JPH0659534B2 - 含Al溶鋼の連続鋳造法 - Google Patents

含Al溶鋼の連続鋳造法

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JPH0659534B2
JPH0659534B2 JP61153580A JP15358086A JPH0659534B2 JP H0659534 B2 JPH0659534 B2 JP H0659534B2 JP 61153580 A JP61153580 A JP 61153580A JP 15358086 A JP15358086 A JP 15358086A JP H0659534 B2 JPH0659534 B2 JP H0659534B2
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典昭 瀧本
直樹 重松
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は含Al溶鋼の連続鋳造法に関する。
〔従来の技術〕
鋼の連続鋳造では鋳型と鋳片との潤滑性や鋳片の表面性
状を良好にすべく人工スラグ形成用パウダーを流入しな
がら連鋳操業が行われるのが普通である。この連鋳用パ
ウダーとしては,CaOおよびSiO2を主成分として含有す
るものが使用されているが,その組成としては,塩基度
(CaO/SiO2)が0.8以上,融点が1000℃以上,1300℃にお
ける粘性が1.5ポイズ以上の物性をもつような組成を有
するのが普通である。
〔発明が解決しようとする問題点〕 前述のような人工スラグ形成用パウダーを使用して連鋳
操業を実施した場合に,いくつかの難鋳造鋼種があり,
連鋳操業性並びに製品品質面で問題が生ずることがあ
る。この難鋳造鋼種を類別すると,溶鋼中にAlを含有す
るものが圧倒的に多い。すなわち,含Al溶鋼を前記の通
常鋼と同様のパウダーを使用して連続鋳造した場合に
は,鋳型内でのスラグリムの肥大化が生じ,パウダーの
流入不良を起こしてブレークアウト等の操業トラブル発
生の危険性が大きくなると共に,鋳片表面も悪化すると
いう問題があった。
本発明は,このような含Al溶鋼特に含Alステンレス溶鋼
の連続鋳造の場合に生じる特有の問題の解決を目的とし
てなされたものである。
〔問題点を解決する手段〕
本発明は,CaOおよびSiO2を主成分として含有する人工
スラグ形成用パウダーを用いて少なくとも0.10重量%の
Alを含有する溶鋼を連続鋳造するにさいし,溶鋼中のAl
と該人工スラグとの反応によりゲーレナイト(2CaO Al2O
3 SiO2)を鋳造中に析出させないための下記の3条件, (a).塩基度(CaO/SiO2)=0.6越え〜0.8, (b).融点=800〜1000℃, (c).1300℃における粘性=1.5ポイズ以下。
を満足する組成に調整したパウダーを使用することを特
徴とする含Al溶鋼の連続鋳造法を提供するものである。
特に本発明は1重量%以上のAlを含有するステンレス溶
鋼の場合に効果が高く,該パウダーに BaOを4〜8重量
%未満含有させた場合に良好な結果が得られる。
本発明者らは,含Al溶鋼の難鋳造性の原因は溶鋼中のAl
とパウダーとが反応してゲーレナイト(2CaO Al2O3 Si
O2)が析出することに起因することを見出し,このゲー
レナイトが鋳造中に析出しないようにパウダー組成を調
整するならば含Al溶鋼であっても前記のような問題は実
質上完全に解決できることがわかった。
以下に本発明の内容を本発明者らの行った実施結果に基
づいて具体的に説明する。
表1に従来の代表的なパウダーAと本発明に従うパウダ
ーBについてその組成,塩基度,融点並びに粘度を示し
た。また,表2に連続鋳造した含Alステンレス溶鋼の化
学成分値を示した。
第1図は,表1の従来パウダーAを用いて表2の含Alス
テンレス溶鋼を連続鋳造した場合のパウダー組成の経時
変化(鋳片に付着したスラグの採取位置(長さ)で表
示)を示したものである。第1図に見られるように,ス
ラグ組成はSiO2が減少し,Al2O3が経時的に増加すると
いう特徴的な変化を示す。またこれに伴ってパウダーの
CaO/SiO2比が上昇する。これは,溶鋼中のAlがパウダー
中に含有するSiO2と反応してAl2O3が増加しSiO2が減少
したことを示している。この結果,鋳造の時間経過に伴
って人工スラグの粘性および融点が大きく上昇する。そ
して,スラグ組成はゲーレナイトの析出する領域に入っ
てガラス性が喪失する。第2図はCaO-SiO2-Al2O3三元系
状態図を示したものであるが,第2図中の点Aは従来パ
ウダーAの初期組成を示し,A′はゲーレナイト領域に
入った組成を示している。このようにしてパウダーAを
使用した場合には,その物性の経時変化のためにモール
ド壁に付着したパウダーリムが肥大化し,パウダーのモ
ールド鋳片間への流入が著しく阻害され,潤滑不良が生
じて鋳片表面肌は第3図の写真(a)および(b)に示すよう
に,金属光沢をもったウロコ状のオッシレーションマー
