JP2000290754A - 高耐食性クラッド鋼及び石炭火力プラント用煙突 - Google Patents

高耐食性クラッド鋼及び石炭火力プラント用煙突

Info

Publication number
JP2000290754A
JP2000290754A JP9784999A JP9784999A JP2000290754A JP 2000290754 A JP2000290754 A JP 2000290754A JP 9784999 A JP9784999 A JP 9784999A JP 9784999 A JP9784999 A JP 9784999A JP 2000290754 A JP2000290754 A JP 2000290754A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
corrosion resistance
corrosion
clad steel
environment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9784999A
Other languages
English (en)
Inventor
Taikan Horikoshi
大寛 堀越
Hideto Kimura
秀途 木村
Sadahiro Yamamoto
定弘 山本
Toshio Takano
俊夫 高野
Katsuyuki Hirao
克之 平尾
Katsutoshi Hajima
克利 羽島
Ryuichiro Ebara
隆一郎 江原
Yoshikazu Yamada
義和 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
JFE Engineering Corp
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd, NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP9784999A priority Critical patent/JP2000290754A/ja
Publication of JP2000290754A publication Critical patent/JP2000290754A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】この発明は、石炭燃焼型プラントにおける酸露
点による酸性環境での耐全面腐食性、及びClイオンが
結露水中に凝縮濃化する高濃度のClイオン環境での耐
食性に優れ、且つ圧延ままでも鋭敏化による耐食性の劣
化が生じない合金を合せ材とする高耐食性クラッド鋼を
提供する。 【解決手段】 合せ材が、重量%でC:0.02%以
下、Cr:21%以上、27%以下、Ni:18%以
上、27%以下、N:0.01〜0.3%、Cu:0.
1〜2.0%、更にMo,Wの一種または二種を、Mo
+1/2×W:3〜5%の範囲で含有し、かつ、Ni−
0.6Cr+1.5(Mo+1/2×W)+7.5Cu
+122N≧35を満たし、残部Fe及び不可避的不純
物からなり、母材が炭素鋼からなることを特徴とする高
耐食性クラッド鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭火力プラント
で使用可能な安価で耐食性に優れたクラッド鋼及び同鋼
を内筒に用いた石炭火力プラント用煙突に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、火力発電プラントの高性能化の一
環として、石炭燃焼型プラントで使用可能な安価で耐食
性に優れたクラッド鋼の開発が進められている。火力発
電プラントの煙突・煙道では、排ガス中に含まれるSO
x,NOx,CO2等による酸露点腐食、及びClイオ
ンによる孔食、隙間腐食等の局部腐食が発生することが
知られている。
【0003】従来、このような環境でも使用できる耐食
材料としてNi基合金のハステロイ276が開発され、
メンテナンスフリーを目的に一部のプラントで用いられ
ている。しかし、非常に高価な合金のため、より安価で
耐食性に優れる合金の開発が、クラッド化も含めて、望
まれていた。上記腐食環境での耐食性を、煙突内の凝結
水を模擬した水溶液環境での浸漬試験により評価し、種
々の新しい合金の開発が行われている。
【0004】特開平2−170946号公報では、重量
%で、C:0.004〜0.05%、Si:5%以下、
Mn:2%以下、Cr:18〜25%、Ni:14〜2
4%、Mo:1〜4.5%、Cu:0.5〜2%、A
l:0.05%以下、N:0.01〜0.3%、P:
