JP3876917B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳型内溶鋼表面上にモールドパウダーを供給しながら鋼を連続鋳造する鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造において、鋳型内の溶鋼表面上には、モールドパウダーが添加される。モールドパウダーは、溶鋼から熱を受けて滓化溶融し、溶融スラグ層を形成する。そして、そのように形成された溶融スラグが順次鋳型と凝固シェルとの隙間に流入し消費される。この間のモールドパウダーの主な役割としては、(1)鋳型と凝固シェル間の潤滑、(2)溶鋼から浮上する介在物の吸収、(3)溶鋼の再酸化防止と保温、(4)凝固シェルから鋳型への抜熱速度コントロールなどである。
ところで、近年、鋼の品質に対する要求が一段と厳しくなっており、例えば、鋼中のC濃度が0.08〜0.25質量%の中炭素鋼では、従来のモールドパウダーを使用すると鋳片の表面割れが発生しやすく、鋳片表面割れを防止するために、特許文献1〜10に示すようにモールドパウダーを改良した鋳造技術が種々提案されている。
これら特許文献等では、鋳片表面割れの発生しやすい中炭素鋼などを鋳造する場合、モールドパウダーの塩基度(CaO/SiO)を高く、F(CaF)量を増やすことにより、カスピダイン(3CaO・2SiO・CaF)の晶出を促進させて結晶化温度(凝固温度)を高くしている。
結晶化温度の高いモールドパウダーは、モールドと凝固シェル間へ流入したスラグフィルム中に結晶が発達する。結晶化したスラグフィルムは結晶化しないでガラスのままのスラグフィルムを形成するものよりも伝熱抵抗が大きく、凝固シェルからモールドへの抜熱を低下させる働きがある。
上記特許文献に係る技術は、このように抜熱を低下させることで、凝固シェルを均一に冷却することをねらっており、メニスカス部に形成される初期凝固シェル厚みを幅方向で均一として、鋳片表面割れの発生を防止しようとするものである。
特開平5−269560号公報 特開平8−141713号公報 特許第3119999号公報 特開平11−320058号公報 特許第3179358号公報 特開2001−179408号公報 特許第2671644号公報 特開2000−218348号公報 特開2000−158105号公報 特開2000−239693号公報
しかし、上記従来技術による結晶化温度(凝固温度)を高めたモールドパウダーを用いて連続鋳造を行っても依然として鋳片表面割れ欠陥が発生しており、このような欠陥を皆無にすることは困難である。また、最近では生産性向上のため鋳造速度の高速化が指向されているが、鋳造速度を高速化すると鋳片割れ欠陥の増加の問題が生じるため、十分に鋳造速度を高速化できずに生産性を阻害する原因となっている。
鋳片表面割れをさらに抑制するため、結晶化温度(凝固温度)をさらに高くして、モールドパウダーの結晶性を強くすることは可能であるが、その場合には、凝固シェルの厚さを十分に確保することができず、モールド以降で、凝固シェルがバルジングしたり、ブレークアウトが発生する可能性がある。特に、現在指向されている超高速鋳造の場合にそのような不都合が生じやすい。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、鋳造速度が大きい場合であっても、鋳片表面割れを抑制することができ、かつ凝固シェル厚みを確保してブレークアウトの発生も抑制することができる鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
鋳片表面割れを抑制するためには、鋳片からモールドへの抜熱を均一にし、均一な初期凝固シェルを形成することが重要であり、従来技術では抜熱を低下かつ均一化するために、結晶化温度もしくは凝固温度(点)を高くしてスラグフィルム中の結晶層厚みを増加させたり、スラグフィルムとモールド間の界面熱抵抗を増大させて、モールド内の抜熱量(抜熱速度)を低下させることが有効とされ、この手法に依存してきた。
しかしながら、この手法でも、安定操業を保持するために必要な凝固シェル厚みが確保されず、高速鋳造においては、ブレークアウトが発生する危険性が高まる。
そこで、本発明者らは、鋳片表面割れを抑制しつつ安定操業を達成可能な凝固シェル厚みを確保するために検討を重ねた結果、モールド内のメニスカス部において緻密で均一な結晶を速やかに析出させてメニスカス部を緩冷却として鋳片割れを抑制し、メニスカス部の下方部分においては操業に必要な凝固シェル厚みが確保できる程度の強冷却としてブレークアウトの発生を抑制すればよいことを知見した。
