JPH0637953B2 - 管 継 手 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は管継手に関するものである。

〔従来の技術と発明が解決しようとする課題〕

一般に、ねじ込み形管継手は端部開口にテーパ雌ネジ部
を有し、該雌ネジ部に接続すべき管の端部テーパ雄ネジ
が螺嵌される。このような管継手において、従来では第
２図及び第３図に示す如く管継手ａの雌ネジ部ｂ又は管
ｄの雄ネジ部ｅの螺合しない管内露出部分ｆ，ｇが管内
を流れる流体のために錆びを生じて腐食し易いという問
題があり、また、管ｄの端面ｈの腐食を防止するための
コアｋを管ｄの端部開口に取付けていたが、作業性が悪
く、しかも取付漏れの可能性もある。さらに、このコア
ｋは、粉体塗装による薄肉のポリエチレンライニングの
場合には被覆層ｍ面に接着できないという問題があっ
た。

本発明はこのような従来の問題を解決するもので、接続
部における管内露出部分の防食が完全になされると共
に、施工が簡単な管継手を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係る管継手は、内面に防食樹脂層を有する管の
雄ネジ形成端部が螺嵌する雌ネジ部を継手本体の端部開
口に有し、かつ雌ネジ部を除く継手本体の内面に、防食
樹脂層と、雌ネジ部との間に所定の隙間をもつ筒状部
を、一体に成型し、該筒状部の外周面に雄ネジ部を形成
し、この雄ネジ部を、管の上記防食樹脂層の内周面に接
触させて、進入可能に構成した。

〔作 用〕

管の雄ネジを、継手本体の雌ネジ部に螺進してゆけば、
筒状部と雌ネジ部の間の隙間へ、管の端部が挿入され
る。そして、この時、管の防食樹脂層の内周面に、筒状
部の外周面の雄ネジ部が、接触する。

この筒状部の外周面の雄ネジ部は、管の防食樹脂層に摺
接しつつ、相互になじみ易い。

さらに、管の防食樹脂層の内径寸法のバラツキ、又は、
筒状部の外形寸法のバラツキが存在したとしても、上記
螺進時に、筒状部の外周面の雄ネジが押し潰され易いた
めに、上記寸法のバラツキが吸収され、一層なじみ易
い。

〔実施例〕

以下、実施例を示す図面に基づいて本発明を詳説する。

第１図において、１は管継手であり、エルボを例示して
いる。該管継手１は鋳鉄製の継手本体２の両端部開口
３，３にテーパ雄ネジ部４を有し、かつ該雌ネジ部４，
４を除く継手本体２の内面に防食樹脂層５を有すると共
に、これと一体の筒状部10を有する。６，６は管継手１
を介して接続される２本の金属製管であり、端部７外周
には継手本体２の雌ネジ部４に螺合するテーパ雄ネジ８
を有すると共に、内面には継手本体２同様防食樹脂層９
が施されている。

管継手１の上記筒状部10は雌ネジ部４との間に所定の隙
間Ｓを形成するように、上記防食樹脂層５の外端部から
一体に延伸状に成型されている。

さらに、樹脂層５の先端５ａは継手本体２の端部から所
定寸法Ａ突出すると共に、先端部外周はテーパ面12に形
成され、しかも、先端５ａからはテーパ面12部に対応す
る深さでもって複数本のスリット13が周方向等角度置き
に設けられている。この樹脂層５と上記筒状部10は継手
本体２の内部に射出成型にて施工される。そして、上記
筒状部10の外周面15には雄ネジ部24を、上述の射出成型
時に成型する。

この雄ネジ部24は、（第１図の右半分に示すように、）
管６の樹脂層９の内周面14に接触する寸法に、設定す
る。

即ち、樹脂層５の筒状部10の雄ネジ部24の外径Ｄは管６
の内径Ｅよりも若干小さく設定され、管６の雄ネジ８形
成端部７を管継手１の雌ネジ部４に螺合した場合に該端
部７が隙間Ｓに進入して管６の樹脂層９内周面14に、筒
状部10の外周面15の雄ネジ部24がしだいに食い込むよう
に、又は、雄ネジ部24自体が押し潰されるようにしてい
る。

なお、第１図では、隙間Ｓの奥部21にポケット状凹周部
を形成して、これに、塑性変形可能なコーキング剤22を
挿入する。このコーキング剤22は、粘土状、チューイン
ガム状若しくはパテ状の固体であって、矢印Ｂ方向に管
６を管継手１に螺進接続前に、奥部21に挿入しておくも
のとする。

