JP2756190B2 - 耐凝縮水腐食性に優れ、かつ降伏強度の低いフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
耐凝縮水腐食性に優れ、かつ降伏強度の低いフェライト系ステンレス鋼Info
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Description
で優れた耐食性を示し、かつ降伏強度の低いフェライト
系ステンレス鋼に関する。
部に凝縮水が生じ、それが原因となって腐食が生じてい
る。近年、自動車マフラの高級化が求められるようにな
り、従来用いられていたアルミメッキ鋼、SUH40
9,SUS410に替わって18重量%以下のCrに加
えてCu,Ni,Moを添加元素として含有するフェラ
イト系ステンレス鋼が自動車マフラ用材料に用いられる
ようになっている。しかし、これらの鋼種は従来使用さ
れていた鋼種に比べ高Crであり、加えてCu,Ni,
Mo等の合金元素を含むため強度が大きくなっており、
機械加工の観点からは、耐食性に優れ、且つ機械的強度
(降伏強度)の低い材料が求められていた。
目的は、自動車マフラ凝縮水中で優れた耐食性を示し、
かつ加工性の確保のために機械的強度の小さいフェライ
ト系ステンレス鋼を提供しようとするものである。
て用いられているフェライト系ステンレス鋼において、
Siは脱酸元素として添加されているが、この元素は降
伏強度を著しく上げる働きがある。よって、降伏強度を
低下させる為にはSiの添加量を少なくすることが効果
的であるが、Siレスとした場合、マフラ表面にテンパ
ーカラーが生成した時のステンレス鋼の耐食性が劣化し
てしまうため、凝縮水によるマフラ内部の腐食が促進す
る。
フェライト系ステンレスの耐食性に及ぼす構成元素の影
響を調査した結果、Coの添加が有効であることを知見
した。またCoの添加による降伏強度の増加は大変小さ
いため、Si添加量を低減しかつCo添加を行うことに
よって、耐凝縮水腐食性に優れかつ降伏強度の小さいフ
ェライト系ステンレス鋼を得ることができる。本発明者
らは、上記の知見をもとに成分元素の最適組成範囲を検
討し、以下に示すように合金組成範囲を決定した。
可避的不純物よりなることを特徴とする、耐凝縮水腐食
性に優れ、かつ降伏強度の低いフェライト系ステンレス
鋼を提供するものである。
%以下を含んでいてもよい。
明による上記鋼組成の限定理由は次の通りである。
固溶限が小さく、主としてCr炭化物として析出し粒界
腐食を引き起こすため出来るだけ少ない方が望ましく、
0.05重量%を上限とした。
おいては脱酸剤として必要な元素であるが、降伏強度を
著しく大きくするため、軟質化が要求される材料におい
てはできるだけ添加を控えることが望ましく、上限を
0.10重量%とした。
鋼中で硫化物を形成し著しく耐食性を悪化させるため含
有量は低い方が望ましいが製造時の経済性を考慮して上
限を2.0重量%以下に設定した。
しく、0.05重量%以下にする必要がある。
ない方が望ましく、0.03重量%以下にする必要があ
る。
を著しく改善し、特に高Cr域において、その効果が大
きい。また、従来の研究によると普通鋼及びオーステナ
イト系ステンレス鋼においては、Coの添加による降伏
応力の増加は小さいとされているが、本発明者らの研究
によるとフェライト系ステンレス鋼においてもCoの添
加は降伏応力の増加を生ぜしめないことがわかった。従
って、Coの添加により降伏強度を高くすることなく耐
食性を改善することが可能となった。以上の効果を充分
に発揮させるために添加量の下限を0.01重量%とし
た。また、Coはオーステナイト生成元素であり、多量
の添加はフェライト組織を不安定にするため、上限を
3.0重量%に設定した。
マフラ凝縮水中での耐食性を著しく改善する効果があ
り、特にCoと複合添加した場合に、Coの耐食性改善
効果を促進する。
固溶限が小さく、主としてCr炭化物として析出し粒界
腐食を引き起こすため出来るだけ少ない方が望ましく、
0.05重量%を上限とした。
に不純物として残留したC,Nを無害化し、粒界腐食が
生じるのを防ぐ効果がある。しかし、添加元素の効果が
有効に生ずるためには、下限としてAl:0.005 重量%
以上、Ti:0.05重量%以上、Ta:0.01重量
%以上、V:0.05重量%以上、Zr:0.01重量
%以上の添加が必要である。但し、これらの元素を多量
に加えると加工性を阻害するため、Al:1.0重量
%、Ti:1.0重量%、Ta:1.0重量%、V:
1.0重量%、Zr:1.0重量%を上限として設定し
た。BはNを固定化するのに効果があるが、多量の添加
は熱間加工性を劣化させるため上限を0.005重量%に定
めた。
ステナイト生成元素であり、多量の添加はマルテンサイ
トを生じせしめ耐食性を劣化させるため、上限を1.0
重量%に設定した。
を改善する効果があるが、多量の添加はマルテンサイト
を生ぜせしめ耐食性を劣化させると共に、機械的強度を
著しく大きくするため上限を1.0重量%に設定した。
著しく改善する効果があるが、機械的強度を増大させ、
また高価であるため上限を3.0重量%に設定した。
あり、1.0重量%以下を限度として添加する。
詰まりを防止し、その結果、帯鋼のふくれ等の欠陥を防
止し、結果として耐食性を向上させるため0.010 重量%
