JP5126924B2 - 焼却灰からの高純セメント製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は焼却灰からの高純セメント製造法に係り、詳しくは有害物質を含まず水硬性の優れたスラグセメントが焼却灰を還元溶融して得ることができるようにした方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭から出るごみや産業廃棄物さらには下水汚泥といったものは、通常焼却して廃棄される。しかし、最近では資源の再利用が強く望まれるようになってきており、リサイクル可能なものはごみ収集の段階や焼却の前段階で回収される。分別や分離の容易でないものや利用価値の低いものは焼却処理されるが、焼却後に取り出し可能となった金属資源などは可能なかぎり回収される。
【0003】
ところが、焼却灰として残った灰分は元のごみに比べれば大きく減容されているが、それを廃棄できる場所は年々狭まりつつある。近年では、さらに嵩を減らすべく焼却灰を溶融する研究が数多くなされ、得られた溶融スラグを建築や土木資材として利用しようとする動きが活発化している。
【0004】
しかし、一般的には焼却灰に含まれる重金属類を積極的に除去する努力が払われておらず、ガラス状に固化させたスラグの中に重金属を封じ込めるといった程度にとどまる。このようなスラグは例えば路盤材などに使用できなくはないが、当初は安定していても、重金属が含まれているかぎりいずれは溶出するとの不安を拭い去ることができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、焼却灰を土木資材として再利用するにしても、それが路盤材ばかりであれば、その需要はいずれ停滞し低落することになる。そこで、焼却灰を積極的に資源化すべくそれに付加価値を持たせたものを得ようとする努力が多々展開されている。一つはコンクリート用の骨材(砂利)化であり、他はセメント化である。
【0006】
前者は、特開平8−133800号公報や特開平9−156991号公報に記載されているように、焼却灰を還元溶融して生成した無害なスラグの再結晶化によって実現される。後者は、特開平11−189443号公報や特開平11−246247号公報に開示されているように、ポルトランドセメント製造工程を利用してセメントを製造しようとする技術である。
【0007】
ごみや下水汚泥等を焼却した灰からセメントが製造できれば、廃棄物から利用価値の高い商品が得られ、焼却設備の採算もとりやすくなるだけでなく、セメント原料である石灰石の消費も抑えることができて都合がよい。
【0008】
ところで、ポルトランドセメントは、石灰石に粘土を混ぜて焼成し、その焼成物を或る温度まで空冷した後に急冷してクリンカを作り、これを石膏と共に粉砕機にかけて微粉としたものである。上記の特開平11−246247号公報は石灰石の一部を焼却灰に置き替えようとするものであり、焼却灰と石灰石との混合割合を約3:4としている。
【0009】
このようにして得られたセメントには、焼却灰に含まれていた重金属を除去するようにはしているが、ロータリキルン等の焼成装置から出る排ガスに伴われるものがその主であり、溶出試験結果は各種の基準をクリアしているとは言え、セメントには依然として重金属が含まれていることを示唆している。
【0010】
それゆえ、焼却灰をセメント原料に供しようとすることに先鞭をつけたことは評価できるが、少なくとも既製のセメントと同品質のものが得られるとは言いがたい。ところで、焼却灰中の重金属類を除去するには、前掲した特開平9−156991号公報に記載されているように還元溶融するのが最も確実である。しかし、予熱・焼成・粉砕からなる既存のセメント製造設備に還元溶融工程を導入する余地はないといって過言でない。
【0011】
しからば、例えば焼却灰を還元溶融してから粘土と共に石灰石に混ぜて焼成すればよいということになる。焼却灰を還元溶融してセメント原料としての還元スラグを得ようとすると、乾燥・假焼・還元溶融といったごとく、セメント製造プラントに運び込む以前に焼却灰に所要の処理を施しておかなければならず、結局はセメント原料としては極めて高価となり、品質はセメント並みとなっても商品価格の高騰は避けられない。
【0012】
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、焼却灰をセメントに転化するにあたり、重金属類その他の有害物質が含まれないこと、焼却灰を岩石化する場合と同様な乾燥炉や焼成炉さらには電気炉といった主たる設備は既存のものが使用可能となること、焼却灰処理とセメント生成からなる製造の多工程化を回避して安価で良質なセメントとすることができること、を実現した焼却灰からの高純セメント製造法を提供することである。
