JP5316879B2 - 合金鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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本発明は、合金鋼の連続鋳造において、表面品質が良好な鋳片を得ることができる方法に関するものである。
鋼等を連続鋳造する際に使用するモールドフラックスは、鋳型内における溶鋼表面の保温と溶鋼の大気からの遮断、及び溶鋼中の非金属介在物の溶融除去、鋳型と凝固シェル間の潤滑、凝固シェルから鋳型への熱流束制御(緩冷却化)といった大きな役割を果たす。
ところで、連続鋳造は、ブルームやスラブの連続鋳造のように、矩型断面の鋳型を用いて行うのが一般的である。
しかしながら、Cr濃度とNi濃度の和が12mass%以上で、γ相を晶出もしくは析出(以下、晶/析出という。)して凝固する合金鋼の場合は、鋳型内における凝固シェルの強度が溶鋼静圧に比較して高い。従って、凝固シェルの収縮変形によって凝固シェルが鋳型の4面から離れる変形が生じやすい。この変形は、鋳片横断面における4つのコーナー間の凝固シェル全体が鋳片内側へ凹んで鋳型面から離れる形態をとることが多い。
凝固シェルの横断面において、このような長辺全体或いは短辺全体に亘る変形モードが生じるのは、凝固シェルの強度が溶鋼静圧に比較して高いことに起因する。
このような変形により凝固シェルが鋳型壁面から離れると、鋳片表面に大きな凹凸が生じる。そして、鋳型壁面から離れた凹部の凝固シェルは冷却不足になって再溶解し、内部の溶鋼が染み出すなど、不健全な鋳肌が生じて鋳片の表面品質が悪化する。
このような鋳片の変形を防止するには、鋳型内における鋳片の冷却を緩やかにすること(緩冷却化)が有効であるが、従来は鋳型内の緩冷却化に対する十分な改善は行われていなかった。
鋳型内を緩冷却する方法として、鋳型の表面に断熱性の高い材質を配置する方法(例えば特許文献1)や、溶融したモールドフラックスが鋳型と凝固シェルの間隙に流入して形成するフラックスフィルムの結晶化を促進する方法(例えば特許文献2)が知られている。
しかしながら、特許文献1で開示された、鋳型の表面に断熱性の高い材質を配置する方法は、断熱材料の耐久性が不十分であることや、鋳型壁面に凝固シェルが焼き付き易いという問題があり、実用化することは困難であった。
また、特許文献2で開示された、モールドフラックスを利用した緩冷却化は、単体では効果が不十分であり、緩冷却化を促進しようとしてフラックスフィルムの結晶化を促進し過ぎると潤滑性が悪化する懸念があった。
特開平6−297105号公報 特許第3427804号公報
本発明が解決しようとする問題点は、Cr濃度とNi濃度の和が12mass%以上で、γ相を晶/析出して凝固する合金鋼の連続鋳造時における変形防止には鋳型内の緩冷却化が有効であるが、鋳型表面に断熱材料を配置する方法は実用化が困難であるという点である。また、モールドフラックスを利用した緩冷却化は、単体では効果が不十分で、緩冷却化促進のためにフラックスフィルムの結晶化を促進し過ぎると潤滑性が悪化する懸念があるという点である。
本発明の高合金鋼の連続鋳造方法は、
Cr濃度とNi濃度の和が12mass%以上で、γ相を晶/析出して凝固する合金鋼の連続鋳造時に発生する特有の凝固シェルの変形を防止し、良好な鋳肌の鋳片を得るために、
Cr濃度とNi濃度の和が12mass%以上、35mass%未満で、γ相を晶/析出して凝固する合金鋼を連続鋳造する方法であって、
横断面が円形、或いは円形に近い楕円形又は長円形の鋳型を使用し、
この鋳型に供給する前記合金鋼の液相線温度に対して150℃〜300℃低い結晶化温度のモールドフラックスを使用することを最も主要な特徴としている。
本発明によれば、凝固シェルの強度が高く鋳型内で凝固シェルが大きな変形を生じやすい合金鋼を、良好な表面品質で鋳造することができる。
本発明では、合金鋼の連続鋳造時に、凝固シェルに発生する特有の変形を防止するという目的を、例えば横断面が円形の鋳型を使用し、モールドフラックスの結晶化温度を高合金鋼の液相線温度より150℃〜300℃低いものとすることによって実現した。
以下、本発明について説明する。
