JP3232664B2 - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP3232664B2
JP3232664B2 JP18106292A JP18106292A JP3232664B2 JP 3232664 B2 JP3232664 B2 JP 3232664B2 JP 18106292 A JP18106292 A JP 18106292A JP 18106292 A JP18106292 A JP 18106292A JP 3232664 B2 JP3232664 B2 JP 3232664B2
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    • Y10S384/90Cooling or heating
    • Y10S384/912Metallic

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軸受用鋼及び自動車、
農業機械、建設機械及び鉄鋼機械、特に、トランスミッ
ションやエンジン用として求められる長寿命な転がり軸
受に関する。
【0002】
【従来の技術】軸受潤滑油中に混入している金属の切
粉、削り屑、バリ及び摩耗粉等の異物が転がり軸受の軌
道輪や転動体に損傷を与え、転がり軸受の寿命の大幅な
低下をもたらすことはよく知られている。そこで、本出
願人は先に、異物が混入している潤滑下で転がり軸受を
使用する場合でも、軸受の転がり表面層のCの含有量、
残留オーステナイト量、及び炭窒化物の含有量を適性値
にすることで、圧痕のエッジ部における応力の集中を緩
和し、クラックの発生を抑え、転がり軸受の寿命を向上
することを提案し(特開昭64−55423号)、さら
に、最適な残留オーステナイト量と硬さの関係、および
最適な炭化物・炭窒化物の平均径の範囲の提案(特開平
4−26752号)、また、それらを達成するのに最適
な成分範囲の提案(特願平03−178191号)を行
ってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法では浸炭または浸炭窒化による炭素または窒素の
表面への付加を前提としているため、熱処理に長時間を
要してコスト高であり、かつ、その含有量にバラツキの
あることが問題であった。一方、通常の軸受鋼を単純に
高温焼入して所定の残留オーステナイトを得ようとする
と、熱処理後の硬さが十分に上がらず、異物混入潤滑下
での軸受寿命の延長は達成できないという問題点があっ
た。
【0004】そこで本発明は、こうした従来の問題点を
解決することを課題とするものであり、単純焼入または
短時間の浸炭窒化処理で、異物混入潤滑下でも長寿命の
転がり軸受を、コスト的に優位性をもって供給すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に係る発明は、軌道輪及び転動体を備え
た転がり軸受において、前記軌道輪及び前記転動体の少
なくとも一つは、C;1.1 〜1.6 重量%、Si;0.05〜
0.8 重量%、Mn;0.5 〜1.5 重量%、Cr;1.3 〜3.
0 重量%、Mo;0.01〜0.6 重量%を含む合金鋼からな
り、前記軌道輪の軌道面及び前記転動体の転動面の少な
くとも一つに、焼入れ焼戻しされた焼入硬化層もしくは
浸炭窒化後焼入れ焼戻しされた浸炭窒化硬化層を表面層
として有し、該表面層の残留オーステナイト量が前記焼
入れ焼戻しされた焼入硬化層を有する場合は13〜20 Vol
であり、前記浸炭窒化後焼入れ焼戻しされた浸炭窒化
硬化層を有する場合は13〜40 Vol%であり、前記焼入硬
化層と浸炭窒化硬化層の表面硬さHvが前記残留オース
テナイト量γ R (Vol %)に対し、−2.2 ×γ R +810 ≦Hv≦−2.2 ×γ R +930 の範囲にあり、 さらに、前記表面層に残存する炭化物の
面積率を8〜22%であることを特徴とする。また、請
求項2に係る発明は、上記請求項1に係る発明である転
がり軸受において、前記浸炭窒化硬化層を有する前記合
金鋼のSi量を0.05〜0.45重量%とした。そして、請求
項3に係る発明は、上記請求項1又は請求項2に係る発
明である転がり軸受において、前記浸炭窒化硬化層を有
する表面層の残留オーステナイト量を20〜40Vol %とし
た。
【0006】
【作用】本発明者等は、異物混入下での転がり疲れ寿命
と、残留オーステナイト量、軌道面の硬さ、熱処理方法
および合金元素量との相互の関係について、鋭意研究を
続けた結果、合金組成を適当に調整することにより、残
留オーステナイト量と硬さの両方を適正な範囲に調整
し、異物混入下の転がり疲れにおいて長寿命を達成する
ことを見いだした。すなわち、通常の軸受鋼の焼入温度
を変えても、望ましい残留オーステナイト量と硬さの両
立は得られないが、通常の軸受鋼の成分範囲をやや高合
金側にシフトさせ、焼入れ後に高残留オーステナイトと
高残留炭化物とを両立させることにより残留オーステナ
イト量と硬さを適正な範囲に調整することができること
を見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】以下に、合金成分の組成範囲およびその他
の項目の数値範囲を限定する理由を説明する。 C:残留オーステナイト量と残留炭化物量を両立させる
ためには、焼入後の残留炭化物量を相当量残存させる必
要があり、炭素量を増加させることが必要である。特
に、異物混入潤滑下での寿命伸長に効果のある炭化物量
としては、図1に示すように少なくとも8%以上が必要
であることが判った。その時に要する炭素量は最低で1.
