JP2003213379A - 耐食性に優れたステンレス鋼 - Google Patents

耐食性に優れたステンレス鋼

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JP2003213379A
JP2003213379A JP2002011392A JP2002011392A JP2003213379A JP 2003213379 A JP2003213379 A JP 2003213379A JP 2002011392 A JP2002011392 A JP 2002011392A JP 2002011392 A JP2002011392 A JP 2002011392A JP 2003213379 A JP2003213379 A JP 2003213379A
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Kiyoko Takeda
貴代子 竹田
Mitsuyuki Senba
潤之 仙波
Toshiyuki Nakai
俊之 中井
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐食性に優れ、かつ溶接性にも優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】質量%で、C:0.05%以下、Si:0.60%以
下、Mn:2.00%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以
下、Cu:0.05〜3.5%、Ni:9%以上で13.5%未満、Cr:
16%以上で20%未満、Mo:1.5〜2.8%、N:0.12%以下
およびAl:0.05%以下を含み、残部がFeからなり、下記
の式を満たすことを特徴とする耐食性に優れたオース
テナイト系ステンレス鋼。 −1≦Cr+Mo−1.7Ni ・・・ ただし、式中の元素記号はその元素の含有量(質量
%)を示す。上記の成分に加えて、Ti、Nb、BおよびCa
のなかの1種以上を含むことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学プラント、海
水を扱うプラント、原子力プラント等の各種プラントに
用いられる溶接性および粒界腐食性に優れたオーステナ
イト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼は、耐食
性、加工性および機械的性質に優れるため、上記のよう
な各種プラントの構造材料として広く利用されている。
しかし、オーステナイト系ステンレス鋼は、耐全面腐食
性に優れる反面、耐粒界腐食性が必ずしも十分でないと
いう難点がある。
【0003】また、オーステナイト系ステンレス鋼を溶
接した場合、溶接部および溶接熱影響部では、固溶限を
超えた鋼中Cが粒界にCr炭化物として析出することがあ
る。この場合、Cr炭化物の周囲のCr濃度が低下して、ス
テンレス鋼としての耐食性を有さないCr欠乏層が形成さ
れると、その部分が選択的に腐食され、応力腐食割れが
発生する。
【0004】特公昭57−28740号公報にはC含有量を低
くしてCr欠乏層の生成を抑制し、Nの添加により強度を
確保したステンレス鋼が開示されている。しかし、この
鋼において応力腐食割れの原因として考慮されているの
はCr欠乏層のみである。ところが、本願発明者らの検討
によると、後述のように、N添加は強度を上げる反面、
耐粒界腐食性に悪影響を与える窒化物の形成を促すとい
う短所がある。さらに、上記公報には表面不働態皮膜を
強化し鋼の腐食を抑制する元素とされているMoの添加が
記載されているが、後述するCu等の他元素との複合添加
効果については検討しておらず、耐食性の改善が充分に
なされているとは言い難い.特開平6−122946号公報で
は、鋼中のC、SiおよびPを低減し、NiおよびCrを増加
させた硝酸環境中で耐食性に優れたMo含有ステンレス鋼
が提案されている。この公報では、粒界腐食へ悪影響を
促す因子としてLaves相とχ相の粒界析出について述べ
られており、他のFe、Cr、Ni、Moからなる金属間化合物
やCr窒化物の影響については検討されていない。Laves
相やχ相の粒界析出に関してはMoやSiの影響が検討され
ているが、それ以外の添加元素との複合添加による耐粒
界腐食性の改善や、耐孔食性や耐全面腐食性との両立、
および母材組織との相関については検討されていない。
なお、母材組織については、オーステナイト組織安定化
のためNiを13.5%以上とする旨規定されているが、オー
ステナイト組織は溶接性と密接な関係にあり、それに関
しては検討されていない。
【0005】特開平5−179405号公報では、Si、Moおよ
びCuを含有する耐応力腐食割れと耐食性に優れ、かつ熱
間加工性に優れたステンレス鋼が提案されている。その
鋼は、溶接部の耐孔食性改善のため1.0〜4.0%のSiを含
む。しかし、Siは、後述のように金属間化合物の形成を
促して耐粒界腐食性を損なうので、多量添加は好ましく
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、化学プラン
ト、海水を扱うプラント、原子力プラント等の各種プラ
ントに用いられるステンレス鋼であって、耐食性に優
れ、かつ溶接性にも優れたオーステナイト系ステンレス
鋼を提供することを課題としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため種々の実験を行い、その結果を詳しく
