JP3476422B2 - 高強力繊維融着糸 - Google Patents

高強力繊維融着糸

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JP3476422B2
JP3476422B2 JP2000237563A JP2000237563A JP3476422B2 JP 3476422 B2 JP3476422 B2 JP 3476422B2 JP 2000237563 A JP2000237563 A JP 2000237563A JP 2000237563 A JP2000237563 A JP 2000237563A JP 3476422 B2 JP3476422 B2 JP 3476422B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高強力繊維フィラメ
ント糸複数本から構成された高強力繊維糸、特にフィラ
メント糸同士の結束或いは結合手段を慣用の編組(製紐)
方法や加撚方法に拠らず、融着によって一体化してなる
高強力繊維融着糸に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ロープ、紐、釣糸などの細くて高
強力を要する線形を呈する製品用繊維として、アラミド
繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等の高強力繊維が多
用されている。しかしながらこれら高強力繊維からなる
フィラメント糸あるいは撚り糸等は耐磨耗性の低いもの
が多く、摩擦を頻繁に受ける場面や状況下で使用される
用途の場合、急速に擦り減り、擦り切れたり、フィブリ
ル化を起こす等の問題があった。また紫外線等に対する
耐光性、耐候性延いては耐久性に劣る場合も多く、さら
に吸水性が大きく、吸水により引張強度が低下するため
耐水性が低いものも多く、例えば、釣糸または漁網等の
水産資材としての用途には問題があった。このような高
強力繊維の中には、低加荷重で破断するものもあり、そ
のような繊維はロープや釣糸(てぐす)などの高い破断荷
重が要求される用途への使用が困難であるという難点も
あった。
【0003】かかる問題点に鑑み、特に耐磨耗性を向上
させる目的で開発されたものとして、超高分子量ポリエ
チレン等の高強力繊維のフィラメント糸を編んだり組ん
だりした糸が知られている。しかし、組糸または編糸は
その製造に特殊な機械が要求され、製造工程も非常に複
雑である。また、特に破断荷重の向上を目的とし、従来
例えばポリオレフィン繊維の融点範囲温度での溶融接着
性に着目して、ポリオレフィン繊維のモノマルチフィラ
メント糸複数本を融着させてなるポリオレフィン融着糸
が公知である(特開平9−98698)。しかしながら
このポリオレフィン糸はその繊維自体の溶融接着を利用
した自己接着性に依存するものであるので、おそらくフ
ィラメント糸状同士の接触界面のみでの多分に表面的な
接着に基づく故に接着性に乏しく或いは接着性を高める
ための複雑な技術的操作(マニピュレーション)を要する
など総じて接着が困難であり、接着後さらに慣用の編組
や加撚を行う必要があることも多く、解決すべき課題を
残している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従って耐磨耗
性、耐久性、耐候性および耐水性に優れ、適度の硬さと
凹凸の少ない滑らかさを有するとともに、製造方法すな
わち構成フィラメント糸状同士の結束ないし接着方法が
容易でかつ接着性の良好な高強力繊維融着糸を提供する
ことを目的とする。すなわち高強力繊維フィラメント糸
複数本から、従来の編組、加撚方法を必ずしも必要とせ
ず、しかもフィラメント繊維の、接着困難な自己融着性
にも頼らず、より製造が容易でかつ接着力が大である融
着という方法により構成されてなる融着糸を提供しよう
とするものである。また特に釣糸、ガット、ロープなど
に適した高強力繊維融着糸を提供することをも目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に適合した本発
明の解決手段は、高強力繊維のマルチフィラメント糸、
モノフィラメント糸またはモノマルチフィラメント糸の
いずれか少なくとも1種以上のフィラメント糸複数本か
らなる糸条と、前記フィラメント糸の融点よりも低い融
