JPH0642294Y2

JPH0642294Y2 - カード式運賃精算装置

Info

Publication number: JPH0642294Y2
Application number: JP1988118097U
Authority: JP
Inventors: 一雄布施; 雅春安達; 晴夫長野
Original assignee: 株式会社三陽電機製作所
Priority date: 1987-12-02
Filing date: 1988-09-07
Publication date: 1994-11-02
Anticipated expiration: 2003-09-07
Also published as: JPH026373U

Description

【考案の詳細な説明】「産業上の利用分野」この考案は多区間運賃制の路線バスに用いられ、利用金
額情報が記憶されたカード式乗車券で乗継精算を可能に
したカード式運賃精算装置に関する。

「従来の技術」路線バスでは、鉄道に比べ路線が複雑になっており、特
に多区間運賃路線の運行では、運賃精算を円滑に行うた
めに、整理券発行器、デジタル運賃表示器、運賃箱等が
活用されている。

すなわち利用客は乗車地で整理券を取り、降車地では整
理券に印字された乗車区間をもとにデジタル運賃表示器
に表示された運賃表から運賃を判断し、そして運賃（現
金あるいは回数券）を運賃箱に投入している。

従来路線バスの乗継運行は、前記した様に路線が大変複
雑であるために、均一路線の一部で行われているのみ
で、多区間路線ではほとんど実施されていない。

最近の鉄道、電話でのキャッシュレスカードの普及とと
もに、路線バスでもカード化の導入が始った。このカー
ドの一層の利用を普及させるために、カードの前金購入
の効果を利用者に還元する一つの案として乗継割引制度
の導入がある。

この考案は、多区間運賃形態での乗継割引精算を、乗務
員に一切負担をかけずに行うことができるカード式精算
装置を提案するものである。

「考案が解決しようとする問題点」従来の現金精算に代る磁気カードによる運賃精算方法で
は、乗車口と降車口とにカード処理装置を設置し、利用
客が磁気カードを乗車および降車の際にカード処理装置
に通すことにより、カードに記録された有効金額から運
賃が自動で減額される。

また乗継精算の場合は、乗継でない一般精算とは違う運
用が取られ、一般カードとは異なる乗継乗車券を使用し
たり、乗継であることを利用者から乗務員に申告するこ
とにより、乗務員が確認し乗継精算スイッチを操作して
乗継割引がされるものであった。

この考案は、乗継でも特別な運用とせず、一般乗車の精
算と同じ形態で乗継精算を行うことができ、乗務員、利
用者の便を図ろうとするものである。

「問題点を解決するための手段」この考案によれば乗車口のカード処理装置には、投入さ
れた乗車券に記録されている系統、降車区間を読取る手
段、その読取った系統が現運行の系統との間に乗継割引
が適用される系統であるかを判定する手段、その判定結
果が乗継割引が適用される系統であれば記録されている
前乗車系統をそのまゝ有効にし、かつ乗継符号を乗継し
て乗車券に記録し、乗継割引が適用されない系統であれ
ば現運行の系統ならびに現運賃区間を現乗車区間として
乗車券に記録する記録手段が設けられる。一方降車口の
カード処理装置には、投入された乗車券に記録されてい
る有効金額、系統、前乗車区間、現乗車区間、減算額、
乗継情報を読取る読取り手段、その読取った乗継情報が
乗継か否かを判定する手段、その判定結果が乗継であれ
ば読取った系統と現系統との乗継運賃表のデータと、読
取った減算額、前乗車区間および現運賃区間とにもとづ
き運賃を求め、判定結果が乗継でなければ現系統の運賃
表のデータと、読取った現乗車区間および現運賃区間と
にもとづき運賃を求め、その運賃を読取った有効金額か
ら差し引く精算を行う手段、その差し引きにより残った
有効金額と、運賃の減算額と、降車区間をそれぞれ乗車
券に記録すると共に、読取った現乗車区間を前乗車区間
として記録する手段が設けられる。

