JPH0563277U - 釣 糸 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】摩耗切断に対して強く、巻きぐせもなく、使い
勝手の良い釣糸を提供することを目的とするものであ
る。 【構成】芯糸１の糸径が長さ方向にテーパー状に変化し
ており、その芯糸１の周りをポリエチレン、塩化ビニリ
デン、ナイロンなどの合成繊維で包みこむように製紐し
てなる外側糸２を設け、あるいは芯糸の糸径が長さ方向
にテーパー状に変化しており、その芯糸の周りに樹脂の
コーティング部分を有し、このコーティング部分の周り
をポリエチレン、塩化ビニリデン、ナイロンなどの合成
繊維で包みこむように製紐してなる外側糸を設けた釣
糸。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は例えば釣り分野のフライフィッシングにおいてフライ（毛バリ）を目 的の釣りポイントまで正確に運ぶ役目をするフライラインとして使用される釣糸 に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来からフライフィッシングの釣り分野で使用されてきたフライラインには水 面に浮くフローティングラインと水中に沈むシンキングラインがある。前記フロ ーティングラインは湖や大きな川などで使用され、ラインが浮くことによりフラ イ（毛バリ）の位置を知ることができる。また、シンキングラインは深場や流れ の悪いところなどで使用されている。このようなタイプのフライラインを作成す るには絹糸やナイロン糸の同一糸径からなる糸条を８本以上用いて製紐し、その 周りを塩化ビニル系の樹脂で、ストレートコーティングまたはテーパー状コーテ ィングする方法が採られてきた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のようなフライラインは、多くの釣り道具の中でも非常に酷使されるライ ンで、釣竿の金属製あるいはセラミック製ガイドなどとの摩擦や釣場の岩、地面 によるこすれなどにより容易に切断に至る。

【０００４】 従来のフライラインは同一糸径からなる糸条を用いて製紐し、その周りを塩化 ビニル系の樹脂で、主としてテーパー状にコーティング加工してあることから、 テーパーの太い部分も、細い部分も、ラインの強度に貢献する芯糸は同一の太さ の糸条で構成されている。そのため、強度の向上を目的として太い糸条を使用す るには限度がある。また、テーパーの太い部分はそれだけ樹脂層が厚くなってい るので、芯糸との接着強度が低下して、ガイドや岩などに対するこすれによって 傷がついたり、割れたり、裂けるなどし、樹脂の剥離が生じ、その結果芯糸が露 出してしまい、容易に切断してしまうという問題があった。

【０００５】 また、、芯糸にむらなく樹脂コーティングすることは難かしく、芯糸の中心が 片方にずれやすく、薄い部分や厚い部分ができてしまい、フライラインの重さが アンバランスとなり、フライ（毛バリ）を正確に目的の釣りポイントに導くこと は困難である。さらにコーティング樹脂層の厚みでもってテーパーを形成してい るために、特に気温や水温の低い時期に厚い樹脂層の部分で影響を受けやすく、 柔軟性が損なわれる。その結果、操作性が悪くなり、フライラインの先端部分が 主に摩耗切断に至り易い。さらに、このようなフライラインをリールに巻き取る と、長さ方向に不均一な柔軟性があるため、巻きぐせが残り、釣り時のコントロ ールが悪く、ラインのからみが発生しやすくなるなどの問題があった。

【０００６】 本考案はこのような課題を解決するもので、摩耗切断に対して強く、巻きぐせ もなく、使い勝手の良い釣糸を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案者は上記の課題に鑑み鋭意研究した結果、従来のフライラインに比べて 、多くの優れた性能を有するフライラインを考案するに至った。

【０００８】 すなわち本考案のフライラインは、芯糸の糸径が長さ方向にテーパー状に変化 しており、その芯糸の周りをポリエチレン、塩化ビニリデン、ナイロンなどの合 成繊維で包みこむように製紐してなる外側糸を設けたことを要旨とするものであ る。また本考案のフライラインは、芯糸の糸径が長さ方向にテーパー状に変化し ており、その芯糸の周りに樹脂のコーティング部分を有し、このコーティング部 分の周りをポリエチレン、塩化ビニリデン、ナイロンなどの合成繊維で包みこむ ように製紐してなる外側糸を設けたことを要旨とするものである。