【0013】
本発明は、焼却灰をセメントに転化するにあたって、ポルトランドセメント化を指向するよりはスラグセメント化を指向する方が焼却灰に含まれる成分構成や組成比率を利用しやすいこと、スラグセメント化させた場合には高炉セメントと何ら遜色のないセメントが得られるとの知見に基いてなされたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ごみや下水汚泥等の焼却灰に石灰等を混合してセメントを製造する方法に適用される。その特徴とするところは、焼却灰乾燥工程,成分調整工程,焼却灰假焼工程,還元溶融工程および水砕処理工程を含む。成分調整工程では、焼却灰乾燥工程で乾燥された焼却灰に図1に示す石灰石9やドロマイト10を、還元溶融工程における溶融スラグのCaO/SiO2 が1.0ない1.4、(CaO+Al23 +MgO)/SiO2 が1.6ないし2.6であり、アケルマナイトとゲーレナイトからなる固溶体としてのメリライトを構成するように添加しておき、さらに假焼を補助するための燃料の石炭粉やコークス11も混ぜておく。
【0015】
焼却灰假焼工程においては、800℃以上に保持された酸化性雰囲気において、焼却灰中の揮発成分や低溶融アルカリ塩化物を焼却しかつ発生ダイオキシンを分解させる。バーナ5aの火炎より炉尻側で還元溶融に必要な石炭粉やコークス11といった還元剤12を投入して炉体の回転により混入させ、假焼物13が排出されるまでの残り時間を使って還元剤を燃焼させることなく揮発分を除去しておく。還元溶融工程では還元剤12を含む假焼物13がホットチャージされ、電気抵抗加熱で還元溶融することにより、残留する鉄系酸化物やその他の金属酸化物の還元滴下で炉底に溶融銑鉄溜まりを形成させ、その上に形成された重金属等を含まないスラグ溶融層の高純スラグ15をスラグ樋7aに取り出す。水砕処理工程ではスラグ樋を移動する高純スラグに冷却水を噴射して急冷し、水硬性は示さないがセメント中のCa(OH)2 と共存させると水和反応が進行して水硬性を発揮するようになる水砕スラグ16を得るようにし、その水砕スラグを粉砕してポルトランドセメントに混合させることである。
【0016】
焼却灰假焼工程におけるダイオキシン分解処理においては、燃焼筒5bなどにおいて假焼炉排ガスを850℃以上の雰囲気に曝し、その後に急冷するようにしておく。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、還元溶融して得られた高純スラグは重金属類や有害物質のない極めてクリーンなスラグであり、かつポルトランドセメントと混合すると高炉セメントに充分匹敵する高純セメントを得ることができる。高純スラグの生成にあたっては焼却灰に含まれるAl2 3 が適度に存在することにより、CaOと必要に応じてMgOを添加すれば、メリライトを生成させることが容易となる。焼却灰をセメント化するにおいてポルトランドセメントのような製造工程を踏む必要がなく、既存の還元溶融設備でもって水硬性の優れた品質の高いスラグセメントを安価に製造することができる。
【0018】
焼却灰假焼工程では石灰石から生石灰を生成できるだけでなく、焼却灰中の揮発成分等を焼却しかつ発生ダイオキシンも分解させ、環境汚染を招くことがなくなる。還元溶融工程では重金属を含まないクリーンなスラグが生成され、重金属の溶出の懸念のないコンクリートを作るセメントを製造することができる。ましてや、假焼炉排ガスを850℃以上の雰囲気に曝しその後に急冷するようにすれば、ダイオキシンの分解は完全なものとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る焼却灰からの高純セメント製造法について、製造設備を表した図面を基にして詳細に説明する。図1は、灰受入設備1,混入物除去設備2,焼却灰乾燥設備3,成分調整設備4,焼却灰加熱設備5,還元溶融設備6,水砕設備7や排ガス処理設備8からなる重金属等を含まない高純スラグの製造フローを示す。
【0020】
灰受入設備1へは、家庭から出たごみ、産業廃棄物や下水汚泥粉を焼却した主灰や飛灰が持ち込まれる。これらの焼却灰は飛散しにくくするために水が掛けられるなどして湿潤状態にある。この焼却灰は混入物除去設備2で磁選機にかけられるなどして屑鉄類が除去されると、焼却灰乾燥設備3であるロータリドライヤに投入される。
【0021】