具体的には、モールドパウダーを結晶化しやすい組成とするとともにその結晶化速度を大きくすることにより、メニスカス部において緻密で均一な結晶を素早く形成して超緩冷却化を達成し、また、モールドパウダーの組成を結晶化温度が低く結晶成長を抑制することが可能な組成とすることにより、メニスカス部の下方部分において強冷却とすることが有効であることを知見した。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、以下の(1)〜()を提供するものである。
C量が0.08〜0.25質量%の中炭素鋼の鋳片を、CaO/SiO質量比を1.5〜2.5とし、NaOを2質量%未満、LiOを1質量%以上、結晶化温度1100℃未満に調整したモールドパウダーを用いて、鋳造速度1.6m/分以上で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
)上記()において、前記モールドパウダーは、1〜18質量%のCを含むことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
(3)C量が0.08〜0.25質量%の中炭素鋼の鋳片を、CaO/SiO 質量比を1.5〜2.5とし、Na Oを2質量%未満、Li Oを1質量%以上、Cを10〜18質量%に調整したモールドパウダーを用いて、鋳造速度1.6m/分以上で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
本発明によれば、超高速鋳造下においても、鋳片割れが発生し難く、かつ凝固シェル厚みを確保してブレークアウトの発生も抑制することができ、鋼の高品質化と生産性の向上とを両立させることができる鋼の連続鋳造方法が提供される。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明に至った経緯について説明する。
上述したように、鋼の連続鋳造において、モールド内で緩冷却化することにより、鋳片表面割れ(縦割れ)抑制に効果があり、従来はこのような緩冷却化のためにモールドパウダーのCaO/SiO質量比(塩基度)を調整して結晶化温度を上昇させていた。この際の鋳造速度とモールド抜熱との関係を図1に示す。このように、従来パウダーよりも塩基度を高くして結晶温度を上昇させ、緩冷却化したモールドパウダー(緩冷却パウダー)を用いることにより、220mm以上(鋳片厚)の厚板材を1.6m/分以上の高速で鋳造する場合においても鋳片表面割れ(縦割れ)を生じ難くすることができる。しかし、このような塩基度の高い緩冷却パウダーを用いる場合には、モールド以降でブレークアウトが発生しやすくなる。
ブレークアウトした鋳片の調査結果から推定したモールド直下での凝固シェル厚について図2に示す。図2に示すように、塩基度を高くして結晶化温度を上昇させた緩冷却パウダーを用いた場合には、厚さ220mm以上の鋳片厚において、鋳造速度が高速化して1.6m/分付近を超えると凝固シェルの厚さがブレークアウト発生危険領域である12mmを下回るようになる。すなわち、中炭素鋼の鋳造において、鋳片表面割れを抑制しつつ高速鋳造を実現するためには、鋳型直下での凝固シェル厚を一定以上確保する必要がある。
以上のことから、本発明においては、図3に示すように、鋳片表面割れに影響を及ぼすモールド内のメニスカス部ではより緩冷却を図り、逆にブレークアウトに影響をおよぼすメニスカス部の下方部分では強冷却となって凝固シェル厚を厚くする機能を有するモールドパウダーを用いて鋼の連続鋳造を行う。
以下、メニスカス部での緩冷却化とメニスカス部下方部分における強冷却化に分けて詳細に説明する。
(1)メニスカス部での緩冷却化
従来は、モールド内で緩冷却するために、パウダーの塩基度を増加させて結晶化を促進させることが一般的であったが、本発明ではメニスカス部のみを局所的に緩冷却化するとともに、緩冷却化をさらに促進させ、鋳片表面割れを有効に防止する。そのために、パウダーの塩基度、すなわちCaO/SiO質量比を1.5〜2.5の範囲まで高めてカスピダインを晶出しやすい組成とし、均一な結晶の析出を確保した上で、さらに溶融パウダーがモールドと凝固シェルとの間に流入してから結晶層が生成されるまでの時間を短縮させる必要があると考え、結晶化速度の測定を実施した。