本発明の合金鋼の連続鋳造方法は、Cr濃度とNi濃度の和が12mass%以上、35mass%未満で、γ相を晶/析出して凝固する合金鋼を連続鋳造する時に、特有の凝固シェルの変形を防止し、良好な鋳肌の鋳片を得るために、例えば横断面が円形の鋳型を使用し、この鋳型に供給する前記合金鋼の液相線温度に対して150℃〜300℃低い結晶化温度のモールドフラックスを使用することを最も主要な特徴としている。
本発明において、Cr濃度とNi濃度の和が12mass%以上で、γ相を晶/析出して凝固する合金鋼を対象にするのは、CrおよびNi濃度が12mass%以上に高まることに伴って凝固シェルのγ相の強度が上昇することに起因して前述の凝固シェルの大きな変形が生じるからである。
一方、Cr濃度とNi濃度の和が35mass%以上で、γ単相凝固する高合金鋼では、凝固シェルの高温強度が高く、凝固シェルが溶鋼静圧に打ち勝って大きく変形しやすいので、さらに高い結晶化温度のモールドフラックスを用いた鋳型内の緩冷却化が必要である。従って、本発明は、Cr濃度とNi濃度の和が12mass%以上、35mass%未満において適用される。
本発明において、横断面が円形の鋳型を使用するのは、このような鋳型が形成する円環状の凝固シェルは、コーナーを有さないので、前述のような変形モードを生じ難いからである。
モールドフラックスによる緩冷却化に加えて横断面が円形の鋳型を使用することによって、前述の凝固シェルの変形を効果的に防止することが可能となる。
加えて、円環状の凝固シェルは溶鋼静圧による膨らみ変形(バルジング)を生じ難いので、横断面が円形の鋳型を使用すると、鋳型と凝固シェルとの間隙を一定に保ちやすく、フラックスフィルムの厚さ不足に起因する潤滑不良を生じ難いという利点もある。
従って、横断面が円形の鋳型を使用する場合には、フラックスフィルムの結晶化を促進して鋳型内を緩冷却化しても潤滑不良のおそれが小さくなるのである。
本発明において、鋳型に供給する前記合金鋼の液相線温度に対して150℃〜300℃低い結晶化温度のモールドフラックスを使用するのは、以下の理由による。
通常、使用するモールドフラックスの結晶化温度は、鋳造する鋼の液相線温度よりも330℃から450℃程度低く設定される。これよりもモールドフラックスの結晶化温度が高くなると、フラックスフィルム中の液相の厚みが薄くなり過ぎて潤滑性が悪化するからである。
しかしながら、本発明が対象とする合金鋼は、凝固シェルの強度が高いことから鋳型内の摩擦抵抗が多少高まっても凝固シェルの破断は生じ難く、潤滑性に対する要求は通常の炭素鋼のように高くはない。
さらに、横断面が円形の鋳型を使用する場合は、凝固シェルのバルジング変形に伴うフラックスフィルム厚さの減少が生じ難いことも相まって、通常の炭素鋼の連続鋳造ほどは潤滑不良が問題とはならない。従って、モールドフラックスの結晶化温度を高めることができる。
具体的には、鋳造する合金鋼の液相線温度よりもモールドフラックスの結晶化温度が150℃以上低ければ必要な潤滑性が確保される。また、鋳造する合金鋼の液相線温度よりもモールドフラックスの結晶化温度が300℃を超えて低い場合には、必要な鋳型内緩冷却作用が得られず、凝固シェルの成長が不均一になる。鋳造する合金鋼の液相線温度とモールドフラックスの結晶化温度との差のより好ましい範囲は、180℃〜250℃である。
なお、鋳型の横断面形状は、円形に近い楕円あるいは長円形状であっても同等の効果が得られることは言うまでもない。
以上の本発明において、
前記モールドフラックスとして、
その組成は、CaO/SiO2が0.9〜1.7、(MgO+Al2O3)が7〜28mass%、(K2O+Na2O+Li2O)で表される濃度和が8mass%未満、F濃度が7mass%未満であり、
主な結晶としてメリライトを晶/析出し、
結晶化温度が1150℃〜1350℃、
1300℃における粘度が0.2〜1.2Pa・sであるものを使用するのが請求項2に係る発明である。
請求項2に係る発明において、CaOのSiO2に対する濃度比(mass%)を0.9〜1.7としたのは、CaO/SiO2が0.9未満では、溶鋼中のCr等元素によるSiO2の還元が顕著に生じてモールドフラックスの物性が変化してしまうからである。また、CaO/SiO2が1.7を超えると、モールドフラックスの結晶化温度が高くなりすぎるからである。
