JP2010214387A - 連続鋳造用モールドフラックス及び連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用モールドフラックス及び連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高粘性のモールドフラックスが有する利点を有したまま、鋳造開始直後から安定した緩冷却作用を得る。
【解決手段】化学組成が、質量%で、CaO/SiO2=1.05〜1.60、Al2O3=3〜22%、MgO=4〜14%、(Al2O3+MgO)で表される濃度和が12〜27%、TiO2=4〜13%、(CaO/SiO2−0.8)×TiO2で表される濃度バランス値が1.5〜4.1、(K2O+Na2O+Li2O+F)で表される濃度和が3〜7%である。結晶化温度が1190〜1290℃、1300℃における粘度が0.2〜0.9Pa・s、溶融したモールドフラックスが冷却されながら結晶化する際に、初めに晶/析出したペロブスカイトを核にして、主たる結晶としてのメリライトが晶/析出し、溶融したフラックスを2℃/minの速度で冷却した際の結晶化温度に対する10℃/minの速度で冷却した際の結晶化温度の低下が30℃以下の連続鋳造用モールドフラックスである。
【効果】モールドフラックスの巻き込みが防止され、凝固収縮に起因する変形や割れの無い高品質の鋳片を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高粘性でかつ結晶化速度の速い連続鋳造用モールドフラックス、及びこのモールドフラックスを使用し、鋳造初期から鋳型と凝固シェルの間隙に形成されるフラックスフィルムを安定して結晶化させ、鋼等を連続鋳造する方法に関するものである。
鋼等を連続鋳造する際に使用するモールドフラックスは、鋳型内における溶鋼湯面の保温と溶鋼の大気からの遮断、及び溶鋼中の非金属介在物の溶融除去、鋳型と凝固シェル間の潤滑、凝固シェルから鋳型への熱流束制御(緩冷却化)といった大きな役割を果たす。
前記の中で、鋳型と凝固シェル間の潤滑を行う、鋳型と凝固シェルの間隙に形成されるフラックスフィルムは、フィルム中に晶出もしくは析出(以下、晶/析出という。)する結晶によって輻射伝熱に対する遮蔽層を形成して熱流束を低減(緩冷却化)する。
このフラックスフィルムの結晶化促進は、緩冷却作用を強化するものの潤滑性を低下させるので、フラックスフィルムの結晶化は必要な程度に安定して保つことが求められる。
凝固シェルの収縮や変形が大きな亜包晶鋼や合金鋼の場合、モールドフラックスには潤滑性よりもむしろ緩冷却作用が強く求められる。このような場合、従来は、フラックスの組成を晶/析出する結晶の組成に近づけて結晶化を促進する方法が採用されてきた(例えば特許文献1)。
しかしながら、上記の方法は、その組成上の特徴から低粘性モールドフラックスの設計のみに対して有効であり、高粘性のモールドフラックスの結晶化を促進する方法に対しては十分な研究が成されていなかった。
粘性は、モールドフラックス中の物質移動速度を支配する大きな因子であり、高粘性のモールドフラックス中の物質移動速度は小さい。従って、高粘性のモールドフラックスにおいては、高い結晶化速度を得ることが難しく、鋳造開始直後から安定した緩冷却作用を得ることができないという問題がある。
一方で、モールドフラックスの用途によっては、溶鋼中への溶融フラックスの巻き込み軽減や、鋳型と凝固シェルの間隙への流入の安定化の観点から、高粘性のモールドフラックスが要求される場合がある。
特許第3427804号公報
本発明が解決しようとする問題点は、溶鋼中への溶融フラックスの巻き込み軽減や、鋳型と凝固シェルの間隙への流入安定化の観点から要求される場合がある高粘性のモールドフラックスは、鋳造開始直後から安定した緩冷却作用が得られないという点である。
本発明の連続鋳造用モールドフラックスは、
