JP3923163B2 - 廃棄物焼却炉 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一般廃棄物,産業廃棄物等の焼却に使用され、過酷な腐食環境においても優れた耐食性を呈する廃棄物焼却炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
生活環境の近代化や大都市への人口集中につれて、一般廃棄物,産業廃棄物等は量的に増加の一途をたどっている。廃棄物処理設備の不足が社会問題となっている昨今、数百トン/日の処理能力をもつものから数千トン/時の処理能力をもつものまで、焼却設備の設置個数や種類が年々増加している。
焼却炉の形式は多種多様であるが、図1に示すフローで廃棄物を焼却するプロセスが一般的である。まず、廃棄物1を焼却炉2に投入して燃焼する。発生した燃焼ガス3は冷却塔4に送り込まれ、燃焼ダスト5は廃棄6される。燃焼ガス3は、冷却塔4で水冷され、湿潤ガス7となって排煙脱硫装置等の有毒ガス除去装置8、電気集塵機,サイクロン等の集塵工程9を経てS,Cl等の有毒ガスや浮遊ダストが除去され、大気中に放出可能なレベルにまでガス成分が浄化される。冷却塔4で発生した汚水10は、廃液処理ピット11に集められた後、浄化処理を受けて廃棄される。脱Cl工程9で浄化されたガス12は煙突13から大気中に放出14され、凝縮した水分15はドレイン16に送られる。
【0003】
中型〜小型の焼却炉は、一日8〜16時間前後運転されている。運転停止時には、冷却塔,空気予熱器,熱交換器,集塵装置,脱硫装置,脱硝装置,脱塩素装置,煙突及びそれら設備間の燃焼ガス流路となるダクトで露点以下になることがある。構造によっては、運転中でも露点以下になる部分がある。露点以下になると湿潤ガスが結露し、極めて強い腐食環境となる。また、廃液処理ピットでは、冷却水及びダストが混合した湿食環境に曝される。
このような環境に使用される構造材としては、普通鋼,耐硫酸鋼,それらにアルマー加工を施したもの,SUS304,316L系のステンレス鋼等が通常使用されている。特に過酷な腐食環境に曝される構造材としては、Ni基高合金鋼やフッ素樹脂被覆,FRP被覆等を施した材料を使用することもある。たとえば、特開平6−128699号公報では、Ni当量をCr当量より大きくすることにより熱延時の割れを防止した焼却炉構造材用高Ni合金鋼が紹介されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
焼却炉環境では、ダイオキシンの発生を防ぐため800℃以上の高温で焼却物を完全燃焼させる。その結果、焼却物に含まれる塩素はHClとして排出され、この燃焼ガスを水冷したときに濃縮するHCl,SOx 等が腐食の原因となる。運転中又は運転休止時に材温が露点以下になる部位、たとえば冷却塔,空気予熱器,集塵装置,廃液処理ピット,煙突,各設備間の燃焼ガス流路部等においては、結露水中にClやSが溶け込み、付着した燃焼灰に濃縮することがある。特に廃棄物の量的増加に加えて、廃棄物中に含まれるプラスチック,ビニール等の割合が増えている近年では、燃焼後の排ガスに含まれるHClガス濃度が増加する傾向にある。その結果、部位によっては材料に付着した湿潤灰中でClやSが10%以上に濃化し、0.1%以上のClイオンを含むpH2以下の酸性結露水が生じることもある。強酸性の結露水に曝されると、露点腐食や水溶液腐食等が発生し易くなる。
このような腐食環境においては、普通鋼や耐硫酸鋼では全面腐食により数カ月程度で穴開きが生じる。フェライト系ステンレス鋼や二相系ステンレス鋼は、普通鋼と同程度か、場合によってはそれ以上の激しい全面侵食が生じるため、前述した部位には適用できない。また、これらの鋼種にアルマー加工を施したものでも、寿命が更に半年伸びる程度の効果しかない。
