JPH07115882B2 - 異常な正の部分分散があり且つ改善された物理化学的性質を有する光学弗燐酸塩ガラスおよびその製造方法 - Google Patents

異常な正の部分分散があり且つ改善された物理化学的性質を有する光学弗燐酸塩ガラスおよびその製造方法

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JPH07115882B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、燐酸バリウム、メタ燐酸アルミニウム、アル
カリ土類金属弗化物および弗化アルミニウムを基礎とす
る、改善された物理化学的な性質を持つている光学弗燐
酸塩ガラス並びにその製造方法に関する。
正の異常部分分散のある弗燐酸塩ガラスは、久しい以前
から没色の顕微鏡用対物レンズの製造に用いられてい
る。しかし近年にはフォート光学の分野、特に高解放望
遠鏡用対物レンズの分野でもかゝるガラスが多量に用い
られている。良好に補正された長い焦点距離の望遠鏡用
対物レンズはこれらのガラスなしには製造できない。
しかし優れた光学的な性質を有する弗燐酸塩ガラスは、
通常の珪酸塩−および硼素珪酸塩ガラスに比較すると、
それの通例の物理的な性質、例えば線熱膨張係数、転移
温度およびクロープ硬度が最適でないという欠点を有し
ている。これによってレンズ加工の際に並びに後で用い
る際に困難が生じたりあるいは不評を買うことになる。
顕微鏡対物レンズで用いる場合−この場合には2〜3mm
のレンズ直径が問題となる−には、これらの問題は比較
的に容易に克服される。これに対して、一部のものは20
0mmより大きいレンズ直径を有する長い焦点距離の望遠
鏡のレンズの製造の場合にはそうではない。
それ故に本発明の課題は、最高の光学的データ(屈折
率、アッベ数、異常部分分散)を保ちながらガラスの物
理化学的な性質を改善することによって、本発明のガラ
スから製造される光学装置構成部材(レンズ、プリズム
等)の加工を困難無く可能とし、この種のガラスの用途
範囲を拡張しそしてこの種のレンズの製造の際の費用の
節約を本質的に達成するこの種の光学ガラスを提供する
ことである。更に、ガラスを大きな単位で条痕なしに溶
融する方法を提供することにも課題がある。
この課題は、本発明により、請求の範囲第1項の特徴部
分、また、請求の範囲第5項の特徴部分によって解決さ
れる。別の実施態様は別の従属項から明らかである。
以下の第1表に公知のガラスの光学的性質および物理化
学的性質、その他に本発明のガラス(ガラスNo.1)の同
様な性質を対照して示す。
最初に挙げた四つのパラメータは光学的な性質を示して
おりそして以下の意味を有している: ne=屈折率 ν=アッベ数(分散の逆数値) θ′=(固有の)異常な部分分散 付記の指数は以下の意味を有する: =青色の水銀線(435.84nm) F′=青色のカドミウム線(479.99nm) C′=赤色のカドミウム線(643.85nm) +Δν=例えばドイツ特許第1,496,563号明細書ある
いはこれに相応する米国特許第3,451,829号明細書の図
面にグラフ化されている如き、“基準線”の正の偏差
(positive Abweichung)。この差の値が“異常な正の
部分分散値”である。
下側に記載した四つのパラメータは物理化学的性質、即
ち α20/300゜C=線熱膨張係数(10-6・1/℃) Tg=転移温度(℃) ρ=密度(g/cm3) HK=クノープ硬度(Knoop Haerte) 本発明のガラスNo1は以下の透過特性を有している: 表中の記号は以下の意味を有する: λ:用いた測定波長〔nm〕 τ(5mm):5mmの厚さのガラス板の純透過度 τ(25mm):25mmの厚さのガラス板の純透過度 得られたガラスは蛍光が無く、大きい直径のレンズ未加
工品に加工できる。更に、このものは条痕を有していな
い。
以下の第2表に、本出願人の手による先行技術たる特公
昭53−5686号公報に開示され市販されている別のガラス
を別の発明の実施態様(ガラスNo.2)と対照して示す。
No.2のガラスの透過特性を以下の表に示す。
このガラスも無色であり、条痕もまた気泡も有していな
い。更に、このものは蛍光を有さず且つ大きな直径のレ
ンズ未加工品にプレス成形できる。第1および2表から
物理化学的な性質が著しく改善できたことが判る。例え
ば線熱膨張係数は8.1あるいは8.7%の程度減少し得る。
転移温度は、No.1のガラスの場合には18.5%程、そして
No.2のガラスの場合には8.8%程増加する。密度は3.2%
および3.6%程減少しそしてクノープ硬度は6.9%および
8.3%程増加する。これらの工業的性質および材料特有
