JPH068485B2 - 耐食性の優れた煙突・煙道および脱硫装置用高合金ステンレス鋼 - Google Patents

耐食性の優れた煙突・煙道および脱硫装置用高合金ステンレス鋼

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JPH068485B2
JPH068485B2 JP32557088A JP32557088A JPH068485B2 JP H068485 B2 JPH068485 B2 JP H068485B2 JP 32557088 A JP32557088 A JP 32557088A JP 32557088 A JP32557088 A JP 32557088A JP H068485 B2 JPH068485 B2 JP H068485B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、石炭・重油・LNGなどの専焼ボイラー廃ガス
環境で生成する酸露点によって生成する硫酸および硫酸
塩環境や硫黄・硫酸を除去する装置の環境での耐食性と
熱間加工性に優れた高合金ステンレス鋼に関するもので
ある。
〔従来の技術〕
従来、石炭・重油・LNGなどの専焼ボイラーは、燃料中
に含まれる硫黄分によって燃焼廃ガス中に多量のSO
含有され、これがさらに酸化されてSOとなり、系の露
点を上昇せしめ、煙突・煙道などの壁面に酸性の結露水
を凝縮させるため鋼製設備の場合、硫酸露点腐食として
知られる酸性環境における激しい全面腐食を引き起こす
ことが知られている。
この煙突・煙道環境における鋼の硫酸露点腐食を防止す
るため、従来技術として (a)操業技術 i)SOX生成防止のため低S含有燃料の採用 ii)SOX低減のため低O燃焼方式の採用 iii)煙突・煙道の保温による酸露点防止 iv)酸露点防止のためにアフターバーナーの採用 v)排煙脱硫設備の採用 などが次に述べる(b)と組み合わせて採用されて来たが
必ずしも有効でなかった。
(b)耐食材料の観点から 硫酸中のおける全面腐食性を低減させるため、Cu、Cr、
Sbなどを0.5〜2%程度、それぞれ単独、又は複合して
添加した耐硫酸鋼が開発され実用に供されてきた。この
耐硫酸鋼は、Cu0.35%添加鋼にCr0.6〜0.9%およびSb0.
05〜0.1%をそれぞれ単独、あるいは複合して添加し、
硫酸環境中で硫酸塩沈澱皮膜を生成することによって腐
食速度を低下することを狙ったものである。前記(a)の
場合は、操業上の管理が定常的に維持することが困難で
あることや、(b)の場合、実際に使用してみると予想し
えなかった腐食が生じたり、低合金鋼の場合、付着物
(腐食反応生成物)が廃ガスの放出とともに煙突から多
量に放出され環境汚染などの社会問題が表面化しつつあ
る。
上記の如く従来の硫酸露点環境での耐食性を確保するた
め煙突・煙道用材料として使用されて来た低合金鋼では
設備の充分な耐食性・安全性を確保する材料として適さ
ない。
また、従来から硫酸を含む環境では、SUS304,SUS316な
どのステンレス鋼は低合金鋼よりも耐食性が著しく劣る
などの報告があり、使用される例が極く限られた範囲で
あった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明はこうした状況を踏まえてあらためて実際に使用
されている石炭・重油・LNGの専焼ボイラーの廃ガス煙
突・煙道環境を分析し、その解析結果に基づいて得られ
た腐食環境条件下でステンレス鋼の主要成分であるCr,
Ni,Moの成分の影響、さらにCu,Nのそれぞれ単独、あ
るいは共存添加の耐食性(耐全面腐食性と耐隙間腐食
性;以下耐食性という)に及ぼす影響を検討し、各元素
の効果を明確にすることにより実際の煙突・煙道系への
適用においても優れた耐食性を示すことが明らかとなっ