高粘性のモールドフラックスが有する巻き込まれにくさや鋳型と凝固シェルの間隙への流入の安定といった利点を有したまま、鋳造開始直後から安定した緩冷却作用を得るために、
化学組成が、CaO/SiO2=1.05〜1.60、Al2O3=3〜22質量%、MgO=4〜14質量%、(Al2O3+MgO)で表される濃度和が12〜27質量%、TiO2=4〜13質量%、(CaO/SiO2−0.8)×TiO2で表される濃度バランス値が1.5〜4.1、(K2O+Na2O+Li2O+F)で表される濃度和が3〜7質量%であり、
結晶化温度が1190〜1290℃、
1300℃における粘度が0.2〜0.9Pa・s、
溶融したモールドフラックスが冷却されながら結晶化する際に、初めに晶/析出したペロブスカイトを核にして、主たる結晶としてのメリライトが晶/析出し、
溶融したフラックスを2℃/minの速度で冷却した際の結晶化温度に対する10℃/minの速度で冷却した際の結晶化温度の低下が30℃以下であることを最も主要な特徴としている。
本発明のモールドフラックスは、溶融金属中のTiO2濃度の増減によってペロブスカイトの晶/析出量が変動するので、フラックスフィルム中のTiO2濃度の増減を抑制するためには、Ti濃度が0.01〜1.5質量%の溶融金属を連続鋳造することが望ましい。これが本発明の溶融金属の連続鋳造方法である。
本発明によれば、高粘度でありながら結晶化速度が速いモールドフラックスを得ることができる。従って、高粘性モールドフラックスが有する利点(溶融金属中に巻き込まれにくい。鋳型と凝固シェルの間隙への流入が安定する。)と結晶化速度が速いことに起因する利点(鋳造開始直後からフラックスフィルムの結晶化が安定し、凝固収縮に起因する変形や割れの無い高品質の鋳片を得ることができる。)を享受できる。
結晶の格子定数及び格子の傾きについて説明する図である。
本発明では、高粘性のモールドフラックスが有する利点を有したまま、鋳造開始直後から安定した緩冷却作用を得るという目的を、高粘性のモールドフラックスの結晶化速度を高めることによって実現した。
以下、本発明について説明する。
本発明は、高粘性のモールドフラックスであっても、フラックスフィルムの結晶化速度を高めるために、ペロブスカイトを核として、ペロブスカイトと結晶構造の整合性が高いメリライトを主たる結晶として晶/析出させることを骨子としている。
前記主たる結晶とは、X線回折ピーク強度の最大値が他の結晶のX線回折ピーク強度の1.5倍以上あることと定義する。本発明の連続鋳造用モールドフラックスにおいては、この主結晶がメリライトである。
ペロブスカイト(Perovskite)は、組成がCaO・TiO2と表される融点が1960℃の結晶であり、結晶単体の融点が高く、晶/析出しやすいものである。
また、メリライト(Melilite)とは、アケルマナイト(Akermanite:2CaO・MgO・2SiO2:融点1454℃)とゲーレナイト(Gehlenite:2CaO・Al2O3・SiO2:融点1590℃)との全率固溶体の名称である。本発明においては、アケルマナイトからゲーレナイトに到る組成範囲の結晶全てをメリライトと記すこととしている。
従来、ペロブスカイトは、高融点ゆえに潤滑性を悪化させることが知られており、晶/析出を避けるべき結晶であるとされてきた。
しかしながら、発明者は、モールドフラックスの化学組成を適正に設計し、適正なTi濃度の溶鋼の鋳造に使用すれば、ペロブスカイトの晶/析出量を潤滑性が損なわれない範囲に抑えながら主たる結晶であるメリライトの核として作用させられることを見出した。また、発明者は、モールドフラックスの粘度に上限値を設定することによって、ペロブスカイトが晶/析出しても必要な潤滑性を維持することが可能であることも見出した。
加えて、発明者は、ペロブスカイトを核としてメリライトを晶/析出させてフラックスフィルムの結晶化速度を高める際に、その効果が損なわれない結晶化温度および粘度の範囲を確定するに到った。
