JP3239763B2 - 耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼

Info

Publication number
JP3239763B2
JP3239763B2 JP17804496A JP17804496A JP3239763B2 JP 3239763 B2 JP3239763 B2 JP 3239763B2 JP 17804496 A JP17804496 A JP 17804496A JP 17804496 A JP17804496 A JP 17804496A JP 3239763 B2 JP3239763 B2 JP 3239763B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sulfuric acid
less
steel
corrosion resistance
corrosion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP17804496A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1018004A (ja
Inventor
治彦 梶村
茂樹 東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP17804496A priority Critical patent/JP3239763B2/ja
Publication of JPH1018004A publication Critical patent/JPH1018004A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3239763B2 publication Critical patent/JP3239763B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力発電用ボイラ
や産業用ボイラで使用される熱交換器用鋼管、または煙
道や煙突または煙道に設けられる排ガス処理設備などに
使用される材料に要求される耐硫酸腐食性に優れたオー
ステナイト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電用ボイラの燃料として使用され
る石油や石炭には硫黄(S)が含まれ、燃焼によって生
成した硫黄酸化物(S0x )を含む燃焼ガスは、ガス温度
の低下とガス中の水分により硫酸となって装置に結露
し、熱交換器等の材料を腐食させる。このため、硫酸の
結露を防ぐため、熱交換器ではガス温度を硫酸が露点を
結ばない温度(150 ℃)以上に保持していた。ところ
が、近年のエネルギー需要の増大とエネルギー有効利用
の観点から、熱エネルギーをできるだけ有効に回収する
ため、たとえば熱交換器からの排ガス温度を低くする傾
向にあり、硫酸に対する耐腐食性材料が求めれるように
なった。一方、煙道や煙突では、低温(100 ℃以下)の
中濃度(50%程度)の硫酸が結露するため、これらに対
する耐腐食性材料も要求されている。
【0003】従来の熱交換器のガス温度である150 ℃よ
り下がった領域(たとえば140 ℃)では、80%程度の高
濃度の硫酸が結露し、このような部位では耐硫酸露点腐
食鋼として低合金鋼が用いられてきた。この理由は、上
記のような高温高濃度(たとえば100 ℃以上、70%以
上)の硫酸に対してはステンレス鋼よりも低合金鋼の方
が耐食性が良いからである。一方、さらに温度が下がる
と硫酸濃度も50%となり、逆に低合金鋼がステンレス鋼
よりも腐食が大きくなる。たとえば、これらの特定の環
境に対する耐硫酸腐食性材料として次に示す提案がなさ
れている。
【0004】低合金鋼では、 (1) Cu:0.15〜0.60%、Cr:5.00%以下、B:0.01〜0.
50%を含有する耐硫黄露点腐食鋼(特公昭47-18764号公
報)。
【0005】(2) Si: 1.5〜7.0 %、Cr:2%以下、C
u: 0.2〜0.5 %、S:0.03%以下、Mn:0.2 %以下、
P:0.02%以下を含有する硫酸濃度が30%未満である硫
酸腐食環境中において優れたSi含有鋼(特開昭61-3867
号公報)。
【0006】ステンレス鋼では、 (1) Cr:18.0〜29.0%、Ni:20.0〜45%、Mo: 4.0〜9.
