JPH0647585A - 鉄筋類の開先合わせ治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 既設の立上り鉄筋に、新たな鉄筋を継ぎ足
し、溶接により継手溶接を行う場合に、双方の鉄筋同士
の芯合わせと、ルート間隔の調整機能をもった開先合わ
せ治具を提供すること。 【構成】 円筒状の筐体１１と、ねじ溝１２ａを有する
シャフト１２と、シャフト１２に螺合する回転子１２ｂ
と、上下２本のアーム１３および１４と、さらに上部鉄
筋把持金具１５および下部鉄筋把持金具１６をもって構
成したことにある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ＲＣ積層工法等によ
って構築される鉄筋コンクリート構造物における鉄筋類
の開先合わせ治具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のようにＲＣ積層工法等によって鉄
筋コンクリート構造物を構築する場合は、既に立設固定
されている複数本の立上り鉄筋の上に、新たな鉄筋を継
ぎ足し、継ぎ足しの終了したところでコンリートを打設
し、以下この作業を繰り返しながら積層して構築するも
のである。すなわち既設の立上り鉄筋に、継ぎ足すべき
鉄筋を芯合わせするとともに、突合わせ間隔、すなわち
ルート間隔を調整して仮組みし、しかるのち溶接作業を
行い既設立上り鉄筋に新たな鉄筋を継ぎ足すようにして
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、既設立上り
鉄筋と継ぎ足すべき鉄筋との双方鉄筋同士の芯合わせ
と、ルート間隔の調整は、その鉄筋が非常に剛性が高い
こと、しかも本数が多いこともあって、これらの鉄筋の
１本１本を手作業で調芯したり、ルート間隔の調整を行
うことは、きわめて困難で手間の掛る作業である。その
ため数多くの鉄筋の継ぎ足しを必要とするＲＣ積層工法
等においては、大きな技術的課題となっていた。

【０００４】この発明は、上記技術的課題を解決する鉄
筋類の開先合わせ治具を提供することを目的として開発
したものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する手段
として本発明は、複数本の既設立上り鉄筋に、それぞれ
新たな鉄筋を突合わせ継手により溶接接合するにあた
り、継ぎ足すべき鉄筋の複数本をあらかじめ既設立上り
鉄筋の配列に対応させて先組みし、先組みした鉄筋を前
記既設立上り鉄筋上に吊り込むとともに、吊り込んだ鉄
筋の下端部と既設立上り鉄筋の上端部との間に、次のよ
うに構成した開先合わせ治具を固着し、この開先合わせ
治具により既設鉄筋と継ぎ足すべき鉄筋との芯合わせと
ルート間隔との調整を行うようにしたことにある。

【０００６】まず、開先合わせ治具本体は、円筒状の筐
体と、ねじ溝を有するシャフトと、このシャフトに螺合
する回転子と、２本のアームと、さらに上部鉄筋把持金
具と下部鉄筋把持金具とをもって構成した。そして、前
記筐体の側面には縦方向の窓穴を設け、前記シャフト
は、この筐体内に鉛直方向に、かつ回転自在に支持し、
その上端部にはレバー形式の回転操作ハンドルを取り付
ける取付部を設けた。

【０００７】つぎに前記２本のアームのうち１本は、基
端部を前記筐体の窓穴を通して前記シャフトに螺合させ
た回転子に固着し、もう１本のアームは、同じく基端部
を筐体の下部に固着してそれぞれ水平方向に張り出し
た。

【０００８】また、前記上部鉄筋把持金具は、前記回転
子に固着したアームの先端部に取り付けた。しかも、そ
の上部鉄筋把持金具自体は、上下方向に貫通する鉄筋挿
通窓を形成した四辺形のブロック体をもって構成すると
ともに、ブロック体の四辺の側壁に、それぞれブロック
体の中心に向けて出入できる鉄筋調芯のための調整ボル
トを装備させ、この四辺の調整ボルトを用いて継ぎ足す
べき鉄筋をブロック体内にて締着ロックするように構成
した。

【０００９】そして四辺の各調整ボルトのブロック体内
への突出量を調整することにより、締着ロックする鉄筋
の軸心位置を水平方向に調節できるようにした。なお、
前記四辺の側壁のうち一側壁部はブッロク体に対して着
脱自在な構成とした。

