JP4013301B2 - 耐硫酸露点腐食性に優れた溶接構造用鋼及びその製造方法 - Google Patents

耐硫酸露点腐食性に優れた溶接構造用鋼及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみ焼却炉や重油燃焼ボイラーなどの煙道、煙突、熱交換器など、塩酸を含む硫酸露点腐食環境で使用される、耐食性に優れた低合金鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
都市ごみや重油を燃焼すると、それらに含まれる硫黄分や塩素分により、排ガス中に多量の三酸化硫黄と塩化水素が含まれる。これらの三酸化硫黄や塩化水素は、排ガス中の水分の露点を著しく上昇させ、煙突、煙道や熱交換器等の内面に、酸性の硫酸と塩酸を含む結露水を凝縮させるため、鋼材を激しく腐食することが知られている。
【0003】
こうした酸露点腐食に対する材料面からの対策としては、1つは、溶射等の方法により鋼材の表面に耐食性の優れた金属等を被覆させる材料があり、他は、かかる腐食環境にも耐えうる耐食材料の使用があげられる。
【0004】
前者の方法としては、例えば、特開平9−31576号公報が開示されている。この発明は、Cr、Si、Mo、Cuを適量含有するNi合金を、プラズマ等の溶射により、通常の炭素鋼等からなる伝熱管の表面に被覆させるものである。Ni合金の有する優れた耐食性のため、当然のことながら、酸露点腐食に対する耐食性は極めて優れたものであり、腐食に伴う材料の損傷が小さいため、定期的な補修費用は大幅に軽減できる。しかし、溶射に伴う製造コスト、あるいは被覆材料そのものも高価なため、大きな面積を有する部材への適用は、経済的に難しいと考えられる。
【0005】
後者の方法には、いわゆる低合金鋼を基礎とした材料、およびステンレス鋼等の高合金鋼を基礎とした材料、の2通りの考え方がある。
結露水中に硫酸が含まれる環境では、これまで低合金鋼である耐硫酸腐食鋼が開発され使用されてきた。また、結露水中の硫酸濃度が高い場合には、Si等を大量に含有する耐硫酸腐食鋼が開発されてきた(例えば特開昭61−3867号公報)。しかし、都市ごみや重油の燃焼により、排ガス中に塩素をも含まれる環境では、これらの耐硫酸鋼では、耐食性は不十分であり有効な対策ではない。
【0006】
硫酸と塩酸が共存する露点腐食環境において、耐食性を改善した低合金鋼として、例えば特開平9−25536号公報が開示されている。この発明は、耐硫酸露点腐食に効果のあったSは、塩酸を含む硫酸露点環境では悪影響があるため、これを低減するとともに、塩酸露点腐食に対して効果のあるSnまたはSbを含有させるものである。しかしながら、SnやSbは、オーステナイト粒界に偏析しやすく、鋼材の靭性を著しく損なうとともに、熱間加工時の割れを引き起こしやすくするので、鋼材に含有させる合金元素としては実用的でない。
【0007】
一方、硫酸、塩酸を共に含む露点環境中で耐食性を有するステンレス鋼として、例えば特開平7−316745号公報が開示されている。この発明は、従来のステンレス鋼では当該環境中での耐食性が不十分であることから、Cr、Ni、Mo、Cuの4成分の複合添加させるものである。しかし、Niを例えば30%程度も含有するなど、合金元素の量が極めて多く、コスト的にも、また、溶接性の点でも課題が残されている。
【0008】
すなわち、従来の技術では、塩酸を含む環境において十分な耐硫酸露点腐食性を有する溶接構造用鋼を、経済的に製造することは、困難であった。
【0009】
【解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塩素を含む燃焼排ガス環境において十分な耐硫酸露点腐食性を有するとともに、鋼材の基本性能である溶接性および靭性の良好な低合金溶接構造用鋼を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋼材の成分組成について鋭意検討を行い、以下の知見を得た。
(1)Crは、鋼の耐食性を向上させる効果があるため、従来製造されてきた耐硫酸鋼には、しばしば含有されてきた。しかし、本発明者らが検討したところ、Crは塩素を含む環境においては、局所的な腐食(孔食)をむしろ助長する作用があることが判明した。また、Crは溶接部の硬さを増し、いわゆる溶接低温割れを起こしやすくさせるため、溶接性を劣化させる。そこで、Cr含有量を極力減じて、塩素を含む燃焼排ガス環境における鋼の耐食性を向上させることが必要となる。
