JP2019123921A - 高強度ボルト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遅れ破壊強度に優れた高強度ボルト及びその製造方法の提供。【解決手段】主として焼き戻しマルテンサイト組織からなり、質量%で、C:0.55〜0.80%(0.550%を除く)、Si:1.00〜2.90%、Cr:0.80〜1.50%、Al:0.010〜0.060%、V:0.05〜0.50%、N:0.005〜0.030%、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有し、900℃以上に加熱して焼き入れ、550℃以上の温度で焼き戻すことで、CSRT法により計測された局所限界水素濃度を1.5ppm以上、引張強度を1400MPa以上とした鋼からなる高強度ボルト。【選択図】なし

Description

本発明は、引張強度において1400MPaを超える高強度ボルト及びその製造方法に関し、特に、遅れ破壊強度に優れた高強度ボルト及びその製造方法に関する。
引張強度において800MPaを超える高強度ボルト(高力ボルト)が土木・建築分野などで用いられている。近年、更なる高強度化への要求とともに、ボルトに荷重が負荷されてからある程度の時間経過後に急激に破壊を進行させてしまう「遅れ破壊」が問題となっている。この遅れ破壊は、使用環境での腐食により拡散性水素の浸入を受け、ねじ谷部やねじ頭の首下部のような応力集中部での破壊強度が低下し、ボルトに負荷されている荷重に対する抗力不足から一気に破壊を生じさせてしまう現象である。
遅れ破壊に対しては、鋼中に水素をトラップさせる酸化物や炭化物、又は窒化物などを分散分布させて、遅れ破壊を生じさせる限界の水素量(限界拡散性水素濃度) を高めることが提案されている。例えば、VやMoなどを含む鋼を焼入れ・焼戻し処理を行うことで、これらの炭化物、窒化物、及び/又は、炭窒化物を微細に分散分布させ、限界拡散性水素濃度を高めるのである。
例えば、特許文献1では、質量%でC量を0.30〜0.45%含む中炭素鋼の遅れ破壊について述べた上で、旧γ粒のアスペクト比を1.5以上とした焼戻しマルテンサイト組織を有し、焼戻し二次析出による合金炭化物を分散分布させて限界拡散性水素濃度を1.5ppm以上、引張強さを1600MPa以上とした高強度ボルトを開示している。ここでは、MoやAlを含有する鋼を900〜1300℃ に加熱し、780〜1000℃ の間で伸長オーステナイト組織を得るよう、減面率10%以上の熱間仕上げ加工を行なう。その後、速やかに5℃/秒以上の冷却速度で冷却し、550〜700℃ で焼戻して合金炭化物を分散分布させるとしている。
また、特許文献2でも、質量%でC量を0.20〜0.35%含む中炭素鋼の遅れ破壊について述べた上で、更なる高強度化に対して、VやMoを含み焼戻しマルテンサイト組織を有する鋼材の表面に窒化層を形成した高強度ボルトを開示している。窒化層によって環境からの水素の浸入を抑制し、遅れ破壊に対する耐性を向上させるとしている。また、窒化処理後に急冷することで、鋼材の表面に圧縮残留応力を発生させ、遅れ破壊に対する耐性をより高め得ることについても述べている。
ところで、破壊は統計処理によって確率的に評価されるが、遅れ破壊については、浸入水素量と破壊頻度についての確率的な評価によって限界拡散性水素濃度を決定することになる。また、遅れ破壊が顕著となる鋼においては、鋼材全体の平均水素量である限界拡散性水素濃度に代えて、破壊起点となり得る部位の水素濃度に着目した局所限界水素濃度によって遅れ破壊に対する耐性を考慮することも提案されている。かかる局所限界水素濃度の取得方法としては、定荷重試験(CLT:Constant Load Test)、低ひずみ速度法(SSRT:Slow Strain Rate Technique)、通常速度法(CSRT:Conventional Strain Rate Technique)、4点曲げ法(4 Point Bending method)などが提案されている(非特許文献1及び2)。
特開2007−31735号公報 特開2009−299180号公報