【0005】
そこで、焼却炉内の過酷な腐食雰囲気に曝される部位に、SUS304,316L等のオーステナイト系ステンレス鋼が汎用されている。しかし、この種の鋼材では、耐全面腐食性は改善されるものの、孔食や応力腐食割れによって半年から一年程度で板厚を貫通する穴開きが生じることがある。また、前掲の部位は溶接によって施工されることが多いが、溶接部は母材部よりも更に激しく腐食され、母材よりも先に穴開きが生じる。
スーパーステンレス鋼やNi基高合金鋼を使用すると、耐用年数は2年又はそれ以上に延びるが価格も2倍以上になるため、価格に見合ったメリットが得られない。また、加工や溶接が困難なため、適用部位は特殊なものに限られる。フッ素樹脂等によるライニングを施した被覆材も、コストが高いことは勿論、ダスト等による摩耗や200〜500℃程度まで上昇する運転時のガス温度に対する耐久性が不足するため、被覆に損傷が生じ、損傷部を起点として腐食が進行する。その結果、廃棄物焼却炉の設置及び運転に際しては、構造材料やメンテナンスに多大なコスト負担がかかる。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、スーパーステンレス鋼と同程度以上の耐食性及び耐応力腐食割れ性をもち、溶接部が母材と同程度の優れた耐食性をもつオーステナイト系ステンレス鋼を使用することにより、イニシャルコスト及びメンテナンスコストを削減した廃棄物焼却炉を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その目的を達成するため、焼却炉,ガス冷却設備,集塵装置,排ガス清浄設備及び煙突を備えた廃棄物焼却炉であって、Cl濃度0.1%以上,pH2以下の結露水に曝される部位にC:0.06質量%以下,Si:2.40〜5.0質量%,Mn:1.0質量%以下,P:0.045質量%以下,S:0.0020質量%以下,Cr:16.0〜20.0質量%,Ni:11.0〜18.0質量%,N:0.005〜0.35質量%,Cu:0.05〜1.0質量%を含み、残部が実質的にFeの組成をもつオーステナイト系ステンレス鋼が使用されていることを特徴とする。
使用するオーステナイト系ステンレス鋼は、更にMo:0.1〜6.0質量%を含むことができる。
【0007】
【作用】
本発明者等は、焼却炉の過酷な腐食環境におけるオーステナイト系ステンレス鋼の腐食形態を調査・研究し、各成分が耐食性に及ぼす影響を調査・研究した。その結果、Siの適量添加で316LレベルのCr量及びNi量でスーパーステンレス鋼と同程度以上の耐食性及び耐応力腐食割れ性をもち、鋼中のS量を規制することにより溶接部においても母材と同程度の優れた耐食性を示すオーステナイト系ステンレス鋼が得られることを見い出した。
このオーステナイト系ステンレス鋼は、Ni,Cr等の合金成分を多量に含んでいないことからコストメリットに優れ、焼却炉の設置コストを大幅に低減する。また、廃棄物焼却炉のみならず、濃厚塩化物を含む酸露点腐食環境に曝される固体燃料等のごみ発電プラント設備等の侵食環境部位に適用することも可能である。
【0008】
以下、本発明で使用するオーステナイト系ステンレス鋼に含まれる合金成分及び含有量について説明する。
C:0.06質量%以下
オーステナイト相を安定化する強力な合金成分であるが、溶接部等で粒界腐食感受性を高める作用を呈する。そのため、C含有量は低いほど好ましい。しかし、過度にC含有量を低減することはコストアップの原因となるため、本発明ではC含有量の上限を0.06質量%に設定した。
Si:1.0〜5.0質量%