【００１０】次に下部鉄筋把持金具は、前記筐体の下部
に固着したアームの先端部に取り付け、平面がＵ字形を
呈する把持溝を備えたクランプ金具の構造とした。しか
も、その把持溝の中心は、前記上部鉄筋把持金具を構成
するブロック体の中心を通る鉛直線と一致するようにし
て取り付け、全体を開先合わせ治具に構成した。

【００１１】

【作用】開先合わせ治具として使用する場合は、まず上
部鉄筋把持金具を構成するブロック体の四辺における着
脱自在の一側壁部を取り外して、上下方向に貫通する鉄
筋挿通窓内に継ぎ足すべき鉄筋を通したのち、前記取り
外した１側壁部をブロック取り付け固着するとともに、
下部鉄筋把持金具を既設立上り鉄筋にクランプさせる。
そして前記上部鉄筋把持金具におけるブロック体の四辺
に設けた４本の調整ボルトにより、継ぎ足すべき鉄筋を
締着してブロック体内にロックさせる。

【００１２】その際、各調整ボルトは、ブロック体内へ
の突出量を調整できるので、各調整ボルトの突出量を加
減することにより、鉄筋の軸心位置を水平方向に微調整
する。すなわち、この４本の調整ボルトを用いて、継ぎ
足すべき鉄筋の軸心を既設立上り鉄筋の軸心に芯合わせ
する。芯合わせ作業が終了すると、シャフトの上端部に
設けた回転操作ハンドルの取付部に、ハンドルを取り付
けてシャフトを回転操作する。回転操作すれば、回転子
がそれにともなって上下する。つまりアームを介して上
部鉄筋把持金具が鉛直方向に上下する。

【００１３】その結果、その上下量を調節することによ
って、すなわちシャフトを左右いずれかに回転させれば
既設立上り鉄筋と継ぎ足すべき鉄筋とのルート間隔を調
節することができる。

【００１４】

【実施例】次に、図面に示す実施例に基づいて、本発明
による鉄筋類の開先合わせ治具の構成を具体的に説明す
る。まず、第１図は、複数本の既設立上り鉄筋１０１，
１０１…上に継ぎ足すべき鉄筋１，１…を先組み治具２
を用いて先組みし、重機を用いて現場に搬入し、既設立
上り鉄筋１０１，１０１…上に吊り込むとともに、対応
する鉄筋１０１，１０１…１，１…間に開先合わせ治具
Ａ，Ａ…を組み付けた側面図である。

【００１５】なお、前記先組み治具２は、継ぎ足すべき
鉄筋１，１…の上端部附近に組み付ける上部治具２ａと
下端部附近に組み付ける下部治具２ｂの一対をもって構
成し、それぞれ複数本の鉄筋１，１…継ぎ足すべき既設
立上り鉄筋１０１，１０１…の配列に対応させて先組み
することができる構造とした。

【００１６】第２図は、開先合わせ治具Ａの構造を示す
斜視図である。さらに第３図はその使用状態を示す縦断
側面図である。開先合わせ治具Ａ本体は、第２図および
第３図で示すように、円筒状の筐体１１と、ねじ溝１２
ａを有するシャフト１２と、シャフト１２に螺合する回
転子１２ｂと、上下２本のアーム１３および１４と、さ
らに上部鉄筋把持金具１５および下部鉄筋把持金具１６
をもって構成した。

【００１７】次に、これら部材による治具としての構成
を具体的に説明すると、まず前記筐体１１の側面に縦方
向の窓穴１１ａを設け、シャフト１２は筐体１１内に鉛
直方向に、かつ回転自在にして支持させた。さらに筐体
１１の上端に突出した前記シャフトの上端部には、図面
上には表示していないが、レバー形式の回転操作ハンド
ルのボスを嵌合する取付部１２ｃを突出させ、これにハ
ンドル（図示せず）を嵌め前記シャフト１２を回転操作
できる構成とした。