結晶化速度は、溶融パウダーを一定速度で冷却した際に結晶化(収縮)開始から、一定の収縮量に達するまでの時間を求め、これを結晶化速度指数と定義し、この値により把握した。ここでは、モールドパウダーのベース組成をCaO:42.9質量%、SiO:23.2質量%、Al:4.0質量%、MgO:0.8質量%、LiO:7.3質量%、F:9.8質量%、T.C:10.5質量%とし(CaO/SiO質量比=1.9)、NaOの添加量を変化させて結晶化速度指数を測定した。その結果を図4に示す。図4に示すように、NaOの添加量が少ないほど結晶化速度の上昇が見られた。図5にはパウダーフィルムの結晶組織を示すが、この図からNaOの添加量が少ないほど緻密な結晶組織が得られることがわかる。これは、NaOを低減させることによってカスピダイン(3CaO−2SiO−CaF)の核生成が促進されて結晶核生成数が増加し、結晶組織を緻密化することができているためと考えられる。このことから、モールドパウダー中のNaO含有量を調整することにより結晶化速度を制御することが好ましい。
(2)メニスカス部下方部分における強冷却化
メニスカス部より下方部分においては、抜熱速度を増加させて凝固シェル厚を確保する必要がある。そのためには、メニスカス部で生成した緻密な結晶層の成長を抑制することが有効であると考え、そのために結晶化温度の低減を図った。ここでは、モールドパウダーのベース組成をCaO:42.9質量%、SiO:23.2質量%、Al:4.0質量%、MgO:0.8質量%、NaO:0.2質量%、F:9.8質量%、T.C:10.5質量%とし、LiOの添加量を変化させて結晶化温度を測定した。その結果を図6に示す。図6に示すように、LiOを添加することで結晶化温度の低減が可能であることがわかった。そして、LiOの添加量が増加するに従って結晶化温度が低下する。したがって、モールドパウダー中のLiO含有量を調整することにより結晶化温度を制御することが好ましい。なお、この際のモールド抜熱量については、鋳造速度1.6m/分において、1.3Gcal/m・hr以上であることが好ましい。
このように、モールドパウダーの組成を、基本的に、モールド内のメニスカス部で緩冷却になるようにCaO/SiO質量比(塩基度)を1.5〜2.5に規定した上で、さらにNaOを低減することで結晶化速度を制御してメニスカス部において超緩冷却とし、かつLiOの含有量を調整することで結晶化温度を低下させてメニスカス部の下方部分において強冷却としてモールド直下における凝固シェル厚を12mm以上にする。これにより、鋳片表面割れの発生しやすい中炭素鋼(C量が0.08〜0.25質量%)等であっても、板厚220mm以上の厚板を1.6m/分以上の高速で連続鋳造する場合に、鋳片表面割れやブレークアウトの発生を抑制することができる。また、鋳造速度を溶鋼の通過量で表した場合には、6ton/min/str以上、さらには6.5ton/min/str以上の高速鋳造において、鋳片の表面割れやブレークアウトを生じさせることなく連続鋳造することができる。
従来は、モールドの緩冷却化のためにモールドパウダーの結晶化温度を高めてカスピダインの晶出を促進し、鋳片の表面割れを抑制していたが、本発明ではNaOを2質量%以下に制限することにより、メニスカス部においてカスピダインを速やかに晶出させ、メニスカス部のみを緩冷却化し、一方、モールドパウダーの結晶化温度を低くすることによりモールド内でのトータルの抜熱量を高め、メニスカス部での緩冷却とメニスカス下方部分での強冷却とを両立させている。
本発明においては、上記のように設計したモールドパウダーを用いて、鋼の連続鋳造を行うが、以下、モールドパウダーの組成についてさらに詳細に説明する。
本発明の鋼の連続鋳造方法に用いられるモールドパウダーの化学組成は、CaOおよびSiOを主成分とし、CaO/SiO質量比が1.5〜2.5の範囲にあり、NaOが2質量%未満、LiOが1質量%以上、特に4質量%以上であるものを用いることが好ましい。
また、上記に加えてMgOが1質量%未満、NaO/LiO質量比が0〜0.4の範囲にあることが好ましい。
CaO/SiO質量比は、均一なカスピダイン結晶を生成するために重要である。この値が1.5以下の場合にはガラス相が生成するため結晶の均一性が損なわれてしまう。一方、この値が2.5を超えるとモールド壁に形成されるスラグフィルム結晶鉱物相が複数化され、均一な結晶層が得られない。なお、このような結晶鉱物相が複数となる場合に不均一結晶層が形成されることは上記特許文献5(特許第3179358号公報)に記載されている。CaO/SiO質量比は1.6〜2.5がより好ましく、1.7〜2.5が一層好ましい。
NaOは、含有されないことが好ましいが、モールドパウダーを構成する原料に不可避的に含まれている不純物である。しかし、NaOが2質量%以上含まれている場合には、カスピダインの析出が阻害されて結晶化が遅れ、またスラグフィルムの結晶相が多岐にわたるため、モールドの結晶化温度を低下させた場合にモールド内のメニスカス部を十分に緩冷却することが困難となる。したがって、NaOの含有量は2質量%未満とする。具体的には、図4に示すように、NaOが2質量%未満で結晶化速度指数がほぼ15以下となる。
