JP2007203364A - 鋼の連続鋳造用モールドパウダー - Google Patents

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Abstract

【課題】ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトを晶出もしくは析出するモールドパウダーの粘度を安定化し、鋳型内潤滑性を高める。
【解決手段】質量%で、CaO/SiO2が1.1〜1.5、F含有量が5%未満で、かつF−0.613×Na2O−1.27×Li2Oで表される、F,Na2O及びLi2Oの含有量が0〜1.8%、Al23含有量が10〜25%で、かつAl23+MgOが15〜30%、TiO2含有量が7%未満で、一旦溶融した後に徐冷した場合に晶出もしくは析出する分子量が500未満の主たる結晶が、ゲーレナイトまたはアケルマナイト、もしくはメリライトで、2番目に晶出もしくは析出する結晶がカスピダインであり、凝固温度が1050℃〜1220℃の鋼の連続鋳造用モールドパウダーである。
【効果】溶鋼中に巻き込まれにくい優れた特性のモールドパウダーを、幅広い鋼種に適用可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、化学組成において塩基度およびAl23濃度が比較的高く、溶鋼中に巻き込まれにくい特性を備えた鋼の連続鋳造用モールドパウダーに関するものである。
従来、溶鋼中に巻き込まれにくい特性を備えた高塩基度かつ高粘度のモールドパウダーとして、一旦溶融した後に徐冷した場合に析出もしくは晶出する結晶が、ゲーレナイト(gehlenite)またはアケルマナイト(Akermanite)もしくは両者の全率固溶体であるメリライト(melilite)であるモールドパウダーが、特許文献1や特許文献2に開示されている。
特開2003−225744号公報 特開2005−40835号公報
しかしながら、Al23濃度が10質量%以上と比較的高い前記のモールドパウダーにおいて、Na2Oなどのアルカリ金属酸化物濃度を高めて凝固温度あるいは粘度を下げ、鋳型内における潤滑性を改善しようとする際に、F濃度が低いと粘度測定値が安定しないことを、発明者らは知見した。
そして、前記粘度測定値の不安定さは、溶融スラグ構造、具体的には両性酸化物であるAl23のネットワーク構造の不安定さに起因すると考えられた。
粘度はモールドパウダーの消費量を規定する重要な要素のひとつであり、粘度が安定しないことは、消費量の不安定さにつながり、潤滑不良などの操業トラブルを引き起こす原因となりうる。一方で、F濃度を高めることは、カスピダインの晶出もしくは析出を促進し、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトの晶出あるいは析出を阻害するおそれがあった。
本発明が解決しようとする問題点は、特許文献1及び2で開示されたモールドパウダーにおいて、Na2Oなどのアルカリ金属酸化物濃度を高めて凝固温度あるいは粘度を下げようとする際に、F濃度が低いと粘度測定値が安定しないという点である。
本発明は、前記の問題を解消し、粘度の安定化と結晶の晶出もしくは析出の安定化を両立し、かつ鋳型内潤滑性を高めるべく、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトを晶出もしくは析出するモールドパウダーにおいて、アルカリ金属酸化物濃度とF濃度との関係を規定しようと調査・研究した結果、成されたものである。
すなわち、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、
質量%で、
CaO%をSiO2%で除した比(CaO/SiO2)が1.1〜1.5、
Fの含有量が5%未満で、かつF−0.613×Na2O−1.27×Li2
の式で表される、F,Na2OおよびLi2Oの含有量が0〜1.8%、
Al23の含有量が10〜25%で、かつAl23とMgOの合計の含有量が15〜30%、
TiO2の含有量が7%未満であって、
一旦溶融した後に徐冷した場合に晶出もしくは析出する分子量が500未満の主たる結晶が、ゲーレナイトまたはアケルマナイト、もしくはこれらの全率固溶体であるメリライトで、さらに2番目に晶出もしくは析出する結晶がカスピダイン(Cuspidine)であり、
凝固温度が1050℃〜1220℃であることを最も主要な特徴としている。
本発明によれば、溶鋼中に巻き込まれにくい特性を備えた高塩基度かつ高粘度のモールドパウダー、すなわち、パウダーフィルム中にゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトを主な結晶として晶出もしくは析出するモールドパウダーにおいて、粘度を安定化させて潤滑性を高めることが可能になる。その結果、溶鋼中に巻き込まれにくい優れた特性を有したモールドパウダーを、幅広い鋼種に適用することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態と共に最良の形態について、詳細に説明する。
本発明の連続鋳造用モールドパウダーは、前述の通り、粘度の安定化と結晶の晶出もしくは析出の安定化を両立すべく、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトを晶出もしくは析出するモールドパウダーにおいて、アルカリ金属酸化物濃度とF濃度との関係を規定したものである。
