JP4974542B2 - 自動車用排ガス流路部材 - Google Patents

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Description

本発明は、排気ガスの結露と蒸発が繰り返される自動車マフラー等、排気ガス凝縮水に対する耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼からなる自動車用排ガス流路部材に関する。
自動車排ガス流路部材の構成材料としては、孔食,隙間腐食等の耐食性に優れ、しかもオーステナイト系ステンレス鋼で問題となる応力腐食割れの心配がないことから、低炭素・低窒素のフェライト系ステンレス鋼であるSUS436L(LowC,N 18Cr−1Mo−Ti)やSUS436J1L(LowC,N 17.5Cr−0.5Mo−Nb(Ti))が用いられている。しかし、これらのステンレス鋼にはいずれも資源的に希少で高価なMoが添加されており、最近の金属Mo高騰を契機に、コスト削減と省資源の観点からMo添加量の低減が求められるようになった。
ところで、自動車の燃焼ガスには人体や環境に悪影響を及ぼす有害なガスが含まれている。このため、自動車の燃焼ガスは触媒コンバータによって無害なものに浄化されている。しかしながら、コールドスタート時には燃料過多の状態でエンジンは稼動され、しかも触媒コンバータの温度が低いために浄化機能が十分に作動せず、有害な燃焼ガスは浄化しきれないでマフラーに排気されている。
そして、マフラーの温度が排気ガスの露点以下の場合には、排気ガスは結露して凝縮する。
凝縮水の組成は、主として無機塩と有機化合物である。そして、無機塩は、Cl-,SO4 2-,SO3 2-,NO3 2-,HCO3-及びCO3 2-のアンモニウム塩であり、有機化合物はアルデヒド及び蟻酸,酢酸のアンモニウム塩である。
凝縮水は排気ガスにより加熱され、水分が蒸発しイオン種は濃化するとともに、各々のアンモニウム塩は分解してそれぞれ酸となる。酸としては、HCl,H2SO4,H2SO3,HNO3,蟻酸及び酢酸が形成される。しかし、これらは系外に全て排出されるわけではなく、次第にマフラー内で濃化する。
このように、自動車マフラー等の排ガス流路部材は排気ガスの凝縮と蒸発の繰り返しによって腐食環境が厳しくなる。特に排気系部材にステンレス鋼を用いた場合には、問題となる腐食形態は孔食である。
腐食環境の厳しい自動車マフラー等のステンレス鋼製排ガス流路部材の耐食性、特に孔食性の改善を図るためにMoを添加することが、特許文献1,2等で提案されている。
すなわち、特許文献1では、Cr量を18.5質量%以下とし、0.2〜3.0質量%のMoを添加したTi,Nb添加フェライト系ステンレス鋼に、さらにNi,Cu等の成分を添加することが提案されている。また、特許文献2では、硫黄分の多い燃料の使用を想定し、さらにエンジンの高出力化への対応を図った高耐食性フェライト系ステンレス鋼を得るために、Cr量とMo量の増量を基本とした上で、Alを添加して不動態皮膜にAlの濃化層を形成することで耐食性の改善を図ることが提案されている。
特開平4−17615号公報 特開平6−41695号公報
しかしながら、上記特許文献1,2で提案された技術はいずれも高価なMoの添加を基本としており、コスト削減や省資源の問題は考慮されていない。特に特許文献1の技術では、Cr量の上限を18.5質量%に抑えているため、十分な耐食性を確保するためにMoの添加量が必然的に増加している。
このように、自動車マフラー等の排ガス流路部材に用いられるフェライト系ステンレス鋼には、高価なMoの添加が不可欠になっている。