0 %、Si: 1.5〜5.0 %、Cu: 0.5〜3.0 %、Mn:2.0
%以下、C:0.10%以下とした、温度が100 ℃前後で、
濃度が 95 %以上での耐硫酸腐食性ステンレス鋼 (特開
昭56−93860 号公報) 。
【0007】(2) Cr:18〜25%、Ni:14〜24%、Mo:1
〜4.5 %、Si:5%以下、Cu: 0.5〜2.0 %、Mn:2.0
%以下、C:0.004 〜0.05%、N:0.01〜0.3 %を基本
に、耐全面腐食性指数と耐隙間腐食性指数を規制するこ
とにより、耐隙間腐食性と耐全面腐食性の2つの特性を
満足する煙突、煙道および脱硫装置用高合金ステンレス
鋼 (特開平2-170946号公報) 。
【0008】(3) Cr:15〜28%、Ni: 8.0〜30%、Mo:
2%超え7%以下、Si:1.00%以下、Cu:2%超え5%
以下、Mn:2.0 %以下、C:0.050 以下、N:0.05〜0.
35%を含有し、酸素を低く、Bを含有し、しかもCu、M
o、Bおよび酸素の含有量を特定することにより、熱間
加工性と耐硫酸腐食性に優れた煙突煙道用ステンレス鋼
(特開平4-346638号公報) 。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、熱交
換器のエネルギー回収効率を高めるためには、さらにガ
ス温度を下げる必要があるが、低温(70℃程度)になる
と硫酸濃度も50%程度に低くなり、逆に低合金鋼の腐食
がステンレス鋼のそれよりも大きくなる。このため、ガ
ス温度が高温から低温まで連続的に変わるような部位で
は、従来使用されていた低合金の耐硫酸露点腐食鋼は使
用できない。また、同じ理由でステンレス鋼も高温側で
耐食性が劣るため使用できない。従って、140 ℃程度の
高い温度から 70 ℃程度の低温までの広範囲にわたる硫
酸溶液中での耐腐食性を示す材料が求められていた。し
かし、前述のように特定の環境での耐硫酸腐食性材料の
提案はあるが、高濃度(80%)から中低濃度(70〜30
%)までのすべての環境での耐硫酸腐食性を満足するよ
うな材料はなかった。
【0010】本発明の目的は、上記硫酸が凝結する高温
高濃度から中低濃度までの硫酸に対して耐腐食性を有す
る材料を提供することにある。以下、低温とは「100 ℃
未満」、高温とは「100 ℃以上」、高濃度とは「70%以
上」、中低濃度とは「70%未満から30%まで」を意味す
る。また、高温高濃度から中低濃度までの硫酸を単に
「広範囲の硫酸濃度」ということもある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、オーステ
ナイト系ステンレス鋼を用い、広範囲の硫酸濃度に対し
て耐食性試験を行った結果、Cuを多量に含有させ、Crや
Moの量を制限することにより、高濃度から中低濃度まで
の硫酸に対する耐腐食性が向上することを知見した。
【0012】本発明は、上記の知見に基づき完成され、
その要旨は、下記、に示すオーステナイト系ステン
レス鋼にある (以下、合金元素の含有量に関する%は質
量%を意味する) 。
【0013】 C:0.05%以下、Si:1.0 %以下、M
n:2.0 %以下、S:0.01%以下、Al:0.10%以下、N
i:18.0〜27.0%、Cr:17.0〜26.0%、Cu: 2.0〜8.0
%、Mo:0.1〜2.0 %で、残部 Fe および不可避的不純
物からなる耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステ
ンレス鋼。
【0014】 C:0.05%以下、Si:1.0 %以下、M
n:2.0 %以下、S:0.01%以下、Al:0.10%以下、N
i:18.0〜27.0%、Cr:17.0〜26.0%、Cu: 2.0〜8.0
%、Mo:0.1〜2.0 %で、さらに、Ca、B、および希土
類元素の中から選んだ1種以上の元素をCaは0.0005〜0.
01%、Bは0.0005〜0.01%、希土類元素は0.0005〜0.01
%の範囲で含有し、残部 Fe および不可避的不純物から
なる耐硫酸腐食性と熱間加工性とに優れたオーステナイ
ト系ステンレス鋼。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、Cuを多量に含有させ、
Moの量を制限したNi-Cr オーステナイト系ステンレス鋼
である。以下、化学組成を規定した理由について説明す
る。
