JPH11106872A - 熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食用ステンレス鋼 - Google Patents

熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食用ステンレス鋼

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JPH11106872A
JPH11106872A JP9281070A JP28107097A JPH11106872A JP H11106872 A JPH11106872 A JP H11106872A JP 9281070 A JP9281070 A JP 9281070A JP 28107097 A JP28107097 A JP 28107097A JP H11106872 A JPH11106872 A JP H11106872A
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JP
Japan
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corrosion resistance
steel
less
hot workability
sulfuric acid
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JP9281070A
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Hideto Kimura
秀途 木村
Toshihiro Maeda
俊寛 前田
Akira Takane
章 多賀根
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JFE Engineering Corp
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ごみ焼却炉や重油燃焼ボイラーなどの煙道、
煙突、熱交換器など、硫酸露点腐食環境で使用される、
熱間加工性と耐食性に優れた汎用的なステンレス鋼を課
題とする。 【解決手段】 重量(wt)%で、C:0.15%以
下、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:
0.07%以下、S:0.003%以下、O:0.00
5%以下、Ni:5.0%以上15.0%以下、Cr:
15.0%以上25.0%以下、N:0.3%以下、C
u:0.05%以上1.5%以下、Mo:0.10%以
上2.0%以下を含有し、かつ、Cu+Mo:0.2%
以上を満たし、残部がFe及び不可避的不純物からなる
ことを特徴とする、熱間加工性と耐硫酸露点腐食性に優
れたステンレス鋼である。この鋼に、Ca:0.010
%以下、Mg:0.010%以下、Ti:0.10%以
下、Zr:0.20%以下のうち一種以上を含有する
と、熱間加工性と耐硫酸露点腐食性を更に改善すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却炉や重油
燃焼ボイラーなどの煙道、煙突、熱交換器など、硫酸露
点腐食環境で使用される、熱間加工性と耐食性に優れた
ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、火力発電技術の進歩にともない、
従来よりも、効率を高め、環境保全性にも優れた火力発
電プラントが数多く提案され、また計画されている。こ
うしたプラントにおける重要な課題の一つは、経済性、
すなわちコストの低減であり、発電プラントの建設コス
トのみならず、建設後のプラントの運転コストをも低減
する必要がある。このため、ボイラ、ガスタービン、排
ガス処理設備、排ガス通流設備等の諸設備で使用される
材料についても、材料コストの低減という具体的な要求
に沿って最適材料の選択が行なわれている。
【0003】特に排ガスの通流設備の大半を占める煙
道、ダクト、煙突などの設備は、内部を通るガスによる
腐食を受けやすいことが知られている。この腐食は、火
力発電所で使用される燃料の種類、あるいは当該設備が
脱硫装置の前後であるか否かで異なるが、同時に、ガス
の温度の影響を強く受ける。すなわち、ガス温度が低下
する部分では、ガス中に含まれる水分が結露するが、こ
の結露水中にガス成分が溶け込んで酸を生成し、この酸
によりいわゆる露点腐食が生じる。
【0004】この酸は、燃焼で生じた二酸化炭素の溶け
込みによる炭酸を主成分とするが、重油、石炭等の化石
