JP4446359B2 - 連続鋳造用モールドフラックス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高AlまたはYや希土類元素(以下、REMと称す)などのスラグ還元性金属元素を含有する鋼を連続鋳造する際に、連続鋳造中にモールドフラックスの潤滑不良に起因する鋳片表面品質の劣化防止や、ブレークアウトの防止に効果的な連続鋳造用モールドフラックス(以下、単にフラックスと称す)に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に鋼の連続鋳造においては、溶鋼の酸化防止及び鋳型と凝固シェル間の潤滑のために、CaO、SiO2 を主成分とし、溶媒剤としてNa2 O、K2 O、CaF2 、NaF、KF、AlF3 等に炭素粉を添加したものを用いている。
しかし、これらのフラックスを用いて、例えば高Al含有鋼の連続鋳造を行うと、フラックス中のSiO2 と溶鋼中のAlとが下記(1)式のごとき反応を起こし、反応によって生成した生成物がモールド内の表面に浮上している溶融フラックス中に取り込まれる。
4Al+3SiO2 →2Al23 +3Si ・・・・(1)
【0003】
これによって溶融パウダーの組成が2CaO・Al23 ・SiO2 (ゲーレナイト)を析出し易い成分に変化し、スラグベアーが発生し易くなり、該フラックスの重要な物性である粘度や溶融温度が上昇する。この結果、鋳片表面の縦割れ、横割れの多発、鋳片内質の劣化、潤滑不良によるブレークアウト等の鋳造事故が発生する。
【0004】
このようなスラグ還元性金属元素含有鋼の鋳造に際しての問題点を解決するために、特公昭63−56019号には高Al含有鋼におけるAlの酸化による汚染を防止するために、SiO2 を7.0重量%以下に規制する技術が開示されている。しかしながら、上記公報に開示されているフラックスでは、Al23 の生成を十分に抑制することはできず、フラックスの粘性が極めて不安定であり、フラックスの均一流入が不良となる欠点がある。
【0005】
また、特開平5−185195号公報には、Al、Ti、REMなどのスラグ還元性金属元素を含有する鋼の連続鋳造におけるフラックスの潤滑不良に起因する鋳片表面品質の劣化や、ブレークアウトの防止のために、CaO:10.0〜35.0wt%、Al23 :10.0〜35.0wt%、TiO2 :3.0〜15.0wt%、Li2 O:3.0〜20.0wt%、BaO:5.0〜40.0wt%、MgO:10.0wt%以下、F- :15.0wt%以下、Na2 O:20.0wt%以下を含有し、さらに骨剤としてBN:0.5〜4.0wt%、C:0.5〜4.0wt%のうちの1種以上を含有せしめたSiO2 を含まないフラックスが開示されている。
【0006】
ところが、該公報に開示されているフラックスには、TiO2 、Li2 O、Na2 Oが多量に含有されているため、これらの化合物ですら還元され、Al23 の生成を十分に抑制することができず、粘性を不安定にすると共にフラックス融点を降下する特性が半減され、目的とする効果を得ることができないという欠点があることが判った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明において解決すべき課題は、上記従来の高Al等のフラックス還元性金属元素を含有する鋼の連続鋳造に際しての問題点を解消し、鋳造用フラックスとしての溶湯の酸化と、溶鋼変質と、さらに鋳造でのフラックス潤滑機能の低下による鋳造事故および表面欠損を防止する連続鋳造法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、連続鋳造用フラックスとして下記組成を有するところにある。
(1) 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有せしめ、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制した連続鋳造用モールドフラックス。
(2) 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これに加えてLiFを5.0wt%以下含有せしめ、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有し、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制した連続鋳造用モールドフラックス。
【0009】
(3) 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、さらにMgO:10.0wt%以下に規制し、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有せしめ、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制した連続鋳造用モールドフラックス。
(4) 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これに加えてLiFを5.0wt%以下含有せしめ、さらにMgO:10.0wt%以下を含み、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有し、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制した連続鋳造用モールドフラックス。
