JPH07188857A - 軸受部品 - Google Patents

軸受部品

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JPH07188857A
JPH07188857A JP5330624A JP33062493A JPH07188857A JP H07188857 A JPH07188857 A JP H07188857A JP 5330624 A JP5330624 A JP 5330624A JP 33062493 A JP33062493 A JP 33062493A JP H07188857 A JPH07188857 A JP H07188857A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷間加工性を向上させる。転動疲労寿命を長
くする。コストを安くする。 【構成】 C0.6〜0.8wt%、Si0.05〜0.
25wt%、Mn0.2〜0.9wt%、Cr0.4〜1.
2wt%を含み、さらにMo0.10〜0.30wt%およ
びV0.03〜0.10wt%のうちの1種または2種を
含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼により形
成した軸受部品である。焼入処理および焼戻し処理を施
した後の最大炭化物の粒径が1.5μm以下でかつ炭化
物の量が面積率で2〜7%となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、転がり軸受の軌道輪
や転動体として用いられる軸受部品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軸受部品は、たとえばJIS SUJ
2で代表される高炭素クロム鋼により形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、JIS S
UJ2は炭素含有量が多いので加工性が劣るとともにコ
ストが高くなるという問題がある。また、焼入処理およ
び焼戻し処理を施した後の炭化物の粒径が比較的に大き
いため寿命にばらつきが生じやすいという問題がある。
【0004】この発明の目的は、上記問題を解決した軸
受部品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明による軸受部品
は、C0.6〜0.8wt%、Si0.05〜0.25wt
%、Mn0.2〜0.9wt%、Cr0.4〜1.2wt%
を含み、さらにMo0.10〜0.30wt%およびV
0.03〜0.10wt%のうちの1種または2種を含
み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼により形成
され、焼入処理および焼戻し処理を施した後の最大炭化
物の粒径が1.5μm以下でかつ炭化物の量が面積率で
2〜7%となされているものである。
【0006】上記鋼における合金成分の限定理由は次の
通りである。
【0007】C:0.6〜0.8wt% Cは焼入硬さを増大させる性質を有しているが、その含
有量が0.6wt%未満であると焼入硬さが不足し、耐摩
耗性が不十分になるとともに負荷容量が小さくなるとい
う問題がある。一方、Cの含有量が0.8wt%を越える
と炭化物の微細化が困難になって転動寿命にばらつきが
生じるとともに、変形抵抗が増大して冷間加工性が低下
する。しかも、コストが高くなる。したがって、Cの含
有量は0.6〜0.8wt%の範囲内で選ぶべきである
が、特に0.65〜0.75wt%の範囲内であることが
好ましい。
【0008】Si:0.05〜0.25wt% Siは脱酸に要する時間を短縮させる性質を有するが、
その含有量が0.05wt%未満であると脱酸に長時間を
要し、コストが高くなる。一方、Siの含有量が0.2
5wt%を越えると炭化物の球状化が困難になって網状炭
化物となるとともに、変形抵抗が増大して冷間加工性が
低下する。したがって、Siの含有量は0.05〜0.
25wt%の範囲内で選ぶべきであるが、特に0.10〜
0.20wt%の範囲内であることが好ましい。
【0009】Mn:0.2〜0.9wt% Mnは焼入性を向上させる性質を有するが、その含有量
が0.2wt%未満であるとその効果が少なくなる。一
方、Mnの含有量が0.9wt%を越えると靭性を低下さ
せて加工性が低下する。したがって、Mnの含有量は
0.2〜0.9wt%の範囲内で選ぶべきであるが、特に
0.2〜0.5wt%の範囲内であることが好ましい。
【0010】Cr:0.4〜1.2wt% Crは強度を増大させる性質を有するが、その含有量が
0.4wt%未満であると炭化物の球状化が困難になって
網状炭化物となる。一方、Crの含有量が1.2wt%を
越えるとコストが高くなるとともに強度増大効果もそれ
以上は向上しない。したがって、Crの含有量は0.4
〜1.2wt%の範囲内で選ぶべきであるが、特に1.0
〜1.2wt%の範囲内であることが好ましい。
【0011】Mo0.10〜0.30wt%およびV0.