すなわち、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーは、
質量%で、
CaO%をSiO2%で除した比(CaO/SiO2)が1.1〜1.5、
Fの含有量が5%未満で、かつF−0.613×Na2O−1.27×Li2
の式で表される、F,Na2OおよびLi2Oの含有量が0〜1.8%、
Al23の含有量が10〜25%で、かつAl23とMgOの合計の含有量が15〜30%、
TiO2の含有量が7%未満であって、
一旦溶融した後に徐冷した場合に晶出もしくは析出する分子量が500未満の主たる結晶が、ゲーレナイトまたはアケルマナイト、もしくはこれらの全率固溶体であるメリライトで、さらに2番目に晶出もしくは析出する結晶がカスピダイン(Cuspidine)であり、
凝固温度が1050℃〜1220℃であることを最も主要な特徴としている。
本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、CaO/SiO2の値を1.1〜1.5としたのは、CaO/SiO2の値が1.1未満であると溶鋼中への巻き込みが多くなるからである。反対に、1.5を超えると、凝固温度が高くなりすぎて鋼の連続鋳造には適さなくなるからである。
また、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、Fの含有量を5質量%未満としたのは、Fの含有量が5質量%以上となると、カスピダインの晶出もしくは析出が過度に促進され、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトの晶出量もしくは析出量を上回って主たる結晶となるおそれがあるからである。
また、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、F−0.613×Na2O−1.27×Li2Oの式(以下、(1)式という。)で表される、F,Na2OおよびLi2Oの含有量を0〜1.8質量%としたのは、(1)式の値が1.8質量%を超えるとカスピダインの晶出量もしくは析出量が増大し、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトの晶出もしくは析出が不安定となるからである。反対に、(1)式の値が負の値となる場合には、粘度測定値が不安定となるからである。
ここで、(1)式の値は、FがCaよりもNaあるいはLiと優先的に結合するとの仮定に立って、Caと結合できるF濃度を計算した式である。実際には、Fが100%優先的にNaやLiと結合するものではないと考えられるが、発明者らの経験上、この(1)式の値が大きくなるにつれ、カスピダインの晶出もしくは析出が促進され、(1)式の値が負の場合には、粘度の不安定さが顕著となった。(1)式の値が負であるとは、単にNaイオンとLiイオンの総数がFイオンの総数よりも多いことを示しており、実際のF濃度が負であることを示しているのではない。
また、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、Al23の含有量を10〜25質量%としたのは、Al23の含有量が10質量%未満の場合は粘度測定値が不安定になる現象が生じないので本発明の適用範囲外となるからである。反対に25質量%を超えると、粘度が高くなりすぎて鋼の連続鋳造に適さないからである。
また、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、Al23とMgOの合計の含有量を15〜30質量%としたのは、この範囲を外れた場合には、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトの析出もしくは晶出が不安定になるからである。
また、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、TiO2の含有量を7質量%未満としたのは、TiO2を7質量%以上添加すると、高融点のペロブスカイト(CaO・TiO2)の析出量が増え、潤滑性に悪影響を及ぼすからである。TiO2濃度のより好ましい範囲は5質量%未満である。なお、TiO2は添加しなくても良いが、規定濃度範囲内で添加すると凝固温度の低下に有用である。
また、本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、一旦溶融した後に徐冷した場合に析出もしくは晶出する分子量が500未満の主たる結晶が、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトであり、2番目に析出もしくは晶出する結晶がカスピダインであるとは、以下の現象を指す。
一旦溶融した後に徐冷するとは、具体的には、例えば一旦1350℃で溶融した後に100〜200℃/hrの冷却速度で冷却することを言う。
ここで、分子量が500未満の結晶のみを対象とするのは、たとえば3Na2O・2Al23・4SiO2のような、分子量が500以上の結晶は、上記のような徐冷条件下では晶出もしくは析出しても、冷却速度が大きな実際の鋳造時における鋳型と凝固シェルの間隙のパウダーフィルム中では晶出もしくは析出することが難しいので、除いて考えることが合理的だからである。
