JP4615145B2 - 金属線を芯部に有する釣糸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属線を含有する径の小さい釣糸、より詳しくは、直径が0.5mm以下の金属線を含有する釣糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
釣糸の比重を高めるために、例えば鉛線を芯とし、その周りを糸で編み上げて金属線を被覆した釣糸が知られている。かかる釣糸は「レッドコアライン」と呼ばれ、トローリングなどによく用いられている。トローリングにおいて、かかる釣糸はそれ自体が錘となり、付属品をつけなくても、深い水深を引けるという利点がある。
【0003】
しかし、かかる従来の釣糸においては、芯部に埋設されている金属線の径は通常約0.5mm程度以上であり、該金属線の周りを糸条で製紐した釣糸の径はさらに大きくなるため、潮流や風の影響を受けやすいという問題点があった。
また、釣糸の径が太いので、糸巻き量を確保するためには大きなリールを使わなければならないという問題点もあった。
【0004】
そのため、上記釣糸の径を減少させるべく、芯部に埋設されている金属線の径を小さくすることが望まれているが、径が約0.5mm程度以下の金属線がその芯部に埋設されている釣糸は従来存在しなかった。径が約0.5mm程度以下の金属線はその工業的生産が特にコスト面から難しく、また、かかる径の小さい金属線を用いその周りを糸条で製紐することは製造工程の管理が複雑となるという問題点があり、これを解決できなかったためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、径が細く、それゆえに潮流や風の影響を受けにくく、かつ工業的量産が可能な金属線を含有する釣糸を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した目的を達成せんものと鋭意研究を重ねた結果、径が約0.5mm程度以上の太い金属線を原料として用いても、かかる金属線の周りに延伸可能な糸条を製紐し、その後該製紐糸を延伸することにより、芯である金属線の径を約0.5mm程度以下にすることができるという思いがけない知見を得た。
本発明はこの知見に基づいて、従来技術が解決できなかった上記問題点を一挙に解決する。すなわち、径が約0.5mm程度以上の太い金属線は安価に入手できるため、製品のコストを低廉化でき、さらに、原料糸条の芯糸が太く扱い易いので、製造のための工程管理が容易になる。また、かかる方法により得られる釣糸は、径が小さく、表面も滑らかなため、その結果潮流や風の影響を受けにくい。
本発明者は、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(1)金属線を芯糸とし、その周りに複数本の延伸可能な糸条を製紐して原料製紐糸を製作したのち、上記の金属線が直径0.5mm以下になるまでこの原料製紐糸を延伸することを特徴とする、釣糸の製造方法、に関する。
【0008】
また、本発明は、(2)上記の原料製紐糸を合成樹脂で被覆したのち、この合成樹脂で被覆された原料製紐糸を延伸する、前記(1)に記載の釣糸の製造方法、(3)上記の金属線が銅線とステンレス線と鉛線とのいずれかである、前記(1)または(2)に記載の釣糸の製造方法、(4)上記の糸条に金属を含有してある、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の釣糸の製造方法、(5)上記の延伸可能な糸条が未延伸糸である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の釣糸の製造方法、に関する。
【0009】
また、本発明は、(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の釣糸の製造方法により製造した、直径0.5mm以下の金属線を芯糸とし、その周りが複数本の糸条で製紐されていることを特徴とする、釣糸、に関する。
【0010】
さらに、本発明は、(7)上記の金属線が銅線とステンレス線と鉛線とのいずれかである、前記(6)に記載の釣糸、(8)上記の糸条に金属が含有されている、前記(6)または(7)に記載の釣糸、(9)合成樹脂で被覆されている、前記(6)〜(8)のいずれかに記載の釣糸、に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる金属線としては、例えば、銅線、ステンレス線、鉛線または各種合金の軟線などが挙げられる。本発明においては、上記金属線1種類のみを単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、中でも鉛線を用いるのが好ましい。