クが形成されて著しく悪化する。
このように含Al溶鋼を対象とした場合には溶鋼中のAlと
の反応という特殊な現象によって操業異常および鋳片表
面肌悪化が生ずることが判明したのであるが,この問題
は本発明によるとほぼ完全に改善することができる。
第4図は表1の本発明パウダーBを使用して表2の含Al
ステンレス溶鋼を連続鋳造した場合のパウダー組成の経
時変化を第1図と同様に示したものであるが,この図に
見られるように,このパウダーBを使用した場合には,
Al2O3は20%程度に増加し,CaO/SiO2は1.2 程度に上昇
しているが,第1図の場合に比べて著しくはない。この
パウダーBの初期組成と鋳造末期の鋳片に付着したパウ
ダー組成とを第2図のCaO-SiO2-Al2O3三元系状態図中に
おける点BおよびB′に表示したが点B′はゲーレナイ
トの領域まで深く入っていない。このようなことから,
パウダーの融点および粘性は大きく上昇せずパウダーの
ガラス性は保たれたことが明らかである。第5図の写真
(a)および(b)はパウダーBを用いて鋳造した鋳片表面を
第4図のパウダーAを使用した場合と同様の鋳片位置で
示したものであるが,鋳片肌は良好である。
以上の実施結果は従来例並びに本発明例を代表例で示し
たものであるが,含Al溶鋼の多数のヒートについて実施
した結果,含Al溶鋼特有の難鋳造操業性並びに鋳片の表
面性状悪化の問題を解決するには,溶鋼中のAlと該人工
スラグとの反応によりゲーレナイト(2CaO Al2O3 SiO2)
を鋳造中に析出させないための3条件,すなわち,塩基
度(CaO/SiO2)が0.6越え〜0.8の範囲,融点が800〜1000
℃の範囲そして1300℃における粘性が1.5ポイズ以下の
三つの条件を満足した組成のパウダーを使用すればよい
ことを確認した。
この場合,CaO/SiO2比を小さくするCaO量およびSiO2
に調整するばかりではなく,Na+や F分の増量,更に
は BaOや MnOの添加によって初期の融点および粘性を低
く設定することが有利であることがわかった。特に4〜
8重量%未満の BaOの添加は本発明の実施において好適
である。これは,パウダー組成が鋳造中に溶鋼中のAlと
反応してゲーレナイト組成にいたっても,BaO を添加し
たパウダーではゲーレナイトの析出を抑えることがで
き,ゲーレナイト結晶の析出による潤滑不良を未然に防
止することができるからである。 MnOについては3〜6
重量%の添加が好ましい。
このようにして,本発明によると,含Al溶鋼の従来の連
続鋳造時に発生した肥大化したパウダーリムおよび潤滑
不良の問題が解決されたので,鋳片の疵取り必要量も第
6図に示すように従来の40%以下と少なくなり,鋳片疵
取歩留が大幅に向上すると共にブレークアウトの危険性
も回避されるという有益な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来のパウダーを使用して含Al溶鋼を連続鋳造
した場合のパウダー組成の経時変化を示す図,第2図は
従来パウダーと本発明パウダーの鋳造中での組成変化を
CaO-SiO2-Al2O3三元系状態図中に示した図,第3図は従
来パウダーを使用して含Al溶鋼を連続鋳造して得られた
鋼合金鋳片表面の金属組織写真であり,(a)は鋼合金鋳
片の長片側,(b)は鋼合金鋳片の短片側を示す。第4図
は本発明に従うパウダーを使用して含Al溶鋼を連続鋳造
した場合のパウダー組成の経時変化を示す図,第5図は
本発明に従うパウダーを使用して含Al溶鋼を連続鋳造し
て得られた鋼合金鋳片表面の金属組織写真であり,(a)
は鋼合金鋳片の長片側,(b)は鋼合金鋳片の短片側を示
す。第6図は従来パウダーと本発明に従うパウダーを使
用して含Al溶鋼を連続鋳造した場合の鋳片の疵取量を比
較した図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CaOおよびSiO2を主成分として含有する人
    工スラグ形成用パウダーを用いて少なくとも0.10重量%
    のAlを含有する溶鋼を連続鋳造するにさいし,溶鋼中の
    Alと該人工スラグとの反応によりゲーレナイト(2CaO Al
    2O3 SiO2)を鋳造中に析出させないための下記の3条件
    (a)〜(c)を満足する組成に調整したパウダーを使用する
    ことを特徴とする含Al溶鋼の連続鋳造法, (a).塩基度(CaO/SiO2)=0.6越え〜0.8, (b).融点=800〜1000℃, (c).1300℃における粘性=1.5ポイズ以下。
  2. 【請求項2】溶鋼は1重量%以上のAlを含有するステン
    レス溶鋼である特許請求の範囲第1項記載の含Al溶鋼の
    連続鋳造法。
  3. 【請求項3】該パウダーは BaOを4〜8重量%未満含有
    する特許請求の範囲第1項または第2項記載の含Al溶鋼
    の連続鋳造法。
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