JPH0717946B2 - 耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステンレス鋼の製造方法

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JPH0717946B2
JPH0717946B2 JP2183234A JP18323490A JPH0717946B2 JP H0717946 B2 JPH0717946 B2 JP H0717946B2 JP 2183234 A JP2183234 A JP 2183234A JP 18323490 A JP18323490 A JP 18323490A JP H0717946 B2 JPH0717946 B2 JP H0717946B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、硫酸製造プラント、硫酸貯蔵用機器、ケミカ
ルタンカーなどの硫酸を製造・貯蔵・輸送する環境での
耐全国腐食性が優れた二相ステンレス鋼の製造方法に関
するものである。
(従来の技術) 従来、硫酸製造プラント、硫酸貯蔵用機器、ケミカルタ
ンカーなどの硫酸を取り扱う機器は、硫酸の濃度、温度
条件(常温から250℃の高温領域まで)によって各種材
料を使い分けて使用していた。特に高濃度硫酸の製造、
貯蔵、輸送の場合、温度条件によって耐酸レンガ、高合
金ステンレス鋼、Ni基合金、炭素鋼等が使い分け使用さ
れているのが実状である。これらの金属材料の耐食域に
ついては“装置材料耐食表”化学工業社刊(1974)に詳
細に述べられている。すなわち硫酸中での金属材料の腐
食挙動は、硫酸の濃度、温度により著しく変化する。常
温から高温までの硫酸中の腐食防止技術は材料技術の観
点からは十分に検討されていなかった。この点について
本発明者らは、特開平3−158437号にて開示したよう
に、濃硫酸環境中において常温から250℃の温度領域で
優れた耐食性を有する二相ステンレス鋼を開発した。
しかし、特開平3−158437号で開示した耐濃硫酸腐食性
に優れた二相ステンレス鋼は、耐食性を向上させるため
に、従来の二相ステンレス鋼よりも高Cr化、Mo含有合金
としたために、製造性が従来の二相ステンレス鋼に比べ
劣るものとなった。
(発明が解決しようとする課題) 硫酸は、肥料製造等に必須の化学物質であるが、硫酸プ
ラントについてみると、使用材料として従来から耐酸レ
ンガを使用し、設備的にその重量は過大となっていた。
これらを軽量化し、硫酸製造時の反応熱などを回収する
システムと組み合わせて効率的な設備にしていくために
は、硫酸プラント全体を従来の耐酸系レンガに代えて、
広い温度範囲(常温から250℃まで)で耐食性の優れた
材料が強く要望されていた。この点に関し本発明者らは
高濃度硫酸(粗製硫酸及び純硫酸98%以上)において耐
食性の優れた材料として、高Cr,Mo含有の二相ステンレ
ス鋼を開発した。耐濃硫酸性の改善にあたってはCrを25
%以上、Moを2%以上添加することが必要になる。しか
し本発明で述べるような25%を越える高Cr二相ステンレ
ス鋼では従来問題にならなかった鋳片のσ相析出による
脆化という問題が生じた。また、従来の二相ステンレス
鋼よりも高Crであるために、熱間圧延工程や焼鈍工程に
おいてもσ相の析出が著しく、製造性が劣るという問題
が生じることとなった。従って、本発明が解決しようと
する問題点は、熱間加工性を改善するとともに製造プロ
セス中での脆化を回避して、耐濃硫酸性に優れた二相ス
テンレス鋼を安定製造する点にある。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨とするところは下記の通りである。
(1)重量%で、C:0.005〜0.05%、Si:0.01〜1.0%、M
n:0.1〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cr:25.0
〜30.0%、Ni:4.0〜8.5%、Mo:1.0〜3.0%、N:0.01〜0.
