JP3713833B2 - 耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車排気部材の用途に適したフェライト系ステンレス鋼に関し、特に、自動車のエンジンに近い側(高耐熱性が必要)からマフラーのような耐食性を要求される部位での使用を想定した、耐熱性、加工性および溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼に係わる。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼と比べて安価であることから、自動車排気系の材料に多用されている。
この自動車排気系の中でも、排気マニホールドのように、900℃を超える程度にまで温度が上昇する部位では、特に優れた耐熱性が必要であり、SUS430 JIL(19Cr−0.4Si−0.4Nb−0.5Cu)が使用されてきた。一方、マフラーに代表されるように、排気温度が比較的低い部位には、排ガスからの凝縮水が溜りやすく、該マフラーの腐食が問題になるので、耐食性に優れたSUS436 LT(17Cr−0.1Si−0.2Ti−0.8Mo)が使用されてきた。
【0003】
このように、自動車排気系に使用される材料は、使用部位の温度により全く異なる特性が要求され、「使用者は、材料を区別しなければならない」という問題と、「特に、マフラー用材料は、高Cr、Mo添加鋼のため、コスト高である」という問題があった。そのため、高温部から低温部まで幅広く適用でき、且つ安価な統一材料の開発が、強く望まれていた。また、材料の供給側にとっても、かかる統一材料は、品質管理及び生産効率の点で大きなメリットがあるので、使用者及び供給者のいずれからも強く統一材料の開発要求があった。しかしながら、そのような統一材料は存在していないのが現状である。
【0004】
ここで、高温部側での使用を想定した従来からある材料を紹介すると、例えば、特開平8−60306号公報は、自動車排気系部材用フェライト系ステンレス鋼板がある。この材料は、排気系を一つの鋼種で一体化することを目的として開発されたが、該公報の3頁、コラム4「0017」に明記されているように、「排気マニフォールドからセンター・パイプまで」と明記されており、排気系高温部だけでの材料統一を想定しており、マフラーまでは想定していない。さらに、該公報は、「開発した鋼材が、Si:0.6〜1.5%、Cr:16〜22%のような比較的高いSi、Crレベルであるにも関わらず、マフラー材のような腐食環境に耐え得ない」ことを示唆していた。実際に、発明者の実験調査によっても、高Cr化のみでは、マフラー材への適用はできないことが確認されている。なお、その理由については、後述の「発明の詳細な説明」の欄で説明する。
【0005】
また、特開昭57−85960(US.patent No.4331474)号公報は、Nb、Al複合添加鋼を開示している。その鋼材は、靭性に対する悪影響を除くため、Tiを不可避的残留レベルに維持し、Alを0.1%以上、Nbを0.45%以下に厳しく調整することを特徴としている。特に、該特開昭57−85960号公報では、Si、Tiの効果の認識がないため、発明例あるいは比較例のいずれに開示された鋼も、Siは、0.6%未満であり、Tiは、残留(記載なし)か0.23%のような過大レベルであった。
【0006】
また、特開平6−248394号公報は、そのコラム2「0007」に記載されているように、フロント・パイプ、センター・パイプでの使用を考慮した高温塩害特性に優れたフェライト系ステンレス鋼を開示している。それは、コラム4「0020」に明記されているように、溶接部の耐食性向上のため、Nb、Tiを添加するとしており、その効果は、等価なものとの認識である。そのため、該公報記載の発明鋼及び比較鋼のいずれもがNb単独添加されているだけで、高Si化、低Cr化し、かつ0.43%以上のNb添加鋼に、微量のTi添加がマフラー腐食に著しい効果があるとの知見、示唆は見られない。
【0007】