【0016】C:Cは、鋼材の強度を高めるが、粒界で
のCr炭化物形成元素であり、耐粒界腐食性を低下させる
ので 0.05 %以下に抑える。耐粒界腐食性の点からは可
及的に少ない方がよい。しかし、強度を高めるためには
0.03〜0.05%の範囲で含有させてもよい。
【0017】Si:Siは、脱酸元素として必要であり、1.
0 %まで含有させることができる。ただし、高Cu含有鋼
ではCu固溶量を減少させ、熱間加工性を劣化させるため
0.5 %までとすることが望ましい。
【0018】Mn:Mnは、耐食性を低下させる元素である
が、Sを固定し熱間加工性を向上させ、オーステナイト
相を安定化させるので、2.0 %までは許容できる。下限
は、不可避的に混入する程度でもよい。
【0019】S:Sは、鋼の耐食性と熱間加工性を劣化
させる元素であり、その含有量はできるだけ少ない方が
よい。0.01%は許容上限値である。
【0020】Al:Alの含有量が0.10%を超えると鋼の熱
間加工性が低下する。従って、その上限は0.10%とす
る。下限は不可避的不純物の範囲でもよい。ただし、Al
は鋼の脱酸剤として有効であるから、前記のSiを低く抑
えた場合には、その脱酸作用を補うため、積極的に添加
してもよい。脱酸を十分行うためには0.01%以上含有さ
せるのが望ましい。
【0021】Niは、鋼の耐食性を向上させ、またオース
テナイト相を安定化させる元素である。そして、Ni含有
量が18.0%以上になると硫酸溶液中での耐腐食性が著し
く向上する。しかし、27.0%を超えてもその効果は飽和
し、コストアップとなるだけである。従って、その含有
量は18.0〜27.0%とする。
【0022】Cr:Crは、Niと同様、鋼の硫酸溶液中での
耐腐食性を向上させるが、17.0%未満ではその効果が得
られない。また、一般的にCrは、含有量が増えるほど鋼
の耐食性を上げる元素であると思われているが、硫酸溶
液中では多量に含有すると耐腐食性の低下を招く。従っ
て、その含有量は17.0〜26.0%とする。なお、好ましい
のは17.0〜23.0%である。
【0023】Cu:Cuは、電気化学的にはアノード活性溶
解を抑えるとともに、カソード反応である水素発生を抑
制する働きがあり、広範囲の硫酸濃度溶液中の耐腐食性
を向上させる。しかし、その含有量が2.0 %未満では効
果がなく、8.0 %を超えると鋼の熱間加工性を損なう。
従って、その含有量は 2.0〜8.0 %とする。さらに、
3.0〜6.0 %とするのが望ましい。
【0024】Mo:Moは、従来硫酸溶液中での耐腐食性を
向上させると考えられていたが、高濃度硫酸溶液中では
逆にそれを劣化させることがわかった。そこで、本発明
ではMoの含有量の上限を2.0 %に抑えた。一方、中濃度
の硫酸溶液に対する耐腐食性には0.1%以上のMoを含有
させることが有効である。従って、本発明鋼では、Moの
含有量は 0.1〜2.0 %とする。さらに好ましくは 0.5〜
1.5 %である。
【0025】本発明のオーステナイト系ステンレス鋼の
一つは、上記の元素の外、残部がFeと不可避の不純物か
らなるものである。この鋼にさらにCa、B、希土類元素
の中から選んだ1種以上の元素を加えて、熱間加工性を
一層改善したのがもう一つの本発明鋼である。
【0026】Ca:Caは、Sと結合してSの熱間加工性の
低下を抑えるため必要により添加される。しかし、0.00
05%未満ではその効果がなく、0.01%を超えると鋼の清
浄度が低下し、製造時の疵発生の原因となるので、好ま
しくない。従って、その含有量は0.0005〜0.01%とす
る。さらに望ましくは 0.001〜0.01%である。
【0027】B:Bも、鋼の熱間加工性を向上させる元
素であり、必要により添加する。しかし、0.0005%未満
ではその効果は得られない。効果を十分に発揮させるに
は、0.001 %以上含有させるのが望ましい。しかし、0.
01%を超えると鋼の粒界へのCr−B化合物の析出を促進
し、耐食性を低下させる。
【0028】希土類元素:La、Ceなどの希土類元素は、
熱間加工性を向上させる元素であり、必要により添加す
る。その含有量が合計で0.0005%未満では、熱間加工性
を向上させる効果は得られない。また、0.010 %を超え
ると清浄度の低下により製造性や耐孔食性が低下するの
で好ましくない。従って、希土類元素の含有量は合計で
0.0005〜0.01%とする。
