JP3427804B2 - モールドパウダおよび連続鋳造方法 - Google Patents

モールドパウダおよび連続鋳造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼を高速で鋳造す
る場合に、表面品質が良好な鋳片を得ることが可能な連
続鋳造用モールドパウダに関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造に使用されるモールドパウ
ダでは、原料中の元素、たとえば、Caは珪酸塩、炭酸
塩、弗化物、アルミナ等との複合酸化物等、様々な化合
物として存在している。ただし、モールドパウダの化学
組成を表示する際には、種々の化合物として存在してい
るCaの全量を酸化物(CaO)に換算するのが通例で
ある。同様に、Si、Al、Mg、Li、Na、K、M
n、Zr、Ba等の溶融スラグ中(モールドパウダが溶
融したもの)で陽イオンとなる元素はすべて酸化物とし
て取り扱い、F、Cl等の陰イオンとなる元素は単体の
元素として取り扱うのが通例である。
【0003】モールドパウダの塩基度は、溶融スラグの
性質を表すための一般的な指標であり、Caの全量を換
算したCaOのSiO2 に対する質量%の比、すなわ
ち、CaO/SiO2 として表されることが多い。一般
的なモールドパウダの塩基度の範囲は0.8〜1.3程
度であり、この範囲内で塩基度を高めると、溶融スラグ
が凝固する際、結晶が析出しやすくなる。前述の塩基度
の範囲内では、3CaO・2SiO2 ・CaF2 の化学
組成を有する結晶(カスピディン)が主として析出す
る。
【0004】鋳型内壁と凝固殻との間の潤滑性を確保で
き、かつ結晶の析出量の多いモールドパウダを用いた場
合に、表面に縦割れのない、良好な表面品質の鋳片が得
られる。これは、以下に示すモールドパウダの効果によ
る。
【0005】すなわち、鋳型内の溶鋼上に供給されたモ
ールドパウダは、溶鋼からの受熱により溶融スラグとな
る。この溶融スラグは、鋳型内壁と凝固殻との間隙に流
入し、鋳型内壁に沿ってスラグフィルムを形成する。こ
のスラグフィルムは鋳型により冷却されて、スラグフィ
ルム中に凝固層が形成される。この凝固層中に結晶が析
出すると、スラグフィルムの伝熱抵抗が増大し、凝固殻
の冷却速度が緩やか(緩冷却)になる。緩冷却された凝
固殻は均一に生成および成長するので、鋳片表面に縦割
れが発生するのが防止される。
【0006】ところで、鋼の連続鋳造では、生産性の向
上のため、2〜3m/分程度またはそれ以上の鋳造速度
での鋳造が指向されている。ただし、鋳造速度の増加と
ともに、鋳片表面に縦割れが発生しやすくなる。鋳片表
面に縦割れが発生すると、鋳造速度を低下させたり、鋳
片表面を手入れしたりすることから、生産性が低下す
る。そのため、鋳片表面の縦割れの発生を効果的に防止
できる対策が望まれている。
【0007】鋳片表面の縦割れの発生の防止のため、前
述の鋳型内壁と凝固殻との間隙に流入した溶融スラグの
スラグフィルムの凝固層中に結晶を多く析出させる具体
的な方法として、これまで多くの方法が提案されてい
る。
【0008】たとえば、特開平8−141713号公報
には、塩基度を1.2〜1.6とし、MgO含有率を
1.5質量%以下にすることにより、結晶析出を促進さ
せる方法が開示されている。また、特開平10−216
907号公報には、塩基度を1.6〜2.5に高めるこ
とにより、カスピディンとは異なる結晶を析出させる方
法が開示されている。
【0009】塩基度の高いモールドパウダの溶融スラグ
の凝固点は一般的に高い。凝固点が高くなると、鋳型内
壁と凝固殻との間隙に流入する溶融スラグが減少するの
で、鋳型内壁と凝固殻との間の潤滑が悪くなる。そこ
で、前述の特開平8−141713号公報および特開平
10−216907号公報で提案された塩基度の高いモ
ールドパウダには、鋳型内壁と凝固殻との間の潤滑性確
保を目的に、Na2 O、Li2 O、F等が添加され、凝