また、特公平3−4617(US.patent No.4461811)号公報は、ロウづけ性のよい安定化フェライト系ステンレス鋼の成分を開示している。そこでは、Tiはろうずけ性に悪影響を及ぼすため、厳しく制限しているが、溶接部の耐食性向上に関する考慮は見られない。事実、該公報に開示されている発明例及び比較例は、いずれもSi含有量は比較的低い(0.6%以下)。
【0008】
また、US.patent No.4417921には、Welded ferittic stainless steel articleの開示がある。そこには、NbとTiを等価なものとしており、高Si化し、さらに比較的多量のNbに微量のTiの複合添加が、溶接のマフラー耐食性向上に著しく効果があるとの知見及び示唆も見られない。さらに、Siの添加効果も発見していないため、1%以下、好ましくは0.3〜0.6%(クレーム3、及び本文コラム3、29行目)のように低めに制限している。加えて、実施例及び比較例のいずれもが、0.2%以上のTi単独添加鋼である。
【0009】
また、特開平7−268554号公報は、成形性及び耐熱性の優れた自動車排気系用フェライト系ステンレス鋼板を開示している。しかしながら、この鋼材も、高温側の部位を想定したものであり、マフラー腐食についての考慮がなく、そのため、発明例及び比較例は、いずれも0.8%未満のSiレベルであり、マフラーの溶接部耐食性が不十分である。
【0010】
また、本発明者は、特開平8−3698号公報で、自動車排気系材料に使用可能な安価な熱延フェライト鋼を開示した。しかしながら、この鋼材は、熱延板の加工性向上を主目的とし、Tiを可及的に低く、且つPを積極的に添加することを技術思想としている。該特開平8−3698号公報の出願当時は、母材の高耐食性材は、溶接部の耐食性も向上し、結果としてマフラー寿命を向上させるとの認識が一般的であったが、近年、母材が高耐食性であっても、マフラーの溶接部耐食性が向上するとは限らないことがわかってきた。そのため、特開平8−3698号公報当時の知見では、Cr、Si、Nb、Ti、Pのマフラー溶接部に関する耐食性に関する知見がない。
【0011】
一方、低温部側での使用を想定した鋼材例を紹介すると、まず、Moを1%以上添加することを特徴とする特開平5−112848号公報記載の鋼がある。この鋼材は、特に、マフラー腐食を念頭に置き、母材部の耐食性を向上させている。発明者は、最近、「マフラー腐食で問題となる部位は、溶接部であり、そこでの著しい腐食を起点とし、外部応力によって、亀裂が伝播し溶接部が破断することが最も問題なのであり、母材の腐食レベルは、溶接部と比較して軽微であるため、マフラー寿命に大きく影響しない」ことをつきとめた。溶接部が最も腐食するので、この部分での腐食ピットの発生を低減することによって、破断の基点を防止すれば良いのである。しかしながら、特開平5−112848号公報で開示されているようなMoの添加では、後述するように、溶接部の耐食性にはほとんど効果がないと同時に、コストの面でも不利である。
【0012】
また、溶接部の耐食性を向上させるのに、Ti、Nb等の安定化元素を添加することは、公知である。例えば、上記の特開平5−112848号公報においても、Ti、Nb添加の理由が溶接部の耐粒界腐食性向上の点からと記述されている。しかしながら、近年、マフラー腐食での問題は、溶接部の著しい腐食を起点とする接続部(溶接構造)の破断であることが判明しており、単に、Mo、Ti、Nbを添加するのみでは、溶接部の耐食性は十分ではないことも判明した。その理由は、特開平5−112848号公報に記載されているように、マフラーでの凝縮水は、高pH(〜9)から低pH(〜2)まで極端に変化するので、単に、Mo、Ti、Nbを添加するのみではマフラーの溶接部耐食性が十分ではないものと考えられる。この点を考慮した材料開発がなされていなかったため、現時点でもマフラー耐食性に優れた安価な材料が開発されていないのである。
【0013】
さらに、上記した統一材料がないという問題に加えて、既存のマフラー用のフェライト系ステンレス鋼では、0.8%以上のMo添加による製造コストの上昇も問題となっている。そのため、最近は、マフラーの溶接部の耐食性向上が強く求められていると同時に、省Mo化によるコスト低減の問題がある。