点を有する低温熱接着性樹脂とを融着により一体的に構
成してなる高強力繊維融着糸にある。より具体的には、
高強力繊維のマルチフィラメント糸、モノフィラメント
糸またはモノマルチフィラメント糸のいずれか少なくと
も1種以上のフィラメント糸複数本からなる糸条を、該
糸条間に介在する前記フィラメント糸よりも低融点の低
温熱接着性樹脂により融着一体化させてなる高強力繊維
融着糸にある。前記低温熱接着性樹脂はポリオレフィン
共重合体、ポリエステル共重合体またはナイロン共重合
体からなる糸条を用いるのが好ましく、またその融点は
約50〜200℃程度の範囲が好ましく、よい好ましく
は約60〜135℃程度の範囲内である。特に好ましい
のは融点が100℃前後のポリオレフィン系共重合体樹
脂であって、加熱時に流動性の大きくて低粘度の液体と
なり得るものである。前記高強力合成繊維または無機繊
維は、例えば超高分子量ポリエチレン等のポリオレフィ
ン系繊維、芳香族ポリアミド系(アラミド)繊維、ヘテロ
環高性能繊維、全芳香族ポリエステル系繊維、ガラス繊
維、炭素繊維、金属繊維等が好ましく、中でも、超高分
子量ポリエチレン等のポリオレフィン系繊維、ガラス繊
維が好ましい。前記フィラメント糸条と低温熱接着性樹
脂との構成割合は重量ベースで1:1〜1:0.01で
あることが好ましい。また、低温熱接着性樹脂は繊維糸
条の形態であるのが好ましい。前記高強力融着糸の好ま
しい用途は各種レジャーや漁業用釣糸、その他水産用資
材、ロープ、ガット等が挙げられる。
【0006】
【発明の実施の態様】本発明に係るマルチフィラメン
ト、モノフィラメントまたはモノマルチフィラメント
(以下、「フィラメント糸」と総称することもある)
は、高強力繊維を用いるのが好ましい。ここで、モノマ
ルチフィラメントとは、通常は前記モノフィラメント糸
複数本を合糸したフィラメント糸をいう。高強力繊維と
しては、例えば、超高分子量ポリエチレン等のポリオレ
フィン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ヘテロ環高性能繊
維、全芳香族ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維等が挙げられる。
【0007】本発明で用いる高強力繊維のうち好適な繊
維の一つとしては、ポリオレフィン類例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン等からなる繊維があり、好ましくは
超高分子量ポリエチレン繊維等が挙げられる。超高分子
量ポリエチレンとは、分子量が50万以上、好ましくは
100万以上を有し、ホモポリマーの他、炭素原子数3
〜10程度の低級α−オレフィン類例えばプロピレン、
ブテン、ペンテン、へキセン等との共重合体も含むもの
である。エチレンとα−オレフィンとの共重合体の場
合、後者の割合は炭素数1000個当たり平均0.1〜
20個程度、好ましくは平均0.5〜10個程度である
ような共重合体が好ましく、高強度などの優れた機械的
性質を示す。
【0008】超高分子量ポリエチレンの製造方法は、た
とえば特開昭55−5228、特開昭55−10750
6などに開示されており、これら自体公知の方法を用い
てよい。具体的には、例えば、先ずエチレンを遷移金属
元素化合物とアルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属
水素化合物または有機金属化合物等の触媒の存在下に、
有機溶媒中でスラリー重合させることにより超高分子量
ポリエチレンが得られる。得られた超高分子量エチレン
重合体は例えば希釈剤を配合し、または常温のワックス
類を混合して溶融押出し成形し、次いで延伸(例えば約
5〜80倍程度の倍率で)することにより繊維にされ
る。
【0009】本発明で用いるアラミド繊維は、従来引張
り強度が高い繊維とされていたナイロンなどの脂肪族ポ
リアミド系繊維に芳香環を導入した芳香族ポリアミド系
繊維が好ましい。アラミド繊維としては、例えば、式;
【化1】 (nは1以上の整数を示す。)で表されるポリパラフェ
ニレンテレフタルアミド等が挙げられる。アラミド繊維
は、公知又はそれに準ずる方法で製造できる。例えば、
上記の式等で表されるポリマーを化学合成し、液晶紡糸
により紡糸してもよいし、乾湿式紡糸により紡糸した後
超延伸して製造してもよい。
【0010】本発明で用いる高強力繊維としては、上記