発明者は、ペロブスカイトとメリライトとの結晶構造の整合性が良いことを指摘し、その結果としてペロブスカイトがメリライトの晶/析出を阻害する問題を生じないことを示し、ペロブスカイトを塩基度(CaO/SiO2)上昇や凝固温度調整の観点から添加することを開示した(特開2003−225744号公報)。
本発明は、上記発明の考え方をさらに進め、ペロブスカイトの単体での融点が高いことに着目して積極的に核として晶/析出させ、整合性の高いメリライトの結晶化を促進する(結晶化速度を速める)目的で利用するものである。
すなわち、
本発明の連続鋳造用モールドフラックスは、
化学組成が、CaO/SiO2=1.05〜1.60、Al2O3=3〜22質量%、MgO=4〜14質量%、(Al2O3+MgO)で表される濃度和が12〜27質量%、TiO2=4〜13質量%、(CaO/SiO2−0.8)×TiO2で表される濃度バランス値が1.5〜4.1、(K2O+Na2O+Li2O+F)で表される濃度和が3〜7質量%であり、
結晶化温度が1190〜1290℃、
1300℃における粘度が0.2〜0.9Pa・s、
溶融したモールドフラックスが冷却されながら結晶化する際に、初めに晶/析出したペロブスカイトを核にして、主たる結晶としてのメリライトが晶/析出し、
溶融したフラックスを2℃/minの速度で冷却した際の結晶化温度に対する10℃/minの速度で冷却した際の結晶化温度の低下が30℃以下であることを最も主要な特徴としている。
本発明において、モールドフラックスの主成分であるCaOおよびSiO2に関して、CaOのSiO2に対する濃度比(質量%)CaO/SiO2を1.05〜1.60としたのは、CaO/SiO2が1.05未満では、TiO2を添加してもペロブスカイトが晶/析出しにくいからである。さらに、溶鋼中脱酸元素によるSiO2の還元がフラックスの組成変化をもたらし、設計通りのペロブスカイトの晶/析出量を保てなくなるおそれがあるからである。
また、CaO/SiO2が1.60を超えると、結晶化温度が高くなりすぎるからである。
本発明において、Al2O3の濃度を3〜22質量%、MgOの濃度を4〜14質量%、MgOとAl2O3との濃度和を12〜27質量%としたのは、下記の理由による。
前記それぞれの濃度もしくは濃度和が下限値未満ではフラックスフィルムの結晶化すなわちメリライトの晶/析出が不十分となるからである。
また、前記濃度もしくは濃度和が上限値を超えると、モールドフラックスの結晶化温度や粘度が高くなりすぎたり、メリライトとは異なる結晶の晶/析出が生じてメリライトの晶/析出が不安定となるからである。
本発明において、TiO2の濃度を4〜13質量%としたのは、4質量%未満ではペロブスカイトが十分に晶/析出せず、13質量%を超えるとペロブスカイトが多量に晶/析出して潤滑性が損なわれるからである。
また本発明において、(CaO/SiO2−0.8)×TiO2で表される濃度バランス値が1.5〜4.1としたのは、上記TiO2の濃度の規定に加え、この濃度バランス値を1.5〜4.1とすることによって、ペロブスカイトの晶/析出量を適性に保つことができるからである。この濃度バランス値が1.5未満であると、ペロブスカイトの晶/析出量が不十分になり易く、この濃度バランス値が4.1を超えると、ペロブスカイトの晶/析出量が過剰になり易い。
本発明において、(K2O+Na2O+Li2O+F)で表される濃度和を3〜7質量%としたのは、これら濃度和が7質量%を超えると、結晶化温度が低くなりすぎたり、メリライトとは異なる結晶の晶/析出が生じてメリライトの晶/析出が不安定となるからである。
また、前記濃度和が3質量%未満になると、粘度が高くなりすぎて結晶化速度が低下するので好ましくないからである。
