JPH0721344U - 輪転オフセット印刷機の紙送り胴の被覆 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 片面印刷においてもまた両面印刷において
も、印刷機全体を通して汚損のない枚葉紙の搬送を保証
する。 【構成】 半球状の支持面９と谷部１０でなっている凹
凸のついた面８が、幾つかの場所において意図的に設け
られた貫通部分３によって不連続になっている。これら
貫通部分３が選択的に吹出し空気あるいは吸引空気の作
用の下におかれうる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、一方の面は平滑で、これと向い合う他方の面は凹凸のついた面とな っており、少なくともこの凹凸のついた面から突出していて枚葉紙を支える、望 ましくは統計的に一様に分散配置された支持面が、インキをはじき、化学的に安 定で耐摩耗性のある材料でなっている、片面および両面印刷用オフセット印刷機 の紙を送る胴の被覆に関する。

【０００２】

【従来の技術】

印刷されるべき枚葉紙の印刷機を通って排紙装置に至るまでの搬送は胴および その他の紙を送る胴でなされる。それら胴は、印刷機の種類、すなわちそれが片 面印刷用であるか両面印刷用であるかによるが、圧胴、反転胴、蓄積胴および排 紙胴である。搬送経路を走行する間に、搬送中の枚葉紙の印刷直後の側が上述の 胴の外套面の所々方々に当たるということは避けられない。特別な対策が施され ていない場合は、未だ乾いていないインキが胴の外套面に接触することが、印刷 された図柄の汚損を生ぜしめるが、これは特に外套面と搬送されている枚葉紙の 間の相対運動がわずかなときに起る。このような相対運動の原因は、枚葉紙がそ の自重のために脱落することとか、排紙チェンの搬送速度が排紙胴の周速度と僅 かに異なっていることである。このような相対運動のその他の原因は、硬い枚葉 紙あるいはカートンが搬送の途中で弛緩することである。わざわざ設けられた枚 葉紙案内手段が未だ完全に乾いていない印刷紙の汚損を起すことさえも稀ではな い。枚葉紙の両面が印刷される場合、汚損なく枚葉紙を搬送することは特に困難 が伴う。枚葉紙の印刷直後の側が胴の外套面や枚葉紙案内要素あるいは枚葉紙を 案内する胴の近傍に設けられた機械部分に接触するということは、両面印刷にお いて種々の紙を処理する場合には避けられない。ところで、要求の厳しい印刷の 場合、僅かな汚損があってもその印刷物は使われないものとなる。

【０００３】 西独特許明細書１５６１０４３によって公知の排紙胴は２重壁構造であり、多 孔質で空気を通す材料でできた覆いを有している。２重壁の間にある空所には空 気が吹込まれる。この空気は空気を通す覆いを貫通して外に出て、排紙胴の外套 面と印刷直後で下側になっている搬送途中の枚葉紙の側との間に空気クッション を生成する。この空気クッションが、排紙チェンによって持ち去られる枚葉紙と その印刷直後の下側になった側を依然として案内している、排紙胴の外套面との 間に周知のように速度差が存在しても、印刷絵柄の汚損を防止する。

【０００４】 この公知の排紙胴の製作費用はそれだけでもかなりのものである。さらに空気 クッションを生成するために大量の吹出し空気を必要とする。したがって、装置 自体のコストのほか、大きいエネルギ所要を見込まねばならない。よって、この ような多孔質の空気吹出し型の胴を印刷機の中でより多くの場所で用いるという ことはそもそもできることでない。

【０００５】 この公知の排紙胴に大量の空気が必要であることと結びついているのは、機械 の中における熱の放散であって、それによって紙の収縮が起りうる。この排紙胴 を用いた場合、したがってしばしば吹出し空気のための冷却装置や加湿装置が必 要となり、これがまたコストを上昇させる。さらに、このような多孔質の空気吹 出し型の胴は圧胴としては使えない。この公知の空気吹出し型の胴は、排紙装置 においても、上述のように、印刷機の中で広範に用いられるには適していない。 米国特許３１２６８２６の第３コラム４９行以降に、ガラス玉付き布として構 成された送り胴のための被覆についての記述がある。ガラス玉は例えばゴムブラ ンケットの上に接着されていて、接着母体と共に敷きつめ型の、多孔質ではない 表面を形成しており、この表面は一様でないインキはじき特性を有している。つ まり、紙を支えるガラス玉の頭部はそこについたインキを積極的に枚葉紙へと返 すが、接着剤やゴム溶液でなっている谷部にはインキが蓄積する傾向がある。そ の結果、このようなガラス玉付き布は度々洗浄されなければならない。

