JP2774709B2 - 熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食ステンレス鋼 - Google Patents
熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食ステンレス鋼Info
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Description
交換器、煙道、煙突などの硫酸酸性液による腐食が問題
となる部分に用いるための優れた耐硫酸露点腐食ステン
レス鋼に関するものである。
ス鋼としては、特開平2−170946号公報に開示されてい
る耐食性の優れた煙突、煙道および脱硫装置用高合金ス
テンレス鋼が既知である。この高合金ステンレス鋼は、
重量で、C:0.004 〜0.05%、Si:5%以下、Mn:2%
以下、Cr:18〜25%、Ni:14〜24%、Mo:1〜4.5 %、
Cu:0.5 〜2.0 %、Al:0.05%以下、N:0.01〜0.3 %
を含み、P:0.03%以下、S:100ppm以下、O:50ppm
以下で、残部が実質的にFeと不可避的不純物からなる合
金において、次式の各成分の複合添加を基本に煙突、煙
道および脱硫装置環境での耐全面腐食性と耐隙間腐食性
の二つの特性を同時に確保するため重量パーセントで表
示したG.I.値 (General Corrosion lndex ; 耐全面腐食
性指数) =−Cr+3.6Ni +4.7Mo +11.5Cuが60≦G.I.≦
90でかつ、C.I.値 (Crevice Corrosion lndex ; 耐隙間
腐食性指数)=Cr+0.4Ni +2.7Mo +Cu+18.7N が35≦
C.I.≦50であることを特徴としており、特に、耐酸性に
有効なCuを0.5 〜2.0 wt%含有しており、このCu量が2
wt%を超えると熱間加工性が劣化するとの理由でCu量の
上限を2wt%としている。しかしながら、重油燃焼装置
等では硫酸の濃度および温度が極めて広い範囲にわたっ
て変化するため、Cu含有量が2wt%以下では十分な耐硫
酸露点腐食性が得られないという問題がある。
で、Cr:11〜40%、Ni:5〜70%、Si:0.05〜2.0 %、
Mn≦7.0 %、C≦0.2 %、N≦0.4 %を含有し、凝固時
の平衡分配係数が小さく特に偏析し易いS,B,P,O
に関してはS≦0.006 %、B≦0.0015%、P≦0.035
%、O≦0.015 %であり、しかも合金中のNi+30×N量
とΔSとの関係(但しΔS=S−0.8 ×Ca−0.5×Y−
0.3 ×Mg−0.3 ×Ce) が特定範囲内にあり、かつNi+30
×N量とP量との関係が特定の範囲内にある鋳造過程或
いはその後の熱間圧延過程で割れを起こし難いCr−Ni系
ステンレス鋼が開示されている。このステンレス鋼は熱
間加工性を必要としないステンレス鋼帯を直接に製造す
るために開発されたもので、従って、熱間加工性に有効
なB含有量を0.0015%以下に抑えており、熱間加工性に
ついて特に考慮されていない。
量で、C:0.035 %以下、Si:0.1〜2.0 %、Mn:0.1
〜2.0 %、P:0.040 %以下、S:0.006 %以下、Cr:
23.0〜27.0%、Ni:13.0〜20.0%、Mo:1.5 〜6.0 %、
Cu:0.7 〜4.0 %、N:0.28〜0.40%、Al:0.03〜0.10
%、Ca:0.003 〜0.015 %を含有し、Mo+Cu+N:2.50
〜10.40 %で残部鉄および不可避的不純物からなること
を特徴とする、特に耐隙間腐食特性に優れ、かつ熱間加
工性の良好な高腐食オーステナイト系ステンレス鋼が開
示されている。このステンレス鋼は耐隙間腐食性の他
に、耐孔食性、耐酸性に優れているとともにB添加など
によって熱間加工性も改善されているが、充分とは言え
ない。さらに、この公報には熱間加工性に有効なBの作
用に影響の大きいOについて全く記述されていない。
ンレス鋼は耐硫酸露点用部材として耐食性が不足するか
熱間加工性が不充分である。
用部材として要求される極めて高い耐食性を得るために
特に不可欠なCuの多量添加による高合金化の結果として
生じる熱間加工性の問題、とりわけ、プラネタリーミル
におけるような1パスで90%以上の熱間加工率の要求を
満足させ得る優れた熱間加工性を有する耐硫酸露点腐食
ステンレス鋼を提供しようとするものである。
で、C:0.050 %以下、Si:1.00%以下、Mn:2.00%以
