JPH0633190A - 長寿命軸受用鋼 - Google Patents
長寿命軸受用鋼Info
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- JPH0633190A JPH0633190A JP21082292A JP21082292A JPH0633190A JP H0633190 A JPH0633190 A JP H0633190A JP 21082292 A JP21082292 A JP 21082292A JP 21082292 A JP21082292 A JP 21082292A JP H0633190 A JPH0633190 A JP H0633190A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 安価にして耐久寿命に優れ、高温に耐えられ
る軸受鋼を提供する。 【構成】 C:0.70〜1.20%、Si:0.15
〜1.50%、Mn:0.20〜1.00%、P:0.
020%以下、S:0.020%以下、Cr:0.50
〜2.00%、Al:0.50〜2.00%、Ti:
0.0020%以下、O:0.0015%以下を含有
し、またはSi+Al:1.00〜2.50%を満足
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる長寿命軸
受用鋼。 【効果】 十分な耐久寿命と耐熱性を有する軸受鋼を安
価に提供できる。
る軸受鋼を提供する。 【構成】 C:0.70〜1.20%、Si:0.15
〜1.50%、Mn:0.20〜1.00%、P:0.
020%以下、S:0.020%以下、Cr:0.50
〜2.00%、Al:0.50〜2.00%、Ti:
0.0020%以下、O:0.0015%以下を含有
し、またはSi+Al:1.00〜2.50%を満足
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる長寿命軸
受用鋼。 【効果】 十分な耐久寿命と耐熱性を有する軸受鋼を安
価に提供できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車、その他産業
機械等に用いられる玉軸受、ローラ軸受に用いられる転
がり軸受の素材として、優れた転動疲労寿命特性を有す
る長寿命軸受用鋼に関する。
機械等に用いられる玉軸受、ローラ軸受に用いられる転
がり軸受の素材として、優れた転動疲労寿命特性を有す
る長寿命軸受用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軸受用鋼としては、機械構造用炭
素鋼、機械構造用合金鋼および高炭素クロム軸受鋼など
が使用されている。このうち高炭素クロム軸受鋼は、玉
軸受、ころ軸受として自動車、産業機械等に最も多く使
用されている。この高炭素クロム軸受鋼は、1%前後の
炭素と0.9〜1.6%程度のクロムが添加されてお
り、焼入れ後、低温焼戻し処理によって転がり軸受に必
要な強度を得ることができる。
素鋼、機械構造用合金鋼および高炭素クロム軸受鋼など
が使用されている。このうち高炭素クロム軸受鋼は、玉
軸受、ころ軸受として自動車、産業機械等に最も多く使
用されている。この高炭素クロム軸受鋼は、1%前後の
炭素と0.9〜1.6%程度のクロムが添加されてお
り、焼入れ後、低温焼戻し処理によって転がり軸受に必
要な強度を得ることができる。
【0003】近年、自動車用等の軸受は、エンジンの高
出力化に伴い、高温化等使用環境が厳しくなっており、
100〜200℃に耐える安価な軸受用鋼が要求されて
いる。従来、安価な軸受用鋼としては、JIS G 4
805に規定のSUJ2(1%C−1.3〜1.6%C
r鋼)が一般的に広く使用されているが、特に高温に耐
えるように設計されたものではない。
出力化に伴い、高温化等使用環境が厳しくなっており、
100〜200℃に耐える安価な軸受用鋼が要求されて
いる。従来、安価な軸受用鋼としては、JIS G 4
805に規定のSUJ2(1%C−1.3〜1.6%C
r鋼)が一般的に広く使用されているが、特に高温に耐
えるように設計されたものではない。
【0004】軸受用鋼としては、C:0.6〜1.2
%、Si:0.7〜2.0%、Mn:0.01〜1.0
%、Cr:2.0〜6.0%、Mo:8.0%以下、