固点の低下が図られている。その際、凝固点は1000
〜1250℃の範囲に調整されている。
【0010】しかし、これらの提案された方法では、鋼
を高速で鋳造する場合に、必ずしも鋳片表面の縦割れの
発生の防止効果を十分に得ることができない場合があ
る。たとえば、モールドパウダの塩基度を1.3と高く
しても、Na2 O、Li2 O、F等の含有率によって
は、鋳片表面に縦割れが発生する場合がある。カスピデ
ィンの結晶の析出量がNa2 O、Li2 O、F等の含有
率によって変化するからである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鋼を高速で
鋳造する場合に、表面に縦割れの発生がなく、表面品質
の良好な鋳片を得ることができる連続鋳造用モールドパ
ウダを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)に示すモールドパウダ、および(2)に示す連続
鋳造方法にある。
【0013】(1)CaO、SiO2 およびフッ素化合
物を基本成分とし、0〜10質量%のZrO2 を含み、
かつ、下記(a)、(b)および(c)式を満足する連
続鋳造用モールドパウダ。
【0014】1.1 ≦f(1)≦1.7 ・・・(a)0.18 ≦f(2)≦0.3 ・・・(b)0.10 ≦f(3)≦0.20 ・・・(c) f(1)=(CaO)h/(SiO2 )h ・・・(イ) f(2)=(CaF2 )h/((CaO)h+(SiO2 )h +(CaF2 )h) ・・・(ロ) f(3)=(アルカリ金属の弗化物)h/((CaO)h +(SiO2 )h+(アルカリ金属の弗化物)h)・・・(ハ) (CaO)h=(WCaO−(CaF2 )h×0.718) ・・・(A) (SiO2)h= WSiO2 ・・・(B) (CaF2)h=(WF−WLi2O×1.27−WNa2O×0.613 −WK2O ×0.403)×2.05 ・・・(C) (アルカリ金属の弗化物)h=WLi2O×1.74+WNa2O× 1.35+WK2O ×1.23 ・・・(D) ここで、WCaO、WSiO2、WF、WLi2O、WNa2OおよびW
K2O :モールドパウダ中のCaO、SiO2 、F、L
2 O、Na2 OおよびK2 Oの含有率(質量%)。
【0015】(2)上記(1)に記載の連続鋳造用モー
ルドパウダを用い、C含有率が0.065〜0.18質
量%の鋼を、鋳造速度2m/分以上の速度で鋳造する鋼
の連続鋳造方法。
【0016】本発明者らは、前述の課題を下記に示す
の知見に基づいての対策を採ることにより解決した。
【0017】モールドパウダの塩基度が高くても、N
2 O、Li2 O、F等の含有率によって、カスピディ
ンなどの結晶の析出量が変化する。鋳片表面の縦割れの
発生防止に効果的なカスピディンの析出を促進すること
が可能なモールドパウダの組成は、次のような方法で推
定できる。
【0018】Fなどのハロゲン元素は、Li、Na、K
などのアルカリ金属との親和性が強いので、CaO、S
iO2 およびフッ素化合物を基本成分とするモールドパ
ウダ中に、Na2 O、Li2 O、K2 Oが存在する場合
には、溶融状態で、下記(い)〜(は)式で表される反
応が起こると考えることができる。
【0019】 CaF2 +Li2 O→CaO+2LiF ・・・(い) CaF2 +Na2 O→CaO+2NaF ・・・(ろ) CaF2 +K2 O →CaO+2KF ・・・(は) したがって、たとえば、CaO、SiO2 およびフッ素
化合物を基本成分とし、Na2 Oが配合されているモー
ルドパウダの場合には、溶融状態におけるCaF2 およ
びNa2 Oは、上記(ろ)式の反応を考慮して、CaO
およびNaFとして取り扱うべきである。Li2 OやK
2 Oを含む場合も同様に取り扱うべきである。
【0020】CaO、SiO2 、CaF2 、Li2 O、
Na2 OおよびK2 Oを、上述のように取り扱うことに
よって、スラグフィルムの凝固層中でのカスピディンの