また、特開平4−228547号公報は、耐粒界腐食性、造管性、高温強度に優れたフェライト系ステンレス鋼を開示している。しかしながら、そこでは、耐粒界腐食性の向上をはかっているものの、単に所謂シュトラウス試験で評価しているだけである。前述したように、マフラーの凝縮水は、高pH(〜9)から低pH(〜2)まで極端に変化するものであるから、シュトラウス試験ではマフラー腐食性を正しく評価できいない。そのため、そこでの発明例及び比較例のいずれも0.6%以下の低いSiであり、後述するように、マフラーの溶接部耐食性には不十分である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情を鑑み、優れた耐熱性を持ち、且つ、従来マフラーに使用されていた17%Cr−0.1%Si−0.2%Ti−0.8%Mo添加のフェライト系ステンレス鋼よりも優れた溶接部の耐食性を有する安価なエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼を提供することを目的としている。さらに、エンジン排気系での高温部および低温部での使用材料の区別を不要にする統一材料の提供をも目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため、エンジン排気部材用に必要とされる耐熱性(高温強度)、及びその鋼材に必要な加工性は、Nb添加で向上するという公知事実に基づき、まず、マフラーの溶接部耐食性の向上を詳細に検討した。
マフラーの耐久性で問題となるのは、主に、溶接部の破断である。溶接部が母材部より耐食性に劣るのは公知であり、さらに溶接部に応力が最も集中することも明らかである。従って、母材のみが優れた耐食性を示しても、最も腐食され易い部分は溶接部であり、かつ溶接部が最も大きな応力集中を受けるため、腐食ピット部分での大きな応力が破断を誘発する。従って、溶接部の耐食性を向上させることが、マフラーの寿命を向上させる。
【0016】
かかる実際の車での調査結果を基に、マフラーの溶接部耐食性の向上を詳細に検討し、得られた重要な知見を以下に示す。なお、下記図1及び2に関する試験条件は、「実施例」の欄で詳述する。
(1)母材部が、溶接部より耐食性の良好なことは明らかであるが、母材部の耐食性が良い材料は、溶接部との耐食性の差が大きく、溶接部に腐食が集中し、溶接部の耐食性向上が困難であることを知見した。その結果、図1に示すように、比較的母材部の耐食性が低い、低Cr系(10〜16%Cr)材料がマフラーの溶接部耐食性の向上に有利である。
【0017】
(2)図1、2に示すように、Siを0.8%以上添加し、Crを10〜16%と比較的低くし、Nbが0.4%以上添加されている成分系に、Tiを0.03%を上限として積極的に添加すると、マフラーの溶接部耐食性が著しく向上し、17%Cr−0.1%Si−0.2%Ti−0.8%Mo鋼の溶接部以上の特性が得られる。
【0018】
これは、溶接部のスケールがSi、Nb、Tiにより強化され母材部の耐食性に近づいたため、溶接部に腐食が集中しなかったためと推定される。
一方、従来からある17%Cr−0.1%Si−0.2%Ti−0.8%Mo鋼の場合には、母材部が著しく優れた耐食性を示すため、腐食が溶接部に集中し、結果として、低Cr−高Si−Nb−微量Ti鋼よりも溶接部耐食性が劣っていると推定できる。
【0019】
さらに、図2には、11%Cr−0.1%Si−0.2%Tiの溶接部耐食性に及ぼすMoの影響も示す。驚くべきことには、溶接部へのMoの添加効果は、Siの添加効果に比較して著しく小さかった。つまり、溶接部の耐食性の向上には、Moの添加は殆ど効果がなく、鋼材を低Cr−高Si化し、Nb添加し、さらに微量なTi添加が必要であることが確認されたのである。なお、各元素の溶接部の耐食性に及ぼす影響に関する詳細な理由は、後述の「成分限定」で説明する。
(3)さらに、上記鋼材にAl、Cuを比較的少量添加することで、マフラーの溶接部耐食性がさらに向上する。
(4)また、P含有量は、マフラーの溶接部耐食性に大きく影響し、低い程好ましい。
(5)上記した成分系は、ベースであるNb添加鋼の耐熱性、加工性を劣化させない。
【0020】
発明者は、以上の新規な知見を具現化すべく鋭意努力を続け、耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼を発明するに至ったのである。