検討して、以下の知見を得るに至った。
【0008】従来、粒界腐食の原因として、σ相、Lave
s相およびχ相が挙げられていたが、工業的レベルで形
成の可能性のあるη相やP相なども含め、Fe、Cr、Ni、
Moからなる金属間化合物の粒界析出が悪影響を与えるこ
とを明らかになった。これらの金属間化合物の析出に特
に影響の大きい元素としてはMoがある。Moは、金属間化
合物の粒界析出を促すという点では少ない方が望ましい
が、耐食性(耐孔食性および耐全面腐食性)の確保のた
めには適当量の含有が必要である。
【0009】そこで、Mo含有量を低く抑えることによる
耐食性低下を補う対策を探求したところ、Cuを添加する
と、Moを低減しても耐孔食性および耐全面腐食性が低下
しないことを確認した。即ち、Moの低減による耐粒界腐
食性の改善と、Cu添加による耐孔食性および耐全面腐食
性の確保の効果が得られるのである。さらに、Cuには構
造材として必要な強度を増大させるという効果もある。
【0010】粒界に析出するCr窒化物もオーステナイト
ステンレス鋼の耐粒界腐食性を低下させる。このCr窒化
物の析出を抑制するためにはN含有量の低減が効果的で
ある。しかし、Nは鋼の強化成分であるから、Nの低減
によって構造材として要求される強度に不足をきたす場
合がある。そのような場合には、N含有量を過度に減ら
すことなく、Tiまたは/およびNbを添加すればよい。Ti
やNbはNを窒化物として粒内に固定するため、Cr窒化物
の析出を抑制する。即ち、Tiまたは/およびNbの添加に
よって、優れた耐粒界腐食性を維持しつつ、強度も確保
できるのである。
【0011】一方、溶接時の高温割れを防ぎ、良好な溶
接性を有するためには、溶接部でδ−フェライトが形成
し易い組成が望ましい。即ち、比較的Crが多く、Niの少
ない組成にするのがよい。しかし、溶接部でδ−フェラ
イトが形成し易い組成の場合は、母材(溶接部以外の部
分)においてもCr炭化物、金属間化合物およびCr窒化物
の粒界析出が容易で、耐粒界腐食性が劣化する。従っ
て、耐食性と良好な溶接性との両立は困難である。
【0012】本発明者は、溶接部でδ−フェライトの形
成が容易でありながら、粒界での析出物生成が起こりに
くいオーステナイト系ステンレス鋼の組成を追求した。
その結果、Cr、MoおよびNiの含有量が下記の式を満た
せばよいことを知った。
【0013】 −1≦Cr+Mo−1.7Ni ・・・ ただし、式の元素記号は各元素の含有量(質量%)を
表す。
【0014】上記の式は多くの試験結果から得た実験
式である。この式を満たすオーステナイトステンレス鋼
では溶接部でδ−フェライトが形成し、高温割れが発生
しない。しかも母材は耐粒界腐食性にも優れる。なお、
溶接材料を用いて溶接する場合には、その溶接材料も
式を満たすことが望ましい。
【0015】以上の知見をまとめると下記のとおりであ
る。 (1)Moは金属間化合物の形成に影響の大きい元素であ
る。 (2)Moを低減しCuを適量添加することにより、耐粒界
腐食性を確保しつつ、耐全面腐食性および耐孔食性をも
確保することができる。 (3)Nの低減はCr窒化物による粒界腐食改善の効果が
あるが、強度を低下させる。 (4)必要に応じて適量のTiやNbと複合添加すると、N
がCr窒化物を形成する前に粒内に固定化できるため、Cr
窒化物形成を抑制しつつ強度を確保できる。 (5)耐粒界腐食性を維持しつつ優れた溶接性を確保す
るには、前記式を満たす組成を選ぶ必要がある。
【0016】本発明は上記の知見に基づいてなされたも
ので、その要旨は下記のオーステナイト系ステンレス鋼
にある。以下、成分含有量に関する%は、質量%を意味
する。
【0017】1.C:0.05%以下、Si:0.60%以下、M
n:2.00%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下、C
u:0.05〜3.5%、Ni:9%以上で13.5%未満、Cr:16%
以上で20%未満、Mo:1.5〜2.8%、N:0.12%以下およ
びAl:0.05%以下を含み、残部がFeおよび不純物からな
り、下記の式を満たすことを特徴とする耐食性に優れ
たオーステナイト系ステンレス鋼。
【0018】−1≦Cr+Mo−1.7Ni ・・・ ただし、式中の元素記号はその元素の含有量(質量
%)を示す。
【0019】2.上記1の成分に加えて、Ti:0.001〜
0.20%およびNb:0.002〜0.20%の1種または2種を含
み、上記の式を満たすことを特徴とする耐食性に優れ
たオーステナイト系ステンレス鋼。
【0020】3.上記1の成分に加えて、B:0.0005〜
0.003%およびCa:0.0005〜0.008%の1種または2種を
含み、上記の式を満たすことを特徴とする耐食性に優
れたオーステナイト系ステンレス鋼。
【0021】4.上記1の成分に加えて、Ti:0.001〜
0.20%およびNb:0.002〜0.20%の1種または2種とB:
0.0005〜0.003%およびCa:0.0005〜0.008%の1種また
は2種を含み、上記の式を満たすことを特徴とする耐
食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のオーステナイト系ステン
レス鋼の化学組成を規定した理由を以下に説明する。
【0023】C:0.05%以下 Cは脱酸の目的で用いられるが、炭化物の析出を防止す
るため、その含有量はできる限り低くするのがよい。0.
