JP4514407B2 - 鋼の連続鋳造用モールドフラックス及び連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造用モールドフラックス及び連続鋳造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、0.1質量%以上のAlを含有する鋼を連続鋳造する際に使用するモールドフラックス、及び、このモールドフラックスを用いた連続鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Al濃度が0.1質量%〜5質量%或いはそれ以上である鋼を連続鋳造する際には、溶鋼中のAlがモールドフラックス中のSiO2 、Na2 O、MnO等によって酸化されるため、鋳型内で溶融したモールドフラックス中のAl23 濃度が大きく上昇する。このAl23 濃度の上昇に伴って、鋳造する鋼の凝固点或いは粘度などの物性が著しく変化するため、鋳型内の潤滑性、鋳片の表面品質が劣化するという問題が生じる。
【0003】
この溶鋼中Alのモールドフラックスによる酸化反応に起因した問題への対策としては、主に次の2点が考えられ、これまで幾つかの方法が開示されている。
(1) Alの酸化反応を抑制し、鋳造する鋼の組成及び物性の変化を小さくする。
(2) Alの酸化反応を許容した上で、その影響を受けにくい初期組成及び物性を選択する。
【0004】
例えば(1) に関しては、溶鋼中Alの酸化剤であるモールドフラックス中のSiO2 濃度を7.0質量%以下に低減することにより、溶鋼中Alの酸化反応を抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−184563号公報(第2頁)
【0006】
しかしながら、前記の特許文献1に記載されているモールドフラックスでは、軟化温度は1200〜1300℃が望ましいと記載されている。従って、モールドフラックスの軟化温度を十分に、例えば1100℃以下まで低下させることが困難であることから、鋳型内の潤滑性が必ずしも十分ではなかった。
【0007】
これに対して、塩基度(CaOに換算されたモールドフラックス中の全CaのSiO2 に対する質量濃度比)を0.6〜0.8、融点を800〜1000℃としたモールドフラックスを使用することで、Al23 濃度が上昇した後においても融点を十分に低下させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
【特許文献2】
特開昭63−10052号公報(第2頁)
【0009】
また、CaO/(Al23 +SiO2 )の質量濃度比を0.7〜0.9にした上で、Na2 O及びFを夫々5〜15質量%、Li2 Oを0〜5質量%とし、融点を1000〜1200℃、1300℃での粘度を2.0ポアズ以下としたモールドフラックスを使用する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0010】
【特許文献3】
特開平9−76049号公報(第2頁)
【0011】
これらの特許文献2,3は前記(2) の対策に関するものである。つまり、これらの特許文献2,3では、モールドフラックスの塩基度が低く、SiO2 或いはNa2 Oの濃度が高いため、Alの酸化反応は余儀なく起こるが、この反応を見越して、融点或いは粘度を予め低下させておくものである。
【0012】
しかしながら、これらの特許文献2,3に記載された先行技術によっても、モールドフラックスの消費量の減少或いは潤滑性の劣化、溶融速度の過剰な増大、鋳型内における抜熱の不安定化、等の弊害は解消できず、鋳造の操業に支障を来したり或いは鋳片の表面品質を悪化させる場合があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、0.1質量%以上のAlを含有する鋼を連続鋳造する際に、安定した操業を維持すると共に、鋳片の表面品質を良好に保つことができる鋼の連続鋳造用モールドフラックス及び連続鋳造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る連続鋳造用モールドフラックスは、溶融後に凝固した際、析出量が最大である結晶組成がメリライトであり、かつ、塩基度が0.3〜1.0、MgO濃度が5〜15質量%、MnO濃度が1〜10質量%、F濃度が5質量%以下であり、1300℃における粘度が0.3〜5ポアズであるような組成としている。