このような構成であるため、多区間運賃制の路線系統に
おいて、カード利用客が第１のバスから第２のバスへと
乗継ぐことができ、また乗継に対しての正当性を判定
し、正しい乗継系統であれば割引きが適用される乗継運
賃表にしたがって乗継運賃の精算ができる。

利用客はまず一定金額のデータが記録された乗車券を購
入しておく。

利用客が第１のバスに乗車する時、カード処理装置で乗
車券に乗車系統、乗車区間が記録される。この時カード
処理装置は乗継系統の有効判定を行うが、説明は後述と
する。

次に利用客が降車する時、カード処理装置で乗車券の乗
車系統、乗車区間と降車区間とから運賃を算出し乗車券
の有効金額から運賃を減額する。この時は乗継でないた
め、現金客と同じ通常の運賃すなわちデジタル運賃表示
器で表示されている運賃表にもとずいて精算されるので
割引は当然ない。また乗車券には差引きにより残った有
効金額と、運賃の減算額と、降車区間とが記録されると
共に、読取った乗車区間を前乗車区間に書替えられる。

次に利用客が第２のバスに乗車する時、カード処理装置
で乗車券に記録された第１バスの乗車系統、降車区間を
読取り、乗継が正当であるかを判定する。乗継でない乗
車券は、前述した第１のバスの作用となる。乗継系統で
あれば、前乗車情報（乗車系統、乗車区間）を有効に
し、乗継符号を乗車券に記録する。

次に利用客が降車する時、カード処理装置で乗車券に記
録された有効金額、乗車系統、前乗車区間、現乗車区
間、減算額、乗継符号から乗継であることを判定し、乗
継割引精算を行う。乗継精算は、通常のデジタル運賃表
示器で表示される運賃表とは別の運賃表、つまり読取っ
た乗車系統と現系統との乗継運賃表のデータと、読取っ
た減算額、前乗車区間および現運賃区間とにもとづき行
う。これはすでに前乗車バスで一般運賃が減額されてお
り、その差額運賃で精算する。この乗継運賃表、精算方
法は後述する。そして乗車券には、残りの有効金額、精
算した運賃表の系統等の必要情報を記録し、第３のバス
への乗継精算をも可能にしている。

また、本願考案によれば乗車口のカード処理装置の記録
手段により、入力された料金種別ごとの乗車人数も記録
することができる。降車口のカード処理装置の読取手段
は料金種別ごとの乗車人数を読取ることができ、求めた
運賃を用いて、読取った料金種別乗車人数をその料金種
別に応じて乗算したものの合計を運賃として乗車券の運
賃精算を行うことができる。

更に運賃精算時において乗車券の有効金額に不足金が生
じた場合に、現金投入口に不足金を支払って精算するこ
とができ、また上記不足金が生じた場合に新しい乗車券
が投入されると、精算手段はその不足金が生じた乗車券
の有効金額と、上記新しい乗車券の有効金額を加算した
額を有効金額として運賃を引き算し、記録手段により新
しい乗車券に対して残りの有効金額、精算した運賃表の
系統等の必要情報を記録し、次の使用を可能にしてい
る。

この様にして、多区間運賃路線のカードによる乗継を、
通常の精算と同じ形態で行っているので、乗務員および
カード利用客に特別な負担をかけることがなく、精算時
に不足金が生じた時は、新しい乗車券カードで精算する
ことができ、また複数人の同時精算も乗務員の最小限の
操作でよく、通常の運行形態の中で乗継精算を行うこと
ができる。

「実施例」第１図にこの考案によるカード式運賃精算装置を示す。
この精算装置は、カード式乗車券１の情報の読取りおよ
び書込みを行うためのカード処理装置3,4を、それぞれ
バス車内の乗車口および降車口に設置する。カード処理
装置3,4の運賃データの管理は、主制御装置２で行う
が、この主制御装置２は、どちらかのカード処理装置に
組込んだ形でもよいが、説明上分離した形とした。デジ
タル運賃表示器５は、現金乗客への運賃表示器である
が、主制御装置２の内部に持つ一般運賃メモリ201の運
賃データでもって表示していることを示している。