【０００９】 以下、本考案を詳細に説明する。 図１〜図３において、１は芯糸、２は外側糸、３は樹脂のコーティング部分で ある。

【００１０】 図１に示す釣糸は芯糸１の周りに外側糸２が設けられている。図２に示す釣糸 は芯糸１の周りに外側糸２が設けられ、外側糸２の周りに樹脂のコーティング部 分３が設けられている。さらに図３に示す釣糸は芯糸１の周りに樹脂のコーティ ング部分３が設けられ、樹脂のコーティング部分３の周りに外側糸２が設けられ ている。

【００１１】 上記した本考案によるフライラインを得るには、まず芯糸を構成する糸条の糸 径が長さ方向にテーパー状に変化している糸条を用いる必要がある。このテーパ ー状の糸条としてはナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンな どの合成樹脂を用いてテーパー状に紡出した糸条、または長さ方向に幅の異なる スリットフィルムをコイル状に巻き込んで作成したテーパー状の糸条を用いる。 次いでこの芯糸の周りをポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレ ン、塩化ビニリデンなどの合成繊維の糸条で包みこむように製紐して芯糸の周り に外側糸を設けて、全体として長さ方向にテーパー状になるように構成する。こ の場合、芯糸および外側糸の強度、伸び、吸水性、比重、摩耗性などの種々の物 理的性質を考慮して組み合わせれば、非常に機能性に富んだ、美しいフライライ ンが得られる。さらにこの外側糸の周りにウレタン系、ナイロン系、塩化ビニル 系などの樹脂によるコーティング部分を設ければ、製紐糸の糸状間への水の浸透 が防げられ、水切れの良好なフライラインが得られる。この場合、既に芯糸およ び外側糸でもってテーパー状に構成されているので、樹脂によるコーティング部 分は釣糸の長さ方向に変化させることなく、均一な厚さで加工すれば良い。

【００１２】 次いでフライラインの使用目的により、水中に沈むシンキングラインを得るた めには、芯糸および外側糸に比重の大きい糸条、例えばポリエステルや塩化ビニ リデンなどを使用し、さらにコーティング樹脂液に比重3.0 以上の鉄粉、鉛粉な どの金属粉もしくはセラミック粉を混合してコーティング加工すれば、一層比重 が大きくなり、水中に沈みやすく、また比重のコントロールで、水流に対しても 、釣りのポイントへの正確な到達が速やかに可能となり、これらが釣果に良好な 結果をもたらす。また水面に浮くフローティングラインを得るには、コーティン グ樹脂液に発泡剤を混入してコーティング加工し、熱処理して乾燥すれば、発泡 してスポンジ状になり、コーティング樹脂内に数多くの気泡が発生し、その結果 見掛けの比重が1.0 以下となって、水面に浮き、簡単に目視できるので、湖や大 きな川で使用してフライ（毛バリ）の位置を知りたい場合に、このフライライン は有効である。

【００１３】 なお、前記芯糸の周り、すなわち芯糸と外側糸との間にウレタン系、ナイロン 系、塩化ビニル系などの樹脂によるコーティング部分を前述と同様に設けても良 く、これにより芯糸の表面は平滑となり、外側糸の表面も平滑となって美しいフ ライラインが得られる。

【００１４】

【作用】

上記構成のフライラインは、芯糸の糸径が長さ方向にテーパー状に変化してお り、その芯糸の周りを合成繊維で包みこむように製紐して、外側糸を設けている ので、芯糸と外側糸の両方でもって、高強度なフライラインが得られる。特に外 側糸をポリエチレン糸で構成すると、摩耗性に優れて良好である。また、前記芯 糸の周り、すなわち芯糸と外側糸との間にウレタン系、ナイロン系、塩化ビニル 系などの樹脂によるコーティング部分を設けることにより芯糸の表面は平滑とな り、外側糸の表面も平滑となって美しいフライラインが得られる。前記樹脂によ るコーティング加工は釣糸の長さ方向に変化させることなく、均一な厚さで加工 すれば良く、従来例に認められるような芯糸の偏心がなくフライラインの重量バ ランスが良い。