ロータリドライヤ本体3aには熱風発生炉3bで生成された熱風もしくは後述する電気炉6の排ガスが導入され、ドライヤ内を250ないし300℃にする。焼却灰は水分10%前後に乾燥され、熱交換したガスは多量の水蒸気を含むがダイオキシン含有量は少ないので、このまま排ガス処理設備8へ送られ清浄化される。
【0022】
乾燥された焼却灰は、成分調整設備4において石灰石9やドロマイト10が適宜の量添加され、さらには假焼を補助するための燃料である石炭粉やコークス11も混ぜられる。成分調整された原料は焼却灰加熱設備としてのロータリキルン5に装入され、炉尻に設置のバーナ5aから出て炉頭に向かう火炎の熱と焼却灰と共に持ち込まれた石炭粉等の燃焼熱とによって、炉内全体に醸成された800ないし900℃の均一な温度分布の酸化性雰囲気において假焼される。
【0023】
このロータリキルン5において焼却灰が假焼される間に、焼却灰に含まれていた揮発成分や塩素系化合物は焼却され、その際に発生したダイオキシンも分解される。焼却灰と共に飛灰も投入されている場合には、それに含まれる低溶融アルカリ塩化物も焼却される。同時に、石灰石は假焼されて生石灰CaOとなり、ドロマイトCaMg(CO3 2 からもMgOが生成され、その際に発生したCO2 はキルン排ガスと共に炉頭側に設けた燃焼筒5bを経て排ガス処理設備8に送られる。
【0024】
燃焼筒5bは煙突効果を発揮して炉内ガスの流れが促進されるように立ち上がっており、その下端部には排ガス中のダイオキシンを完全に除却するためのバーナ5cが設けられ、假焼排ガスを850℃以上の雰囲気に曝すことができるようになっている。なお、燃焼筒5bの後には急冷ゾーン5dも設置され、その後にバグフィルタなどによってダストが捕捉される。
【0025】
ロータリキルン5の炉尻側では、排出直前の假焼物に次工程の還元溶融に必要な還元剤12が添加される。還元剤として石炭粉やコークスが使用されるが、これらが燃焼することなくしかしそれに含まれる揮発分を除去しておくためにバーナ5aの火炎よりは炉尻側で投入される。假焼物が排出されるまでの僅かな残り時間のうちに、炉体の回転による假焼物の転動を利用して還元剤を混入しておくことができる。
【0026】
還元溶融設備6としては電気炉が使用される。処理量が少ない場合には小容量の直流電気炉でもよいが、量の多いときは交流電気炉が好適である。いずれにしても、假焼物13がホットチャージされ、炉内の堆積層の下に生成される溶融スラグに到達するまで降ろされた電極14を通じて炉内に広く発生される電気抵抗熱により、1,500℃前後にまで加熱される。
【0027】
電気炉6内で装入物が加熱されると、予め混入されている還元剤によって残留する鉄系酸化物が還元されて堆積層を滴下し、炉底に溶融銑鉄溜まり6aを形成する。その他の金属酸化物も還元され、それらの元素は溶融銑鉄に溶解する。溶融した装入物はスラグと化し、溶融銑鉄溜まり6aの上に重金属等を含まない高純スラグの溶融層6bが形成される。高純スラグ15は溶融銑鉄とは別に取り出され、スラグ樋7aを移動する間に大量の水が噴射され、この水砕設備7において水砕スラグ16ができる。
【0028】
この水砕スラグは、言うまでもなく重金属類その他の有害物質が除去されており、爾後的に溶出するような物質は皆無に等しいクリーンなスラグである。上記の乾燥から還元溶融までの詳細は例えば特開平10−167783号公報に記載され、水砕設備における詳細は例えば特開平8−245243号公報に記載されて公知となっているので、これ以上の説明は省く。
【0029】
以上の説明から分かるように、焼却灰をセメント化するにおいてポルトランドセメントのような製造工程を踏む必要がなく、既存の還元溶融設備でもって品質の高いスラグセメントを安価に製造することができる。
【0030】
このようにしてスラグを生成するにおいて、成分調整段階で添加される石灰石やドロマイトの量が以下のような成分構成となるように調整される。それは、水砕スラグを生成すべく溶製した溶融スラグの塩基度BC =CaO/SiO2 が1.0ない1.4となるようにすることである。それのみならず、BCAM =(CaO+Al2 3 +MgO)/SiO2 が1.6ないし2.6となるようにもしておく。なお、焼却灰によっては、BC =1.0〜1.4の操作をすれば、ドロマイトを添加するまでもなくBCAM =1.6〜2.6となっていることもある。
【0031】