燃料を用いる場合には、燃料中に硫黄分が多く含まてい
るため、排ガス中に三酸化硫黄が生成し、硫酸として結
露水中に混入し濃縮する。このため、結露水中には、炭
酸に加え、硫酸濃度が40〜60%に達する場合もあ
り、極めて腐食性の高い環境を形成する。
【0005】炭素鋼に代表される普通鋼は、こうした腐
食性の高い環境に対する耐食性を保有していないため、
普通鋼を使用した場合には、短期間で材料を交換する必
要があるが、場合によってはプラントに損傷を生じせし
め操業が停止するなどの問題があった。従って、ガス温
度が低下し結露が起こりやすい部分では、プラントの建
造時の材料コストがある程度増加しても、高耐食の材料
を使用することにより、寿命全体を考慮した場合のトー
タルコストを削減できるという考え方も実現しつつあ
る。
【0006】硫酸に対する耐食性の点からは、鋼板の内
表面に無機系もしくは有機系のライニングを施す方法、
溶射等の方法により鋼材の表面に耐食性の優れた金属等
を被覆させた材料、あるいは高耐食の合金鋼の採用が考
えられる。しかし、鋼板のライニング処理は、ライニン
グ処理自体の生産性、コストに比較して、耐食性に対す
る信頼性が十分とはいえず、一定の稼働時間ごとにプラ
ントを補修をする必要がある。
【0007】溶射により高耐食金属を被覆させる方法と
しては、例えば、特開平9−31576号公報が開示さ
れている。この発明は、Cr、Si、Mo、Cuを適量
含有するNi合金を、プラズマ等の溶射により、通常の
炭素鋼等からなる伝熱管の表面に被覆させるものであ
る。Ni合金の有する優れた耐食性のため、当然のこと
ながら、酸露点腐食に対する耐食性は極めて優れたもの
であり、腐食に伴う材料の損傷が小さいため、定期的な
補修費用は大幅に軽減できる。しかし、溶射に伴う製造
コスト、あるいは被覆材料そのものも高価なため、大き
な面積を有する部材への適用は、経済的に難しいと考え
られる。
【0008】このため、材料面から、耐硫酸露点腐食性
を改善する試みが多くなされている。一つは、汎用的な
オーステナイト系ステンレス鋼を適用の検討である。し
かしながら、JIS G 4304「熱間圧延ステンレ
ス鋼板及び鋼帯」規格に規定される、SUS304、S
US321等のステンレス鋼は、高延性、加工性、高靭
性など機械的性質には優れているものの、耐硫酸腐食性
はフェライト系ステンレス鋼と大差はなく、耐硫酸露点
腐食性は十分ではない。
【0009】一方、Moを含有したステンレス鋼、例え
ばSUS316(17%Cr−12%Ni−2.5%M
o)、は耐硫酸露点腐食性の点で優れるものの、材料コ
ストは、18%Cr−8%Ni系ステンレス鋼に比べて
著しく上昇する。また、Mo含有ステンレス鋼は、その
高いMo含有量のために変形抵抗が高く、熱間延性が低
い。従って、鋼板製造段階の熱間加工時に、表面疵が多
く発生し、健全な鋼板とするために、かかる疵を除去す
るための手入れを必要としたり、あるいは疵が深く板厚
公差を割るため製造歩留りが低下するなど問題が大き
い。
【0010】また、例えば、硫酸、塩酸を共に含む露点
環境中で耐食性を有するステンレス鋼として、特開平7
−316745号公報が開示されている。この発明は、
従来のステンレス鋼では当該環境中での耐食性が不十分
であることから、Cr、Ni、Mo、Cuの4成分の複
合添加させるものである。しかし、Ni含有量が30%
に達するなど合金元素の含有量が極めて多く、コスト的
にも、また、溶接性の点でも課題が残されている
【0011】従って、18%Cr−8%Ni系ステンレ
ス鋼をベースとした汎用ステンレス鋼において、高価な
合金元素を含有することなく、高合金鋼と同等の耐硫酸
露点腐食性を有し、かつ、鋼板の製造性が良好で歩留ま
りよく生産できるステンレス鋼が熱望されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来の先行技術は、耐硫酸露点腐食性と材料コスト、製造
容易性を両立できるものではなく、本発明は、このよう
な課題を解決した、熱間加工性と耐硫酸露点腐食性の双
方に優れた、煙道用のステンレス鋼を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、18%C
r−8%Ni系のオーステナイト系ステンレス鋼をベー
スに、耐硫酸露点腐食性に及ぼす種々の合金元素の効果
について鋭意検討し、以下の発明をするに至った。
【0014】第1の発明は、重量(wt)%で、C:
0.15%以下、Si:2.0%以下、Mn:3.0%
以下、P:0.07%以下、S:0.003%以下、
O:0.005%以下、Ni:5.0%以上15.0%
以下、Cr:15.0%以上25.0%以下、N:0.