V:1.0%以下、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる軸受用鋼(特開昭51−6116鋼公報)、C:
0.7〜1.2%、Si:2.0%以下、Mn:2.0
%以下、Cr:0.5〜2.5%、Al:0.01〜
1.0%、O:0.0015%以下、N:0.015%
以下、または必要に応じてMo:0.05〜0.5%、
Ni:1%未満の一種または二種を含み、残部Feおよ
び不可避的不純物からなるころがり軸受用鋼を1000
℃以上に加熱して炭化物を固溶させたのち、300℃
ないし700℃の温度域に急冷し、該温度域ににおいて
オーステナイトを分解させたのち、室温付近へ急冷し、
次に30℃/min以上の昇温速度で500ないし70
0℃に加熱し、析出してくる炭化物の平均粒径が0.1
ないし0.2μm以下となる時間、当該温度に保持し、
次いで室温付近に急冷したのち、オーステナイト化域に
加熱し、マトリックス中のC%が0.45ないし0.6
0%になる時間当該温度に保持したのち、焼入れ焼戻す
方法(特開昭56−16622号公報)が提案されてい
る。
%、Si:0.7〜2.0%、Mn:0.01〜1.0
%、Cr:2.0〜6.0%、Mo:8.0%以下、
V:1.0%以下、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる軸受用鋼(特開昭51−6116鋼公報)、C:
0.7〜1.2%、Si:2.0%以下、Mn:2.0
%以下、Cr:0.5〜2.5%、Al:0.01〜
1.0%、O:0.0015%以下、N:0.015%
以下、または必要に応じてMo:0.05〜0.5%、
Ni:1%未満の一種または二種を含み、残部Feおよ
び不可避的不純物からなるころがり軸受用鋼を1000
℃以上に加熱して炭化物を固溶させたのち、300℃
ないし700℃の温度域に急冷し、該温度域ににおいて
オーステナイトを分解させたのち、室温付近へ急冷し、
次に30℃/min以上の昇温速度で500ないし70
0℃に加熱し、析出してくる炭化物の平均粒径が0.1
ないし0.2μm以下となる時間、当該温度に保持し、
次いで室温付近に急冷したのち、オーステナイト化域に
加熱し、マトリックス中のC%が0.45ないし0.6
0%になる時間当該温度に保持したのち、焼入れ焼戻す
方法(特開昭56−16622号公報)が提案されてい
る。
【0005】さらに、C:0.70〜1.10%、S
i:0.15〜1.60%、Mn:0.15〜1.15
%、P:0.010%以下、S:0.002%以下、C
r:0.50〜1.60%、Al:0.015%以下、
O:0.0006%以下、N:0.0050%以下、T
i:0.0015%以下、または必要に応じてV:0.
05〜0.30%、Nb:0.05〜0.30%のうち
の1種ないし2種を含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる軸受鋼(特開昭60−194047号公
報)、C:0.60〜 1.50%、Si:0.15〜
2.00%、Mn:0.25〜 2.50%、Mo:
0.05〜1.50%、または必要に応じV:0.05
〜0.50%、Nb:0.05〜0.50%、W:0.
05〜0.50%、Ni:0.10〜2.00%、C
u:0.05〜1.00%のうちの1種または2種以上
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる溶鋼
を、溶鋼加熱度:25℃以上で連続鋳造したのち、鋳片
内部溶鋼が凝固を完了するクレータエンド近傍にて圧下
率:5%以上の鍛圧加工を施し、ついで熱間圧延を施す
方法(特開平3−271319号公報)等が提案されて
いる。
i:0.15〜1.60%、Mn:0.15〜1.15
%、P:0.010%以下、S:0.002%以下、C
r:0.50〜1.60%、Al:0.015%以下、
O:0.0006%以下、N:0.0050%以下、T
i:0.0015%以下、または必要に応じてV:0.
05〜0.30%、Nb:0.05〜0.30%のうち
の1種ないし2種を含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる軸受鋼(特開昭60−194047号公
報)、C:0.60〜 1.50%、Si:0.15〜
2.00%、Mn:0.25〜 2.50%、Mo:
0.05〜1.50%、または必要に応じV:0.05
〜0.50%、Nb:0.05〜0.50%、W:0.