すなわち、本発明は、
重量%で、
C:0.02%未満、
Si:0.8%以上、1.6%未満、
Mn:0.15%未満、
P:0.04%未満、
S:0.02%未満、
Cr:10%以上、16%未満、
Ni:0.05%以上、1.0%未満、
N:0.02%未満、
Ti:0.002%以上、0.03%未満、
Nb:0.43%以上、0.6%未満、
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、マフラーに製作した際の溶接部耐食性が0.51mm以下の耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼である。
【0021】
また、本発明は、さらに、重量%で、
Al:0.02%以上0.5%未満
Cu:0.02%以上0.3%未満
のうちから選んだ1種又は2種を追加含有させたり、あるいはMo:0.05%以上0.8%未満、さらに加えて、
Ca:0.001%以上0.03%未満、
B:0.0002%以上、0.005%未満、
を含有させた耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼である。
【0022】
本発明では、エンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼を、上記のような成分系で形成するようにしたので、優れた耐熱性及び加工性を持ち、且つ、従来マフラーに使用されていた17%Cr−0.1%Si−0.2%Ti−0.8%Mo添加のフェライト系ステンレス鋼よりも優れた溶接部の耐食性を同時に有するものにすることができる。その結果、エンジン排気系では、従来、高温部および低温部で使用材料を区別していたが、本発明により統一材料とすることができた。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態は、フェライト系ステンレス鋼の各成分元素の含有量を限定するものであるので、その限定理由を以下に説明する。単位は、すべて重量%である。
Cは、靭性及び加工性を劣化させる元素であり、0.02%以上になると、靭性及び加工性の劣化が顕著となるため、0.02重量%未満に限定する。また、良好な靭性及び加工性には、Cの含有量は低い程良く、0.01%以下が望ましい。
【0024】
Siは、本発明鋼にとって重要な元素の一つである。図2に示したように、0.03%以下の微量Tiが添加されている場合、Siを0.8%以上添加することによって、マフラーの溶接部耐食性は著しく向上し、従来鋼(17%Cr−0.1%Si−0.2%Ti−0.8%Mo)のレベル以上に達する。これは、溶接部に生成するスケールが、Si−Nb−Tiによって強化されたものになり、また、母材の耐食性レベルとの相違が比較的小さくなることにより、溶接部に腐食が集中しないため、良好なマフラーの溶接部耐食性を示すものと考えられているが、詳細は不明である。
【0025】
なお、Siが1.6%以上になると、加工性の劣化が激しいので、1.6%を超えないものとする。好ましくは、1.0%以上、1.3%以下である。
Mnは、鋼の脱酸剤として知られているが、過剰な添加は、MnSを形成し、加工性の低下及び、マフラーの溶接部耐食性を低下させることから、Mn含有量は0.15重量%未満とした
【0026】
Pは、靭性、およびマフラーの溶接部耐食性を劣化させる元素であり、0.04重量%未満とした。
Sは、鋼材の伸び及びr−値(ランクフォード値)を低下させ、加工性を劣化させると共に、ステンレス鋼の基本特性である耐食性を劣化させる元素であるので、その含有量を0.02%未満とした。
【0027】
Crは、ステンレス鋼の基本特性であある耐食性を向上させる元素であるが、図1に示したように、マフラーの溶接部耐食性には、多すぎると有害となり、かつコスト高になるため、16%未満に制限する。
一方、10%未満の含有量で溶接部耐食性が著しく劣るため、10%を下限とする。従って、本発明では、Cr含有量を10%以上16%未満に限定する。マフラーの溶接部耐食性にとって、Cr含有量は10%以上12%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、10.5%を超え11.5%未満である。