カード処理装置カード処理装置は、乗車口用３と降車口用４との２台で
構成させる。カード処理装置3,4の主たる機能は、カー
ド式乗車券１の記録情報の読取部301,401と、その情報
の書替えのための書込部302,402と、カードを読取部あ
るいは書込部に搬送するためのカード搬送部303,403
と、利用客にカード情報等の必要事項を伝達するための
表示部304,404と、降車口ではカードへ現在残額高を目
で見える様にパンチあるいはマーキング等で記録するた
めの残額マーキング部405と、前記した各部の制御を行
うための制御部300,400とで構成される。

主制御装置主制御装置２は、カード処理装置3,4のそれぞれを管理
するものであり、カード処理装置3,4と必要データの送
受信を行う。

主制御装置２の主たる機能は、運賃精算に必要なデータ
管理であり、通常の路線運賃表を記憶する一般運賃メモ
リ201と、乗継の運賃精算に必要な運賃表を記憶する乗
継運賃メモリ202と、必要に応じて設ける運賃収入実績
等を記憶するデータ収集メモリ203と、乗継時間の制限
がある場合に時間管理をするための時計回路204と、前
記した各部の制御を行うための制御部200とで構成され
る。

また制御部200で制御される外付機器として、バスの走
行路線の系統や現在走行位置の区間等を、また複数人の
同時精算スイッチ2061、小人等の割引精算スイッチ2062
および不足金額を現金で補充する時の確認スイッチ2063
等の特殊入力キーを有する入力操作部206と、乗務員の
精算結果を表示するための表示部205と、現金客あるい
はカード客に通常運賃の区間ごとの運賃を表示するデジ
タル運賃表示器５とがある。

デジタル運賃表示器５は、一般運賃メモリ201のデータ
をもとに、乗車区間を示す整理券番号に対応した区間50
1ごとに、運賃502を表示している。

ここでバス運行の運賃形態を第２図と第３図で説明す
る。第２図は、バスがある一系統を運行するときの整理
券番号（区間番号）の推移と、運賃表示の表示区間の推
移と、ドアの開閉の状態と、整理券切替信号の発生状態
と、運賃区界変更信号の発生状態と、主制御装置２から
デジタル運賃表示器５への運賃データの転送時期の一部
分を記したものである。また第３図は、上記運行に際し
てデジタル運賃表示器５が表示する運賃テーブルの例を
示したもので、このデータは一般運賃メモリ201に記憶
されてある。

ここで現金利用客に対して必要な整理券発行器６の作用
の説明を加えているのは、通常運賃の精算ではカード客
と現金客とは同一金額であり、カード乗車の乗車位置は
例えば整理券600に印字されている番号すなわち区間番
号で管理できるからである。

通常の運賃精算第２図および第３図にしたがって、まず通常乗車の運賃
精算のバスの運行中における各種信号の発生状態とそれ
に伴う機器の動作について説明する。運行開始時点にお
いては、整理券番号は１番にセットされ、カード処理装
置３が乗り客の乗車券１の乗車区間に１番を記録するよ
うセットされ、運賃表示は整理券番号１番に対する１区
間分の料金表示（80円）がなされるように同時にこの１
区間分の運賃データが主制御装置２からデジタル運賃表
示器５へ転送される。

バスは停留所01,02で客の乗降を行い、停留所03に向か
う。停留所02と停留所03との間で運賃区間の区切りとな
るため、整理券切替信号９が発生して整理券発行器６が
発行する整理券番号が２番となるようセットする。また
この整理券切替信号９は主制御装置２にも送られ、以後
の乗り客の乗車券１には乗車区間２番が書き込まれるよ
うになる。停留所03において、乗客は２番の整理券が渡
されることになるが、この客がただちにこの停留所03に
降車することはないので運賃表示は１区間分のままであ
る。次にバスが停留所03から停留所04に運行する間にお
いて、整理券番号１番と２番に対する２区間分（100円,
80円）をデジタル運賃表示器５に表示するとともにこの
２区間分の運賃データは運行開始時点と同様に主制御装
置２からデジタル運賃表示器５へ転送される。このよう
にしてバスは停留所04,05,06…と進み、それに応じて整
理券切替信号９と運賃区界変更信号８とが発生して、上
述の整理券番号の変更と乗車区間の書込番号の変更と運
賃表示の変更と運賃データの転送とが繰り返えされる。