北米の融雪塩散布地域を走行した自動車から回収したマフラーを調査したところ、二重構造のマフラーではほとんどのシェルに腐食が生じており、特にインナーシェルとアウターシェル間の隙間での腐食が激しく、インナーシェルの孔食を凌ぐ腐食状態であった。自動車マフラーは薄い板厚のシェルを二重巻きにしてトッププレート及びエンドプレートとかしめる構造になっており、何らかの理由で凝縮水が二重巻きのシェル間に浸入すると隙間腐食が進行しやすい形態となる。さらに融雪塩散布地域では上述のコールドスタートが頻繁に繰り返されるため、マフラー内の腐食環境はより厳しくなっていると推測される。また、二重巻きのシェルとトップ或いはエンドプレートとのかしめ部が不完全な場合、撒布された融雪塩が二重巻きシェル間に進入し、隙間腐食が進行しやすくなる。
したがって、自動車マフラー等の排ガス流路部材に対しては、排気ガスの凝縮−蒸発を繰り返す条件下において、十分な耐孔食性と耐隙間腐食性を併せ持つこと、並びにかしめ接合部に間隙のないことが要求される。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、Moを添加することなく、排気ガスによる300〜500℃の加熱を受けても耐食性の低下が小さく、排気ガスの凝縮−蒸発環境において孔食と隙間腐食の進行を抑制できる耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼から形作られた自動車用排ガス流路部材を提供することを目的とする。
本発明の自動車用排ガス流路部材は、その目的を達成するため、C:0.015質量%以下,Si:2.0質量%以下,Mn:1.0質量%以下,P:0.045質量%以下,S:0.010質量%以下,Cr:16〜25質量%,Nb:0.05〜0.2質量%,Ti:0.05〜0.5質量%,N:0.025質量%以下,Al:0.02〜1.0質量%、さらにNi:0.1〜2.0質量%及びCu:0.1〜1.0質量%の一種以上をNi+Cuで0.6質量%以上含み、残部がFe及び不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼を素材として構成されたことを特徴とする。
本発明で提供される自動車用排ガス流路部材は、排気ガスによる300〜500℃の加熱を受けても耐食性の低下が小さく、排気ガスの凝縮−蒸発環境において孔食,隙間腐食の進行が有効に抑制される。また、かしめ接合で間隙が生じないので、融雪塩散布地域で問題になる塩害に対してもより耐食性に優れ、寒冷地向けの自動車用排ガス流路部材として好適である。
しかも高価なMoを添加していないため、ユーザーの経済的負担並びに限られた資源の消耗を最小限に抑えることができる。
マフラー等、自動車用排ガス流路部材は排気ガスによって300〜500℃の加熱を受けるが、高温での加熱はステンレス鋼が本来有する耐食性を低下させるおそれがある。加熱によるステンレス鋼の耐食性低下は、Feが酸化して不動態皮膜中のCr酸化物濃度が低下する、或いはCrの酸化に伴い不動態皮膜直下でCr欠乏層ができるためと考えられる。
また、凝縮水組成のうちCl-及びSO3 2-はステンレス鋼の耐食性を阻害するイオン種であり、さらに凝縮水の蒸発過程でHCl及びH2SO3に変化することでステンレス鋼の腐食を促進する。
本発明者等は、自動車用排ガス流路部材の耐食性低下要因を種々検討した結果、Crの酸化を抑制し良好な耐食性を得るには適量のNi及びCuを併せて添加することが有効であること、並びに耐食性改善元素として知られているMoはステンレス鋼の300〜500℃の加熱による耐食性低下の抑制には作用しない。むしろ、フェライト系ステンレス鋼のCr量を高めるとともに適量のNi,Cuを添加することで、孔食や隙間腐食の進行を効果的に抑制し得ることを見出した。
以下に、本発明の詳細を説明する。
本発明で基材となるフェライト系ステンレス鋼を構成する各成分の作用とその含有量の限定理由について説明する。
C:0.015質量%以下,N:0.025質量%以下
C,Nはステンレス鋼中に不可避的に含まれる元素である。C含有量及びN含有量を低減すると、ステンレス鋼が軟質になり、加工性が向上し、マフラーのかしめ接合が容易となって間隙が形成され難くなる。また、C含有量及びN含有量の低減に伴って、炭化物,窒化物等の生成が少なくなり、溶接性及び溶接部の耐食性が向上する。しかし、低減のためには精錬時間が長くなり、ステンレス鋼製造のコスト上昇を招くため、Cは0.015質量%までの、またNは0.025質量%までの含有を許容することにした。