03〜0.10wt%のうちの1種または2種 MoおよびVはそれぞれ上記各合金成分の含有量を通常
のJIS SUJ2材よりも少なくしたために生じる焼入性
の低下を補うとともに、組織を微細化するという性質を
有するが、Moの含有量が0.10wt%未満、Vの含有
量が0.03wt%未満であるとその効果が十分には現れ
ず、Moの含有量が0.30wt%を越え、Vの含有量が
0.10wt%を越えるとコストが高くなる。したがっ
て、Moの含有量は0.10〜0.30wt%、Vの含有
量は0.03〜0.10wt%の範囲内で選ぶべきである
が、特にMo0.15〜0.25wt%、V0.03〜
0.05wt%の範囲内であることが好ましい。
【0012】上記において、焼入処理および焼戻し処理
を施した後の最大炭化物の粒径を1.5μm以下に限定
したのは、最大炭化物の粒径が1.5μmを越えると転
動疲労寿命が短くなるからである。すなわち、本発明者
等が実験研究を行った結果、軸受部品中の最大炭化物の
粒径と転動疲労寿命(グリース潤滑時)との関係が図1
に示すようになり、最大炭化物の粒径が1.5μmを越
えると転動疲労寿命が短くなることが判明したからであ
る。最大炭化物の粒径は特に1.0μm以下であること
が好ましい。なお、図1中、実線は炭化物量が面積率で
2%の場合を示し、破線は炭化物量が面積率で7%の場
合を示す。
【0013】また、焼入処理および焼戻し処理を施した
後の炭化物の量を面積率で2〜7%に限定した理由は次
の通りである。すなわち、本発明者等が実験研究を行っ
た結果、軸受部品中の炭化物の量と摩耗量との関係が図
2に示すようになり、軸受部品中の炭化物の量が面積率
で2%未満であると摩耗量が多くなって耐摩耗性が低下
することが判明し、さらに軸受部品中の炭化物の量と転
動疲労寿命(グリース潤滑時)との関係が図3に示すよ
うになり、炭化物の量が面積率で7%を越えると転動疲
労寿命が短くなることが判明したからである。炭化物の
量は面積率で特に3〜5%であることが好ましい。
【0014】このような軸受部品は、たとえば次の2つ
の方法で製造される。
【0015】その1の製造方法は、球状化焼鈍処理を施
した棒鋼を所定の寸法に切断した後冷間鍛造加工により
リング状とし、さらに旋削加工により所定の形状とす
る。ついで、850℃で30〜40分間加熱した後急冷
することにより焼入処理を施す。最後に、160〜18
0℃で1〜2時間加熱することにより焼戻し処理を施
す。こうして、軸受部品が製造される。
【0016】その2の製造方法は、圧延された棒鋼を所
定の寸法に切断した後熱間鍛造加工によりリング状とす
る。ついで、760℃で6〜7時間加熱した後、680
℃まで冷却速度10℃/時間にて炉冷し、さらに空冷す
ることにより球状化焼鈍処理を行う。ついで、旋削加工
により所定の形状とする。ついで、850℃で30〜4
0分間加熱した後急冷することにより焼入処理を施す。
最後に、160〜180℃で1〜2時間加熱することに
より焼戻し処理を施す。こうして、軸受部品が製造され
る。
【0017】
【作用および発明の効果】C0.6〜0.8wt%、Si
0.05〜0.25wt%、Mn0.2〜0.9wt%、C
r0.4〜1.2wt%を含み、さらにMo0.10〜
0.30wt%およびV0.03〜0.10wt%のうちの
1種または2種を含み、残部Feおよび不可避不純物か
らなる鋼により形成され、焼入処理および焼戻し処理を
施した後の最大炭化物の粒径が1.5μm以下でかつ炭
化物の量が面積率で2〜7%となされているので、従来
のJIS SUJ2などの高炭素クロム軸受鋼に比べて冷間
加工性に優れているとともに、軸受部品とした場合に転
動疲労寿命が長くなり、しかもコストが安くなる。
【0018】
【実施例】以下、この発明の実施例を比較例とともに示
す。
【0019】
【表1】 表1に示す組成を有する10種類の鋼からなる棒鋼に球
状化焼鈍処理を施した後、各棒鋼を所定の寸法に切断
し、ついで冷間鍛造加工により板状とし、さらに旋削加
工により直径65mm、厚さ11mmの円板状試料を作
成した。ついで、850℃で40分間加熱した後油冷す
ることにより各試料に焼入処理を施した。最後に、16
0℃で2時間加熱することにより各試料に焼戻し処理を
施した。そして、各試料中の最大炭化物の粒径および炭
化物の面積率を測定した。その結果も表1にまとめて示
す。
【0020】また、各試料とJIS SUJ2製円板とJIS
SUJ2製ボールとを組み合わせ、スラスト型転動疲労
寿命試験機によって、各試料に面圧5320MPaのス
ラスト荷重を掛けながら、スピンドル油#60中におい
てJIS SUJ2製円板を1800c.p.mの速度で回
転させ、JIS SUJ2製ボールを転動させることにより
転動疲労寿命試験を実施し、比較例1の軸受鋼(JIS S
UJ2)からなる試料のB10寿命を1とした場合の寿命
比を調べた。その結果を表2に示す。
【0021】
【表2】 また、表1に示す組成を有する10種類の鋼からなる材
料に球状化焼鈍処理を施した後、各材料から直径6m
m、長さ12mmの円柱状試料をつくった。そして、各
試料を使用し、25℃の温度において圧縮率60%で拘
束圧縮変形させたときの変形抵抗を測定し、比較例1の
軸受鋼からなる試料の変形抵抗を1とした場合の変形抵
抗比を調べた。その結果を表2に示す。。
【0022】さらに、上記と同様にして製造された円柱
状試料を、25℃の温度において圧縮率を5%ずつ変化
させて拘束圧縮変形を加え、割れの発生が認められる最
低の圧縮率(限界圧縮率)を調べた。その結果を表2に
示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】軸受部品中の最大炭化物の粒径と転動疲労寿命
との関係を示すグラフである。
【図2】軸受部品中の炭化物の量と摩耗量との関係を示
すグラフである。
【図3】軸受部品中の炭化物の量と転動疲労寿命との関
係を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C0.6〜0.8wt%、Si0.05〜
    0.25wt%、Mn0.2〜0.9wt%、Cr0.4〜
    1.2wt%を含み、さらにMo0.10〜0.30wt%
    およびV0.03〜0.10wt%のうちの1種または2
    種を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼によ
    り形成され、焼入処理および焼戻し処理を施した後の最
    大炭化物の粒径が1.5μm以下でかつ炭化物の量が面
    積率で2〜7%となされている軸受部品。
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