【0029】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼を、20kg高周波真空
溶解炉で溶製して得た鋳塊を熱間鍛造して、厚さ20mm、
幅100mm 、長さ250mm の板材とした。さらに、この板材
を厚さ8mmに熱間圧延したのち、厚さ3mm、幅10mm、長
さ40mmの腐食試験片を機械加工によって作製し、硫酸腐
食試験に供した。
【0030】
【表1】
【0031】熱間加工性は、前記の鋳塊の鍛造を行った
後に、得られた板材の割れ発生状況を観察し、最大割れ
長さを測定し、熱間加工性の目標値を15mmとした。
【0032】硫酸腐食試験は、熱交換器での露点腐食を
想定し、温度が140 ℃、硫酸濃度が80 %の溶液中と、
温度が 70 ℃、硫酸濃度が 50 %の溶液中の2種類の環
境で行った。
【0033】実環境において高濃度の硫酸が結露する部
位では、その量は少ない。従って、温度が140 ℃、硫酸
濃度が80%の溶液(以下、これを「80% H2SO4溶液」と
いう)の試験では、その溶液に5分間浸漬した後、液外
に引き上げ、溶液で濡れた状態で140 ℃の温度で55分保
持し、その後再び溶液に浸漬する試験を5回繰り返し行
った。また、温度が 70 ℃、硫酸濃度が50%の溶液(以
下、これを「50% H2SO4溶液」という)では5時間の連
続浸漬を行った。耐腐食性の評価は腐食減量を測定し、
単位面積、単位時間当たりの腐食速度 g/(m2・hr) と
した。なお、耐腐食性の目標値として、いずれの場合に
も4.0 g/(m2・hr) 以下とした。
【0034】これらの試験結果を表1に示す。
【0035】発明例の鋼(鋼符号1〜14)は、Cu、Moお
よびSiを本発明で定める範囲内に含有するので、80% H
2SO4溶液中での耐腐食性は 3.21 g/(m2・hr) 以下、50
% H2SO4溶液中での耐腐食性は 3.86 g/(m2・hr) 以下
とともに良好である。また、鋳片鍛造後の割れ長さは、
いずれも15mm以下で熱間加工性は良好である。符号4〜
12の鋼は、Siを0.25%以下、Sを0.002 %以下、Alを0.
071 %以下と少なく制限し、Ca、B、LaおよびCeの少な
くとも一つを含有するので、鋳片鍛造後の割れ長さは5
mm以下となり、さらに熱間加工性は良好である。
【0036】これに対し比較例の符号15の鋼は、Cuを含
有しないため、80% H2SO4溶液中での耐腐食性は 42.1
g/(m2・hr) 、50% H2SO4溶液中での耐腐食性は 33.6
g/(m2・hr) とともに悪い。また、符号16の鋼は、Cuを
1.5 %しか含有しないため、80% H2SO4溶液中での耐腐
食性は18.4g/(m2・hr) 、50% H2SO4溶液中での耐腐食
性は8.7 g/(m2・hr) と悪い。さらに、符号17の鋼は、
Cuを9.2 %含有するため熱間加工性が悪く、腐食試験片
を作成できなかったので、腐食試験ができなかった。
【0037】符号18の鋼は、Moを2.84%含有するため、
80% H2SO4溶液中での耐腐食性は 5.52 g/(m2・hr) と
悪い。即ち、比較的高温での硫酸露点腐食性に劣る。ま
た、符号19の鋼は、Moを含有しないため、50% H2SO4
液中での耐腐食性は 10.1 g/(m2・hr) と悪い。即ち、
比較的低温での硫酸露点腐食性に劣る。
【0038】符号20の鋼は、Niを12.2%しか含有しない
ため、80% H2SO4溶液中での耐腐食性は 14.2 g/(m2
hr) 、50% H2SO4溶液中での耐腐食性は 15.4 g/(m2
hr)とともに悪い。また、符号21の鋼は、Crを14.8%し
か含有しないため、80% H2SO4溶液中での耐腐食性は
6.73 g/(m2・hr) 、50% H2SO4溶液中での耐腐食性は1
0.6 g/(m2・hr) とともに悪い。さらに、符号22の鋼
は、Crを30.4%含有するため、80% H2SO4溶液中での耐
腐食性は 5.37 g/(m2・hr) と悪い。即ち、比較的高温
での硫酸露点腐食性に劣る。
【0039】符号23の鋼は、Sが0.015 %と高いため、
熱間加工性が悪く、腐食試験片を作成できなかったの
で、腐食試験ができなかった。
【0040】図1は、発明鋼のCu含有量と80% H2SO4
液中での腐食減量との関係を示す図である。同図に示す
ように、Cuを2%以上含有させることで腐食速度を著し
く低減できる。また、 50 % H2SO4溶液においてもほぼ