ここで、CaO濃度は、全てのCa含有組成の濃度をCaOに換算した濃度とする。具体的には、全ての原料中のCaO濃度に加えてCaF2として添加された場合も、そのCa分をCaO濃度に換算して加える。
請求項2に係る発明において、MgOとAl2O3との濃度和を7〜28mass%としたのは、これら濃度和が7mass%未満ではフラックスフィルムの結晶化、すなわちメリライトの晶/析出が不十分となるからである。また、これら濃度和が28mass%を超えると、モールドフラックスの結晶化温度や粘度が高くなりすぎるからである。
請求項2に係る発明において、(K2O+Na2O+Li2O)で表される濃度和が8mass%未満としたのは、これらアルカリ金属酸化物の濃度和が8mass%を超えると、鋳型内のモールドフラックスが焼結しやすくなり不均一溶融を招くからである。
この濃度和のより好ましい範囲は5mass%未満である。この濃度和の下限値は特に規定しないが、原料に含まれる不純分である0.3〜1.5mass%程度が実質的な下限値となる。
請求項2に係る発明において、F濃度を7mass%未満としたのは、F濃度が大きくなると環境汚染程度が悪化するし、7mass%以上になると結晶としてカスピダインが析出しやすくなり、メリライトの晶/析出が不安定となるからである。
F濃度の下限値は特に定めないが、結晶化温度を調整する上で通常は0.5mass%以上添加するので、0.5mass%が実質的な下限値である。F濃度のより好ましい範囲は、1〜5mass%である。
モールドフラックスを上記の組成に調整することによって、溶融時に焼結が生じ難く、フラックスフィルム中に主たる結晶相としてメリライトが晶/析出するモールドフラックスが得られる。
請求項2に係る発明において、結晶化温度を1150〜1350℃としたのは、結晶化温度が1150℃未満ではフラックスフィルム中におけるメリライトの結晶化が不十分となるからである。また、1350℃を超える場合には高融点の原料ばかりを配合することになって鋳型内において溶融不良が生じやすくなるからである。
請求項2に係る発明において、1300℃における粘度を0.2〜1.2Pa・sとしたのは、0.2Pa・s未満では鋳型と凝固シェルとの間隙への流入が不均一になり易いからである。また、1.2Pa・sを超えると鋳型と凝固シェルとの間隙への流入量が減少して潤滑不良が生じやすくなるからである。
粘度が上記範囲になるようなモールドフラックス組成を設計する際に、最も結晶化が安定するのは、メリライトを晶/析出させることである。
また、以上の本発明において、
前記モールドフラックスとして、TiO2を5〜15mass%含有し、
溶融したモールドフラックスが冷却されながら結晶化する際に、初めに晶/析出したペロブスカイトを核にしてメリライトが晶/析出するものを使用するのが請求項3に係る発明である。
請求項3に係る発明のように、TiO2を5〜15mass%含有することによって、単体ではメリライトに比べて高融点で安定したペロブスカイトを最初に晶/析出させることが可能となる。
ペロブスカイトとメリライトとは結晶格子の整合性が高いので、先に晶/析出するペロブスカイトが有効な核となってメリライト結晶の成長が起こり、フラックスフィルム全体においては結晶化速度を高めることができる。結晶化速度の向上は、幅広い冷却速度条件下におかれるフラックスフィルムの結晶化を安定化する効果をもたらす。
なお、ペロブスカイトを核にしてメリライトが晶/析出するとは、必ずしもメリライトの全てがペロブスカイトを核にして晶/析出することを指すのではない。メリライトの一部であってもペロブスカイトを核にして晶/析出すれば該当するものとする。
これは、ペロブスカイトの晶/析出量が少なく、全てのメリライトがペロブスカイトを核にして晶/析出し得ない場合もあるからである。また、結晶の観察によって全てのメリライトがペロブスカイトを核にして晶/析出したことを確定するのは困難だからである。
ここで、モールドフラックスの結晶化温度について説明する。