Si:2.0質量%以下
Siはステンレス鋼の脱酸剤として添加されるが、鋼の耐酸化性を向上させる上でも有効な合金元素である。その効果を発現させるために、0.1質量%以上のSiを含有させることが好ましい。Siの添加量は適用する部材に必要な酸化特性に応じて決められるが、あまり多く添加すると鋼を硬質化して加工性を低下させ、かしめ接合が困難となって間隙が形成されやすくなる。また、溶接部の靭性低下の原因となる。そこで、本発明においては、2.0質量%と定めた。
Mn:1.0質量%以下
Mnはステンレス鋼に不純物として含まれているSと結合し、化学的に不安定な硫化物であるMnSを形成して耐食性を低下させる。さらに固溶するMnも耐食性を阻害する。したがって、Mn含有量は低いほど好ましく、本発明においてはその上限を1.0質量%に規定した。
P:0.045質量%以下
Pは母材及び溶接部の靭性を低下させることから、低いほど好ましい。しかし、含Cr鋼の脱燐は困難であり、極度にP含有量を低下させることは製造コストの上昇を招く。したがって、本発明ではその上限を0.045質量%に規定した。
S:0.010質量%以下
SはMnと硫化物を形成して孔食の起点となり耐食性を阻害するが、孔食の成長を促進する作用はない。しかし、溶接部の高温割れに悪影響を及ぼすため、低い方が好ましい。したがって、本発明においては、その上限を0.010質量%に規定した。
Cr:16〜25質量%
Crはステンレス鋼の表面に不動態皮膜を形成する主要な合金元素であり、耐孔食性,耐隙間腐食性及び一般の耐食性を向上させる。本発明では、Ni,Cuの局部腐食の進行を抑制する作用に着目した点を特徴としたものであるが、Cr含有量が多いほどその効果が大きくなる。Cr含有量が16質量%に満たないとその効果は小さい。しかし、あまりCr含有量を多くすると、機械的特性や靭性を損ねるばかりでなくステンレス鋼の製造コスト増につながる。したがって、適用する排ガス流路部材で要求される加工性及び耐食性の観点から必要量のCrを添加すればよい。本発明では25質量%を上限とする。
Ni:0.1〜2.0質量%
Niはフェライト系ステンレス鋼の靭性改善に有効な合金元素であり、耐食性の面では孔食や隙間腐食の進行を抑制する作用を有する。この効果はステンレス鋼のCr含有量が多いほど大きい。Niの効果を発現させるためには0.1質量%以上添加する必要がある。しかし、多量に添加するとフェライト組織が維持できなくなり、しかも鋼を硬質化して加工性を阻害するのでNi含有量は2.0質量%を上限とする。
Cu:0.1〜1.0質量%
0.1質量%以上のCuは、フェライト系ステンレス鋼の孔食電位を向上させるとともに、Niと同様に、孔食や隙間腐食の進行を抑える。また、凝縮水の蒸発過程で生成する硫酸,亜硫酸に対して有効な耐食性改善効果を示す。これらの効果はCr含有量が多いほど大きくなるが、Cuを過剰に添加すると耐孔食性や耐隙間腐食性を阻害する側面も生じてくる。したがって、本発明では、Cu含有量は1.0質量%を上限とする。
Ni+Cu:0.6質量%以上
本発明では、16質量%以上のCrを含有するフェライト系ステンレス鋼におけるNi,Cuの孔食や隙間腐食の進行抑制作用を活用していることを最大の特徴としている。そして、上記作用はNiとCuの一種以上を合計で0.6質量%以上とすることにより発現するので、本発明では、Ni:0.1〜2.0質量%及びCu:0.1〜1.0質量%の一種以上をNi+Cuで0.6質量%以上含有することを必須とする。
Nb:0.05〜0.2質量%
Nbは、Tiと同様に、C,Nとの親和力が強く、フェライト系ステンレス鋼で問題となる粒界腐食を防止するのに有効な元素である。しかし、過剰に添加すると溶接高温割れが生じるようになるばかりでなく、溶接部靭性も低下する。さらに、過剰なNbはステンレス鋼を硬質にして加工性を低下させ、かしめ接合時に間隙を形成する原因となる。本発明ではマフラーでのかしめ接合性を損なわない量として上限は0.2質量%とする。下限は、粒界腐食を防止する観点から決定され、0.05質量%以上を必要とする。