【0015】
そして、このようにすることで、鋳型内においてモールドフラックス中に増加したAl23 がAl23 ・SiO2 ・Na2 O系の結晶を構成して上述の弊害を及ぼす現象を回避できることになり、0.1質量%以上のAlを含有する鋼を連続鋳造する際にも、安定した操業を維持でき、鋳片の表面品質を良好に保つことができるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明者は、上述の先行技術が有する問題を引き起こす原因が以下の現象によることを見出した。
0.1質量%以上のAlを含有する鋼を連続鋳造するに際し、モールドフラックスの塩基度が低く、すなわちSiO2 濃度が高く、かつ、Na2 Oの濃度も高い場合、酸化反応によりAl23 濃度が上昇すると、凝固する際にネフェリン(nepheline :NaAlSiO4 =(1/2)Na2 O・(1/2)Al23 ・SiO2 )等のAl23 ・SiO2 ・Na2 O系の結晶が析出する。
【0017】
SiO2 或いはNa2 Oが、融点を低下させる目的で添加され、鋳型と凝固殻との間隙に流入したモールドフラックスのフィルム(以下、「フラックスフィルム」という。)中において液相或いはガラス相を構成するはずであるにも拘らず、増加したAl23 とそのような結晶を形成した場合、フラックスフィルム中のガラス相或いは液相が確保されなくなる。その結果、モールドフラックス消費量の減少或いは潤滑性の劣化が生じ、溶融層厚みの過剰な増大、鋳型内における抜熱の不安定化等、上述の弊害が起こる。
【0018】
そこで、本発明者は、0.1質量%以上のAlを含有する鋼を連続鋳造する際に、物性の変化が比較的緩やかな低塩基度の範囲において、上述のような、Al23 ・SiO2 ・Na2 O系の結晶が析出しないようなモールドフラックス組成の検討を試みた。その結果、メリライト(melilite)という結晶組成と平衡するようなモールドフラックス組成を選択した場合には、それが可能になることを見出した。
【0019】
本発明に係る0.1質量%以上のAlを含有する鋼の連続鋳造用モールドフラックスは、上記知見に基づいてなされたものであり、溶融後に凝固した際、析出量が最大である結晶組成がメリライトで、かつ、塩基度が0.3〜1.0、MgO濃度が5〜15質量%、MnO濃度が1〜10質量%、F濃度が5質量%以下であり、1300℃における粘度が0.3〜5ポアズであることを特徴とするものである。
【0020】
このメリライトは一般的なモールドフラックスの組成においては析出しない結晶組成である。ちなみに、一般的な組成のモールドフラックスを用いた場合、析出結晶の組成は、カスピダイン(cuspidine :3CaO・2SiO2 ・CaF2 )であり、このカスピダインが一般的なモールドフラックスにおいて最も多く析出する結晶組成である。カスピダインの他には、CaF2 、ネフェリン等が析出する場合があるが、これらは必ず析出する結晶組成ではなく、析出してもカスピダインより少ないのが通常である。
【0021】
本発明において、溶融後の凝固時に析出させようとするメリライトは、異種の結晶組成を有するアケルマナイト(akermanite:2CaO・MgO・2SiO2 )とゲーレナイト(gehlenite :2CaO・SiO2 ・Al23 )とが、互に固溶して構成する単一の結晶組成である。このアケルマナイトとゲーレナイトとは、たまたま整合性がある結晶構造であるため、図1に示すように、同時に析出しても全範囲で一様な固溶体となる。
【0022】
本発明に係るモールドフラックスでは、先ず、アケルマナイトが析出するようにその初期組成を予め調整しておく。その場合、鋳型内でAl23 濃度が上昇しても、モールドフラックスが凝固する際に、Al23 はゲーレナイトを構成する。
【0023】
このアケルマナイトからゲーレナイトへの組成変化を別の観点から考えると、以下の特徴がある。
1) CaOのSiO2 に対するモル比が1から2へ増加する。
2) Al23 濃度が上昇する。
この1)及び2)の変化は、Al含有鋼を連続鋳造する際の鋳型内におけるモールドフラックスの組成変化と同じ傾向である。
【0024】
つまり、鋳型内のモールドフラックスは、溶鋼と下記の反応を起す。
3(SiO2 )+4Al→3Si+2(Al23 ) …▲1▼
この▲1▼式により、モールドフラックスの組成は下記の変化を起す。
a) SiO2 濃度の低下により、塩基度が上昇する。
b) Al23 濃度が上昇する。