【0011】
(2)Pは、塩酸、硫酸を含む環境中で耐食性を向上させるので、必要量含有させる。また、適量のMoとNiを複合的に含有させることにより、塩素を含む環境において、鋼材の耐食性を著しく向上しうることを見出した。従って、Mo量を最適化し、かつCrを極力減ずることにより、溶接割れ感受性を実用的な範囲に維持することができる。
【0012】
(3)靭性の点では、Mn、NiおよびMoの量を最適化することが必要である。また、熱間圧延を適当な温度で終了することにより、安定して、鋼材に良好な靭性を付与しうる。
以上の知見により、塩酸を含む硫酸露点環境において、高い耐食性を有するとともに、溶接性、靭性の良好な鋼材の製造が可能であることを見出し、以下の発明を完成させた。
【0013】
すなわち、第1の発明は、重量%で、C:0.15%以下、Si:0.70%以下、Mn:0.20%〜1.50%、P:0.03〜0.15%、S:0.010%以下、Al:0.010〜0.10%、Cr:0.10%以下、Ni:0.40〜4.0%、Cu:0.04%以下、Mo:0.10%〜1.50%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、かつNiとMoが、Ni+3Mo≧1.2%の関係を満たすことを特徴とする耐硫酸露点腐食性に優れた溶接構造用鋼である。
本発明により実用的な強度水準を有する低合金鋼において、塩酸を含む硫酸露点環境で高い耐食性を有することができる。
【0014】
第2の発明は、前記溶接構造用鋼が、更に、炭素等量(Ceq):0.40%以下、溶接割れ感受性指数(Pcm):0.20%以下であることを特徴とする耐硫酸露点腐食性に優れた溶接構造用鋼である。
ここで、
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
本発明により、塩酸を含む硫酸露点環境における耐食性と溶接性を兼ね備えることができる。
【0015】
第3の発明は、前記溶接構造用鋼が、更に、MnとMoが、Mn×Mo≦0.4の関係を満たすことを特徴とする耐硫酸露点腐食性に優れた溶接構造用鋼である。
本発明により、塩酸を含む硫酸露点環境における耐食性の優れた鋼材の靭性を更に改善することができる。
【0016】
第4の発明は、第1から第3の発明のいずれかに記載した溶接構造用鋼を、連続鋳造または分塊圧延後、得られた鋼片を再加熱し熱間圧延するに際して、950℃以下で累積圧下率20%以上の圧下を加え、かつ熱間圧延を750℃以上900℃以下の温度範囲で終了することを特徴とする、耐硫酸露点腐食性に優れた溶接構造用鋼の製造方法である。
本発明により、前述の鋼材の靭性を安定して高めることができ、製造された鋼構造物の耐食性と破壊に対する安全性を高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、上記の元素を含有させる理由、限定理由、および製造条件の限定理由を説明する。
まず、本発明で、化学成分を上記の範囲に限定した理由について説明する。
【0020】
C:Cは所定の強度を確保するために含有するが、0.15%を超えると溶接性および靭性が劣化するので、上限を0.15%とする。
【0021】
Si:Siは製鋼段階の脱酸剤および強度向上元素として含有するが、過剰に含有すると靭性が著しく低下するので、上限を0.70%とする。
【0022】
Mn:Mnは所定の強度を確保するために0.20%以上含有する。しかし、過剰に含有するとベイナイト組織が生じやすくなり、機械的特性、特に靭性が劣化するので、上限を1.50%とする。
【0023】
P:Pは、本発明において重要な元素であり、鋼の強度を向上させるとともに、耐食性を向上させる効果があるので、必要量含有する。しかし、0.03%未満の含有では耐食性の向上に効果が小さく、0.15%を超える含有では溶接性が劣化するので、その範囲を0.03〜0.15%とする。
S:Sは耐食性に有害な元素であるので、その上限を0.01%とする。
【0024】