3%以下、Cu:0.05%以上1.5%以下、Mo:
0.10%以上2.0%以下を含有し、かつ、Cu+M
o:0.2%以上を満たし、残部がFe及び不可避的不
純物からなることを特徴とする、熱間加工性と耐硫酸露
点腐食性に優れたステンレス鋼である。
【0015】第2の発明は、前記鋼が、更に、Ca:
0.010%以下、Mg:0 .010%以下、Ti:
0.10%以下、Zr:0.20%以下のうち一種以上
を含有することを特徴とする、熱間加工性と耐硫酸露点
腐食性に優れたステンレス鋼である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明にあたっては、18%Cr
−8%Ni系ステンレス鋼をベースとして検討した。こ
れは、同鋼が、腐食環境を考慮した場合、汎用性が高く
材料コストとして妥当なものであり鋼板の製造性にも優
れること、延性、靭性に富むとともに溶接性に優れるた
め構造物材料として適していることからである。
【0017】本発明の基本的な考え方を以下に述べる。 (1)硫酸露点腐食を生じさせる主要な因子は、主に排
ガス中に生成する二酸化炭素、三酸化硫黄がそれぞれ結
露水中に溶けて生じる炭酸および硫酸である。 (2)炭酸に対する耐食性は、18%Cr−8%Ni系
ステンレス鋼に含有されるレベルのCr含有量で、十分
な耐食性を有する。 (3)しかし、硫酸に対する耐食性は、18%Cr−8
%Ni系ステンレス鋼では不十分である。その対策とし
てCu、Moの含有が改善効果を有する。特にCuとM
oを複合して含有する場合は、従来のMo含有ステンレ
ス鋼のMo含有量に比較して、極めて少量で、硫酸に対
する耐食性が著しく向上する。
【0018】図1は、18%Cr−8%Ni系ステンレ
ス鋼において、このCu、Moを複合して含有する場合
の、硫酸露点腐食環境中での耐食性の効果を、Mo単独
含有鋼と比較して示したものである。Moを単独で含有
する場合、その含有量の増加とともに、耐食性は順次改
善する方向にある。しかしその効果は小さく、実用的な
耐食性を確保するためには、従来のMo含有ステンレス
鋼と同程度、すなわち2.5%程度のMo含有を必要と
する。
【0019】一方CuとMoを複合して含有する場合
は、少量でも耐食性は著しく向上する。但しこの場合、
Cuを0.05%以上、Moを0.1%以上で、かつC
u+Moを合計で0.2%以上含有させる必要があり、
Cu、Mo及びCu+Mo量がそれ以下では、耐食性の
向上効果は不十分であることが判明した。
【0020】本発明は、以上の知見に基づいてなされた
ものである。以下に、化学成分の限定理由を述べる。 C:鋼の強度を確保するために含有されるが、過剰の含
有は、粒界への炭化物の析出を促進し、ステンレス鋼の
一般的な耐食性を劣化させるので、その上限を0.15
%とする。
【0021】Si:鋼の脱酸元素及び強化元素として含
有されるが、2.0%を超えて含有すると、オーステナ
イト系ステンレス鋼においてもフェライト相を生成し、
耐食性を低下させるので、その上限を2.0%とする。
【0022】Mn:ステンレス鋼においてはオーステナ
イト安定化元素として有効に働くが、3.0%を超えて
含有すると耐食性を低下させるので、その上限を3%と
する。
【0023】P:含Ni鋼の場合、Pは低融点の金属間
化合物を生成するため、熱間加工性を害する元素である
が、含有量が0.07%以下であれば熱間加工性の低下
は許容できるので、その上限を0.07%とする。
【0024】S:結晶粒界に偏析して粒界脆化を促進す
るため、熱間加工性を損なう有害な元素であるが、含有
量が0.003%以下であれば熱間加工性の低下は許容
できるので、その上限を0.003%とする。
【0025】O:結晶粒界に偏析して粒界脆化を促進す
るため、熱間加工性を損なう有害な元素であるが、含有
量が0.005%以下であれば熱間加工性の低下は許容
できるので、その上限を0.005%とする。
【0026】Ni:オーステナイト安定化元素であり、
オーステナイト系ステンレス鋼の硫酸環境中での耐全面
腐食性を向上させる。オーステナイト相の安定化のため
には5.0%以上の含有が必要であり、一方15.0%
を超えて含有しても耐全面腐食性の向上効果は飽和し、
むしろ経済性を損なうため、その含有量は5.0%以
上、15.0%以下とする。
【0027】Cr:オーステナイト系ステンレス鋼の基
本成分であり、耐硫酸露点腐食、特に炭酸を含む環境に
おける耐酸露点腐食の向上に有効である。これには、1
5.0%以上の含有で十分な効果が発揮される。一方、
25.0%を超えて含有しても、本発明の骨子であるC
u、Moを少量で複合して含有した場合には、耐硫酸露
点腐食性の向上効果は飽和するので、その含有量は1
5.0%以上、25.0%以下とする。
【0028】N:一般に、オーステナイト系ステンレス
鋼において、耐全面腐食に対しては効果は認められない
が、耐孔食性を向上させる元素である。通常の製鋼法で
は、Nは0.3%程度まで含有されることがあり、この
含有量の範囲内であれば、鋼の特性に特に悪影響を及ぼ
さないので、その上限を0.3%とする。
【0029】Cu:鋼の耐全面腐食性を向上させる元素
である。0.05%以上含有することによって、その効
果は著しく向上するが、1.5%を超えて添加するとそ
の効果は飽和するのみならず、鋼の熱間加工性を損なう
ので、その含有量は0.05%以上、1.5%以下とす
る。
【0030】Mo:Cuと同様に、鋼の耐全面腐食性を
向上させる元素である。その効果は0.1%以上の含有
で発揮されるが、2.0%を超えて含有してもその効果
は飽和し、合金コストが嵩むのみならず、鋼の熱間加工
性を劣化させるので、その含有量は0.1%以上、2.
