JPH07110574A - 水なし平版印刷用原板の製造方法 - Google Patents

水なし平版印刷用原板の製造方法

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JPH07110574A
JPH07110574A JP31190193A JP31190193A JPH07110574A JP H07110574 A JPH07110574 A JP H07110574A JP 31190193 A JP31190193 A JP 31190193A JP 31190193 A JP31190193 A JP 31190193A JP H07110574 A JPH07110574 A JP H07110574A
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JP
Japan
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silicone rubber
photosensitive layer
rubber layer
layer
printing plate
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JP31190193A
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Tsutomu Ichijo
力 一條
Masaya Asano
昌也 浅野
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】基板、該基板の上に設けた感光層、および該感
光層の上に設けたシリコーンゴム層からなる水なし平版
印刷用原板の製造方法において、基板上に感光層を形成
した後、該感光層上に、1分子中に2個以上の水素−ケ
イ素結合を有する化合物と1分子中に2個以上の炭素−
炭素不飽和結合を有する化合物とを付加反応させて得ら
れるシリコーン組成物を塗布することを特徴とする水な
し平版印刷用原板の製造方法。 【効果】本発明の水なし平版印刷用原板の製造方法によ
ると、シリコーンゴム層の硬化時の雰囲気中の水分の多
少に、感光層との接着力が影響されず、かつ従来よりも
高いインキ反発性を有する印刷版を提供することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水なし平版印刷用原板の
製造方法に関するものであり、特に、基板、感光層、シ
リコーンゴム層を順次積層したインキ反発性の優れた水
なし平版印刷用原板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコーンゴムをインキ反発層と
する水なし平版印刷版が種々知られているが、特に特公
昭54−26923 号公報に提案されているように、基板、感
光層、シリコーンゴム層の順に積層してなる印刷版が画
像再現性、耐刷力の面で優れており、実用化されてい
る。
【0003】従来提案されているシリコーンゴム層の組
成物および硬化方法としては次のものがあげられる。
【0004】(1) 両末端水酸基のオルガノポリシロキサ
ンをケイ素原子に直接結合した加水分解性官能基を有す
るシランもしくはシロキサンにより架橋してシリコーン
ゴムとする方法(以下縮合型と称する)。(ここで加水
分解性官能基としては、アセトキシ基、ケトキシメート
基、アルコキシ基、水素などがあげられる)。
【0005】(2) オルガノポリシロキサンを過酸化物な
どのラジカル開始剤により架橋してシリコーンゴムとす
る方法(以下ラジカル架橋型と称する)。
【0006】などである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ここに提案されている
方法は印刷版の性能においていくつかの問題点を生じて
いる。縮合型では感光層に対する接着力が高く、優れた
耐刷性を提供するものであるが、シリコーンゴム層の硬
化時の雰囲気中の水分の多少により、感光層との接着力
が変動し、そのため露光感度が変動しやすいことと、硬
化したシリコーンゴム層中の未反応シラノール基のため
にインキ反発性は充分満足しうるものではないという問
題点がある。ラジカル架橋型により硬化して得られるシ
リコーンゴム層は、感光層との接着力が非常に低いため
耐刷性が極端に劣り実用性に乏しいものであり、また硬
化時に酸素によって架橋の阻害を受けやすく、高温、長
