JPH04346638A - 熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食ステンレス鋼 - Google Patents
熱間加工性に優れた耐硫酸露点腐食ステンレス鋼Info
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Abstract
め要約のデータは記録されません。
Description
交換器、煙道、煙突などの硫酸酸性液による腐食が問題
となる部分に用いるための優れた耐硫酸露点腐食ステン
レス鋼に関するものである。
ス鋼としては、特開平2−170946号公報に開示さ
れている耐食性の優れた煙突、煙道および脱硫装置用高
合金ステンレス鋼が既知である。この高合金ステンレス
鋼は、重量で、C:0.004 〜0.05%、Si:
5%以下、Mn:2%以下、Cr:18〜25%、Ni
:14〜24%、Mo:1〜4.5 %、Cu:0.5
〜2.0 %、Al:0.05%以下、N:0.01
〜0.3 %を含み、P:0.03%以下、S:100
ppm以下、O:50ppm 以下で、残部が実質的に
Feと不可避的不純物からなる合金において、次式の各
成分の複合添加を基本に煙突、煙道および脱硫装置環境
での耐全面腐食性と耐隙間腐食性の二つの特性を同時に
確保するため重量パーセントで表示したG.I.値 (
General Corrosion lndex ;
耐全面腐食性指数) =−Cr+3.6Ni +4.
7Mo +11.5Cuが60≦G.I.≦90でかつ
、C.I.値 (Crevice Corrosion
lndex ; 耐隙間腐食性指数)=Cr+0.4
Ni +2.7Mo +Cu+18.7N が35≦C
.I.≦50であることを特徴としており、特に、耐酸
性に有効なCuを0.5 〜2.0 wt%含有してお
り、このCu量が2wt%を超えると熱間加工性が劣化
するとの理由でCu量の上限を2wt%としている。し
かしながら、重油燃焼装置等では硫酸の濃度および温度
が極めて広い範囲にわたって変化するため、Cu含有量
が2wt%以下では十分な耐硫酸露点腐食性が得られな
いという問題がある。
、重量で、Cr:11〜40%、Ni:5〜70%、S
i:0.05〜2.0 %、Mn≦7.0 %、C≦0
.2 %、N≦0.4 %を含有し、凝固時の平衡分配
係数が小さく特に偏析し易いS,B,P,Oに関しては
S≦0.006 %、B≦0.0015%、P≦0.0
35 %、O≦0.015 %であり、しかも合金中の
Ni+30×N量とΔSとの関係(但しΔS=S−0.
8 ×Ca−0.5×Y−0.3 ×Mg−0.3 ×
Ce) が特定範囲内にあり、かつNi+30×N量と
P量との関係が特定の範囲内にある鋳造過程或いはその
後の熱間圧延過程で割れを起こし難いCr−Ni系ステ
ンレス鋼が開示されている。このステンレス鋼は熱間加
工性を必要としないステンレス鋼帯を直接に製造するた
めに開発されたもので、従って、熱間加工性に有効なB
含有量を0.0015%以下に抑えており、熱間加工性
について特に考慮されていない。
には、重量で、C:0.035 %以下、Si:0.1
〜2.0 %、Mn:0.1 〜2.0 %、P:0.