アラミド繊維の弾性率を高めるために、アラミド繊維の
アミド結合の部分に改良を加えたヘテロ環高性能繊維を
用いてもよい。ヘテロ環高性能繊維としては、例えば、
式;
【化2】 (nは1以上の整数を示す。)で表されるポリ−p−フ
ェニレンベンゾビスチアゾール(PBZT)、または
式;
【化3】 (nは1以上の整数を示す。)で表されるポリ−p−フ
ェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)等が挙げら
れる。ヘテロ環高性能繊維は、公知又はそれに準ずる方
法で製造できる。例えば、上記の式等で表されるポリマ
ーを化学合成し、これを適当な溶剤に溶解し、例えば乾
式紡糸により紡糸し、延伸して繊維とすることができ
る。溶剤としては、ポリマーの種類によって適宜当業界
で用いられている公知の溶剤を用いてよいが、例えばメ
チルスルホン酸などの異方性溶液、ジメチルアセトアミ
ド−LiClなどの等方性溶液、フェノール、またはポ
リアミド酸等が挙げられる。
【0011】本発明で用いる高強力繊維としては、ポリ
エチレンテレフタラート(PET)のメチレン基を芳香
族基に置き換えられた全芳香族ポリエステル繊維を用い
てもよい。全芳香族ポリエステル繊維としては、例え
ば、式;
【化4】 (nは1以上の整数を示す。)で表されるp−ヒドロキ
シ安息香酸の自己縮合ポリエステル、式;
【化5】 (nは1以上の整数を示す。)で表されるテレフタル酸
とハイドロキノンからなるポリエステル、または、式;
【化6】 (式中、XまたはYは1以上の整数を表し、nはXとY
の和を表す。)で表されるp−ヒドロキシ安息香酸と6
−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなるポリエステルな
どが挙げられる。化学式6であらわされるポリエステル
は、XとYの割合を変えることにより繊維の性能を変え
ることができる。全芳香族ポリエステル繊維は、公知又
はそれに準ずる方法で製造できる。例えば、上記の式等
で表されるポリマーを化学合成し、これを適当な溶剤に
溶解し、例えば、溶液液晶紡糸により紡糸して製造する
ことができる。
【0012】また、本発明で用いる好ましい高強力繊維
としては、無機繊維であるガラス繊維が挙げられる。ガ
ラス繊維には、電気的、機械的性質に優れたいわゆるE
ガラス、耐薬品性にすぐれたCガラス、Cガラスのアル
カリ含量を下げるとともにチタンと亜鉛系融剤を用いた
ECRガラス、さらにはAガラス、Lガラス、Sガラ
ス、YM31−Aガラス等がある。なかでも、本発明で
使用するのに好ましいガラス繊維は、酸化ボロンおよび
フッ素を含まず、式1:SiO−TiO−Al
−RO(RはCa、Mg等の2価金属)または式2:
SiO−Al−RO(Rは前記と同義)で示さ
れる組成を有するガラスである。特に式2のRがCaお
よびMgであるようなガラス繊維、中でもフッ素、サル
フェートまたはTiを含まず、デルタT値が少なくとも
約52℃、特に約66℃以上のガラス繊維が好ましい。
特に、高性能ガラス繊維として、B(ボロン)を含ま
ず、約59〜62重量%程度のSiO、約20〜24
重量%程度のCaO、約12〜15重量%程度のAl
、約1〜4重量%程度のMgO、約0.5重量%程
度までのF、約0.1〜2重量%程度のNaO、約
0.9重量%程度までのTiO、約0.5重量%程度
までのFe、約2重量%程度までのKOおよび
約0.5重量%程度までのSOからなるガラス繊維が
好ましく、なかでも約1149℃〜1371℃の形成温
度(forming temperature)での粘度が約1000ポイ
ズで、(2)約38℃を越え上記形成温度以下の液化温
度(liquidus temperature)を有するガラス繊維組成
物が高性能でより好ましい。その他WO96/3936
2Aに記載のガラス繊維が好都合に用いられる。
【0013】さらに他の高強力繊維としては、無機繊維
である炭素繊維たとえばポリアクリロニトリル系炭素繊
維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が挙げら
れる。中でも引張強度の強いポリアクリロニトリル系炭
素繊維が好適である。これはアクリル繊維を空気中で熱
処理して耐炎化繊維にした後、不活性ガス中約1000
〜1800℃程度で焼成することにより製造される。そ
