JP2707076B2 - 光学活性化合物の製造法 - Google Patents
光学活性化合物の製造法Info
- Publication number
- JP2707076B2 JP2707076B2 JP62106276A JP10627687A JP2707076B2 JP 2707076 B2 JP2707076 B2 JP 2707076B2 JP 62106276 A JP62106276 A JP 62106276A JP 10627687 A JP10627687 A JP 10627687A JP 2707076 B2 JP2707076 B2 JP 2707076B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- optically active
- ester
- reaction
- halogen atom
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P13/00—Preparation of nitrogen-containing organic compounds
- C12P13/001—Amines; Imines
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P13/00—Preparation of nitrogen-containing organic compounds
- C12P13/002—Nitriles (-CN)
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P41/00—Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture
- C12P41/003—Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture by ester formation, lactone formation or the inverse reactions
- C12P41/004—Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture by ester formation, lactone formation or the inverse reactions by esterification of alcohol- or thiol groups in the enantiomers or the inverse reaction
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P7/00—Preparation of oxygen-containing organic compounds
- C12P7/62—Carboxylic acid esters
Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は酵素を用い特定のアルコール類に作用させ
た、生化学的手法による光学活性な化合物の製造法に関
するものである。 〔従来の技術と発明が解決しようとする問題点〕 一般式: (Xは、ハロゲン原子およびシアノ基から選ばれ、Yは
次式: (Z1,Z2,Z3,Z4,Z5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ
基、トリフルオロメチル基、アミノ基、アルキルアミノ
基、アリールオキシ基、 および炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基
の群から選ばれ、W1,W2,W3,W4,W5は、水素原子、ハロゲ
ン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、
アルキルアミノ基、および炭素数1〜20のアルキル基も
しくはアルコキシ基の群から選ばれる。)、ハロゲン原
子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、アル
キルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基から選ば
れ、Rは炭素数1〜20のアルキレン基であり、nは0ま
たは1である。)で表されるような化合物は、医薬、農
薬などの出発物質あるいは中間体として有用な物質であ
るが、光学異性体が存在することから、R−体、S−
体、どちらか一方を純度良く含むものでなければ、多く
の場合、充分な生理活性、あるいは特性を示さない。 そのため光学活性体を得るためには、通常の合成化学
的手法で得られるラセミ体を光学分割するか、不斉合成
を行うか、あるいは光学活性な物質から立体化学的手法
で変換して合成するかしなければならず工程が繁雑であ
り、工業的には不利なものが殆どであった。 それゆえ、工業的に有利な方法によって光学活性体を
得る技術の開発が望まれてきた。 現在知られている生化学的手法としては、例えば、特
開昭59−205989号公報のようにラセミ体のエステルをリ
パーゼによって加水分解し、目的とするアルコールを得
る方法がある。この場合、ラセミ体のエステルは水に不
溶の場合が多く、エマルジョンにするか大量の水で激し
く撹拌する必要があった。また、酵素は水溶性でありか
つ水分に対して不安定なため、安定に作用させるため、
また反応後に酵素を容易に除去したり、再使用するた
め、酵素を固定化する必要があった。 また、クリバノフ(Klibanov)らは酵素粉末を直接反