結晶の析出のしやすさを的確に推定できる。
【0021】前述の(A)、(B)および(C)式で
表される(CaO)h 、(SiO2)h 、および(Ca
2 )h を用いてモールドパウダまたは溶融スラグの組
成を決定する。
【0022】具体的には、本発明のモールドパウダで
は、(CaO)h の(SiO2 )h に対する質量%の比
(CaO)h /(SiO2 )h として規定するf(1)
1.11.7、(CaF2 )h の(CaO)h 、
(SiO2 )h および(CaF2)h の合計に対する質
量%の比として規定するf(2)を0.180.3
する。さらに、(アルカリ金属の弗化物)h の(Ca
O)h 、(SiO2 )h および(アルカリ金属の弗化
物)h の合計に対する質量%の比として規定するf
(3)を0.100.20とする。
【0023】これらの化学組成範囲を(CaO)h 、
(SiO2 )h 、(CaF2 )h の三元系状態図、およ
び(CaO)h 、(SiO2 )h 、(NaF)h の三元
系状態図で示すと、後述する図1中、および図2中に斜
線部で示す領域となる。これらの斜線部で示される組成
範囲は、3CaO・2SiO2 ・CaF2 で表されるカ
スピディンが析出しやすい領域である。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明のモールドパウダは、アル
カリ金属とFとの親和性を考慮した上で、3CaO・2
SiO2 ・CaF2 の化学組成であるカスピディンの析
出を促進させることができるように化学組成を選択した
モールドパウダである。
【0025】その具体的なモールドパウダの化学組成の
選択方法を、アルカリ金属の酸化物としてNa2 Oを配
合する場合を例にして、以下に示す。
【0026】溶融スラグ中のNa2 Oの含有率WNa2O
(質量%)から、前述の(ろ)式に基づいて、溶融スラ
グ中に存在し得るNaFの最大の含有率(NaF)h
(質量%)を求める。
【0027】上記の計算結果からFに過剰量が生じ
る場合、過剰のFがCaF2として存在するとして、溶
融スラグ中のCaF2 含有率を前述の(C)式に基づい
て、(CaF2 )h (質量%)として求める。この際、
この例ではLi2 OおよびK2 Oを配合しないので、W
Li2OおよびWK2O の値は零とする。
【0028】溶融スラグ中の全Ca含有率から換算さ
れる全CaO含有率からCaF2 として存在するCa分
を除外した純粋なCaO分としての溶融スラグ中のCa
O含有率を、前述の(A)式に基づいて、(CaO)h
(質量%)として求める。
【0029】溶融スラグ中のSiO2 含有率を、前述
の(B)式に基づいて(SiO2 )h(質量%)として
求める。
【0030】このようにして求めた溶融スラグ中の
(CaO)h 、(SiO2 )h および(CaF2 )h か
ら、(CaO)h の(SiO2 )h に対する質量%の比
(CaO)h /(SiO2 )h が1.11.7、さら
に、(CaF2 )h の(CaO)h 、(SiO2 )h お
よび(CaF2 )h の合計に対する質量%の比が0.1
0.3、(NaF)h の(CaO)h 、(SiO
2 )h および(NaF)hの合計に対する質量%の比が
0.100.20となるように、モールドパウダに配
合するCaO、SiO2 、CaF2 、Na2 Oなどの割
合を求める。
【0031】図1(a)は、本発明のモールドパウダの
化学組成の範囲を説明するための(CaO)h −(Si
2 )h −(CaF2 )h の三元系状態図である。ま
た、図1(b)は(CaO)h −(SiO2 )h −(N
aF)h の三元系状態図である。
【0032】図1(a)および図1(b)に示すよう
に、質量%の比(CaO)h /(SiO2 )h として規
定するf(1)が1.11.7、(CaF2 )h の
(CaO)h 、(SiO2 )h および(CaF2 )h の
合計に対する質量%の比として規定するf(2)が0.