2%、Al:0.05%以下、O:0.005%以下を含み、残部は鉄
及び不可避的不純物からなる二相ステンレス鋼を、厚さ
200mm以下の連続鋳造スラブに鋳造し、500℃までの温度
域を注水冷却により0.5℃/sec以上の冷却速度で冷却
し、次いで1100℃以上の温度で2時間以上の加熱を行っ
た後に熱間圧延を行い、熱間圧延終了温度を800℃以上
とし、熱間圧延後は注水冷却による強制冷却で10℃/sec
以上で冷却し、焼鈍を1000℃以上の高温で行い、焼鈍後
は注水冷却で10℃/sec以上の強制冷却速度で冷却するこ
とを特徴とする耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステンレス
鋼の製造方法。
(2)前項1記載の二相ステンレス鋼が、さらにSn:0.0
1〜0.1%、Sb:0.01〜0.1%、Nb:0.01〜1.0%、V:0.01〜
1.0%、Ti:0.01〜1.0%、Cu:0.05〜2.0%、Zr:0.01〜1.
0%、W:0.01〜0.5%の何れか1種または2種以上を含有
することを特徴とする耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステ
ンレス鋼の製造方法。
(3)前項1記載の二相ステンレス鋼が、さらにCa:0.0
05%以下、La+Ce:0.05%以下、Y:0.01%以下の何れか
1種または2種以上を含有することを特徴とする耐濃硫
酸腐食性に優れた二相ステンレス鋼の製造方法。
(4)前項1記載の二相ステンレス鋼が、さらにSn:0.0
1〜0.1%、Sb:0.01〜0.1%、Nb:0.01〜1.0%、V:0.01〜
1.0%、Ti:0.01〜1.0%、Cu:0.05〜2.0%、Zr:0.01〜1.
0%、W:0.01〜0.5%の何れか1種または2種以上を含有
し、かつCa:0.005%以下、La+Ce:0.05%以下、Y:0.01
%以下の何れか1種または2種以上を含有することを特
徴とする耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステンレス鋼の製
造方法。
(5)熱間圧延に際し、連続鋳造スラブの加熱温度をフ
ェライト量が体積分率で50%以上になる1100℃以上の温
度で行う前項1〜4の何れかに記載の耐濃硫酸腐食性に
優れた二相ステンレス鋼の製造方法。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、20〜35%のCrを含有する二相ステンレス
鋼について詳細に検討を加えた。特に検討を加えた項目
は、鋳片の冷却中に析出するσ相等の金属間化合物の析
出挙動、高温加熱後の熱間加工性、熱間圧延後の金属間
化合物の析出挙動、及び溶体化後の製品の耐食性であ
る。
その結果、優れた耐濃硫酸特性を示す成分系には鋳造後
の冷却中にσ相が析出し脆化が著しく生じ、スラブの取
り扱い中に割れを発生することが判明し、従来の25%程
度までのCrが含有されている二相ステンレス鋼では、ま
ったく問題にならなかったCC鋳片でのσ脆化を回避する
必要が生じた。これらの成分系はCrを27%以上含有する
ような二相ステンレス鋼であり、鋳片の冷却中に発生す
るσ相を回避することを目的に詳細に検討した結果、ス
ラブの成分、特にCr,Ni,Moの影響が大きいこと及び、鋳
造後の冷却がσ相の析出並びに脆化を大きく影響するこ
とが判明した。
第1表に示した供試鋼を使用して、凝固後の冷却速度と
σ相析出の関係を調査した。第1図はその結果を示した
ものであるが、特に従来の25%Crではσ相の析出が長時
間側にあるために鋳片の冷却過程においてσ相の析出は
ないが、本発明の代表鋼であるCr27%以上を含有する二
相ステンレス鋼では冷却中にσ相が析出し、このための
靱性が著しく劣化し、健全な鋳片を製造することが困難
である。また高Mo化によりσ相の析出がさらに短時間側
に、かつ析出温度域が高温側にシフトすることが明らか
となった。またインゴットや極厚鋳片を鋳造すると、強
制冷却を行っても冷却速度が不十分になることや、スラ