「高力ボルトの遅れ破壊特性評価ガイドブック」、日本鋼構造協会JSSCテクニカルレポート、No.91(2010) 「高力ボルトの遅れ破壊評価法ガイドライン」、日本鋼構造協会(2014)
C量を高めた鋼により引張強度を1400MPa以上とした高強度ボルトが考慮されている。一方で、上記した文献にも述べられているように、質量%でC量について0.55%程度を越えて含む鋼での遅れ破壊は顕著となる。これに対し、成分組成にNiを加えることで遅れ破壊に対する耐性を高め得るがコストも上昇する。そこで、Niの添加を抑制しつつ、遅れ破壊に対する耐性を高めた鋼からなる高強度ボルトが求められた。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、質量%でCを0.55%以上で含み引張強度において1400MPaを超える鋼からなり、遅れ破壊強度に優れた高強度ボルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明による高強度ボルトは、主として焼き戻しマルテンサイト組織からなり引張強度を1400MPa以上とした鋼からなる高強度ボルトであって、質量%で、C:0.55〜0.80%(0.550%を除く)、Si:1.00〜2.90%、Cr:0.80〜1.50%、Al:0.010〜0.060%、V:0.05〜0.50%、N:0.005〜0.030%、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、CSRT法により計測された局所限界水素濃度を1.5ppm以上としたことを特徴とする。
かかる発明によれば、C量を高めるとともにSi量を高め、より高温での焼き戻しを行い得て、局所限界水素濃度を1.5ppm以上とできて、Niの添加を抑制しつつ遅れ破壊に対する耐性を高め得るのである。
上記した発明において、前記成分組成において、Mo:0.80〜1.50%を更に含むことを特徴としてもよい。また、前記成分組成において、Mn:0.80%以下、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、P:0.015%以下、S:0.010%以下で含み得ることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、Niの添加を抑制しつつ遅れ破壊に対する耐性をより高め得るのである。
本発明による高強度ボルトの製造方法は、主として焼き戻しマルテンサイト組織からなり引張強度を1400MPa以上とした鋼からなる高強度ボルトであって、質量%で、C:0.55〜0.80%(0.550%を除く)、Si:1.00〜2.90%、Cr:0.80〜1.50%、Al:0.010〜0.060%、V:0.05〜0.50%、N:0.005〜0.030%、残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼を900℃以上に加熱して焼き入れ、550℃以上の温度で焼き戻し、CSRT法により計測された局所限界水素濃度を1.5ppm以上とすることを特徴とする。
かかる発明によれば、C量を高めるとともにSi量を高めた鋼で、550℃以上での従来以上のより高温での焼き戻しを行い得て、局所限界水素濃度を1.5ppm以上とできて、Niの添加を抑制しつつ遅れ破壊に対する耐性を高めた高強度ボルトを得られるのである。
上記した発明において、前記成分組成において、Mo:0.80〜1.50%を更に含むことを特徴としてもよい。また、前記成分組成において、Mn:0.80%以下、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、P:0.015%以下、S:0.010%以下で含み得ることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、Niの添加を抑制しつつ遅れ破壊に対する耐性をより高め得るのである。
高強度ボルトに使用した鋼種の一覧である。 環状切り欠き試験片の(a)側面図及び(b)部分拡大図である。 高強度ボルトの製造条件と試験結果の一覧である。
本発明による1つの実施例である高強度ボルトの製造方法について、図1を用いて詳細に説明する。