【０００６】 排紙胴にはこの公知のガラス玉付き布は条件付きでのみ使用可能である。何と なれば、チェンのくわえづめがチェンホイールの円形の軌道から直線軌道に移行 する際に、搬送される枚葉紙には、排紙胴の外套面の表面速度とは僅かに異なる 速度が無理に与えられるからである。その結果生ずる、枚葉紙の印刷されたばか りの下側の面の、被覆つまりガラス玉付き布に対する相対的移動が、ガラス玉の 頭部が良好なインキはじき特性を有するにもかかわらず、必ずや印刷図柄の汚損 を起させる。

【０００７】 西独特許明細書１２５８８７３によってさらに、圧胴ないし枚用紙送り胴の外 套面に張着される、アルミニウム板を例えば砂吹きで粗面化し、次いで薄いクロ ムめっき層で覆うということが公知である。そのようにして作られた凹凸のつい た表面の支持面となる表面部分は高さが不規則で大きさも相異なっている。比較 的に鋭った支持面は紙により平らな支持面よりも当然早く摩耗する。摩耗した場 所では支持材料、例えばアルミニウムが現れる。この支持材料の裸になった表面 のインキをはじく特性は、外套面全体が両面印刷の場合に印刷直後の枚葉紙の側 を案内するにはもはや不向きとなる程に悪い。この欠点はさておくこととしても 、この種のクロムめっきのアルミニウム板と圧胴ないし送り胴で案内される枚葉 紙との相対運動は避けられない。

【０００８】 終に引合いに出すが、西独実用新案７９１１９４７．４によって、両面印刷用 輪転オフセット印刷機の圧胴のための被覆としての、一方の面は平滑で他方のこ れと対向する面には統計的に一様に分布した高さが一定の半球形突起が設けられ た、枚葉紙を案内するフォイルが公知である。良好なインキはじき特性を有する 一種の化学的に安定で耐摩耗性ある、例えばニッケルでできた支持層の上に、薄 い、ミクロ粗さに平滑化されたクロム層が装着されている。このフォイルは、送 り胴の上だけでなく、実に特には圧胴の上にあって両面印刷された枚葉紙を汚損 なく案内するに適している。しかし、案内された枚葉紙の、それを案内する胴の 外套面に対する相対運動は、やはりこのようなフォイルでも防止され得ない。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、片面印刷においてもまた両面印刷においても、印刷機全体を 通して汚損のない枚葉紙の搬送を保証する、輪転オフセット印刷機の紙送り胴の 被覆を提供することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

この目的は本発明によれば請求項１に記載の被覆によって達成される。

【００１１】

【作用】

本考案による被覆を送り胴、蓄積胴、反転胴、圧胴および排紙胴に用いること により、印刷された枚葉紙の汚損のない送りが保証される。本考案による被覆の 、インキをはじく性質の凹凸のついた表面が、貫通部分を通して供給あるいは吸 引される空気と共に働くことによって、被覆上での枚葉紙の不動保持あるいはこ の空気のクッションによっての接触のない搬送のいずれかが行われる。空気クッ ションによる搬送の際に枚葉紙の印刷されたばかりの側が凹凸のついた面の高い 部分に短時間接触することがあっても、これは汚損にはつながらない。このとき 注入される空気の量は適当な制御によって少ない限度内に留められる。

【００１２】 本考案による被覆の凹凸のついた面に設けられた貫通部分は、その全部が支持 面の間の谷部に配置されていてよい。１つの貫通部分の断面がただ１つの支持面 を含んでいてもよいし、凹凸のついた面のより多くの支持面と谷部を含んでもよ い。貫通部分が凹凸のついた面全体にわたって統計的に一様に分布するよう分散 しても設けられているのが有利である。もちろん、貫通部分が凹凸のついた面で 合目的的に不規則に配置されていてもよい。貫通部分はこの場合グループごとに 集まっていてよい。