LiOは上述のように結晶化温度を低下させる機能を有し、このような機能を発揮させるため、1質量%以上添加することが好ましい。LiOが1質量%未満の場合には、このような機能が有効に発揮されないばかりか、後述する軟化点(℃)/(CaO/SiO質量比+NaO/LiO質量比)の値の範囲を満たそうとすると、モールドパウダーの軟化点が高くなってしまい、安定した溶融層厚が得られず、さらに鋳片上のスケールの生成量が十分でなく、その剥離性も悪化するため、好ましくない。LiOの含有量は2質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上10質量%以下である。特に、メニスカス部の下方部分において十分な凝固シェル厚を確保する観点から好ましい結晶化温度1100℃未満を得るためには、他の成分との兼ね合いもあるが、図6を参照するとLiOの添加量は4質量%以上が好ましい。
所望の結晶の均一性を得る観点から、CaO/SiO質量比を上記範囲にする他、MgO量を1質量%未満とすることが好ましい。MgO量が1質量%以上になると、上記CaO/SiO質量比にかかわらず結晶の均一性は損なわれる。
NaO/LiO質量比は0〜0.4が好ましいが、これは、NaO/LiO質量比が0.4を超えると、均一な結晶層が得られず、また、鋳片からのスケールの剥離性が悪化し、鋳片表面の割れや疵が残留しやすくなるためである。
結晶化温度は1100℃未満が好ましい。結晶化温度が1100℃以上になるとモールド内抜熱速度が低くなる傾向にあり、凝固シェル厚みが十分なものとならず、超高速鋳造域でのブレークアウトを十分に抑制することができないおそれがある。
また、モールドパウダーの軟化点は1110℃以下が好ましい。軟化点が1110℃を超えると、モールドパウダーが軟化溶融し難く、よって、モールド内で安定した溶融層厚みを確保することが困難となる。軟化点のさらに好ましい範囲は1100℃以下である。さらに、結晶化温度1100℃以下を満たした上で、以下に示すように、軟化点(℃)と(CaO/SiO質量比+NaO/LiO質量比)との比であるA値が345〜750の範囲を満たすことが好ましい。
A値=軟化点(℃)/(CaO/SiO質量比+NaO/LiO質量比)
A値が上記範囲を満足しない場合には、スケール生成量が低下し、かつ連続鋳造設備での2次冷却によるスケールの剥離性が悪化するため好ましくない。なお、軟化点が1110℃を超えた場合もスケールの生成量が低下し、かつその剥離性も悪化する。
モールドパウダーにはAlを含有してもよいが、10質量%以下が好ましい。10質量%を超えると溶融スラグが分離する現象が発現するためにモールドと凝固シェル間に均一に流入し難くなる。より好ましくは1〜8質量%であり、さらに好ましくは2〜8質量%である。
モールドパウダーにおけるF量は15質量%以下でかつF×(NaO/LiO質量比)が0〜7が好ましい。15質量%を超えてもカスピダインの晶出を促進させる効果が飽和し、逆にCaFの結晶が晶出しやすくなり不適当である。一方、F×(NaO/LiO質量比)が7を超えるとスケール生成量が低下し、同時に均一で緻密な結晶層が得られないために好ましくない。F×(NaO/LiO質量比)のより好ましい範囲は0〜6の範囲内である。また、F量が5質量%未満ではスラグフィルム中にカスピダインが晶出しにくく好ましくないため、5質量%以上が好ましい。
モールドパウダーには、必要に応じて、BaO、SrO、MnO、B、ZrO、TiOのうち1種または2種以上を合計で6質量%未満含有させてもよい。しかし、これらの合計量が6質量%以上になると、鋳片上のスケールの生成量が低下し、スケールの剥離性も悪化するため好ましくない。
またモールドパウダーには、滓化または溶融速度の調整剤としてカーボン原料を添加することができる。その添加量は1〜18質量%が好ましく、特に高速鋳造を行う場合には溶鋼からの熱供給量が増大するので、溶融層が過大とならないようにするために10〜18質量%がさらに好ましい。
モールドパウダーは、その形状は限定されるものではなく、例えば、粉末、押し出し顆粒、中空スプレー顆粒、攪拌顆粒など、全ての形状について使用することができる。
また、モールドパウダーの原料の性状も特に限定されるものではないが、かさ比重は、粉末、顆粒とも1未満が好ましく、さらに好ましくは0.95以下である。かさ比重が1を超えると、モールド内での溶融性が悪化するために好ましくない。
以下、本発明の実施例について説明する。