1 重量%(以下同じ)であった。また、清浄度の観点か
らも実用上許される範囲で高濃度であることが望まし
い。しかし多すぎると巨大炭化物が生成し転動疲労寿命
特性を劣化させるので、1.6 %を上限とした。
【0008】Si:鋼の製鋼時に脱酸剤として作用する
とともに、焼入性を向上させて軸受の寿命を延長するの
に有効な元素であるが、Si含有量が多すぎると被削
性、鍛造性、耐銹性を著しく劣化させる上、炭素の活量
係数を増大させ脱炭を促進する傾向がある。そのため上
限を0.8 %とした。なお、浸炭窒化等により元素を付加
する場合、浸透深さと合金量の関係に注目すると、含有
量が0.2 %を越えると急激に浸透深さの減少することが
判った。そこで、熱処理コスト低減のために浸炭窒化を
施す場合には、Si量の上限を0.2 %とすることが望ま
しい。
【0009】Mn:鋼の焼入性を向上させることにより
基地マルテンサイトを強化するだけでなく、残留オース
テナイトを増加させる効果があるため0.5 %以上必要で
あるが、多すぎるとかえって被削性を低下させるので、
上限を1.5 %とした。 Cr:炭化物形成元素であり、鋼中の炭化物の微細化の
ため有効である。このため、Crは少なくとも1.3 %を
必要とする。一方、3 %を越えると、巨大炭化物が生じ
て均一微細な炭化物が得られなくなるので、上限を3 %
とした。しかし、2 %を越えると、焼入時に炭化物を溶
解することが難しくなるため、通常の操業炉で適用可能
な焼入温度では狙いの高残留オーステナイト量の達成が
困難であり、生産性に欠けるため望ましくは上限を2 %
以下とする。
【0010】Mo:焼入性の向上に有効であるだけでな
く、炭化物の微細化効果が期待できるため添加は有効で
あるが、0.6 %を越えて含有させても効果の向上が小さ
いので上限を0.6 %とした。 残留オーステナイト量:本発明を構成する合金系におい
ては、図2に示すように、残留オーステナイト量が13%
を越えることにより、異物混入潤滑下において、転がり
疲れ寿命の向上が認められる。その効果は少なくとも40
%程度まで維持されるが、普通焼入れによる場合は製品
の寸法安定性を大きく損なうため、上限は20%に限定す
る必要がある。一方、浸炭窒化により転がり表面に関し
て長寿命を達成する場合は、高温テンパー等により心部
における残留オーステナイト量を比較的低く抑えること
が可能であり、寸法安定性上の限定が緩和できるため、
上限は寿命向上効果の観点から40%とした。
【0011】残留オーステナイト量に対応する表面硬さ
の範囲:下式の範囲に限定した。 −2.2 ×(γR V0l %)+810 ≦Hv≦−2.2 ×(γR Vo
l %)+930 上式の関係において、硬さが前記下限値より小さいと、
耐疲労性が低下し、異物混入潤滑下及びクリーンの潤滑
下でも寿命が低下する。一方、硬さを前記上限値より大
きくすることは困難である。
【0012】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。表1、表
2に示すような組成の鋼を材料とする試験片について、
次のような熱処理を行った。すなわち、各試験片のうち
高温焼入については、図3に示すように焼入温度880
℃(1時間保持)、焼戻温度160℃(2時間保持)で
行った。一方、普通焼入については、焼入温度840℃
(1時間保持)、焼戻温度は同じ160℃(2時間保
持)で行った。
【0013】また、浸炭窒化に関しては、図4に示すよ
うにRX ガス+エンリッチガス+アンモニアガス5%の
雰囲気で、1時間、870℃及び840℃で浸炭窒化処
理を行い、180℃で2時間の焼戻しを行った。また、
焼戻しについては、240℃の高温焼戻しも行い、寸法