た従来鋼(SUS304,SUS316など)より耐食性の優れた煙
突・煙道及び脱硫装置用高合金ステンレス鋼を提供する
ことを目的とするものである。
本発明は石炭・重油・LNGの専焼ボイラーの廃ガス煙突
・煙道用に使用される耐食性の優れた高合金ステンレス
鋼であり、かつ硫黄・硫酸を除去する設備材料として使
用される高合金ステンレス鋼であり、当該設備の長寿命
化・安全性・環境汚染防止等を長期にわたって確保する
ことを可能とした。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、C;0.004〜0.05%、Si;5%以下、Mn;2
%以下、Cr;10〜25%、Ni;14〜24%,Mo;1
〜4.5%,Cu;0.5〜2.0%,A;0.05%以下、N;0.0
1〜0.3%を含み、P;0.03%以下,S;100ppm以下,
O;50ppm以下で、残部が実質的にFeと不可避的不純
物からなる合金において、次式の各成分の複合添加を基
本に煙突・煙道および脱硫装置環境での耐全面腐食性と
耐隙間腐食性の二つの特性を同時に確保するため重量パ
ーセントで表示した G.I.値(General Corrosion Index;耐全面腐食性指
数)=−Cr+3.6Ni+4.7Mo+11.5Cuが60≦G.I.≦90
でかつ、 C.I.値(Crevice Corrosion Index;耐隙間腐食性指
数)=Cr+0.4Ni+2.7Mo+Cu+18.7Nが35≦C.I.≦5
0であることを特徴とする耐食性の優れた煙突・煙道お
よび脱硫装置用高合金ステンレス鋼と、これにさらによ
り以上の耐食性を付与するためにW;2%以下,Nb;1
%以下,V;0.5%以下,Ti;1%以下,Zr;1%以
下,Sn;0.1%以下をそれぞれ1種または2種以上含有
せしめた耐食性の優れた煙突・煙道および脱硫装置用高
合金ステンレス鋼と、さらに熱間加工性を考慮してCaあ
るいはCeの1種、あるいは2種を0.001〜0.03%含有
し、かつ、δCaL値=3(Cr+1.5Si+Mo)−2.8(Ni+0.
5Mn+30C+30N+0.5Cu)−19.8が−10≦δCaL≦1の
範囲を有し、かつ含有成分をppmで表示した〔S+O−
0.8Ca−0.3Ce〕(ppm)≦40であることを特徴とする耐
食性の優れた煙突・煙道および脱硫装置用高合金ステン
レス鋼を要旨とするものである。
本発明鋼の基本的特徴は、煙突・煙道環境での耐食性
(耐隙間腐食性と耐全面腐食性の二つの特性を満足する
もの)を確保するため、Cr,Ni,Mo,Cu,Nの5成分の
複合添加を基本に、G.I.値とC.I.値を規制したことを特
徴としている。以下これら合金元素の添加効果について
説明する。
本発明者らは、石炭・重油・LNGなどの専焼ボイラーの
廃ガス煙突・煙道の各部位から採取された煙突内付着物
を化学的に分析し、従来想定されていた煙突環境は結露
した硫酸溶液ではなく、硫酸塩を主体とした環境でアン
モニウムイオン、第二鉄イオン、Caイオン、Naイオン、
塩化物イオン、硫酸イオン、水素イオンを含むことを初
めて明らかにした。従って、煙突・煙道環境は硫酸塩を
主体とした環境で必ずしも純硫酸系でないことが明らか
になった。これまで石炭・重油・LNG専焼ボイラーの廃
ガス煙突・煙道環境は、純粋な硫酸が生成するものとし
て、純硫酸環境での耐食性評価をしてきた結果、ステン
レス鋼が低合金鋼よりも耐食性が劣るとされてきた。
従って、前述の煙突内の環境を化学的に解析し、ステン
レス鋼の腐食性に影響する環境要因を明確にすることに
より、実環境をシミュレートした試験環境での耐食性評
価を行う必要がある。煙突・煙道環境は、廃ガスの流れ
る定常条件では雰囲気は比較的高温に保持され、硫酸塩
を主体とした環境における薄い液膜を生成した条件での
腐食が問題となる(定常高温環境:A)。また、ボイラー
を停止したりした場合には、煙突・煙道環境は酸露点以
