JPH0674490B2 - 耐海水用オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐海水用オーステナイト系ステンレス鋼

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JPH0674490B2
JPH0674490B2 JP62224047A JP22404787A JPH0674490B2 JP H0674490 B2 JPH0674490 B2 JP H0674490B2 JP 62224047 A JP62224047 A JP 62224047A JP 22404787 A JP22404787 A JP 22404787A JP H0674490 B2 JPH0674490 B2 JP H0674490B2
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stainless steel
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は耐海水用のオーステナイト系ステンレス鋼に関
する。
〔従来の技術〕
従来より耐海水材料としてCu合金やTiが広く用いられて
いる。しかし前者はエロージョン・コロージョンに弱
く、また後者は高価でしかも溶接性が著しく劣るという
問題があった。
このようなことから、近年ステンレスが耐海水材料とし
て注目され、既に一部で使用されつつある。しかし、ス
テンレス鋼は天然海水中において構造的隙間或いは生物
付着によって生じる隙間内で腐食を生じ易い欠点があ
る。
このような形態の腐食に耐え得る材料として、特開昭52
−95524号に代表されるようなMoを6.0%を超えて含有す
る高Mo系オーステナイト系ステンレス鋼が開発されてい
る。しかし、このような高Mo化は熱間加工性の低下を招
き、圧延時に割れが発生し易くなるという問題があり、
また、Moは高価な元素であるため、コスト高となる問題
がある。
本発明はこのような問題に鑑みなされたもので、高耐食
性と優れた熱間加工性を有し、しかも低コストで製造す
ることができる耐海水用オーステナイト系ステンレス鋼
を提供せんとするものである。
〔問題を解決するための手段〕
このため本願第1発明の特徴は、C:0.0005〜0.050wt
%、Si:0.02〜1.0wt%、Mn:0.05〜2.0wt%、Cr:21.0〜2
7.0wt%、Mo:4.0〜6.0wt%、Ni:19.5〜28.0wt%、B:0.0
005〜0.010wt%、N:0.15〜0.22wt%、Al:0.005〜0.30wt
%、P:0.0005〜0.050wt%、S:0.0005〜0.010wt%、残部
Feおよび不可避不純物を含有し、且つ下記(1)、
(2)式 (但し、Cr、Mo、N、Niは各成分元素の含有量(wt
%)) を満足させるようにしたことにある。
また、本願第2の発明の特徴は、C:0.0005〜0.050wt
%、Si:0.02〜1.0wt%、Mn:0.05〜2.0wt%、Cr:21.0〜2
7.0wt%、Mo:4.0〜6.0wt%、Ni:19.5〜28.0wt%、B:0.0
005〜0.010wt%、N:0.15〜0.22wt%、Al:0.005〜0.30wt
%、P:0.0005〜0.50wt%、S:0.0005〜0.010wt%を含有
し、La:0.02wt%以下、Ce:0.02wt%以下、Ca:0.02wt%
以下の1種又は2種以上と残部Feおよび不可避不純物を
含み、且つ下記(1)、(2)式 (但し、Cr、Mo、N、Niは各成分元素の含有量(wt
%)) を満足させるようにしたことにある。
本発明は、目的とする耐海水用ステンレス鋼の特性とし
て次のような2つの基準(前提)を設けた。
耐海水用ステンレス鋼の耐食性としては、天然海水中で
隙間腐食を生じないことが要求されることは前述した通
りであるが、このような特性を調べる腐食試験には、塩
化第二鉄溶液を用いた隙間腐食試験(ASTH G 48,JIS G
0578)がある。この内容は、人工的に隙間をつけた試験
片を10%FeCl3・6H2O水溶液中に24時間浸漬し、腐食減
量を測定するものであり、この試験法は、本方法で腐食
しなかった材料を、その溶液と同じ温度以下の天然海水