の性質の改善が第一義的に重要な光学的状態パラメータ
(ne、ν、Δν)を保持しながら達成できることを
強調する。
以下の第3表に、No.1のガラスの原料組成について化学
的成分をモル百分率(モル%)および重量百分率(重量
%)で示す。更に、元素割合を原子百分率(原子%)で
示す。例えば19.7重量%存在するBa(PO3の場合に
は、9.2原子%のバリウム、4.1原子%のリンおよび6.4
原子%の酸素に分けられる。
第3表の得られる全ての元素割り当ての合計は次の構成
となる(原子%): Mg 1.09 Ca 9.80 Sr 19.02 Ba 10.00 Al 8.44 P 6.10 O 9.43 同様にして以下の第4表にNo.2のガラスについて原料組
成(モル%および重量%)並びに相応する原子割合を原
子%で記す。
第4表の原子割合を示す(原子%): Ma 0.36 K 1.85 Mg 2.18 Ca 9.19 Sr 13.18 Ba 10.78 Al 8.22 Ti 0.12 P 7.07 O 10.95F 36.06 Σ = 100.00 以下に10kgの溶融物の実施例を記す: 好ましくはマッシュ状に混合した秤量物を白金坩堝中に
少量ずつ回分的に導入する。その白金坩堝の温度は、全
部の秤量物が溶融されるまでの間、約850℃に一定に保
持する。この導入は約90分間続ける。次いで温度15分間
に1080℃に連続的に高める。この温度に達したら、好ま
しくは三対の羽根を持つ撹拌手段を用い、いわゆる間隔
をおいた撹拌を約150回転/分の撹拌速度で実施する。
約25分の撹拌時間の後に温度を約900℃に戻す。この場
合撹拌速度は約120回転/分である。
溶融物が気泡を含まない場合には、撹拌速度を再び下げ
−然も、約80回転/分に下げ−そして約710℃の流し出
し温度に戻す。流し出し物を、約500℃に予め加熱され
ているアルミニウム製鋳造型中に注ぎ込む。冷却は、設
定コントロールされた強化用炉において行う。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マイナート ノルベルト ドイツ連邦共和国 D−6336 ゾルムス・ アルプスハウゼン アム シュポルトフェ ルト 5

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ba(PO3、Al(Po3、アルカリ土類
    金属弗化物およびAlF3を基礎とし、1.47〜1.50の屈折率
    ne、85〜80のアッベ数ν並びに17〜22の正の異常部分
    分散値+Δνを有している光学弗燐酸塩ガラスにおい
    て、以下の元素組成(原子%): Mg 0.5〜 3.0 Ca 8 〜10 Sr 12 〜20 Ba 9 〜12 Al 7 〜 9 Ti 0 〜 1 Na 0 〜 1 K 0 〜 3 P 5 〜 9 O 8 〜12 F 35 〜38 H 0 〜 0.5 を有することを特徴とする、上記光学弗燐酸塩ガラス。
  2. 【請求項2】以下の元素組成(原子%): Mg 1.0〜 2.2 Ca 9.1〜 9.8 Sr 13.1〜19.0 Ba 10.0〜10.8 Al 8.2〜 8.5 Ti 0 〜 0.2 Na 0 〜 0.4 K 0 〜 1.9 P 6.1〜 7.1 O 9.4〜11.0 F 36.0〜36.2 H 0 〜 0.1 より成る、1.48〜1.49の屈折率ne、84.1〜81.4のアッベ
    数ν並びに18.2〜21.0の正の異常部分分散値+Δν
    を有している請求の範囲第1項に記載のガラス。
  3. 【請求項3】以下の元素組成(原子%): Mg 1.1 Ca 9.8 Sr 19.0 Ba 10.0 Al 8.5 P 6.1 O 9.4 F 36.1 を有し、1.48の屈折率ne、84.1のアッベ数ν並びに21
    の正の異常部分分散値+Δνを有している請求の範囲
    第1項又は第2項に記載のガラス。
  4. 【請求項4】以下の元素組成(原子%): Mg 2.18 Ca 9.19 Sr 13.18 Ba 10.78 Al 8.22 Ti 0.12 Na 0.36 K 1.85 P 7.07 O 10.95 F 36.06 H 0.04 を有し、1.487の屈折率ne、81.4のアッベ数ν並びに1
    8.3の正の異常部分分散値+Δνを有している請求の
    範囲第1項又は第2項に記載のガラス。
  5. 【請求項5】以下の組成(重量%): Ba(PO32 18.5〜20 Al(PO3 4 〜 7 MgF2 1.5〜 4 CaF2 18 〜20 SrF2 25 〜29 BaF2 0.5〜 2 AlF3 22 〜26 を有する混合物を溶融することを特徴とする、Ba(P