さらに上記濃度和を保った上で、Fの濃度は1〜4質量%であることが好ましい。Fの濃度が4質量%よりも高くなると、結晶としてカスピダインが晶/析出しやすくなり、メリライトの晶/析出が不安定となるからである。なお、カスピダイン(Cuspidine)は、組成が3CaO・2SiO2・CaF2と表される融点が1410℃の結晶である。
また、Fの濃度が1質量%未満となると粘度が高くなりすぎて結晶化速度が低下しやすいからである。
本発明において、結晶化温度を1190〜1290℃としたのは、1190℃未満ではフラックスフィルムの結晶化が不十分となり、ペロブスカイトを核にして結晶化を促進する意義が失われるからである。一方、1290℃を超えると潤滑性が悪化するからである。
本発明において、1300℃における粘度を0.2〜0.9Pa・sとしたのは、0.2Pa・s未満では巻き込まれ難さや流入の安定性といった高粘性モールドフラックスの利点が損なわれるからである。一方、0.9Pa・sを超えると高融点のペロブスカイトが晶/析出することと相まって潤滑性の悪化が顕在化するからである。
溶融したモールドフラックスが冷却されながら結晶化する際に、結晶単体の融点が高いペロブスカイトは高温条件下で安定な酸化物であり、メリライトよりも先に晶/析出しやすい。
下記表1に示すように、格子定数a,b,cにおいて、ペロブスカイトのa=5.44,c=5.38は、アケルマナイトのc=5.01あるいはゲーレナイトのc=5.07と近い値である。また、ペロブスカイトのb=7.64はアケルマナイトのa=b=7.83、あるいはゲーレナイトのa=b=7.69と近い値である。さらに、結晶格子の各辺が成す角度であるα,β,γはいずれも90°と同じ値である。なお、結晶の格子定数a,b,c及び結晶格子の各辺が成す角度α,β,γを図1に示す。
従って、ペロブスカイトは、メリライトを形成する酸化物であるアケルマナイトやゲーレナイトと結晶構造の整合性が高く、ペロブスカイトを核にしてメリライトが容易に成長することができる。よって、初めに晶/析出したペロブスカイトを核にしてメリライトを晶/析出させることにより、高粘性のモールドフラックスの結晶化速度を高めることができる。
Figure 2010214387
本発明で規定した、「溶融したモールドフラックスが冷却されながら結晶化する際に、初めに晶/析出したペロブスカイトを核にして、主たる結晶としてのメリライトが晶/析出する」という挙動を具体的に説明すると以下のようになる。
本発明のモールドフラックスが結晶化する際には、まずCaOが優先的にTiO2と結合してペロブスカイトの晶/析出が生じる。その結果、TiO2の多くが消費され、残された液相もしくはガラス相中のTiO2濃度は2質量%未満まで低下する。その後、残る液相もしくはガラス相とペロブスカイトの界面からメリライトの晶/析出が生じる。
以上の現象は、鋳造中もしくは鋳造後に鋳型から採取したフラックスフィルムの観察や、冷却速度を10〜100℃/min程度に保った溶融フラックスの冷却実験によって確認することができる。
なお、ペロブスカイトを核にしてメリライトが晶/析出するとは、必ずしもメリライトの全てがペロブスカイトを核にして晶/析出する場合を指すのではなく、メリライトの一部であってもペロブスカイトを核にして晶/析出すれば該当するものとする。
これは、ペロブスカイトの晶/析出量が少なく、全てのメリライトがペロブスカイトを核にして晶/析出し得ない場合もあるからである。また、結晶を観察することにより全てのメリライトがペロブスカイトを核にして晶/析出したことを確定するのは困難だからである。
本発明のように、組成及び物性(結晶化温度・粘度)を調整して結晶化を促進したモールドフラックスは、高粘性であるにもかかわらず高い結晶化速度を有する。高粘性であるメリットを享受しつつ高い結晶化速度を得られることが、本発明の特徴である。
この結晶化速度は、直接観察することが難しいので、本発明では、冷却速度を上昇させた時に物質移動の遅れによって結晶化温度が低下する現象を利用して、異なる冷却速度条件下において結晶化温度を測定し、その指標とした。