時間の硬化条件を設定する必要があるという問題点があ
る。
【0008】以上のように従来提案されているシリコー
ンゴム層の硬化方法では、安定した接着力を保ち、かつ
高いインキ反発性を持つ水なし平版印刷用原板は得られ
ていないという状況である。
【0009】本発明は高いインキ反発性を有し、版性能
がシリコーンゴムの硬化時の雰囲気の影響を受けにくい
特徴を持った水なし平版印刷用原板の製造方法を開発す
ることを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板、該基板
の上に設けた感光層、および該感光層の上に設けたシリ
コーンゴム層からなる水なし平版印刷用原板の製造方法
において、基板上に感光層を形成した後、該感光層上
に、1分子中に2個以上の水素−ケイ素結合を有する化
合物と1分子中に2個以上の炭素−炭素不飽和結合を有
する化合物とを付加反応させて得られるシリコーン組成
物を塗布することを特徴とする水なし平版印刷用原板の
製造方法に関する。
【0011】本発明における基板、感光層、シリコーン
ゴム層の順に積層して形成される積層体は、露光により
感光層の特性が変化して、シリコーンゴム層と感光層と
の接着力の変化、もしくは感光層の現像液に対する溶解
性の変化を引きおこす。そこで露光部と非露光部との接
着力の差、もしくは溶解性の差を利用して現像によりシ
リコーンゴム層が除去される部分と残存する部分とにわ
かれる。シリコーンゴム層が除去された部分は、感光層
もしくは基板が露出し、インキ着肉性であり、画像部を
形成する。シリコーンゴム層が残存する部分はインキ反
発性であり、非画像部を形成し、水なし平版印刷版とな
る。
【0012】本発明における基板としては、アルミ、ス
チールなどの金属、ポリエステル、ポリアミドなどのプ
ラスチック、ゴム、コート紙あるいはこれらの複合材な
どが使用される。また基板と感光層との間に、接着力向
上、もしくはハレーション防止のためにコート層を設定
することは任意である。
【0013】本発明における感光層の厚みは任意である
が、0.5ミクロンから100ミクロンであることが望
ましい。感光層の種類としては、 (1) 光重合性の不飽和結合を有するモノマー、オリゴマ
ーを含有するもの (2) 露光により、2量化しうる官能基を有する化合物を
含有するもの (3) ジアゾ基を感光基とする化合物を含有するもの (4) アジド基を感光基とする化合物を含有するもの などがあげられるが、特に感光層中に、エチレン性不飽
和結合もしくは有機水酸基を含有することがシリコーン
ゴム層との接着力の安定性において望ましい。
【0014】特に本発明の特徴として、シリコーンゴム
層が水素−ケイ素結合と炭素−炭素不飽和結合との付加
反応により硬化して得られるものであるため、シリコー
ンゴム層と感光層の接着力を安定して発現するためには
該感光層中にこれらのエチレン性不飽和結合または有機
水酸基を含有するモノマまたはオリゴマーを含有するこ
とが特に好ましい。
【0015】特に該感光層中のエチレン性不飽和結合
は、露光により光架橋を生じて、感光層の現像液に対す
る溶解性の変化を引き起こす役割を果たすとともに、シ
リコーンゴム層との間で化学結合による接着力を発現す
る役割も果たすため、実用上極めて有効である。
【0016】すなわち、シリコーンゴム層形成において
使用される1分子中に2個以上の水素−ケイ素結合を有
するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、感光層
に含有されるエチレン性不飽和結合との間で付加反応が
起こり、該シリコーンゴム層−感光層間での接着力が発
現する。
【0017】一方、有機水酸基を感光層中に含有する場
合、上記のシリコーンゴム層中に、アルケニルトリアル
コキシシランなどの有機水酸基との間で化学結合を形成
しうる公知の接着付与剤を添加したり、水酸基含有オル
ガノポリシロキサンを添加して縮合反応型の硬化および
接着機構を併用することが、該シリコーンゴム層−感光
層間での接着力形成の上で好ましい。
【0018】ただし、上記した水酸基含有オルガノポリ
シロキサンを用いる縮合反応型のシリコーンゴム組成物
を上記の付加反応型シリコーンゴム層中に過度に添加す
ることは、付加反応触媒として好ましく用いられる白金
化合物の活性を阻害する傾向にあり、付加反応によるシ
リコーンゴム層の硬化を阻害する危険性があるので注意
を要する。
【0019】感光層に含まれるエチレン性不飽和結合を