    O3、Al(PO3、アルカリ土類金属弗化物およびA
    lF3を基礎とし、1.47〜1.50の屈折率ne、85〜80のアッ
    ベ数ν並びに17〜22の正の異常部分分散値+Δν
    有し、以下の元素組成(原子%): Mg 0.5〜 3.0 Ca 8 〜10 Sr 12 〜20 Ba 9 〜12 Al 7 〜 9 Ti 0 〜 1 Na 0 〜 1 K 0 〜 3 P 5 〜 9 O 8 〜12 F 35〜38 H 0 〜 0.5 を有する光学弗燐酸塩ガラスの製造方法。
  6. 【請求項6】混合物が以下の組成(重量%): Ba(PO3 19.7 Al(PO3 5.6 MgF2 2.8 CaF2 19.1 SrF2 27.3 BaF2 1.0 AlF3 24.5 を有する請求の範囲第5項に記載の方法。
  7. 【請求項7】以下の組成(重量%): NaPO3 1 〜 3 Ba(PO3 4 〜 6 Al(PO3 14 〜17 MgF2 4 〜 7 CaF2 16 〜19 SrF2 17 〜20 BaF2 9 〜12 AlF3 19 〜22 KHF2 2 〜 5 K2TiF6 0.5〜 1 を有する混合物を溶融することを特徴とする、Ba(P
    O3、Al(PO3、アルカリ土類金属弗化物およびA
    lF3を基礎とし、1.47〜1.50の屈折率ne、85〜80のアッ
    ベ数ν並びに17〜22の正の異常部分分散値+Δν
    有し、以下の元素組成(原子%): Mg 0.5〜 3.0 Ca 8 〜10 Sr 12 〜20 Ba 9 〜12 Al 7 〜 9 Ti 0 〜 1 Na 0 〜 1 K 0 〜 3 P 5 〜 9 O 8 〜12 F 35 〜38 H 0 〜0.5 を有する光学弗燐酸塩ガラスの製造方法。
  8. 【請求項8】混合物が以下の組成(重量%): NaPO3 1.6 Ba(PO3 5.0 Al(PO3 15.7 MgF2 5.6 CaF2 17.9 SrF2 18.9 BaF2 10.8 AlF3 20.6 KHF2 3.3 K2TiF6 0.6 を有する請求の範囲第7項に記載の方法。
  9. 【請求項9】以下の段階: a)約850℃に加熱された白金坩堝中に、 Ba(PO3 18.5〜20 Al(PO3 4 〜 7 MgF2 1.5〜 4 CaF2 18 〜20 SrF2 25 〜29 BaF2 0.5〜 2 AlF3 22 〜26 又は NaPO3 1 〜 3 Ba(PO3 4 〜 6 Al(PO3 14 〜17 MgF2 4 〜 7 CaF2 16 〜19 SrF2 17 〜20 BaF2 9 〜12 AlF3 19 〜22 KHF2 2 〜 5 K2TiF6 0.5〜 1 の組成(重量%)を有する原料を90分間で分配的に導入
    し、 b)15分間にわたって1050〜1100℃の溶融温度に加熱
    し、 c)間隔をおいた撹拌を約150回転/分の撹拌速度で25
    分間にわたって行い、 d)885〜920℃に温度を下げ且つ撹拌速度を約120回転
    /分に下げ、 e)溶融物に気泡がなくなるまで、温度を695〜725℃に
    並びに撹拌速度を約80回転/分に更に下げ、 f)約500℃に予め加熱されたアルミニウム製の型中に
    注ぎ込み、 g)強化用炉中で冷却する に従って行われるBa(PO3、Al(PO3、アルカリ
    土類金属弗化物およびAlF3を基礎とし、1.47〜1.50の屈
    折率ne、85〜80のアッベ数ν並びに17〜22の正の異常
    部分分散値+Δνを有し、以下の元素組成(原子
    %): Mg 0.5〜 3.0 Ca 8 〜10 Sr 12 〜20 Ba 9 〜12 Al 7 〜 9 Ti 0 〜 1 Na 0 〜 1 K 0 〜 3 P 5 〜 9 O 8 〜12 F 35 〜38 H 0 〜 0.5 を有する光学弗燐酸塩ガラスを製造する方法。
  10. 【請求項10】以下の段階: a)850℃に加熱された白金坩堝中に原料を90分間で分
    配的に導入し、 b)15分間にわたって1080℃の溶融温度に加熱し、 c)間隔をおいた撹拌を150回転/分の撹拌速度で25分
    間にわたって行い、 d)900℃に温度を下げ且つ撹拌速度を120回転/分に下
    げ、 e)溶融物に気泡がなくなるまで、温度を710℃に並び
    に撹拌速度を80回転/分に更に下げ、 f)500℃に予め加熱されたアルミニウム製の型中に注
    ぎ込み、 g)強化用炉中で冷却する に従って行われる請求の範囲第9項に記載の方法。
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