応系に添加することを報告している(J.Am.Chem.Soc.,1
07,7072(1985))が、エステル交換のエステルが非常
に限定されており、酪酸2,2,2−トリクロロエチルを使
用している。また、有機溶媒を必須としており、溶媒と
してヘプタン又は工業的に使用するには問題の多いエー
テルを使用している。 本発明者らは工業的に有利な方法で光学活性な前記一
般式(I)のアルコールの製造法を見いだすべく研究を
行った結果、前記一般式(I)で表されるラセミ体のア
ルコールを原料とし、生化学的に不斉エステル交換反応
を行い、効率良く光学活性なカルボン酸エステルとその
対掌体である光学活性なアルコールに分割することを見
いだした。 〔問題点を解決するための手段〕 即ち、本発明は前記一般式(I)で表される(R,S)
−アルコールに作用して、R−体、およびS−体のどち
らか一方のアルコールと優先的にエステルと不斉エステ
ル交換反応させる能力を有する酵素を用い、前記(R,
S)−アルコールを用い、実質的に水分の存在しない条
件下で、前記エステルとエステル交換反応を行い、R−
体、およびS−体のどちらか一方に富む光学活性なα−
ハロゲノアルコールとそのエステル体に分割する方法で
ある。 本発明の方法は、従来の方法と異なり、水分の存在し
ない条件下で反応を行う。この方法は水分や水分の代わ
りに低級アルコールなどを用いる必要のないことから、
交換されるエステルや合成されるエステルの加水分解、
目的物でないエステルの生成等の副反応を起こさず、酵
素を有機溶媒中で安定に保ち、反応後の容易な分離、再
使用が可能である。さらに直接酵素を用い、有機溶媒中
で反応を行うため、微生物汚染が起こらず、特別な装
置、防腐剤、滅菌処理などの必要がなく、開放系で反応
を行なえる。また、溶媒量も通常の有機合成反応と同等
かそれ以下の高い基質濃度で行える。 次に本発明について詳細に述べる。 本発明において、原料となる(R,S)−アルコールは
入手可能、あるいは容易に合成することができる化合物
である。 また、エステルも容易に入手できる市販品で充分であ
り、中でもトリグリセリドが好ましく、例えばトリアセ
チン、トリプロピオニン、トリブチリン、トリステアリ
ン、トリラウリン、トリミリスチン、トリオレイン等が
その代表的な例として挙げられる。その他に、例えばプ
ロピオン酸メチル、酪酸エチル、ステアリン酸エチル、
ラウリン酸トリクロロエチル、ラウリン酸ブチル、エチ
レングリコールジアセテートなども使用できる。 本発明において用いられる酵素としては、リパーゼ、
リポプロテインリパーゼ、あるいはエステラーゼ等が好
ましい。しかし、(R,S)−アルコールに作用してR−
体、S−体のどちらか一方のアルコールと優先的にエス
テルと不斉エステル交換反応させる能力を有するもので
あれば種類を問わない。例えば、市販されている酵素と
して次表に示したものが挙げられる。 また、これらの酵素の他に、上記の反応を行う能力を
有する酵素を産生する微生物であれば、その種類に問わ
ずに、その微生物は使用できる。かかる微生物の例とし
て、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アクロモバ
クター(Acromobacter)属、アルカリゲネス(Alcalige
nes)属、アスペルギルス(Asperigillus)属、クロモ
バクテリウム(Chromobacterium)属、カンディダ(Can
dida)属、ムコール(Mucor)属、シュウドモナス(Pse
udomonas)属、リゾプス(Rhizopus)属等に属するもの
が挙げられる。 本発明を実施するに際し、(R,S)−アルコール、お
よびトリグリセリドなどのエステルは、いずれも特別の
処理をせずに使用することができる。 (R,S)−アルコールをエステル、好ましくはトリグ
リセリドと混合し(エステルにアルコールが難溶の場合
はヘプタンやトルエン等の有機溶媒を加える)、酵素と
効率良く接触させることにより反応が行われる。 このとき反応温度は20ないし70℃が適当であり、特に
好ましくは30ないし45℃である。反応時間は幅広く、5
ないし2000時間であり、反応温度を高めたり、活性の高
い(単位数の多い)酵素を用いたり、基質濃度を下げた
りすることにより反応時間の短縮も可能である。 基質である(R,S)−アルコールとエステルの割合は
1:0.5ないし1:2(モル比)であり、好ましくは1:1.1な
いし1:1.5(モル比)である。 このようにして不斉エステル交換反応を行った後、酵
素は通常の濾過操作で除去することができ、そのまま再
使用することができる。濾液である反応液を減圧蒸留、
あるいはカラムクロマトグラフィーにより光学活性なア
ルコールとエステルにそれぞれ分離することができ、さ
らに交換反応で生成したエステルは、アルカリあるいは
酸加水分解をすることにより、前述のアルコールとの対
掌体である光学活性なアルコールとなる。 以上の操作により、R−体、S−体それぞれ、光学活
性なアルコールを得ることができる。 〔発明の効果〕 この発明の効果を列挙すれば、以下のようなことが言
える。 エステル交換反応については実質上水分の存在しな
い条件で反応を行うことから、不必要なエステルの加水
分解が殆ど起こらない。 酵素の回収、再使用が容易に行える。 反応が比較的低温で、なおかつ開放系で行なえるた
め、特別の装置、材料を必要としない。 一段階の反応で高純度の光学活性体を得ることがで
きる。 緩衝液などを必要としないため、生化学的反応にも
関わらず基質濃度を高くでき、基質に対して大容量の反
応容器を必要としない。 〔実施例〕 次に本発明を実施例によって、更に詳しく説明する