含有するモノマの具体例としては下記のものが挙げられ
る。
【0020】エチレン性不飽和結合および有機水酸基を
含有するモノマとしては、USP3894873号明細
書に記載のN,N,N’,N’−テトラキス−2−ヒド
ロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルキシリレン
ジアミン(グリシジルメタクリレートとキシリレンジア
ミンの4/1モル付加反応物)、特公昭56−4908
号公報に記載の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、特公昭54−26923号公報に記載の
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレートなど公知のモノマを挙げることができ
る。なお以下###(メタ)***は、###***お
よび###メタ***を意味する。
【0021】しかしながらこれらのモノマは、上記した
公知文献にも記載されているとおり、該モノマが含有す
る有機水酸基と、シリコーンゴム層中の水酸基含有オル
ガノポリシロキサンを用いる縮合反応型のシリコーンゴ
ム組成物中の活性シリル基(例えば、アセトキシシリル
基、オキシムシリル基、アルコキシシリル基など)との
間での結合反応で両層間に接着力を発現させる点では優
れているが、本発明の特徴である付加反応型のシリコー
ンゴム組成物と併用して、シリコーンゴム層−感光層間
での接着力形成に利用する際には、シリコーンゴム層の
硬化不良を発生する危険性がある。
【0022】したがって、本発明に最も好ましく用いら
れるシリコーンゴム層としては、付加反応型のシリコー
ンゴム組成物単体であることが望ましく、該シリコーン
ゴム層に適合する感光層に用いられるエチレン性不飽和
結合を含有するモノマまたはオリゴマとしては、有機水
酸基を含有する必要はなく、むしろ有機水酸基を含有し
ない構造のものを用いることが好ましい。
【0023】次に該感光層に特に好ましく含まれるエチ
レン性不飽和結合を含有するモノマまたはオリゴマーの
構造および添加量について説明する。
【0024】本発明の最大の特徴は、エチレン性不飽和
結合が含有される感光層表面において水素−ケイ素結合
と炭素−炭素不飽和結合との付加反応によりシリコーン
ゴム層の硬化反応が容易に起こることにある。
【0025】すなわち、水素−ケイ素結合と炭素−炭素
不飽和結合との付加反応により硬化するシリコーンゴム
組成物には通常、触媒および架橋抑制剤が添加され、該
架橋抑制剤としては、本来の付加反応を阻害する目的か
ら、低分子量のビニル基含有オルガノポリシロキサンサ
イクリックスや、アセチレンアルコールに代表される炭
素−炭素3重結合含有アルコールなど比較的低分子量の
炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物が用いられる。
従って、感光層に含まれるエチレン性不飽和結合も当
然、本発明に用いられるシリコーンゴム組成物の架橋抑
制剤となる。
【0026】したがって、感光層にエチレン性不飽和結
合が過度に存在すると、上記で説明したシリコーンゴム
層と感光層間の接着反応は有利に進行するが、シリコー
ンゴム組成物中の水素−ケイ素結合が該接着反応によっ
て過度に消費され、シリコーンゴムが硬化不良となる。
【0027】また、逆に該エチレン性不飽和結合の量が
少ないと、シリコーンゴム層と感光層間の接着反応が不
足し、感光層本来の目的である露光部の光架橋も不十分
となってしまう。
【0028】従って、該感光層中に好ましく含まれるエ
チレン性不飽和結合を含有するモノマは、シリコーンゴ
ム層との接着性および硬化性と、感光層の光架橋性とを
両立するものでなければならない。
【0029】上記の理由から本発明の感光層に特に好ま
しく含まれるエチレン性不飽和結合を含有するモノマと
しては、感光層中に含有されるエチレン性不飽和結合の
量を必要最小限に抑えかつ、光架橋性を高める目的か
ら、1分子中に2個以上、好ましくは3個以上のエチレ
ン性不飽和結合が存在する多官能モノマまたはオリゴマ
を用いることが好ましい。
【0030】具体例としては、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエ
チレンオキサオド付加変性トリ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパンプロピレンオキサオド付加変性
トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)ア
クリレート、グリセリンエチレンオキサイド付加変性ト
リ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキサ
イド付加変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)ア
クリロイルオキシエチルフォスフェートなどを挙げるこ
とができる。
【0031】これらの特に好ましく用いられるモノマの
該感光層中に含有される量は、モノマの種類により異な
るが、感光層中に40重量%以下含まれることが好まし
く、より好ましくは10〜40重量%である。
【0032】本発明におけるシリコーンゴム層はインキ
反発層となるものであり、厚さが小さいとインキ反発性
の低下、傷が入りやすいなどの問題があり、厚さが大き
い場合、現像性が悪くなるという点から、厚みとしては
0.5ミクロンから50ミクロンであることが好まし
い。
【0033】本発明におけるシリコーンゴム層の形成
は、水素−ケイ素結合と炭素−炭素不飽和結合との付加
反応により硬化して得られるものであり、得られるシリ
コーンゴムは、縮合型により得られるものに比べてゴム
中のシラノール基が少なく、インキ反発性に優れている
という特徴をもつものである。ここに炭素−炭素不飽和
結合基としては、それぞれ炭素数2〜10の置換もしく
は非置換のアルケニル基、アルケニレン基、アルキニル
基、アルキニレン基があげられ、芳香族の炭素−炭素不
飽和結合は含まれない。
【0034】本発明のシリコーンゴムは、多価ハイドロ
ジエンオルガノポリシロキサンと、1分子中に2個以上
の炭素−炭素不飽和結合を有する非シロキサン化合物と
の反応によっても得られるが、望ましくは、 (a) 1分子中にケイ素原子に直接結合したアルケニル基(より望ましくはビニル 基)を2個以上有するオルガノポリシロキサン 100重量部 (b) 1分子中に水素−ケイ素結合を2個以上有するオルガノハイドロジエンポリ シロキサン 0.1〜10000重量部 (c) 付加触媒 0.00001〜1重量部 からなる組成物を硬化したものである。
【0035】成分(a) のアルケニル基は分子鎖末端、中
間いずれにあってもよく、アルケニル基以外の有機基と
しては、置換もしくは非置換のアルキル基、アリール基
である。成分(a) には水酸基を微量有することも任意で
ある。成分(b) は成分(a) と反応してシリコーンゴムを
形成するが、かつ感光層に対する接着性の付与の役割も
果たす。成分(b) の水素基は分子鎖末端、中間いずれに
あってもよく、水素以外の有機基としては成分(a) と同
様のものから選ばれる。成分(a) と成分(b) の有機基
は、インキ反発性の向上の点で総じて基数の60%以上が
メチル基であることが好ましい。成分(a) 、成分(b) の
分子構造は直鎖状、環状、分枝状いずれでもよく、どち
らか少なくとも一方の分子量が1000を超えることが
ゴム物性の面で好ましく、さらに成分(a) の分子量が1
000を超えることが好ましい。
【0036】成分(a) としては、α,ω−ジビニルポリ
ジメチルシロキサン、両末端メチル基の(メチルビニル
シロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体などが例
示され、成分(b) としては、両末端水素基のポリジメチ
ルシロキサン、α,ω−ジメチルポリメチルハイドロジ
ェンシロキサン、両末端メチル基の(メチルヘイドロジ
ェンシロキサンサイクリックス)(ジメチルシロキサン
サイクリックス)共重合体、メチルハイドロジェンシロ
キサンサイクリックスなどが例示される。
【0037】特に、成分(a) としては数平均分子量が約
10000〜100000のα,ω−ジビニルポリジメ
チルシロキサン(ビニル基の重量%が約0.5〜0.0
5%)が好ましく、成分(b) としては下記構造に示され
るような数平均分子量が約600〜6000(数平均重
合度が約10〜100、−H基の重量%が約1.5〜
1.7%)のα,ω−ジメチルポリメチルハイドロジェ
ンシロキサンが好ましい。
【0038】
【化1】 また、成分(b) として添加される該α,ω−ジメチルポ
リメチルハイドロジェンシロキサンは、シリコーンゴム
組成物中のビニル基および感光層中のエチレン性不飽和
結合を全てと反応し得る水素−ケイ素結合を過不足なく
添加することが望ましい。したがって、シリコーンゴム