中に長時間浸漬しても隙間腐食が発生しなかったという
事実に基づいている。ちなみに、代表的な耐海水ステン
レス鋼である20Cr−18Ni−6.2Mo−0.20N鋼では、50℃以
下の10%FeCl3・6H2O水溶液中で隙間腐食を発生しない
ことが確認されている。そこで本発明では耐海水用ステ
ンレス鋼の耐食性として、50℃の10%FeCl3・6H2O水溶
液中で隙間腐食が発生しないということを前提とした。
また、高合金鋼は炭素鋼や低合金鋼に比べ凝固時や熱間
加工性に様々な欠陥が発生し易く、熱間加工性が劣る材
料である。特に、Moを多量に含有する鋼種では、熱間加
工性が劣るため、熱間圧延や熱間鍛造で製造できないと
いう問題がある。このような熱間加工性は高速熱間引張
試験での延性と相関があり、絞り値での評価が広く行わ
れている。本発明者等は、インゴットの分塊圧延時の割
れ発生と高速熱間引張りによる絞りとの関係を調べ、分
塊圧延の初期において粗大凝固組織が圧延される1050℃
までの温度領域での絞りが50%以上あれば表面性状の良
好な鋼片が得られることを明らかにした。そこで本発明
では、熱間加工性については、鋳造材の高速熱間引張試
験における1050℃での絞りが50%以上あることを前提と
した。
以下、本発明を詳細に説明する。
第1表に示す鋼(1)〜鋼(5)を熱間圧延により6mm
厚とし、その後、溶体化処理を施した供試材について、
隙間腐食を生じない最高温度である臨界隙間腐食温度
(CCT)を調べた。その結果を第1図に示す。これによ
れば、一般にCCTはCr+3Mo+13N(以下、P.I.と称す)
で評価できるとされているが、Mo<4.0wt%ではP.I.が
一定であるにもかかわらずCCT<50℃となっている。こ
れに対し、Mo≧4.0wt%では、P.I.が一定であればCr,Mo
バランスにかかわらずCCT≧50℃を満足している。この
ことは、この領域では耐食性を損うことなく高価なMoの
一部をCrで代替できることを示している。Mo<4.0wt%
においてもCr量を一層高めること(Cr>27wt%)により
CCTは改善されると考えられるが、27wt%を超える極端
な高Cr化はσ相が形成し易くなるため好ましくない。
第2図は第1表の鋼(6)〜鋼(9)のCCTを示したも
ので、熱間圧延及び熱処理条件は第1図の場合と同様で
ある。これによれば、19.5wt%〜24.3wt%のNi量の範囲
ではCCTの変化は認められない。
第3図は、第1表の鋼(1)〜鋼(5)及び第2表に示
す供試鋼の1200℃溶体化処理後のCCTをP.I.との関係を
示したものである。これによれば、CCTはP.I.の増加と
ともに上昇し、P.I.≧40.8では6.1wt%Moを含有する高M
o系ステンレス鋼(鋼(5))と同等以上の耐隙間腐食
性を有している。しかし、同じP.I.でもMo<4wt%の鋼
(3)及び鋼(4)、N<0.15wt%の鋼(13)ではCCT
は低い値を示している。そして特にP.I.≧40.8であれ
ば、0.004wt%B鋼においても、上記と同様良好な耐食
性を有している。
以上の結果から、従来の高Mo系(Mo>6.0wt%)耐海水
用ステンレス鋼と同等のCCT≧50℃における耐隙間腐食
性を得るには、Mo≧4.0wt%、N≧0.15wt%の領域にお
いてCr+3Mo+13N≧40.8を満足する必要があることが判
った。
第4図は、熱間加工性の変化を、鋳造状態の材料の熱間
引張りにおける絞りにより評価したもので、具体的に
は、第1表の鋼(6)〜(9)を1250℃に加熱後、1000
℃〜1250℃の各温度において(歪速度)=10/s引張り
を行い、その際の絞りを調べたものである。これによれ
ば、19.5wt%Niでは1050℃における絞りは20%も低く、
高温域における値も高々60%である。一方、Ni量を24.3
wt%と高めた場合は、高温域での絞りは80%まで上昇す
るものの、1150℃を境に急激に絞りが低下し、1050℃で
の絞りは15%と極めて低い。これに対し、21.0wt%Ni及
び22.4wt%N鋼では、高温での絞りも高く、且つ1050℃
での絞りも50%以上となっている。
このような最適Ni量を、6.0wt%≧Mo≧4.0wt%、N≧0.
15wt%で且つP.I.≧40.8wt%を満足する26.5Cr−Ni−5.
