの実施例において油種の判定を迅速化さ
せるためにガスを臭いセンサーの方向へ向けて吸引させ
る手段や第８図のように外部からガスの流入を防止する
ための蓋をそれぞれ設けることもできる。

（ホ）効果 以上説明したように給油口キャップの臭いから自動車の
油種を判断して同油種の給油ノズルでのみ給油を許可す
るので、給油口内のガスを採取して油種を判定する方法
に比して給油ホース，給油ノズルは一般品を使え、さら
に油流速を低下させる要因を含まないので構造簡単で、
安価で、機能上も優れた給油装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は請求項（１）の発明にかかる給油装置の構造
を、第２図はキャップ室の構造を、第３図は第１図にお
ける制御部内の電気回路を、第４図は第１図における給
油系統を二式組込んだ場合の外観を示し、第５図は請求
項（２）の発明にかかる給油装置の構造を、第６図は第
５図における制御部内の電気回路を、第7,8,9,10図はそ
れぞれ異なる構成のキャップ室を示す図である。 １…ポンプユニット、４…流量計 ７…給油ノズル、８…給油ホース 15…加圧空気管、17…キャップ室 57…キャップ検知スイッチ、63…蓋スイッチ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】油を汲み出すポンプと、流量計と、ホース
   と、給油ノズルとを順次接続した流路と、流量計での計
   量値を表示する表示器と、前記給油ノズルの給油待機時
   位置での存在の有無を検出して対応するノズル検知信号
   を発生するノズル検知手段と、自動車の給油口キャップ
   の保持手段と、保持手段における給油口キャップの保持
   を検知する保持検知手段と、保持中の給油口キャップか
   らの遊離ガスに含まれる臭い物質との接触量に対応する
   臭い検知信号を出力する臭いセンサーと、臭い検知信号
   をもとに当該装置と同油種か否かを判定し同油種であれ
   ば給油許可信号を出力する判定手段と、この給油許可信
   号の発生と前記ノズル検知手段におけるノズルの不存在
   の検知とを条件に給油を許可する給油制御手段と、前記
   保持手段における給油口キャップの保持の解除をきっか
   けに空気を噴射させて前記臭いセンサーをクリーニング
   するクリーニング手段とを備えた油種判別装置付給油装
   置。
2. 【請求項２】油を汲み出すポンプと、流量計と、ホース
   と、給油ノズルとを順次接続した流路と、前記給油ノズ
   ルの給油待機時位置での存在の有無を検出して対応する
   ノズル検知信号を発生するノズル検知手段とからなる給
   油系統の複数と、これら各給油系統における流量計での
   計量値を択一的に表示する表示器と、自動車の給油口キ
   ャップの保持手段と、保持手段での給油口キャップから
   の遊離ガスに含まれる臭い物質との接触量に対応する臭
   い検知信号を出力する臭いセンサーと、臭い検知信号を
   もとに油種を判定し同油種の給油系統へ給油許可信号を
   与える判定手段と、この給油許可信号の発生と給油許可
   信号が与えられた給油系統の前記ノズル検知手段におけ
   るノズルの不存在の検知とを条件に給油許可信号が与え
   られた給油系統の給油を許可する給油制御手段とを備え
   た油種判別装置付給油装置。