180.3、(アルカリ金属の弗化物)h の(Ca
O)h 、(SiO2 )h および(アルカリ金属の弗化
物)h の合計に対する質量%の比として規定するf
(3)が0.100.20の範囲の本発明のパウダの
化学組成範囲は、図1(a)中および図1(b)中に斜
線で示す領域の範囲である。
【0033】すなわち、図1(a)においては、比(C
aO)h /(SiO2)hが1.1の境界線((Ca
O)h 含有率:52.4%、(SiO 2 )h 含有率:4
7.6%、(CaF 2 )h 含有率:0%の点と(CaF2
)h とを結んだ直線)、比(CaO)h /(SiO
2 )h が1.7の境界線((CaO)h 含有率:6
3.0%、(SiO 2 )h 含有率:37.0%、(Ca
2 )h 含有率:0%の点と(CaF2 )h とを結んだ
直線)、(CaF 2 )h 含有率が18%の直線、(C
aF2 )h 含有率が30%の直線とで囲まれた領域で
ある。また、図1(b)においては、比(CaO)h /
(SiO2)h が1.1の境界線((CaO)h含有
率:52.4%、(SiO 2 )h 含有率:47.6%、
(NaF)h 含有率:0%の点と(NaF)h とを結ん
だ直線)、比(CaO)h /(SiO2 )hが1.7
境界線((CaO)h 含有率:63.0%、(SiO
2 )h 含有率:37.0%、(NaF)h 含有率:0%
の点と(NaF)h とを結んだ直線)、(NaF)h 含
有率が10%の直線、(NaF)h 含有率が20%の
直線とで囲まれた領域である。これらの斜線部で示さ
れる組成範囲は、3CaO・2SiO2・CaF2 で表
されるカスピディンが析出しやすい領域である。
【0034】なお、本発明では、カスピディンの析出し
やすい溶融スラグの実質的な化学組成として、たとえば
CaOの換算量(CaO)h などの含有率を用いている
ので、図1(a)および図1(b)を前述のとおり、そ
れぞれの換算量で描いた。
【0035】Na2 Oの代わりに、Li2 OまたはK2
Oのアルカリ金属の酸化物を配合する場合には、Na2
Oと同様にして、モールドパウダの化学組成を選択でき
る。
【0036】ここで、前述の(A)、(C)および
(D)式における係数の意味について、以下に記載す
る。
【0037】(A)式中の0.718=(CaOの分子
量)/(CaF2 の分子量) (C)式中の1.27=2×(Fの原子量)/(Li2
Oの分子量) (C)式中の0.613=2×(Fの原子量)/(Na
2 Oの分子量) (C)式中の0.403=2×(Fの原子量)/(K2
Oの分子量) (C)式中の2.05=(CaF2 の分子量)/(2×
(Fの原子量) (D)式中の1.74=2×(LiFの分子量)/(L
2 Oの分子量) (D)式中の1.35=2×(NaFの分子量)/(N
2 Oの分子量) (D)式中の1.23=2×(KFの分子量)/(K2
Oの分子量) これらの係数はいずれも、(い)〜(は)式の化学反応
式における、反応系物質と生成系物質との化学量論的な
バランスにより導出されたものである。
【0038】本発明のモールドパウダは、質量%の比
(CaO)h /(SiO2 )h として規定するf(1)
1.11.7とする。このf(1)が1.1未満、
または1.7を超えると、溶融スラグのスラグフィルム
に析出するカスピディンの結晶の析出量は少なくなる
【0039】(CaF2 )h の(CaO)h 、(SiO
2 )h および(CaF2 )h の合計に対する質量%の比
として規定するf(2)は0.180.3とする。こ
のf(2)が0.18未満、または0.3を超えると、
スラグフィルムに析出するカスピディンの結晶の析出量
が少なくなる
【0040】上記の範囲の中でも、カスピディンの析出
は、f(1)が1.4、かつf(2)が0.2の場合に
特に顕著になる。
【0041】(アルカリ金属の弗化物)h の(CaO)
h 、(SiO2 )h 、および(アルカリ金属の弗化物)
h の合計に対する質量%の比として規定するf(3)は
0.100.20とする。このf(3)が0.10
満、または0.20を超えると、スラグフィルムに析出
するカスピディンの結晶の析出量が少なくなる
【0042】本発明のモールドパウダのZrO2 の含有
率は0〜10質量%とする。本発明のモールドパウダ
は、ZrO2 を含有しなくても、結晶の析出は顕著であ
る。必要に応じてZrO2 を添加することにより、結晶
の析出がさらに促進されるので、凝固殻の緩冷却効果を
得ることができる。この場合、ZrO2 の含有率は0.