組成物中に添加される該α,ω−ジメチルポリメチルハ
イドロジェンシロキサンの好ましい添加量は、感光層中
に含有されるエチレン性不飽和結合量によって変化する
が、成分(a) 100重量部に対して、3〜30重量部の
範囲で添加されることが一般的である。
【0039】この範囲以下にすると、下層に位置する感
光層中のエチレン性不飽和結合との間で起こる接着反応
によって、該ハイドロジェンシロキサンが反応消費さ
れ、シリコーンゴム層中のビニル基と反応する該ハイド
ロジェンシロキサン量不足し、シリコーンゴム層の硬化
が阻害される傾向が顕著となる。一方、この範囲以上に
過度に該ハイドロジェンシロキサンを添加すると、硬化
反応は進行するが、接着反応が過度に起こって現像性が
低下する傾向が顕著となり、またシリコーンゴム層中の
架橋密度が高くなり過ぎるため耐スクラッチ性やインキ
反撥性など水なし平版として重要なインキ反撥層の物性
が低下してしまう。
【0040】成分(c) の付加触媒は、公知のもののなか
から任意に選ばれるが、特に白金系の化合物が望まし
く、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位
白金などが例示される。これらの組成物の硬化速度を制
御する目的で、テトラシクロ(メチルビニル)シロキサ
ンなどのビニル基含有のオルガノポリシロキサン、炭素
−炭素3重結合含有のアルコールなどの架橋抑制剤を添
加することも可能である。
【0041】これらの組成物は、3成分を混合した時点
において付加反応が起き、硬化が始まるが、硬化速度は
反応温度が高くなるに従い急激に大きくなる特徴を有す
る。ゆえに組成物のゴム化までのポットライフを長く
し、かつ感光層上での硬化時間を短くする目的で、組成
物の硬化条件は、基板、感光層の特性が変わらない範囲
の温度条件で、かつ完全に硬化するまで高温に保持して
おくことが、感光層との接着力の安定性の面で好まし
い。
【0042】これらの組成物の他に、アルケニルトリア
ルコキシシランなどの公知の接着付与剤を添加すること
や、縮合型シリコーンゴムの組成物である水酸基含有オ
ルガノポリシロキサン、加水分解性官能基含有シラン
(もしくはシロキサン)を添加することも任意であり、
またゴム強度を向上させる目的で、シリカなどの公知の
充填剤を添加することも任意である。
【0043】ここに説明した水なし平版印刷用原板にお
いて本発明の特徴を有するシリコーンゴム層上に、さら
に種々のシリコーンゴム層を塗工することも任意であ
り、また感光層とシリコーンゴム層との間の接着力を上
げる目的、もしくはシリコーンゴム組成物中の触媒の被
毒を防止する目的で、感光層とシリコーンゴム層の間に
接着層を設けることも任意である。シリコーンゴム層の
表面保護のために、シリコーンゴム層上に、透明なフィ
ルムのラミネートやポリマーのコーティングを施しても
よい。
【0044】このようにして得られた印刷用原板は、公
知の方法で露光、現像が可能であり、現像するとシリコ
ーンゴム層が残存した非画線部と、シリコーンゴム層が
剥離して感光層もしくは基板が露出した画線部が形成さ
れた水なし平版印刷版が得られる。
【0045】
【実施例】以下に実施例を述べる。文中、部数は重量部
を示す。
【0046】実施例1 厚さ0.3mmの砂目立て加工されたアルミニウム基板上
に (1) アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル共重合体(共重合比70/30) 60部 (2) グリシジルメタクリレートとキシリレンジアミンの4モル/1モル付加反応 物 40部 (3) ミヒラー氏ケトン 5部 からなる組成物のエチルセロソルブ溶液を塗布し50℃
にて乾燥させ、重合性感光層を設けた(厚さ5ミクロ
ン)。
【0047】感光層上に、 (4) α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(数平均分子量約12000) 100部 (5) α,ω−ジメチルポリメチルハイドロジエンシロキサン(数平均重合度約1 0) 3部 (6) 塩化白金酸 0.1部 からなる組成物のn−ヘプタン溶液を塗布し、100
℃,10%RHにて5分間加熱し、乾燥、硬化させ、シ
リコーンゴム層を設けた(厚さ3ミクロン)。
【0048】上述のように作成した積層板に、厚さ10
ミクロンのポリプロピレンフィルム“トレファン”(東
レ製)をカレンダーローラーを用いてラミネートし、印
刷用原板とした。