【0028】
Niは、マフラーの溶接部耐食性を向上させる効果があるため、0.05%以上添加する。一方多量の添加は、フェライト組織を不安定にするため、1%未満に制限する。好ましくは、0.1%以上0.8%以下。より好ましくは、0.5%以上0.8%以下である。
Nは、鋼の靭性及び加工性を劣化させる元素である。0.02%以上になると靭性及び加工性の劣化が顕著となるので、0.02%未満に限定する。Nの含有量は小さいほどよく、0.01%以下であることが望ましい。
【0029】
Nbは、高温強度、加工性、マフラーの溶接部耐食性を高める効果を持つ元素であり、従来鋼以上の特性を得るため、0.43%以上の添加が必要である。しかしながら、0.6%を超えて添加すると、鋼材の室温での強度を著しく高め、成形性、加工性を劣化させるため、0.6%を上限とする。好ましくは、0.45%を超え、0.6%未満である。さらに好ましくは、0.5%以上0.6%未満である。
【0030】
Tiは、本発明鋼にとって、特に重要な元素である。表1,表2,表3に示してあるようにマフラーの溶接部耐食性向上のため、Tiレス材(0.001%以下)では、高Si、低Cr化しても、マフラーの溶接部耐食性は向上しない(表2のNo.24、28)。0.002%以上のTiを添加した場合、著しくマフラーの溶接部耐食性が向上した。この理由は、明確ではないが、溶接時に発生するスケールの組成を微量Tiが変化させているのではと考えている。しかしながら、0.03%以上になると溶接部のマフラー腐食が劣化する。この理由としては、Tiは、Nb、AlよりもNと結合しやすく、大気中のNを吸収し易く、過大なTi添加は、溶接時、大気からC、Nを吸収し、マフラーの溶接部耐食性を低下させるのではと考えられる。よって、Ti含有量を0.002%以上0.03%未満に限定する。好ましくは0.005%以上0.02%以下である。
【0031】
Alは、任意添加元素である。一般に、鋼の脱酸剤として不可避的に含有されてしまう場合があるが、特に悪影響はない。本発明は、Siを含有させるため、Al脱酸は任意である。
一方、0.02%以上の添加をした場合、マフラーの溶接部耐食性はさらに向上する。この理由は明確ではないが、Alは酸化されやすい元素であるため、十分なAlの添加は、溶接時、アルミナ被膜により大気中からのC、Nの吸収を防ぐ効果によるものと考えられる。従って、マフラー耐食性をさらに向上させる場合、0.02%以上添加してもよい。しかし、0.5%以上になると、加工性の劣化が著しいため、0.02%以上0.5%未満に限定する。好ましくは、0.1%を超え0.2%未満である。
【0032】
Cuは、任意添加元素である。0.02%以上の添加をした場合、溶接部耐食性が向上する。0.3%以上になると、加工性が劣化するため、本発明では、0.02%以上0.3%未満に限定する。なお、好ましくは、0.15%を超え、0.3%未満である。
本発明は、低コストの省Mo材であっても、従来鋼(17%Cr−0.1%Si−0.2%Ti−0.8%Mo)並みのマフラーの溶接部耐食性を得る鋼材として提案された。
【0033】
一方、Moは、固溶強化元素であり、高温強度の向上にも有効であり、その添加効果は、0.05%から現れる。従って、本発明でも、より高温強度を高めたい場合、0.05%以上添加しても良い。しかしながら、Moは、高価な元素であり、コスト高を招くとともに、図2のように、マフラーの溶接部耐食性への効果は殆ど見られない。したがって、本発明では、0.8%未満に限定する。
【0034】
Caは、溶鋼からスラブへの鋳造時において、Ti系介在物によるノズル詰まりを抑制する効果を有する元素である。その効果は、0.001%から現れる。しかしながら、0.03重量%を超えて添加しても、該効果が飽和するばかりでなく、Caを含む介在物が孔食の起点となり、耐食性が劣化するため、0.03%未満とする。
【0035】
Bは、鋼材の加工性向上に有効である。その効果は、0.0002%から現れるが、0.005%を超えると、多量のBNの生成により靭性が劣化するので、0.005%未満とする。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