第４図は、乗車券１の磁気ストライプ101に記録するデ
ータの種類と乗車時、降車時における記録の具体例を示
したものである。磁気ストライプ101には、記録開始コ
ードSTXと、乗車券１が特定の交通機関のみで使用でき
るようにすると同時に正規の乗車券であることを判別す
るための交通機関コードと、有効期間と、有効金額と、
前乗車の減算額と、利用系統番号と、乗継符号と、乗／
降符号と、前乗車における乗／降車区間と、現乗車の乗
車区間と大人／小人等の種別データと、記録終了コード
ETXとが順次記録されている。第４図Ｂは、102系統のバ
スに区間１から乗車したときの記録のようすを示したも
ので、系統は102,乗／降符号は乗、現乗車区間は１とな
っている。またこの時有効金額は1000円とする。×印は
その前の降車のデータによって決まる。

このバスを区間４で降車したときの記録のようすを第４
図Ｃに示す。有効金額は1000円から870円に変化してお
り、乗／降符号も降に、そして降車区間も４に変化して
いる。この例では有効金額の減額の手順を次のようにし
ている。

（１）カード処理装置４にカードが挿入された時に降車
処理をする。

（２）現乗車区間の読み取り値１と現在の区間４とから
第３図の運賃テーブルを参照して運賃130円を読出す。

（３）有効金額を130円減額する。

（４）乗／降符号を降とし、降車区間を４とする。

以上は通常乗車における処理である。

乗継の運賃精算次にこの考案の目的とする乗継精算を、第５図、第６図
に従って説明する。第５図の運行系統図の例では、系統
102から系統103に乗継ができるもので、その運賃体系を
第６図に示す。

乗継割引がない場合、東京（系統102の１区間）から大
阪（系統103の終点）に行く場合では、東京から名古屋
までの運賃130円（ａ）を支払い、そして次の乗車で運
賃180円（ｂ）を支払うので合計310円になる。ところが
東京から大阪の通し路線の運賃表が“系統102→103乗
継”であるとすると、通し距離で計算すると例えば250
円（ｃ）でよいため乗客は60円の割高な運賃を支払うこ
とになる。実際にはこの様なケースがほとんどである。
この乗客に対する不利益な問題を、カード利用者の先払
い購入に対する還元メリットとして、割引き料金を適用
することがあり、その精算方法が必要になった。

料金の精算は、系統102での乗車では通常精算のため、
前述した処理によって130円が支払われている。

系統103を走るバスでの精算では、系統102からの乗継乗
客の精算に必要な運賃表系統105（系統102→103乗継）
と、乗継客でない通常精算に必要な運賃表の系統103が
必要となる。

乗継客に対しては、乗継運賃表（系統105）にもとづ
き、250円を読出し、先払いしている130円との差額250
円−130円＝120円を減額することになる。この差額につ
いては、第７図に示すあらかじめ計算された運賃表とし
ておいてもよい。その時は減算の処理は必要でない。

また系統103にさらに他の複数の乗継系統があっても、
前記説明のように乗継運賃表のデータで精算が可能であ
る。

つぎに乗車券１の磁気ストライプ101に記録するデータ
で乗継の場合を説明する。第４図のＤでは、乗継いだ系
統103の乗車の処理である。系統102→103は乗継が許可
されているため、乗継符号を乗継であった意味の“1"に
し、系統は変更しないで102とする。また現乗車区間は
系統103の１とする。