の他合金軟線、銅線、ステンレススチール線、タングス
テン線などの金属繊維が挙げられる。また、高強力無機
繊維としては、炭化珪素繊維およびボロン繊維などを用
いてもよい。
【0014】上記フィラメント糸は、モノフィラメント
であれば繊度が10〜3000d程度のものが好まし
い。モノマルチフィラメントであれば、該モノフィラメ
ントを複数本、好ましくは3〜50本程度合糸したもの
が好ましい。また、マルチフィラメントであれば、該モ
ノフィラメント複数本、好ましくは10〜600本程度
を合糸したものが好ましい。
【0015】上記フィラメント糸は、以下のような物性
を持つものが好ましい。すなわち、引張り強度が20g
/d以上、好ましくは25g/d以上、より好ましくは
30g/d以上のものがよい。上限値は、好ましくは約
45g/dである。弾性率が500g/d以上、好まし
くは800g/d以上、2000g/d以下のものであ
る。ここで、引張り強度は、例えば、JIS L 10
13「化学フィラメント糸試験方法」に従った方法に
て、引張試験機、例えば、東洋精機製作所株式会社製ス
トログラフR引張試験機で容易に測定できる。また、弾
性率は、例えば、JIS L 1013「化学フィラメ
ント糸試験方法」に従った方法にて、東洋精機製作所株
式会社製 ストログラフR引張試験機で容易に測定でき
る。
【0016】本発明においては、上記フィラメント糸を
複数本、好ましくは3〜6本程度を用いて糸条(以下、
「フィラメント糸条」という場合もある)を製造する。
そのとき、該糸条は、単一の繊維からなっていてもよい
し、2種以上の繊維からなっていてもよい。また、該糸
条は、上記高強力繊維以外の繊維からなるフィラメント
糸を含んでいてもよい。そのようなフィラメント糸の含
有率は、高強力繊維からなるフィラメント糸に対し、1
/2以下、好ましくは1/3以下、より好ましいくは1
/4以下である。本発明において、高強力繊維以外の繊
維からなるフィラメント糸として、具体的には、例えば
本発明に係る融着糸の比重を調整するために用いる繊維
が挙げられる。そのような繊維として、比重を大きくす
るためのフッ素繊維などが挙げられる。また、金属線な
ど繊維から成るものでなくても用いることができる。
【0017】該フッ素繊維とは、通常分子中にフッ素原
子を含む樹脂から繊維化されたものを示し、例えば、ポ
リテトラフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチ
レンおよびパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重
合体(PFA)、テトラフルオロエチレンおよびヘキサ
フルオロプロピレンの共重合体(FEP)、エチレンお
よびテトラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)、
ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、3フ
ッ化クロロエチレン(PCTFE)、ポリビニルデンフ
ルオライド(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)
などが挙げられる。中でも、特に高比重であることと、
低摩擦係数の面から、ポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)繊維が特に好ましい。
【0018】該金属線としては、例えば銅線、ステンレ
ス線、鉛線、タングス線、各種合金の軟線およびアモル
ファス線などが挙げられ、目的とする比重を有する融着
糸を得るために相互に組み合わせることができる。
【0019】本発明において、高強力繊維以外の繊維か
らなるフィラメント糸として、高伸度の物性を有する繊
維を用いることができる。高伸度の物性を有する繊維が
介在すると、負荷が掛かった際にそれが該高強力繊維の
保護材として働き、フィブリル化の発生がより少なくな
り、強力低下を防ぐことができるという利点がある。か
かる高伸度の物性を有する繊維としては自体公知の繊維
を用いてよいが、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフ
ィン樹脂などが挙げられ、かかる繊維から成るモノフィ
ラメント糸もしくはモノフィラメント糸を複数本合糸し
たモノマルチフィラメント糸を用いることができる。