【0012】
本発明においては、直径0.5mm以下の金属線が芯部に埋設されていれば、その構造は特に問わない。中でも、直径0.5mm以下の金属線を芯糸とし、その周りが複数本の糸条で製紐されている釣糸が好ましい。なお、複数本の糸条で製紐されてなる部分、言い換えれば、芯部の金属線を被覆している部分を外糸部と称することもある。
【0013】
本発明において外糸部を構成する糸条の構造は特に限定されず、フィラメントであってもよいし、複数のフィラメントからなる撚り糸、組み糸または融着糸などであってもよい。ここで、融着糸としては、複数本のフィラメントが、該フィラメントよりも融点の低い接着性樹脂により融着されている糸条が挙げられる。
【0014】
また、本発明において外糸部を構成する糸条の素材は特に限定されないが、熱可塑性樹脂からなる合成繊維を用いるのが好ましい。また、外糸部を構成する糸条は、1種類の繊維からなる糸条であってもよいし、任意の2種類以上の繊維が組み合わされてなる糸条であってもよい。
【0015】
本発明において外糸部を構成する糸条としては、中でも、延伸された糸条が好ましい。かかる「延伸された糸条」とは、延伸可能な糸条を約1.01〜5倍程度、好ましくは約1.01〜3倍程度、より好ましくは約2.2〜3倍程度の延伸倍率で延伸させた糸条、または未延伸糸を約1.01〜15倍程度、好ましくは約2〜10倍程度、より好ましくは約4〜8倍程度の延伸倍率で延伸させた糸条のことである。
【0016】
上記「延伸可能な糸条」とは、その製造工程において延伸処理が行われ得る繊維からなり、延伸工程において最大延伸倍率で延伸されている糸条のことである。また、上記「未延伸糸」とは、その製造工程において延伸処理が行われ得る繊維からなり、延伸工程において最大延伸倍率に満たない延伸倍率で延伸されているか、または全く延伸処理されていない糸条のことである。
【0017】
ここで、最大延伸倍率とは、繊維の製造工程における繊維の破断が製造上問題ならない程度の延伸倍率をいう。すなわち、紡糸工程中の延伸倍率が増大するにつれて、繊維の引張り強さおよび剛性が増大する。しかし、延伸倍率が増大するにつれて、製造工程中の繊維の破断がますます頻繁に生じるため、延伸倍率は非制限に増大できない。どの程度の延伸倍率であれば、延伸工程を中断しなければならない破断が発生し、その発生頻度が許容できる程度であるかということは、実験的に容易に決定することができる。この延伸倍率を最大延伸倍率という。
【0018】
上記本発明において用いる延伸可能な糸条または未延伸糸の素材としては、具体的には、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、フッ素系、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系、ポリアセタール系などの合成繊維が挙げられる。
【0019】
より具体的には、ポリオレフィン系合成繊維としては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなる繊維が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、中でも、重量平均分子量が約400,000以上のものが好ましい。上記ポリエチレンまたはポリプロピレンは、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。コポリマーとして具体的には、エチレンと共重合できる1以上のアルケン類を少量、好ましくは約5重量%程度以下の割合で含有し、100炭素原子当り1〜10個程度、好ましくは2〜6個程度のメチル基またはエチル基を有する共重合体が挙げられる。上記エチレンと共重合できるアルケン類としては、例えば、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンまたは4−メチルペンテン等が挙げられる。また、コポリマーとしては、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)なども挙げられる。
【0020】