下、P:0.050 %以下、S:0.0050%以下、Ni:8.0 〜
30%、Cr:15〜28%、Mo:3%を超え7%以下、Cu:2
%を超え5%以下、N:0.05〜0.35%、B:0.0015%を
超え0.010 %以下を含有し、Oが60ppm 以下で、しか
も、合金中のCu, Mo, BおよびOの含有量が10000 ×B
/ (Mo+Cu+1000×O)=1.5 〜10.0の関係を有するこ
とを特徴とする。
び検討を重ねた結果、耐酸性に対してMo, Cuの複合添加
が有効であり、特に、Cuの添加量が2%を超えると硫酸
の濃度および温度の上昇に伴って、耐酸性に対する効果
が著しく高くなるという知見に基づくもので、通常Cuが
高くなると、熱間加工性が低下し、製造コストが高くな
るという欠点があるが、Bを0.0015%を超えて添加し、
酸素含有量を低く抑えることによって製造上最も重要な
熱間加工性を著しく高めることを可能とした。
での加工率が極めて高い熱間圧延機で、耳割れ等なく圧
延するためには、極めて優れた熱間加工性が要求される
が、上述したように酸素含有量を低く抑えることによっ
てBの熱間加工性改善効果を著しく高めることができ、
プラネタリーミルでの熱間圧延を可能としている。
耐食性の点から低いほど良く、0.050 wt%を超えると粒
界に炭化物を析出し、耐食性を劣化するので、0.050 wt
%を上限とした。Siは、σ相などの金属間化合物を析出
し、耐食性、機械的性質を劣化するので低いほど良く、
特に1.00wt%を超えるとその有害性が著しくなるので上
限を1.00wt%とした。Mnは、耐食性に有害であり、また
σ相析出を促進する作用があるので2.00wt%を上限とし
た。Pは熱間加工性、溶接性に有害であり、低いほど良
く、0.050 wt%を超えると、特に溶接性が著しく劣化す
るので、0.050 wt%を上限とした。Sは耐食性、熱間加
工性を劣化するので、低いほど良く、0.0050wt%を超え
ると、特に熱間加工性の劣化するので、0.0050wt%を上
限とした。好ましくは、0.0010wt%以下が良い。Niは、
耐食性、特に耐硫酸性に有効であり、また、本発明ステ
ンレス鋼はオーステナイト組織であり、この組織を安定
させるには少なくとも8.0 wt%以上が必要である。ま
た、耐食性の観点からも多いほど良いが、コスト高とな
るため、30wt%以下とした。Crは、耐食性に不可欠の合
金成分であり、15wt%を下回ると、耐食性が著しく劣化
し、28wt%を超えるとσ相などの金属間化合物の析出を
促進するので、上限を28wt%とした。Moは、耐食性、特
に本発明ステンレス鋼の目的とする耐硫酸性に対して不
可欠の成分である。図1に示すように、Cuとの複合添加
によって耐食性を著しく向上し得るので、少なくとも3
wt%を超える含有量が必要である。しかし、7wt%を超
えるとσ相などの金属間化合物の析出が著しくなり、耐
食性を著しく劣化し、また、凝固偏析が大となり熱間加
工性を悪化させるので、上限を7wt%とした。
あり、2wt%を超えて添加すると著しく耐食性が向上
し、特に、Moとの複合添加によりその効果が大きい。し
かしながら、5wt%を超えると熱間加工性を劣化させ、
製造性が劣化するので、上限を5wt%以上とした。N
は、オーステナイト組織安定化および耐食性に有効であ
り、その効果を発揮するには、少なくとも0.05wt%必要
である。しかし、0.35wt%を超えると熱間強度が著しく
高くなり、加工性も劣化するので、0.05wt%〜0.35wt%
とした。Bは、熱間加工性向上に有効である。その効果
は0.0015%以下では発揮されず、また鋼中の酸素含有量
が多いと効果も減少する。図2に示すごとく、〔O〕が
60ppm 以下で特にBの加工性改善効果が著しい。しか
し、0.010 wt%を超えると、逆に加工性が劣化するの
で、0.0015〜0.010 wt%とした。Oは、熱間加工性に有
効なBの効果を発揮させるために、60ppm 以下に抑える
必要があるので、60ppm 以下とした。W,Vは、ともに
耐食性に有効であるが、多いとσ相析出やコストアップ
につながるので、上限は2.00wt%以下とした。Mgは、B
とともに添加することで加工性を向上させ得るが、含有
量が0.05wt%を超えると加工性が逆に低下するので、上
限を0.05wt%とした。10000 ×B/ (Mo+Cu+1000×
O)を1.5 〜10.0とする理由は、Bの効果がOとの関
