JPH0576389A - (−)−(2r,3s)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフエニル)プロピオン酸メチルの製造方法 - Google Patents

(−)−(2r,3s)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフエニル)プロピオン酸メチルの製造方法

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JPH0576389A JP4022446A JP2244692A JPH0576389A JP H0576389 A JPH0576389 A JP H0576389A JP 4022446 A JP4022446 A JP 4022446A JP 2244692 A JP2244692 A JP 2244692A JP H0576389 A JPH0576389 A JP H0576389A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ジルチアゼムなどの合成中間体である(−)
−(2R,3S)−2,3−エポキシ−3−(4−メト
キシフェニル)プロピオン酸メチルの新規製造法を提供
する。 【構成】 トランス−2,3−エポキシ−3−(4−メ
トキシフェニル)プロピオン酸メチルのラセミ混合物を
出発物質として、この混合物中の右旋性鏡像異性体を無
水媒質中で酵素が触媒するエステル交換反応に供するこ
とにより、これを不溶性の誘導体に変換する。この際使
用する酵素として左旋性鏡像異性体には作用しないもの
を選択することにより、反応混合物から不溶性の右旋性
鏡像異性体誘導体を濾過除去するだけで容易に左旋性鏡
像異性体の純度を向上させることができることを明らか
にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、式(I):
【化1】 の(−)−(2R,3S)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸メチルの製造方
法に関する。
【0002】この化合物は、(+)−(2S,3S)−
3−アセチルオキシ−2,3−ジヒドロ−5−(2−ジ
メチルアミノエチル)−2−(4−メトキシフェニル)
−1,5−5H−ベンゾチアゼピン−4−オンまたはジ
ルチアゼム(DCI)およびその誘導体などの化合物を
製造する際の重要な中間体である。
【0003】実際、本発明の方法は、例えばラセミ混合
物など、トランス立体配置の2種類の鏡像異性体(エナ
ンチオマー)を含有する出発混合物から、左旋性(2
R,3S)鏡像異性体を分離するための方法である。
【0004】本法は、無水媒質中、左旋性(2R,3
S)鏡像異性体には作用しない酵素の存在下で行う、出
発混合物中に存在する右旋性(2S,3R)鏡像異性体
のエステル交換反応によるものである。
【0005】トランス−(±)−2,3−エポキシ−3
−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸メチル、即ち
ラセミ体は、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.I,(1984),1725
に記述されている。
【0006】2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフ
ェニル)プロピオン酸メチルの左旋性鏡像異性体をその
ラセミ体から、酵素の存在下で分離することは、既に例
えば特許出願EP−0343714、EP−03625
56およびWO−90/04643などに記述されてい
る。
【0007】これらの既知の方法は、左旋性鏡像異性体
には影響を及ぼさずに、右旋性鏡像異性体を加水分解的
に分解する反応を利用している。これらの方法の不利な
点は、その加水分解生成物(基本的に遊離酸および脱炭
酸生成物)が目的の左旋性鏡像異性体に類似しており、
これらが反応混合物中に残るので、その結果、液体/液
体分離工程、抽出など、最終化合物の収率および純度に
とって好ましくない工程を含む必要性が残るという点で
ある。
【0008】これに対し本発明では、簡単な濾過によっ
て左旋性鏡像異性体をその濾液中に残したまま容易に反
応混合物から除去できる不溶性誘導体に、右旋性鏡像異
性体を変換する。
【0009】本発明において、そのエステル交換試薬は
n−ブタノール誘導体、即ち4炭素原子の鎖の末端にO
H官能基が存在する1級アルコールであり、該原子自体
は置換基を有していてもよいし、あるいは酸、塩または
エステル基などの官能基の一部を構成していてもよい。
【0010】特に有益なエステル交換試薬は、4−ヒド
ロキシブタン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金
属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩
などである。なぜなら、これらはそのエステル交換反応
の結果生成する誘導体と同様に、その反応混合物に不溶
性だからである。
【0011】使用する溶媒はもちろんその酵素に関して
不活性でなければならない。本発明に適合する溶媒は、
例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン
などの塩素化溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピル
エーテル、tert−ブチルメチルエーテルなどのエー
テル類、あるいはメチルイソブチルケトンなどのケトン
類から選択される、非求核性溶媒である。
【0012】本発明で使用される酵素は、リパーゼ類ま
たはエステラーゼ類であり、好ましくはE.C.3.
1.1群に属するこれらの酵素である。好ましい酵素
は、アマノ・ファーマシューティカル・リミテッド(Am
ano Pharmaceutical Ltd.)のシュードモナス(Pseudomo
nas)L.P.L.酵素、カンディダ・シリンドラセア(Can
dida cylindracea)酵素、アルカリゲネス(Alcaligene
s)酵素、並びに、ムコウ・ミエヘイ(Mucor miehei)酵
素である。
【0013】これらはそれ自体単独で、あるいは膜など
の不活性支持体上に固定して使用することができる。
【0014】エステル交換反応は10〜70℃、例えば
周囲温度で、あるいは、好ましくは20〜60℃の範囲
で起こり、その進行は高性能液体クロマトグラフィー
(HPLC)によって監視される。
【0015】以下の実施例は本発明の方法の特定の態様
を詳細に例示するものである。
【0016】実施例1 トランス−(±)−2,3−エポキシ−3−(4−メト
キシフェニル)プロピオン酸メチル5gをトルエン15
0mlに溶解し、これにアルカリゲネスリパーゼ2gお
よび4−ヒドロキシラク酸ナトリウム4.6gを加え
る。この反応混合物をサーモスタットで37℃に制御さ
れた恒温槽中で40時間撹拌する。不溶物を濾別し、そ
れをトルエンで濯ぐ。濾液を減圧下で溶媒留去し、得ら
れた結晶を−10℃でtert−ブチルメチルエーテル
で洗浄する。最後に、純粋な(−)−(2R,3S)−
2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロ
ピオン酸メチルの白色結晶2gを単離する。 融点:86〜87℃。 [α]22 D=−201°(c=1;メタノール)。 ee=100%(HPLC)。 (ee(エナンチオマー過剰率)=100x([R]-[S])/([R]+
[S])% であり、ここに[R]および[S]は2種類の鏡像異性
体の濃度を表す。)
【0017】実施例2 実施例1に記述した方法に準じて種々の酵素を使用し、
20時間撹拌した後、その反応混合物中に含まれる
(−)−(2R,3S)−2,3−エポキシ−3−(4
−メトキシフェニル)プロピオン酸メチルとそれに対応
する右旋性鏡像異性体(未反応のもの)との比(左旋性
異性体/右旋性異性体)をHPLCで決定した。次の表
1に、使用した酵素と、そのそれぞれについてのUV強
度(254nm)の比を示す。
【表1】 リパーゼ 比 アルカリゲネス(Alcarigenes) 74/23 リゾパス・アルヒツス(Rhizopus arrhizus) 50/50 リゾパス・デラマー(Rhizopus delamar) 50/50 リゾパス・ヤポニカス(Rhizopus japonicus) 50/50 キャンディダ・シリンドラセア(Candida cylindracea) 56/43 シュドモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens) 50/50 キャンディダム・ゲオトリカム(Candidum geotrichum) 50/50 アスペルギラス・ニガー(Aspergillus nigar) 50/50 ムコウ・ミエヘイ(Mucor miehei) 62/38 アマノLPL(Amano LPL) 52/48
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 41/00 C12R 1:38) (72)発明者 ギ・ロシー フランス78960ボワザン・ル・ブルトノー、 リユ・ポール・ヴエルレーヌ10番 (72)発明者 アレクサンダー・ウイツク フランス78860サン・ノム・ラ・ブルテツ シユ、ブールヴアール・デ・プラン10番