【0020】上記フィラメント糸複数本を互いに融着さ
せるための重要な他方の構成要素である低温熱接着性樹
脂は、上記フィラメント糸を構成する繊維の融点よりも
低融点であることが必要である。具体的には、約50〜
200℃の範囲、好ましくは約60〜135℃の範囲
内、特に好ましいのは融点が100℃前後の樹脂であ
る。融点は、例えば、JIS L 1013「化学フィ
ラメント糸試験方法」に従った方法にて、パーキンエル
マー社製「DSC7」で容易に測定できる。かかる低温
熱接着性樹脂は、上記融点を有するものであれば公知の
ものを用いてよいが、具体的には、例えばポリオレフィ
ン共重合体、ポリエステル共重合体またはポリアミド共
重合体などを用いることができる。中でも、ポリオレフ
ィン系樹脂例えばポリエチレン、ポリプロピレン等を主
体とするポリオレフィン共重合体の、50℃程度の低温
から10秒程度の短時間の加熱により軟化しうる軟質の
樹脂が好ましい。特に融点が100℃前後で、溶融時に
低粘度のものが優れており、短時間の加熱により容易に
流動性になり速やかに繊維表面のみならず中心まで拡散
浸透していくことができるので、優れた接着機能を果た
すことができる。また低温熱接着性ポリエステル共重合
体も多くの種類の高強度繊維に対し優れた低温熱接着性
を発揮するので優れている。さらには低温熱接着性ポリ
アミド共重合体樹脂も適宜使用することができる。
【0021】上記フィラメント糸複数本からなる糸条
と、上記低温熱接着性樹脂とを一体的に構成させる方法
としては、自体公知の方法を用いてよい。例えば、フィ
ラメント糸を、バスの中に充填した低温熱接着性樹脂に
浸漬するなど公知方法により樹脂を含浸させ、または公
知方法により樹脂を塗布し、かかるフェラメント糸を引
き揃えて、熱をかけることにより本発明に係る融着糸を
製造してもよい。また、糸条となっている低温熱接着性
樹脂を用い、すべての高強力繊維フィラメント糸条が該
低温熱接着性樹脂からなる糸に接触するように配置し
て、さらに所望によりこれに撚りをかけたり、編んだり
して、その後熱をかけることにより本発明に係る融着糸
を製造してもよく、該方法は本発明において好適に用い
られる。
【0022】糸条となっている低温熱接着性樹脂として
は、低温接着性樹脂から糸条を作ってものよいし、中心
糸に低温接着性樹脂をコーティングした糸条であっても
よい。以下、これらを合わせて「低温接着性樹脂フィラ
メント糸」ということもある。後者の場合、中心糸とし
ては、上記高強力繊維が好適に用いられる。また、金属
線を用いるのも好ましい。その他にもナイロンなどの合
成繊維を用いてよい。中心糸は、10〜50μmの太さ
のものを用いるのが好ましい。コーティング方法は、特
に問わず自体公知の方法を用いてよいが、例えば、低温
接着性樹脂の入ったバスに、中心糸を含浸させ、余剰分
を縛りとって、乾燥させて行うことができる。コーティ
ングにより製造した低温接着性樹脂フィラメント糸は、
中心糸の約1.3〜3倍の太さを有するものが好まし
い。
【0023】より具体的には、本発明に係る高強力繊維
融着糸は、上記フィラメント糸の1種以上の組合せを複
数本、例えば3〜6本程度を用いて、それら糸条の真中
に前記本数よりも少ない複数本の例えば1〜5本の低温
熱接着性樹脂フィラメント糸条をすべてのフィラメント
糸に接触するように配置して、さらに所望によりこれに
撚りをかけたり、編んだりして、その後前記のような比
較的低温の温度下に加熱しつつ例えばフィラメント糸条
を約10〜40%程度延伸させることによって溶融状態
の熱接着性樹脂を中心まで拡散浸透させ、一体的に融着
させて製造するのが好ましい。
【0024】本発明に係る融着糸の製造方法を更に詳し
く説明すると、例えば以下のような方法が挙げられる。
フィラメント糸条と低温熱接着性樹脂フィラメント糸と
を、例えば低温熱接着性樹脂フィラメント糸を中心にし
てそれを取り囲むようにフィラメント糸条を長手方向に
平行に揃え、さらに所望によりこれに撚りをかけたり、
編んだりして、その状態を保持してローラーで連続移送
し、加熱炉に装入し、約20〜80%程度、好ましくは
約30〜50%程度の間の延伸率になるよう延伸しなが
ら、通常は低温熱接着性樹脂の融点以上フィラメント糸
の融点以下の温度に、好ましくは約50℃〜200℃程
度、より好ましくは約60〜130℃程度の温度に曝す
ことによって溶融接着させたのちローラーで送り出し、