Ti:0.05〜0.5質量%
Tiは、本発明を構成する上で重要な元素である。Alとの複合添加により、排気ガスによる加熱で鋼の表面にAl酸化物皮膜を形成し、Fe及びCrの酸化を抑制し、耐食性の低下を抑える。さらに、Nbと同様、C,Nを固定する作用も有する。この作用は0.05質量%以上の含有で発現する。しかし、Tiの添加量が多くなると、素材の表面品質や溶接性を低下させる。したがって、0.5質量%を上限とする。
Al:0.02〜1.0質量%
Alは鋼の脱酸材として用いられる元素であるが、Tiと複合して添加することで、排気ガスによる加熱で鋼の表面にAl酸化物皮膜を形成し、Fe及びCrの酸化を抑制し、耐食性の低下を抑える。したがって、比較的高い温度の加熱を受ける部材に適用する場合に有効に作用する。Al含有量が0.02質量%に満たないAl量では有効なAl酸化物皮膜は形成されない。逆に1.0質量%を超えて添加すると、素材の表面品質や溶接製を低下させることになる。したがって、1.0質量%を上限とする。
以上で説明した合金成分以外は不純物である。ステンレス鋼に不可避的に混入しやすい不純物としては、V,Mo,Ca,B,REM等が挙げられる。これらは、副原料、電気炉を構成する耐火煉瓦や炉壁の付着物、スラグ等からの混入が考えられる。N,Moの混入は特に不具合を生じないので0.3質量%を上限とする。Ca,B及びREMは、本発明では耐食性を阻害したり、表面性状を悪化したりすることのない許容量である0.003質量%を上限とする。
以上に説明したフェライト系ステンレス鋼を素材として、自動車用排ガス流路部材を製造する。製造される自動車用排ガス流路部材としては、エキゾーストマニホールド,フロントパイプ,触媒コンバータ,センターパイプ,マフラー,テールパイプ等が挙げられる。各部材の形状構造に応じて公知の製造方法が採用される。成形手段に制限はない。例えば、エキゾーストマニホールドでは所要径に造管された鋼管にバルジ加工を施すことによって製造してもよい。或いは、マフラーでは、適宜形状の成形されたシェル,トッププレート,エンドプレート,バッフルプレート,インナーチューブ,テールチューブ等が組み立てられ、溶接法やかしめ法で固定されている。
実施例1
表1に示す化学成分を有するステンレス鋼を溶製し、熱間圧延によって板厚3.0mmの熱延板を製造した。この熱延板を板厚1.0mmまで冷間圧延し、975〜1050℃で仕上げ焼鈍を施し、酸洗した後、試験に供した。
表1中、No.1〜6は、本発明で規定する組成範囲の鋼であり、いずれもNbとTiを複合添加し、微量のAlをも含有させた鋼である。No.1は18%Cr鋼に0.5%のCuを添加した鋼である。また、No.2〜5は20%Cr鋼で、このうちNo.2はさらに0.5%のNiを、No.3はさらに0.8%のCuを、No.4はさらに0.5%ずつのNiとCuを、No.5はさらに1%のNiを添加した鋼である。さらに、No.6はCr量を24%に増量した鋼にさらに0.5%ずつのNiとCuを含有させた鋼である。
これに対して、No.7〜10は比較鋼である。このうち、No.7は、11Cr−0.2TiのSUS409Lで主としてマフラー以外の排ガス流路部材として使われているものである。また、No.8は,18Cr−0.5MoのSUS436J1L、No.9は、18Cr−1MoのSUS436Lであり、マフラーとして多用されている鋼である。さらに、No.10は、さらに高耐食性を有する18Cr−2MoのSUS444である。ただし、No.10の鋼は、耐力が350N/mm2を超えており、かしめ接合を施す部材に供することはできない。
なお、No.1〜6の本発明鋼は、耐力が何れも350N/mm2を下回っており、かしめ接合性は良好である。
Figure 0004974542
煮沸・結露試験
排気ガスの凝縮と蒸発が繰り返されるマフラーの内部湿食を模擬するため、図1に示す試験方法によって供試鋼の耐食性を評価した。