安定化も兼ねた実験も行った。なお、寿命試験は、円板
状試験片について『電気製鋼所編 特殊鋼便覧(第1
版)、理工学社、1965年5 月25日、第10頁−21頁』記載
の試験機を用いて行った。試験条件は次の通りである。
【0014】Pmax =4900MPa N=3000c.p.m 潤滑油 VG68 タービン油 試験片作製にあたり、熱処理後の研削取り代は全て片側
0.15mmとした。また、異物として、鋼粉(硬さHv=8
70、径74〜147μm)を潤滑油中に300ppm 混
入した。
【0015】寿命判定は、各試験片についてその10%
に顕微鏡又は肉眼で視認できるクラック,フレーキング
が発生した時点を寿命(L10寿命)とし、この時点迄の
累積回転数をもって寿命を定量的に表現した。これらの
試験結果を表1、表2に併せて示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】表1、表2において、試料1〜5及び16
〜20は本発明の実施例で、それぞれ化学成分が〔請求
項1〕の範囲にある鋼を用い、狙いとする高い残留オー
ステナイト量を得るために高温焼入れを施したものであ
る。これらは、異物混入潤滑下の転がり寿命試験におい
て、10×106 回の応力繰り返し数を越える長寿命を達成
した。
【0019】比較のために試料21〜26の成分の鋼を
840℃と880℃の二通りの焼入温度で処理して、同
条件の寿命試験を行った。その結果は、試料21、26
のように普通焼入では、いずれも残留オーステナイト量
が増加させられないために、本発明鋼に比較して短寿命
である。ここで、試料21は通常よく用いられる軸受鋼
2種であり、現用標準軸受の寿命特性を代表している。
【0020】試料22、23、25は高温処理した例で
ある。この場合、先の例に比べていずれも残留オーステ
ナイト量は増加するが、その増加に伴って硬さが低下し
てしまうために、異物混入潤滑下の転がり疲れ寿命は増
加しない。試料25は現用の軸受鋼3種であり、比較的
高い残留オーステナイト量を得やすいが、残留オーステ
ナイトの増加が硬さの低下をもたらしてしまうので、寿
命の延長効果が得られないのである。
【0021】試料24は、炭素量とCr量とを増加させ
て残存炭化物量の増加を意図したものであるが、実用的
な焼入温度の上限と考えられる880℃では残留オース
テナイト量の増加が得られず、その結果、軸受寿命も延
長できなかった。焼入温度をこれ以上高くすることは現
用焼入炉の耐久性に悪影響を及ぼすと同時に、焼入時の
変形が大きくなって研削コストの増加を招くこととな
り、コスト的に本発明の意図を満足することができない
と言える。
【0022】また、比較例である試料26は、炭素量と
Cr量を増加させて焼入温度を通常の840℃としたも
のであるが、炭化物が溶解せず炭素の基地への溶け込み
が少なく、残留オーステナイト量が少ないために寿命延
長ができなかった例である。試料16〜20は、本発明
鋼の基本化学成分に更にMoを添加した鋼である。Mo
の効果により炭化物がより微細化する。その結果、高い
残留オーステナイト量と同時に高い硬さが得られて、異
物混入潤滑下の転がり疲れ寿命試験において、Mo添加
のない鋼を用いた試料1〜5より更に長寿命を達成する
ことができた。
【0023】比較のため、試料28において、本発明の
請求項に相当する鋼を用いたが、高温焼入れは行わずに
普通焼入れを行った。この場合も、残留オーステナイト
量が少ないために、本発明鋼である試料16〜20に比
べて三分の一の短い寿命しか得られなかった。次に、コ
スト的には僅かに高くなるが、前述した本発明鋼のよう
な単純焼入れに近いコストで、より長寿命を達成した発
明について述べる。
【0024】一般に、浸炭窒化処理を行う場合は、少な