05%は許容上限値であり、さらに好ましいのは0.02%未
満である。
【0024】Si:0.60%以下 Siは脱酸の目的で用いられるが、金属間化合物の生成を
促すため、含有量はできるだけ低い方が望ましい。実用
鋼としての製造コストの面から、許容上限値を0.60%と
した。
【0025】Mn:2.00%以下 MnはSと硫化物を形成し、その硫化物は鋼中の非金属介
在物となる。従って、Mnは2.00%で、できるだけ少ない
方がよい。。
【0026】P:0.04%以下 Pは、鋼の耐食性を低下させるため、できるだけ少ない
ことが望ましい。従って、不純物としての許容上限値を
0.04%とした。
【0027】S:0.01%以下 Sは非金属介在物である硫化物を形成し、耐食性および
機械的性質に悪影響を及ぼす。また、また、鋼材が溶接
される際には、Sは溶接部の表面に優先的に濃化し、耐
食性を低下させる。従って、Sはできるだけ少ないこと
が望ましい。0.01%は不純物としての許容上限値であ
る。
【0028】Cu: 0.05〜3.5% Cuは、Moと同様にステンレス鋼の表面に形成される不働
態皮膜の安定化に効果がある。従って、Moの含有量の低
減による耐孔食性および耐全面腐食性の低下を補うこと
のできる重要な元素である。また、Cuには構造用鋼とし
て必要な強度を確保するのに寄与するという長所もあ
る。0.05%未満では、上記の耐食性を補う効果が十分で
ある。一方、3.5%を超えると鋼の加工性が低下するた
め、3.5%を上限とした。より好ましいのは0.20〜2.5%
ある。
【0029】Ni:9%以上で13.5%未満 Niはオーステナイト相を安定させ耐食性を維持するため
に重要な元素である。十分な耐食性を確保するためには
9%以上の含有が必要である。一方、Ni含有量が過剰に
なると、溶接部におけるδ−フェライトの生成が難しく
なり、溶接時の高温割れが出やすくなる。また、前記の
式で示すように、Ni含有量の上限はCr含有量と関係づ
けて選定する必要がある。これらを総合的に考慮して、
Ni含有量の上限は13.5%未満とした。好ましいNi含有量
の範囲は9.5〜13%である。
【0030】Cr:16%以上で20%未満 Crは、鋼の耐食性を保つために不可欠な元素である。16
%未満では十分な耐食性が得られない。しかし、本発明
鋼の使用環境で要求される耐食性を確保するには20%未
満で十分である。また、20%以上になると加工性の低下
および実用鋼としての価格の面から問題がある。さらに
好ましいCr含有量は、16%以上で18%未満である。
【0031】Mo:1.5〜2.8% Moは不働態皮膜の安定化に効果があり、耐孔食性や耐全
面腐食性を維持するためには不可欠な元素である。.た
だし、前述のようにMoは、Fe、Ni、Cr等とともに金属間
化合物として粒界に析出すると、耐粒界腐食性を低下さ
せるので過剰に含有させることはできない。そこで、耐
粒界腐食性に悪影響がなく、かつ耐全面腐食性および耐
孔食性を維持できる範囲として、1.5〜2.8%の含有量と
した。一層好ましいのは1.5〜2.5%である。
【0032】N:0.12%以下 Nは鋼中のCrと結合してCr窒化物を形成し、耐粒界腐食
性を低下させる。従って、N含有量は0.12%以下とす
る。一方、Nは鋼の強度を上げる成分でもある。従っ
て、強度を重視しない場合にはN含有量をできるだけ低
く抑えて耐粒界腐食性を向上させるのがよい。他方、高
強度が要求される場合には、Nを0.12%以下の範囲で高
めにし、後述のTiまたは/およびNbを添加して耐粒界腐
食性を向上させるのがよい。この場合、好ましいN含有
量は0.04〜0.10%である。
【0033】Al:0.05%以下 Alは、鋼の脱酸の目的で必要に応じて用いられることが
できる。しかし、Alが窒化物や酸化物として析出すると
