JPH08144012A - 天然ガス焚き煙突・煙道用鋼 - Google Patents

天然ガス焚き煙突・煙道用鋼

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JPH08144012A
JPH08144012A JP24273595A JP24273595A JPH08144012A JP H08144012 A JPH08144012 A JP H08144012A JP 24273595 A JP24273595 A JP 24273595A JP 24273595 A JP24273595 A JP 24273595A JP H08144012 A JPH08144012 A JP H08144012A
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康児 田辺
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秀里 間渕
Yukio Tomita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低C、Cr系鋼として、ステンレス鋼より安
価で、かつ溶接構造用圧延鋼材に比して2倍以上の耐孔
食性を示す天然ガス焚き煙突・煙道用鋼を提供する。 【解決手段】 重量(%)で、C:0.05%以下、M
n:0.2〜1.2%、S:0.005%以下、Cr:
0.5〜4.0%未満、Ti:0.005〜0.1%、
N:0.005%以下、Cu+Ni+Mo:0.05〜
2.0%を含み、かつPcm≦0.28を満足し、残部
がFeおよび不可避不純物からなり、さらにAl、N
b、Vの1種または2種以上を所定の重量%含むことを
特徴とする天然ガス焚き煙突・煙道用鋼。 (Pcm=C+Mn/20+Cr/20)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然ガス焚きボイ
ラー煙突・煙道の濃厚電解質溶液腐食環境で優れた耐食
性を示す天然ガス焚きボイラー煙突・煙道用の溶接構造
用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に火力発電所では、ボイラーで生じ
た燃焼排気ガスは、脱硫装置、脱硝装置、電気集塵機、
空気予熱器、煙道等の設備を通って煙突に至り、大気中
へ放出される。従来、煙突や煙道の内面には筒身を保護
するためにキャスタブル等の無機系材料を主体としたラ
イニングが施されている例(三菱重工技報、Vol.2
7、No.5、1990−9)が主流であった。
【0003】一方、無機系のライニング材の代わりに、
耐硫酸露点腐食低合金鋼を煙突内筒や煙道に適用する例
も多い(新日本製鐡株式会社カタログ、耐硫酸露点腐食
鋼S−TEM Cat.No.AC107 ’92.7
版)。また同様に、メンテナンスフリー化を目的とし
て、煙突用ライニング材として優れた耐食性を有するオ
ーステナイト系ステンレス鋼が開発され(新日本製鐡株
式会社カタログ、耐硫酸露点腐食ステンレス鋼YUS2
60 Cat.No.SS109 ’91.1版)、実
用化されている。
【0004】また、本発明者らは、LNG焚きボイラー
排気ガスの濃縮水腐食環境において優れた耐食性を示す
鋼板を提供することを目的として、特開平6−1582
32号公報において、Crを7〜13%、Tiを0.0
05〜0.1%含有する耐濃縮水腐食性に優れた鋼板を
提案した。さらに、本発明者らは、脱硝設備を有するL
NG焚きボイラーで懸念される酸性硫安腐食環境におい
て優れた耐食性を示す鋼板を提供することを目的とし
て、特願平6−29348号において、Crを4〜9
%、Tiを0.005〜0.1%含有する耐食低合金鋼
を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】最近、火力発電所等に
おいて、従来の石炭・石油焚きに加えてLNG等の天然
ガス焚きが増えている。天然ガスは、石油・石炭に比べ
て含有硫黄分が著しく少なく、燃焼排気ガス中の水分含
有量が高いことが特徴であり、クレーンエネルギーの一
つと称されている。
【0006】それ故、天然ガス焚き化に伴い、煙突・煙
道における腐食環境は、従来の燃料中のSに起因する硫
酸露点腐食環境ではない新たな腐食環境に変化している
ことが推定された。
【0007】本発明者らの調査によれば、天然ガス焚き
ボイラー排気ガス系統の腐食環境は、大別して3種類に
分類されることが判明した。第一は、燃焼排気ガスが水
露点温度以下になった場合に生じる濃縮水による腐食で
あり、第二は、脱硝設備がある場合の酸性硫安による腐
食であり、第三は、水露点濃度以上の温度において付着
物中の含有水分中に腐食性物質が溶解した濃厚電解質溶
液による腐食である。
【0008】前記第一と第三の腐食環境の違いの一つは
塩化物イオン濃度レベルであり、前記第一の腐食環境で
は高々0.1g/100gH2O程度であるのに対し