05〜0.50%、Ni:0.10〜2.00%、C
u:0.05〜1.00%のうちの1種または2種以上
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる溶鋼
を、溶鋼加熱度:25℃以上で連続鋳造したのち、鋳片
内部溶鋼が凝固を完了するクレータエンド近傍にて圧下
率:5%以上の鍛圧加工を施し、ついで熱間圧延を施す
方法(特開平3−271319号公報)等が提案されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭51−61
16号公報に開示の軸受鋼は、Mo、V等の高価な元素
の添加が必須であり、コスト的にその分高価となる。特
開昭56−16622号公報に開示の方法は、複雑な熱
処理工程が必須であり、コスト的にその分高価となる。
また、特開昭60−194047号公報に開示の軸受鋼
は、耐久寿命を阻害する介在物を生成するTi、Alを
極力低下させるものである。さらに、特開平3−271
319号公報に開示の軸受鋼は、Mo、V、Nb、W等
の高価な元素の添加が必要であり、コスト的にその分高
価となる。
16号公報に開示の軸受鋼は、Mo、V等の高価な元素
の添加が必須であり、コスト的にその分高価となる。特
開昭56−16622号公報に開示の方法は、複雑な熱
処理工程が必須であり、コスト的にその分高価となる。
また、特開昭60−194047号公報に開示の軸受鋼
は、耐久寿命を阻害する介在物を生成するTi、Alを
極力低下させるものである。さらに、特開平3−271
319号公報に開示の軸受鋼は、Mo、V、Nb、W等
の高価な元素の添加が必要であり、コスト的にその分高
価となる。
【0007】この発明の目的は、上記した高価な元素の
添加を必要とせず、耐久寿命に優れ、しかも高温に耐え
られる安価な軸受用鋼を提供することにある。
添加を必要とせず、耐久寿命に優れ、しかも高温に耐え
られる安価な軸受用鋼を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく安価な元素としてSi以外に従来耐久寿命
を阻害する介在物を生成する元素といわれていたAlに
着目し、SiとAlの組合せで高温に耐え得る軸受鋼の
試作を行った。その結果、所定量のAlを含有させるこ
とによって耐久寿命が向上するばかりでなく、軟化抵抗
が向上して高温に耐えられる軸受用鋼が安価に得られる
ことを究明し、この発明に到達した。
を達成すべく安価な元素としてSi以外に従来耐久寿命
を阻害する介在物を生成する元素といわれていたAlに
着目し、SiとAlの組合せで高温に耐え得る軸受鋼の
試作を行った。その結果、所定量のAlを含有させるこ
とによって耐久寿命が向上するばかりでなく、軟化抵抗
が向上して高温に耐えられる軸受用鋼が安価に得られる
ことを究明し、この発明に到達した。
【0009】すなわちこの発明は、C:0.70〜1.
20%、Si:0.15〜1.50%、Mn:0.20
〜1.00%、P:0.020%以下、S:0.020
%以下、Cr:0.50〜2.00%、Al:0.50
〜2.00%、Ti:0.0020%以下、O:0.0
015%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純
物からなることを特徴とする長寿命軸受用鋼である。
20%、Si:0.15〜1.50%、Mn:0.20
〜1.00%、P:0.020%以下、S:0.020
%以下、Cr:0.50〜2.00%、Al:0.50
〜2.00%、Ti:0.0020%以下、O:0.0
015%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純
物からなることを特徴とする長寿命軸受用鋼である。
【0010】また、C:0.70〜1.20%、Si:
0.15〜1.50%、Mn:0.20〜1.00%、
P:0.020%以下、S:0.020%以下、Cr:
0.50〜2.00%、Al:0.50〜2.00%、
Ti:0.0020%以下、O:0.0015%以下
で、かつSi+Al:1.00〜2.50%を満足し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴と
する長寿命軸受用鋼である。
0.15〜1.50%、Mn:0.20〜1.00%、
P:0.020%以下、S:0.020%以下、Cr:
0.50〜2.00%、Al:0.50〜2.00%、
Ti:0.0020%以下、O:0.0015%以下
で、かつSi+Al:1.00〜2.50%を満足し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴と
する長寿命軸受用鋼である。
【0011】
【作用】この発明において、鋼の成分組成を上記範囲に
限定した理由について説明する。CはFe、Crと複炭
化物を生成し、耐摩耗性の向上に有効で、かつ基地中に