次に、主たる結晶とは、X線回折ピーク強度の最大値が他の結晶のX線回折ピーク強度の1.5倍以上あることと定義する。本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいては、この主結晶が、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトという1種であり、2番目にX線回折ピーク強度の最大値が大きい結晶がカスピダインである。
ゲーレナイトとアケルマナイトは結晶構造が酷似しており、互いに全率で固溶してメリライトを形成するので、これらを区別するのは難しく、これらを1種の結晶と定義する。
本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、凝固温度が1050℃〜1220℃であるのは、凝固温度が1050℃未満であると、溶融したモールドパウダーが鋳型と凝固シェルとの間隙に過剰に流入し、縦割れ等の鋳片表面欠陥を生じ易くなるからである。加えて、本発明のモールドパウダーにおいて、このように低い凝固温度を得ることは難しいからである。
また凝固温度が1220℃を超えると、鋳型内の潤滑性が悪化するので好ましくないからである。
本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーを設計するにあたってさらに好適な凝固温度範囲は、1080℃〜1190℃である。
このような本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、鋳型内の溶鋼表面で溶融したモールドパウダーが鋳型内壁と凝固シェルの間隙に流入する際に凝固したパウダーフィルム中に生成する主たる結晶が、ゲーレナイトまたはアケルマナイト、もしくはこれらの全率固溶体であるメリライトであり、さらに2番目の結晶がカスピダインであるものが、請求項2に係る本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーである。
この請求項2に係る本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、鋳型内壁と凝固シェルの間隙に流入する際に凝固したパウダーフィルム中に生成する主たる結晶が、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトであり、さらに2番目の結晶がカスピダインであるとは、以下の現象をいう。
鋳型壁と凝固シェルの間隙に存在するパウダーフィルム中の結晶を確認するには、鋳型出口においてパウダーフィルムを回収して、X線回折に供すると良い。もしくは、鋳型壁と凝固シェルの間隙に存在するパウダーフィルムが受ける平均的な冷却速度を模した溶融スラグ冷却装置を用いて、一旦溶融したモールドパウダーを冷却し、得られた試料をX線回折に供しても良い。
また、鋳型壁と凝固シェルの間隙に存在するパウダーフィルムが受ける平均的な冷却速度を求めるには、例えば冷却速度が大きいほど試料はガラス化し結晶のX線回折ピークが小さくなることを利用して、鋳型出口で回収したパウダーフィルムのX線回折結果(回折ピーク)と同等の結果が得られる冷却速度を予め実験的に求めておくと良い。
このようにして得られたX線回折結果から、主たる結晶および2番目の結晶を定義のであるが、定義をする方法は、上述の一旦溶融した後に徐冷した試料における方法と同じである。
以上の本発明の鋼の連続鋳造用モールドパウダーの開発において発明者らが知見したところによると、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトという1種の結晶が主な結晶である場合に、カスピダインが2番目の結晶であると、鋳型内において良好な潤滑性を得ることができた。
これは、冷却速度が大きな実際の鋳造時における鋳型と凝固シェルとの間隙のパウダーフィルム中ではゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトが優先的に晶出もしくは析出し、カスピダイン構成成分はある割合で結晶化せずガラス相のままとどまるので、このガラス相による潤滑作用が良好な潤滑性をもたらすのだと考えられた。特にカスピダインは構成成分にFを有し、かつ塩基度が高いので、ガラス相の粘度が低く流動性が良いのだと思われる。
なお、本発明において規定される結晶の組成は、ゲーレナイトが2CaO・Al23・SiO2、アケルマナイトが2CaO・MgO・2SiO2、メリライトはゲーレナイトとアケルマナイトとの全率固溶体であり、両組成間の任意の組成をとることができる。また、カスピダインは3CaO・2SiO2・CaF2である。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施結果について説明する。
本発明の実施例および比較例の組成を下記表1に、凝固温度等の性質や徐冷時やパウダーフィルム中の主たる結晶を表2に示す。なお、表1、2において、*印は、本発明の範囲を外れていることを示す。
Figure 2007203364
Figure 2007203364
表1及び表2のA〜Dは、本発明の請求項1及び2を満たすモールドパウダーの実施例である。
実施例A〜Dは、塩基度(CaO/SiO2)が1.20または1.35と比較的高く、SiO2等の低級酸化物活量が低く抑えられている。加えて、1300℃における粘度が0.3Pa・Sと比較的高い。このような高塩基度かつ高粘度であるモールドパウダーの特質として、溶鋼中への巻き込みが生じ難い。