5〜10質量%であることが望ましい。0.5%未満で
は、結晶析出促進の効果が小さく、10%を超えると、
溶融スラグの凝固点が過度に高くなる。
【0043】溶融スラグの粘度、凝固点等の調整を目的
に、Al23 、MgO、TiO2、MnO、B23
等などを必要に応じて配合してもよい。
【0044】モールドパウダ中のCは、モールドパウダ
の溶融速度を調整する添加剤として有効であり、必要に
より配合すればよい。その効果を得るためには、含有率
は1%以上とするのが望ましい。一方、Cの含有率が1
0%を超えると、パウダの溶融速度が過度に遅くなる。
【0045】本発明のモールドパウダを製造する際に使
用する原料は、一般的に使用されているモールドパウダ
の原料で構わない。CaO原料として生石灰、石灰石、
セメント、SiO2 原料としては、珪砂、軽藻土、Ca
2 原料としては、蛍石、さらにNa2 O原料として
は、ソーダ灰、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。Li
2 O原料としては、炭酸リチウム、弗化リチウム、K2
O原料としては、炭酸カリウム、弗化カリウムなどがあ
る。
【0046】また、原料の粒度は100μm以下の粉末
が望ましい。なお、これらの原料にはAl23 、Mg
O、Fe23 等の酸化物が含有されており、モールド
パウダにも不可避的に含まれるようになるが、これらの
不純物が存在しても、とくに差し支えない。
【0047】本発明の方法では、本発明のモールドパウ
ダを用い、C含有率が0.065〜0.18質量%の鋼
を、鋳造速度2m/分以上の速度で鋳造する。包晶鋼を
含むC含有率が0.065〜0.18質量%の鋼を鋳造
する際に、鋳片表面に縦割れが発生しやすい。また、鋳
造速度が2m/分以上になると、鋳片表面に縦割れが発
生しやすい。本発明の方法では、本発明のモールドパウ
ダを用いることによって、鋳片表面に縦割れが発生する
のを防止する。
【0048】
【実施例】垂直曲げ型型連続鋳造機を用いて、厚さ90
mm、幅1000mmの鋳片を連続鋳造試験を実施し
た。各試験では、速度3m/分で、表1に示す化学組成
の包晶鋼である中炭素鋼の1ヒート80tonの溶鋼を
それぞれ鋳造した。
【0049】
【表1】
【0050】各試験に用いたモールドパウダは、ポルト
ランドセメント、珪砂、蛍石、ソーダ灰などの原料を配
合し、CaO、SiO2 、CaF2 、Na2 Oを基本成
分とし、Cを配合した。一部の試験では、ジルコンサン
ドによりZrO2 を含有させた。また、Al23 、M
gO等の不純物量は5質量%未満である。
【0051】予め、モールドパウダを溶融凝固させた試
料をX線回折試験に供し、析出する結晶の種類を同定し
た。その結果、析出する主な結晶がカスピディンである
と認められたものについて、鋳造試験に使用した。
【0052】得られた鋳片について、鋳片表面の縦割れ
を調査した。縦割れの発生程度は評価○、△、×で表示
した。鋳片の長さ1mあたりの鋳片表面の縦割れの発生
長さの合計値が、評価○は200mm未満、評価△は2
00〜500mm、評価×は500mm以上である。評
価×の鋳片は、そのまま圧延すると製品品質上問題とな
るが、評価○および評価△の鋳片は、そのまま圧延して
も実用上支障はない。試験に用いたモールドパウダ、試
験条件および試験結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】本発明例の試験No.5、6および7
は、本発明で規定する条件の範囲内のモールドパウダを
用いた。得られた鋳片表面には縦割れは発生しなかっ
た。とくに、質量%の比(CaO)h /(SiO2 )が
1.4であるモールドパウダを用いた試験No.5で
は、鋳片表面に縦割れは発生せず良好な表面品質の鋳片
が得られた。いずれのモールドパウダにおいても、予備
試験の溶融凝固試料中、および鋳造中に鋳型下方で回収
されたスラグフィルム中には、カスピディンを主体とす
る結晶が析出していた。
【0055】比較例の試験No.9およびNo.10で
は、質量%の比(CaO)h /(SiO2と(CaF