が、本発明はこれらの実施例によって制限されるもので
はない。 実施例1 酵素(天野製薬、リパーゼ「アマノ」CES)16g、(R,
S)−2−クロロ−1−フェニルエタノール7.9g(0.05m
ol)、およびトリブチリン17.8g(0.059mol)を三口フ
ラスコに入れ、35℃で16日間撹拌した。反応停止後、濾
過により酵素を除き、濾液を減圧濃縮後、カラムクロマ
トグラフィーによって目的物を単離した。その結果、
(R)−2−クロロ−1−フェニルエタノール4.0g(収
率50%、58%ee)と、(S)−2−クロロ−1−フェニ
ルエチルブチレートを得た。さらに、(S)−2−クロ
ロ−1−フェニルエチルブチレートを塩酸酸性水溶液で
加水分解し、(S)−2−クロロ−1−フェニルエタノ
ール(収率23%、>99%ee)を得た。得られた化合物の
光学純度の決定は光学分割HPLCによって行った。 得られた化合物の同定は、NMRチャートによる構造解
析により行った。 実施例2 酵素(天野製薬、リパーゼ「アマノ」CES)10g、(R,
S)−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エチル16.7g
(0.1mol)、およびトリブチリン33.3g(0.11mol)を三
口フラスコに入れ、35℃で12日間撹拌した。反応停止
後、濾過によって酵素を除き、濾液から減圧蒸留によっ
て(R)−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エチル
7g(〔α〕D=+3.0゜(c1.02、CHCl3))を得た。
た、生化学的手法による光学活性な化合物の製造法に関
するものである。 〔従来の技術と発明が解決しようとする問題点〕 一般式: (Xは、ハロゲン原子およびシアノ基から選ばれ、Yは
次式: (Z1,Z2,Z3,Z4,Z5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ
基、トリフルオロメチル基、アミノ基、アルキルアミノ
基、アリールオキシ基、 および炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基
の群から選ばれ、W1,W2,W3,W4,W5は、水素原子、ハロゲ
ン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、
アルキルアミノ基、および炭素数1〜20のアルキル基も
しくはアルコキシ基の群から選ばれる。)、ハロゲン原
子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、アル
キルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基から選ば
れ、Rは炭素数1〜20のアルキレン基であり、nは0ま
たは1である。)で表されるような化合物は、医薬、農
薬などの出発物質あるいは中間体として有用な物質であ
るが、光学異性体が存在することから、R−体、S−
体、どちらか一方を純度良く含むものでなければ、多く
の場合、充分な生理活性、あるいは特性を示さない。 そのため光学活性体を得るためには、通常の合成化学
的手法で得られるラセミ体を光学分割するか、不斉合成
を行うか、あるいは光学活性な物質から立体化学的手法
で変換して合成するかしなければならず工程が繁雑であ
り、工業的には不利なものが殆どであった。 それゆえ、工業的に有利な方法によって光学活性体を
得る技術の開発が望まれてきた。 現在知られている生化学的手法としては、例えば、特
開昭59−205989号公報のようにラセミ体のエステルをリ
パーゼによって加水分解し、目的とするアルコールを得
る方法がある。この場合、ラセミ体のエステルは水に不
溶の場合が多く、エマルジョンにするか大量の水で激し
く撹拌する必要があった。また、酵素は水溶性でありか
つ水分に対して不安定なため、安定に作用させるため、
また反応後に酵素を容易に除去したり、再使用するた
め、酵素を固定化する必要があった。 また、クリバノフ(Klibanov)らは酵素粉末を直接反
応系に添加することを報告している(J.Am.Chem.Soc.,1
07,7072(1985))が、エステル交換のエステルが非常
に限定されており、酪酸2,2,2−トリクロロエチルを使
用している。また、有機溶媒を必須としており、溶媒と
してヘプタン又は工業的に使用するには問題の多いエー
テルを使用している。 本発明者らは工業的に有利な方法で光学活性な前記一
般式(I)のアルコールの製造法を見いだすべく研究を
行った結果、前記一般式(I)で表されるラセミ体のア
ルコールを原料とし、生化学的に不斉エステル交換反応
を行い、効率良く光学活性なカルボン酸エステルとその
対掌体である光学活性なアルコールに分割することを見
いだした。 〔問題点を解決するための手段〕 即ち、本発明は前記一般式(I)で表される(R,S)
−アルコールに作用して、R−体、およびS−体のどち
らか一方のアルコールと優先的にエステルと不斉エステ
ル交換反応させる能力を有する酵素を用い、前記(R,
S)−アルコールを用い、実質的に水分の存在しない条
件下で、前記エステルとエステル交換反応を行い、R−
体、およびS−体のどちらか一方に富む光学活性なα−
ハロゲノアルコールとそのエステル体に分割する方法で
ある。 本発明の方法は、従来の方法と異なり、水分の存在し
ない条件下で反応を行う。この方法は水分や水分の代わ
りに低級アルコールなどを用いる必要のないことから、
交換されるエステルや合成されるエステルの加水分解、