そして目的地の終点（大阪）で降車した時、前乗車の系
統102、区間１、減算額130円のデータをもとに、第６図
の運賃表から全区間運賃の250円をもとめ、前に支払い
金額の130円との差の120円を減額し、有効金額を750円
にしている（第４図Ｅ）。ここでの減算額は通し金額の
250円としているが、これはさらに次の乗継での精算に
役立つ。系統は乗継運賃表で精算したため、105として
いるが、この系統の変更は乗車時の第４図Ｄで行っても
処理が可能である。乗継符号は一旦“0"にしておく。そ
してさらに次の乗継処理を前記した方法で行う。

乗継運賃表乗継運賃メモリ202の例を第８図、第９図に示す。第９
図は乗継系統を示すデータで、入力操作部206の系統の
入力により、例えば第５図の系統103を走るバスであれ
ば103が指定されるので、（ａ）部が読出される。した
がって乗継を許可する乗車券１は系統が102で降車区間
が４の場合と、系統104で降車区間５の場合とになる。
そしてこれらのデータは、カード処理装置３の制御部30
0に転送される。

また乗継運賃表の中から、精算に必要となる系統105,10
6が読出され、系統103との関連を示したのが第８図であ
る。

表示部304,404 デジタル運賃表示器５では、乗継利用者に対しての運賃
が表示できないため、その表示を表示部304,404で行っ
ている。

表示部304では、乗車時であるので、例えば乗車区間、
カード金額の他に乗継の有効等を示す表示器を設ける。

表示部404では、降車時であるので、例えば通常精算の
運賃、乗車区間、カード金額（残額）の他に乗継精算の
ための差額運賃、乗継系統、乗継系統での乗車区間等を
示す表示器を設ける。

動作フロー以上説明してきた内容で乗継の処理を行うが、カード処
理装置の概略フローを第10図、第11図に示す。すなわち
乗車口のカード処理装置３ではカードが挿入されると
（S₁）、カード情報が読取られ（S₂）、そのデータが正
しいか否かがチェックされ（S₃）、正しくなければ誤り
が表示され（S₄）、カードは返却される（S₅）。データ
が正しければ乗継か否かが判定され（S₆）、乗継でなけ
れば系統、乗車区間、乗符号などが記録される（S₇）。
その記録データがチェックされ（S₈）、正しくなければ
誤り表示されて（S₄）、返却され（S₅）、正しければカ
ードの金額など表示される（S₉）。乗継の場合は前系統
が生かされ、又は乗継運賃系統が書込まれ、その他乗車
区間、乗継符号“1"などが記録される（S₁₀）、そのデ
ータについてチェックがなされ（S₁₁）、正しければカ
ードの金額、乗継の有効などが表示される（S₁₂）。そ
してカードは返却される（S₁₃）。

降車口のカード処理装置４では第11図に示すようにカー
ド挿入されると（S₂₁）、カード情報が読取られ
（S₂₂）、そのデータが正しいか否かがチェックされ（S
₂₃）、正しくなければ誤り表示がなされ（S₂₄）、カー
ドは返却される（S₂₅）。データが正しければ乗継か否
かが判定され（S₂₆）、乗継でなければ通常運賃精算が
行われ（S₂₇）、残額、系統、降車区間、降符号などが
記録され（S₂₈）、そのデータがチェックされ（S₂₉）、
誤りであればステップS₂₄へ移り、正しければ残額、運
賃、乗車区間などが表示される（S₃₀）。乗継の場合は
乗継運賃精算が行われ（S₃₁）、残額、系統、降車区
間、降符号、乗継符号“0"などが記録され（S₃₂）、そ
のデータがチェックされ（S₃₃）、誤りの場合はステッ
プS₂₄へ移り、正しければ残額、乗継運賃、乗継系統な
どが表示される（S₃₄）。そしてカードは返却される（S
₃₅）。