【0010】
(5) 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これに加えてLiFを5.0wt%以下含有せしめ、さらにLiO+NaO:4.0wt%以下に規制し、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有し、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制した連続鋳造用モールドフラックス。
(6) 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これに加えてLiF:5.0wt%以下含有せしめ、さらにLiO+NaO:4.0wt%以下に規制し、さらにMgO:10.0wt%以下に規制し、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下に含有し、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制した連続鋳造用モールドフラックス。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは上記した如く、フラックス中のSiO2 が溶鋼中のAl等のスラグ還元性金属により還元されるので、極力SiO2 を少なくしたフラックスの開発を試み、種々の実験研究を重ねた結果、CaO−Al23 −SrO系フラックス組成にFを適量添加したフラックスが優れた効果を発揮するとの知見を得た。
【0012】
そこで本発明者らはフラックスの組成として、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有せしめると共に、極力SiOの低減を図り不可避的に原料中から混入するものであってもその量を2.0wt%以下に規制し、必要に応じてLiF、MgO、LiO、NaOを含有した連続鋳造用モールドフラックスを開発した。
【0013】
フラックス中のSiO2 の役目は、低融点化とガラス化の促進であるが、SiO2 を多量に含有していると、フラックス中のAl23 が前記(1)式の反応によって増加し、高融点の2CaO・Al23 ・SiO2 (ゲーレナイト)を生成する。これに対してSiO2 の代わりにSrOを10.0〜25.0wt%、Fを5.0〜20.0wt%添加した本発明にかかるフラックスは実用的な潤滑性を確保することができ、溶融フラックス成分の変化がないため安定した鋳造を行うことができる。
しかし、CaO−Al23 系の基本組成のフラックスに、Fのみを含有させても凝固温度が高いため潤滑不良となり、ブレークアウトを惹起する惧れがある。従って、本発明で規制したような成分系を確保する必要がある。
【0014】
次に上記した本発明におけるフラックスにおいて、それぞれの成分範囲を限定した理由について以下に説明する。
基本成分はCaO−Al23 −SrO系とし、CaOはフラックスの所定物性を付与するために25.0〜45.0wt%必要とし、25.0wt%未満ではフラックス特性のうち、特に所定の粘度を得ることができなくなり、45.0wt%を超えると溶融温度が高くなり、潤滑不良となり好ましくない。
【0015】
Alは本発明成分系においては10.0wt%未満であっても、また25.0wt%を超えてもフラックスの溶融温度が高くなる。また鋳片の肌荒れや縦割れ、スラグベアの生成などの点から特に好ましいのは17.0wt%以下であるので、10.0〜17.0wt%の範囲に限定した。
SrOは10.0wt%未満であるとフラックスの粘度が高くなり、また25.0wt%を超えると溶融温度が高くなるのでその適正範囲は10.0wt%から25.0wt%の範囲である。
しかして、これら前記成分を総量で55.0〜85.0wt%の範囲内に収める必要がある。これを主成分系としたフラックスにおいて、さらにFを適量添加するもので、その量は10.0〜20.0wt%の範囲である。
【0016】
Fを5.0wt%未満にするとフラックス粘度が高くなり好ましくなく、逆に20.0wt%を超えて添加すると煙の発生および連鋳マシンの設備腐食を助長する恐れがあり、好ましい範囲としては前述した通りである。
また、このフラックスに溶融速度調整剤として炭素を使用するが、その量は10.0wt%以下であり、その添加量が10.0wt%を超えるとフラックスの溶融速度が遅くなり、溶融フラックスの生成が困難となるため、溶融フラックスによる潤滑が不可能となり、鋳片品質の低下あるいはブレークアウト等の発生により鋳造作業に支障をきたすので、10.0wt%以下で充分である。
【0017】
さらに前述したように、フラックス中のSiO2 は好ましいものではないので、本発明フラックスではSiO2 の混入は極力抑えた方がよいが、SiO2 を皆無にするためには、SiO2 が不純物として入っていない原料を使用しなくてはならずコストアップに繋がり、それに要しただけの効果が期待できない。
そこで本発明においては、フラックスの製造過程で原料中から不可避的に混入するSiO2 量を2.0wt%以下に限定することにより初期の効果を充分得ることができるので、徒らに低減する必要はなく前記含有量までは許容できる。
【0018】
LiFは、Li2 Oのように、AlやREMの酸化物を生成しないということを発見した。よって、これらの組成をもつフラックスに、LiFを必要に応じて5.0wt%以下添加することができ、この量の添加で充分な粘度の低下及び低融点の特性を付加することができる。また、溶鋼中のAlやY、REMによって還元される、Li2 O+Na2 Oを添加することができ、その量は4.0wt%まで許容できる。