Al:Alは製鋼段階の脱酸剤として0.01%以上含有するが、過剰に含有すると腐食の起点となる介在物が生じやすくなるので、その上限を0.1%とする。
【0025】
Cr:Crは、塩素の多い環境においては、孔あき腐食を助長する効果がある。また、溶接性硬化性を高めるため、溶接割れ感受性を劣化させる。従って、その含有量は、スクラップ等から混入する不可避的な量に止めるべく、その上限を0.10%とする。
【0026】
Ni:Niは、本発明において重要な元素であり、Moとの共存により塩素を含む環境における耐食性を向上させる効果がある。しかし、0.40%未満の含有ではその効果がない。一方、4.0%を超える含有では、経済性の点で不利であり、また、ベイナイト組織が生じやすくなり、機械的特性、特に靭性が劣化するので、その上限を4.0%とする。
【0027】
Cu:Cuは耐食性を向上させる効果があり、必要量含有する。しかし、0.40%を超えるとその効果が飽和するが、他方、熱間圧延においてはCu疵を発生しやすくなるので、その上限を0.04%とする。
【0028】
Mo:Moは本発明において重要な元素であり、Niとの共存により塩素を含む環境における耐食性を向上させる効果がある。しかし、0.10%未満の含有ではその効果がなく、1.50%を超える含有では、経済性の点で不利であり、また、ベイナイト組織が生じやすくなり、機械的特性、特に靭性が劣化するので、その範囲を0.10%〜1.50%とする。
【0029】
Ni+3Mo≧1.2%:
適量のMoとNiが共存すると、相乗効果が発揮され、耐食性を著しく改善する。この耐食性に及ぼすMoとNiの相乗効果の詳細は、明らかではないが、次のように考えられる。Moは錆の地鉄界面近傍において富化し、地鉄界面近傍の錆の緻密性を高め、水分や塩分といった腐食因子が、鋼表面に接触するのを妨げる効果があると考えられる。
【0030】
その一方、Moは錆を脆くする性質があり、クラックなどの欠陥が生じやすくなる。Niは、この脆い錆の性質を改善し、クラックなどの欠陥を生じにくくする性質がある。これら2つの異なる性質による相乗効果が発揮されるため、適量のMoとNiを含有することにより、耐食性が著しく改善すると考えられる。耐食性の観点からは、Moを0.10%以上、Niを0.40%以上含有すると効果が認められてくるが、Ni+3Mo<1.2%では効果が十分でないので、Ni+3Mo≧1.2%とする。
【0031】
CeqおよびPcm:溶接構造物として使用するためには、溶接性が実用的水準にある必要がある。すなわち、溶接低温割れを防止する観点からの溶接予熱温度を、少なくとも70℃以下、好ましくは室温(25℃)とするために、鋼材の溶接硬化性を低減する必要があり、CeqとPcmの上限を、それぞれ0.40%、0.20%とする。なお、Ceq、Pcmは次式で表せる。
【0032】
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
【0033】
Mn×Mo≦0.4:
NiとMoを同時に含有すると、鋼の焼入れ性が著しく高まるため、通常の熱間圧延においては、ベイナイト組織が生成し、靭性が不十分なものとなりやすい。そこで、本発明では、NiおよびMoの含有によるかかる欠点を克服するため、Mn含有量の上限を1.50%とし、かつMo含有量を、
Mn×Mo≦0.4
の関係式により制限する。
【0034】
熱間圧延条件:950℃以下における累積圧下率20%以上とし、圧延仕上げ温度を750〜900℃とする。
上記Mn、Moの制御に加え、熱間圧延段階で、オーステナイト粒を微細化することで、結晶組織を細粒化して、フェライト−パーライト組織の生成を促進する。従って、熱間圧延における制御圧延が、950℃以下での累積圧下率が20%未満であると、オーステナイトの再結晶による細粒化が不十分である。
【0035】
また、圧延仕上げ温度が900℃を超える高温では、再結晶により細粒化したオーステナイト粒が成長するため、フェライト組織の細粒化が図れない。一方、圧延仕上げ温度が700℃を下回る低温の場合は、いわゆるオーステナイト−フェライトの2相域で圧下が加えられるため、強度が著しく上昇する反面、圧延時の変形抵抗が高まり、圧延鋼板の形状、圧延能率の点で不利になる。
【0036】
【実施例】
次に、本発明の実施例を説明する。