0.03%以下、S:100ppm以下、O:50pp
m以下で、残部が実質的にFeと不可避的不純物からな
る合金において、煙突、煙道および脱硫装置環境での耐
全面腐食性を満足させるための指数:G.I.値=−C
r+3.6Ni+4.7Mo+11.5Cuが60≦
G.I.≦90、耐隙間腐食性の特性を満足させるため
の指数:C.I.値=−Cr+0.4Ni+2.7Mo
+Cu+18.7Nが35≦C.I.値≦50とする技
術が開示されている。
【0005】特開平10−237601号公報では、重
量%で、C:0.05%以下、Si:1%以下、Mn:
2%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、
Cr:18〜24%、Ni:16〜26%、Mo:4〜
6.5%、N:0.1〜0.3%、Cu:0〜3.0
%、W:0〜3.0%、Al:0〜0.05%、Ca:
0〜0.005%、Mg:0〜0.005%、B:0〜
0.002%含有するとともに、PI値=Cr+3.3
(Mo+0.5W)+16N,Ni−bal.値=Ni
+30(C+N)+0.5Mn−1.1(Cr+1.5
Si+Mo)において、35≦PI値≦50、−2.5
≦Ni−bal.値≦1とし、耐中性塩化物腐食性オー
ステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、石炭焚
き火力プラントの中でも、脱硫装置を簡略化したシング
ルループ形式の新プラントでは、Clイオンが結露水中
に凝縮濃化し、従来の環境よりもさらに高Clイオン濃
度の使用環境となることが想定され、酸露点による酸性
環境での耐全面腐食性に優れ、且つ高濃度のClイオン
環境での耐食性に優れた合金が必要とされる。
【0007】本発明の対象とするClイオンは1000
0ppm以上であり、従来のほぼ10倍以上の高濃度と
なっている。上述した特開平2−170946号公報は
50%H2SO4+1000ppmClイオン環境での材
料開発が課題であり、特開平10−237601号公報
は中性塩化物環境を対象とし、腐食試験溶液のClイオ
ン濃度は20000ppmと高濃度であるが、硫酸濃度
は中性環境における材料開発を課題としている。
【0008】従って、酸性、高濃度Clイオン環境下に
おける材料開発は従来、行われておらず、新たな合金の
開発が課題となっている。さらに、クラッド鋼の合せ材
とする場合、母材の強度、靭性の確保の観点から、高温
の固溶化熱処理が適用できず、圧延ままでも鋭敏化によ
る耐食性が劣化しないことも課題とされる。
【0009】この発明は、以上の点に鑑みなされたもの
で、その目的は、クラッド鋼の合せ材として、高温での
固溶化熱処理が適用されない状態で、酸露点による酸性
環境での耐全面腐食性、高濃度のClイオン環境での耐
食性に優れた合金を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Ni,C
r,Mo,Cu,Nの各成分を調合し、圧延後200〜
20℃/minで冷却したまま、または圧延後固溶化熱
処理した供試鋼を用い、高濃度のClイオンの存在する
硫酸溶液中で全面腐食試験、耐隙間腐食性および耐SC
C試験を実施し、耐食性に及ぼす各成分について検討を
行った。また、合せ材としてクラッド鋼に用いた場合に
懸念される圧延後の冷却過程における鋭敏化特性評価を
硫酸・硫酸第二鉄によるストライカ試験により検討し
た。
【0011】本発明はそれらの結果を得てなされたもの
で、すなわち本発明は、 1. 合せ材が、重量%でC:0.02%以下、Cr:
21%以上、27%以下、Ni:18%以上、27%以
下、N:0.01〜0.3%、Cu:0.1〜2.0
%、更にMo,Wの一種または二種を、Mo+1/2×
W:3〜5%の範囲で含有し、かつ、Ni−0.6Cr
+1.5(Mo+1/2×W)+7.5Cu+122N
≧35を満たし、残部Fe及び不可避的不純物からな
り、母材が炭素鋼からなることを特徴とする高耐食性ク
ラッド鋼。
【0012】2. 更に、B:0.01%以下もしくは
Zr:0.5%以下の一種または二種を含有する1記載
の高耐食性クラッド鋼。
【0013】3. 更に、Ca:0.02%以下、A
l:0.1%以下、La:0.04%以下、Ce:0.
04%以下、Y:0.1%以下の一種または二種以上含
有する1または2記載の高耐食性クラッド鋼。
【0014】4. 更に、Ti:0.5%以下、Nb:
0.8%以下、Ta:1.6%以下、V:1.0%以下
の一種または二種以上含有する1または2記載の高耐食
性クラッド鋼。
【0015】5. 更に、Ca:0.02%以下、A
l:0.1%以下、La:0.04%以下、Ce:0.