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランス−2,3−エポキシ−3−(4
    −メトキシフェニル)プロピオン酸メチルの右旋性鏡像
    異性体および左旋性鏡像異性体を含有する出発混合物中
    で、左旋性鏡像異性体には作用しない酵素の存在下、無
    水媒質中で、その右旋性鏡像異性体を、該右旋性鏡像異
    性体をその反応混合物中では不溶性である誘導体に変換
    するエステル交換反応の基質とすることを特徴とする、
    (−)−(2R,3S)−2,3−エポキシ−3−(4
    −メトキシフェニル)プロピオン酸メチルの製造方法。
  2. 【請求項2】 該出発混合物がラセミ体であることを特
    徴とする請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 4炭素原子からなる鎖の末端にOH官能
    基が存在し、その炭素原子自体は置換基を有していても
    よいし、あるいは官能基の一部を構成していてもよいn
    −ブタノール誘導体を用いて、該エステル交換反応を行
    うことを特徴とする、請求項1または請求項2の方法。
  4. 【請求項4】 官能基が酸、その塩またはエステル基で
    ある請求項3の方法。
  5. 【請求項5】 4−ヒドロキシブタン酸のアルカリ金属
    塩またはアルカリ土類金属塩を用いて該エステル交換反
    応を行うことを特徴とする、請求項3の方法。
  6. 【請求項6】 4−ヒドロキシブタン酸ナトリウムを用
    いて該エステル交換反応を行うことを特徴とする、請求
    項3の方法。
  7. 【請求項7】 E.C.3.1.1群に属する酵素の存
    在下で該エステル交換反応を行うことを特徴とする、請
    求項1から請求項6までのいずれかの方法。
  8. 【請求項8】 Candida cylindracea酵素の存在下で該
    エステル交換反応を行うことを特徴とする、請求項7の
    方法。
  9. 【請求項9】 Alcaligenes酵素の存在下で該エステル
    交換反応を行うことを特徴とする、請求項7の方法。
  10. 【請求項10】 Mucor miehei酵素の存在下で該エステ
    ル交換反応を行うことを特徴とする、請求項7の方法。
  11. 【請求項11】 アマノ・ファーマシューティカル・リ
    ミテッドのPseudomonas L.P.L酵素の存在下で該エステ
    ル交換反応を行うことを特徴とする、請求項7の方法。
  12. 【請求項12】 該酵素自体を該反応混合物に添加する
    ことを特徴とする、請求項7から請求項11までのいず
    れかの方法。
  13. 【請求項13】 不活性な支持体上に固定した酵素を使
    用することを特徴とする、請求項7から請求項11まで
    のいずれかの方法。
  14. 【請求項14】 非求核性溶媒を使用することを特徴と
    する、請求項1から請求項13までのいずれかの方法。
  15. 【請求項15】 ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサ
    ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、
    クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジ
    エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−
    ブチルメチルエーテル、およびメチルイソブチルケトン
    から選択される溶媒を使用することを特徴とする、請求
    項14の方法。
  16. 【請求項16】 使用される溶媒がトルエンであること
    を特徴とする、請求項14の方法。
JP04022446A 1991-02-08 1992-02-07 (−)−(2r,3s)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸メチルの製造方法 Expired - Lifetime JP3126056B2 (ja)

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