図3から図8として示す表1−1から表1−6は、本発明鋼および比較鋼に係る各供試鋼の化学組成を示す。これらの表に示す成分組成を有する鋼を溶製し、1200℃にてスラブ加熱後熱間圧延を開始し、950℃以下で30%の累積圧下率を加えて850℃で圧延を終了し、厚さ25mmの鋼板とした。圧延終了後は、室温まで空冷した。
【0037】
各供試鋼板について、JIS Z 3158に定められる斜めy型溶接割れ試験および硫酸−塩酸混合液中での腐食試験を実施した。ここで、腐食試験は、供試鋼板から25×50×4mmの試験片を採取し、表面を#400エメリー紙で研磨した後、60℃に加熱した50%硫酸−10%塩酸混合水溶液中に5時間浸積し、最大穴あき深さを測定した。試験結果を、図9から図10として示す表2−1から表2−2に、溶接割れ防止予熱温度および腐食試験における最大孔あき深さとして示す。
【0038】
図1は、腐食試験による供試鋼板の最大孔あき深さの値を、溶接割れ防止予熱温度との関係で示したものである。比較鋼の鋼No.101〜132、134〜136、139、140、143〜166、168、169は、最大孔あき深さが0.2mmを超え、耐食性が劣る。一方、比較鋼133、137、138、141、142、169、170は、最大孔あき深さが比較的に小さく、耐食性に優れるが、溶接割れ防止予熱温度がそれぞれ70℃、100℃、150℃、100℃、150℃、70℃、100℃であり、溶接性が良好とはいえない。
【0039】
これに対して、発明鋼の鋼No.1〜3、5〜7、9〜11、13、14、17、18、21〜64は、全て最大孔あき深さが0.2mm以下であり、溶接割れ防止予熱温度は室温を示し、耐食性および溶接性がともに良好である。
【0040】
また、発明鋼の鋼No.4、8、12、15、16、19、20、53、54、57、62〜64は、溶接割れ防止予熱温度が50℃ないしは70℃であるが、最大孔あき深さがそれぞれ0.15mm、0.16mm、0.13mm、0.10mm、0.11mm、0.10mm、0.09mm、0.11mm、0.12mm、0.12mm、0.11mm、0.10mm、0.09mmである。これは、比較鋼で同等の溶接性を有する鋼No.105、114、122、123、132〜142、169よりも、耐食性が著しく優れている。
【0041】
図11から図12として示す表3−1から表3−2は、供試鋼板の化学成分と圧延条件および靭性を示したものである。ここで、靭性は、シヤルピー衝撃試験における破面遷移温度(vTrs)およびエネルギ遷移温度(vTre)で評価した。鋼No.14−0−0から14−−3は、本発明の化学成分を有する鋼を用い、圧延条件が靭性に与える影響を調査したものである。また、鋼No.14−−2および15、16、41、65〜70、171〜175は、圧延条件を一定とし、成分組成が靭性に与える影響を調査したものである。
【0042】
圧延仕上げ圧延温度が900℃を超える鋼No.14−0−0と14−1−0は、vTreが0℃を超え、靭性が十分とはいえない。また、仕上げ圧延温度が900℃以下であっても、950℃以下における累積圧下率が20%未満である鋼No.14−2−1と14−−1は、vTreが0℃を超え、靭性が十分でない。一方、圧延仕上げ圧延温度が900℃以下であり、950℃以下の累積圧下率が20%を超える鋼No.14−―2、14−−3、14−−2、14−−3は、いずれもvTreが−30℃以下であり、靭性が優れている。
【0043】
化学成分の影響としては、比較鋼である鋼No.171〜175は、いずれもvTreが0℃を超え、靭性が十分でない。発明鋼である鋼No.14、15、16、41および65から70までは、いずれもvTreが0℃以下で、靭性が優れている。
【0044】
図2は、MnとMoの含有量が靭性に与える影響を表したものである。図中の丸印右上に付記した数字は、シヤルピー試験のエネルギ遷移温度vTreを示す。Mn含有量が0.20%〜1.50%の範囲にあり、かつMo含有量が0.10%〜1.50%の範囲にある場合は、vTreが0℃以下である。さらに、Mn×Mo≦0.4の関係を満たす範囲においては、vTreが−20℃以下を示し、特に優れた靭性を有することが明確である。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、ごみ焼却炉や重油燃焼ボイラーなどの煙道、煙突、熱交換器などで、塩酸を含む硫酸露点腐食環境において、高い耐食性を有し、かつ実用的な溶接性を有する溶接用構造用鋼が、経済的に製造することができる。また、靭性も鋼構造物としての安全性を確保するに十分なレベルを確保できる。