表1及び表2に示す成分組成からなる本発明鋼と比較鋼とを溶製したのち、1250℃に加熱後、熱間圧延により5mm厚の熱延板とした。これを焼鈍、酸洗、冷間圧延、仕上焼鈍、酸洗を順次行い、2mm厚みの冷延焼鈍鋼板とした。
【0037】
かくして得られた冷延焼鈍鋼板から採取した試料について、以下に示す方法により高温強度、室温の加工性及び母材とマフラーの溶接部耐食性の評価を行った。
【0038】
【表1】
Figure 0003713833
【0039】
【表2】
Figure 0003713833
【0040】
(1)高温強度
板厚2mmの板状試験片を用いて、0.3%/分の引張速度で0.2%耐力を測定した。高温強度の評価は、下記指数で行った(例えば、AAは優、Aは良、Bは普通、Cは可)。
18MPa以上をAA
15MPa以上18MPa未満をA
10MPa以上15MPa未満をB
10MPa未満をC
とする。
【0041】
(2)室温の加工性
延びは、圧延方向に対して、0°、45°、90°方向のJIS 13号に規定されたB形状の引張試験片(板厚2mm)で測定し、El={El(0°)+2×El(45°)+El(90°)}/4の式で算出した。
その評価は、前記同様に指数化して行う。
【0042】
35%以上をA
35%未満をB
(3)溶接部のマフラー耐食性
溶接は、板厚2mm材に対しビードオン方式のTIG溶接を行った。溶接条件は、
溶接速度:600mm/min
溶接電流:200アンペア
シールドガス:Arガス、15リッター/min(表面のみ)
である。
【0043】
50mm×100mm角の試料を、図3に示したように、ビーカ1内に吊り下げ、繰り返し蒸発試験を行い、最大浸食深さ5点の平均を評価した。なお、試料は、溶接後の鋼材(又は母材)を400℃×5時間熱処理したものである。また、試験は、該試料を図3に示すように、80℃に保持した試験溶液中に浸漬し、該溶液が空になるまで蒸発させることを1サイクルとし、これを10回繰り返すことで行った。使用した試験溶液の組成は、マフラー環境をシミュレートするため(単位は,ppm),
Cl:250、NO2−:100、NO3−:20、CO32− :2000、
SO3 2−:1250、SO4 2−:1250、CH3 COO− :400、
HCHO−:250、HCOO− :100, pH:8.5
【0044】
(4)母材部のマフラー腐食性
溶接部の試験片の変わりに、母材を使用して、(3)と同様なマフラー耐食性試験を行った。最大浸食深さ5点の平均を以下のように記号で分類し,評価した。
0.1mm以上0.2mm未満をA
0.2mm以上0.3mm未満をB
0.3mm以上0.4mm未満をC
とする。
【0045】
これらの試験結果を表3にまとめて示す。
【0046】
【表3】
Figure 0003713833
【0047】
表3によれば、比較鋼17は、Siが低過ぎ、マフラーの溶接部耐食性がSUH409 L並みに悪い。比較鋼18は、Siが多すぎるため、加工性が悪い。比較鋼19は、Tiが過剰に含有されているため、マフラーの溶接部耐食性がSUS436 LTより悪い。比較鋼20は、Mnが過剰で、マフラーの溶接部耐食性がSUS436 LTより悪い。比較鋼21は、Nb、Tiが過剰のため、加工性、マフラーの溶接部耐食性、いずれも悪い。比較鋼22は、Niが過剰であるため、加工性が悪い。比較鋼23は、Nbが過小のため、高温強度、マフラーの溶接部耐食性、いずれも悪い。比較鋼24は、Tiが過小のため、マフラーの溶接部耐食性が悪い。比較鋼25は、Pが過大であり、母材及びマフラーの溶接部耐食性が、悪い。比較鋼26は、SUH409 Lであり、高温強度、母材及びマフラーの溶接部耐食性いずれも悪い。比較鋼27は、SUS436 LTであり、加工性、マフラーの溶接部耐食性いずれも悪い、比較鋼28は、SUS430 J1Lであり、マフラーの溶接部耐食性が悪い。
【0048】