ブの表層と中心の温度差が大きくなることによる熱応力
起因の割れを防ぐために鋳片厚を200mm以下に定めた。
第1図に示すように、0.5℃/sec以上の冷却速度で冷却
した鋳片にはσ相は析出せず、良好な鋳片の製造が可能
である。また鋳片の冷却を500℃までとしたのは、この
温度未満ではσ相の析出の原因となるCr,Ni,Mo等の合金
元素の拡散が著しく小さくなり、実際の製造プロセス上
では問題が生じなくなるためであり、また熱応力の低減
からも500℃未満まで急冷することは不利になるためで
ある。以上のことから、鋳片の製造に対しては鋳造する
スラブの厚さを200mm以下の連続鋳造スラブに鋳造し、5
00℃までの温度域を注水冷却により0.5℃/sec以上の冷
却速度で冷却する制御を行うことにより連続鋳造鋳片に
σ相が析出しない方法を採り入れ、CC鋳片の健全な製造
方法を確立した。
また、熱間加工性改善の点からは、熱間圧延の前にソー
キングによる第二相の球状化を図ると同時に主相である
フェライト相の体積分率を50%以上となるような温度を
選ぶことにより熱間加工性の改善を行った。熱間圧延に
際し、1100℃以上でフェライト量を50%以上と定めたの
は、この成分系の二相ステンレス鋼では高温ほどフェラ
イト量が増加し、またフェライト量が増加するとフェラ
イト相とγ相の組成が、低温状態より近づくことによ
り、熱間加工中の両相の強度差に基づく熱間加工性不良
の問題が解決できることになり、また軟らかいフェライ
ト相を主相にすることにより熱間加工そのものも変形抵
抗等の点で有利になるからである。またフェライト量を
50%以上とし、オーステナイト量を減少させ、熱間加工
中の割れの原因となるオーステナイト相を球状化させる
ためには1100℃以上で、2時間以上の加熱時間が必要と
なる。また同時にフェライト相を多くすることで、フェ
ライト中のCr濃度を下げ、熱間加工中のσ相の析出も遅
延するようになり、熱間加工後のσ相の析出回避に有利
になる。
また、これらの二相ステンレス鋼の熱間圧延後の取り扱
いについては、できるだけ高温からの急冷が必要である
ことが判明した。熱間圧延については、脆化防止の点か
らσ相の析出が最も速い800℃近傍の温度域の冷却速度
を大きくすることが必要であるため、熱間圧延の終了温
度を800℃以上とした。また冷却速度については、空冷
程度では靱性が劣化するので、水冷、特に10℃/sec以上
の加速冷却が必要である。冷却速度の上限については、
特に定めないが、実用上100℃/secが上限と考えられ
る。
熱間圧延板の焼鈍については、1000℃未満では短時間で
σ相が著しく析出するために、1000℃以上での焼鈍が必
要になる。焼鈍後の冷却速度については、σ相や炭窒化
物析出による耐食性劣化を防止するために10℃/sec以上
の冷却速度が必要である。冷却速度の上限については特
に定めないが、熱延後の冷却と同様に実用上100℃/sec
が上限と考えられる。
さらに、耐食性特に耐濃硫酸腐食性を確保するという観
点から、常温から250℃の範囲での濃硫酸に対する腐食
速度を0.12mm/yr以下に確保するために第2表に示す種
々の合金系について検討を行った。全面腐食試験は高濃
度硫酸環境中で一定温度に設定した後、第3図に示した
ように20w×30l×1.5tの腐食試験片を用いて実施し、高
濃度硫酸環境中に24時間浸漬後の腐食重量変化で求め
た。但し、全面腐食性を評価するため、各試験に際し、
大気生成皮膜の影響を避けるために各試験片を環境に浸
漬直後に、該試験片に活性化処理を施した。また重量減
少は0.1mgまで測定した。測定された減量は単位面積当
り、単位時間に換算し腐食速度としてmm/yrで求めた。
第3表に高濃度硫酸環境中での腐食速度を示した。この
結果を図示したのが第2図であり、常温から250℃の範
囲で優れた耐食性を示す合金系を見出した。即ち、Cr,N
i,Mo,Nを主成分とし、特にCrを25.0〜30.0%、Niを4.0
〜8.5%、Moを1.0〜3.0%、Nを0.01〜0.2%の成分系と
することで優れた耐食性が得られる。また濃硫酸に対す