高濃度に塩化物が濃縮した腐食環境において耐孔食性及び耐応力腐食割れ性を改善する合金成分であり、腐食割れが深さ方向に伝播することを抑制する作用も呈する。このようなSiの作用・効果は、1.0質量%以上の含有量で顕著になり、一定量のMoを添加しても耐応力腐食割れ性が損なわれない。しかし、5.0質量%を超える多量のSiを添加すると、加工性の低下を招く。
【0009】
Mn:1.0質量%以下
腐食の起点となり易い硫化物を形成し、耐孔食性及び耐隙間腐食性を低下させることから、Mn含有量は少ないほど好ましい。しかし、Mnを低減すると配合原料費が上昇するので、本発明においては経済性を考慮してMn含有量の上限を1.0質量%に設定した。
P:0.045質量%以下
熱間加工性等の製造性及び耐応力腐食割れ性を劣化させる成分である。そこで、本発明においては、通常のステンレス鋼で許容される0.045質量%をP含有量の上限と設定した。
【0010】
S:0.0050質量%以下
鋼中のMnと硫化物を形成し、焼却炉内部のように塩化物を含む酸性水溶液に曝される環境では耐孔食性を劣化させると共に、オーステナイト系ステンレス鋼においては溶接高温割れを引き起こす原因となる。そのため、S含有量は少ないほど好ましい。しかし、Sの低減化に応じて配合原料費が高くなるため、本発明では有害な影響を与えない0.0050質量%にS含有量の上限を設定した。また、後述する実施例からも明らかなように、焼却炉の腐食環境で溶接部に腐食性が実用上問題とならないレベルまで低減させるためには、鋼中のS濃度を0.0020質量%以下に規制することが好ましい。
【0011】
Cr:16.0〜20.0質量%
耐食性を向上させる上で不可欠な合金成分であり、16.0質量%以上の添加により鋼表面の不動態皮膜を強固にする。Cr含有量が多いほど、耐食性は向上するが、オーステナイト相を保持するために必要なNi等を増量させることが必要になり、また製造性や加工性も損なわれる。そこで、本発明においてはCr含有量の上限を20.0質量%に規定した。
Ni:11.0〜18.0質量%
オーステナイト相を保持するために必要な合金成分であり、特に酸性の濃厚塩化物環境において耐酸露点腐食性,耐孔食性,耐応力腐食割れ性,溶接部耐食性等を改善する作用を呈する。焼却炉の露点腐食環境で十分な耐食性を確保するためには、11.0質量%以上のNiを含むことが必要である。しかし、18.0質量%を超えるNi含有量では、高価なNiを多量に消費することからコスト的に不利になることは勿論、溶接部において溶接高温割れ感受性が低下する傾向がみられる。
【0012】
N:0.005〜0.35質量%
強力なオーステナイト形成元素であると共に、オーステナイト系ステンレス鋼の耐食性を改善する作用を呈する。Nの添加効果は、0.005質量%以上で顕著になる。しかし、0.35質量%を超える多量のNが含まれると、製造性,加工性及び耐応力腐食割れ性が著しく低下する。
Cu:0.05〜1.0質量%
耐全面腐食性の改善に重要な合金成分であり、塩化物の濃縮が厳しくない条件下では耐応力腐食割れの改善にも有効に作用すると共に、溶接部の耐食性を母材と同程度にまで改善する。溶接部の優先腐食は、濃厚塩化物を含む酸性の結露水中で溶接部のδフェライトが優先的に活性溶解することが主たる原因であると考えられる。この点、Cuは、オーステナイト生成元素であることから溶接部のδフェライト量を減少させることに加え、酸性結露水中における酸化還元電位がステンレス鋼の活性溶解域よりも高いため、ステンレス鋼の自然電位を活性溶解が生じる電位域よりも貴にすることにより溶接部の優先溶解を防止するものと推察される。
Cu添加により溶接部の耐食性が実用上母材と同程度になるためには、少なくとも0.05質量%以上の添加が必要である。耐食性改善効果はCuの含有量が増加するに従って顕著になるが、1.0質量%を超えるCuを添加しても耐食性改善効果が飽和することに加え、熱間加工性及び耐溶接高温割れ性を低下させる原因となる。また、塩化物の濃縮が厳しくなる環境下では、逆に耐応力腐食割れ性を低下させる。