一方、本発明鋼1〜7,9〜11、13〜16は、高温強度は、現行材(SUS430 JIL)以上の値を示し、かつマフラーの溶接部耐食性も現行材(SUS436 LT)以上の優れた特性を示す。さらに加工性も、現行材(SUS430 J1L、SUS436 LT)以上の特性であり、さらに、低Cr、省Mo鋼であるので、より安価である。母材のマフラー耐食性は、SUS436 LTより劣ってはいるが、Bランク以上のレベル、即ち、0.3mm以下の軽微な腐食レベルであり、SUS436 LTの溶接部の値より優れており、SUS436 LT製のマフラーより優れていると判断できる。なぜなら、最も腐食の激しい位置が問題になるからである。
【0049】
以上のように、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼は、自動車排気系の中の現在使用中の高温用部材(SUS430 J1L)並み以上の耐熱性、現在使用中の低温用部材(SUS436 LT)以上のマフラー耐食性、さらに、両者以上の加工性を兼ね備え、その上、これらよりも、低Cr、省Moであり安価であることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼を安価に提供することが可能となる。すなわち、省Mo−低Cr材であっても、従来材以上の耐熱性、及びマフラー耐食性を得ることができる。従って、高温強度や酸化性、耐食性が要求される自動車エンジンのエキゾースト・マニホールド、フロント・パイプ、コンバータの外筒、センター・パイプ、マフラー等のいずれの部材に採用しても、従来材以上の特性を持ち、さらに安価である。また、火力発電システムの排気経路部材も、自動車エンジン排気部材と同様な特性が要求されるため、本発明鋼の用途に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼材マフラーの溶接部耐食性に及ぼすCrの添加効果を示す図である(但し、ベース鋼材を0.5%Nb−0.02%Ti−1.2%Si系としてある)。
【図2】母材及びマフラーの溶接部耐食性に及ぼすSi,あるいはMoの添加効果を示す図である。
【図3】マフラー腐食試験を実施する装置例を示す図である。
【符号の説明】
1 ビーカ
2 80℃の水
3 試験溶液
4 溶接部
5 恒温槽
6 蒸発方向

Claims (4)

  1. 重量%で、
    C:0.02%未満、
    Si:0.8%以上、1.6%未満、
    Mn:0.15%未満、
    P:0.04%未満、
    S:0.02%未満、
    Cr:10%以上、16%未満、
    Ni:0.05%以上、1.0%未満、
    N:0.02%未満、
    Ti:0.002%以上、0.03%未満、
    Nb:0.43%以上、0.6%未満、
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、マフラーに製作した際の溶接部耐食性が0.51mm以下の耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼。
  2. さらに、重量%で、
    Al:0.02%以上0.5%未満
    Cu:0.02%以上0.3%未満
    のうちから選んだ1種又は2種を追加含有させることを特徴とする請求項1記載の耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼。
  3. さらに、重量%で、
    Mo:0.05%以上0.8%未満
    を追加含有させることを特徴とする請求項1又は2記載の耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼。
  4. さらに、重量%で、
    Ca:0.001%以上0.03%未満、
    B:0.0002%以上、0.005%未満、
    を追加含有させることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の耐熱性、加工性及び溶接部耐食性に優れたエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼。
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