以下を添加するのが望ましい。
明する。 (実施例1)表1−1〜1−4に示す組成を有するフェ
ライト系ステンレス鋼を30kg鋼塊に溶製した後、既
知の方法にて、熱間圧延、燒鈍、冷間圧延、仕上燒鈍
し、得られた1.0mm冷延板を試験に供した。S1〜
S49が本発明鋼、C1〜C7が比較鋼である。これら
の鋼板を50×100mmの試験片とし、大気中で45
0℃×12hr熱処理して表面にテンパーカラーを生じ
たものを合成凝縮水を用いた半浸漬試験に供した。試験
後、最大浸食深さを測定し、腐食程度の評価を行った。
試験装置を図1に示す。
pm、SO3 2- 200ppm、SO4 2- 1000pp
m、CO3 2- 1500ppm、CH3 COO- 800p
pmの組成を持ち、各イオンはアンモニウム塩として添
加した。pHは約9.0である。試験液中に試料を半浸
漬し、80℃恒温に保ち、試験液が完全乾固するまでを
1サイクルとして10サイクル繰り返した。その後、腐
食減量および降伏強度を測定した。結果を表2−1およ
び2−2に示す。
鋼は比較鋼に比べ耐食性に優れており且つ低降伏強度で
あることが明らかである。
る実験の場合について説明したが、本発明はこれに限る
ものではなく、本発明範囲内の組成を持つあらゆる場合
について成り立つものである。
さな機械的強度(低降伏強度)と自動車マフラ凝縮水中
における高い耐食性を持ち、自動車マフラの構成材料と
して最適である。
を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 C :0.05重量%以下 Si:0.10重量%未満 Mn:2.0重量%以下 P :0.05重量%以下 S :0.03重量%以下 Cr:11.0〜23.0重量% Co:0.01〜3.0重量% N :0.05重量%以下 Al:0.005 〜1.0重量%以下を含み、かつ B :0.005 重量%以下 Ti:0.05〜1.0重量% Ta:0.01〜1.0重量% V :0.05〜1.0重量% Zr:0.01〜1.0重量% の内一種あるいは二種以上を含み、残部がFeおよび不
可避的不純物よりなることを特徴とする、耐凝縮水腐食
性に優れ、かつ降伏強度の低いフェライト系ステンレス
鋼。 - 【請求項2】 請求項1に記載の成分に加え、さらに Cu:1.0重量%以下 Ni:1.0重量%以下 Mo:3.0重量%以下 W :1.0重量%以下 Sn:1.0重量%以下 の内一種または二種以上を含み、残部がFeおよび不可
避的不純物よりなることを特徴とする、耐凝縮水腐食性
に優れ、かつ降伏強度の低いフェライト系ステンレス
鋼。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の成分に加え、
さらにCa:0.010 重量%以下を含み、残部がFeおよ
び不可避的不純物よりなることを特徴とする、耐凝縮水
腐食性に優れ、かつ降伏強度の低いフェライト系ステン
レス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP204791A JP2756190B2 (ja) | 1991-01-11 | 1991-01-11 | 耐凝縮水腐食性に優れ、かつ降伏強度の低いフェライト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP204791A JP2756190B2 (ja) | 1991-01-11 | 1991-01-11 | 耐凝縮水腐食性に優れ、かつ降伏強度の低いフェライト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
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JPH04235256A JPH04235256A (ja) | 1992-08-24 |
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ID=11518419
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP204791A Expired - Lifetime JP2756190B2 (ja) | 1991-01-11 | 1991-01-11 | 耐凝縮水腐食性に優れ、かつ降伏強度の低いフェライト系ステンレス鋼 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2756190B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20200102489A (ko) | 2018-03-30 | 2020-08-31 | 닛테츠 스테인레스 가부시키가이샤 | 내염해 부식성이 우수한 페라이트계 스테인리스강 |
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1991
- 1991-01-11 JP JP204791A patent/JP2756190B2/ja not_active Expired - Lifetime
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