固溶して高強度を得るために必要な元素である。しか
し、ころがり軸受に必要な硬さHRC60以上を確保す
るためには、0.70%以上含有することが必要である
が、1.20%を超えると巨大炭化物が生成し易くな
り、耐久寿命、衝撃疲労の低下につながるため、0.7
0〜1.20%とした。Siは脱酸作用、焼入れ性を向
上させると共に、軟化抵抗の向上に有効な元素である
が、0.15%未満ではその効果が十分でなく、また、
1.50%を超えると表面脱炭が進行するため、0.1
5〜1.50%とした。Mnは脱酸作用、焼入れ性を向
上させる元素であるが、0.20%未満ではその効果が
十分でなく、1.00%を超えるとMn偏析により耐久
寿命が低下するため、0.20〜1.00%とした。P
は偏析に起因し、疲労寿命、靭性を悪化させる元素であ
り、その含有量をできるだけ少なくする必要があるた
め、上限を0.020%とした。SはMnと結合して硫
化物系介在物を生成し、耐久寿命を低下させる元素であ
るが、硫化物系介在物により切削性の向上に有効である
ところから、その上限を0.020%とした。CrはM
nと同様に焼入れ性を向上させ、かつ、炭化物の球状化
を促進させる元素であるが、0.50%未満ではその効
果が十分でなく、2.00%を超えると炭化物が粗大化
して被削性を劣化させるので、0.50〜2.00%と
した。AlはSiと同様に脱酸作用の他に、特に軟化抵
抗の向上、すなわち耐熱性の向上に有効な元素である
が、0.50%未満ではその効果が十分でなく、2.0
0%を超えると炭化物が不均一となり、耐久寿命を低下
させるため、0.50〜2.00%とした。より好まし
くは、1.00〜2.00%の範囲である。TiはNと
結合してTiN介在物として鋼中に分散し、転動疲労寿
命を大幅に低下させる元素で、極力少なくする必要があ
るため、その上限を0.0020%とした。Oは鋼中に
おいてAl2O3、SiO2などの硬い酸化物系介在物を
生成し、転動疲労寿命を著しく低下させる元素で、極力
少なくする必要があるため、その上限を0.0015%
とした。さらに、炭化物の安定化、表面脱炭の抑制、耐
熱性の最適化のために、Si+Al=1.00〜2.5
0%とした。
限定した理由について説明する。CはFe、Crと複炭
化物を生成し、耐摩耗性の向上に有効で、かつ基地中に
固溶して高強度を得るために必要な元素である。しか
し、ころがり軸受に必要な硬さHRC60以上を確保す
るためには、0.70%以上含有することが必要である
が、1.20%を超えると巨大炭化物が生成し易くな
り、耐久寿命、衝撃疲労の低下につながるため、0.7
0〜1.20%とした。Siは脱酸作用、焼入れ性を向
上させると共に、軟化抵抗の向上に有効な元素である
が、0.15%未満ではその効果が十分でなく、また、
1.50%を超えると表面脱炭が進行するため、0.1
5〜1.50%とした。Mnは脱酸作用、焼入れ性を向
上させる元素であるが、0.20%未満ではその効果が
十分でなく、1.00%を超えるとMn偏析により耐久
寿命が低下するため、0.20〜1.00%とした。P
は偏析に起因し、疲労寿命、靭性を悪化させる元素であ
り、その含有量をできるだけ少なくする必要があるた
め、上限を0.020%とした。SはMnと結合して硫
化物系介在物を生成し、耐久寿命を低下させる元素であ
るが、硫化物系介在物により切削性の向上に有効である
ところから、その上限を0.020%とした。CrはM
nと同様に焼入れ性を向上させ、かつ、炭化物の球状化
を促進させる元素であるが、0.50%未満ではその効
果が十分でなく、2.00%を超えると炭化物が粗大化
して被削性を劣化させるので、0.50〜2.00%と
した。AlはSiと同様に脱酸作用の他に、特に軟化抵
抗の向上、すなわち耐熱性の向上に有効な元素である
が、0.50%未満ではその効果が十分でなく、2.0
0%を超えると炭化物が不均一となり、耐久寿命を低下
させるため、0.50〜2.00%とした。より好まし
くは、1.00〜2.00%の範囲である。TiはNと
結合してTiN介在物として鋼中に分散し、転動疲労寿
命を大幅に低下させる元素で、極力少なくする必要があ
るため、その上限を0.0020%とした。Oは鋼中に
おいてAl2O3、SiO2などの硬い酸化物系介在物を
生成し、転動疲労寿命を著しく低下させる元素で、極力
少なくする必要があるため、その上限を0.0015%
とした。さらに、炭化物の安定化、表面脱炭の抑制、耐
熱性の最適化のために、Si+Al=1.00〜2.5
0%とした。
【0012】この発明においては、上記した成分組成に
調整することによって、十分な耐熱性を有し、しかも耐
久寿命に優れた軸受用鋼を安価に得ることができる。そ
の理由は、明確ではないが、Alの添加によって軟化抵
抗が増加して耐熱性が大幅に改善されるためであると考
えられる。
調整することによって、十分な耐熱性を有し、しかも耐