下の低温に曝されるため、壁面に高濃度の硫酸の液滴が
生成付着する(非定常低温環境:B)。
このようにボイラーの操業条件により煙突・煙道環境用
設備材料は前述の定常高温環境と非定常低温環境の二つ
の環境条件に曝されることになる。定常高温環境(以下
A環境という)では、硫酸塩主体の環境で孔食・隙間腐
食が問題となるが、非定常低温環境(以下B環境とい
う)では硫酸凝縮水主体の酸液中での全面腐食が問題と
なる。
発明者らは、A環境を硫酸・硫酸塩+第二鉄イオン+塩
化物イオンの環境(前記分析結果から硫酸第一鉄、硫酸
アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムを所定
の量添加調整して、環境シミュレート液を作製した。pH
は硫酸にて所定の値に設定した)で模擬し、この環境で
の電気化学的な隙間腐食試験(試験片形状、隙間腐食評
価法を第4図に示した)を18Cr−10Ni−2.5Mo−Cu
−0.15Nをベースに、Cr,Ni,Mo,Cu,Nをそれぞれ変化さ
せた鋼種により実施した。得られた隙間腐食特性値(E
)の各合金成分に対する依存性を多重回帰することに
より、新しくEに対する各合金成分の依存性を示す指
数として、C.I.値(Crevice Corrosion Index;耐隙間
腐食性指数)=Cr+0.4Ni+2.7Mo+Cu+18.7Nの関係を
得た。
上記C.I.値の合金元素量依存性の関係から、耐隙間腐食
性にはCr,Ni,Mo,Cu,Nの複合添加が有効であることが明
らかである。
このC.I.値と各種鋼種とのEの関係を整理したのが第
1図である。第1図で煙道・煙突環境で隙間腐食が生じ
ない石炭・重油・LNG環境で求めたそれぞれの限界C.I.
値(隙間腐食の生じないC.I.値)は、C.I.=35以上で
あった(第1図の矢印A)。限界C.I.値は図中のEREST
(自然腐食電位)がE(第1図参照)に等しくなる点
で求められる。
ここで第1図の横軸はC.I.値(Crevice Corrosion Inde
x;耐隙間腐食性指数)=Cr+0.4Ni+2.7Mo+Cu+18.7
Nで耐隙間腐食性を表す指標で、縦軸は環境の電位で環
境の腐食性を示す指標である。
矢印A、すなわちC.I.値35以上で煙突環境での耐隙間
腐食性は確保される。
図中、ERESTは自然腐食状態での環境の腐食性を示す自
然腐食電位である。また、Eは電気化学的隙間腐食特
性値を示し、この値は、C.I.値の増大と共に大きくな
る。
また、B環境を硫酸主体で、これに鉄イオン、塩化イオ
ンが共存した腐食環境条件として硫酸(50%)+第二
鉄イオン(1000ppm)+塩化物イオン(1000ppm)の環境で
模擬し、この環境での腐食減量測定試験を実施した。す
なわち、18Cr−10Ni−2.5Mo−1Cu−0.15Nをベー
スに、Cr,Ni,Mo,Cu,Nをそれぞれ変化させた鋼種に
より、腐食速度の合金成分量依存性を明確にすることに
より、それぞれの合金成分について多重回帰して得られ
た耐全面腐食性に対する耐全面腐食性指数(G.I.値)を
初めて明らかにした。
G.I.値(General Corrosion Index;耐全面腐食性指
数)=−Cr+3.6Ni+4.7Mo+11.5Cu このG.I.値から、耐全面腐食性向上には、Ni,Mo,Cuの
共存添加が極めて有効であり、逆に硫酸のような還元性
環境ではCrの添加は、効果が小さいことを示している。
得られたG.I.値と各種実用鋼のC.R.(Corrosion Rate;
腐食速度)との関係を第2図に示した。この結果からG.
I.値:60以上で腐食速度は合金成分に依存しなくなる
ため、耐全面腐食性は、G.I.値:60以上で充分確保さ
れることが明らかとなった。第2図の横軸はG.I.値(Gen
eral Corrosion Index;耐全面腐食性指数)=−Cr+3.