04%以下、Y:0.1%以下の一種または二種以上を
含有し、かつTi:0.5%以下、Nb:0.8%以
下、Ta:1.6%以下、V:1.0%以下の一種また
は二種以上含有する1または2記載の高耐食性クラッド
鋼。
【0016】6. 1〜5記載の高耐食性クラッド鋼を
内筒に用いた石炭火力プラント用煙突。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の高耐食性クラッド鋼の合
せ材の成分限定理由について説明する。
【0018】Cr:21〜27% ステンレス鋼の基本成分であり、耐孔食性、耐隙間腐食
性を向上させる目的で添加するが、硫酸環境中での耐全
面腐食性を劣化させる場合がある。21%未満では耐孔
食性、耐隙間腐食性が劣化し、27%を超えて添加する
と、本発明で想定する使用環境での耐食性が劣化すると
ともに、クラッド圧延後の冷却(約60℃/min)に
おける鋭敏化により金属間化合物相を形成し、耐粒界腐
食性を低下させるため、21〜27%とする。
【0019】Ni:18〜27% 硫酸、高濃度Clイオン環境での耐全面腐食性向上に有
効な元素であり、本発明の環境で良好な耐食性を確保す
るため、および、Cr,Mo,N添加においてもオース
テナイト相を安定化させるため、18%以上添加する。
27%を超えて添加しても、耐食性向上の効果は飽和
し、経済性を損なうため、18〜27%とする。
【0020】N:0.01〜0.3% 耐孔食性、耐隙間腐食性の向上に有効な元素であり、
0.01%以上添加する。0.3%を超える添加では特
殊な精錬方法が必要で、経済性を損なうため、0.3%
以下とする。
【0021】Cu:0.1〜2% 硫酸、高濃度Clイオン環境での耐全面腐食性向上に有
効な元素であり、0.1%以上の添加が必要であるが、
2%を超えると効果が飽和するため、2%以下とする。
【0022】Mo+1/2×W:3〜5% Mo,Wはいずれも耐孔食性、耐隙間腐食性向上に有効
な元素であり、本発明では一種または二種を添加し、M
o+1/2×Wにより添加量を規定する。Mo+1/2
×Wが3%未満では効果が不十分であり、5%以上であ
ると、クラッド圧延後の徐冷(約60℃/min)の際
に鋭敏化によりFeやCr等との金属間化合物相が形成
され、耐粒界腐食性が低下するため、5%を上限とす
る。なお、Mo及びWの耐食性に及ぼす効果は単独添加
の場合も複合添加の場合も同様である。
【0023】C:0.02%以下 クラッド圧延後の冷却(約60℃/min)の際に鋭敏
化によりCr等と結合して炭化物を生成し、耐食性を劣
化させるため、添加量は少ないほど望ましい。0.02
%以下であれば鋭敏化による耐食性の劣化が少ないた
め、0.02%を上限とする。
【0024】Ni−0.6Cr+1.5(Mo+1/2
×W)+7.5Cu+122N≧35 このパラメータは耐食性を示す耐腐食指数(Isc)
で、合せ材を耐全面腐食性、耐隙間腐食性、および耐S
CC性に優れた鋼とするため、35以上に規定する。図
1は耐全面腐食試験として実環境模擬の腐食試験溶液:
50%H2SO4+20000ppmClイオン溶液中で
の、80℃で24時間浸漬における腐食速度とIscの
関係を示すもので、Isc≧35で腐食速度はほぼ安定
し、良好な耐食性が得られている。
【0025】耐局部腐食性の評価として、耐隙間腐食性
を塩ビ製の人工すきま冶具を取り付けた平板試験片を用
いて、上記腐食試験溶液中での浸漬試験を行った。その