る全面腐食の腐食速度の成分依存性から合金成分の添加
効果について検討し、成分系を決定した。
以下に成分の限定理由を述べる。
C:Cはステンレス鋼の耐食性に有害であるが、強度の点
からはある程度の含有量は必要である。0.005%未満の
極低炭素量では製造コストが高くなる。また0.05%を越
えると耐食性を大幅に劣化させるため、その成分範囲を
0.005%から0.05%とした。
Si:Siは約4%までの範囲内でその含有量が多くなるほ
どステンレス鋼の高濃度硫酸環境での耐食性を著しく劣
化させる。ところが4%を越えると逆に耐食性を向上さ
せる。しかしながら、Siを4%を超えてステンレス鋼に
含有させると、熱間加工性を大きく損ない、圧延製品を
得ることが困難となる。従って、本発明においては、耐
食性、熱間加工性の双方にとって問題とならない1.0%
を含有量の上限とする。一方、Si含有量を0.01%未満と
するには製造コストを著しく高いものにする。よって、
Si含有量を0.01〜1.0%と定めた。
Mn:Mnはオーステナイト安定化元素であり、高価なNiの
代用元素として利用できる。しかしながら、本発明に従
って製造する耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステンレス鋼
の耐食性は2.0%を越えると効果がないので、本発明に
おいてはMn含有量を2.0%以下とした。一方、Mn含有量
を0.1%未満とするには製造コストを著しく高いものに
する。よって、Mn含有量を0.1〜2.0%と定めた。
Cr:Crは本発明のステンレス鋼の基本成分である。高濃
度硫酸環境で優れた耐食性を確保するためには、Ni,Mo,
Nとの共存の形で25.0%以上の添加が必要である。Crの
含有量は多いほど耐食性は向上するが、30.0%を越える
ようになると製造性、特に脆化に起因する問題が生じ製
造が困難となるために、その添加範囲を25.0〜30.0%と
した。
Ni:NiはCrとともに本発明のステンレス鋼の基本成分で
ある。高濃度硫酸環境での優れた耐食性を確保するため
にはCr,Mo,Nとの共存の形で添加されるが、Ni添加は一
般に高濃度硫酸環境での耐食性を劣化させることが判明
した。本発明においてはCr量との関係からγ相安定化元
素としてある程度の添加は必要であり、その下限を4.0
%とした。また8.5%を越える添加では耐食性が劣化す
るため、その上限を8.5%とした。
Mo:Moは本発明の目的とする高濃度硫酸環境での耐食性
を確保するための重要な添加元素であり、Cr,Ni,Nと共
存の形で添加される。1.0%未満の添加量では十分な耐
食性が得られず、また3.0%を越えて添加してもその効
果はむしろ劣化するために、適正な添加範囲を1.0〜3.0
%とした。
N:Nはγ相安定化のために必要な元素であり、強度の観
点からも望ましい元素である。高濃度硫酸環境中での耐
食性に及ぼすNの効果は大きくないが、大きく耐食性を
劣化させることもないため、Niと複合添加することで、
二相組織を得るためにCr量との関係から適切な添加量を
得ることが本発明における重要な点となる。このことか
ら、Nについては、0.01%から0.2%の範囲で添加する
こととした。
W:W添加は高濃度硫酸環境での耐食性をCr,Ni,Mo,Nとの
共存で改善するが、0.01%以上で耐食性の改善効果があ
り、必要に応じて0.5%以下で添加する。0.5%を越えて
添加してもその効果は飽和する。
V:Vはステンレス鋼の高濃度硫酸環境中での耐食性を向
上させるので、必要に応じて0.01%以上、1.0%以下で
添加する。1.0%を越えて添加してもその効果は飽和す
る。
Zr:Zrはステンレス鋼の高濃度硫酸環境中での耐食性を
向上させるので、必要に応じて0.01〜1.0%の範囲で添
加する。1.0%を越えて添加してもその効果は飽和す
る。
Sn:Snはステンレス鋼の高濃度硫酸環境中での耐食性を
向上させるので、必要に応じて0.01〜0.1%の範囲で添
加する。0.1%を越えて添加してもその効果は飽和す
る。
Sb:Sbは高濃度硫酸環境でのステンレス鋼の耐食性を向