6Ni+4.7Mo+11.5Cuで、耐全面腐食性を示す指数、縦軸
は腐食速度を示す。図中、Aの矢印範囲は、G.I.値60
以上の本発明鋼の有効範囲を示している。また各測定点
の添字はそれぞれが市販実用ステンレス鋼を示した。ま
た、第2図中の点1、2は当実験での測定点を示す。
このように煙突環境で要求される腐食特性は、耐隙間腐
食性と耐全面腐食性の二つの特性を満足する必要があ
り、その観点から煙突環境中における材料の腐食特性を
各合金元素依存性で整理した結果、それぞれの特性を満
足するためにはCr,Ni,Mo添加をベースにCu,Nを同時
に共存添加することが必須である。
G.I.値、C.I.値の指標を明確にし、それぞれの隙間腐食
特性値、全面腐食特性値の限界値を明確にすることによ
り、煙突・煙道環境に最適な優れた耐食性を有した高合
金ステンレス鋼を開発した。硫酸塩環境(A)は脱硫装
置環境条件にも類似しており、上記結果から脱硫装置材
料としても有効である。
経済性,製造性を考慮するとG.I.値の上限は90以下に、
C.I.値の上限は50以下とすることが望ましい範囲であ
る。
従って、 G.I.値;35〜50 C.I.値;60〜90 の範囲を満足する材料で、かつ、δCaL=−10〜1を
同時に満足する高合金ステンレス鋼として求めた材料の
例を表−1に示した。また、第3図に従来鋼との比較
で、本発明の範囲(ハッチングで示した領域)と、表−
1の本発明鋼の位置を黒○点で示した。
以下にG.I.値、C.I.値を満足する成分の限定理由を述べ
る。
C;Cは、ステンレス鋼の耐食性に有害であるが強度の
観点からはある程度の含有量は必要である。0.004%未
満の極低炭素量では製造コストが高くなる。また、0.05
%を越えると耐食性を大幅に劣化させるため0.004〜0.0
5%とした。
Si;Siは、ステンレス鋼の硫酸環境での耐食性を向上さ
せ、また、耐酸化性にも有効な元素であり、5%を越え
ると熱間加工性を劣化させる。
Mn;Mnはオーステナイト安定化元素であり、高価なNiの
代替として添加することが可能であるが、本発明で対象
とする硫酸塩−硫酸系での耐食性は、Mn量が2%を越え
ると効果なく耐食性、耐酸化性をいずれも劣化させるの
で上限を2%とした。
Cr;Crは本発明の基本成分である。硫酸塩−硫酸を含む
煙突環境などの高い耐食性の要求される環境ではNi,M
o,Cu,Nと共存の形でも18%以上の添加が必要であ
る。多いほど耐食性,耐酸化性は向上するが、25%を
越えると耐食性は飽和し、かつ、作り込みが難しく経済
的にも高価になる。
Ni;NiはCrとともに本発明鋼の基本成分である。硫酸塩
−硫酸を含む煙突・煙道環境など高い耐食性が要求され
る環境ではCr,Mo,Cu,Nと共存して用いられ、耐食
性、耐酸化性を向上させ、かつオーステナイト相を安定
化するために14%以上の添加が必要である。24%を
越えると耐食性は飽和し経済的にも高価となる。
Mo;MoはCr,Ni,Cu,Nと共存の形で硫酸塩−硫酸を含
む煙突・煙道環境などで高い耐食性を得るために必須な
元素である。1〜4.5%の添加でCr,Ni,Cu,Nと共存
して極めて効果的となる。1%未満では耐食性が不十分
となるが、4.5%を越えても耐食性の改善にそれほど寄
与しないし、かつ高価となる。
Cu;CuはCr,Ni,Mo,Nと共存の形で硫酸塩−硫酸を含
む煙突・煙道環境などで高い耐食性を得るために必須な
元素である。0.5%以上の添加で共存添加効果が著し
く、他方2.0%を越えると耐食性は飽和し、かつ、熱間
加工性を劣化させる。
N;NはCr,Ni,Mo,Cuと共存の形で硫酸塩硫酸を含む
煙突・煙道環境などで高い耐食性を得るために必須な元
素である。0.01%以上の添加で耐隙間腐食性を向上させ
る。添加量が多いほど耐隙間腐食性を向上させるが、0.