本実施例においては、図1に示す鋼のうち、鋼種A及び鋼種Bに代表される一連の成分組成を有する鋼を用いる。この成分組成は、Niを添加せずに遅れ破壊に対する耐性を高めることをできるよう、特に、C量及びSi量を従来以上に多く含有するよう成分設計されたものである。
より詳細には、この鋼は、質量%で、C:0.55〜0.80%(0.550%を除く)、Si:1.00〜2.90%、Cr:0.80〜1.50%、Al:0.010〜0.060%、V:0.05〜0.50%、N:0.005〜0.030%とした成分組成を有する高強度鋼である。ここで、かかる高強度鋼の成分組成としてさらに、Mo:0.80〜1.50%を含んでもよい。また、Mn:0.80%以下、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、P:0.015%以下、S:0.010%以下でさらに含んでいてもよい。なお、Niは、原料に含まれるために不可避的に含有されるが、この含有量を減らすことを目的とする点で不可避的に含まれる含有は許容されるが、より少ないことが好ましい。また、鋼種C及びDは上記したものとは異なる成分組成を有しており、後述する試験において比較例として用いたものである。
まず、上記した成分組成を有する鋼を真空溶解によって溶製し、インゴットを製造する。得られたインゴットを鍛造して成形し、適宜、粗加工をした後、900℃以上に加熱して焼入れ処理し、550℃以上の温度で焼き戻し処理して、1400MPa以上の引張強度を有する焼き戻しマルテンサイト組織のボルト素材とする。その後、機械加工などによってボルトに加工される。特に、上記した成分組成とするとともに焼入れ温度及び焼き戻し温度を高く設定することで、通常速度法(CSRT法)により計測された局所限界水素濃度を1.5ppm以上とすることができ、これによって遅れ破壊に対する耐性を高めることができる。
[強度試験]
次に、図2に示す試験片について、上記した各鋼種を用いて作成して行った機械強度試験について説明する。
強度試験に用いた試験材は次のようにして製造した。まず、図1に示す鋼種A〜鋼種Dの各鋼種それぞれの成分組成を有する鋼を真空溶解炉で溶製し50kgのインゴットを得て、熱間鍛造によって直径32mmの棒材に成形した。次いで、焼きならし処理として920℃で2時間保持後に空冷し、球状化焼きなまし処理として760℃で3時間保持後−15℃/時間の冷却速度で650℃まで冷却後に空冷し、試験片素材を得た。
次に、図2(a)及び(b)にそれぞれ示す環状切り欠き試験片10及び11と、引張試験片とを上記した試験片素材から作製した。詳細には、上記した熱処理後の材料から機械加工によってそれぞれの試験片を得るための粗加工材を得て、所定の条件で焼入れ焼き戻し処理してからそれぞれの試験片に機械加工した。この所定の条件として、焼入れ及び焼き戻しの温度を、図3の実施例1及び2、比較例1乃至6にそれぞれ示した。
引張試験片は、図示を省略するが、直径6mmのJIS4号平滑引張試験片である。引張試験片では引張試験によって引張強度を測定した。
環状切り欠き試験片10は、φ10mmの丸棒体の長手方向中央に外周に沿って深さ2mmの環状切り欠き(切り欠き底φ6mm)を設けられたものであり、切り欠きの底部における切り欠き半径を0.25mmとされた。環状切り欠き試験片10では、CSRT法による局所限界水素濃度を測定した。詳細には、環状切り欠き試験片10に120時間の陰極チャージによって水素を侵入させ、その直後にクロスヘッド速度1mm/分として引張試験を行い、破断応力を求めた。引張試験直後に試験片の破断面から長さ10mmの部分を切断し、ガスクロマトグラフを用いて水素量を測定した。この水素量の測定では、昇温速度100℃/時間で昇温させつつ600℃まで昇温脱離法によって水素放出量を測定し、そのうち300℃までの放出で計測された水素量を拡散性水素量とした。
引張試験で得られた破断応力とガスクロマトグラフによって得られた拡散性水素量との両対数をとった上で両者の関係を線形近似した。さらに、陰極チャージを行わなかった場合の破断応力の0.6倍となる破断応力に対応する拡散性水素量を求めて局所限界水素濃度Hcとした。