【0049】この印刷用原板上にポジフィルムを密着
し、3kW高圧水銀燈(オーク製作所製)で1mの距離
から30秒間露光した。“トレファン”を剥離してダイ
ニック製“ソフパッド”を用い、n−ヘプタンで現像し
たところ、露光部はシリコーンゴム層が残存し、非露光
部はシリコーンゴム層が剥離して重合性感光層が露出し
た印刷版が得られた。
【0050】この印刷版をオフセット印刷機にセット
し、大日本インキ(株)製水あり平版用インキ“アペッ
クスG”紅を用いて、湿し水を与えず印刷したところ、
優れた画像再現性を有し、インキの非画像部への付着に
よる地汚れのない印刷版を得た。
【0051】また、シリコーンゴムの硬化を100℃、
80%RHで行なって、上記と同様に露光、現像、印刷
をしたが優れた画像再現性を有する印刷物を得ることが
できた。したがって、本願発明にかかる水なし平版印刷
版原版は、シリコーンゴムの硬化時の雰囲気(水分の多
少)に影響されずに、高性能の印刷版を提供しうること
がわかった。
【0052】比較例1 実施例1において、シリコーンゴム層の組成を (1) α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(数平均分子量約12000 ) 100部 (2) エチルトリアセトキシシラン 5部 (3) ジブチルスズジアセテート 0.5部 として、10%RHおよび80%RHの条件で硬化を行
ない、“トレファン”をラミネートし、2種類の印刷用
原板を得た。
【0053】前者の硬化条件で得られた印刷用原板を、
実施例1と同様に露光、現像を行なって印刷版とし、実
施例1と同じインキ濃度、温度の条件で印刷したとこ
ろ、非画像部にインキの着く地汚れのある印刷物が得ら
れた。
【0054】また後者の硬化条件で得られた印刷用原板
を、実施例1と同様の方法で露光、現像を行なったとこ
ろ、感度が低下し、非画線部を形成するシリコーンゴム
層が一部剥離してしまい、印刷版としては不適当なもの
が得られた。
【0055】実施例2 砂目立て加工された厚さ0.3mmのアルミ板上にγ−シ
ンナモイロキシ−β−ヒドロキシ−n−プロピルアクリ
レート重合体(数平均分子量4000)のトルエン、メ
チルイソブチルケトン(1/1重量比)溶液を塗工し、
光2量化性感光層を設けた。光2量化性感光層上に実施
例1と同様のシリコーンゴム層、“トレファン”を順次
積層して印刷用原板を得た。
【0056】得られた印刷用原板を実施例1と同様の方
法で露光、現像したところ、露光部はシリコーンゴム層
が残存し、非露光部はシリコーンゴムが剥離され光2量
化性感光層が露出している印刷版を得た。
【0057】この印刷版を用いて実施例1と同様の方法
で印刷したところ、地汚れのない画像再現性のすぐれた
印刷物を得た。
【0058】実施例3 砂目立て加工した厚さ0.2mmのアルミ板上に住友デユ
レス製フェノールホルムアルデヒドレゾール樹脂“スミ
ライトレジン”PC−1を塗布し、200℃の条件で3
分間硬化させた。(厚さ1ミクロン)。
【0059】この積層体を基板として1,2−ンフトキ
ノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロリドとフェノ
ールノボラック樹脂(数平均重合度4.2)とを反応さ
せて得られる部分スルホン酸エステル化物(エステル化
率42%)のテトラヒドラフラン溶液を塗布し乾燥さ
せ、厚さ2ミクロンの感光層を設けた。続いて感光層上
に実施例1と同様にシリコーンゴム層および“トレファ
ン”を設けて印刷用原板を得た。
【0060】岩崎電機(株)製メタルハライドランプ
“アイドルフィン”2000を用い、UVメーター(オ
ーク製作所ライトメジャータイプUV402A)で11
mW/cm2 の照度で全面露光を6秒間施した。
【0061】上記のように全面露光した印刷用原板上
に、ネガフィルムを密着し、11mW/cm2 の照度で
60秒間画像露光した。
【0062】次いで“トレファン”を剥離して、前処理
液(分子量400のポリプロピレングリコール100
部、モノエタノールアミン0.5部)に1分間浸漬して
から、ナイロ−ブラシを用いて現像液(水、エタノー
ル、90/10重量比)で現像したところ、露光部はシ
リコーンゴム層および感光層が剥離し、基板が露出した
画線部を形成し、非露光部はシリコーンゴム層が残存し
た非画線部を形成する印刷版を得た。
【0063】得られた印刷版を用いて実施例1と同様の
方法で印刷したところ優れた画像再現性を有する印刷物
を得た。