て、前記第三の腐食環境では、ほぼ飽和溶解濃度(約2
7g/100gH2O、90℃)となる。
【0009】天然ガス焚き煙突・煙道の腐食環境を詳細
に調査した結果、煙道・煙突の腐食環境は、1)ボイラ
ーの起動・停止時、2)定常運転時に大別され、鋼材の
腐食に影響する環境は、前記2)であることが判明し
た。この場合、内面温度は100℃付近となるため、前
記1)で生じる燃焼排気ガス中の水分の結露は生じず、
前記第三の腐食環境が支配的な環境であることが判明し
た。
【0010】前述の耐硫酸露点腐食ステンレス鋼カタロ
グによると、従来の硫酸露点腐食環境では、煙道内の付
着物のpHが0.6〜1.6と極めて低いことが記され
ている。一方、天然ガス焚きの煙道内に生じる濃厚電解
質溶液のpHは3.5〜5.5と前記pHよりも高く、
その腐食性は硫酸露点腐食環境と比較すると穏やかでは
あるものの、溶接構造用圧延鋼材(JIS SM490
など)の無塗装使用では耐食性が不足するため適用でき
ないことが、本発明者らの調査で明らかになった。
【0011】前記の従来技術のうち、耐硫酸露点腐食低
合金鋼や耐硫酸露点腐食ステンレス鋼は、何れも石油・
石炭焚きで懸念される硫酸露点腐食対策として提案され
たもので、天然ガス焚きの煙突・煙道において適用した
場合、下記の課題が生じている。
【0012】第一に、前記の煙突・煙道内面を無機系材
料でライニングする方法では、排ガス中の腐食性成分や
熱によるライニングの経年劣化が生じるため、劣化状況
に応じたメンテナンスが必要となり、相当の費用と期間
を要している。また、メンテナンスによるプラントの操
業停止により、多大の損失を招くこともある。
【0013】第二に、前記の耐硫酸露点腐食低合金鋼の
内面への適用では、燃料の天然ガス化に伴い、腐食環境
が前記のように硫酸露点腐食環境から濃厚電解質溶液腐
食環境へ変化したため、硫酸露点腐食環境において生成
する保護性の皮膜が生成しないので、十分な耐食性を発
揮しないといった課題があった。
【0014】第三に、前記の耐硫酸露点腐食ステンレス
鋼でライニングする方法では、コストが高いといった課
題があった。
【0015】一方、特開平6−158232号公報で提
案した耐濃縮水腐食性に優れた鋼板や、特願平6−29
345号で提案した耐酸性硫安腐食性に優れた耐食低合
金鋼では、Cr添加量が比較的高いためにガス切断が難
しく、プラズマ切断やパウダー切断を必要としているた
め、加工コストが普通鋼や前記の耐露点腐食低合金鋼等
に比べて高くなるといった課題があった。また、煙道・
煙突といった強度部材に適用する場合、Crをそれぞれ
7〜19%(特開平6−158232号公報)、4〜9
%(特願平6−29348号)含有するため、溶接部に
マルテンサイトが生成してHAZ硬さが上昇するので、
溶接部の靱性が劣化するという課題があった。
【0016】本発明は、かかる問題点を解決すべく、低
C、Cr+α(α;Cu、Ni、Mo)系鋼として、ス
テンレス鋼より安価で、かつ溶接構造用圧延鋼材に比し
て2倍以上の耐孔食性を示し、かつ耐濃縮水腐食性に優
れた鋼板や耐酸性硫安腐食性に優れた耐食低合金鋼に比
較して溶接性およびガス切断性に優れた天然ガス焚き煙
突・煙道用鋼を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
とするところは下記のとおりである。 (1)重量(%)で、C:0.05%以下、Mn:0.
2〜1.2%、S:0.005%以下、Cr:0.5〜
4.0%未満、Ti:0.005〜0.1%、N:0.
005%以下 Cu、NiおよびMoの1種または2種以上の合計:
0.05〜2.0%を含み、 Pcm≦0.28 を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなること
を特徴とする天然ガス焚き煙突・煙道用鋼。
【0018】ただし、 Pcm=C+Mn/20+Cr/20
【0019】(2)重量(%)で、Al:0.005〜
0.07%、Nb:0.005〜0.05%、V:0.
005〜0.05%のうち少なくとも1種を含有するこ
とを特徴とする前項(1)記載の天然ガス焚き煙突・煙
道用鋼。
【0020】(3)重量(%)で、Si:0.01〜
0.5%、P:0.025%以下を含有することを特徴
とする前項(1)または(2)記載の天然ガス焚き煙突
・煙道用鋼。
【0021】(4)重量(%)で、Ta:0.001〜
0.1%、B:0.0003〜0.0050%、RE
M:0.0003〜0.10%、Ca:0.001〜
0.06%、Zr:0.0002〜0.10%のうち少
なくとも1種を含有することを特徴とする前項(3)記
載の天然ガス焚き煙突・煙道用鋼。
【0022】(5)重量(%)で、C:0.01〜0.
10%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜
1.5%、P:0.025%以下、S:0.010%以
下、Cr:0.5〜9.0%、Al:0.005〜0.