【００１８】次に、上部のアーム１３は、基端部を前記
シャフト１２に螺合させた回転子１２ｂに窓穴１１ａを
通して固着し、先端部に上部鉄筋把持金具１５を取り付
けた。下部のアーム１４は、同じく基端部を筐体１１の
下部に固着し、先端部に下部鉄筋把持金具１６を取り付
けた。なお、実施例で前記上部のアーム１３および下部
のアーム１４はＬ形アームを使用し、筐体１１の側方に
水平に張り出した形で取り付けた。

【００１９】上部鉄筋把持金具１５は、第２図で示すよ
うに、上下方向に貫通する鉄筋挿通窓１５ａを形成した
四辺形のブロック体１５ｂをもって構成し、このブロッ
ク体１５ｂの四辺にそれぞれ鉄筋を締着ロックする４本
の調整ボルト１５ｃを取り付け、この４本の調整ボルト
１５ｃをもって鉄筋１を把持するとともに、その軸心位
置を前後左右水平方向に調整できるように構成した。

【００２０】さらに前記ブロック体１５ｂの四辺を形成
する側壁１５ｂ−１（第２図において右側）は、このブ
ロック体１５ｂに対し着脱自在に構成した。すなわちキ
ャップ状に構成し、側方に抜き取った状態で鉄筋１をブ
ロック体１５ｂの内部に挿入し、しかるのちキャップし
て固定させ、鉄筋１をロックするように構成した。

【００２１】下部鉄筋把持金具１６は、第２図で示すよ
うに平面Ｕ字形の鉄筋把持溝１６ａを有する金具で構成
し、この鉄筋把持溝１６ａ内に鉄筋１０１を通し、ロッ
クボルト１６ｂをもってその鉄筋１０１を締着するクラ
ンプ形式の把持金具１６に構成した。なお、前記上部鉄
筋把持金具１５の中心と下部鉄筋把持金具１６の中心と
は、同一鉛直線上にあるようにしてそれぞれ上部のアー
ム１３および下部のアーム１４に取り付け、全体を開先
合わせ治具に構成した。

【００２２】開先合わせを行う場合は、第１図で示すよ
うに既設立上り鉄筋１０１，１０１…上に吊り込んだ継
ぎ足すべき鉄筋１，１…の下端部と、対応する既設立上
り鉄筋１０１の上端部に、前記開先合わせ治具Ａを組み
付けて使用すればよい。すなわち治具Ａにおける下部鉄
筋把持金具１６を既設立上り鉄筋にクランプさせるとと
もに、上部鉄筋把持金具１５の鉄筋挿通窓１５ａに継ぎ
足すべき鉄筋１の下端部をまず挿通させる。

【００２３】その際、上部鉄筋把持金具１５を構成する
ブロック体１５ｂにおける右側のキャップ状に形成した
側壁１５ｂ−１は一旦取り外し、その状態で継ぎ足すべ
き鉄筋１を通したのちに被せ固着させる。

【００２４】以上の作業が終了すると、まずこの上部鉄
筋把持金具１５における４本の調整ボルト１５ｃを用い
て継ぎ足すべき鉄筋１の軸心を左右前後水平方向に調芯
し、下部鉄筋把持金具１６にクランプされた前記既設立
上り鉄筋１０１の軸心との芯合わせ作業を行う。

【００２５】双方の鉄筋１０１および１の調芯作業が終
了すると、次にシャフト１２のヘッドに設けた取付部１
２ｃにレバー形式の回転作ハンドル（図示せず）を取り
付けてシャフト１２を回転操作する。すると、シャフト
１２に螺合した回転子１２ｂおよびアーム１３を介して
上部鉄筋把持金具１５が上下方向に移動する。すなわち
継ぎ足すべき鉄筋が上下方向に移動する。したがって、
シャフト１２の回転を適宜調整すれば、既設立上り鉄筋
１０１と継ぎ足すべき鉄筋１とのルート間隔を調節する
ことができる。