具体的には、溶融したフラックスを2℃/minの速度で冷却した際の結晶化温度に対する10℃/minの速度で冷却した際の結晶化温度の低下が30℃以下であることを、十分な結晶化速度を有するとの判断基準とした。
モールドフラックスの結晶化温度(原子が結晶格子を形成するよう配列する温度)は、冷却に伴って粘度が急上昇する温度である凝固温度(流動性が失われた温度)を用いて評価する方法が、広く採用されている。
この方法は、1300℃における粘度が0.1Pa・s程度の低粘性モールドフラックスの場合には凝固温度と結晶化温度とは比較的良く一致する。
しかしながら、発明者による検証の結果、本発明のような1300℃における粘度が0.2Pa・sもしくは0.3Pa・s以上の高粘性モールドフラックスの場合は、凝固温度に対して結晶化温度が最大数10℃のオーダーで低下することが分かった。従って、結晶化温度の指標として凝固温度を採用した場合、測定精度が不十分である。
そこで、本発明では、結晶化速度を求める手法として、結晶化に伴う発熱がピークとなる温度を結晶化温度とする熱分析法と、結晶化に伴って原子配列の電気的対称性が変化することを利用して電気容量変化から求める方法を採用する。発明者による比較測定の結果、両者による測定値は良く一致した。
上記の熱分析法は、結晶化温度の測定に用いられてきたが、発熱ピークが不明瞭で結晶化速度の確定が難しいことが多かった。これが、凝固温度を用いて、モールドフラックスの結晶化温度を間接的に評価することが広く行われていた理由であると考えられる。
発明者は、上述のように電気容量を測定する方法を併用することによって結晶化温度の測定精度を上げて、前記本発明の規定に繋げた。
なお、前記電気容量変化から結晶化温度を求めるには、「融体およびガラスの電気容量変化測定による結晶化の検出」材料とプロセス Vol.19(2006)No.1,p162に記載された方法を使用する。モールドフラックスの電気容量は、電気容量計に繋いだ1対の金属電極をモールドフラックス中に10〜20mm程度浸漬させることによって測定する。
ところで、本発明のモールドフラックスは、TiO2濃度の増減によってペロブスカイトの晶/析出量が変動する。
すなわち、鋳造する溶融金属のTi濃度が高すぎると溶融金属と溶融フラックスとの反応(TiによるSiO2の還元反応)によってフラックスフィルム中のTiO2濃度が増してペロブスカイトの晶/析出量が多くなりすぎる。
一方、Ti濃度が低すぎると逆にAl等の溶鋼中脱酸元素によってTiO2が還元され、フラックスフィルム中のTiO2濃度が減少してペロブスカイトの晶/析出量が不足するおそれがある。
このようなフラックスフィルム中のTiO2濃度の増減を抑制する観点から、本発明のモールドフラックスを用いて溶融金属を連続鋳造する場合は、溶融金属のTi濃度を、最適な範囲、すなわち0.01〜1.5質量%に規定するのが好ましい。これが本発明の溶融金属の連続鋳造方法である。
次に、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
本発明のモールドフラックスの実施例を下記表2に、比較例を下記表3に示す。
Figure 2010214387
Figure 2010214387
表2のA〜Eは、請求項1に規定する要件を満たす本発明のモールドフラックスである。従って、高粘性でありながら結晶化速度が高く、鋳造開始直後から安定した鋳型内熱流束の低減作用を有し、凝固シェルの収縮や変形を軽減することができる。
一方、表3のF〜Jは、請求項1に規定する要件を満たさない本発明の比較例である。
このうち比較例Fは、CaO/SiO2が低い一般的な高粘性モールドフラックスであり、結晶化速度が低いので、鋳造開始からフラックスフィルムが十分に結晶化するまでに長い時間を要する傾向にある。
また、比較例Gは、TiO2を含有しペロブスカイトの晶/析出が生じるもののTiO2濃度が低いため、その結晶化速度向上作用が発揮されない例である。