10%、O:0.0040%以下、N:0.0080%
以下を含み、かつCu、NiおよびMoの1種または2
種以上の合計:0.05〜2.0%を含み、 Pcm2≦0.70 を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなること
を特徴とするガス切断性に優れた天然ガス焚き煙突・煙
道用鋼。
【0023】ただし、 Pcm2=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+
Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
【0024】(6)重量(%)で、Nb:0.005〜
0.1%、V:0.005〜0.1%、Ti:0.00
5〜0.05%、Ta:0.001〜0.1%のうち1
種または2種以上を含み、および/またはB:0.00
03〜0.0050%を含み、および/またはREM:
0.0003〜0.10%、Ca:0.001〜0.0
6%、Zr:0.0002〜0.10%を含有すること
を特徴とする前項(5)記載のガス切断性に優れた天然
ガス焚き煙突・煙道用鋼。
【0025】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。以下に本発明
における限定理由を説明する。
【0026】(1)請求項1〜4 本発明の限定要件は上記したとおり、低C、低S、中C
r:0.5〜4.0%未満、Cu、NiおよびMoの1
種または2種以上の合計:0.05〜2.0%、Ti添
加、低Nの成分からなることが必須である。つまり、低
〔C〕化によりFe3 Cの析出量を抑制し、カソード活
性サイトを減少させる効果と、低〔S〕、低〔Mn〕化
によってCl- イオン等の腐食性アニオンに対するFe
およびCrの含水酸化物からなる皮膜の抵抗性を弱める
MnS生成の抑制と、中〔Cr〕化による鋼表面の保護
皮膜の形成の効果、およびCu、NiまたはMoが前記
保護皮膜中に濃縮することにより保護皮膜が一層緻密に
なる効果の相乗効果により、鋼板自身の耐孔食性が向上
し、他の防食措置を施すことなく、天然ガス焚き煙突・
煙道における腐食環境で優れた耐孔食性を示し、かつ低
〔C〕化、Ti添加、低〔N〕化、Pcm≦0.28に
より優れたHAZ靱性を示し、かつCrの上限を4.0
%未満とすることにより良好なガス切断性を示す鋼板が
得られる。
【0027】まず、合金元素含有量を前記範囲に限定し
た理由を述べる。Cは製鋼上含まれるものであるが、
0.05%を超えるとFe3 Cの析出量増加によりカソ
ード活性サイトが増加して耐孔食性が著しく劣化するだ
けでなくHAZの低温靱性が悪化するので、0.05%
以下とした。Nは多くなるとHAZ靱性を劣化させるた
め、上限を0.005%とした。
【0028】Mnは強度、靱性を確保する上で不可欠の
元素であり、かつ鋼中に不純物として存在するSをMn
Sとして固定するために添加するが、0.2%未満では
十分な効果が得られず、また1.2%を超えると加工性
が劣化するので、0.2〜1.2%とした。
【0029】Sは鋼中に不純物として存在するが、その
量が多くなると硫化物を形成し、Cl- イオンに対する
FeおよびCrの含水酸化物からなる皮膜の抵抗を弱め
るMnSが増加して耐孔食性を著しく悪化させるので、
0.005%以下とした。
【0030】Crは鋼表面に耐孔食性に優れたFeおよ
びCrの含水酸化物からなる皮膜を生成して鋼の耐孔食
性を向上させるが、その効果は0.5%以上で認められ
る。Cr単独の添加により十分な耐孔食性を確保するに
は4%以上の添加が必要であるが、4.0%以上添加す
るとガス切断性が低下する。しかし、Cr添加量が4%
未満でも、Cr−Cu、Cr−NiまたはCr−Moの
複合添加により、耐孔食性に優れたFeおよびCrの含
水酸化物からなる皮膜中へのCrの濃化が著しく促進さ
れるとともに、Cu、NiまたはMoが皮膜中へ濃縮す
ることにより皮膜が一層緻密になって耐孔食性は著しく
向上するため、Crの範囲を0.05〜4.0%未満と
した。
【0031】Cu、NiまたはMoはCrと複合添加す
ることにより、耐孔食性に優れたFeおよびCrの含水
酸化物からなる皮膜中へのCrの濃化を著しく促進する
とともに、Cu、Ni、Moが皮膜中へ濃縮することに
より皮膜が一層緻密になって耐孔食性は著しく向上す
る。その効果はCu+Ni+Moが0.05%以上で認
められ、また2.0%でほぼ飽和するので、0.05≦
Cu+Ni+Mo≦2.0%の範囲とした。