【0046】
また、本発明は基本的には、熱間圧延のままの状態で鋼材を製造するものであり、熱間圧延のプロセスは、一般的な厚板圧延プロセスのみならず、形鋼圧延プロセス、さらには、薄板熱間圧延プロセスであるホットストリップミル圧延においても適用可能である。さらに、本発明鋼に、焼きならしや焼入れ−焼戻しの熱処理を施しても、耐食性、溶接性を損なうものではなく、特に板厚が著しく厚くなった場合には、靭性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各供試鋼板の斜めy型溶接割れ試験による割れ防止予熱温度と腐食試験により生じた孔あき腐食の最大深さの関係を示す図である。
【図2】各供試鋼板のMn含有量とMo含有量とシヤルピ衝撃試験のエネルギ遷移温度の関係を示す図である。
【図3】本発明鋼および比較鋼の化学成分を表1−1として示す図である。
【図4】本発明鋼および比較鋼の化学成分を表1−2として示す図である。
【図5】本発明鋼および比較鋼の化学成分を表1−3として示す図である。
【図6】本発明鋼および比較鋼の化学成分を表1−4として示す図である。
【図7】本発明鋼および比較鋼の化学成分を表1−5として示す図である。
【図8】本発明鋼および比較鋼の化学成分を表1−6として示す図である。
【図9】本発明鋼および比較鋼の斜めy型溶接割れ試験における溶接割れ防止予熱温度と硫酸−塩酸混合液中での腐食試験における最大孔あき深さを、表2−1として示す図である。
【図10】本発明鋼および比較鋼の斜めy型溶接割れ試験における溶接割れ防止予熱温度と硫酸−塩酸混合液中での腐食試験における最大孔あき深さを、表2−2として示す図である。
【図11】本発明鋼および比較鋼の化学成分、圧延条件および靭性(シヤルピ衝撃試験における破面遷移温度(vTrs)およびエネルギ遷移温度(vTre))の関係を表3−1として示す図である。
【図12】本発明鋼および比較鋼の化学成分、圧延条件および靭性(シヤルピ衝撃試験における破面遷移温度(vTrs)およびエネルギ遷移温度(vTre))の関係を表3−2として示す図である。

Claims (4)

  1. 重量%で、C:0.15%以下、Si:0.70%以下、Mn:0.20%〜1.50%、P:0.03〜0.15%、S:0.010%以下、Al:0.010〜0.10%、Cr:0.10%以下、Ni:0.40〜4.0%、Cu:0.04%以下、Mo:0.10%〜1.50%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、かつNiとMoが、Ni+3Mo≧1.2%の関係を満たすことを特徴とする耐硫酸露点腐食性に優れた溶接構造用鋼。
  2. 前記溶接構造用鋼が、更に、炭素等量(Ceq):0.40%以下、溶接割れ感受性指数(Pcm):0.20%以下であることを特徴とする、請求項1記載の耐硫酸露点腐食性に優れた溶接構造用鋼。
    ここで、
    Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14
    Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
  3. 前記溶接構造用鋼が、更に、MnとMoが、Mn×Mo≦0.4の関係を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の耐硫酸露点腐食性に優れた溶接構造用鋼。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の溶接構造用鋼を、連続鋳造または分塊圧延後、得られた鋼片を再加熱し熱間圧延するに際して、950℃以下で累積圧下率20%以上の圧下を加え、かつ熱間圧延を750℃以上900℃以下の温度範囲で終了することを特徴とする、耐硫酸露点腐食性に優れた溶接構造用鋼の製造方法。
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