結果、Isc≧35で良好な耐隙間腐食性が得られるこ
とが確認された。また、同腐食液でUベンドによるSC
C試験を行った結果、やはりIsc≧35で良好な耐S
CC性の得られることが確認された。
【0026】B:0.01%以下,Zr:0.5%以下 クラッド圧延後の冷却(約60℃/min)の際に析出
物の粒界析出を遅らせる効果があり、耐粒界腐食性向上
に効果を発揮するため、少量を添加しても良い。ただ
し、Bを0.01%、Zrを0.5%を超えて含有する
と、粒界に低融点の化合物を生じやすくなり、熱間加工
初期に割れを生じやすくなるため、添加量はBを0.0
1%以下、Zrを0.5%以下とする。
【0027】さらに耐食鋼としての適性を高めるため
に、下記の元素群から一種または二種以上の元素を含ん
でも良い。これらの群に属する元素の具体的な作用効果
は下記のとおりである。
【0028】Ca,Al,La,Ce,Y:いずれも鋼
中において硫化物、酸化物を生成し、脱硫、脱酸作用に
より熱間加工性を改善する効果を有するため、任意に添
加することができる。しかし、多量に添加すると熱間加
工性に悪影響を及ぼすようになるため、添加する場合
は、Caは0.02%、Alは0.1%、Laは0.0
4%、Ceは0.04%、Yは0.1%を上限とする。
【0029】Ti,Nb,Ta,V:いずれも強力な炭
化物生成元素であり、Cr炭化物による耐食性劣化を防
止する働きがあるため、任意に添加することができる。
しかし、多量に添加すると熱間加工性に悪影響を及ぼす
ようになるため、添加する場合は、Ti:0.5%、N
b:0.8%、Ta:1.6%、V:1.0%を上限と
する。
【0030】本発明の高耐食性クラッド鋼は以上説明し
た合せ材と炭素鋼からなる母材を組合せ、通常の圧延ク
ラッド法により、製造する。尚、母材の成分、機械的特
性等に関しては特に規定せず、自由に選択して組合せる
ことができる。また、合せ材、母材の板厚および両者の
板厚比等の形状寸法は、製造に用いる圧延設備からの制
約を考慮すればよく、本発明では特に規定しない。
【0031】本発明の高耐食性クラッド鋼の合せ材は酸
露点による酸性環境での耐全面腐食性に優れ、かつ高濃
度のClイオン環境での耐食性に優れているので、例え
ば、脱硫装置を簡略化したシングルループ形式の石炭焚
火力プラントの煙突の内筒を構成することができる。
【0032】
【実施例】表1、2に本発明材、表3,4に比較材の化
学成分および耐食性評価試験の結果を示す。耐食性評価
は、Clイオン濃度環境下での全面腐食試験、人工すき
まを付与したClイオン濃度環境下でのすきま腐食試
験、及びクラッド圧延後の冷却における析出物生成の有
無を判断するための粒界腐食試験により行った。
【0033】これらの腐食試験片は以下に説明するクラ
ッド鋼の合せ材より採取した。合せ材は実験炉真空溶解
し、得られた鋼塊を1150℃に加熱し分塊圧延および
仕上げ圧延により板厚6mmの鋼板とした。その後、低
炭素鋼と組合せて60+6mmのスラブに組み立て後、
1250℃加熱、900℃仕上げの熱間圧延により20
+2mmのクラッド鋼とし、圧延後、60℃/minで
冷却した。
【0034】Clイオン濃度環境下での全面腐食試験、
およびすきま腐食試験は、実環境模擬溶液として、50
%H2SO4+20000ppmClイオン溶液を用
い、80℃で24時間浸漬後、腐食速度を測定した。粒界