目的物でないエステルの生成等の副反応を起こさず、酵
素を有機溶媒中で安定に保ち、反応後の容易な分離、再
使用が可能である。さらに直接酵素を用い、有機溶媒中
で反応を行うため、微生物汚染が起こらず、特別な装
置、防腐剤、滅菌処理などの必要がなく、開放系で反応
を行なえる。また、溶媒量も通常の有機合成反応と同等
かそれ以下の高い基質濃度で行える。 次に本発明について詳細に述べる。 本発明において、原料となる(R,S)−アルコールは
入手可能、あるいは容易に合成することができる化合物
である。 また、エステルも容易に入手できる市販品で充分であ
り、中でもトリグリセリドが好ましく、例えばトリアセ
チン、トリプロピオニン、トリブチリン、トリステアリ
ン、トリラウリン、トリミリスチン、トリオレイン等が
その代表的な例として挙げられる。その他に、例えばプ
ロピオン酸メチル、酪酸エチル、ステアリン酸エチル、
ラウリン酸トリクロロエチル、ラウリン酸ブチル、エチ
レングリコールジアセテートなども使用できる。 本発明において用いられる酵素としては、リパーゼ、
リポプロテインリパーゼ、あるいはエステラーゼ等が好
ましい。しかし、(R,S)−アルコールに作用してR−
体、S−体のどちらか一方のアルコールと優先的にエス
テルと不斉エステル交換反応させる能力を有するもので
あれば種類を問わない。例えば、市販されている酵素と
して次表に示したものが挙げられる。 また、これらの酵素の他に、上記の反応を行う能力を
有する酵素を産生する微生物であれば、その種類に問わ
ずに、その微生物は使用できる。かかる微生物の例とし
て、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アクロモバ
クター(Acromobacter)属、アルカリゲネス(Alcalige
nes)属、アスペルギルス(Asperigillus)属、クロモ
バクテリウム(Chromobacterium)属、カンディダ(Can
dida)属、ムコール(Mucor)属、シュウドモナス(Pse
udomonas)属、リゾプス(Rhizopus)属等に属するもの
が挙げられる。 本発明を実施するに際し、(R,S)−アルコール、お
よびトリグリセリドなどのエステルは、いずれも特別の
処理をせずに使用することができる。 (R,S)−アルコールをエステル、好ましくはトリグ
リセリドと混合し(エステルにアルコールが難溶の場合
はヘプタンやトルエン等の有機溶媒を加える)、酵素と
効率良く接触させることにより反応が行われる。 このとき反応温度は20ないし70℃が適当であり、特に
好ましくは30ないし45℃である。反応時間は幅広く、5
ないし2000時間であり、反応温度を高めたり、活性の高
い(単位数の多い)酵素を用いたり、基質濃度を下げた
りすることにより反応時間の短縮も可能である。 基質である(R,S)−アルコールとエステルの割合は
1:0.5ないし1:2(モル比)であり、好ましくは1:1.1な
いし1:1.5(モル比)である。 このようにして不斉エステル交換反応を行った後、酵
素は通常の濾過操作で除去することができ、そのまま再
使用することができる。濾液である反応液を減圧蒸留、
あるいはカラムクロマトグラフィーにより光学活性なア
ルコールとエステルにそれぞれ分離することができ、さ
らに交換反応で生成したエステルは、アルカリあるいは
酸加水分解をすることにより、前述のアルコールとの対
掌体である光学活性なアルコールとなる。 以上の操作により、R−体、S−体それぞれ、光学活
性なアルコールを得ることができる。 〔発明の効果〕 この発明の効果を列挙すれば、以下のようなことが言
える。 エステル交換反応については実質上水分の存在しな
い条件で反応を行うことから、不必要なエステルの加水
分解が殆ど起こらない。 酵素の回収、再使用が容易に行える。 反応が比較的低温で、なおかつ開放系で行なえるた
め、特別の装置、材料を必要としない。 一段階の反応で高純度の光学活性体を得ることがで
きる。 緩衝液などを必要としないため、生化学的反応にも
関わらず基質濃度を高くでき、基質に対して大容量の反
応容器を必要としない。 〔実施例〕 次に本発明を実施例によって、更に詳しく説明する
が、本発明はこれらの実施例によって制限されるもので
はない。 実施例1 酵素(天野製薬、リパーゼ「アマノ」CES)16g、(R,
S)−2−クロロ−1−フェニルエタノール7.9g(0.05m
ol)、およびトリブチリン17.8g(0.059mol)を三口フ
ラスコに入れ、35℃で16日間撹拌した。反応停止後、濾
過により酵素を除き、濾液を減圧濃縮後、カラムクロマ
トグラフィーによって目的物を単離した。その結果、
(R)−2−クロロ−1−フェニルエタノール4.0g(収
率50%、58%ee)と、(S)−2−クロロ−1−フェニ
ルエチルブチレートを得た。さらに、(S)−2−クロ
ロ−1−フェニルエチルブチレートを塩酸酸性水溶液で
加水分解し、(S)−2−クロロ−1−フェニルエタノ
ール(収率23%、>99%ee)を得た。得られた化合物の
光学純度の決定は光学分割HPLCによって行った。 得られた化合物の同定は、NMRチャートによる構造解
析により行った。 実施例2 酵素(天野製薬、リパーゼ「アマノ」CES)10g、(R,
S)−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エチル16.7g
(0.1mol)、およびトリブチリン33.3g(0.11mol)を三
口フラスコに入れ、35℃で12日間撹拌した。反応停止
後、濾過によって酵素を除き、濾液から減圧蒸留によっ