試験片は、板厚1.0mmの各供試鋼から50mm×120mmと、50mm×90mmの短冊型試験片を切り出し、重ね合わせて中央部をスポット溶接して隙間構造試験片を作製した。試験液は実車マフラーから採取した凝縮水の分析例を参考にして模擬凝縮水を作成した。表2に模擬凝縮水の組成を示す。なお、試験液の調整はいずれもアンモニウム塩で行った。表中のイオン種では塩化物イオンと亜硫酸イオンは腐食性が強い。これらのイオンは実車マフラーの凝縮水で分析される量よりも高い濃度に設定している。
Figure 0004974542
煮沸・結露試験では、試験片を試験液に半浸漬状態で浸漬し、4時間煮沸して試験液を6倍まで濃縮し、その後、温度30℃、相対湿度80%の結露条件で20時間保持した。これを5回繰り返し、排気ガスによる加熱を模擬して300℃×2時間(試験a)と500℃×2時間(試験b)の加熱を加えるサイクルを2回繰り返した。なお、試験aは通常の走行でマフラーが受ける加熱温度を想定したものであり、試験bは長期間の急坂走行でマフラーが到達する温度を想定したものである。
そして、煮沸・結露試験後、スポット溶接のナゲットをドリルにてくり貫き、隙間面に生じた侵食深さを測定した。その測定結果を表3に示す。
表3に示す結果から明らかなように、加熱温度の高い試験bは試験aに比べて腐食性が強く、マフラーに使用されているNo.8及びNo.9にも0.2mmを超える侵食が生じていた。本発明例であるNo.1〜6では、いずれも比較例のNo.8及びNo.9と同等若しくは同等以上の耐食性を示した。なかでも、1%のNiを添加したNo.5及び24%CrにCu及びNiをそれぞれ0.5%添加したNo.6では、隙間腐食による侵食が現行のマフラー材のそれよりも浅く、耐食性に優れていた。
実施例2
凝縮水に対する耐湿食性の他に、寒冷地を走行する自動車にはその排ガス流路部材の外面に対して耐塩害性が要求される。そこで、塩水噴霧−乾燥繰り返し試験(CCT)にて本発明鋼の耐塩害性を調査した。
試験片は、各供試鋼から50mm×100mmの短冊型試験片を切り出し、切断端面をシリコン樹脂でシールし、75度の角度で試験機にセットした。
CCTは、通常、塩水噴霧−乾燥−湿潤の3ステップからなっている。本実施例では、ステンレス鋼の赤さび発生に寄与しない塩水噴霧時間は短くしている。具体的には、「5%食塩水を35℃で15分噴霧する塩水噴霧→相対湿度35%,温度60℃で1時間保持する乾燥→相対湿度95%,温度50℃で3時間保持する湿潤」を1サイクルとしたものを200サイクル繰り返すCCTを行った。
そして、耐塩害性の評価として試験片に生じた侵食深さを測定した。その結果を表3に併せて示す。
Figure 0004974542
表3の結果からわかるように、本発明鋼の孔食深さはいずれも0.2mm以下であり、0.5〜2%のMoを含む鋼の孔食深さと同等以上の耐塩害性を有していることが確認された。
実施例1と同様に、1%のNiを添加したNo.5及び24%CrにCu及びNiをそれぞれ0.5%添加したNo.6では孔食は浅く、孔食や隙間腐食に対してCr量の増加は、NiやCuの局部腐食の進行を抑制する作用をより効果的にすることが確認できた。
排気ガスの結露環境を模して行った煮沸・結露試験方法を説明する図 隙間試験片の形状を説明する図

Claims (1)

  1. C:0.015質量%以下,Si:2.0質量%以下,Mn:1.0質量%以下,P:0.045質量%以下,S:0.010質量%以下,Cr:16〜25質量%,Nb:0.05〜0.2質量%,Ti:0.05〜0.5質量%,N:0.025質量%以下,Al:0.02〜1.0質量%、さらにNi:0.1〜2.0質量%及びCu:0.1〜1.0質量%の一種以上をNi+Cuで0.6質量%以上含み、残部がFe及び不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼を素材として構成されたことを特徴とする自動車用排ガス流路部材。
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