【0032】Tiは0.005%以上添加することで、
鋼中のC、Nを固定し、カソードサイトとして作用する
ために合金の均一溶解を促進し、アノードとカソードの
分布の遍在を抑制することで均一な全面腐食の進行を促
す結果、局部的な腐食による孔あきを抑制することによ
り耐食性および耐孔あき性を向上させる。また、TiO
やTiNを鋼中に形成し、溶接時熱影響部の粒径を微細
化したり、粒内フェライトを生成したりすることによ
り、靱性を向上させる効果がある。この場合、0.10
%を超えて添加すると靱性が低下するので、その範囲を
0.005〜0.10%とした。
【0033】Pcmは、0.28以下でHAZ硬さの上
昇を抑制して靱性が確保されるので、Pcm≦0.28
とした。
【0034】本発明鋼の基本成分は以上のとおりであ
り、これにより十分に目的を達成することができるが、
さらに目的に対して特性を向上させるために、以下に述
べる元素、すなわちSi、P、Al、Nb、V、Ta、
B、REM、Ca、Zrを選択的に添加することによ
り、耐孔食性、強度、靱性の向上についてさらに好まし
い結果が得られる。
【0035】Alは製鋼時の脱酸元素として添加する
が、0.005%未満では脱酸効果が少なく、靱性を劣
化させる。一方、0.07%を超えると耐孔食性が劣化
するので、その量を0.005〜0.07%とした。
【0036】Nb、Vは、それぞれ0.005%以上添
加すると、C、Nを固定してC、Nによる強度上昇を抑
制し、加工性を確保するのに有効である。その効果は、
それぞれ0.05%で十分なので、これらの元素の添加
量を、それぞれ0.005〜0.05%とした。
【0037】Siは脱酸のために0.01%以上添加す
ると、ガス成分が低減することによりブローホールが減
少して、ガス切断性がさらに向上するが、0.50%を
超えるとHAZ靱性が劣化するので、その範囲を0.0
1〜0.50%とした。Pは鋼中に0.025%を超え
て含まれるとHAZ靱性が劣化するので、0.025%
以下とした。
【0038】Taは0.001%以上添加することによ
り、強度、靱性を確保するとともに、耐食性をさらに向
上させる効果があるが、0.1%を超えて添加すると靱
性が劣化するので、その範囲を0.001〜0.1%と
した。
【0039】Bは0.0003%以上の添加により焼入
れ性を向上させ、また強度、靱性をさらに改善する。し
かし、その効果は0.0050%を超えると飽和するの
で、Bの範囲を0.0003〜0.0050%とした。
【0040】REMは0.0003%以上の添加によ
り、靱性をさらに向上させるとともにさび粒子の微細化
を促進することにより耐食性をさらに向上させる。しか
し、これらの効果は0.10%で飽和するので、REM
の範囲を0.0003〜0.10%とした。
【0041】Caは0.001%以上添加することによ
り、CaSとして不純物であるSを固定し、耐孔あき性
を向上させるとともに、耐ラメラテア性を向上させるの
に有効な元素である。しかし、これらの効果は、0.0
6%を超えて添加しても飽和するので、Caの範囲を
0.001〜0.06%とした。
【0042】Zrは0.0002%以上添加することに
より、靱性をさらに向上させるとともに、さび中に微量
に含まれると触媒的な作用でさびの非晶質化を促進し、
耐食性および耐孔あき性をさらに向上させる。しかし、
0.10%でこれらの効果は飽和するので、Zrの範囲
を0.0002〜0.10%とした。
【0043】(2)請求項5および6 本発明の限定要件は上記したとおり、低C、Si添加、
低P、Cr:0.5〜9.0%、Al添加、O:0.0
040%以下、N:0.0080%以下、Cu、Niお
よびMoの1種または2種以上の合計:0.05〜2.
0%の成分からなることが必須である。
【0044】この場合、前記(1)と同じ作用により優
れた耐孔食性を示し、Al、Siを必須元素として溶鋼
の脱酸を十分行い、鋼中のガス成分(O、N)を極力低
減することにより切断面のブローホールを著しく減少さ
せ、かつCrの上限を9.0%とすることで優れたガス
切断性を示し、かつ低C化、低O化、低N化、Al添
加、Pcm2≦0.70とすることにより優れたHAZ
靱性を示す鋼板が得られる。
【0045】脱酸元素を添加する場合には、Crの上限
を9.0%まで緩和しても良好なガス切断性が得られる
ようになった。また、耐孔食性に有害なCの上限を0.
05%から0.10%に緩和することができた。同様
に、耐孔食性に有害なSの上限を0.005%から0.