複数人数精算複数人（親子等）に対し一枚の乗車券で処理する場合に
つき説明する。乗客が例えば系統102の区間４で降車す
る時に乗務員に複数人（大人１人、小人２人）を申請す
る。乗務員が人数キーをセットして乗車券をカード処理
装置に通すと、有効金額は1000円から730円に変化し、
乗／降符号は降に、降車区間も４に、種別人数も大人
２、小人２に変化する（第12図Ｃ）、つまり、この例は
先の第４図の例と同様に、系統102の区間１で乗車し区
間４で降車した場合で大人１人の運賃は第６図（ａ）よ
り130円であり、小人の運賃は大人の運賃の1/2とし、10
円未満切上げる。従って大人１人、小人２人では130円
＋70円×２＝270円となり、これが減算額となる。つま
りこの例では有効金額の減額の手順を次のようにしてい
る。

（１）複数人情報が入力される。

（２）カード処理装置４にカードが挿入された時に降車
処理をする。

（３）現乗車区間の読み取り値１と現在の区間４とから
第３図の運賃テーブルを参照して運賃130円を読出す。

（４）複数人情報から大人１人、小人２人を計算し、27
0円を算出する。

（５）有効金額を270円減額する。

（６）乗／降符号を降、降車区間を４、種別、人数を大
人１、小人２とする。

以上は通常乗車における処理である。

次に乗継の場合を説明する。前述の例と同様に手続102
の区間１で乗車し、区間４で系統103に乗継ぎ、区間５
で降車したとする。乗継系統105の運賃表から250円を読
出し、先払している大人１人分の130円との差額250円−
130円＝120円と、小人１人分の差額60円とから120円＋6
0円×２＝240円を減額することになる。

乗車券１の記録は乗継の際は第４図Ｄの場合と同様に、
第12図Ｄに示すようになり、降車の際には、前乗車の系
統102、区間１、減算額270円、大人１人、小人２人のデ
ータをもとに、大人運賃130円を算出し、第６図の運賃
表から全区間運賃の250円より、前述した大人１人、小
人２人分の差額240円をもとめ、前の支払い金額の270円
との差の240円を減額し、有効金額を490円にする（第12
図Ｅ）。

変形例カード処理装置３と４を１つのカード処理装置で行うよ
うにしてもよい。主制御装置をカード処理装置のどちら
かに一体に組込んでもよい。一般運賃メモリ201、乗継
運賃メモリ202をデジタル運賃表示器５に組込んでもよ
い。

カード乗車券を半導体メモリを用いたICカードや光カー
ド等のもので置きかえてもよい。乗継有効判定の手段
に、月日、時間等の判定手段を加えてもよい。乗継運賃
表を差額運賃表あるいは一定率の運賃表におきかえても
よい。

また前乗車系統の降車時の精算で、乗車券の有効金額
（残額）が運賃に満たないことがよくある。この場合新
しい乗車券で不足金額分を補充し、その新しい乗車券で
乗継ができなければならない。新しい乗車券には、乗車
時の区間や前乗車券の精算額と合わせたトータル残額他
乗継精算に必要な情報を全て記録することが可能であ
る。

また新しい乗車券の手持がなく、車内でも売切れのため
に購入できないこともある。この場合の乗継精算を可能
にするには、例えば運賃の不足が生じた乗車券は、不足
金額を表示するとともに乗車券を内部に保留し、現金で
差額が支払れたことを乗務員が確認しスイッチを押した
時に、その乗車券の残額を０円とすると共に、現金支払
い分を含めて減算額として記録する。そうすれば、現乗
車系統の精算では減算額から乗継運賃が算出でき、不足
金額として表示すれば現金支払いまたは乗車券精算がで
きる。減算額に現金支払い分を加算すると、場合によっ
ては有効金額より減算額が多いことも発生する。不正防
止等のチェックが必要であれば、情報として現金支払い
データを記録（第12図、ｍ）すれば問題ない。