久寿命に優れた軸受用鋼を安価に得ることができる。そ
の理由は、明確ではないが、Alの添加によって軟化抵
抗が増加して耐熱性が大幅に改善されるためであると考
えられる。
【0013】
実施例1 表1に示す成分組成の連続鋳造鋳片を直径65mmの丸
棒に熱間圧延したのち、900℃に均熱して球状化焼鈍
処理を行ったものを860℃で60分間加熱後油焼入れ
した後、焼戻し温度100〜300℃の範囲で変化させ
てそれぞれ60分間焼戻しを行い、焼戻し温度とJIS
Z 2245の規定に準じて硬さ(HRC)を測定し
た。その結果を図1に示す。図1に示すとおり、本発明
鋼AおよびBは、300℃の焼戻し温度においていずれ
もHRC61と、従来のJIS G 4805に規定の
SUJ2鋼CのHRC57に比較し、大きく上回ってお
り、軸受用鋼として求められるHRC60以上を満足さ
せ、軟化抵抗が大きく、十分な耐熱性を有していること
が明白である。
棒に熱間圧延したのち、900℃に均熱して球状化焼鈍
処理を行ったものを860℃で60分間加熱後油焼入れ
した後、焼戻し温度100〜300℃の範囲で変化させ
てそれぞれ60分間焼戻しを行い、焼戻し温度とJIS
Z 2245の規定に準じて硬さ(HRC)を測定し
た。その結果を図1に示す。図1に示すとおり、本発明
鋼AおよびBは、300℃の焼戻し温度においていずれ
もHRC61と、従来のJIS G 4805に規定の
SUJ2鋼CのHRC57に比較し、大きく上回ってお
り、軸受用鋼として求められるHRC60以上を満足さ
せ、軟化抵抗が大きく、十分な耐熱性を有していること
が明白である。
【0014】
【表1】
【0015】実施例2 表2に示す成分組成の連続鋳造鋳片を直径65mmの丸
棒に熱間圧延したのち、900℃に均熱して球状化焼鈍
処理を行ったものを860℃で60分間加熱して油焼入
れした後、180℃で60分間焼戻しを行った素材につ
いて、転動疲労寿命試験片を採取し、森式スラスト型耐
久寿命試験機を用いて転動疲労寿命を測定し、L10寿命
(破損確率10%のときの寿命)を求め、表3に試験N
o.9の比較鋼のL10寿命を1.0とした指数で示す。
さらに、同一の素材について300℃ で60分間の焼
戻しを行った後のロックウエル硬さを測定した。その結
果を表3に示す。
棒に熱間圧延したのち、900℃に均熱して球状化焼鈍
処理を行ったものを860℃で60分間加熱して油焼入
れした後、180℃で60分間焼戻しを行った素材につ
いて、転動疲労寿命試験片を採取し、森式スラスト型耐
久寿命試験機を用いて転動疲労寿命を測定し、L10寿命
(破損確率10%のときの寿命)を求め、表3に試験N
o.9の比較鋼のL10寿命を1.0とした指数で示す。
さらに、同一の素材について300℃ で60分間の焼
戻しを行った後のロックウエル硬さを測定した。その結
果を表3に示す。
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】表3に示すとおり、試験No.1ないし8
の本発明鋼の耐久寿命は、試験No.9の従来鋼のSU
J2に比較し、いずれも2.5〜3倍向上し、300℃
で焼戻し後の硬さもいずれもHRC60以上であり、従
来の軸受鋼に比較して高い温度でのころがり軸受として
使用可能である。これに対し、この発明の適正成分組成
範囲からAlが逸脱している試験No.9および15、
Cが逸脱している試験No.10、11の比較鋼、Si
が逸脱している試験No.12の比較鋼、Mnが逸脱し
ている試験No.13の比較鋼、Crが逸脱している試
験No.14の比較鋼は、いずれも耐久寿命が0.8な
いし1.1と低く、また、硬さHRCにおいても試験N
o.9、10および14は、いずれもHRC60を下回
っている。
の本発明鋼の耐久寿命は、試験No.9の従来鋼のSU
J2に比較し、いずれも2.5〜3倍向上し、300℃
で焼戻し後の硬さもいずれもHRC60以上であり、従
来の軸受鋼に比較して高い温度でのころがり軸受として
使用可能である。これに対し、この発明の適正成分組成
範囲からAlが逸脱している試験No.9および15、
Cが逸脱している試験No.10、11の比較鋼、Si
が逸脱している試験No.12の比較鋼、Mnが逸脱し
ている試験No.13の比較鋼、Crが逸脱している試
験No.14の比較鋼は、いずれも耐久寿命が0.8な
いし1.1と低く、また、硬さHRCにおいても試験N
o.9、10および14は、いずれもHRC60を下回
っている。
【0019】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明によれば、
安価なAlを所定量添加することによって、従来のSU
J2軸受鋼に比較して耐久寿命が飛躍的に向上するばか
りでなく、高温での軟化抵抗が大きく、十分な耐熱性を
有する軸受鋼を、安価に提供することができる。
安価なAlを所定量添加することによって、従来のSU