上させる。本発明においては、この観点から0.01〜0.1
%の範囲で添加する。0.1%を越えて添加してもその効
果は飽和する。
Nb:NbはCを固定し耐食性を向上させる効果があるため
に、必要に応じて0.01%以上、1.0%以下で選択添加す
る。1.0%を越えて添加してもその改善効果は飽和し、
また熱間加工性に対しても悪影響を及ぼす。
Ti:TiはNbと同様にCを固定し耐食性を向上させる。ま
たCaと共存してOを固定しSi,Mnの酸化物の生成を抑制
する効果があるために、0.01%以上、1.0%以下で添加
する。
Cu:CuはCr,Mo,Niと共存添加する形で、高濃度硫酸中で
の耐食性を向上させる効果があり、そのために0.05〜2.
0%の範囲で添加する。2.0%を越えて添加してもその効
果は飽和する。
なお、上記V,Zr,Sn,Sb,Nb,Ti,Cuは高濃度硫酸中での耐
食性を向上させることにおいて同様に効果のある元素で
あるので、これらの1種または2種以上を組み合わせて
添加できる。
Al:Alは強力な脱酸剤として使用される元素であり、熱
間加工性を改善する元素である。しかし0.05%を超えて
添加をしてもその効果は飽和するため、その添加量を0.
05%以下とした。
P:Pは耐食性及び熱間加工性の観点から有害な元素であ
り、極力低減することが望ましく、その成分範囲を0.03
%以下とした。
S:Sは熱間加工性に対して有害な元素であるために、で
きるだけその含有量を低減することが望ましく、その上
限を0.005%とした。
O:Oは熱間加工性に著しく有害な元素であり、その含有
量は極力低減することが望ましいために、その含有量を
0.005%以下とした。
Ca:Caは脱酸、脱硫剤として0.005%以下で添加され、熱
間加工性の改善に有効である。しかし、0.005%を超え
て添加しても効果は飽和する。
La+Ce:La+Ceは脱酸、脱硫剤として0.05%以下で添加
され、熱間加工性の改善に有効である。しかし、0.05%
を超えて添加しても効果は飽和する。
Y:Yは脱酸、脱硫剤として0.010%以下で添加され、熱間
加工性の改善に有効である。しかし、0.010%を超えて
添加しても効果は飽和する。
しかして、これらCa,La+Ce,Yは1種または2種以上が
必要に応じて添加される。
(実施例) 第4表は本発明鋼並びに比較鋼の化学成分を示すもの
で、それぞれ電気炉−AOD法によって溶製した。これら
の溶鋼について第4表に示す鋳造条件で鋳造した。この
うち比較鋼Cは鋳造後の冷却中にσ相が析出し、スラブ
の表面手入れ中に割れが発生し、熱間圧延を行うことが
不可能な状態であった。しかし本発明の鋳造後約1000℃
から500℃までの温度範囲を注水による冷却を行ったA,B
については、σ相の析出がなく、表面手入れ時において
も割れを発生することなく良好な鋳片を製造できた。D
についてはCr量が少ないため本発明法によらなくても鋳
片にσ相を析出することなく、健全な鋳片を製造でき
た。この後A,B,Dについて1150℃で5時間のソーキング
を行い、板厚10mmまで熱間圧延を行ったところ、割れを
発生することなく圧延ができた。圧延後は水冷により冷
却し、σ相の析出を防止した。この厚板に対して1100℃
で30分の熱処理を行い、水冷して製品とした。この製品
から試験片を採取し高濃度硫酸中における腐食試験に供
した。この結果を第4図に示す。その結果、本発明鋼は
耐全面腐食性が、常温から250℃までの温度範囲で0.12m
m/yr以下の極めて優れたステンレス鋼であることが明ら
かとなった。比較鋼であるDについては腐食速度が本発
明鋼に比べて著しく大きく、かつ温度依存性があり、本
発明鋼の耐食性がきわめて優れていることが明らかとな
った。
(発明の効果) 以上述べたように、従来、耐濃硫酸材料として使用温度
別に使い分けられていたものを、本発明によれば、温度
条件によらず使用することが可能で、耐全面腐食性も従
来使用されていたステンレス鋼に比較してきわめて優れ
たものであり、硫酸製造プロセスでの利用価値は大き