3%を越えるとその効果はほぼ飽和する。
W;Wはステンレス鋼の耐食性、耐隙間腐食性を向上さ
せるので、環境に応じて2%以下で添加する。2%を越
えるとその効果は飽和する。
V;Vはステンレス鋼の耐食性、耐隙間腐食性を向上さ
せるので、環境に応じて0.5%以下で添加する。0.5%を
越えるとその効果は飽和する。
Zr;Zrはステンレス鋼の耐食性、耐隙間腐食性を向上さ
せるので、環境に応じて1%以下で添加する。1%を越
えるとその効果は飽和する。
Sn;Snはステンレス鋼の耐食性、耐隙間腐食性を向上さ
せるので、環境に応じて0.1%以下で添加する。0.1%を
越えるとその効果は飽和する。
Nb;NbはNと同様にステンレス鋼の強度を増し、またC
を固定し耐食性を向上させるため、環境に応じて1%以
下で選択添加される。1%を越えると熱間加工性を劣化
させる。
Ti;Tiは、Cを固定し耐食性を向上させ、またCaと共存
してOを固定しSi,Mnの酸化物の生成を抑制し、熱間加
工性と耐食性を向上させるため環境によって1%以下で
添加される。1%を越えると熱間加工性を劣化させる。
A;Aは脱酸剤として0.05%以下の範囲で添加され
る。0.05%を越えると耐食性、熱間加工性を劣化させ
る。
P;Pは耐食性および熱間加工性の観点から少ないこと
が望ましい。0.03%を越えると熱間加工性を劣化させ
る。さらに硫酸塩−硫酸中での耐食性も著しく劣化す
る。
S;Sは耐食性よりも熱間加工性に著しく影響する元素
で低いほど良い。上限を0.010%(100ppm)とした。
Ca,Ce;Ca,Ceは脱酸・脱硫剤として0.001〜0.03%の
範囲で添加される。これを越えても効果がない。また、
Ca,Ceは低S鋼中でAと共存してOを固定し、MnSの
生成を防止し、熱間加工性を大幅に改善する。
O;OもSと同じように熱間加工性に著しく影響する元
素であり、低いほど良い。Oは50ppm以下とした。
また、S,OについてはCa,Ceとの複合効果により、
(S+O−0.8Ca−0.3Ce)≦40ppmを満足するように
添加することが必要である。すなわちCa,Ceは低S鋼中
でAと共存してSやOを固定し、Cr−Ni−Mo−Cu−N
合金の熱間加工性を大幅に改善する。
さらに、各元素を重量%で表示したδCaL値=3(Cr+
1.5Si+Mo)−2.8(Ni+0.5Mn+30C+30N+0.5Cu)−19.
8は、凝固組織中のδフェライト量の比率を表わす。δ
フェライトが現れると、τ粒界へのSやOの偏析を軽減
する。δフェライト(%)量を−10%より大きく、1
%より小さい範囲で、(S+O−0.8Ca−0.3Ce)≦40p
pmの作用と相乗効果が発揮され熱間加工性を大幅に改善
する。
〔実施例〕
表−1は本発明鋼並びに比較鋼の化学成分組成を示すも
ので、それぞれ電気炉-AOD,及び電気炉-VAC法によって
溶製した。
これらの溶鋼を連鋳スラブに通常条件で鋳造した。さら
に、1150℃から1250℃で0.5〜1.0時間のソーキング処理
を施した。表面手入れ後ステンレス鋼用条件で熱間圧延
した。本鋼を溶体化処理後、試験に供した。さらに、表
−1は本発明鋼と比較鋼の耐隙間腐食性、耐全面腐食性
を比較したものである。
隙間腐食性試験は、第4図に示したようにA環境模擬試
験液中で隙間付腐食試験片を用い、自然電位(EREST
より電位をアノード方向に50mv/minで掃引したとき電
流密度が10mA/cm2に到達した時点でその電流に10分
間保持したのち、逆方向に電位を再び50mv/minで掃引
したとき電流密度が零になる電位をEと規定する。こ
の電位(E)が自然電位(EREST)より大きい時自然
状態で隙間腐食は生成しない。また、全面腐食性は、B
環境模擬試験液中での腐食試験を実施し、重量減少から
腐食速度を求めた。
その結果、本発明鋼は比較鋼に対して耐隙間腐食性、耐
全面腐食性が共に優れた材料であることが明らかであ
る。表中の数字のアンダーラインは、本発明鋼と異なる
比較鋼の成分及び指数(δCaL,C.I.値,G.I.値)を示
している。
〔発明の効果〕
以上述べたように従来採用されていた煙突・煙道及び脱
硫装置用鋼材は硫酸環境のみを対象として来たが、本発
明は、環境同定を明確にしたことにより、煙突など実環
境に適した耐食性材料を開発したものである。従来鋼に