J2軸受鋼に比較して耐久寿命が飛躍的に向上するばか
りでなく、高温での軟化抵抗が大きく、十分な耐熱性を
有する軸受鋼を、安価に提供することができる。
【図1】実施例1における焼戻し温度と硬さ(HRC)
との関係を示すグラフである。
との関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.70〜1.20%、Si:0.
15〜1.50%、Mn:0.20〜1.00%、P:
0.020%以下、S:0.020%以下、Cr:0.
50〜2.00%、Al:0.50〜2.00%、T
i:0.0020%以下、O:0.0015%以下を含
有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを
特徴とする長寿命軸受用鋼。 - 【請求項2】 C:0.70〜1.20%、Si:0.
15〜1.50%、Mn:0.20〜1.00%、P:
0.020%以下、S:0.020%以下、Cr:0.
50〜2.00%、Al:0.50〜2.00%、T
i:0.0020%以下、O:0.0015%以下で、
かつSi+Al:1.00〜2.50%を満足し、残部
がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする
長寿命軸受用鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21082292A JPH0633190A (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | 長寿命軸受用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21082292A JPH0633190A (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | 長寿命軸受用鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0633190A true JPH0633190A (ja) | 1994-02-08 |
Family
ID=16595698
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21082292A Pending JPH0633190A (ja) | 1992-07-14 | 1992-07-14 | 長寿命軸受用鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0633190A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000055132A (ja) * | 1998-08-07 | 2000-02-22 | Ntn Corp | フライホイールダンパ支持構造 |
WO2009118166A1 (en) * | 2008-03-25 | 2009-10-01 | Aktiebolaget Skf | A bearing component |
US8956470B2 (en) | 2008-07-31 | 2015-02-17 | The Secretary Of State For Defence In Her Britannic Majesty's Government Of The United Kingdom Of Great Britain And Northern Ireland | Bainite steel and methods of manufacture thereof |
-
1992
- 1992-07-14 JP JP21082292A patent/JPH0633190A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000055132A (ja) * | 1998-08-07 | 2000-02-22 | Ntn Corp | フライホイールダンパ支持構造 |
WO2009118166A1 (en) * | 2008-03-25 | 2009-10-01 | Aktiebolaget Skf | A bearing component |
US8956470B2 (en) | 2008-07-31 | 2015-02-17 | The Secretary Of State For Defence In Her Britannic Majesty's Government Of The United Kingdom Of Great Britain And Northern Ireland | Bainite steel and methods of manufacture thereof |
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