8Mo−0.005B−0.15N鋼、25.0Cr−Ni−4.5Mo−0.003B−
0.20N鋼及び21.0Cr−Ni−5.8Mo−0.004B−0.20N鋼にお
いて、1050℃での熱間加工性により検討した。その結果
を、第5図に示した。これによれば、1050℃での熱間引
張りにおける絞りが50%以上となる領域は、 で示される。ここで、Ni+10Nの上限に関しては、検討
したNi+10N≦28の範囲ではいずれも50%以上の絞りが
得られており、B添加はこの領域の成分における熱間加
工性の確保に特に効果があることが判った。
そこで、本発明では特にB添加の上記効果に着目して、
Bを添加した所定成分組成に下に、6.0wt%≧Mo≧4.0wt
%、N≧0.15wt%で、且つCr+3Mo+13N≧40.8を満足さ
せ、かつ を満足させるものとし、これによりCCT≧50℃の高耐食
性及び優れた熱間加工性が得られるものとなっている。
次に、各成分の限定理由は次の通りである。
Cは耐食性の観点から低いほど好ましく、0.050wt%を
超えると耐食性を損うため上限を0.050wt%とした。ま
た製鋼上の制約から下限を0.0005wt%とした。
Siは脱酸のため0.02wt%以上必要であるが、1.0wt%を
超えると熱間加工性を著しく阻害し、このため0.02〜1.
0wt%とした。
Mnは脱酸のため0.05wt%以上必要であるが、2.0wt%を
超えると耐食性を劣化させる。このため0.05〜2.0wt%
とした。
Crは耐孔食性、耐隙間腐食性向上のために有効であり、
以下に述べるMo、Nの成分範囲との関係で後述するCr+
3Mo+13N≧40.8の条件を満すためには、21.0wt%以上必
要となる。一方、27.0wt%を超えるとσ相の形成が著し
く促進されてしまう。このためCrは21.0〜27.0wt%の範
囲とする。
Moも耐孔食性、耐隙間腐食性向上のために有効であり、
第1図に示したように、同一P.I.で6.0wt%<Moの高Mo
系と同等以上の耐食性を得るには、4.0wt%以上添加す
る必要がある。一方、 従来の高Mo系より低コストとするためには、6.0wt%以
下とする必要があり、このためMoは4.0〜6.0wt%とす
る。
Niは、以下に示すNの成分範囲と、熱間加工性に関する
限定条件 を考慮すると、下限は19.5wt%となる。一方熱間加工性
によりNiの上限は定められないが、経済性及び高Ni化に
伴う熱間変形抵抗の増大を考慮すると28.0wt%以下が妥
当と考えられる。以上の点から、Niは19.5〜28.0wt%と
した。
Bは第5図に示したように高Ni領域での熱間加工性の改
善に特に有効である。Bは0.0005wt%未満ではその効果
が小さく、一方、0.010wt%を超えると高温での加工性
が損われ、このため0.0005〜0.010wt%とする。
Nは耐食性を高める作用があり、第3図に示したように
0.15wt%未満では同一P.I.でも耐食性が劣る。一方、0.
22wt%を超える含有は本発明成分系では困難である。こ
のためNは0.15〜0.22wt%とする。
Alは脱酸のため0.005wt%以上必要であるが、0.30wt%
を超えると耐食性が損われ、このためAlは0.005〜0.30w
t%とする。
P、Sは熱間加工性の面から低いほど好ましく、Pが0.