同様な傾向が得られる。
【0041】図2は、試験に使用した鋼のMo含有量と硫
酸溶液中での腐食速度との関係を示す図であり、表1に
示す鋼からほぼ5%のCu、ほぼ20%のCr、ほぼ25%のNi
を含有する鋼(鋼符号4、7、8、9、13、14、18およ
び19)について、Mo含有量と腐食速度との関係をまとめ
た図である。同図から、Moは、硫酸の濃度によって耐腐
食性が異なり、50% H2SO4溶液ではMoを含有しない方
が、 80 % H2SO4溶液ではMoを高く外れた方が腐食速度
が大きいことがわかる。
【0042】Niは、Cuと同様に耐腐食性に有効である。
しかし、Ni含有量が低すぎる(鋼符号20)と腐食速度が
大きくなる。Crは 50 %、80%のいずれの硫酸濃度に対
しても最適含有量があり、その含有量が低すぎ(鋼符号
21)ても、また高すぎ(鋼符号22)ても耐腐食性が低下
する。
【0043】熱間加工性に関しては、Sの含有量が多い
鋼(鋼符号13および14)、Al添加量の少ない鋼(鋼符号
18)、CaもしくはBまたはLa+Ce添加のない鋼(鋼符号
1〜3)に比べ、適量添加した鋼(鋼符号4〜12)では
割れが少なく、加工性が改善されている。
【0044】
【発明の効果】本発明のオーステナイト系ステンレス鋼
は、広範囲の温度および広範囲の濃度の硫酸溶液に対す
る耐腐食性に優れ、燃焼排ガスが凝縮する設備、たとえ
ば熱交換器、脱硫設備、煙道および煙突の材料として使
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明鋼のCu含有量と80% H2SO4溶液中での腐食
減量との関係を示す図である。
【図2】鋼のMo含有量とH2SO4 溶液中での腐食減量との
関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−346638(JP,A) 特開 平8−218151(JP,A) 特公 平2−48614(JP,B2) 特公 平1−21864(JP,B2) 特公 昭57−60418(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.05%以下、Si:1.0 %以
    下、Mn:2.0 %以下、S:0.01%以下、Al:0.10%以
    下、Ni:18.0〜27.0%、Cr:17.0〜26.0%、Cu: 2.0〜
    8.0 %、Mo: 0.1〜2.0 %で、残部 Fe および不可避的
    不純物からなることを特徴とする耐硫酸腐食性に優れた
    オーステナイト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】質量%で、C:0.05%以下、Si:1.0 %以
    下、Mn:2.0 %以下、S:0.01%以下、Al:0.10%以
    下、Ni:18.0〜27.0%、Cr:17.0〜26.0%、Cu: 2.0〜
    8.0 %、Mo: 0.1〜2.0 %で、さらに、Ca、B、および
    希土類元素の中から選んだ1種以上の元素をCaは0.0005
    〜0.01%、Bは0.0005〜0.01%、希土類元素は0.0005〜
    0.01%の範囲で含有し、残部 Fe および不可避的不純物
    からなることを特徴とする耐硫酸腐食性と熱間加工性と
    に優れたオーステナイト系ステンレス鋼。
JP17804496A 1996-07-08 1996-07-08 耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 Expired - Lifetime JP3239763B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17804496A JP3239763B2 (ja) 1996-07-08 1996-07-08 耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17804496A JP3239763B2 (ja) 1996-07-08 1996-07-08 耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1018004A JPH1018004A (ja) 1998-01-20
JP3239763B2 true JP3239763B2 (ja) 2001-12-17