010%に緩和できた。以上のように、Si添加、Al
添加、低P、低O、低Nに限定することにより、Ti添
加の有無に関わらず優れたHAZ靱性を示し、かつCr
を9.0%以下とすることにより良好なガス切断性およ
び耐孔食性を示す鋼板が得られる。
【0046】まず、合金元素含有量を前記範囲に限定し
た理由を述べる。Cは強度確保のために0.01%以上
添加するが、0.10%を超えるとFe 3 Cの析出量増
加によりカソード活性サイトが増加して耐孔食性が著し
く劣化するだけでなくHAZの低温靱性が悪化するの
で、その範囲を0.01〜0.10%とした。
【0047】Siは脱酸のために0.01%以上添加す
ると、ガス成分が低減することによりブローホールが減
少して、ガス切断性がさらに向上するが、0.50%を
超えるとHAZ靱性が劣化するので、その範囲を0.0
1〜0.50%とした。
【0048】Mnは強度、靱性を確保する上で不可欠の
元素であり、かつ鋼中に不純物として存在するSをMn
Sとして固定するために添加するが、0.1%未満では
十分な効果が得られず、また1.5%を超えると加工性
が劣化するので、0.1〜1.5%の範囲とした。
【0049】Pは鋼中に0.025%を超えて含まれる
と、HAZ靱性が劣化するので、0.025%以下とし
た。Sは鋼中に不純物として存在するが、その量が多く
なると硫化物を形成し、Cl- イオンに対するFeおよ
びCrの含水酸化物からなる皮膜の抵抗を弱めるMnS
が増加して耐孔食性を著しく悪化させるので、0.01
0%以下とした。
【0050】Crは鋼表面に耐孔食性に優れたFeおよ
びCrの含水酸化物からなる皮膜を生成し、鋼の耐孔食
性を向上させるが、その効果は0.5%以上で認められ
る。Cr単独の添加により十分な耐孔食性を確保するに
は、4%以上の添加が必要である。一方、Crを0.5
%以上の範囲で、Cu、NiまたはMoと複合添加させ
ることにより、FeおよびCrの含水酸化物からなる皮
膜中へのCrの濃化が著しく促進するとともに、Cu、
NiまたはMoが皮膜中へ濃縮することによって皮膜が
一層緻密になり、耐孔食性が著しく向上する。パウダー
カッティングなどの非吸熱性のガス切断方法を利用する
ことにより、Si添加、低P、Al添加、低N、低Oに
限定した場合、脱酸が十分に行われてガス成分が著しく
減少し、これによりブローホールを著しく低減すること
ができ、Cr:9.0%まで良好なガス切断性を保つこ
とができるので、Crの範囲を0.5〜9.0%とし
た。ただし、アセチレンガスなどによるガス切断性、耐
孔食性、溶接性および製造コストを考慮すると、その範
囲は3.5〜6.5%が望ましい。
【0051】Cu、NiまたはMoはCrと複合添加す
ることにより耐孔食性に優れたFeおよびCrの含水酸
化物からなる皮膜中へのCrの濃化を著しく促進すると
ともに、Cu、Ni、Moが皮膜中へ濃縮することによ
り皮膜が一層緻密になるので耐孔食性は著しく向上す
る。その効果はCu+Ni+Moが0.05%以上で認
められ、2.0%でほぼ飽和することから、範囲を0.
05≦Cu+Ni+Mo≦2.0%とした。
【0052】Alは製鋼時の脱酸元素として添加する
が、0.005%未満では脱酸効果が少なく、十分な靱
性が得られない。一方、0.10%を超えると耐孔食性
および靱性が劣化するので、その量を0.005〜0.
10%とした。Oは0.0040%を超えると、ブロー
ホールの数が著しく増加し、ガス切断性が低下するの
で、その上限を0.0040%とした。
【0053】Nは0.0080%を超えると、HAZ靱
性を劣化させるため、その上限を0.0080%とし
た。
【0054】Pcm2は0.70以下でHAZ硬さの上
昇を抑制して靱性が確保されるので、Pcm2≦0.7
0とした。
【0055】本発明鋼の基本成分は以上のとおりであ
り、これにより十分に目的を達成することができるが、
さらに目的に対して特性を向上させるために、以下に述
べる元素、すなわちNb、V、Ti、Ta、B、RE
M、Ca、Zrを選択的に添加することにより、耐孔食
性、強度、靱性の向上についてさらに好ましい結果が得
られる。
【0056】Nb、Vは、それぞれ0.005%以上添
加すると、C、Nを固定してC、Nによる強度上昇を抑
制し、加工性を確保するのに有効である。その効果は、
それぞれ0.05%で十分なので、これらの元素の添加
量は、それぞれ0.005〜0.05%とした。
【0057】Tiは0.005%以上添加することで、
鋼中のC、Nを固定し、カソードサイトとして作用する
ために合金の均一溶解を促進し、アノードとカソードの
分布の遍在を抑制することにより均一な全面腐食の進行
を促す結果、局部的な腐食による孔あきを抑制すること
で耐食性および耐孔あき性をさらに向上させる。また、
TiOやTiNを鋼中に形成し、溶接時熱影響部の粒径
を微細化したり、粒内フェライトを生成したりすること
により靱性を向上させる効果がある。この場合、0.0
5%を超えて添加すると靱性が劣化するので、その範囲
を0.005〜0.05%とした。
【0058】Taは0.001%以上添加すると、強
度、靱性を確保するとともに、耐食性をさらに向上させ
る効果があるが、0.1%を超えて添加すると靱性が低