【0064】実施例4 砂目立て加工した厚さ0.2mmのアルミ板上に実施例3
と同様の方法で“スミライトレジン”PC−1を塗工し
た。
【0065】この積層体を基板として、 (1) 実施例3の感光層組成物 100部 (2) 4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート 20部 (3) ジブチルスズジラウリレート 0.1部 からなる組成物のテトラヒドロフラン溶液を塗工し、1
10℃、1分間乾燥、硬化させ、厚さ2ミクロンの感光
層を設けた。
【0066】次いで感光層上に実施例1と同様の方法で
シリコーンゴム層、“トレファン”を順次積層し、印刷
用原板を得た。
【0067】得られた印刷用原板にネガフィルムを密着
させ、実施例3と同様の露光機、照度で60秒間露光し
た。
【0068】“トレファン”を剥離して、“ソフパッ
ド”を用いて現像液(n−ヘキサン、エチルアルコー
ル、40/60重量比)で現像したところ、露光部はシ
リコーンゴム層が剥離して感光層が露出した画線部を形
成し、非露光部はシリコーンゴム層が残存した非画線部
を形成する印刷版を得た。
【0069】得られた印刷版を実施例1と同様の方法で
印刷したところ、優れた画像再現性を有する印刷物を得
た。
【0070】実施例5〜10、比較例2〜5 砂目立て加工した厚さ0.2mm のアルミ板上に実施例1と
同様の組成物を組成比を下表のごとく変更して印刷用原
板を得た。
【0071】<感光層組成> (1) アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル共重合体
(共重合比70/30) (2) グリシジルメタクリレートとキシリレンジアミンの
4モル/1モル付加反応物 (3) ミヒラー氏ケトン <シリコーンゴム層組成> (4) α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(数平均
分子量約12000) (5) α,ω−ジメチルポリメチルハイドロジェンシロキ
サン(数平均重合度10) (6) 塩化白金酸
【表1】 上記のごとく、感光層中に適度のエチレン性不飽和結合
が存在しかつ、シリコーンゴム層中に適度の多価ハイド
ロジェンポリオルガノシロキサンが存在してはじめて、
シリコーンゴム層の硬化、インキ反撥性、画像再現性を
満足する印刷用原板を得ることができた。
【0072】実施例11〜18 砂目立て加工した厚さ0.2mmのアルミ板上に実施例1
と同様にして組成物を下表のごとく変更して印刷用原板
を得た。
【0073】<感光層組成> (1)アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル共重合体
(共重合比70/30) (2)エチレン性不飽和結合を含有するモノマ(下表参
照)
【表2】 (3)ミヒラー氏ケトン <シリコーンゴム層組成> (4)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(数平均
分子量約12000) (5)α,ω−ジメチルポリメチルハイドロジェンシロキ
サン(数平均重合度10) (6)塩化白金酸
【表3】 上記のごとく、感光層中に有機水酸基を含有せずエチレ
ン性不飽和結合のみを含有するモノマを用いた結果、シ
リコーンゴム層の硬化、インキ反撥性、画像再現性に加
えて層間接着力(シリコーンゴム層−感光層間接着力)
を満足する実用性に優れた印刷用原板を得ることができ
た。
【0074】
【発明の効果】本発明の水なし平版印刷用原板の製造方
法によると、シリコーンゴム層の硬化時の雰囲気中の水
分の多少に、感光層との接着力が影響されず、かつ従来
よりも高いインキ反発性を有する印刷版を提供すること
ができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板、該基板の上に設けた感光層、および
    該感光層の上に設けたシリコーンゴム層からなる水なし
    平版印刷用原板の製造方法において、基板上に感光層を
    形成した後、該感光層上に、1分子中に2個以上の水素
    −ケイ素結合を有する化合物と1分子中に2個以上の炭
    素−炭素不飽和結合を有する化合物とを付加反応させて
    得られるシリコーン組成物を塗布することを特徴とする
    水なし平版印刷用原板の製造方法。
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