このa)は上記1)に、b)は2)に相当する。
【0025】
従って、モールドフラックスの初期組成(反応前の初期組成)をアケルマナイトの析出しやすい組成にしておく本発明では、溶鋼との反応により0.3〜1.0に設定した塩基度が上昇してAl23 濃度が上昇した場合、モールドフラックスの組成はゲーレナイトが析出しやすくなるように推移してゆくが、ゲーレナイトはもともと析出しやすいアケルマナイトと整合して析出し、メリライトという単一な結晶相を形成する。
【0026】
この際、Al23 濃度によってゲーレナイトとアケルマナイトとの比率は変化するものの、これらは互に固溶してメリライトとなるので、メリライトを一つの結晶組成とみれば、Al23 濃度により結晶組成は変化しないということになる。
【0027】
このメリライトを形成する利点は、大きくは以下の2点である。
(イ) Al23 濃度の大きな変化量に拘わらず、フラックスフィルム中の結晶組成が変化しないため、鋳型銅板温度或いは抜熱の変動が抑制され、安定する。
【0028】
(ロ) Na2 O、過剰分のSiO2 等の溶剤的成分がフラックスフィルム中において結晶の析出に関与せず、ガラス相或いは液相として残存、維持されることにより、鋳型内潤滑が保たれる。
【0029】
上記の利点について以下に補足する。
先ず、本発明は、鋳型内溶鋼上に溶融して存在するモールドフラックスの融体物性(粘度、表面張力、凝固点、等)の改善を図るものではなく、モールドフラックスが鋳型と凝固殻との間隙に流入して、そこに形成する、メニスカスから鋳型下端にかけてのフラックスフィルムの性状を改善することを主眼としたものである。
【0030】
(イ) について
フラックスフィルム中の結晶組成が変化する際、或いは、異種の結晶が同時に析出する際、両者間の不整合性に起因して、フラックスフィルムの鋳型側表面に凹凸が大きく生じる、或いは、フラックスフィルムの厚みが不均一になる、という現象が起こると考えられる。この現象が、鋳型銅板温度の変動、或いは、抜熱の不均一化という問題の原因となる。特に、Al含有鋼を鋳造する際には、この問題が顕著になる。これを解決するのが、上記(イ) の利点である。
【0031】
(ロ) について
従来技術において、Al23 濃度が上昇した場合には、モールドフラックス中に溶剤的成分として添加したはずのNa2 O、過剰分のSiO2 とAl23 とが、(配合の意図を裏切り)結晶を構成する。そして、このことに起因してガラス相或いは液相が減少するため、鋳型内潤滑が損なわれるようになる。従って、Na2 O、過剰分のSiO2 等の溶剤的成分が結晶(=固相)となるのを回避し、配合時の目論見通り、ガラス相或いは液相を確保する、ということが、上記(ロ) の利点である。
【0032】
すなわち、本発明のように、析出量の最も多い結晶組成がメリライトである場合には、その析出後に残る過剰分のSiO2 、Na2 O、Li2 O、F(CaF2 或いはNaF) 等の溶剤的な成分は、依然としてガラス相或いは液相として存在するため、潤滑性を確保することができるのである。
【0033】
ここで、析出量とは、凝固組織中の体積率をいう。体積率を評価する基準としては、凝固組織断面における面積率、或いは、X線回折試験における第1ピークの強度を用いることができる。X線回折試験における第1ピークの強度を使用する場合には、モールドフラックスの溶融凝固試料を粉砕した後、X線回折試験に供して第1ピークにおけるX線の回折強度を各結晶について比較し、その強度が最大である結晶組成を析出量が最大であるとする。
【0034】
ところで、本発明の特徴であるメリライトを析出しやすくさせるためのモールドフラックスの初期組成は、以下のように決定することが望ましい。
A)塩基度
塩基度は0.3〜1.0とすることが必要である。0.3未満では、モールドフラックスの粘度が高くなり、適正な範囲に調整することが困難である。一方、1.0を越えた場合は、カスピダイン、CaF2 等、CaOを含有する結晶がメリライトよりも多く析出するようになるため、物性が不安定になるからである。
【0035】
これに対して、塩基度を0.3〜1.0とすると、初期組成においてもAl23 濃度の上昇(酸化還元反応であるので同時にSiO2 が減少して塩基度が上昇)した鋳型内での組成においても、常にメリライトが析出するからである。
【0036】
本発明者の実験によれば、より好ましい範囲は、0.3〜0.8、更には0.4〜0.7の範囲である。これらの範囲内であれば、より広いAl23 濃度範囲においてメリライトの析出が安定するからである。