係、さらに凝固偏析しやすいMo, Cuとの関係によって大
きく影響され、関係式の値が1.5 未満ではBが有効に作
用せず、また10.0を超えると、かえってBの熱間加工性
を劣化させる方向に作用するので、1.5 〜10.0とする必
要がある。
造り、それを半切して、鋳造したままで切り出した試験
片について、引張り試験後の絞りを調べ、熱間加工性を
評価した。また、耐食性を評価するため、熱間鍛造およ
び冷間圧延後1100℃×2分の固溶化熱処理を施した厚さ
2mmの板を用いた。表1に実施例を示す。
耐食性は優れ、かつ熱間加工性も優れていることが判
る。耐食性に対しては、図1に示すように、Mo, Cuの複
合添加が有効であり、Moが3wt%以下で、Cuが2wt%を
超える範囲で耐食性は良好となる。また、図2に示すよ
うに、熱間加工性に対して、Bが有効であるが、その効
果を発揮するには〔O〕を60ppm 以下に抑える必要があ
る。特に、プラネタリーミルのように、1パス圧延で90
%以上の加工を加える場合は、極めて優れた加工性が必
要であり、1000℃〜1250℃での絞りが70%以上必要であ
る。そのためには〔O〕を60ppm 以下の範囲で、Bは0.
0015wt%を超える必要がある。さらに、10000 ×B/
(Mo+Cu+1000×O)を1.5 〜10.0とすることが熱間加
工性の点より必要である。
交換器、煙道、煙突用部材として極めて優れた耐食性を
有するステンレス鋼を提供することができ、しかも、熱
間加工性の改善によってプラネタリーミルのような極め
て高い加工率を有する圧延機での加工を歩留り良く行な
うことが可能で、その製造費を安価になし得る利点があ
る。
ラフである。
の酸素含有量の影響を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量で、C:0.050 %以下、Si:1.00%
以下、Mn:2.00%以下、 P:0.050 %以下、S:0.0050%以下、Ni:8.0 〜30
%、Cr:15〜28%、Mo:3%を超え7%以下、Cu:2%
を超え5%以下、N:0.05〜0.35%、B:0.0015%を超
え0.010 %以下を含有し、Oが60ppm 以下で、しかも、
合金中のCu, Mo, BおよびOの含有量が10000 ×B/
(Mo+Cu+1000×O)=1.5 〜10.0の関係を有すること
を特徴とする熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食ステン
レス鋼。 - 【請求項2】 重量で、W:2.00%以下、V:2.00%以
下、Mg:0.05%のいずれか1種以上を含有する請求項1
記載のステンレス鋼。
Priority Applications (1)
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JP3145272A JP2774709B2 (ja) | 1991-05-22 | 1991-05-22 | 熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3145272A JP2774709B2 (ja) | 1991-05-22 | 1991-05-22 | 熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食ステンレス鋼 |
Publications (2)
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JPH04346638A JPH04346638A (ja) | 1992-12-02 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP3145272A Expired - Lifetime JP2774709B2 (ja) | 1991-05-22 | 1991-05-22 | 熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食ステンレス鋼 |
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1991
- 1991-05-22 JP JP3145272A patent/JP2774709B2/ja not_active Expired - Lifetime
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