下するので、その範囲を0.001〜0.1%とした。
【0059】Bは0.0003%以上添加することによ
り焼入れ性を向上させ、また強度、靱性をさらに改善す
る。その効果は0.0050%を超えると飽和するの
で、Bの範囲を0.0003〜0.0050%とした。
【0060】REMは0.0003%以上の添加によ
り、靱性をさらに向上させるとともに、さび粒子の微細
化を促進することにより耐食性をさらに向上させる。し
かし、これらの効果は0.10%で飽和するので、RE
Mの範囲を0.0003〜0.10%とした。
【0061】Caは0.001%以上添加することによ
り、CaSとして不純物であるSを固定し、耐孔あき性
を向上させるとともに、耐ラメラテア性を向上させるの
に有効な元素である。これらの効果は、0.06%を超
えて添加しても飽和するので、Caの範囲を0.001
〜0.06%とした。
【0062】Zrは0.0002%以上添加することに
より、靱性をさらに向上させるとともに、さび中に微量
に含まれると触媒的な作用でさびの非晶質化を促進し、
耐食性および耐孔あき性をさらに向上させる。しかし、
0.10%でこれらの効果は飽和するので、Zrの範囲
を0.0002〜0.10%とした。
【0063】なお、上述の「効果が飽和する」とは、何
らかの改善効果を期待して添加する合金などの添加量に
比例してその効果も増加する現象に対して、添加量を増
加させてもその効果が増大しなくなる現象を意味する。
【0064】本発明鋼は、天然ガス焚き煙突・煙道用の
みならず、pH3.0〜6.5の弱酸性水溶液(結露
水、ドレイン水、循環水など)により腐食が懸念される
部位の構造材料として用いてもよい。
【0065】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例によりさらに具
体的に示す。表1、表2 (表1のつづき)、表7、表8
(表7のつづき−1)、表9(表7のつづき−2)、表
10(表7のつづき−3)、表11(表7のつづき−
4)、表12(表7のつづき−5)、表13(表7のつ
づき−6)、表14(表7のつづき−7)、表15(表
7のつづき−8)、表16(表7のつづき−9)、表1
7(表7のつづき−10)、表18(表7のつづき−1
1)、表19(表7のつづき−12)、表20(表7の
つづき−13)、表21(表7のつづき−14)、表2
2、表23(表22のつづき−1)、表24(表22の
つづき−2)、表25(表22のつづき−3)、表26
(表22のつづき−4)、表27(表22のつづき−
5)、表28(表22のつづき−6)、表29(表22
のつづき−7)、表30(表22のつづき−8)、表3
1(表22のつづき−9)、表32(表22のつづき−
10)、表33(表22のつづき−11)、表34(表
22のつづき−12)、表35(表22のつづき−1
3)、表36(表22のつづき−14)に比較鋼と本発
明鋼の化学成分を示した。表1、表2の鋼1〜27およ
び表7〜表36のC01〜43、J01〜98につい
て、50kg真空溶解炉での溶製、熱間圧延、焼鈍の工
程をいずれの供試鋼についても同一条件で行い、板厚2
4mm、20mm、6mmの鋼板を製造した。
【0066】腐食試験:それぞれの供試鋼の板厚6mm
材の板厚中心部から板厚3.0mmの試験片を機械加工
により採取し、下記の腐食試験に供した。なお、比較鋼
No.1は一般溶接構造用鋼(JIS SM490B)
相当の化学成分、比較鋼No.2はCu−Sb系の耐硫
酸露点腐食鋼相当の化学成分である。
【0067】前記したように、煙突、煙道における支配
的な腐食環境は、定常運転時の環境であるので、この知
見に基づき、供試鋼の耐孔食性を評価するために下記の
腐食試験および煙突頂部内面における暴露試験を実施し
た。腐食評価は、最大腐食深さ測定(mm)により行っ
た。なお、次式に示す最大腐食深さ率により最終評価し
た。
【0068】
【数1】
【0069】〔耐食性試験I〕 模擬付着物内埋没腐食
試験 この試験は、ボイラーの定常運転時を想定し、付着物中
の水分に腐食性物質が溶解した濃厚電解質腐食環境にお
ける耐孔食性を評価することを目的とした。実煙突内面
の付着物の分析結果に基づく模擬付着物複合塩の組成を
表3に示す。模擬付着物複合塩を試験ビーカー内に入
れ、複合塩中に試験片全体を埋没させ、試験ビーカーを
恒温恒湿槽に入れて、温度80℃、湿度80%に保持し
た。試験中、複合塩は空気中の水分を吸湿して常に湿っ
た状態となり、鋼板表面は複合塩が飽和に溶解した濃厚
電解質で覆われるようにした。試験開始6カ月後に試験
片を取り出して最大腐食深さを測定し、耐局部腐食性を
最大腐食深さ率で評価した。
【0070】〔耐食性試験II〕実煙突・煙道内暴露試験 天然ガス焚き火力発電所の煙突・煙道内で腐食環境とし
て最も厳しい煙突頂部内面に試験片を取り付け、試験開
始2年後に試験片を取り外して最大腐食深さ測定により
腐食評価を行った。 〔ガス切断性試験〕それぞれの供試材について直切断
(板厚20mm)および開先切断(24mm厚、30
°、40°)を実施し、それぞれの場合のアセチレンガ
スを使用した場合またはパウダー切断を使用した場合の
切断作業性および切断面の状態を評価し、比較鋼No.