ポリアミド系繊維としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6,10などの脂肪族ポリアミドもしくはその共重合体、または芳香族ジアミンとジカルボン酸により形成される半芳香族ポリアミドもしくはその共重合体などからなる繊維が挙げられる。
【0021】
ポリエステル系繊維としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン2,6ジカルボン酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェニル)エタン、4,4’−ジカルボキシフェニルもしくは5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸もしくはセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコールまたはテトラメチレングリコールなどのジオール化合物とから重縮合されるポリエステルもしくはその共重合体などからなる繊維が挙げられる。
【0022】
フッ素系繊維としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリモノクロロトリフルオロエチレンもしくはポリヘキサフルオロプロピレンまたはその共重合体などからなる繊維が挙げられる。
【0023】
ポリアクリロニトリル系繊維としては、アクリロニトリルと、他のポリマーとのコポリマーであるポリアクリロニトリル系樹脂からなる繊維が挙げられる。上記他のポリマーとしては、例えばメタクリレート、アクリレートまたは酢酸ビニル等が挙げられ、該他のポリマーは約5重量%程度以下の割合で含有されていることが好ましい。
【0024】
ポリビニルアルコール系繊維としては、ビニルアルコールと、他のポリマーとのコポリマーであるポリビニルアルコール系樹脂からなる繊維が挙げられる。上記他のポリマーとしては、例えば酢酸ビニル、エテンまたは他のアルケン類等が挙げられ、該他のポリマーは約5重量%程度以下の割合で含有されていることが好ましい。
【0025】
本発明において用いる延伸可能な糸条または未延伸糸としては、中でも、高クリープ性糸条を用いるが好ましい。ここで、高クリープ性糸条とは、延伸後、その形状を保ちつづけるような糸条をいう。より具体的には、糸条を構成する繊維の破断強度の半分の荷重を100時間加えつづけ、その後かかる荷重を取り除いたときの永久伸びが、約1%以上、好ましくは約5%以上、より好ましくは約10%以上である糸条が高クリープ性糸条として好適である。なお、上記永久伸びは、伸度を公知の測定機、具体的には、万能試験機 オートグラフAG−100kNI(商品名 島津製作所製)を用いて測定することができる。
【0026】
上記高クリープ性糸条として、具体的には、例えば、ポリアセタール系繊維糸条または超高分子量ポリエチレン繊維糸条などが挙げられる。
上記ポリアセタール系繊維は、例えばポリオキシメチレンなどアセタール結合を主鎖に有するポリアセタール系樹脂を溶融紡糸するなど自体公知の方法で製造できる。ポリアセタール系繊維糸条は、引張強度が約4g/d程度以上、伸度が約20%程度以下の物性を有するものが好ましい。なお、引張強度および破断伸度は、公知の測定機、例えば万能試験機 オートグラフAG−100kNI(商品名 島津製作所製)を用いて容易に測定することができる。
【0027】
上記超高分子量ポリエチレン繊維は、例えば特開昭55−5228、特開昭55−107506に開示されている方法など自体公知の方法に従って製造することができる。また、超高分子量ポリエチレン繊維として、ダイニーマ(商品名 東洋紡株式会社製)やスペクトラ(商品名 アライドシグナル社製)等の市販品を用いてもよい。
【0028】
上記超高分子量ポリエチレン繊維の原料である超高分子量ポリエチレンは、分子量が20万程度以上、好ましくは60万程度以上のものが好適に用いられる。かかる超高分子量ポリエチレンは、ホモポリマーであってもよいし、炭素数3〜10程度の低級α−オレフィン類、例えばプロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン等との共重合体であってもよい。該エチレンとα−オレフィンとの共重合体としては、後者の割合が炭素数1000個当たり平均0.1〜20個程度、好ましくは平均0.5〜10個程度である共重合体を用いるのが好ましく、かかる共重合体は高強度などの優れた機械的性質を示す。