Mo:0.1〜6.0質量%
必要に応じて添加される合金成分であり、不動態皮膜を強化し、高濃度ハロゲン化物中における耐孔食性を改善する作用を呈する。Moの作用・効果を十分に発揮させるためには、0.1質量%以上、望ましくは1.0質量%以上の添加が効果的である。また、特に熱交換器のような焼却炉部材では、運転時に300℃以上の高温になるため、露点腐食だけではなく溶融塩に対する耐食性が問題とされる部位もある。そのような部位では、溶融塩による粒界腐食を防止するため少なくとも1質量%以上のMo添加が必要である。しかし、Moは高価な元素であり、また6.0質量%以上のMo添加は濃厚塩化物環境における耐応力腐食割れ性を低下させることから、Moを添加する場合には上限を6.0質量%に設定した。
【0013】
【実施例】
表1の成分・組成をもつ各種ステンレス鋼を常法に従って熱延後、焼鈍,酸洗を施したNo.1仕上げ材から板厚3〜6mm,サイズ100mm×200mmの試験片を切り出した。
表1において、Aグループのステンレス鋼は比較材であり、Bグループのステンレス鋼は本発明に従ったステンレス鋼である。Aグループのうち、A1,A2は高Crフェライト系ステンレス鋼,A3は二相ステンレス鋼,A4はSUS316L,A5,A6はSi添加オーステナイト系ステンレス鋼,A7は高Cr・高Niスーパーステンレス鋼である。
また、溶接部の耐食性を評価するため、平板の中央部長手方向にTIGなめ付け溶接を施した試験片も用意した。
【0014】
Figure 0003923163
【0015】
各試験片を、塩化物濃度0.1%以上,pH2以下の結露水及び濃厚塩化物を含む酸露点腐食環境に曝される部位に取り付けた。試験片の取付け部位は、図1において廃液処理ピット11の側面(a:ピット汚水のCl濃度0.9%,pH1.1)及び冷却塔4の出側ダクト部(b:結露水のCl濃度2.8%,pH0.5)とし、各部位に1鋼種につき平板試験片及び溶接ビード付き試験片をそれぞれ1枚ずつ取り付けた。焼却炉を平日に8時間/日運転させ、1年後に試験片を取り出した。
試験後の各試験片について、平板部及び溶接ビード部の腐食及び応力腐食割れによる最大侵食深さを調査した。廃液処理ピット11の側面(a)に取り付けられた平板試験片及び溶接ビード付き試験片の調査結果を図2及び図3にそれぞれ示す。また、冷却塔4の出側ダクト部(b)に取り付けられた平板試験片及び溶接ビード付き試験片の調査結果を図4及び図5にそれぞれ示す。
【0016】
A1,A2(高Crフェライト系ステンレス鋼)の母材部,溶接ビード部には何れも全面腐食が発生しており、板厚を貫通する侵食が観察された。
A3(二相ステンレス鋼)は、条件(a)下では母材の侵食深さが本発明鋼と同程度であったが、図3にみられるように溶接部は優先的に腐食していた。同じA3(二相ステンレス鋼)であっても、条件(b)下では母材部,溶接部共に全面腐食が発生しており、板厚を貫通する侵食が観察された。
A4(SUS316L)は、母材部,溶接ビード部で孔食及び応力腐食割れが発生したが、応力腐食割れによる侵食深さの方が深く、条件(b)下では図4,5にみられるように母材部の板厚を貫通する侵食深さであった。
Si含有量が1質量%以上のA5は、図2,4にみられるように母材部の耐食性及び耐応力腐食割れ性に関しては316Lの2倍以上であった。しかし、Cu含有量が0.02質量%と少ないため、図3,5にみられるように溶接部の優先溶解が著しく、条件(b)下では溶接部の板厚を貫通する腐食が発生した。
【0017】
Cu含有量が約2質量%のA6は、図2,4にみられるように母材部に発生した応力腐食割れが著しく深くなり、条件(b)下では母材部の板厚を貫通する腐食が発生した。