フラックス中へのMgOの添加もSrOの存在下では10.0wt%以下の範囲であれば許容することができ、若干の低粘度、低融点化が期待できる。
【0019】
【実施例】
以下本発明の効果を実施例に基づいて説明する。
表1は本発明の特性を有するフラックスの組成を示したもので、表1に示されたフラックスを用いて高Al含有鋼、Y含有鋼、REM含有鋼を連続鋳造した結果を表2に示した。なお比較のために従来のフラックス組成とそのフラックスを用いて前記鋼を鋳造した結果も同時に示した。
【0020】
【表1】
Figure 0004446359
【0021】
【表2】
Figure 0004446359
【0022】
表2から明らかなように本発明フラックスを使用して鋳造した実施番号1〜13は鋳造でのブレークアウトの発生もなく、また鋳片の縦割れの発生も皆無であり、鋳片の肌荒れについてはフラックス、鋼種により若干の差異はあるが、概ね良好であった。これに対し、比較例のフラックスを用いた実施番号14〜18のうち、実施番号15〜18はSrOを含有せず本発明の制限を超えるSiO を含有するフラックスを使用しており、鋳造中にブレークアウトを発生するものもあり、また鋳片の縦割れ、肌荒れ等についても良好な結果は得られず、不良品の発生が増えていた。また実施番号14のフラックスはSrOを含有しておりSiO も本発明の範囲内のものであるが、Al が本発明の範囲より多いものであって、鋳片肌荒れ、鋳片縦割れ、スラグベアのいずれの項目にも◎が無く、やや劣る結果になった。
【0023】
【発明の効果】
本発明のフラックスを用いることにより、高Al含有鋼、Y含有鋼、REM含有鋼等のスラグ還元性金属元素を含む鋼の鋳造において、スラグベアの発生を抑制し、ブレークアウトの発生もなく安定操業が可能となり、鋳造された鋳片表面には縦割れもなく、表面性状も改善され、かつ鋳片内質も良好な鋳片を製造することができ、従来のものと比べて、操業性に加えて歩留りも著しく向上する。

Claims (6)

  1. 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有せしめ、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制したことを特徴とする連続鋳造用モールドフラックス。
  2. 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これに加えてLiFを5.0wt%以下含有せしめ、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有し、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制したことを特徴とする連続鋳造用モールドフラックス。
  3. 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、さらにMgO:10.0wt%以下に規制し、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有せしめ、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制したことを特徴とする連続鋳造用モールドフラックス。
  4. 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これに加えてLiFを5.0wt%以下含有せしめ、さらにMgO:10.0wt%以下を含み、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有し、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制したことを特徴とする連続鋳造用モールドフラックス。
  5. 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これに加えてLiFを5.0wt%以下含有せしめ、さらにLiO+NaO:4.0wt%以下に規制し、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下含有し、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制したことを特徴とする連続鋳造用モールドフラックス。
  6. 高Al、Yまたは希土類元素を含有する鋼に使用する連続鋳造用モールドフラックスにおいて、CaO:25.0〜45.0wt%、Al:10.0〜17.0wt%、SrO:10.0〜25.0wt%とし、これらが総量で55.0〜85.0wt%からなり、かつこれにF:5.0〜20.0wt%を含み、これに加えてLiF:5.0wt%以下含有せしめ、さらにLiO+NaO:4.0wt%以下に規制し、さらにMgO:10.0wt%以下に規制し、これらの主成分に溶融速度調整剤として炭素を10.0wt%以下に含有し、その他原料中から混入する不可避的組成を含み、該不可避的組成から混入するSiOを2.0wt%以下に規制したことを特徴とする連続鋳造用モールドフラックス。
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