鋼の耐食性が損なわれるので、含有量の上限を0.05%と
する。なお、Alの含有量は実質的に0(零)%でもよい
が、脱酸の効果を十分に得るには0.005%以上とするの
が望ましい。
【0034】本発明鋼の一つは、上記の成分の外、残部
がFeと不純物からなるものである。本発明鋼のもう一つ
は、上記の成分に加えてさらに下記の成分を含むもので
ある。
【0035】Ti:0.001〜0.20%、Nb:0.002〜0.20% TiおよびNbは、鋼中のNを粒内に固定化することにより
Cr窒化物の析出を抑制する。従って、強度確保のため、
Nの低減が困難な場合、必要に応じて添加する。添加す
る場合は、Tiは0.001〜0.20%、Nbは0.002〜0.20%の含
有量とするのがよい。
【0036】B:0.0005〜0.003%、Ca:0.0005〜0.008
% BおよびCaは、鋼の熱間加工性を改善する。なお、Bに
は強度を上げる作用もある。従って、これらの一方また
は両方を必要に応じて含有させることができる。それぞ
れの作用効果を十分に発揮させるには、BおよびCaのい
ずれも0.0005%以上含有させる必要がある。ただし、そ
れぞれの含有量が0.003%、0.008%を超えると鋼の耐食
性が低下する。
【0037】
【実施例】表1に示す化学組成のステンレス鋼を溶解
し、熱間鍛造と熱間圧延で厚さ6mmの板を作製した。こ
の熱間圧延材の一部を切断し、1050℃にて15分保持した
後に水冷する溶体化処理を施し、厚さ4mm、幅100mm、長
さ100mmの溶接試験片を採取した。なお、試験片の表面
は600番のエメリー紙で湿式研磨した。
【0038】上記の熱間圧延板の残りを厚さ2mmに冷間
圧延し、1050℃にて15分保持した後に水冷する溶体化処
理を施した。その後、650℃または750℃において、2時
間、16時間、30時間の加熱の後、空冷する時効処理(鋭
敏化処理)を施し、下記の耐食性試験と高温引張試験を
行った。
【0039】(1)耐粒界腐食性試験 10%しゅう酸エッチ試験(JIS G 0571)を行い、エッチ
面のミクロ組織を光学顕微鏡にて400倍で観察した。評
価は、粒界に溝のない組織を「○」、溝のある組織を
「×」とした。
【0040】(2)耐孔食性試験 25℃の6%塩化第二鉄溶液中に600番エメリー紙で研磨
した試験片を24時間浸漬した後、表面を光学顕微鏡(40
0倍)で観察した。その結果、孔食のないものを
「○」、孔食発生のあるものを「×」とした。
【0041】(3)高温引張試験 表1のNo.2〜5および10の鋼について引張試験を実施
した。試験温度は300℃とし、引張速度は0.2%耐力まで
0.15mm/分、0.2%耐力以後は2.5mm/分とした。試験結
果を表3に示す。なお、表3にはNo.2の鋼の0.2%耐力
および引張強さをそれぞれ1として、相対値を示した。
【0042】溶接性の試験は図1に示す要領で行った。
即ち、試験片1を曲げブロック2の上に固定した後、TI
G溶接トーチ3を用いてTIG溶接法によるビードオンプレ
ート溶接を行い、溶融池が長手方向の中央部に達したと
きに試験片を曲げ変形させて、溶接部4に負荷歪みを与
え、割れを発生させた。TIG溶接の条件は100A、14V、15
cm/minとした。試験後、実体顕微鏡にて割れの最大長
さを測定し、0.5mm未満を「○」、0.5mm以上を「×」と
した。表2に耐粒界腐食性、耐孔食性および溶接性の評
価結果を示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】表2から明らかなように、本発明例のNo.1
〜11の鋼は、粒界腐食および孔食が発生せず、溶接性に
も優れている。一方、比較例のNo.a〜c、e、fおよ
びhの鋼は、化学組成が本発明で規定する範囲から外れ
ている鋼で、耐粒界腐食性や耐孔食性がよくない。No.