【００１３】 貫通部分が円形あるいは少なくとも円に似た形の断面を有していれば有利であ るが、また、多角形、例えば四角形断面の貫通部分も用いられうる。凹凸のつい た面の支持面は半球、円筒あるいは円錐台形に作られてよい。被覆自体が１層あ るいは２つ以上の層で成っていてよい。電型法で成形され、その凹凸のついた表 面がクロムめっきされたニッケルのフォイルが特に有利であることが知られてい る。このような種類のニッケルフォイルの場合、貫通部分は支持面と一緒に電鋳 法で成形されうる。しかしまた、ガラス玉付き布あるいはプラスチックフォイル ないし金属フォイルを用いることも考えられる。この種の被覆における貫通部分 は機械的に、例えば打抜きによって作られうる。一般的には凹凸のついた面の１ つの貫通部分の直径は１mmより小さく、例えば０．３mmとされる。

【００１４】 本考案による被覆を圧胴、送り胴、排紙胴に用いる場合、この被覆を支える外 套面には空気の孔が設けられるが、それら孔の各々は少なくとも２つ、望ましく はより多数の貫通部を含むものとされる。

【００１５】 本考案のその他の特徴や利点は図面の説明の中に記載してある。以下では図面 を用いつつ本考案のいくつかの実施例について説明する。

【００１６】

【実施例】

図１に断面で示されているガラス玉付き布は市販の“Spherocote”布に相当す るものである。その紙を支える面においては、ガラス玉１が非対称配列で半球の 形で突出している。これらのガラス玉１は、ガラス玉付き布の支持材料２の中に 加硫埋込みされている。ガラス玉１は親水性である。すなわち、それらは枚葉紙 の印刷されたばかりの下側の面から来て着いたインキを積極的に元に返す。それ らはそれ故傾向としてインキの蓄積を許さない。したがって、このガラス玉１の 半球は印刷されたばかりの枚葉紙下面を支えるのに適している。ガラス玉付き布 のゴム様の支持材料２はこれに反して親油性であり、したがって、傾向としてイ ンキの蓄積を生ぜしめる。このガラス玉付き布はそれ故、枚葉紙がその自重だけ によって、あるいは小さな張力の下で載るような紙送り胴においてのみ成功裡に 用いられうる。

【００１７】 図１のガラス玉付き布においては円形の貫通部分３が打抜きで形成されている 。これら貫通部分３を通して、送り胴の外套のしかるべき構造によって、空気が 吹出しあるいは吸引される。その第１の場合は、少なくともガラス玉１の半球の 間に空気のクッションが生成され、印刷されたばかりの枚葉紙下面はガラス玉１ の半球に単に弱く接触するのみで、したがって未だ乾いていない印刷物の汚損が 避けられない。貫通部分３を通して外気が吸引されるときには、案内されている 枚葉紙の下に真空が発生し、それにより枚葉紙はガラス玉１の半球にしっかりと 押付けられる。

【００１８】 図２は本考案による別の１つの被覆を断面で示すが、これは一方の表面が例え ば砂吹きで粗面化された後クロムめっきされたニッケル鋼板４である。薄いクロ ムの層５が支持体の役目をなしているニッケル鋼板４の粗面化された全表面を蔽 っている。図２の被覆においてはレーザービームによって例えば直径０．２mmの 極めて小さい貫通部分３が明けられている。これら貫通部分３は前例同様、空気 の吹出しあるいは外気の吸引の役目をする。図２の被覆の粗面化された面の上に はそれ故同様に、空気クッションが生成され、これがインキをはじく性質のクロ ムの表面層５と共に働いて、枚葉紙と被覆の間に相対運動がある場合であっても 、印刷されたばかりの枚葉紙下側の汚損を防止する。ところで、起りうる相対運 動を防止するために枚葉紙が表面上に不動で保持されるべき場合には、枚葉紙下 側とクロムの表面層５の間で負圧が生成するよう、貫通部分３を通して外気が吸 引される。図２の被覆の、粗面ではあるがインキをはじく性質の表面は、この場 合枚葉紙をしっかりと不動に保持する。さて終りとして、枚葉紙が図２の被覆か ら引離されるべきときには、貫通部分３を通しての空気の供給によってこの負圧 が急速に消滅する。そこで枚葉紙は汚損なしにインキをはじく性質の表面から引 離される。