表1に示す組成のモールドパウダーを用いて、鋳造実験を行った。表1のNo.1は、モールド内のメニスカス部において超緩冷却となり、メニスカス部の下方部分では強冷却となるように設計したもの、No.2はメニスカス部における緩冷却化を図っていない従来のもの、No.3はメニスカス部における緩冷却化のみを図ったものである。なお、No.1のモールドパウダーは、パウダーの溶融速度調整のためにT.Cを増量した。
以上のパウダーを用いて板厚220mmの鋳片を鋳造速度を変えて連続鋳造した。溶鋼としてはJIS SS400(C=0.16%、Si=0.15%、Mn=0.70%、P=0.020%、S=0.010%、sol.Al=0.035%)を用いた。その際の鋳造速度とモールド抜熱との関係を図7に示す。この図に示すように、No.1のモールドパウダーを用いて連続鋳造を行う本発明例の場合には、緩冷却化していない従来のパウダーであるNo.2のモールドパウダーを用いて連続鋳造を行った従来例の場合と同程度の抜熱挙動を示しており、従来並の凝固シェル厚(モールド直下で12mm以上)が確保できていると考えられる。これに対して、緩冷却化のみを図ったNo.3のモールドパウダーを用いて連続鋳造を行った比較例の場合には、モールド内の総括抜熱量が小さく、モールド直下の凝固シェル厚は小さいと考えられる。このため、緩冷却のみを図ったNo.3のモールドパウダーを用いて高速で連続鋳造した場合には、ブレークアウトの発生が懸念される。
図8は、鋳型内から採取したパウダーフィルムの組織写真を示す。No.1のモールドパウダーを用いた本発明例の場合は、No.2の従来のモールドパウダーを用いた従来例の場合に比べて、結晶層の厚みが30%低減されており、本発明例の場合には結晶層の成長が抑制されていることも確認された。
図9は鋳造速度と鋳片表面割れ(縦割れ)の発生率との関係を示すが、No.1のモールドパウダーを用いた本発明例の場合には、鋳造速度が1.6m/分以上、2.4m/分においても縦割れ発生率は低位安定しており、良好な表面品質を確保することができていることがわかる。また、鋳片(スラブ)の手入率も従来と同程度であった。これに対して、No.2のモールドパウダーを用いた従来例の場合には、鋳造速度1.6m/分を超えたあたりで急激に縦割れ発生指数が上昇しており、高速鋳造に対応できないことが確認された。
Figure 0003876917
従来のモールドパウダーを用いた場合と、モールド内メニスカス部における緩冷却を図ったモールドパウダーを用いた場合における鋳造速度とモールド抜熱量との関係を示す図。 従来のモールドパウダーを用いた場合と、モールド内メニスカス部における緩冷却を図ったモールドパウダーを用いた場合における鋳造速度と鋳型直下での凝固シェル厚との関係を示す図。 本発明の鋼の連続鋳造方法の考え方を説明するための図。 モールドパウダーの結晶化速度に及ぼすNaO量の影響を示す図。 モールドパウダー中のNaO量が4.0質量%と0.2質量%の場合の結晶層の組織を示す写真。 モールドパウダーの結晶化温度に及ぼすLiO量の影響を示す図。 本発明の考え方に基づいて設計したモールドパウダーを用いて連続鋳造した場合と、従来のモールドパウダーを用いて連続鋳造した場合と、緩冷却のみを図ったモールドパウダーを用いて連続鋳造した場合における、鋳造速度とモールド抜熱量との関係を示す図。 本発明の考え方に基づいて設計したモールドパウダーを用いて連続鋳造した場合と、従来のモールドパウダーを用いて連続鋳造した場合とでパウダーフィルムの組織を比較して示す写真。 本発明の鋳片縦割れ発生率指数の低減効果を示す図。

Claims (3)

  1. C量が0.08〜0.25質量%の中炭素鋼の鋳片を、CaO/SiO質量比を1.5〜2.5とし、NaOを2質量%未満、LiOを1質量%以上、結晶化温度1100℃未満に調整したモールドパウダーを用いて、鋳造速度1.6m/分以上で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記モールドパウダーは、1〜18質量%のCを含むことを特徴とする請求項に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. C量が0.08〜0.25質量%の中炭素鋼の鋳片を、CaO/SiO 質量比を1.5〜2.5とし、Na Oを2質量%未満、Li Oを1質量%以上、Cを10〜18質量%に調整したモールドパウダーを用いて、鋳造速度1.6m/分以上で連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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