2 )h の(CaO)h 、(SiO 2 )h および(CaF
2 )hの合計に対する質量%の比、または質量%の比
(CaO)h /(SiO2 )hと(アルカリ金属の弗化
物)h の(CaO)h 、(SiO2 )h 、および(アル
カリ金属の弗化物)hの合計に対する質量%の比とが、
それぞれ本発明で規定する条件の範囲より小さい値の条
件で試験した。いずれの試験でも、凝固殻の緩冷却効果
が小さいため、鋳片表面の縦割れの発生程度は、評価×
で著しい縦割れが発生していた。
【0056】比較例の試験No.11〜No.13で
は、質量%の比(CaO)h /(SiO2と(CaF
2 )h の(CaO)h 、(SiO 2 )h および(CaF
2 )hの合計に対する質量%の比と(アルカリ金属の弗
化物)h の(CaO)h、(SiO2 )h 、および(ア
ルカリ金属の弗化物)h の合計に対する質量%の比のう
ちのいずれか2つ以上、本発明で規定する条件の範囲
から外れたモールドパウダを用いる予定であった。しか
し、いずれのモールドパウダにも、予備試験の溶融凝固
試料中には、カスピディンの結晶の析出がなく、カスピ
ディン以外の結晶が多く析出した。そのため、これらの
モールドパウダを用いた鋳造試験は行わなかった。
【0057】
【発明の効果】本発明のモールドパウダを用いることに
より、鋼を高速で鋳造する場合に鋳片表面に縦割れの発
生がなく、表面品質の良好な鋳片を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモールドパウダの化学組成の範囲を説
明するための(CaO)h −(SiO2 )h −(CaF
2 )h および(CaO)h −(SiO2 )h −(Na
F)h の三元系状態図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−197214(JP,A) 特開 平10−58102(JP,A) 特開 平10−258343(JP,A) 特開 平10−314897(JP,A) 特開 平5−277680(JP,A) 特開 平7−323354(JP,A) 特開 平10−216907(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/108 C21C 7/076

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CaO、SiO2 およびフッ素化合物を基
    本成分とし、0〜10質量%のZrO2 を含み、かつ、
    下記(a)、(b)および(c)式を満足することを特
    徴とする連続鋳造用モールドパウダ。1.1 ≦f(1)≦1.7 ・・・(a)0.18 ≦f(2)≦0.3 ・・・(b)0.10 ≦f(3)≦0.20 ・・・(c) f(1)=(CaO)h/(SiO2 )h ・・・(イ) f(2)=(CaF2 )h/((CaO)h+(SiO2 )h +(CaF2 )h) ・・・(ロ) f(3)=(アルカリ金属の弗化物)h/((CaO)h +(SiO2 )h+(アルカリ金属の弗化物)h)・・・(ハ) (CaO)h=(WCaO−(CaF2 )h×0.718) ・・・(A) (SiO2)h= WSiO2 ・・・(B) (CaF2)h=(WF−WLi2O×1.27−WNa2O×0.613 −WK2O ×0.403)×2.05 ・・・(C) (アルカリ金属の弗化物)h=WLi2O×1.74+WNa2O × 1.35+WK2O ×1.23 ・・・(D) ここで、WCaO、WSiO2、WF、WLi2O、WNa2OおよびW
    K2O :モールドパウダ中のCaO、SiO2 、F、L
    2 O、Na2 OおよびK2 Oの含有率(質量%)
  2. 【請求項2】請求項1に記載の連続鋳造用モールドパウ
    ダを用い、C含有率が0.065〜0.18質量%の鋼
    を、鋳造速度2m/分以上の速度で鋳造することを特徴
    とする鋼の連続鋳造方法。
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