【００１９】 図３は本考案の特に有利な１つの実施例を示す。この場合にも図２の場合と全 く同様に、被覆は２つの層、すなわちニッケルでできた支持層６と、このニッケ ルの支持層６の凹凸のついた表面８の上に装着された薄いクロムの表面層７で成 っている。この凹凸のついた表面８の構造は、半球状の支持面９とその間にある 谷部１０で成っている。これた半球状支持面９は凹凸のついた表面８上で非対称 に、しかしながら統計的に一様に分布して設けられている。図３の被覆１１には 、数個の谷部１０において四角形断面の貫通部分３が設けられているが、これら 貫通部分３は図４に示すように、グループを形成している。四角形断面の１辺の 長さは例えば０．２mmとなっている。図３による被覆１１は電鋳法を用いて作ら れる。この際に貫通部分３も同時に成形される。

【００２０】 図３に示されているように、被覆１１は外套面上に張着される。貫通部分３ の１つのグループの下方ではこの外套面１２に１つの孔１３が設けられており、 この孔１３は直径が約２mmで貫通部分３の１つのグループを含んでいる。圧力空 気が孔１３を通じて供給され貫通部分３から吹出される。それによって被覆１１ のクロムの表面層７の上方には常圧を超える圧力が生成され、この圧力が搬送さ れている枚葉紙１４を、その印刷されたばかりの下側が半球状支持面９の円丘と 接触することはない程度に持ち上げる。

【００２１】 被覆１１においては、図５に示すように、より大きい、例えば２mmの直径の貫 通部分３が設けられてよい。そのような被覆は有利な方法としては排紙胴に使わ れる。。

【００２２】 図６に断面図で示されている圧胴１５から、両面印刷された枚葉紙１４が１つ の渡し胴１６に引渡される。圧胴１５には図３のような被覆１１が張着されてい る。その外套面１２には空気の流路１７が配置されている。これら流路１７は圧 胴１５の回転軸に平行に延びている。圧胴１５の１つの端面では、図７に示すよ うに、図には示していない機械の側壁上に１つの弁板１８が設けられている。こ の弁板１８は、孔２０を通して負圧発生源に接続されている１つの制御スリット １９を有している。外套面１２に沿ってその特定の場合に、孔１３を通じて外気 に連絡している数個の空気流路１７が配置されている。既に図３において説明し たように、被覆１１は、その貫通部分３の各グループがそれぞれ１つの空気流路 １７の孔１３で蔽われるように張着されている。

【００２３】 さて、空気流路１７が制御スリット１９の領域にあるときは貫通部分３を通し て空気が吸引され、したがって被覆１１の表面上この場所において負圧が発生す る。この負圧は枚葉紙１４を吸引し、それにより、枚葉紙１４が脱落することを 防ぐ。枚葉紙１４はそれ故に、圧胴１５と送り胴１６の間の隙間を通して脱落し 得ない。枚葉紙１４は、それどころか、被覆１１の表面に対しての相対運動を生 じうることなしに、送り胴１６によって取去られる。圧胴１５と送り胴１６の接 点の付近で空気流路１７は制御スリット１９を離れ、それによって負圧は解消し 、したがって枚葉紙１４はこの場所においてもはや被覆１１に押付けられなくな る。 図８に概略的に示されている印刷装置は片面印刷用となっている。印刷装 置は版胴２１、ゴム胴２２および２倍径の大きさの圧胴２３で成っている。圧胴 ２３には被覆１１が張着されている。その構造は図６における圧胴１５のそれに 相当している。制御スリット１９は、枚葉紙の端がゴム胴２２と圧胴２３の間の 印刷隙間を丁度離れたとき、被覆１１の表面上に負圧が発生するように働く。そ れによって、図６においての説明のように、枚葉紙の脱落が避けられる。

【００２４】 ２倍径の大きさの送り胴１６が圧胴２３から枚葉紙を取り去る。送り胴の案内 面２４には、図１のような被覆すなわち、同様に全面にわたって分散配置された 貫通部分３を有するガラス玉付き布が張着されていてよい。送り胴１６の外套面 がしかるべき構造であるので、下方領域にある制御スリット１９の助けによって 空気が吹出され、搬送されている枚葉紙１４は紙案内壁板２６の上に押し載せら れる。それ故に、印刷されたばかりの枚葉紙側は送り胴１６上に張着された図１ のようなガラス玉付き布に容易に接触しないかあるいは全く接触しない。後続の 印刷装置のゴム胴２２および版胴２１と組んで働く圧胴２３は枚葉紙１４を受取 り、それを片面多色印刷における次段の印刷が行われる印刷隙間を通して送る。 この圧胴２３にも図３のような被覆１１が張着されている。