Family

ID=16041618

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17804496A Expired - Lifetime JP3239763B2 (ja) 1996-07-08 1996-07-08 耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3239763B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103620077B (zh) 2011-06-24 2016-02-03 新日铁住金株式会社 耐渗碳性金属材料
JP5780598B2 (ja) * 2012-02-15 2015-09-16 新日鐵住金ステンレス株式会社 溶接管構造高温機器用オーステナイト系ステンレス鋼
CN109563589B (zh) * 2016-08-03 2020-11-06 新日铁住金株式会社 奥氏体系不锈钢
CN110273104A (zh) * 2019-07-29 2019-09-24 哈尔滨锅炉厂有限责任公司 应用于先进超超临界锅炉的奥氏体耐热钢

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1018004A (ja) 1998-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5186769B2 (ja) 耐硫酸露点腐食鋼
EP2546376B1 (en) Ferritic stainless steel having excellent corrosion resistance in condensed water environment produced by exhaust gas from hydrocarbon combustion
WO2009139355A1 (ja) フェライト系ステンレス鋼
KR100318529B1 (ko) 내황산부식성과 가공성이 우수한 오스테나이트계 스테인레스강
JP6895787B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼、ろう付け構造体、ろう付け構造部品および排気ガス熱交換部品
JPWO2002063056A1 (ja) 耐硫酸露点腐食性に優れた鋼および空気予熱器
JP2013199663A (ja) 耐溶融硝酸塩腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼および溶融硝酸塩を蓄熱媒体とする集熱管ならびに蓄熱システム
WO2013035775A1 (ja) 耐食性及び加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼
JP3239763B2 (ja) 耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
JP3388998B2 (ja) 溶接性に優れた高強度オーステナイト系耐熱鋼
JP5743975B2 (ja) ディーゼルエンジンegrクーラ用オーステナイト系ステンレス鋼およびディーゼルエンジン用egrクーラ
JPH0533104A (ja) 耐熱性, 低温靭性および溶接性に優れたフエライト系耐熱用ステンレス鋼
JPH09324246A (ja) 耐高温腐食性に優れた熱交換器用オーステナイト系ステンレス鋼
JP3858456B2 (ja) 耐硫酸露点腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼及びその製造方法
JP3527640B2 (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼用溶接金属
JPH0570895A (ja) ごみ焼却廃熱ボイラ伝熱管用高耐食合金鋼
JPH11189848A (ja) 耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
JP2000290754A (ja) 高耐食性クラッド鋼及び石炭火力プラント用煙突
JPH06179952A (ja) ソーダ回収ボイラ伝熱管用オーステナイトステンレス鋼
JPH108218A (ja) 排ガス伝熱部材用フェライト系ステンレス鋼及び製造方法
JPH11158584A (ja) 耐硫酸腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
JP3294282B2 (ja) 耐硫酸腐食性と加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
JP4290260B2 (ja) 廃棄物焼却プラントボイラ伝熱管用高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼
JPH10237601A (ja) 耐中性塩化物腐食性オーステナイト系ステンレス鋼
JP3527458B2 (ja) 溶接部の耐食性に優れた石炭焚火力発電プラント煙突内筒用クラッド鋼および煙突

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071012

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081012

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081012

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091012

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111012

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121012

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131012

Year of fee payment: 12

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term