【0037】
B)MgO
MgO濃度は5〜15質量%とすることが望ましい。モールドフラックス組成をアケルマナイトと平衡させるためである。5質量%未満では効果が小さく、15質量%を越える場合には、メリライト以外の組成の結晶として高融点のAl23 ・MgOが析出するようになり、モールドフラックスの粘度及び凝固点が高くなるからである。更に望ましい範囲は6〜10質量%である。
【0038】
C)Al23
Al23 濃度は15質量%以下とすることが望ましい。15質量%を越えると、鋳造中のAl23 濃度が過度に高くなり、予め添加したMgOと上述のAl23 ・MgOを構成するようになるからである。更に望ましい範囲は10質量%以下である。Al23 濃度の上昇量が少なくないことを考慮すると、その濃度はできるだけ低いほうが良く、不可避的に含有されるAl23 濃度にとどめることが望ましい。
【0039】
D)F
F濃度は5質量%以下とすることが望ましい。5質量%を越えると、カスピダイン、CaF2 等、CaOを含有する結晶がメリライトと競合して析出するため、物性が不安定になるからである。更に望ましい範囲は4質量%以下である。
【0040】
E)Na2
Na2 Oは凝固点を低下させる場合に効果的な成分であり、1〜10質量%の範囲含有させるのが好ましい。1質量%未満では効果が小さいからである。一方、10質量%を越えると、Al23 ・SiO2 ・Na2 O系の結晶が析出するようになるので好ましくない。更に望ましい範囲は、2〜6質量%である。
【0041】
F)Li2 O、K2
Li2 O、K2 Oの好ましい含有量もNa2 Oと同様である。これらのうちの2種類以上を同時に含有するものでも良い。この場合、合計の濃度が1〜15質量%となるようにすることが好ましい。
【0042】
G)その他
nOはSiO2よりも優先的に還元されるため、これを含有させた場合には鋳造中におけるSiO2濃度の変化が小さくなり、物性はより安定するから含有させる。MnO含有は、1〜10質量%とするのが望ましい。1質量%未満の場合は効果が小さく、10質量%を越えた場合はメリライトの析出が安定しなくなるからである。
その他、場合によっては、TiO2、ZrO2、BaO等必要に応じて含有させても良い。
【0043】
H)凝固点、1300℃における粘度
凝固点は800℃〜1200℃の範囲で、各鋳造に応じて適宜調整することが望ましい。また、1300℃における粘度は0.3〜5ポアズに調整することが望ましい。
【0044】
上記の本発明に係るモールドフラックスを用いて、0.1質量%以上のAlを含有する鋼を連続鋳造した場合には、操業状態を安定に維持できるようになって、鋳片の表面品質を良好に保つことができるようになる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施結果について説明する。
表1に示す成分を有する溶鋼240トンを、垂直曲げ型連続鋳造機を用い、下記の条件で鋳造した。鋳造は、ストランド別に異なるモールドフラックスを使用して行った。鋳造に使用したモールドフラックスの主な仕様を表2及び表3に、また、これらのモールドフラックスを溶融凝固させた後に粉砕した粉末試料をX線回折に供し、各結晶の第1ピークにおけるX線回折強度を測定した結果を表4に示す。なお、表2及び表3中の*印は、本発明の範囲を外れたものを示し、また、表2の備考欄には相当する請求項を示す。
【0046】
【表1】
Figure 0004514407
【0047】
(鋳造条件)
鋳型サイズ:幅1230mm、厚み230mm
鋳造速度 :0.9m/分
溶鋼量 :240トン
【0048】
【表2】
Figure 0004514407
【0049】
【表3】
Figure 0004514407
【0050】
【表4】
Figure 0004514407
【0051】
鋳造した結果を下記表5に示す。
表2に示した本発明例を使用して連続鋳造した場合には、溶融後に凝固した際にメリライトが最も多く析出したので、鋳型抜熱の変動が抑制されて、鋳造中の鋳型内におけるモールドフラックス溶融層の厚みは終始15mm±mmで安定して推移し、鋳型の温度変動も小さかった。そして、その結果、良好な鋳片が鋳造され、全量を圧延することが可能であった。
【0052】