【００２５】 図９は両面印刷機における２つの印刷装置を概略的に示している。この構成全 体において図８と異なるのは吹出口がついた紙案内壁板２６の構造だけである。 第１の印刷装置の圧胴２３で案内される枚葉紙１４は既にその下側に１回あるい はより多くの印刷をなされたものである。つまり、圧胴２３は反転された枚葉紙 を案内している。版胴２１およびゴム胴２２の助けによって、下側が印刷された 枚葉紙に、この印刷装置で図１の裏面印刷がなされる。印刷隙間を通過し、送り 胴１６によって前縁部が受取られた後に、枚葉紙１４は図８の場合と全く同様に 、それが脱落しないよう、圧胴２３の被覆１１の負圧の作用によって押付けられ る。

【００２６】 送り胴１６の下方領域において、この場合は図１のような被覆の貫通部分から 空気が吹出されるのではなく、空気が吸引される。追加的に、紙案内壁板２６の 上部に吹出し空気によって空気クッションが形成される。その結果として、両面 とも印刷直後の枚葉紙１４は図１のような被覆の半球形の支持面１に向けてしっ かりと押付けられる。枚葉紙の送り胴１６の外套面に対しての相対運動は起り得 ない。ガラス玉付きの布のガラス玉は親水性であるので、そのようにして送られ た枚葉紙１４は、その印刷直後に載せられた側における汚損なしに、次段の圧胴 ２３によって取り去られる。第２段として示された印刷装置の圧胴２３の上では 、版胴２１およびゴム胴２２との共同の働きで枚葉紙１４に２回目の裏面印刷が なされる。圧胴２３には、印刷隙間においても、またそのすぐ後においても、未 だ印刷直後と言える表面印刷の側での接触汚損が起らないように、やはり被覆１ １が設けられている。

【００２７】 特に有利なこととして、図３ないしは図５のような被覆１１は排紙胴２８に使 用されてよい。このような使用法が図１０および図１１に示されている。最後の 印刷装置の概略的に示された圧胴２３から枚葉紙はチェンデリバリ式排紙装置２ ５の排紙胴２８に引渡される。枚葉紙１４の端がゴム胴２２から離れてから、圧 胴２３の上に張着された被覆１１の特別な構造による吸引作用によって、枚葉紙 １４の脱落が防止される。チェンデリバリ式排紙装置２５のくわえづめブリッジ ２７が排紙胴２８を放れるや否や、枚葉紙１４は、排紙胴２８の外周とは僅かに 異なった速度が無理に与えられる。それにより排紙胴２８の枚葉紙を案内する外 套面と枚葉紙１４の下側との間の相対運動が強制されることになる。

【００２８】 図１１は、本考案による被覆１１を用いることによって、この相対運動にもか かわらず印刷直後の枚葉紙下面の接触汚損がいかにして避けられるかを示す。排 紙胴２８には幾つかの数の吹出し室２９が設けられており、それら吹出し室２９ の構造を空気量が節約され流動に好都合なものとすることが、泡立ち形のプロフ ィル部分３１、例えば“PU-Schaum ”の助けによって達せられている。吹出し室 ２９は、制御孔３０および制御スリット１９を経て、図には示されていない圧力 空気源に間歇的に接続される。排紙胴２８の外套面１２には吹出し孔３２の１列 があって、これらの孔は被覆１１における貫通部分３に対して対称に配置されて いる。制御孔３０の１つが制御スリット１９の領域にある限りにおいては、吹出 し室２９を、そしてまた吹出し孔３２および被覆１１の貫通部分３を通して空気 が吹出され、被覆１１の凹凸のついた表面の上部に空気クッションが形成され、 これが枚葉紙１４を紙案内壁板２６の上に押し付ける。印刷されたばかりの枚葉 紙下側はそれ故被覆１１の凹凸の付いた表面に実際上接触しない。枚葉紙の被覆 １１の表面に対しての相対運動にもかかわらず、印刷されたばかりの枚葉紙側の 汚損は起らない。枚葉紙が被覆１１の紙支持用円丘に僅かに接触するべくなった としても、このことは印刷の汚損を生ぜしめない。何となれば、被覆１１のクロ ムの表面層７が親水性であって、ついたインキを接触的に元に戻すからである。 したがって、インキの分配状況の変化は起らない。