【００２６】

【発明の効果】この発明による鉄筋類の開先合わせ治具
は、以上説明したように、まず継ぎ足すべき鉄筋の複数
本を先組治具により先組して、既設立上り鉄筋上に吊り
込み、継ぎ足すべき鉄筋同志を対応させ、しかるのち個
々の鉄筋同志の芯合わせと、ルート間隔の調整を開先合
わせ治具により、調整するようにしたので、従来の開先
合わせ作業に比較し、次のような効果が発揮される。 （１）鉄筋継ぎ足し作業時間が、飛躍的に短縮される。 （２）既設立上り鉄筋に対する継ぎ足すべき鉄筋の芯合
わせおよびルート間隔の調整が、手動によって行われる
ので、作業の手間はもちろん、その精度が向上し、きわ
めて品質の高い溶接継手を保持でき、その結果継手品質
の高い鉄筋構造物を構築することができる。 （３）特に鉄筋継ぎ足しにおける先組みと先組み後の開
先合わせ作業の効率化と精度向上は、ＲＣ積層工法等多
数本の鉄筋を使用したコンクリート構造物の構築技術の
向上に大きく貢献することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による鉄筋類の開先合わせ治具の実施例
を示すもので、継ぎ足すべき鉄筋の複数本を先組みし、
既設立上り鉄筋上に吊り込むとともに、開先合わせ治具
を組み付けた状態を示す側面図である。

【図２】開先合わせ治具の構造を示す斜視図である。

【図３】一部を縦断して示す側面図である。

【符号の説明】

１０１…既設立り鉄筋、１…継ぎ足すべき鉄筋、２…先
組治具、 ２ａ…上部治具、２ｂ…下部治具、Ａ
…開先合わせ治具（手動式）、１１…筐体、
１１ａ…窓孔、１２…シャフト、 １２ａ…ねじ
溝、１２ｂ…回転子、１２ｃ…操作ハンドルの取付部、
１３，１４…アーム、１５…上部鉄筋把持金具、１５ａ
…鉄筋挿通窓、 １５ｂ…ブロック体、１５ｃ…調整ボ
ルト、１６…下部鉄筋把持金具、１６ａ…鉄筋把持溝、
１６ｂ…ロックボルト、Ｂ…開先合わせ治具（油圧
式）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 義道 神奈川県平塚市徳延386−８ (72)発明者 厚坂 良一 神奈川県平塚市片岡765

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数本の既設立上り鉄筋に、それぞれ新
   たな鉄筋を突合わせ継手により溶接接合するにあたり、
   継ぎ足すべき鉄筋の複数本をあらかじめ前記既設立上り
   鉄筋の配列に対応させて先組みし、先組みした鉄筋を前
   記既設立上り鉄筋上に吊り込むとともに、この既設立上
   り鉄筋の上端部と、前記継ぎ足すべき鉄筋の下端部に組
   み付けて前記継ぎ足すべき鉄筋の下端部を既設立上り鉄
   筋と継ぎ足すべき鉄筋との芯合わせと、ルート間隔の調
   整を行う鉄筋類の開先合わせ治具であって、 円筒状の筐体と、ねじ溝を有するシャフトと、このシャ
   フトに螺合する回転子と、２本のアームと、上部鉄筋把
   持金具と下部鉄筋把持金具からなり前記筐体は側面に継
   方向の窓穴を備え、 前記シャフトは筐体内に鉛直に、かつ回転自在に支持さ
   れ、上端部には回転操作ハンドルの取付部を有し、 前記アームの１本は、基端部を前記筐体の窓穴を通じて
   シャフトの回転子に固着して水平に張り出され、もう１
   本のアームは、同じく基端部を筐体の下部に固着して水
   平に張り出され、 前記上部鉄筋把持金具は、前記回転子に固着したアーム
   の先端部に取り付け、上下方向に貫通する鉄筋挿通窓を
   形成した四辺形のブロック体からなり、四辺の側壁には
   ブロック体の中心に向けて出入する鉄筋調芯のための調
   整ボルトが装備され、かつ前記四辺の側壁の一側壁は、
   ブロック体に対して着脱自在であり、 前記下部鉄筋把持金具は、前記筐体の下部に固着したア
   ームの先端部に取り付けられ、平面がＵ字形を呈する把
   持溝を有し、把持溝の中心は前記上部鉄筋把持金具にお
   けるブロック体の中心を通る鉛直線と一致させてあるこ
   とを特徴とする鉄筋類の開先合わせ治具。