て(R)−4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エチル
7g(〔α〕D=+3.0゜(c1.02、CHCl3))を得た。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.一般式: (Xは、ハロゲン原子およびシアノ基から選ばれ、 Yは次式: (Z1,Z2,Z3,Z4,Z5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ
基、トリフルオロメチル基、アミノ基、アルキルアミノ
基、アリールオキシ基、 および炭素数1〜20のアルキル基もしくはアルコキシ基
の群から選ばれ、W1,W2,W3,W4,W5は、水素原子、ハロゲ
ン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、
アルキルアミノ基、および炭素数1〜20のアルキル基も
しくはアルコキシ基の群から選ばれる。)、ハロゲン原
子、シアノ基、トリフルオロメチル基、アミノ基、アル
キルアミノ基、アルキルオキシカルボニル基から選ば
れ、Rは炭素数1〜20のアルキレン基であり、nは0ま
たは1である。)で表される(R,S)−化合物に、シュ
ードモナス(菌)由来のリパーゼの存在下、実質的に水
分の存在しない条件下でエステルを接触させてエステル
交換反応を行い、R−体に富む光学活性なα−ハロゲノ
またはシアノアルコールとS−体に富むそれらの光学活
性なエステル体に分割することを特徴とする生化学的手
法による光学活性化合物の製造法。 2.エステルがトリグリセリドである特許請求の範囲第
1項記載の製造法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62106276A JP2707076B2 (ja) | 1987-05-01 | 1987-05-01 | 光学活性化合物の製造法 |
EP88106737A EP0288994B1 (en) | 1987-05-01 | 1988-04-27 | Process for producing optically active compounds |
DE8888106737T DE3872924T2 (de) | 1987-05-01 | 1988-04-27 | Verfahren zur herstellung von optisch aktiven verbindungen. |
US07/189,163 US4962031A (en) | 1987-05-01 | 1988-05-02 | Process for producing optically active compounds |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62106276A JP2707076B2 (ja) | 1987-05-01 | 1987-05-01 | 光学活性化合物の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63273499A JPS63273499A (ja) | 1988-11-10 |
JP2707076B2 true JP2707076B2 (ja) | 1998-01-28 |
Family
ID=14429555
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62106276A Expired - Lifetime JP2707076B2 (ja) | 1987-05-01 | 1987-05-01 | 光学活性化合物の製造法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US4962031A (ja) |
EP (1) | EP0288994B1 (ja) |
JP (1) | JP2707076B2 (ja) |
DE (1) | DE3872924T2 (ja) |
Families Citing this family (20)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5019298A (en) * | 1987-04-30 | 1991-05-28 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Optically active aromatic carboxylic acid derivatives and process for producing the same |
JP2578658B2 (ja) * | 1989-02-21 | 1997-02-05 | チッソ株式会社 | 光学活性化合物及びその製造法 |
DE69022187T2 (de) * | 1989-12-08 | 1996-04-18 | Daiso Co Ltd | Verfahren zur Herstellung von optisch aktivem R-(+)-2,3-Dichloro-1-propanol unter Verwendung von Mikroorganismen. |
JP2542941B2 (ja) * | 1990-02-02 | 1996-10-09 | チッソ株式会社 | 光学活性ヒドロキシラクトン類の製造方法 |
US5212317A (en) * | 1990-12-20 | 1993-05-18 | North Carolina State University | Methods and intermediates for the assymmetric synthesis of camptothecin and camptothecin analogs |