【００２９】 両面印刷機における反転ステーションにおいてもまた、図１２および図１３に 概略的に示されているように、本考案による被覆は大きな有利性をもって用いら れる。第１の印刷装置は版胴２１、ゴム胴２２および圧胴３で成っている。これ に続いて送り胴３３があって、これが枚葉紙１４を蓄積胴３４に引渡す。そこか ら反転胴３５が、機械のセットの仕方によって枚葉紙をその前縁部あるいは後縁 部をつかんで受取る。反転胴３５から枚葉紙はそのすぐ後の圧胴２３に到達する 。圧胴２３は版胴２１およびゴム胴２２と組んで働き、それにより枚葉紙１４は 、機械のセットの仕方次第で表面印刷あるいは裏面印刷をこの印刷装置において される。

【００３０】 １倍径の大きさの送り胴３３には図１のような被覆が設けられている。すなわ ち、枚葉紙はその印刷されたばかりの側が送り胴３３の案内面と接触しないよう に、吹出し空気によって紙案内壁板２６に押付けられる。蓄積胴３４には、それ が２倍径の大きさを有するので、２つの案内面が設けられており、枚葉紙の後縁 の領域において、調整可能な吸引箱３６がある。この吸引箱３６は図１３で拡大 して示してあるが、これは枚葉紙のフォーマットに合わせて調整されうる。吸引 箱３６は配管３７を経て図には示されていない負圧発生装置に接続されている。 吸引箱３６の孔１３を備えた覆い板３８は図３のような被覆１１と接着されてい る。貫通部分３のグループの各々がそれぞれ１つの孔１３で覆われている。枚葉 紙１４の後縁領域が吸引箱３６の作用で吸引されることにより、反転胴３５の鉗 子形くわえづめからの枚葉紙後縁部の確実で汚損のない受取りが保証される。吸 引箱３６はそれ故に先づはこの場合も下側が印刷されている枚葉紙１４の脱落を 防止する。被覆１１の親水性の表面は枚葉紙下側の印刷の汚損を追加的に防止す る。

【００３１】 本考案による被覆を輪転印刷機におけるすべての胴に一貫して用いるならば汚 損のない確実な枚葉紙の送りが保証される。被膜の貫通部分３が、特にこれが圧 胴に用いられた場合に、インキで汚れることを防ぐため、特定の角度位置、つま り被覆が枚葉紙を支えていない角度位置において短時間吹出し空気が噴出するよ うにでき、これによって被覆の貫通部分３はインキや塵を除去されて清浄となる 。一般に基本的には、吹出し型吸引へ、そしてその逆に切替えを行うことが可能 である。吸引箱３６は、蓄積胴のほか、２倍径の大きさの普通の送り胴において も用いられうる。

【００３２】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、被覆の凹凸のついた面に貫通部分を設け、該貫 通部分を通して空気を吹出し、あるいは吸引することにより、印刷されたばかり の枚葉紙の汚損のない送りが保証される効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるガラス玉付き布の断面図である。