くとも5時間以上の処理が必要である。いま、その浸炭
窒化時間を1時間以内に設定して有効な浸炭効果が得ら
れるならば、通常用いる連続焼入炉を用いて単純焼入れ
とほぼ同様の生産効率を得ることができる。試料30〜
34は、この点に着目したものである。すなわち、単純
焼入れに用いた本発明の請求項1およびの成分鋼を用
いて、図4に示す浸炭窒化焼入れを行った。浸炭窒化温
度は870℃、保持時間は1時間である。この熱処理
後、0.15mmの研削取代(小型軸受或いは転動体では、熱
処理後の取代は片肉で約0.15mm程度を見込んでおく)を
削りとって仕上げたものを試験に供した。
【0025】短時間の処理のため、仕上げ表面の炭素及
び窒素の付加量は両者合計でC+N=0.2 %と少量であ
ったが、表面の残留オーステナイト量の増加は6%程度
となり、表面では20%を越す量が達成できた。この結
果、転がり疲れ寿命は単純焼入れのものに比較して、図
1、図2及び表1に示すように、更に70%程度の長寿
命化が達成された。
【0026】これに対して、比較例である試料27で
は、現用の軸受鋼の組成のものに上記試料30〜34と
同じ条件で1時間の浸炭窒化処理をおこなった。その結
果は、残留オーステナイト量、硬さともに不足し効果が
認められなかった。試料6〜10、試料11〜15は本
発明の実施例である。これらの鋼は、Si量を0.2 %以
下に低減してある。その結果、浸炭窒化処理を840℃
で1時間、RX ガス+エンリッチガス+アンモニアガス
5%の雰囲気で行って、著しい浸炭浸窒の効果が得られ
た。これは、Siが特に炭素および窒素の双方に対して
著しく拡散を抑制する作用が強く、極限までSiを下げ
ることによって、極めて短時間中に炭素及び窒素を拡散
侵入させることができたためである。上記試料6〜15
にみられるように、表面層の残留オーステナイト量が3
0%を越えるほど多量となり、一方、硬さも比較的高く
保持されるので転がり疲れ寿命は最も長寿命となった。
【0027】一方、比較例である試料29は、Si量が
0.2 %以下で浸炭浸窒は迅速であるが、その化学成分組
成は本発明の範囲外にあって炭化物の残存が少なく硬さ
が低いため、寿命延長は十分ではなかった。極低Si鋼
の浸炭窒化にあっては、表面の残留オーステナイト量は
高く、表面硬さも高くできる一方、心部の残留オーステ
ナイト量は通常の軸受鋼の浸炭窒化の場合より著しく低
く、10%程度に抑えることができる。
【0028】そこで試料35の実施例では、焼戻しを高
温にして、図4の高温焼戻し条件で心部の残留オーステ
ナイト量を3%以下に低減することにより、200℃ま
で使用可能な寸法安定性を得る一方で、表面層の残留オ
ーステナイト量は14%を保持することができた。その
結果、転がり疲れ寿命は10×106 サイクルを越える
ことが確認され、高温で使用する高温焼戻仕様にも有効
であることが期待される。
【0029】試料36〜40は、比較例として、合金鋼
の成分組成の一部が本発明の成分量の上限を越えて過剰
に含まれているものについての試験の結果を示したもの
である。試料36はC量が過剰であり、又試料39はC
r量が過剰であるため、いずれも炭化物が粗大化して転
がり疲れ寿命が短寿命となった例である。
【0030】試料37はSi量が過剰であり、試料38
はMn量が過剰であるため、共に寿命的には十分ではあ
るものの、試験片に切削加工時のバイトの摩耗が通常の
倍以上と激しく、実用には供し得ない。試料40はMo
量が過剰であるものの、品質的には満足すべきレベルに
ある。しかしながら、試料18と比較すると明らかなよ
うに、Moを過剰に添加しても特に付加的な効果を期待
することはできない。結局、Moは高価な元素であり0.