US5315007A (en) * | 1990-12-20 | 1994-05-24 | North Carolina State University | Process for making DE ring intermediates for the synthesis of camptothecin and camptothecin analogs |
US5264579A (en) * | 1990-12-20 | 1993-11-23 | North Carolina State University | D ring intermediates for the synthesis of camptothecin and camptothecin analogs |
US5258516A (en) * | 1990-12-20 | 1993-11-02 | Nc State University | Optically pure D,E ring intermediates useful for the synthesis of camptothecin and camptothecin analogs |
DE69221685T2 (de) * | 1991-02-19 | 1997-12-11 | Daicel Chem | Verfahren zur herstellung von optisch aktivem 3-chlor-1-phenyl-propan-1-ol und dessen derivat |
US5262571A (en) * | 1992-03-20 | 1993-11-16 | North Carolina State University | Cycloalkyl-based chiral auxiliaries and method making the same |
JP3133480B2 (ja) * | 1992-04-15 | 2001-02-05 | 昭和シェル石油株式会社 | 光学活性ハロゲン含有アルコールの製造方法 |
EP0577446A3 (en) * | 1992-05-28 | 1995-04-05 | Showa Shell Sekiyu | Process for the preparation of optically active halogen-containing alcohols. |
FR2692909B1 (fr) * | 1992-06-24 | 1995-07-21 | Irceba | Procede de preparation d'aryl-1 alcanols substitues optiquement purs. |
US5593872A (en) * | 1993-12-10 | 1997-01-14 | Tastemaker | Enzymatic oxidation of alcohols to aldehydes in a continuous reaction system using Candida boidinii |
US5783429A (en) * | 1993-12-10 | 1998-07-21 | Givaudan Roure Flavors Corporation | Enzymatic oxidation of alcohols to aldehydes in a continuous reaction system |
JP2798892B2 (ja) * | 1994-03-15 | 1998-09-17 | 日清製油株式会社 | 光学活性アルコールの製造法 |
AT401385B (de) * | 1994-03-30 | 1996-08-26 | Chemie Linz Gmbh | Enzymatische racematspaltung asymmetrischer alkohole mittels vinylestern mehrbasiger carbonsäuren |
DE4414273A1 (de) * | 1994-04-23 | 1995-10-26 | Chemie Linz Deutschland | Enzymatische Racematspaltung asymmetrischer Alkohole mittels Vinylestern mehrbasiger Carbonsäuren |
US5696299A (en) | 1994-10-26 | 1997-12-09 | The Nisshin Oil Mills, Ltd. | Optical resolution for producing optically active alcohol |
EP2066788B1 (en) * | 2006-10-02 | 2014-07-23 | Codexis, Inc. | Compositions and methods for producing stereoisomerically pure statins and synthetic intermediates therefor |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1982003873A1 (en) * | 1981-05-07 | 1982-11-11 | Halling Peter James | Fat processing |