環状切り欠き試験片11は、直径6mmの丸棒体の長手方向中央に外周に沿って深さ1mmの環状切り欠き(切り欠き底φ4mm)を設けられたものであり、切り欠きの底部における切り欠き半径を0.10mmとされた。環状切り欠き試験片11では、遅れ破壊強度を測定した。まず静曲げ試験によって破断強度を測定した。次に、0.1規定の塩酸を滴下して静曲げ試験によって測定された破断強度の0.8〜0.2倍の応力を負荷し、遅れ破壊に至る破断時間を測定した。なお、試験の打ち切り時間は100時間とした。破断時間と負荷した応力の関係から30時間破断強度を求めた。30時間破断強度は静曲げ強度に対する比(30時間破断強度/静曲げ強度)で評価し、遅れ破壊強度比として図3に結果を示した。なお、遅れ破壊強度比を0.6以上とするときに耐遅れ破壊性が高いものとして合格とした。
図3に示すように、実施例1及び2では、いずれも引張強度を1400MPa以上とするとともに、局所限界水素濃度を1.5ppm以上とし、遅れ破壊強度比を0.6以上とした。つまり、高い引張強度を有するとともに高い耐遅れ破壊性を有するものとできた。
これに対し、比較例1、2、5及び6では、引張強度を1400MPa以上とするものの、局所限界水素濃度を1.5ppm未満として、遅れ破壊強度比を0.6未満とした。これは、実施例1及び2に比べて焼き戻し温度が低いことを原因としているものと考えられる。
また、比較例3及び4では、局所限界水素濃度を1.5ppm以上とし遅れ破壊強度比を0.6以上の合格値としたものの、引張強度を1400MPa未満とした。つまり、この引張強度では高強度ボルトに用いることができない。これは、比較例3においてはSi量が少なく、比較例4においてはC量が少なかったためと考えられる。
ところで、上記した実施例1及び2による高強度ボルトとほぼ同等の機械強度を与え得る鋼の組成範囲は以下のように定められる。
まずは、必須添加元素について説明する。
Cは、鋼の機械強度を確保するために有効な元素である。一方で、過剰に含有させると、延性や靭性を低下させ、さらに耐遅れ破壊性も低下させてしまう。これらを考慮して、Cは、質量%で、0.55〜0.80%(但し0.550%を除く)の範囲内である。
Siは、鋼の機械強度を高めるために有効な元素であり、上記した局所限界水素濃度の向上にも寄与する。一方で、過剰に含有させるとその効果は飽和してしまう。これらを考慮して、Siは、質量%で、1.00〜2.90%の範囲内である。
Crは、焼入れ性を高めてマルテンサイト組織を得るため、焼き戻し処理時における軟化抵抗を高めるため、またパーライト組織及びベイナイト組織の変態温度を低下させて機械強度を高めるために有効な元素である。一方で、過剰に含有させると、靭性を低下させてしまうことがある。これらを考慮して、Crは、質量%で、0.80〜1.50%の範囲内である。
Alは、酸化物や窒化物を形成することでオーステナイト粒の粗大化を抑制し、耐遅れ破壊性の低下を抑制できる。一方、過剰に含有させるとその効果は飽和してしまう。これらを考慮して、Alは、質量%で、0.010〜0.060%の範囲内である。
Vは、焼入れ性を高めてマルテンサイト組織を得るため、焼き戻し処理時における軟化抵抗を高めるため、またパーライト組織及びベイナイト組織の変態温度を低下させて機械強度を高めるために有効な元素である。さらに、炭化物、窒化物、炭窒化物として析出することで、機械強度を高めるとともに拡散性水素のトラップサイトとなって応力集中部への水素の侵入を抑制する。一方で、過剰に含有させるとその効果を飽和させてしまう。これらを考慮して、Vは、質量%で、0.05〜0.50%の範囲内である。
Nは、AlやVと窒化物や炭窒化物を形成して機械強度の向上や拡散性水素のトラップサイトの形成に寄与する。一方で、過剰に含有させると靭性を低下させてしまう。これらを考慮して、Nは、質量%で、0.005〜0.030%の範囲内である。
次に、任意添加元素について説明する。
Moは、炭化物を形成し析出させることで機械強度を向上させるとともに、その析出物の界面を拡散性水素のトラップサイトとして応力集中部への水素の侵入を抑制するため、任意に添加されてもよい。一方で過剰に含有させると靭性を低下させてしまう。これらを考慮して、添加する場合において、Moは、質量%で、0.80〜1.50%の範囲内である。
Mnは、機械強度や靭性の確保のために任意に添加されることができるが、過剰に含有させると過剰な機械強度の上昇やミクロ偏析の増大などによって靭性を低下させてしまう。これらを考慮して、Mnは、質量%で、0.80%以下の範囲内である。