040 %以下、S:0.006 %以下、Cr:23
.0〜27.0%、Ni:13.0〜20.0%、Mo
:1.5 〜6.0 %、Cu:0.7 〜4.0 %
、N:0.28〜0.40%、Al:0.03〜0.1
0%、Ca:0.003 〜0.015 %を含有し、
Mo+Cu+N:2.50〜10.40 %で残部鉄お
よび不可避的不純物からなることを特徴とする、特に耐
隙間腐食特性に優れ、かつ熱間加工性の良好な高腐食オ
ーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。このス
テンレス鋼は耐隙間腐食性の他に、耐孔食性、耐酸性に
優れているとともにB添加などによって熱間加工性も改
善されているが、充分とは言えない。さらに、この公報
には熱間加工性に有効なBの作用に影響の大きいOにつ
いて全く記述されていない。
ンレス鋼は耐硫酸露点用部材として耐食性が不足するか
熱間加工性が不充分である。
用部材として要求される極めて高い耐食性を得るために
特に不可欠なCuの多量添加による高合金化の結果とし
て生じる熱間加工性の問題、とりわけ、プラネタリーミ
ルにおけるような1パスで90%以上の熱間加工率の要
求を満足させ得る優れた熱間加工性を有する耐硫酸露点
腐食ステンレス鋼を提供しようとするものである。
、C:0.050 %以下、Si:1.00%以下、M
n:2.00%以下、P:0.050 %以下、S:0
.0050%以下、Ni:8.0 〜30%、Cr:1
5〜28%、Mo:2%を超え7%以下、Cu:2%を
超え5%以下、N:0.05〜0.35%、B:0.0
015%を超え0.010 %以下を含有し、Oが60
ppm 以下で、しかも、合金中のCu, Mo, B
およびOの含有量が10000 ×B/ (Mo+Cu
+1000×O)=1.5〜10.0の関係を有するこ
とを特徴とする。
び検討を重ねた結果、耐酸性に対してMo, Cuの複
合添加が有効であり、特に、Cuの添加量が2%を超え
ると硫酸の濃度および温度の上昇に伴って、耐酸性に対
する効果が著しく高くなるという知見に基づくもので、
通常Cuが高くなると、熱間加工性が低下し、製造コス
トが高くなるという欠点があるが、Bを0.0015%
を超えて添加し、酸素含有量を低く抑えることによって
製造上最も重要な熱間加工性を著しく高めることを可能
とした。
での加工率が極めて高い熱間圧延機で、耳割れ等なく圧
延するためには、極めて優れた熱間加工性が要求される
が、上述したように酸素含有量を低く抑えることによっ
てBの熱間加工性改善効果を著しく高めることができ、
プラネタリーミルでの熱間圧延を可能としている。
耐食性の点から低いほど良く、0.050 wt%を超
えると粒界に炭化物を析出し、耐食性を劣化するので、
0.050 wt%を上限とした。Siは、σ相などの
金属間化合物を析出し、耐食性、機械的性質を劣化する
ので低いほど良く、特に1.00wt%を超えるとその
有害性が著しくなるので上限を1.00wt%とした。 Mnは、耐食性に有害であり、またσ相析出を促進する
作用があるので2.00wt%を上限とした。Pは熱間
加工性、溶接性に有害であり、低いほど良く、0.05
0 wt%を超えると、特に溶接性が著しく劣化するの
で、0.050 wt%を上限とした。Sは耐食性、熱
間加工性を劣化するので、低いほど良く、0.0050
wt%を超えると、特に熱間加工性の劣化するので、0
.0050wt%を上限とした。好ましくは、0.00
10wt%以下が良い。Niは、耐食性、特に耐硫酸性
に有効であり、また、本発明ステンレス鋼はオーステナ
イト組織であり、この組織を安定させるには少なくとも
8.0 wt%以上が必要である。また、耐食性の観点
からも多いほど良いが、コスト高となるため、30wt
%以下とした。Crは、耐食性に不可欠の合金成分であ
り、15wt%を下回ると、耐食性が著しく劣化し、2
8wt%を超えるとσ相などの金属間化合物の析出を促
進するので、上限を28wt%とした。Moは、耐食性
、特に本発明ステンレス鋼の目的とする耐硫酸性に対し
て不可欠の成分である。図1に示すように、Cuとの複
合添加によって耐食性を著しく向上し得るので、少なく
とも2wt%を超える含有量が必要である。しかし、7
wt%を超えるとσ相などの金属間化合物の析出が著し
くなり、耐食性を著しく劣化し、また、凝固偏析が大と
なり熱間加工性を悪化させるので、上限を7wt%とし
た。
分であり、2wt%を超えて添加すると著しく耐食性が
向上し、特に、Moとの複合添加によりその効果が大き
い。しかしながら、5wt%を超えると熱間加工性を劣
化させ、製造性が劣化するので、上限を5wt%以上と
した。Nは、オーステナイト組織安定化および耐食性に
有効であり、その効果を発揮するには、少なくとも0.