【0029】
本発明において外糸部を構成する糸条には、本発明の目的を損なわない範囲内で各種公知の耐磨耗剤、艶消し剤、改質剤もしくは顔料など、またはこれらの2種以上が配合されていてもよい。また、外糸部を構成する糸条には、磁性材料、導電性物質、高誘電率を有する物質などが配合されていてもよい。
【0030】
本発明において外糸部を構成する糸条には、さらに比重を向上させるために、金属粒子が含有されていてもよい。
ここにおいて、使用される金属粒子としては鉄、銅、亜鉛、錫、ニッケルもしくはタングステン等を単独でまたは混合もしくは合金としたものが挙げられる。中でも、比重の大きいタングステンを用いるのが好ましい。なぜなら、比重の大きい金属を用いると、糸条に重さを与えやすく、比重を高くする効果が少量の金属添加により現れるため、素材の樹脂の強度の低下を極力抑えることができるからである。
【0031】
上記金属粒子は、粒状であると、粉末状であるとを問わず本願発明に適用することができる。該金属粒子の大きさは約20μm程度以下、好ましくは約10μm程度以下である。大きすぎると、混合後の全体的均一性が乏しくなるので、上記範囲が好ましい。上記金属粒子は、糸条を構成する熱可塑性樹脂100重量部に対して約1〜90重量部程度、好ましくは約5〜70重量部程度添加するのが好ましい。
【0032】
本発明に係る釣り糸の製造方法は、特に限定されず、自体公知の方法に従ってよい。本発明に係る釣り糸の好ましい製造方法を以下に述べる。まず、金属線を芯糸とし、その周りが複数本の上記延伸可能な糸条で製紐されている原料製紐糸を作製する。次いで、該原料製紐糸を、金属線が直径0.5mm以下になるまで延伸する。以上のようにして、直径0.5mm以下の金属線を芯糸とし、その周りが複数本の糸条で製紐されている本発明に係る釣糸を製造できる。以下、各工程ついて詳細に述べる。
【0033】
上記原料製紐糸の構造としては特に限定されず、例えば、4本組物(編物)、8本組物、12本組物、16本組物などが挙げられる。製紐方法としては特に限定されないが、通常は組紐機(製紐機)を用いて行われる。例えば4本組物は、4本の糸条を準備し、右側または左側の糸を交互に真中に配置させて組み上げられる。
【0034】
ついで、芯部に埋設されている金属線の直径が約0.5mm以下になるまで上記原料製紐糸を延伸する。延伸方法は特に限定されず、液体または気体中で加熱しながら延伸する等自体公知の方法が採用され得る。延伸時の温度は外糸部を構成する糸条の種類または糸条の径の大きさによって異なるので一概には言えない。例えば、直径が約1mm以上の太い糸条の場合、外糸部を構成する糸条の融点以上の温度で行うのが好ましい。また、直径が約1mm以下の細い糸条の場合、外糸部を構成する糸条の融点以上の温度で行っても、融点以下の温度で行ってもよいが、融点以上の温度で行うのが好ましい。より具体的には、延伸時の温度は、約120〜300℃程度、好ましくは約130〜250度程度、より好ましくは約130〜200℃程度、さらに好ましくは約130〜170℃程度である。
また、延伸は、1段で行ってもよいし、2段以上で行ってもよい。延伸倍率は、金属線の直径が0.5mm以下となれば特に制限はないが、約1.01〜5倍程度、好ましくは1.01〜3倍程度、より好ましくは2〜3倍程度が好適である。
【0035】
本発明に係る釣り糸の他の好ましい製造方法としては、上記金属線を芯として、その周りを複数本の未延伸糸で製紐し、原料製紐糸を製造する。ついで、該原料製紐糸を延伸するという方法が挙げられる。このように未延伸糸を用いることにより、延伸処理における延伸倍率を大きくすることができ、その結果、芯部の金属線の径をより細くすることができるという利点がある。延伸倍率は、具体的には約1.01〜15倍程度、好ましくは3〜10倍程度、より好ましくは4〜6倍程度が好適である。
本製造方法の詳細は、延伸倍率以外の点については上記製造方法と全く同様である。
【0036】
本発明に係る釣糸は着色してもよい。着色方法は、公知方法を用いてよく、例えば、本発明の釣糸を着色剤溶液が入っている浴に室温、例えば約20〜25℃程度の温度下に通過させるという方法が挙げられる。この後、こうして被覆された糸を乾燥し、この被覆糸を約100〜130℃程度の温度に保たれた炉に通し、通過させることによって着色された糸条を製造できる。
着色剤としては、無機顔料、有機顔料または有機染料が知られているが、好適なものとしては、例えば、酸化チタン、カドミウム化合物、カーボンブラック、アゾ化合物、シアニン染料または多環顔料などが挙げられる。