一方、表3に示した比較例は、何れも溶融後に凝固した際にメリライトが全く析出しなかったり、析出したとしても極僅かであり、カスピダイン、CaF2 、NaF等が主な結晶組成として析出した。これらを使用した場合には、鋳造中の鋳型内における溶融層の組成変化に起因して、鋳型抜熱の変動が大きく不安定となったり、鋳造途中から溶融層が厚くなって調節が不可能になったりした。
【0053】
例えば比較例a,bでは、鋳造途中から溶融層の厚みが30mm以上となって調節が不可能となり、鋳片を圧延した場合にへげ疵発生のため、鋳片全量のうちの20〜30%が不良となった。
【0054】
また、比較例cでは、鋳型内における抜熱が不安定であったために、銅板温度の変動が大きくなり、ブレイクアウト予知のシステムが誤作動を繰返した。
一方、比較例dは粘度が高すぎるため、また、比較例eは凝固点が高すぎるため、鋳造には使用できなかった。
【0055】
【表5】
Figure 0004514407
【0056】
また、表2及び表3の中で各一例について、反応後の組成における結晶組成を同定した。反応後の試料として2或いは3種類を準備した。それらは、溶融させたモールドフラックスに金属Alを添加してフラックス中のSiO2 と酸化還元反応を起こさせた後に反応容器内でゆっくり冷却させた模擬試料と、実際の鋳造における鋳型内の溶融層を放冷したもの、そして鋳造中における鋳型の下方から採取したフラックスフィルムである。なお、比較例において、鋳型下方のフラックスフィルムは採取できなかった。
【0057】
それらの物性及び成分濃度を下記表6に示す。本発明例のB1とB2或いはB3、比較例のa1とa2とは、略同様の成分濃度であり、模擬試料は実際の鋳型内溶融層を忠実に模擬できたといえる。本発明例と比較例の両方において、反応後の組成は、初期組成に対してAl23 濃度が大きく上昇し、同時に塩基度も上昇した。また、凝固点及び粘度の物性も上昇したが、何れの上昇量も本発明例の方が小さかった。
【0058】
【表6】
Figure 0004514407
【0059】
また、上記表6中に示した各試料の結晶組成を下記表7に示す。本発明例において、初期組成Bと反応後組成B1或いはB2、B3とを比較すると、結晶組成は一定であった。なお、B2は冷却速度が大きく、略ガラス状に凝固したため、X線回折強度が小さかったが、最大の結晶組成はメリライトであった。比較例では、初期組成aに対して反応後組成a1或いはa2では結晶組成が大きく変化し、最大の強度を示す結晶組成も初期組成のCaF2 から反応後試料の(1/2)Na2 O・(1/2)Al23 ・SiO2 (ネフェリン)、或いは、3Na2 O・2Al23 ・4SiO2 等へ変化した。採取できなかった反応後組成a3についても、a1或いはa2と同様と考えられる。
【0060】
【表7】
Figure 0004514407
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、消費量の減少或いは潤滑性の劣化、溶融速度の過剰な増大、鋳型内における抜熱の不安定化等、モールドフラックス中のAl23 濃度の上昇による鋳造への弊害を効果的に防止することができる。そして、その結果、連続鋳造工程の操業状態を安定に維持すると共に、鋳片の表面品質を良好に保つことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アケルマナイトとゲーレナイトの相平衡図である。

Claims (3)

  1. 溶融後に凝固した際、析出量が最大である結晶組成がメリライトであり、かつ、塩基度が0.3〜1.0、MgO濃度が5〜15質量%、MnO濃度が1〜10質量%、F濃度が5質量%以下であり、1300℃における粘度が0.3〜5ポアズであることを特徴とする0.1質量%以上のAlを含有する鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
  2. Al23濃度が15質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の0.1質量%以上のAlを含有する鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
  3. 請求項1又は2に記載のモールドフラックスを用いて、0.1質量%以上のAlを含有する鋼を連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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