ちなみに、塩基度BC が1.0より大きいということはスラグをアルカリ性にしておくことを意味し、スラグの滓化を早めるうえで必要なからである。一方、塩基度BC を1.4より小さくしているのは、これより塩基度を上げると、アケルマナイトとゲーレナイトからなる固溶体としてのメリライトが構成されなくなるからである。もちろん、BCAM を1.6ないし2.6の範囲としているのも、その範囲外であればもはやメリライトの生成が達成されなくなる率が極めて高くなってしまうからである。
【0032】
以上のことを念頭におくと、下記の表1の(a) の組成を持つ焼却灰の場合に、(d) におけるSiO2 の重量の例えば1.2倍となるようにするためのCaOの量が(e) のように分かる。次に、(f) におけるSiO2 の例えば1.9倍から(f) のCaOの重量とAl2 3 の重量を差し引けば、存在させるべきMgOの量が(g) のように分かる。表1はその一連の処理による結果を簡略化して纏めたものである。
【表1】
Figure 0005126924
【0033】
表1を順に説明すると、(b) は(a) の焼却灰を溶融させたときに得られる溶融スラグの構成である。(c) は(b) のスラグを還元して鉄分を除去したときに得られるスラグの構成であり、(d) は(c) の還元溶融スラグを100%換算したときのスラグの構成である。(e) は(d) のスラグにおけるSiO2 の1.2倍となるCaOを与えた場合のスラグの構成であり、1.2×45.8=55.0となるので、55.0−24.5=30.5のCaOを添加すべきことを教えている。(f) は(e) のスラグを100%換算したときのスラグの構成である。(g) は(f) のスラグにおけるSiO2 の1.9倍となるMgOを与えた場合のスラグの構成であり、1.9×35.1−18.9−42.1=5.7であるので、5.7−3.9=1.8のMgOを添加すべきことが示唆されている。(h) は(g) のスラグを100%換算したときの高純スラグの構成である。
【0034】
これから見ると、高純スラグは最下段に掲げた高炉スラグと極めて類似したものとなっていることが分かる。この高純スラグは多量の水を使用した水砕処理によって急冷すれば、急激な粘性の上昇により結晶するための原子配列が行われないまま凝固し、ガラス質となる。これは構造的に極めて不安定な状態にあり、言い換えれば化学的に活性が高く、すなわち反応性に富む。
【0035】
これを潜在水硬性がある言う。その意味するところは、そのまま水と接触させても水硬性は示さないが、強いアルカリ性雰囲気に置かれると、例えば少量であってもセメント中のCa(OH)2 と共存させると水和反応が急速に進行して水硬性を発揮する。この水砕スラグは、図2に示すアケルマナイトとゲーレナイトからなる固溶体としてのメリライトで構成される。
【0036】
ところで、表1からも分かるように、焼却灰には元来Al2 3 が20%前後含まれ、メリライトの高純スラグを得るにあたって、アルミ灰やボーキサイトなどでAl2 3 を追加するに及ばないこと、CaOと必要に応じて若干のMgOを添加すればメリライトとすることができる程度までSiO2 が含まれていることに注目すべきである。
【0037】
図3の(a),(b),(c)は図2の各縁で見たもので、影の施されたところが固溶体となっている。高純スラグはその域に存在するものであるが、これを三元系状態図で見ると、図4に表されたゲーレナイトと図5のアケルマナイトとを繋ぐ領域に存在することになる。その領域は、図4と図5をSiO2 −CaOの縁線で一致するように重ねて置き、図4のAl2 3 を示した角を平面に置いた図5のMgOを示す角から上方へ離れるように起こして得られる正四面体をもとにすれば容易に想像することができる。
【0038】
図6はCaO−SiO2 −Al2 3 −MgOの四元系におけるAl2 3 を5%のところで切断した状態図であり、図7は10%、図8は15%、図9は20%、図10は25%、図11は30%、図12は35%である。上記したごとく焼却灰はAl2 3 の含有率が高く、それゆえ、焼却灰から得られるメリライトは、一般的に言って図7ないし図11あたりまでである。
【0039】
いずれにしても、重金属類,ダイオキシン発生物質やガス分を含みはするが、Al2 3 を10%以上含むことを常とする焼却灰を還元溶融して有害物質を除去し、その生成された溶融スラグを取り出して水砕すれば、クリーンな高純スラグが得られる。これを粉砕してポルトランドセメントと適宜な量で混ぜれば、高炉セメントと何ら見劣りすることのない高純セメントを得ることができる。
【0040】