【0037】
本発明の釣糸は、さらに適当な合成樹脂で被覆してもよい。合成樹脂を被覆することにより、表面の凹凸がより小さくなり、より滑らかな糸ができるという利点がある。また、耐水性なども向上する。
被覆に使用する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、塩化ビニル、アクリル、ウレタン、ナイロン、ポリエステル、エポキシ、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニルなどの合成樹脂などが挙げられ、エマルジョン型もしくは溶剤型のいずれでも良い。さらには天然ゴムやSBRなどの合成ゴム系統も用いることができる。中でも、ポリプロピレンを用いるのが好ましい。
【0038】
合成樹脂で被覆されている本発明に係る釣糸は、延伸される前の原料製紐糸を上記のような合成樹脂で被覆した後、延伸することによって製造することができる。また、原料製紐糸を延伸させて得られる本発明に係る釣糸を上記のような合成樹脂で被覆することによっても製造することができる。上記2種の製造方法において、被覆方法は自体公知の方法を用いてよく、例えば、溶融押出し被覆などが挙げられる。
【0039】
【実施例】
直径1.6mmの鉛線を芯とし、その周りを超高分子量ポリエチレン繊維糸条(商品名ダイニーマ、東洋紡株式会社製)の未延伸糸8本を用いて、丸打ちにて製紐した。なお、超高分子量ポリエチレン繊維糸条の未延伸糸は、最大延伸倍率で延伸した場合には100dとなる原糸を、最大延伸倍率の25%の延伸倍率で延伸させて得られた400dの糸条を用いた。
かかる糸条を、170℃の加熱炉中で4倍に延伸し、本発明に係る釣糸を得た。該釣糸を切断したところ、芯の鉛線の直径は0.4mmであった。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係る釣糸は、芯部に金属線を有しており、釣糸それ自体が錘となり得るため、トローリングなどの漁法に好適に用いることができる。さらに、本発明に係る釣糸は、径が小さく、表面も滑らかなため、その結果潮流や風の影響を受けにくく、通常の船釣り用道糸として用いてもいわゆる棚ボケが少なくなり、釣果の向上を図ることができる。
【0041】
さらに、本発明は、糸条内部に金属線を有する従来の釣糸よりも細い糸を作ることができるため、釣糸の選択肢が拡大される。すなわち、従来は糸巻き量の制限から小型のリールでは糸条内部に金属線を有する釣糸を使うことができなかったが、本発明に係る釣糸は細いので、小型のリールでも十分な糸巻き量を確保できる。その結果、小型のリールでも糸条内部に金属線を有する釣糸を使うことができるようになるので、釣り人は魚種や釣法、天候や漁場の状況に応じて釣糸を使い分けることができるようになる。特に、リールの糸巻き量の制限と潮流の影響を大きく受ける深海釣りなどでは、細く、高比重・高強度の本発明に係る釣糸が好適である。
【0042】
本発明によれば、上記優れた釣糸を、簡便に、工業的に大量に生産することが可能であり、その結果安価な製品が提供できる。
Claims (9)
- 金属線を芯糸とし、その周りに複数本の延伸可能な糸条を製紐して原料製紐糸を製作したのち、上記の金属線が直径0.5mm以下になるまでこの原料製紐糸を延伸することを特徴とする、釣糸の製造方法。
- 上記の原料製紐糸を合成樹脂で被覆したのち、この合成樹脂で被覆された原料製紐糸を延伸する、請求項1に記載の釣糸の製造方法。
- 上記の金属線が銅線とステンレス線と鉛線とのいずれかである、請求項1または請求項2に記載の釣糸の製造方法。
- 上記の糸条に金属を含有してある、請求項1から3のいずれかに記載の釣糸の製造方法。
- 上記の延伸可能な糸条が未延伸糸である、請求項1から4のいずれかに記載の釣糸の製造方法。
- 上記の請求項1から5のいずれかに記載の釣糸の製造方法により製造した、直径0.5mm以下の金属線を芯糸とし、その周りが複数本の糸条で製紐されていることを特徴とする、釣糸。
- 上記の金属線が銅線とステンレス線と鉛線とのいずれかである、請求項6に記載の釣糸。
- 上記の糸条に金属が含有されている、請求項6または請求項7に記載の釣糸。
- 合成樹脂で被覆されている、請求項6から8のいずれかに記載の釣糸。
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