EP0126416B1 (en) * | 1983-05-19 | 1988-01-07 | Asahi Denka Kogyo Kabushiki Kaisha | Reaction method for transesterifying fats and oils |
US4601987A (en) * | 1985-02-27 | 1986-07-22 | Massachusetts Institute Of Technology | Enzymatic production of optical isomers of 2-halopropionic acids |
JP3173133B2 (ja) * | 1992-06-18 | 2001-06-04 | 松下電器産業株式会社 | ボイスコイルの製造法 |
-
1987
- 1987-05-01 JP JP62106276A patent/JP2707076B2/ja not_active Expired - Lifetime
-
1988
- 1988-04-27 EP EP88106737A patent/EP0288994B1/en not_active Expired
- 1988-04-27 DE DE8888106737T patent/DE3872924T2/de not_active Expired - Fee Related
- 1988-05-02 US US07/189,163 patent/US4962031A/en not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
J AM CHEM SOC=1984 * |
PROC NATLACAD SCI USA=1985 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63273499A (ja) | 1988-11-10 |
EP0288994B1 (en) | 1992-07-22 |
DE3872924D1 (de) | 1992-08-27 |
DE3872924T2 (de) | 1993-01-21 |
EP0288994A2 (en) | 1988-11-02 |
US4962031A (en) | 1990-10-09 |
EP0288994A3 (en) | 1989-11-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2707076B2 (ja) | 光学活性化合物の製造法 | |
EP0266217B1 (en) | Process for producing optically active compounds | |
JP2691986B2 (ja) | ピリジン骨格を有する光学活性化合物の製造法 | |
JP2542941B2 (ja) | 光学活性ヒドロキシラクトン類の製造方法 | |
JPH0436195A (ja) | 光学活性α―ヒドロキシエステル類の製造方法 | |
JP2869650B2 (ja) | 光学活性化合物およびその製造方法 | |
JPH0755158B2 (ja) | 光学活性エステルの製造法 | |
EP0231089B1 (en) | Process for producing an optically active alcohol by a biochemical method | |
JP2578658B2 (ja) | 光学活性化合物及びその製造法 | |
EP0528607B1 (en) | Process for preparing optically active 3-phenylglycidic acid esters | |
EP0467132B1 (en) | 4-Substituted-2-hydroxybutanoates and a process for producing them | |
JP2542833B2 (ja) | 光学活性なアルコ−ルおよびエステルの製造法 | |
JP2726114B2 (ja) | 光学活性3―クロロ―1,2―プロパンジオールおよびそのエステルの製造法 | |
JP3732535B2 (ja) | 光学活性α−メチルアルカンジカルボン酸−ω−モノエステル及びその対掌体ジエステルを製造する方法 | |
JPH01132399A (ja) | 光学活性な不飽和アルコール及びそのエステル体の製造法 | |
JP2542838B2 (ja) | 光学活性な2級アルコ−ルとエステルの製造法 | |
JP3057197B2 (ja) | 光学活性ハロヒドリン誘導体の製造方法 | |
JP3555480B2 (ja) | 光学活性化合物の製造法 | |
JP2838527B2 (ja) | 光学活性化合物の製造法 | |
JPH0634752B2 (ja) | 2−アルカノールの光学活性エステルの製造方法 | |
JPH0755157B2 (ja) | 生化学的手法による光学活性なアルコ−ルとエステルの製造法 | |
JP3970898B2 (ja) | 光学活性α−メチルアルカンジカルボン酸−ω−モノエステル及びその対掌体ジエステルを製造する方法 | |
JP3741758B2 (ja) | 光学活性グリセロール誘導体の製法 | |
JP2816744B2 (ja) | 光学活性3―アリール―3―ヒドロキシプロピオン酸アルキルの製造法 | |
JPH10248593A (ja) | ω−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−2−アルカノールの光学分割方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071017 Year of fee payment: 10 |