以上のように、乗継のいろいろな場面での対応が可能で
ある。

「考案の効果」この考案による運賃精算装置を使用すれば、乗務員や利
用客に対して通常の乗継精算（１人の場合）では特別な
申請や操作の負担をかけることなく、また複数人の同時
精算も最少限の操作でよく、通常の運行形態の中で乗車
区間に応じた不足金が生じた場合には、現金による精算
または新たなカード式乗車券による精算も、乗務員の割
引きを適用した乗継精算を行うことができる。特に路線
バス運行の様に、複雑な多くの系統を有する中では、乗
継ぎによる不正乗車の防止も図れる有用な装置である。
乗継運賃精算を乗継運賃表を用いて行っているため、一
定率の割引を行う場合と比較して距離に応じた正しい割
引を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のカード式運賃精算装置の例を示すブ
ロック図、第２図は各停留所対応の整理券番号、運賃表
示番号の変化、その他の信号との関係を示す図、第３図
は運賃表の例を示す図、第４図はカードの記録情報の例
を示す図、第５図はバスの系統例を示す図、第６図は運
賃表の例を示す図、第７図は乗継運賃表の他の例を示す
図、第８図は通常の運賃表と乗継運賃表との関係例を示
す図、第９図は系統と運賃表との関係例を示す図、第10
図は乗車口カード処理装置の動作流れ図、第11図は降車
口カード処理装置の動作流れ図、第12図は複数人同時精
算の場合のカードの記録情報の例を示す図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭62−75893（ＪＰ，Ａ) 特開昭61−208191（ＪＰ，Ａ) 特開昭63−126969（ＪＰ，Ａ) 特開昭52−30500（ＪＰ，Ａ) 特開昭53−142300（ＪＰ，Ａ) 実開昭61−204281（ＪＰ，Ｕ) 実開昭61−189373（ＪＰ，Ｕ) 実開平１−116868（ＪＰ，Ｕ)

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】多区間運賃形態で運行されるバス車両の乗
車口および降車口のそれぞれにカード処理装置を搭載し
て行うカード式乗車券の運賃精算装置であって、乗車口のカード処理装置では、投入された乗車券に記録されている系統、降車区間を読
取る手段、その読取った系統が現運行の系統との間に乗継割引が適
用される系統であるかを判定する手段、その判定結果が乗継割引が適用される系統であれば前記
記録されている系統をそのまま有効にし、かつ乗継符号
を乗継として上記乗車券に記録し、乗継割引が適用され
ない系統であれば現運行の系統ならびに現運賃区間を現
乗車区間として上記乗車券に記録する記録手段を有し、降車口のカード処理装置では、投入された乗車券に記録されている有効金額、系統、前
乗車区間、現乗車区間、減算額、乗継情報を読取る読取
り手段、その読取った乗継情報が乗継か否かを判定する手段、その判定結果が乗継であれば上記読取った系統と現系統
との乗継運賃表のデータと、上記読取った減算額、前乗
車区間および現運賃区間とにもとづき運賃を求め、上記
判定結果が乗継でなければ現系統の運賃表のデータと、
上記読取った現乗車区間および現運賃区間とにもとづき
運賃を求め、その運賃を上記読取った有効金額から差引
く精算手段、その差引きにより残った有効金額と、上記運賃の減算額
と、降車区間とを上記乗車券にそれぞれ記録すると共
に、上記読取った現乗車区間を前乗車区間として記録する記
録手段を有することを特徴としたカード式運賃精算装
置。
【請求項２】上記乗車口のカード処理装置における上記
記録手段は入力された料金種別ごとの乗車人数も記録す
るものであり、上記降車口のカード処理装置における上記読取手段は、
料金種別ごとの乗車人数も読取るものであり、上記精算
手段は上記求めた運賃を用いて、上記読取った料金種別
乗車人数をその料金種別に応じて乗算したものの合計を
運賃とするものであることを特徴とする請求項１記載の
カード式運賃精算装置。
【請求項３】上記降車口のカード処理装置は、現金が投
入される現金投入口、上記精算手段において、不足金が
生じるとその不足金を表示する手段、上記不足金が生じ
た場合に、上記現金投入口に上記不足金が支払われると
上記記録手段を実行させる手段が設けられていることを
特徴とする請求項１または２記載のカード式運賃精算装
置。