従来、モールドフラックスの結晶化温度(原子が結晶格子を形成するよう配列する温度)は、冷却に伴って粘度が急上昇する温度である凝固温度(流動性が失われる温度)を用いて評価する方法が広く採用されている。この方法は、1300℃における粘度が0.1Pa・s程度の低粘性モールドフラックスの場合、凝固温度と結晶化温度とは比較的良く一致する。
しかしながら、発明者による検証の結果、1300℃における粘度が本発明のような0.2Pa・sもしくは0.3Pa・s以上の高粘性モールドフラックスの場合、凝固温度に対して結晶化温度が最大数10℃のオーダーで低下することが分かった。従って、凝固温度は結晶化温度の指標としては精度が不十分である。
従来、結晶化温度の測定には上記の熱分析法が用いられてきたが、発熱ピークが不明瞭で結晶化速度の確定が難しいことが多かった。これが、モールドフラックスの結晶化温度を、凝固温度を用いて間接的に評価することが広く行われていた理由であると考えられる。
発明者は、結晶化に伴う発熱がピークとなる温度を結晶化温度とする熱分析法と、結晶化に伴って原子配列の電気的対称性が変化することを利用して電気容量変化から求める方法(材料とプロセスVol.19(2006)No.1,p162)により求めた結晶化速度を比較測定した。その結果、両者による測定値は良く一致した。なお、モールドフラックスの電気容量は、電気容量計に繋いだ1対の金属電極をモールドフラックス中に10〜20mm程度浸漬させることによって測定する。
そこで、発明者は、結晶化に伴って原子配列の電気的対称性が変化することを利用して電気容量変化から求める方法を併用することによって測定精度を上げた結晶化温度を、本発明の請求範囲規定に適用した。なお、本発明における結晶化温度は、冷却速度が2℃/分の条件で測定した。
次に、本発明で規定している結晶について詳述する。
メリライト(Melilite)とは、アケルマナイト(Akermanite:2CaO・MgO・2SiO2:融点1454℃)とゲーレナイト(Gehlenite:2CaO・Al2O3・SiO2: 融点1590℃)との全率固溶体の名称である。本発明では、アケルマナイトからゲーレナイトに到る組成範囲の結晶全てをメリライトと記すこととした。
ペロブスカイト(Perovskite)は、組成がCaO・TiO2と表される融点が1960℃の結晶である。カスピダイン(Cuspidine)は、組成が3CaO・2SiO2・CaF2と表される融点が1410℃の結晶である。
次に、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
本発明方法の実施例を下記表1および下記表2に示す。鋳造実験は、タンディッシュ内の溶鋼温度を1530〜1580℃、鋳造速度を0.6〜2.0m/minの範囲で行った。
表1は、本発明方法の実施に使用した、Cr濃度とNi濃度の和が12mass%以上で、初晶のδ相からγ相を析出する相変態を経て凝固する合金鋼の組成例を示す。表2は、表1に示す合金鋼の連続鋳造に使用した鋳型及びモールドフラックスの仕様を示す。本発明の条件を満足しない比較例を表3に示す。
Figure 0005316879
Figure 0005316879
Figure 0005316879
表2に示すA〜Cは、本発明の実施例である。
このうち、実施例Aは本発明の請求項1のみを満たす例であり、凝固シェルの変形を防止できて表面品質の良い鋳片を得ることができた。実施例Aによって得られた鋳片の表面には、割れや2重肌(溶鋼染出し跡)などの欠陥は見られないものの、オシレーションマークの乱れやディプレッション(局部的な凹み)が散見された。
実施例Bは本発明の請求項1および請求項2を満たす例であり、実施例Aに比べてメリライトを主な結晶として晶/析出するモールドフラックスを用いており、モールドフラックスの粘度が高い。
従って、鋳型と凝固シェルとの間隙へ溶融したモールドフラックスがより均一に流れ込み、凝固シェルの変形を防止できて実施例Aよりもさらに良好な表面品質の鋳片を得ることができた。実施例Bによって得られた鋳片の表面には、割れや2重肌(溶鋼染出し跡)などの欠陥が無く、オシレーションマークの乱れも見られなかったが、若干のディプレッション(局部的な凹み)があった。