く、またこの種の二相ステンレス鋼の製造上の大きな問
題点であった鋳片の脆化、熱間加工性不良等を大きく改
善し、大量生産が可能となったことで、安価で経済性に
も優れた製品の製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図はσ相析出と二相ステンレス鋼の凝固後の冷却速
度の関係を示した図である。 第2図は高濃度硫酸環境中でのステンレス鋼の腐食速度
の温度依存性を示した図である。 第3図(a),(b)は硫酸環境中での全面腐食試験の
ための試験片寸法を示す正面図と側面図である。 第4図は高濃度硫酸環境中での二相ステンレス鋼の腐食
速度の温度依存性を示した図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.005〜0.05%、Si:0.01〜1.
    0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、C
    r:25.0〜30.0%、Ni:4.0〜8.5%、Mo:1.0〜3.0%、N:0.
    01〜0.2%、Al:0.05%以下、O:0.005%以下を含み、残
    部は鉄及び不可避的不純物からなる二相ステンレス鋼
    を、厚さ200mm以下の連続鋳造スラブに鋳造し、500℃ま
    での温度域を注水冷却により0.5℃/sec以上の冷却速度
    で冷却し、次いで1100℃以上の温度で2時間以上の加熱
    を行った後に熱間圧延を行い、熱間圧延終了温度を800
    ℃以上とし、熱間圧延後は注水冷却による強制冷却で10
    ℃/sec以上で冷却し、焼鈍を1000℃以上の高温で行い、
    焼鈍後は注水冷却で10℃/sec以上の強制冷却速度で冷却
    することを特徴とする耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステ
    ンレス鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の二相ステンレス鋼が、さら
    にSn:0.01〜0.1%、Sb:0.01〜0.1%、Nb:0.01〜1.0%、
    V:0.01〜1.0%、Ti:0.01〜1.0%、Cu:0.05〜2.0%、Zr:
    0.01〜1.0%、W:0.01〜0.5%の何れか1種または2種以
    上を含有することを特徴とする耐濃硫酸腐食性に優れた
    二相ステンレス鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の二相ステンレス鋼が、さら
    にCa:0.005%以下、La+Ce:0.05%以下、Y:0.01%以下
    の何れか1種または2種以上を含有することを特徴とす
    る耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステンレス鋼の製造方
    法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の二相ステンレス鋼が、さら
    にSn:0.01〜0.1%、Sb:0.01〜0.1%、Nb:0.01〜1.0%、
    V:0.01〜1.0%、Ti:0.01〜1.0%、Cu:0.05〜2.0%、Zr:
    0.01〜1.0%、W:0.01〜0.5%の何れか1種または2種以
    上を含有し、かつCa:0.005%以下、La+Ce:0.05%以
    下、Y:0.01%以下の何れか1種または2種以上を含有す
    ることを特徴とする耐濃硫酸腐食性に優れた二相ステン
    レス鋼の製造方法。
  5. 【請求項5】熱間圧延に際し、連続鋳造スラブの加熱温
    度をフェライト量が体積分率で50%以上になる1100℃以
    上の温度で行う請求項1〜4の何れかに記載の耐濃硫酸
    腐食性に優れた二相ステンレス鋼の製造方法。
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