高炉セメントの場合と同様に、ポルトランドセメントに混入する高純スラグによって、三種類の高純セメントを得た。そのセメントの物理試験結果は、表2に示すようであった。なお、A種とはポルトランドセメントに高純スラグを5ないし30%混ぜたもの、B種とは30ないし60%、C種とは60ないし70%のものを指している。これらは、いずれも高炉セメントの品質規定(JIS R5211)を満たしたものとなっている。
【表2】
Figure 0005126924
【0041】
高純セメントは水に接すると、その中に含まれているポルトランドセメントの成分が水和反応を起こしPH12.8以上の強アルカリ性を示す。この強いアルカリ刺激によって高純スラグのガラス質を構成している網目構造体のSiO2 の鎖状結合が切断され、CaO,MgO,Al2 3 などが溶出して水和反応が進み、珪酸カルシウム水和物、アルミン酸カルシウム水和物、カルシウムサルホンアルミネート水和物が生成される。このように、高純スラグはアケルマナイトとゲーレナイトの固溶体であるので高炉スラグの場合と同様の挙動を呈し、高純セメントは高炉セメントと何らひけをとらないクリーンで水硬性に優れたセメントとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る焼却灰からの高純セメント製造法を実施するにふさわしい製造設備の構成とその製造フローを示したシステム図。
【図2】 アケルマナイト,ゲーレナイト,スードウォラストナイトの三元系状態図。
【図3】 図2の各縁で見た二元系の相平衡図であり、(a)はゲーレナイトとアケルマナイト、(b)はアケルマナイトとスードウォラストナイト、(c)はスードウォラストナイトとゲーレナイトとについて示す。
【図4】 CaO−SiO2 −Al2 3 の三元系状態図。
【図5】 CaO−SiO2 −MgOの三元系状態図。
【図6】 Al2 3 5%であるときのCaO−SiO2 −MgOの四元系状態図。
【図7】 Al2 3 10%であるときの四元系状態図。
【図8】 Al2 3 15%であるときの四元系状態図。
【図9】 Al2 3 20%であるときの四元系状態図。
【図10】 Al2 3 25%であるときの四元系状態図。
【図11】 Al2 3 30%であるときの四元系状態図。
【図12】 Al2 3 35%であるときの四元系状態図。
【符号の説明】
3…焼却灰乾燥設備、5…焼却灰加熱設備(ロータリキルン)、6…還元溶融設備(電気炉)、6a…溶融銑鉄溜まり、6b…溶融スラグ層、7…水砕設備、7a…スラグ樋、9…石灰石、10…ドロマイト、11…石炭粉やコークス、12…還元剤、13…假焼物、15…高純スラグ、16…水砕スラグ。

Claims (2)

  1. ごみや下水汚泥等の焼却灰に石灰等を混合してセメントを製造する方法において、
    焼却灰乾燥工程,成分調整工程,焼却灰假焼工程,還元溶融工程および水砕処理工程を含み、
    前記成分調整工程では、焼却灰乾燥工程で乾燥された焼却灰に石灰石やドロマイトを、還元溶融工程における溶融スラグのCaO/SiO2 が1.0ない1.4、(CaO+Al23 +MgO)/SiO2 が1.6ないし2.6であり、アケルマナイトとゲーレナイトからなる固溶体としてのメリライトを構成するように添加しておき、さらに假焼を補助するための燃料の石炭粉やコークスも混ぜておき、
    前記焼却灰假焼工程においては、800℃以上に保持された酸化性雰囲気において焼却灰中の揮発成分や低溶融アルカリ塩化物を焼却しかつ発生ダイオキシンを分解させ、バーナ火炎より炉尻側で還元溶融に必要な石炭粉やコークスといった還元剤を投入して炉体の回転により混入させ、假焼物が排出されるまでの残り時間を使って還元剤を燃焼させることなく揮発分を除去しておき、
    前記還元溶融工程では還元剤を含む假焼物がホットチャージされ、電気抵抗加熱で還元溶融することにより、残留する鉄系酸化物やその他の金属酸化物の還元滴下で炉底に溶融銑鉄溜まりを形成させ、その上に形成された重金属等を含まないスラグ溶融層の高純スラグをスラグ樋に取り出し、
    前記水砕処理工程ではスラグ樋を移動する高純スラグに冷却水を噴射して急冷し、水硬性は示さないがセメント中のCa(OH)2 と共存させると水和反応が進行して水硬性を発揮するようになる水砕スラグを得るようにし、該水砕スラグを粉砕してポルトランドセメントに混合するようにしたことを特徴とする焼却灰からの高純セメント製造法。
  2. 前記焼却灰假焼工程におけるダイオキシン分解処理においては、假焼炉排ガスを850℃以上の雰囲気に曝し、その後に急冷するようにしたことを特徴とする請求項1に記載された焼却灰からの高純セメント製造法。
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