腐食試験としては、JISG0572に準拠した硫酸・
硫酸第二鉄試験(ストライカー試験)を行った。また、
合せ材圧延後の表面疵をスラブ最先端部を中心にカウン
トし、単位表面積あたりの割れもしくは疵個数を求め、
熱間加工性の評価を行った。
【0035】鋼No.1〜No.12に本発明鋼を示
す。本発明鋼は全面腐食、すきま腐食とも腐食速度は5
g/m2・h以下であり、良好な耐食性を示した。ま
た、粒界腐食試験でも1g/m2・h以下の腐食速度で
あり、健全な組織を有することが確認された。さらに、
表面疵も軽微であり、優れた熱間加工性が得られてい
た。
【0036】鋼No.13〜No.30に比較材を示
す。No.30は、本発明の特徴である耐腐食指数Is
c≧35を満足しておらず、高Clイオン濃度環境下で
の耐食性が劣り、5g/m2・hを超える大きな腐食速
度を示す。No.14,16,18,20,24,26
はIsc≧35は満足するが、それぞれNi,Cr,
N,Cu,Mo+1/2×Wが不足し、高Clイオン濃
度環境下での腐食速度が5g/m2・hを超え、耐食性
に劣っている。
【0037】No.13はCが過剰でクラッド圧延後の
冷却過程での鋭敏化により粒界への炭化物析出が生じる
ため、耐粒界腐食性が劣り、その結果高Clイオン濃度
環境下での耐食性も大幅に劣化している。No.17は
Cr量が、No.25,27はMo+1/2×Wが過剰
で、金属間化合物の析出により耐粒界腐食性が劣化し、
高Clイオン濃度環境下でも大きな腐食速度を示してい
る。
【0038】逆にNo.15,21では各々Ni,Cu
量が過剰添加で、経済性に劣る。また、No.19は、
N量が過剰で精錬工程における経済性に劣る。一方、N
o.22,23,28,29は各々、B,Zr,Ca,
Ti量が過剰で、粒界延性が低下し、表面割れが発生す
る。尚、この現象はAl,La,Ce,Y,Nb,T
a,Vが過剰の場合も同様である。No.13,14,
16は前述の従来技術に記載された鋼であるが、本発明
が対象とする環境においては十分な耐食性が得られてい
ない。
【0039】上記の実験室検討結果を受けて、実製造ラ
インで計13チャージの試験圧延を実施した。クラッド
合せ材は大型炉真空溶解後、得られた鋼塊を分解圧延、
仕上げ圧延、焼鈍の工程により、板厚10mmの厚鋼板
とし、低炭素鋼と組合せて(90+10)×1000×
3000mmのサイズのスラブに組み立て、1250℃
加熱後、圧下比4.0、仕上げ温度900℃の条件で熱
間圧延し、その後約60℃/minで冷却した。
【0040】圧延後、(22.5+2.5)×2000
×6000のサイズとなるクラッド鋼板の合せ材の表層
から試験片を採取し、腐食試験に供した。表5,6に化
学成分、耐食性評価試験結果を示す。No.31〜35
は発明鋼で、いずれも高Clイオン濃度環境下での耐全
面腐食試験、耐すきま腐食試験での腐食速度が5g/m
2・h以下であり、良好な耐食性を示した。また、スト
ライカー試験での腐食速度も1g/m2・h以下であ
り、本発明鋼が石炭焚き火力プラントの煙突材料として
適用可能なことが確認された。
【0041】一方、比較例No.36,37,38は耐
食指数Iscの値が本発明の適正範囲より低く、高Cl
イオン濃度環境下での腐食速度は5g/m2・hを超え
る値を示した。また、Ni,Cr,Mo+1/2×W量
が本発明範囲外で低いNo.39,40,42も、高C
lイオン濃度環境下での耐食性が劣化している。No.