050wt%超、Sが0.010wt%超では熱間加工性が損われ、
このためPは0.050wt%、Sは0.010wt%をそれぞれ上限
とする。また製鋼上の制約から、P、Sの下限は0.0005
wt%とする。
以上のような成分組成に加え、熱間加工性の一層の改善
を目的として、La≦0.02%、Ce≦0.02%、Ca≦0.02%の
1種または2種以上を含むことができる。
La、Ce、Caは脱酸・脱硫効果を有し熱間加工性の向上に
寄与するがそれぞれ0.02%を超えると耐食性が劣化す
る。このため、La、Ce、Caのいずれの上限も0.02%とす
る。
〔実施例〕 ・実施例 1 第3表の(F)〜(J)の成分の5Tonインゴットを分塊
圧延後、(G)〜(F)については1200℃に加熱して8m
m厚の鋼板に圧延し、次いで1250℃で溶体化処理を行
い、(F)については1250℃に加熱後8mm厚の鋼板に圧
延し、その後1200℃で溶体化処理を行った。各供試材に
ついて、50℃の10%FeCl3水溶液中での隙間腐食の有
無、及び分塊圧延時のスラブ表面性状を第3表に併せて
示す。これによれば、鋼(G)は耐食性は良好なもの
の、 を満足していないためスラブ表面は不良であった。これ
に対し、鋼(H)、(I)は本発明条件を満足している
ため、第1表の鋼(5)に示した高Mo鋼と同等の良好な
耐食性を有し、しかもスラブ表面も良好である。特に鋼
(I)は0.004wt%Bを添加することにより、B無添加
の場合はスラブ表面性状が不良であった高いNi域(鋼
(F)参照)においても、熱間加工性は良好である。し
かし、B添加鋼においても、耐食性の規定を満足しない
鋼(J)では隙間腐食を生じた。
・実施例 2 第4表の(L)(P)(Q)の成分の鋼を連続鋳造後、
軽分塊し、次いで1250℃に加熱して4mm厚の鋼板に圧延
し、さらに1200℃で溶体化処理を行った。各供試材につ
いても、50℃の10%FeCl3水溶液中での隙間腐食の有
無、及び分塊圧延時のスラブ表面性状を第4表に併せて
示す。これによれば、Ca等の添加にかかわらず本発明条
件を満足している鋼(L)は第1表に示した高Mo系の鋼
(5)と同等の良好な耐食性を有し、しかも軽分塊時の
スラブ表面性状も良好であった。これに対し耐食性の条
件のうちMoの条件を満足しない鋼(P)では耐食性が劣
っている。また熱間加工性に関する条件を満足しない鋼
(Q)では軽分塊後のスラブ表面が不良で割れが生じ
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は第1表中の鋼(1)〜(5)についてMo量とCC
Tとの関係を示したものである。第2図は第1表中鋼
(6)〜(9)についてNi量とCCTとの関係を示したも
のである。第3図は第1表中の鋼(1)〜(5)及び第
2表に示す供試鋼の1200℃溶体化処理後のCCTをP.I.と
の関係で示したものである。第4図は25Cr−Ni−4.5Mo
−0.20N鋼の熱間加工性を、温度と鋳造状態の材料の熱
間引張りにおける絞りとの関係で示したものである。第
5図はB添加鋼について、熱間加工性の面からの最適Ni
量の範囲を示したものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−141310(JP,A) 特開 昭59−226151(JP,A) 特開 昭61−163247(JP,A) 特開 昭59−182956(JP,A) 特開 昭59−226155(JP,A) 特開 昭57−171651(JP,A) 特開 昭55−21547(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.0005〜0.050wt%、Si:0.02〜1.0wt
    %、Mn:0.05〜2.0wt%、Cr:21.0〜27.0wt%、Mo:4.0〜
    6.0wt%、Ni:19.5〜28.0wt%、B:0.0005〜0.010wt%、
    N:0.15〜0.22wt%、Al:0.005〜0.30wt%、P:0.0005〜0.
    050wt%、S:0.0005〜0.010wt%、残部Feおよび不可避不
    純物を含有し、且つ下記(1)、(2)式 (但し、Cr、Mo、N、Niは各成分元素の含有量(wt
    %)) を満足する耐海水用オーステナイト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】C:0.0005〜0.050wt%、Si:0.02〜1.0wt
    %、Mn:0.05〜2.0wt%、Cr:21.0〜27.0wt%、Mo:4.0〜
    6.0wt%、Ni:19.5〜28.0wt%、B:0.0005〜0.010wt%、
    N:0.15〜0.22wt%、Al:0.005〜0.30wt%、P:0.0005〜0.
    050wt%、S:0.0005〜0.010wt%を含有し、La:0.02wt%
    以下、Ce:0.02wt%以下、Ca:0.02wt%以下の1種又は2
    種以上と残部Feおよび不可避不純物を含み、且つ下記
    (1)、(2)式 (但し、Cr、Mo、N、Niは各成分元素の含有量(wt
    %)) を満足する耐海水用オーステナイト系ステンレス鋼。
JP62224047A 1987-09-09 1987-09-09 耐海水用オーステナイト系ステンレス鋼 Expired - Lifetime JPH0674490B2 (ja)

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