05wt%必要である。しかし、0.35wt%を超え
ると熱間強度が著しく高くなり、加工性も劣化するので
、0.05wt%〜0.35wt%とした。Bは、熱間
加工性向上に有効である。その効果は0.0015%以
下では発揮されず、また鋼中の酸素含有量が多いと効果
も減少する。図2に示すごとく、〔O〕が60ppm
以下で特にBの加工性改善効果が著しい。しかし、0.
010 wt%を超えると、逆に加工性が劣化するので
、0.0015〜0.010 wt%とした。Oは、熱
間加工性に有効なBの効果を発揮させるために、60p
pm 以下に抑える必要があるので、60ppm 以下
とした。W,Vは、ともに耐食性に有効であるが、多い
とσ相析出やコストアップにつながるので、上限は2.
00wt%以下とした。Mgは、Bとともに添加するこ
とで加工性を向上させ得るが、含有量が0.05wt%
を超えると加工性が逆に低下するので、上限を0.05
wt%とした。10000 ×B/ (Mo+Cu+1
000×O)を1.5 〜10.0とする理由は、Bの
効果がOとの関係、さらに凝固偏析しやすいMo, C
uとの関係によって大きく影響され、関係式の値が1.
5 未満ではBが有効に作用せず、また10.0を超え
ると、かえってBの熱間加工性を劣化させる方向に作用
するので、1.5 〜10.0とする必要がある。
塊を造り、それを半切して、鋳造したままで切り出した
試験片について、引張り試験後の絞りを調べ、熱間加工
性を評価した。また、耐食性を評価するため、熱間鍛造
および冷間圧延後1100℃×2分の固溶化熱処理を施
した厚さ2mmの板を用いた。表1に実施例を示す。
耐食性は優れ、かつ熱間加工性も優れていることが判る
。耐食性に対しては、図1に示すように、Mo, Cu
の複合添加が有効であり、Moが2wt%以下で、Cu
が2wt%を超える範囲で耐食性は良好となる。また、
図2に示すように、熱間加工性に対して、Bが有効であ
るが、その効果を発揮するには〔O〕を60ppm 以
下に抑える必要がある。特に、プラネタリーミルのよう
に、1パス圧延で90%以上の加工を加える場合は、極
めて優れた加工性が必要であり、1000℃〜1250
℃での絞りが70%以上必要である。そのためには〔O
〕を60ppm 以下の範囲で、Bは0.0015wt
%を超える必要がある。さらに、10000 ×B/
(Mo+Cu+1000×O)を1.5 〜10.0と
することが熱間加工性の点より必要である。
交換器、煙道、煙突用部材として極めて優れた耐食性を
有するステンレス鋼を提供することができ、しかも、熱
間加工性の改善によってプラネタリーミルのような極め
て高い加工率を有する圧延機での加工を歩留り良く行な
うことが可能で、その製造費を安価になし得る利点があ
る。
すグラフである。
の酸素含有量の影響を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量で、C:0.050 %以下、S
i:1.00%以下、Mn:2.00%以下、P:0.
050 %以下、S:0.0050%以下、Ni:8.
0 〜30%、Cr:15〜28%、Mo:2%を超え
7%以下、Cu:2%を超え5%以下、N:0.05〜
0.35%、B:0.0015%を超え0.010 %
以下を含有し、Oが60ppm 以下で、しかも、合金
中のCu, Mo, BおよびOの含有量が10000
×B/ (Mo+Cu+1000×O)=1.5 〜
10.0の関係を有することを特徴とする熱間加工性に
優れた耐硫酸露点腐食ステンレス鋼。 - 【請求項2】 重量で、W:2.00%以下、V:2
.00%以下、Mg:0.05%のいずれか1種以上を
含有する請求項1記載のステンレス鋼。
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