1 (SMA490相当)を基準として、◎;良好、○;
切断易、△;切断難、×;切断不可の評点評価を行っ
た。
【0071】〔再現溶接継手部衝撃試験〕表1、表2の
各鋼板から11φ×70Lの再現熱サイクル用試験片を
採取し、熱サイクル、すなわち1350℃を最高加熱温
度とし、800〜500℃までの冷却時間として10秒
を付与し、その後2mmVノッチシャルピー試験片に加
工して衝撃試験を行い、熱サイクルままの靱性特性を調
査した。
【0072】〔実継手のHAZの衝撃試験〕表7〜表3
6の各鋼板からオーステナイト系被覆アーク溶接棒を使
用して、継手を入熱量:11.9kJ/cmの条件で作
成し、継手部より2mmVノッチシャルピー試験片を採
取して衝撃試験を実施し、継手部の靱性特性を前記と同
様の評点評価で行った。
【0073】表4に腐食試験I〜II、表5にガス切断性
試験、表6に再現溶接継手部衝撃試験の結果を示した。
また、表7〜表36にも前記の試験の一部を示した。本
発明鋼はいずれも一般溶接構造用鋼(比較鋼1)に比べ
て、腐食減量率および最大腐食深さ率ともに0.30よ
り低い値となっており、該環境で優れた耐孔食性を有す
ることがわかる。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
【表7】
【0081】
【表8】
【0082】
【表9】
【0083】
【表10】
【0084】
【表11】
【0085】
【表12】
【0086】
【表13】
【0087】
【表14】
【0088】
【表15】
【0089】
【表16】
【0090】
【表17】
【0091】
【表18】
【0092】
【表19】
【0093】
【表20】
【0094】
【表21】
【0095】
【表22】
【0096】
【表23】
【0097】
【表24】
【0098】
【表25】
【0099】
【表26】
【0100】
【表27】
【0101】
【表28】
【0102】
【表29】
【0103】
【表30】
【0104】
【表31】
【0105】
【表32】
【0106】
【表33】
【0107】
【表34】
【0108】
【表35】
【0109】
【表36】
【0110】(1)請求項1および2の実施例(表1〜
表6) 比較鋼No.4および比較鋼No.7から、Cr量が4
%以上になると切断性が満足しないことがわかる。比較
鋼No.5と本発明鋼No.15を比較すると、Tiの
添加により継手靱性が改善されることがわかる。
【0111】比較鋼No.6と本発明鋼No.16を比
較すると、低N化により継手靱性が改善されることがわ
かる。比較鋼7から、Pcmが0.28%を超えると継
手靱性が確保されないことがわかる。 (2)請求項3および4の実施例(表7〜表21) 比較鋼C03から、Cが0.05%を超えると靱性が満
足しないことがわかる。
【0112】比較鋼C04から、Siが0.1%未満で
あると靱性が満足しないことがわかる。比較鋼C05か
ら、Siが0.5%を超えると靱性が満足しないことが
わかる。比較鋼C06から、Mnが0.2%未満である
と耐孔食性および靱性が満足しないことがわかる。
【0113】比較鋼C07から、Mnが1.2%を超え
ると靱性が満足しないことがわかる。比較鋼C08か
ら、Pが0.025%を超えると靱性が満足しないこと
がわかる。比較鋼C09から、Sが0.005%を超え
ると耐孔食性が満足しないことがわかる。
【0114】比較鋼C10から、Crが0.5%未満で
あると耐孔食性および靱性が満足しないことがわかる。
比較鋼C11から、Crが4.0%以上であるとアセチ
レンガスによるガス切断性が満足しないことがわかる。
比較鋼C12から、Tiが0.005%未満であると耐
孔食性が満足しないことがわかる。
【0115】比較鋼C13から、Tiが0.1%を超え
ると靱性が満足しないことがわかる。比較鋼C14か
ら、Alが0.005%未満であるとガス切断性および
靱性が満足しないことがわかる。比較鋼C15から、A
lが0.07%を超えると靱性が満足しないことがわか
る。
【0116】比較鋼C16から、Nが0.0050%を
超えると靱性が満足しないことがわかる。比較鋼C17
〜C22から、Cu、Ni、Moの添加量の和が0.0
5%未満であると耐孔食性が満足しないことがわかる。
比較鋼C23から、Pcmが0.28%を超えると靱性
が満足しないことがわかる。
【0117】本発明鋼J01〜J49から、本発明鋼は
いずれも、耐孔食性、アセチレンガスによるガス切断
性、溶接性に優れた鋼材であることがわかる。 (3)請求項5および6の実施例(表22〜表36) 比較鋼C26から、Cが0.1%を超えると靱性が満足
しないことがわかる。比較鋼C27から、Siが0.0
1%未満であると靱性が満足しないことがわかる。
【0118】比較鋼C28から、Siが0.5%を超え
ると靱性が満足しないことがわかる。比較鋼C29か
ら、Mnが0.1%未満であると耐孔食性および靱性が
満足しないことがわかる。比較鋼C30から、Mnが
1.5%を超えると靱性が満足しないことがわかる。
【0119】比較鋼C31から、Pが0.025%を超
えると靱性が満足しないことがわかる。比較鋼C32か
ら、Sが0.005%を超えると耐孔食性が満足しない
ことがわかる。比較鋼C33から、Crが0.5%未満
であると耐孔食性が満足しないことがわかる。
【0120】比較鋼C34から、Crが9.0%を超え
るとパウダー切断によるガス切断性が満足しないことが
わかる。比較鋼C35から、Alが0.005%未満で
あるとパウダー切断によるガス切断性および靱性が満足
しないことがわかる。比較鋼C36から、Alが0.1
0%を超えると靱性が満足しないことがわかる。
【0121】比較鋼C37〜C40から、Cu、Ni、
Moの添加量の和が0.05%未満であると耐孔食性が
満足しないことがわかる。比較鋼C41から、Oが0.