5 重量%を越える量の添加は実用的でない。
【0031】一方、試料41は以上の比較例とは反対
に、Si量が本発明の成分量の下限を下回り過少であ
る。その点、先に述べた比較例29と同じであるが、但
しこの場合は、浸炭窒化後に更に高温焼入れ(二次焼
き)を施すことにより、残留オーステナイト量を本発明
の範囲より過剰にした例である。しかし結果は、表面硬
さが低下して短寿命であった。
【0032】試料42は、合金組成は本発明の範囲内に
あるが、焼入温度を920℃と超高温にすることによ
り、残留オーステナイト量をやや増やしたものである。
寿命的には満足できるレベルにあるものの、寸法安定性
が悪く(最大膨張量0.2 %であった)て実用には供し得
なかった。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、転がり
軸受の合金鋼の成分量の組合せを調整して、ごく短時間
の単純な焼入れ焼戻し又は短時間の浸炭窒化焼入処理に
より残留オーステナイト量と硬さの両方を所定の適正範
囲にコントロールしたため、異物混入潤滑下の転がり疲
れ寿命を顕著に長寿命化した転がり軸受が低コストで提
供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】転がり軸受用合金鋼における炭化物(炭窒化
物)面積率と寿命との関係を示すグラフである。
【図2】転がり軸受用合金鋼における残留オーステナイ
ト量と寿命との関係を示すグラフである。
【図3】転がり軸受用合金鋼の普通焼入れ及び高温焼入
れ時のヒートパターンである。
【図4】図3の熱処理における焼戻し時のヒートパター
ンである。
【図5】転がり軸受用合金鋼の浸炭窒化焼入れ時のヒー
トパターンである。
【図6】図5の熱処理における通常の焼戻し時のヒート
パターンである。
【図7】図5の熱処理における高温焼戻し時のヒートパ
ターンである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16C 33/62 F16C 33/62 (56)参考文献 特開 昭64−55423(JP,A) 特開 平4−26752(JP,A) 特開 平3−253542(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 9/40 F16C 33/32 F16C 33/34 F16C 33/62

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軌道輪及び転動体を備えた転がり軸受に
    おいて、前記軌道輪及び前記転動体の少なくとも一つ
    は、 C;1.1 〜1.6 重量%、Si;0.05〜0.8 重量%、M
    n;0.5 〜1.5 重量%、Cr;1.3 〜3.0 重量%、M
    o;0.01〜0.6 重量%を含む合金鋼からなり、前記軌道
    輪の軌道面及び前記転動体の転動面の少なくとも一つ
    に、焼入れ焼戻しされた焼入硬化層もしくは浸炭窒化後
    焼入れ焼戻しされた浸炭窒化硬化層を表面層として有
    し、該表面層の残留オーステナイト量が前記焼入れ焼戻
    しされた焼入硬化層を有する場合は13〜20 Vol%であ
    、 前記浸炭窒化後焼入れ焼戻しされた浸炭窒化硬化層を
    する場合は13〜40 Vol%であり、 前記焼入硬化層と浸炭窒化硬化層の表面硬さHvが前記
    残留オーステナイト量γ R (Vol %)に対し、−2.2 ×γ R +810 ≦Hv≦−2.2 ×γ R +930 の範囲にあり、 さらに、前記表面層に残存する炭化物の面積率が8〜2
    2%である ことを特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】 前記浸炭窒化硬化層を有する前記合金鋼
    のSi量が0.05〜0.45重量%であることを特徴とする請
    求項1に記載の転がり軸受。
  3. 【請求項3】 前記浸炭窒化硬化層を有する表面層の残
    留オーステナイト量が20〜40Vol %であることを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載の転がり軸受。
JP18106292A 1992-07-08 1992-07-08 転がり軸受 Expired - Fee Related JP3232664B2 (ja)

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