【図２】本考案による片面がクロムめっきされたニッケ
ル鋼板の断面図である。

【図３】本考案による片面がクロムめっきされた電鋳法
によって作られたニッケルのフォイルの断面図である。

【図４】図３のフォイルの平面図である。

【図５】図３のフォイルで、比較的大きい貫通部分を有
するものの平面図である。

【図６】本考案による被覆を有する圧胴の断面図であ
る。

【図７】図６の圧胴の部分的平面図である。

【図８】片面多色印刷用のオフセット輪転印刷機におけ
る２つの印刷装置の概略図である。

【図９】両面印刷にセット変えされうる印刷機における
２つの印刷装置の概略図である。

【図１０】多色オフセット輪転印刷機の最終段の圧胴か
らチェンデリバリ式排紙装置への枚葉紙の引渡しを概略
的に示す図である。

【図１１】排紙胴の拡大した断面図である。

【図１２】反転機構部を有する、両面印刷にセット変え
されうる印刷機の２つの印刷装置の概略図である。

【図１３】反転機構部に属する貯留胴の一部分の断面図
である。

【符号の説明】

１ ガラス玉 ２ 支持材料 ３ 貫通部分 ４ ニッケル鋼板 ５ 薄いクロム層 ６ ニッケルの支持層 ７ 薄いクロムの表面層 ８ 凹凸のついた表面 ９ 半球状の支持面 １０ 谷部 １１ 被覆 １２ 外套面 １３ 孔 １４ 枚葉紙 １５ 圧胴 １６ 渡し胴 １７ 空気流路 １８ 弁板 １９ 制御スリット ２０ 孔 ２１ 版胴 ２２ ゴム胴 ２３ 圧胴 ２４ 案内面 ２５ チェンデリバリ式排紙装置 ２６ 紙案内壁板 ２８ 排紙胴 ２９ 吹出し室 ３０ 制御孔 ３２ 吹出し孔 ３３ 送り胴 ３４ 蓄積胴 ３５ 反転胴 ３６ 吸引箱 ３７ 配管 ３８ 覆い板

Claims (15)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の面は平滑で、これと向い合う他方
   の面は凹凸のついた面となっており、少なくともこの凹
   凸のついた面から突出していて枚葉紙を支える、望まし
   くは統計的に一様に分散配置された支持面が、インキを
   はじき、化学的に安定で、耐摩耗性のある材料でなって
   いる、片面および両面印刷用輪転オフセット印刷機の紙
   送り胴の被覆において、 支持面（９）と谷部（１０）でなっている凹凸のついた
   面が幾つかの場所において意図的に設けられた貫通部分
   （３）によって不連続になっており、これら貫通部分
   （３）が選択的に吹出し空気あるいは吸引空気の作用の
   下におかれうることを特徴とする輪転オフセット印刷機
   の紙送り胴の被覆。
2. 【請求項２】 前記貫通部分（３）がすべて、凹凸のつ
   いた面における前記支持面（９）の間の前記谷部（１
   ０）に設けられている、請求項１に記載の被覆。
3. 【請求項３】 １つの前記貫通部分（３）の断面が高々
   １つの支持面（９）を含んでいる、請求項１に記載の被
   覆。
4. 【請求項４】 １つの前記貫通部分（３）の断面が凹凸
   のついた面における幾つかの数の支持面（９）と谷部
   （１０）を含んでいる、請求項１に記載の被覆。
5. 【請求項５】 前記貫通部分（３）が凹凸のついた面の
   全体にわたって統計的に一様に分布するよう分散して設
   けられている、請求項１から４のいずれか１項に記載の
   被覆。
6. 【請求項６】 前記貫通部分（３）が凹凸のついた面に
   不規則に分散配置されている請求項１から４のいずれか
   １項に記載の被覆。
7. 【請求項７】 前記貫通部分（３）がグループごとに集
   まっている、請求項１から４のいずれか１項に記載の被
   覆。
8. 【請求項８】 前記貫通部分（３）が円形あるいは少な
   くとも円に似た形の断面を有している、請求項１から７
   のいずれか１項に記載の被覆。
9. 【請求項９】 前記貫通部分（３）が多角形、望ましく
   は四角形に形成されている、請求項１から７のいずれか
   １項に記載の被覆。
10. 【請求項１０】 前記支持面（９）が半球、円筒あるい
    は円錐台形に作られている請求項１から９のいずれか１
    項に記載の被覆。
11. 【請求項１１】 １層あるいはいくつかの層でなってい
    る請求項１から１０のいずれか１項に記載の被覆。
12. 【請求項１２】 ガラス玉付き布（１）、プラスチック
    フォイル、あるいは金属フォイルとして形成されている
    請求項１から１１のいずれか１項に記載の被覆。
13. 【請求項１３】 前記貫通部分（３）が機械的に作られ
    たもの、望ましくは打抜かれたものである請求項１から
    １２のいずれか１項に記載の被覆。
14. 【請求項１４】 前記貫通部分（３）が前記支持面
    （９）と共に電鋳法により成形されている請求項１から
    １３のいずれか１項に記載の被覆。
15. 【請求項１５】 凹凸のついた面の貫通部分（３）の直
    径が１mmより小さく、例えば０．３mmとなっている、請
    求項１から１４のいずれか１項に記載の被覆。