0%以下とする。
【0031】Cu+Mo:前述したように、上記範囲内
で、Cu、Moを複合して含有すると、耐全面腐食性の
著しい向上効果が認められる。しかし、Cu+Mo含有
量が0.2%未満では、複合的な効果が不十分であるた
め、Cu+Mo含有量を0.2%以上とする。
【0032】本発明では、上記の合金元素の他に、さら
にCa、Mg、Ti、Zrの各元素の一種以上を含有し
ても好ましい結果が得られる。これらの元素は、いずれ
も、鋼の脱酸元素としての機能を有し、鋼中のO量の低
減を通じて鋼の清浄性を向上させ、その結果、鋼の耐食
性のみならず熱間加工性を向上させるものである。一
方、過剰に含有すると、介在物量が著しく増加して、鋼
の地疵が発生しやすくなるので、各合金元素の含有量
は、以下の範囲とする。 Ca:0.010%以下、Mg:0.010%以下、T
i:0.10%以下、Zr:0・20%以下とする。
【0033】
【実施例】次に、本発明による実施例について、以下に
説明する。図2、3として示す表1−1、1−2に、本
発明鋼の化学成分および熱間加工性、耐全面腐食性の試
験結果を、図4、5として示す表2−1、2−2には、
比較鋼の化学成分および熱間加工性、耐全面腐食性の試
験結果を示す。
【0034】発明鋼及び比較鋼は、ともに実験炉で真空
溶解し、得られた鋼魂を分塊圧延にて厚さ80mmのス
ラブとした。その後スラブを1250℃に加熱し、仕上
げ圧延、溶体化焼き鈍しを行って板厚15mmの供試鋼
板を得た。仕上げ圧延は、パス当たり15%の圧下量を
加えた。
【0035】熱間加工性の評価は、圧延時の表面割れ
を、スラブの表裏面及び端面を直接観測し、スラブ表裏
面及びスラブ端面で観察された割れ、疵の個数を求め、
単位表面積あたりの割れ・疵個数として評価した。
【0036】一方、耐全面腐食性の評価は、JIS G
0591、「ステンレス鋼の5%硫酸腐食試験方法」
に従って行った。すなわち沸騰5%硫酸溶液中で、幅x
長さ:20×30mmの試験片を6時間浸漬し、腐食減
量を評価した。同時に、実プラントの煙道における腐食
環境を模擬した湿箱式の結露水腐食試験を行った。試験
は、通流ガスとして、N2ガスにSOx:1%、H2
O:8%、CO2:10%、O2:5%を含む混合ガス
を用い、温度サイクル:130℃x6h→80℃×24
hの環境に暴露し、このサイクルを8回繰り返して実施
した。模擬環境試験における耐全面腐食性の評価は、沸
騰5%硫酸溶液中での試験と同様に、腐食減量で評価し
た。
【0037】鋼No.1〜No.24は本発明鋼の例で
ある。熱間加工性を示す割れ・疵個数はいずれも5個/
m2以下であり、これは実際の熱間圧延後の疵手入れ作
業においても、容易に手入れ除去できるレベルである。
また、5%硫酸試験による耐全面腐食試験の結果は、腐
食減量が50〜70g/m2・hである。さらに、より
実プラントの煙道の環境に近いと考えられる上記模擬環
境腐食試験の結果は、いずれも0.11g/m2・h以
下である。
【0038】これらの耐食性試験結果から、本発明鋼
は、硫酸露点腐食を生じさせる環境において、使用可能
なレベルにあり、かつまた、良好な熱間加工性を有す
る。すなわち、鋼板の製造容易性と耐全面腐食性を両立
する、優れた特性を有していることがわかる。特に、鋼
No.17〜21は、Ca、Mg、Ti、Zrを一種以
上含有した鋼であるが、熱間加工性を示す割れ・疵個数
はいずれも2個/m2以下と、極めて優れた熱間加工性
を有する。
【0039】一方、鋼No.25〜No.44は比較例
である。鋼No.25、26、27は、それぞれC、S
i、Mnを過剰に含有する鋼であるため、耐食性が劣
る。また、鋼No.28、29、30は、それぞれP、
S、O量を過剰に含有する鋼であるため、熱間加工性が
劣る。鋼No.31は、Ni含有量が不十分なため、オ
ーステナイト相が不安定となり、このため疵の多発が認
められるほか、耐食性も不十分である。
【0040】鋼No.32は、Ni含有量が本発明の範
囲を上回るが、耐食性は本発明鋼と同等であり、コスト
の割りには耐食性改善の効果が認められない。鋼No.