41,43は逆にCr,Mo+1/2×W量が適正範囲
より高いため、金属間化合物の析出により耐粒界腐食性
が劣化し、高Clイオン環境での腐食速度も5g/m2
・hを超える大きな値を示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
石炭焚き煙突の内筒等酸露点による酸性環境での耐全面
腐食性、高濃度のClイオン環境での耐食性に優れたク
ラッド鋼を提供することが可能で、表面疵低減や成分適
正化による製造コストの低減、およびそれらを適用した
高性能煙突によるプラントのメンテナンスコスト低減な
ど産業上有用な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐食指数Iscと実試験環境模擬溶液中試験
(50%H2SO4−20000ppmClイオン溶液、
80℃、24時間浸漬)での腐食速度の関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 秀途 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山本 定弘 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 高野 俊夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 平尾 克之 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内 (72)発明者 羽島 克利 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内 (72)発明者 江原 隆一郎 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 山田 義和 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 Fターム(参考) 4E067 AA02 AA03 BB02 BD02 EB11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合せ材が、重量%で、C:0.02%以
    下、Cr:21%以上、27%以下、Ni:18%以
    上、27%以下、N:0.01〜0.3%、Cu:0.
    1〜2.0%、更にMo,Wの一種または二種を、Mo
    +1/2×W:3〜5%の範囲で含有し、かつ、Ni−
    0.6Cr+1.5(Mo+1/2×W)+7.5Cu
    +122N≧35を満たし、残部Fe及び不可避的不純
    物からなり、母材が炭素鋼からなることを特徴とする高
    耐食性クラッド鋼。
  2. 【請求項2】 更に、B:0.01%以下もしくはZ
    r:0.5%以下の一種または二種を含有する請求項1
    記載の高耐食性クラッド鋼。
  3. 【請求項3】 更に、Ca:0.02%以下、Al:
    0.1%以下、La:0.04%以下、Ce:0.04
    %以下、Y:0.1%以下の一種または二種以上含有す
    る請求項1または2記載の高耐食性クラッド鋼。
  4. 【請求項4】 更に、Ti:0.5%以下、Nb:0.
    8%以下、Ta:1.6%以下、V:1.0%以下の一
    種または二種以上含有する請求項1または2記載の高耐
    食性クラッド鋼。
  5. 【請求項5】 更に、Ca:0.02%以下、Al:
    0.1%以下、La:0.04%以下、Ce:0.04
    %以下、Y:0.1%以下の一種または二種以上を含有
    し、かつTi:0.5%以下、Nb:0.8%以下、T
    a:1.6%以下、V:1.0%以下の一種または二種
    以上含有する請求項1または2記載の高耐食性クラッド
    鋼。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の高耐食性クラッド鋼
    を内筒に用いた石炭火力プラント用煙突。
JP9784999A 1999-04-05 1999-04-05 高耐食性クラッド鋼及び石炭火力プラント用煙突 Pending JP2000290754A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9784999A JP2000290754A (ja) 1999-04-05 1999-04-05 高耐食性クラッド鋼及び石炭火力プラント用煙突

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9784999A JP2000290754A (ja) 1999-04-05 1999-04-05 高耐食性クラッド鋼及び石炭火力プラント用煙突

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000290754A true JP2000290754A (ja) 2000-10-17

Family

ID=14203195

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9784999A Pending JP2000290754A (ja) 1999-04-05 1999-04-05 高耐食性クラッド鋼及び石炭火力プラント用煙突

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000290754A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011247642A (ja) * 2010-05-24 2011-12-08 Kobe Steel Ltd 鋼材の腐食状態推定方法
CN103882315A (zh) * 2012-12-20 2014-06-25 上海梅山钢铁股份有限公司 耐硫酸露点腐蚀热连轧钢的制造方法
KR20140143446A (ko) * 2012-04-25 2014-12-16 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 스테인리스 클래드 강판의 합재 및 그것을 사용한 스테인리스 클래드 강판 그리고 그 제조 방법
EP2930254A4 (en) * 2012-12-05 2015-12-30 Jfe Steel Corp STAINLESS STEEL-COATED STEEL PLATE WITH EXCEPTIONAL CORROSION RESISTANCE TO SEAWATER
EP2915893A4 (en) * 2012-10-30 2016-06-01 Kobe Steel Ltd AUSTENITIC STAINLESS STEEL