A7(高Cr・高Niスーパーステンレス鋼)では、孔食及び応力腐食割れが発生するものの何れも浅く、板厚を貫通する侵食及び溶接部の優先腐食は観察されなかった。しかし、A7は、高価なNiを多量に含んでいることから材料コストが実用上で問題となり、適用される部位が制約される。
これに対し、本発明に従ったB1〜B6では、何れも板厚を貫通する深さの孔食や応力腐食割れ及び溶接部の優先溶解がほとんど観察されなかった。また、腐食による最大侵食深さは、A4(SUS316L)の値の半分以下であり、スーパーステンレス鋼A7とほぼ同じ値であった。これらの結果から、B1〜B6のステンレス鋼では、SUS316L相当のCr,Ni量であるにも拘らず、SUS316Lの2倍以上で高Cr・高Niスーパーステンレス鋼に匹敵する耐久性が確認される。
【0018】
更に、B5のステンレス鋼を用いてダクト及び熱交換器用チューブを作り、廃棄物焼却炉の冷却塔に組み込んだ。1年間使用後、ダクト及びチューブを観察したところ、板厚を貫通する孔食や応力腐食割れが観察されず、1年間はメンテナンスフリーで使用可能なことが判った。これに対し、従来使用されているSUS316Lでは、半年で溶接部近傍に穴開き及び板厚を貫通する割れが発生したため、半年で補修する必要があった。また、アルマー加工した耐硫酸露点腐食鋼を用いたものでは、1か月以内でダクトに穴開きが生じた。この対比からも明らかなように、本発明に従ったステンレス鋼を焼却炉の過酷な環境に曝される構造部材として使用するとき、SUS316Lと同程度のイニシャルコストで、メンテナンスコストが半分以下に抑えられる。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、廃棄物焼却炉の酸露点腐食環境に曝される冷却塔,熱交換器,集塵装置,脱硝装置,脱硫装置,脱塩素装置,煙突,各設備間の燃焼ガス流路を構成するダクトの構成材料として、SUS316L相当のコストで、スーパーステンレス鋼なみの母材の耐食性を示し、溶接後に熱処理を必要とせずに溶接部の耐食性を母材部なみに改善したオーステナイト系ステンレス鋼を使用することにより、製造コスト及びメンテナンスコストを低減した廃棄物焼却炉が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 産業廃棄物及び一般廃棄物の焼却処理に使用される焼却炉
【図2】 廃液処理ピットの側面に取り付けた平板試験片のCu含有量と侵食深さとの関係を示したグラフ
【図3】 廃液処理ピットの側面に取り付けた溶接ビード付き試験片のCu含有量と侵食深さとの関係を示したグラフ
【図4】 冷却塔の出側ダクト部に取り付けた平板試験片のCu含有量と侵食深さとの関係を示したグラフ
【図5】 冷却塔の出側ダクト部に取り付けた溶接ビード付き試験片のCu含有量と侵食深さとの関係を示したグラフ

Claims (2)

  1. 焼却炉,ガス冷却設備,集塵装置,排ガス清浄設備及び煙突を備えた廃棄物焼却炉であって、Cl濃度0.1%以上,pH2以下の結露水に曝される部位にC:0.06質量%以下,Si:2.40〜5.0質量%,Mn:1.0質量%以下,P:0.045質量%以下,S:0.0050質量%以下,Cr:16.0〜20.0質量%,Ni:11.0〜18.0質量%,N:0.005〜0.35質量%,Cu:0.05〜1.0質量%を含み、残部が実質的にFeの組成をもつオーステナイト系ステンレス鋼が使用されている廃棄物焼却炉。
  2. 請求項1記載のオーステナイト系ステンレス鋼が更にMo:0.1〜6.0質量%を含むものである廃棄物焼却炉。
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