また、比較例Hは、(CaO/SiO2−0.8)×TiO2で表される濃度バランス値が高すぎてペロブスカイトが多量に晶/析出すること、および粘度が高すぎるために潤滑性が損なわれる例である。
また、比較例Iは、主な結晶としてメリライトを晶/析出するものの、TiO2を含有せずペロブスカイトを晶/析出しないので、結晶化速度が低い例である。
また比較例Jは、Fを多く含むこと、および塩基度(CaO/SiO2)が高いことにより、主な結晶としてカスピダインを晶/析出して大きな結晶化速度を有している。しかしながら、塩基度が高くネットワーク構成成分であるSiO2が少ないことから、粘度が低すぎて溶鋼中への溶融フラックスの巻き込み等の問題が生じる例である。
前記実施例Bおよび比較例Fのモールドフラックスを、下記表4に示す低合金鋼の連続鋳造に供した。連続鋳造の条件は、鋳型断面サイズ(外径)が200mm、鋳造速度が1.8m/minである。
Figure 2010214387
その結果、両モールドフラックスの結晶化温度は同等であるにもかかわらず、実施例Bを用いた本発明方法では良好な表面肌の鋳片が得られたのに対し、比較例Fを用いた場合には鋳片表面の縦割れが発生した。
縦割れは、特に鋳造初期の鋳片長さ2.5mまでにおいて顕著であった。これは、特に鋳造初期におけるフラックスフィルムの結晶化が不十分であり、鋳型内で鋳片が強冷却された結果であると考えられる。
また、前記実施例Eおよび比較例Iのモールドフラックスを、下記表5に示す高合金鋼の連続鋳造に供した。連続鋳造の条件は、鋳型断面サイズ(外径)が200mm、鋳造速度が0.8m/minである。
Figure 2010214387
その結果、両モールドフラックスの結晶化温度は同等であるにもかかわらず、実施例Eを用いた本発明方法では良好な表面肌の鋳片が得られたのに対し、比較例Iを用いた場合は鋳片表面の縦割れや凝固収縮に伴う鋳片断面形状の変形が発生した。
縦割れや変形は特に鋳造初期の鋳片長さ1.5mまでにおいて顕著であった。これは、特に鋳造初期におけるフラックスフィルムの結晶化が不十分であり、鋳型内で鋳片が強冷却された結果であると考えられる。
実施例Eと比較例Iを比較すると、実施例Eの方が高粘性であり、物質移動速度(拡散速度)が小さいので、結晶化速度を高めるのは難しいと考えられたが、鋳造の結果では比較例Iよりも良好な鋳片肌を得た。これは、ペロブスカイトを結晶核として利用する本発明方法が、この程度の粘度の低下よりも結晶化速度を高める効果が大きいことを示したからと考えられる。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。

Claims (2)

  1. 化学組成が、CaO/SiO2=1.05〜1.60、Al2O3=3〜22質量%、MgO=4〜14質量%、(Al2O3+MgO)で表される濃度和が12〜27質量%、TiO2=4〜13質量%、(CaO/SiO2−0.8)×TiO2で表される濃度バランス値が1.5〜4.1、(K2O+Na2O+Li2O+F)で表される濃度和が3〜7質量%であり、
    結晶化温度が1190〜1290℃、
    1300℃における粘度が0.2〜0.9Pa・s、
    溶融したモールドフラックスが冷却されながら結晶化する際に、初めに晶/析出したペロブスカイトを核にして、主たる結晶としてのメリライトが晶/析出し、
    溶融したフラックスを2℃/minの速度で冷却した際の結晶化温度に対する10℃/minの速度で冷却した際の結晶化温度の低下が30℃以下であることを特徴とする連続鋳造用モールドフラックス。
  2. 請求項1に記載のモールドフラックスを用いて、Ti濃度が0.01〜1.5質量%の溶融金属を連続鋳造することを特徴とした溶融金属の連続鋳造方法。
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