【００１５】 さらにコーティング樹脂液に比重の大きい金属粉やセラミック粉を混入するこ とにより比重の大きいシンキングラインを、またコーティング樹脂液に発泡剤を 入れることにより比重の軽いフロートラインを容易に生産することができて、非 常に機能性に富んだ美しいフライラインが得られる。

【００１６】

【実施例】

以下、本考案を実施例により具体的に説明する。 本考案のフライラインを作成するに当たり、まず芯糸として糸径が0.11mmφか ら0.22mmφのテーパー状のナイロンモノフィラメント糸条を８本用いて製紐し、 次いで、その周りに25g/d 以上の高強度ポリエチレン糸(200d)を８本用いて外側 糸を設けた。次いでフライラインの比重が2.5 〜3.0 になるように比重8.0 の無 機鉛粉をウレタン系樹脂液に混入し、この樹脂液を用いて外側糸の周りにコーテ ィング加工して樹脂層を形成せしめた。

【００１７】 比較例として、前述と同様の従来技術を用いてまず、芯糸を200dのナイロンモ ノフィラメント糸を16本用いて製紐し、その周りにウレタン系樹脂によりコーテ ィング加工し同一糸径のフライラインを作成した。

【００１８】 次に表１に本考案実施例によるフライラインと前記比較例によるフライライン の強度、耐摩耗性、柔軟性を比較して示す。

【００１９】

【表１】

【００２０】 ※₁ 耐摩性：0.5g/d当たりの荷重をつけ、切断に至るストロール回数で評価した 。 ※₂ 柔軟性：フライラインの同一の太さの部分を固定し、固定点より20mmのとこ ろに1.0gの荷重を掛けたときの「たわみ」距離で評価した。

【００２１】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、芯糸の糸径が長さ方向にテーパー状に変化して おり、その芯糸の周りを合成繊維で包みこむように製紐して、外側糸を設けてい るので、芯糸と外側糸の両方でもって、高強度なフライラインが得られる。特に 外側糸をポリエチレン糸で構成すると、摩耗性に優れて良好である。また、前記 芯糸の周り、すなわち芯糸と外側糸との間にウレタン系、ナイロン系、塩化ビニ ル系などの樹脂によるコーティング部分を設けることにより芯糸の表面は平滑と なり、外側糸の表面も平滑となって美しいフライラインが得られる。また、樹脂 によるコーティング加工は釣糸の長さ方向に変化させることなく、均一な厚さで 加工すれば良く、従来例に認められるような芯糸の偏心がなくフライラインの重 量バランスも良く、巻きぐせがなく、使い勝手の良い釣糸を提供することができ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一例における釣糸の拡大断面図であ
る。

【図２】本考案の他の例における釣糸の拡大断面図であ
る。

【図３】本考案のさらに他の例における釣糸の拡大断面
図である。

【符号の説明】

１ 芯糸 ２ 外側糸 ３ コーティング部分

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 芯糸の糸径が長さ方向にテーパー状に変
   化しており、その芯糸の周りをポリエチレン、塩化ビニ
   リデン、ナイロンなどの合成繊維で包みこむように製紐
   してなる外側糸を設けたことを特徴とする釣糸。
2. 【請求項２】 芯糸の糸径が長さ方向にテーパー状に変
   化しており、その芯糸の周りに樹脂のコーティング部分
   を有し、このコーティング部分の周りをポリエチレン、
   塩化ビニリデン、ナイロンなどの合成繊維で包みこむよ
   うに製紐してなる外側糸を設けたことを特徴とする釣
   糸。