bとdの鋼は、前記の式、即ち、−1≦Cr+Mo−1.7Ni
を満たさないために、溶接性が劣る。
【0047】表3の高温引張試験結果をみれば、No.3
の鋼はNの含有量が低いために強度がNo.2の鋼より小
さい。しかし、N含有量の多いNo.4と5の鋼、およびC
u含有量の高いNo.10の鋼はNo.2の鋼よりも高強度であ
る。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、耐粒界腐食性および溶
接性に優れ、耐孔食性および耐全面腐食性も備えたステ
ンレス鋼が得られる。このステンレス鋼は、化学プラン
ト、海水プラント、原子力プラントをはじめとする各種
プラントの構造部材としてきわめて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接性を評価する試験の要領を示す図である。
【符号の説明】
1…試験片、 2…曲げブロック、 3…TIG溶接トー
チ、 4…溶接部
フロントページの続き (72)発明者 中井 俊之 兵庫県尼崎市東向島西之町1番地 住友金 属工業株式会社関西製造所特殊管事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.05%以下、Si:0.60%以
    下、Mn:2.00%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以
    下、Cu:0.05〜3.5%、Ni:9%以上で13.5%未満、Cr:
    16%以上で20%未満、Mo:1.5〜2.8%、N:0.12%以下
    およびAl:0.05%以下を含み、残部がFeおよび不純物か
    らなり、下記の式を満たすことを特徴とする耐食性に
    優れたオーステナイト系ステンレス鋼。 −1≦Cr+Mo−1.7Ni ・・・ ただし、式中の元素記号はその元素の含有量(質量
    %)を示す。
  2. 【請求項2】質量%で、C:0.05%以下、Si:0.60%以
    下、Mn:2.00%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以
    下、Cu:0.05〜3.5%、Ni:9%以上で13.5%未満、Cr:
    16%以上で20%未満、Mo:1.5〜2.8%、N:0.12%以
    下、Al:0.05%以下、ならびにTi:0.001〜0.20%およ
    びNb:0.002〜0.20%の1種または2種を含み、残部がFe
    および不純物からなり、下記の式を満たすことを特徴
    とする耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼。 −1≦Cr+Mo−1.7Ni ・・・ ただし、式中の元素記号はその元素の含有量(質量
    %)を示す。
  3. 【請求項3】質量%で、C:0.05%以下、Si:0.60%以
    下、Mn:2.00%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以
    下、Cu:0.05〜3.5%、Ni:9%以上で13.5%未満、Cr:
    16%以上で20%未満、Mo:1.5〜2.8%、N:0.12%以
    下、Al:0.05%以下、ならびにB:0.0005〜0.003%お
    よびCa:0.0005〜0.008%の1種または2種を含み、残
    部がFeおよび不純物からなり、下記の式を満たすこと
    を特徴とする耐食性に優れたオーステナイト系ステンレ
    ス鋼。 −1≦Cr+Mo−1.7Ni ・・・ ただし、式中の元素記号はその元素の含有量(質量
    %)を示す。
  4. 【請求項4】質量%で、C:0.05%以下、Si:0.60%以
    下、Mn:2.00%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以
    下、Cu:0.05〜3.5%、Ni:9%以上で13.5%未満、Cr:
    16%以上で20%未満、Mo:1.5〜2.8%、N:0.12%以
    下、Al:0.05%以下、ならびにTi:0.001〜0.20%およ
    びNb:0.002〜0.20%の1種または2種とB:0.0005〜0.0
    03%およびCa:0.0005〜0.008%の1種または2種を含
    み、残部がFeおよび不純物からなり、下記の式を満た
    すことを特徴とする耐食性に優れたオーステナイト系ス
    テンレス鋼。 −1≦Cr+Mo−1.7Ni ・・・ ただし、式中の元素記号はその元素の含有量(質量
    %)を示す。
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Cited By (6)

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