比して優れた耐食性を有し、かつ最小限の合金元素添加
としたので経済的にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は環境の電位と耐隙間腐食性との関係を示す図、
第2図はG.I.値とC.R.(腐食速度)との関係を示す図、
第3図は従来鋼と本発明鋼の耐全面腐食性指数と耐隙間
腐食性指数とを示す図、第4図(a)は隙間付腐食試験片
の形状を示す図、第4図(b)は隙間腐食評価法の説明図
表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 雅之 福岡県北九州市八幡東区枝光1―1―1 新日本製鐵株式會社第3技術研究所内 (72)発明者 安保 秀雄 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新日 本製鐵株式會社第2技術研究所内 (72)発明者 松本 竹二 広島県広島市西区観音新町4丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内 (72)発明者 江原 隆一郎 広島県広島市西区観音新町4丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 中本 英雄 広島県広島市西区観音新町4丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (56)参考文献 特開 昭50−59405(JP,A) 特開 昭56−33482(JP,A) 特開 昭58−91888(JP,A) 特開 昭59−182956(JP,A) 特開 昭62−130264(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C;0.004〜0.05%、Si;5%以下、Mn;
    2%以下、Cr;18〜25%、Ni;14〜24%,Mo;
    1〜4.5%,Cu;0.5〜2.0%,A;0.05%以下、N;
    0.01〜0.3%を含み、P;0.03%以下,S;100ppm以
    下,O;50ppm以下で、残部が実質的にFeと不可避的
    不純物からなる合金において、次式の各成分の複合添加
    を基本に煙突・煙道および脱硫装置環境での耐全面腐食
    性と耐隙間腐食性の二つの特性を同時に確保するため重
    量パーセントで表示した G.I.値(General Corrosion Index;耐全面腐食性指
    数)=−Cr+3.6Ni+4.7Mo+11.5Cuが60≦G.I.≦90
    でかつ、 C.I.値(Crevice Corrosion Index;耐隙間腐食性指
    数)=Cr+0.4Ni+2.7Mo+Cu+18.7Nが35≦C.I.≦5
    0であることを特徴とする耐食性の優れた煙突・煙道お
    よび脱硫装置用高合金ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】さらにW;2%以下,Nb;1%以下,V;
    0.5%以下,Ti;1%以下,Zr;1%以下,Sn;0.1%以
    下をそれぞれ1種または2種以上含有することを特徴と
    する請求項1記載の耐食性の優れた煙突・煙道および脱
    硫装置用高合金ステンレス鋼。
  3. 【請求項3】さらにCaあるいはCeの1種あるいは2種を
    0.001〜0.03%含有しかつ、δCaL値=3(Cr+1.5Si+M
    o)−2.8(Ni+0.5Mn+30C+30N+0.5Cu)−19.8が−1
    0≦δCaL≦1の範囲を有し、かつ含有成分をppmで表示
    した〔S+O−0.8Ca−0.3Ce〕(ppm)≦40であること
    を特徴とする請求項1または2記載の耐食性の優れた煙
    突・煙道および脱硫装置用高合金ステンレス鋼。
JP32557088A 1988-12-23 1988-12-23 耐食性の優れた煙突・煙道および脱硫装置用高合金ステンレス鋼 Expired - Lifetime JPH068485B2 (ja)

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