33は、Cr含有量が不十分のため耐食性は不十分とな
り、鋼No.34は、Cr含有量が本発明の範囲を上回
るが、やはり耐食性改善効果は飽和している。
【0041】また、鋼No.35、37、39は、それ
ぞれCu、Mo、Cu+Moの含有量が不十分であるた
め、十分な耐食性が得られていない。一方、鋼No.3
6、38は、それぞれCu、Moを過剰に含有するが、
耐食性改善効果は飽和するとともに、むしろ、熱間加工
性の顕著な劣化が認められる。
【0042】鋼No.40〜44は、それぞれCa、M
g、Ti、Zrを過剰に含有する鋼であるが、熱間加工
性の顕著な劣化が認められる。
【0043】これらを、実際に厚板工場で製造した例
を、図6、7として示す表3−1、3−2に示す。発明
鋼及び比較鋼ともに、溶解量50トンの電気炉で出鋼
し、連続鋳造によりスラブとした後、分塊圧延を経て、
板厚15mmに熱間圧延した。熱間加工性の評価は、分
塊圧延後のスラブにおいて、表裏面及び端面に発生した
割れの発生個数で評価した。また、耐食性の評価は熱間
圧延鋼板で実施した。評価方法は、上記に示した方法と
同様である。
【0044】熱間加工性及び耐全面腐食性の結果を、表
3−1、3−2に併せて示す。鋼No.45〜49は、
発明鋼であり、良好な熱間加工性と耐全面腐食性が得ら
れている。一方、鋼No.50、51は、CまたはSが
本発明の範囲を超えるため、熱間加工性が良好でない。
また、鋼No.52、53はCu+Mo量が本発明の範
囲を下回るため、全面腐食性が良好でない。これより、
実験炉で溶解した材料の特性と、実製造ラインによる溶
解、圧延での結果は、良く一致しており、本発明鋼の優
れた効果が確認された。
【0045】以上に例示するように、本発明で意図する
耐全面腐食性を、良好な熱間加工性を維持したまま得る
ためには、本発明で特徴とする各合金元素の含有量を規
定し、特に適正な量のCu、Mo量を複合して含有する
ことが必要であると理解される。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
熱間加工性と耐硫酸露点腐食性の特性を両立しうる汎用
的なステンレス鋼を提供することができ、ステンレス鋼
板を製造する際の歩留りや製造コストの低減、実プラン
トに組み立てられた後のメンテナンスコストの低減など
を通じて工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cu+Mo含有量と模擬環境中での全面腐食試
験における腐食減量の関係を示す図である。
【図2】本発明鋼の化学成分および熱間加工性、耐全面
腐食性の試験結果を、表1−1として示す図である。
【図3】本発明鋼の化学成分および熱間加工性、耐全面
腐食性の試験結果を、表1−2として示す図である。
【図4】比較鋼の化学成分および熱間加工性、耐全面腐
食性の試験結果を、表2−1として示す図である。
【図5】比較鋼の化学成分および熱間加工性、耐全面腐
食性の試験結果を、表2−2として示す図である。
【図6】実製造ラインで製造した本発明鋼、比較鋼の化
学成分および熱間加工性、耐全面腐食性の試験結果を、
表3−1として示す図である。
【図7】実製造ラインで製造した本発明鋼、比較鋼の化
学成分および熱間加工性、耐全面腐食性の試験結果を、
表3−2として示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量(wt)%で、C:0.15%以
    下、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:
    0.07%以下、S:0.003%以下、O:0.00
    5%以下、Ni:5.0%以上15.0%以下、Cr:
    15.0%以上25.0%以下、N:0.3%以下、C
    u:0.05%以上1.5%以下、Mo:0.10%以
    上2.0%以下を含有し、かつ、Cu+Mo:0.2%
    以上を満たし、残部がFe及び不可避的不純物からなる
    ことを特徴とする、熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食
    用ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 前記鋼が、更に、Ca:0.010%以
    下、Mg:0.010%以下、Ti:0.10%以下、
    Zr:0.20%以下のうち一種以上を含有することを
    特徴とする、熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食用ステ
    ンレス鋼。
JP9281070A 1997-09-30 1997-09-30 熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食用ステンレス鋼 Pending JPH11106872A (ja)

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