実施例Cは本発明の請求項1〜3を全て満たす例であり、実施例Bに比べてペロブスカイトを結晶核としてメリライトが成長するので、フラックスフィルムの結晶化速度が大きく、フラックスフィルム中にメリライトが安定して晶/析出した。
従って、凝固シェルの変形を防止できて実施例Bよりもさらに良好な表面品質の鋳片を得ることができた。実施例Cによって得られた鋳片の表面には、割れや2重肌(溶鋼染出し跡)などの欠陥が無く、オシレーションマークの乱れやディプレッション(局部的な凹み)も見られなかった。
Dは本発明の請求項を満たさない比較例である。この比較例Dは、モールドフラックスの結晶化温度が低過ぎるために、鋳型内の緩冷却作用が不十分で凝固シェルの変形を防止できず、鋳片の表面品質が悪化した。比較例Dによって得られた鋳片の表面には、割れや2重肌(溶鋼染出し跡)などの欠陥や、ディプレッション(局部的な凹み)が発生した。
Eもまた本発明の請求項を満たさない比較例である。この比較例Eも、モールドフラックスの結晶化温度が低過ぎるために、鋳型内の緩冷却作用が不十分で凝固シェルの変形を防止できず、鋳片の表面品質が悪化した。比較例Eによって得られた鋳片の表面にも比較例Dの場合と同様の欠陥が多く見られた。
比較例Eのモールドフラックスは、粘度が比較例Dに比べて高いが、比較例Dに対する表面品質改善効果は見られなかった。このことから、十分な鋳型内緩冷却作用が得られなければ、粘度を高める効果は発現しないと考えられる。
Fも本発明の請求項を満たさない比較例である。この比較例Fは、鋳造する合金鋼の液相線温度に対してモールドフラックスの結晶化温度が高すぎるために、鋳型内の潤滑不良を生じた例である。比較例Fによって得られた鋳片の表面には、潤滑不良に起因する凝固シェルの破断痕(2重肌)が見られた。
なお、比較例Fは、モールドフラックスの結晶化温度が1300℃を超えるので、1300℃における粘度は非常に高く測定が困難なため、表3中に記載していない。
Gも本発明の請求項を満たさない比較例である。この比較例Gは、鋳型断面形状が矩型である点を除いては請求項1〜3の要件を満たしているが、鋳型形状が不適当であるので凝固シェルの変形を防止できず、表面品質が悪化した例である。比較例Gによって得られた鋳片の表面には、2重肌(溶鋼染出し跡)などの欠陥や、ディプレッション(局部的な凹み)が見られた。比較例Gと発明例Cを対比すると、鋳型の横断面を円形状にすることの優位性が明確である。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。たとえば、請求項1と請求項3の要件のみ満たしたものでも良い。

Claims (3)

  1. Cr濃度とNi濃度の和が12mass%以上、35mass%未満で、γ相を晶出もしくは析出して凝固する合金鋼を連続鋳造する方法であって、
    横断面が円形、或いは円形に近い楕円形又は長円形の鋳型を使用し、
    この鋳型に供給する前記合金鋼の液相線温度に対して150℃〜300℃低い結晶化温度のモールドフラックスを使用することを特徴とする合金鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記モールドフラックスの組成は、
    CaO/SiO2が0.9〜1.7、(MgO+Al2O3)が7〜28mass%、(K2O+Na2O+Li2O)で表される濃度和が8mass%未満、F濃度が7mass%未満であり、
    主な結晶としてメリライトを晶出もしくは析出し、
    結晶化温度が1150℃〜1350℃、
    1300℃における粘度が0.2〜1.2Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載の合金鋼の連続鋳造方法。
  3. 前記モールドフラックスは、TiO2を5〜15mass%含有し、
    溶融したモールドフラックスが冷却されながら結晶化する際に、初めに晶出もしくは析出したペロブスカイトを核にしてメリライトが晶出もしくは析出するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の合金鋼の連続鋳造方法。
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