また、実施例A〜Dは、F−0.613×Na2O−1.27×Li2Oで示す(1)式の値およびAl23含有量、MgO含有量が適正な範囲内にあるので、一旦溶融した後に徐冷した場合に晶出もしくは析出する主たる結晶が、分子量が500未満のメリライト1種であり、かつ鋳型壁と凝固シェルの間隙に存在するパウダーフィルム中の2番目の結晶が、カスピダインである。このことは、連続鋳造時においては、メリライトが安定して晶出もしくは析出し、かつ鋳型内の潤滑性が良好であることを示している。
ここで、ゲーレナイトとアケルマナイトとは結晶構造が酷似しておりX線回折ピークパターンが近いことから、表2においては、ゲーレナイトあるいはアケルマナイトと見なされる結晶は、全てメリライトと記述している。
また、実施例A〜Dは、TiO2含有量が7質量%未満であり、かつ凝固温度が1220℃以下であるので、潤滑性に優れている。また凝固温度が1050℃以上であるので、パウダーの鋳型と凝固シェルの間隙への過剰流入が防止できる。
一方、表1及び表2のE〜Iは、本発明の比較例である。
このうちの比較例E及びFにおいては、(1)式の値が負の領域にあるので、粘度測定値が不安定であった。表2における粘度の記述、例えば0.3〜0.7は、粘度測定条件の違いによって0.3Pa・S〜0.7Pa・Sの粘度測定値の変動が生じたことを示す。
ここで言う粘度測定条件の違いとは、粘度測定時に、1350℃で溶融した後速やかに2℃/minの速度で冷却しつつ凝固温度に到るまでの粘度を連続的に測定した通常の測定条件と、1350℃で溶融した後、その温度で90分間保持した後、2℃/minの速度で冷却しつつ凝固温度に到るまでの粘度を連続的に測定した溶融状態でスラグを長時間保持した条件との違いである。
一般には、溶融状態でスラグを長時間保持すると、化学組成の内、FやNa2Oが揮発して減少し、粘度が上昇する場合が多いのであるが、比較例E及びFにおいては、溶融状態でスラグを長時間保持した場合の方が、粘度が低下した。
すなわち、表2における粘度の記述、例えば0.3〜0.7は、通常の測定条件では0.7Pa・S、溶融状態でスラグを長時間保持した測定条件で0.3Pa・Sであったことを示す。なお、表2において粘度が単一の値のみ記述されているのは、両条件での測定値に有意差が無かったことを示している。
また、比較例Gにおいては、凝固温度が1276℃と本発明の範囲を外れて高いので、潤滑性に難が生じた。
また、比較例Hにおいては、Al23の含有量が7.4質量%と、本発明の範囲の下限値未満であるので、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトの晶出もしくは析出がやや不安定となりやすく、それを補うために本発明の範囲を超える高いTiO2含有量を必要とした。その結果、2番目の結晶が高融点のペロブスカイト(CaO・TiO2)となり、鋳型内における潤滑性が悪化した。
また、比較例Iは、(1)式の値が本発明の範囲を超えて大きいのでカスピダインの晶出もしくは析出が促進され、かつAl23とMgOの合計の含有量が本発明の範囲の下限値未満であるので、ゲーレナイトまたはアケルマナイトもしくは両者の全率固溶体であるメリライトの晶出もしくは析出が阻害された結果、一旦溶融した後に徐冷した場合に晶出もしくは析出する分子量500未満の主たる結晶、鋳型壁と凝固シェルの間隙に存在するパウダーフィルム中の主たる結晶が、ともにカスピダインである点において、本発明の請求範囲外である。
発明者らの経験上、主たる結晶がカスピダインである場合に、このようにAl23の含有量が高いと、カスピダインの晶出もしくは析出が不安定であり、鋳型内冷却の均一さや安定性に悪影響が生じる。
また比較例Iにおいては、TiO2の含有量が7質量%と高いので、高融点のペロブスカイトが低いピークではあるが析出する。ゆえに、鋳型内における潤滑性が悪化するおそれがある。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。

Claims (2)

  1. 質量%で、
    CaO%をSiO2%で除した比(CaO/SiO2)が1.1〜1.5、
    Fの含有量が5%未満で、かつF−0.613×Na2O−1.27×Li2
    の式で表される、F,Na2OおよびLi2Oの含有量が0〜1.8%、
    Al23の含有量が10〜25%で、かつAl23とMgOの合計の含有量が15〜30%、
    TiO2の含有量が7%未満であって、
    一旦溶融した後に徐冷した場合に晶出もしくは析出する分子量が500未満の主たる結晶が、ゲーレナイトまたはアケルマナイト、もしくはこれらの全率固溶体であるメリライトで、さらに2番目に晶出もしくは析出する結晶がカスピダインであり、
    凝固温度が1050℃〜1220℃であることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
  2. 鋳型内の溶鋼表面で溶融したモールドパウダーが鋳型内壁と凝固シェルの間隙に流入する際に凝固したパウダーフィルム中に生成する主たる結晶が、ゲーレナイトまたはアケルマナイト、もしくはこれらの全率固溶体であるメリライトであり、さらに2番目の結晶がカスピダインであることを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
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