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011247642A (ja) * 2010-05-24 2011-12-08 Kobe Steel Ltd 鋼材の腐食状態推定方法
KR20140143446A (ko) * 2012-04-25 2014-12-16 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 스테인리스 클래드 강판의 합재 및 그것을 사용한 스테인리스 클래드 강판 그리고 그 제조 방법
CN104245991A (zh) * 2012-04-25 2014-12-24 杰富意钢铁株式会社 不锈钢复合钢板的复合材料和使用该复合材料的不锈钢复合钢板及其制造方法
EP2843076A4 (en) * 2012-04-25 2015-03-04 Jfe Steel Corp PLATING MATERIAL FOR STAINLESS STEEL-PLATED STEEL PLATE AND STAINLESS STEEL-PLATED STEEL PLATE OBTAINED USING THE SAME, AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
EP2843076A1 (en) * 2012-04-25 2015-03-04 JFE Steel Corporation Cladding material for stainless-steel-clad steel plate and stainless-steel-clad steel plate obtained using same, and process for producing same
KR101690852B1 (ko) 2012-04-25 2016-12-28 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 스테인리스 클래드 강판의 합재 및 그것을 사용한 스테인리스 클래드 강판 그리고 그 제조 방법
US10207477B2 (en) 2012-04-25 2019-02-19 Jfe Steel Corporation Stainless steel clad steel plate including cladding material for stainless steel clad steel plate and method of manufacturing the same
EP2915893A4 (en) * 2012-10-30 2016-06-01 Kobe Steel Ltd AUSTENITIC STAINLESS STEEL
EP2930254A4 (en) * 2012-12-05 2015-12-30 Jfe Steel Corp STAINLESS STEEL-COATED STEEL PLATE WITH EXCEPTIONAL CORROSION RESISTANCE TO SEAWATER
CN103882315A (zh) * 2012-12-20 2014-06-25 上海梅山钢铁股份有限公司 耐硫酸露点腐蚀热连轧钢的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5186769B2 (ja) 耐硫酸露点腐食鋼
JP6895787B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼、ろう付け構造体、ろう付け構造部品および排気ガス熱交換部品
JP2007092163A (ja) 自動車用排ガス流路部材
KR100318529B1 (ko) 내황산부식성과 가공성이 우수한 오스테나이트계 스테인레스강
JP5125600B2 (ja) 高温強度、耐水蒸気酸化性および加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼
JP3536567B2 (ja) 耐熱性、加工性およびマフラー耐食性に優れるエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼
JP6097693B2 (ja) 耐食性及び加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼
KR100831115B1 (ko) 모재 및 용접부의 인성이 우수한 내식강 및 그 제조 방법
JP3263469B2 (ja) 排ガス流路部材用フェライト系ステンレス鋼及び製造方法
JP5866628B2 (ja) 二次加工性および耐Cr蒸発性に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP3296111B2 (ja) 耐排ガス腐食性に優れた鋼
JP2000290754A (ja) 高耐食性クラッド鋼及び石炭火力プラント用煙突
JP5786491B2 (ja) Egrクーラー用フェライト系ステンレス鋼
JP3845366B2 (ja) 溶接熱影響部靭性に優れた耐食鋼
JP2000290755A (ja) 高耐食性鋼及び石炭火力プラント用煙突
JP3239763B2 (ja) 耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
JP3858456B2 (ja) 耐硫酸露点腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼及びその製造方法
JP7019482B2 (ja) 耐高温塩害特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及び自動車排気系部品
JP3713833B2 (ja) 耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼
WO1999066093A1 (fr) Materiau en acier resistant aux intemperies
JP3527458B2 (ja) 溶接部の耐食性に優れた石炭焚火力発電プラント煙突内筒用クラッド鋼および煙突
JPH11140586A (ja) Lng焚き専用ボイラーの煙道・煙突用鋼材
JP2002363704A (ja) 母材および溶接熱影響部の靭性に優れた耐食鋼
JP2879630B2 (ja) 高温塩害特性に優れたフエライト系耐熱用ステンレス鋼
JP2004156126A (ja) 冷間加工性が良好な高耐食オーステナイト系ステンレス鋼

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040106