0040%を超えるとパウダー切断によるガス切断性が
満足しないことがわかる。比較鋼C42から、Nが0.
0080%を超えると靱性が満足しないことがわかる。
【0122】比較鋼C43から、Pcm2が0.70%
を超えると靱性が満足しないことがわかる。本発明鋼J
50〜J98から、本発明鋼は何れも耐孔食性、パウダ
ー切断によるガス切断性、溶接性に優れた鋼材であるこ
とがわかる。
【0123】
【発明の効果】上記実施例からも明らかなごとく、本発
明鋼は天然ガス焚き用煙突および煙道の内面部材とし
て、従来の耐硫酸露点腐食低合金鋼や一般溶接構造用鋼
に比べて耐孔食性を大幅に改善し、かつガス切断性や溶
接部継手靱性に優れ、かつ耐硫酸露点腐食ステンレス鋼
に比べて安価であり、かつライニング材としての用途の
他に筒身や煙道等の構造部材として採用し、ライニング
を省略できることが可能となるものであり、産業上その
効果は極めて顕著である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 冨田 幸男 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量(%)で、 C:0.05%以下、 Mn:0.2〜1.2%、 S:0.005%以下、 Cr:0.5〜4.0%未満、 Ti:0.005〜0.1%、 N:0.005%以下 Cu、NiおよびMoの1種または2種以上の合計:
    0.05〜2.0%を含み、 Pcm≦0.28 を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなること
    を特徴とする天然ガス焚き煙突・煙道用鋼。ただし、 Pcm=C+Mn/20+Cr/20
  2. 【請求項2】 重量(%)で、 Al:0.005〜0.07%、 Nb:0.005〜0.05%、 V:0.005〜0.05%のうち少なくとも1種を含
    有することを特徴とする請求項1記載の天然ガス焚き煙
    突・煙道用鋼。
  3. 【請求項3】 重量(%)で、 Si:0.01〜0.5%、 P:0.025%以下を含有することを特徴とする請求
    項1または2記載の天然ガス焚き煙突・煙道用鋼。
  4. 【請求項4】 重量(%)で、 Ta:0.001〜0.1%、 B:0.0003〜0.0050%、 REM:0.0003〜0.10%、 Ca:0.001〜0.06%、 Zr:0.0002〜0.10%のうち少なくとも1種
    を含有することを特徴とする請求項3記載の天然ガス焚
    き煙突・煙道用鋼。
  5. 【請求項5】 重量(%)で、 C:0.01〜0.10%、 Si:0.01〜0.5%、 Mn:0.1〜1.5%、 P:0.025%以下、 S:0.010%以下、 Cr:0.5〜9.0%、 Al:0.005〜0.10%、 O:0.0040%以下、 N:0.0080%以下を含み、かつCu、Niおよび
    Moの1種または2種以上の合計:0.05〜2.0%
    を含み、 Pcm2≦0.70 を満足し、残部がFeおよび不可避不純物からなること
    を特徴とするガス切断性に優れた天然ガス焚き煙突・煙
    道用鋼。ただし、 Pcm2=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+
    Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
  6. 【請求項6】 重量(%)で、 Nb:0.005〜0.1%、 V:0.005〜0.1%、 Ti:0.005〜0.05%、 Ta:0.001〜0.1%のうち1種または2種以上
    を含み、および/または B:0.0003〜0.0050%を含み、および/ま
    たは REM:0.0003〜0.10%、 Ca:0.001〜0.06%、 Zr:0.0002〜0.10%を含有することを特徴
    とする請求項5記載のガス切断性に優れた天然ガス焚き
    煙突・煙道用鋼。
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