また、この矢印Ｂ方向への螺進接続時に、奥部21内の上
記コーキング剤22が、圧縮されつつ押出されるための逃
げ部23として、筒状部10の外周面15の前記雄ネジ部24
と、樹脂層９の内周面14との間に形成される螺旋状の連
続し空隙が、働くこととなる。

なお、管継手１に管６を接続するには、第１図に示す如
く管６の端部７を筒状部10の先端突出部に外嵌して管６
を矢印Ｂ方向に押し込み、雄ネジ８を管継手１の雌ネジ
部４に螺合させてねじ込む。この接続作業において、樹
脂層５の先端部がテーパ面12であるため管６の挿入が容
易であり、しかも、スリット13…により該先端部が縮径
可能であるため管６の押し込み及び螺合がスムーズに行
える利点があり、このようにテーパ面12及びスリット13
…は管６の挿入を誘導案内する作用をなす。そして、接
続状態では筒状部10の外周面15の雄ネジ部24と管６の樹
脂層９内周面14がコーキング剤22を介して密嵌状態とな
って該両周面15，14間が密封され、水等の流体が管６の
端面16部に浸入することが確実に防止される。

また、防食樹脂層９の内径寸法Ｅ等のバラツキが存在し
たとしても、雄ネジ部24の山の押し潰れ程度によって、
順応（吸収）出来る。

また、管継手１の雌ネジ部４及び管６の雄ネジ８の製作
寸法誤差、ネジ結合時の締力の強弱に伴って、雄ネジ８
の螺進深さが相違するが、どのような場合にもコーキン
グ剤22によって確実に流体が奥部21に浸入するのを防止
出来る。

なお、本発明は図示のエルボ以外にチーズ、ソケット、
ユニオン等の各種管継手に実施可能である。また、スリ
ット13あるいはコーキング剤22は、所望により、省略可
能である。

〔発明の効果〕

本発明は以上詳述した構成にて所期目的を有効に達成し
た。特に、管継手１の継手本体２の樹脂層５を雌ネジ部
４との間に所定の隙間Ｓを設けて管状に延伸成型し、該
隙間Ｓにに管６の雄ネジ３形成端部７を該端部７の樹脂
層９内周面14と上記延伸成型の筒状部10外周面15が密封
当接すべく進入可能に構成したから、管継手１と管６の
接続状態において、樹脂被覆が施されていない管継手１
と管６のネジ形成部及び管６の端面16等の露出部分への
管内流体の浸入が確実に阻止され、従って、これらの部
分を完全に防食できる。特に、管継手１に対する管６の
ねじ込み深さがテーパネジであるために一定しないが、
このねじ込み深さに関係なく確実に密封することができ
る。さらに、管６の端面16に従来のようなステンレス製
のコアを接着する必要がなくなって部品点数を減少でき
ると共にコアの取付漏れの心配もなく、施工が容易であ
る。しかも、管６の防食樹脂層９が塩化ビニールライニ
ングは勿論のこと、粉体塗装による安価なポリエチレン
ライニングの場合にも対応できる。また、管内圧力が筒
状部10の内面に作用することで該筒状部10外周面15にお
ける密封性がより良好となり、しかも、管６の端部７に
は筒状部10により管内圧力が直接作用しないため、該管
６と管継手１との接続に悪影響を受けることもない。

さらに、管６の防食樹脂層９の内径Ｅと、筒状部10の外
径Ｄとの公差バラツキが大きくとも、雄ネジ部24を有す
るため、そのネジ山の押し潰れ又は防食樹脂層９への食
い込みによって、吸収出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す断面図である。第２図
と第３図は夫々従来例を示す断面図である。 ２……継手本体、３……端部開口、４……雌ネジ部、
５，９……樹脂層、６……管、７……端部、８……雄ネ
ジ、10……筒状部、14……内周面、15……外周面、24…
…雄ネジ部、Ｓ……隙間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内面に防食樹脂層９を有する管６の雄ネジ
   ８形成端部７が螺嵌する雌ネジ部４を継手本体２の端部
   開口３に有し、かつ雌ネジ部４を除く継手本体２の内面
   に、防食樹脂層５と、雌ネジ部４との間に所定の隙間Ｓ
   をもつ筒状部10を、一体に成型し、該筒状部10の外周面
   15に雄ネジ部24を形成し、この雄ネジ部24を、管６の上
   記防食樹脂層９の内周面14に接触させて、進入可能に構
   成したことを特徴とする管継手。