Nbは、VやTiとともに又は単独で炭窒化物を形成し析出させて析出強化に寄与するとともに、かかる炭窒化物を拡散性水素のトラップサイトとすることで応力集中部への水素の侵入を抑制する。一方で、過剰に添加すると溶体化温度を高くしてしまい粗大な炭窒化物を析出させてしまう。これらを考慮して、Nbは、質量%で、0.10%以下の範囲内である。
Tiは、VやNbとともに又は単独で炭窒化物を形成し析出させて析出強化に寄与するとともに、かかる炭窒化物を拡散性水素のトラップサイトとすることで応力集中部への水素の侵入を抑制する。一方で、過剰に添加するとその効果を飽和させてしまう。これらを考慮して、Tiは、質量%で、0.10%以下の範囲内である。
Pは、結晶粒界を脆化させて機械強度を低下させるため含有量を低下させることが好ましい。一方で、過度の精錬はコスト増につながる。これらを考慮して、Pは、質量%で、0.015%以下の範囲内である。
Sは、Mnなどと結合して応力集中の起点となる介在物を生成し得るため含有量を低下させることが好ましい。一方で、過度の精錬はコスト増につながる。これらを考慮して、Sは、質量%で、0.010%以下の範囲内である。
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく改変例について説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例を見出すことができるだろう。
10、11 環状切り欠き試験片

Claims (6)

  1. 主として焼き戻しマルテンサイト組織からなり引張強度を1400MPa以上とした鋼からなる高強度ボルトであって、
    質量%で、
    C:0.55〜0.80%(0.550%を除く)、
    Si:1.00〜2.90%、
    Cr:0.80〜1.50%、
    Al:0.010〜0.060%、
    V:0.05〜0.50%、
    N:0.005〜0.030%、
    残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、CSRT法により計測された局所限界水素濃度を1.5ppm以上としたことを特徴とする高強度ボルト。
  2. 前記成分組成において、Mo:0.80〜1.50%を更に含むことを特徴とする請求項1記載の高強度ボルト。
  3. 前記成分組成において、Mn:0.80%以下、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、P:0.015%以下、S:0.010%以下で含み得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の高強度ボルト。
  4. 主として焼き戻しマルテンサイト組織からなり引張強度を1400MPa以上とした鋼からなる高強度ボルトの製造方法であって、
    質量%で、
    C:0.55〜0.80%(0.550%を除く)、
    Si:1.00〜2.90%、
    Cr:0.80〜1.50%、
    Al:0.010〜0.060%、
    V:0.05〜0.50%、
    N:0.005〜0.030%、
    残部Fe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼を900℃以上に加熱して焼き入れ、550℃以上の温度で焼き戻し、CSRT法により計測された局所限界水素濃度を1.5ppm以上とすることを特徴とする高強度ボルトの製造方法。
  5. 前記成分組成において、Mo:0.80〜1.50%を更に含むことを特徴とする請求項4記載の高強度ボルトの製造方法。
  6. 前記成分組成において、Mn:0.80%以下、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、P:0.015%以下、S:0.010%以下で含み得ることを特徴とする請求項4又は5に記載の高強度ボルトの製造方法。
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