冷却後一体化した融着糸を得る。ここで、延伸すること
により、フィラメント糸条と低温熱接着性樹脂フィラメ
ント糸条の接着を良くするとともに、製造された融着糸
の強度の損失を防ぐことができる。
【0025】延伸操作は、一段あるいは二段以上の多段
で行うことができる。中でも、二段以上の多段延伸が好
ましい。二段以上の多段延伸は、自体公知の方法を用い
て行うことができるが、例えば二段階の延伸の場合、一
段目では、約60〜90℃程度の比較的低い温度で押出
成形体中の稀釈剤を抽出しながら延伸操作を行い、二段
目以降では、約80〜120℃程度の温度であって、か
つ、一段目の延伸温度よりも高い温度で成形体の延伸操
作を続行するのが好ましい。
【0026】前記高強力繊維フィラメント糸と低温熱接
着性樹脂の重量使用割合は1:1ないし1:0.01で
あることが望ましい。十分な接着力を得る一方で、低温
熱接着性樹脂が繊維表面にはみ出し凹凸が生じて滑かさ
が失わないようにするためである。
【0027】本発明に係る融着糸は、着色してもよい。
着色方法は、公知方法を用いてよいが、本発明の融着糸
を着色剤溶液が入っている浴に室温、例えば約20〜約
25℃の範囲内の温度で通し、通過させることによって
適用することができる。ただし、所望とされるならば、
もっと高い温度も使用できるが、通常はフィラメント糸
の融点以下の温度である。その後、こうして被覆された
糸を乾燥し、この被覆糸を約100〜約130℃程度の
範囲内のある温度に保たれた炉に通し、通過させること
によって着色された融着糸を製造できる。着色剤として
は、無機顔料、有機顔料、または有機染料が知られてい
るが、好適なものとしては、酸化チタン、カドミウム化
合物、カーボンブラック、アゾ化合物、シアニン染料、
または多環顔料などが挙げられる。
【0028】また前記低温接着性樹脂には発明の目的を
損なわない範囲内で各種公知の安定剤、可塑剤もしくは
滑剤など、またはこれらの2種以上を配合しておくこと
も可能である。また、磁性材料、導電性物質、高誘電率
を有する物質などを配合してもよい。具体的には、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレ
ー、タルク、雲母、長石、ベントナイト、酸化アルミニ
ウム、酸化マグネシウム、二酸化チタン、シリカ、石膏
などが挙げられる。これらは、例えばステアリン酸又は
アクリル酸などで被覆されていてもよい。
【0029】本発明の高強力繊維融着糸は高強力繊維フ
ィラメント外周から内部まで浸透するように接着樹脂が
被覆するとともにフィラメント間の空隙も充填するよう
に接着樹脂が存在しているので、接着性に優れ十分結束
していてバラける心配がないので、そのままで製品とし
て各種用途に供することができる。しかしながら、必要
ならば軽い撚りをかけて使用することも可能である。
【0030】本発明の高強力繊維融着糸は、さらに樹脂
で被覆してもよい。樹脂被覆することにより、より表面
の凹凸が小さくなり、滑らかな糸ができるという利点が
ある。被覆に使用する樹脂としては、アクリル、ウレタ
ン、ナイロン、ポリエステル、エポキシ、酢酸ビニル、
エチレン−酢酸ビニルなどの合成樹脂などが挙げられ、
エマルジョン型もしくは溶剤型のいずれでも良い。さら
には天然ゴムやSBRなどの合成ゴム系統も用いること
ができる。被覆方法は自体公知の方法を用いてよく、例
えば、溶融押出し被覆などが挙げられる。
【0031】本発明の高強力繊維融着糸の好ましい態様
としては、強度保持率が70%以上、好ましくは80%
以上である場合が挙げられる。ここで、強度保持率と
は、被覆する前の高強力繊維の引張り強度に対して、合
成樹脂で被覆した擬似モノフィラメントがどの程度の引
張り強度を維持しているかを示す値である。すなわち、
強度保持率は次式で表される。 強度保持率(%)={(擬似モノフィラメントの引張り
強度)/(被覆する前の高強力繊維の引張り強度)}×
100 ここで、引張り強度は、例えば、JIS L 1013
「化学フィラメント糸試験方法」に従った方法にて、引
張試験機、例えば、東洋精機製作所株式会社製ストログ
ラフR引張試験機で容易に測定できる。
【0032】本発明に係る融着糸は、耐磨耗性、耐久
性、耐候性または耐水性が要求される用途であればいか
なる用途に用いてもよいが、具体的には、例えば各種レ
ジャーや漁業用釣糸、その他マグロ漁のはえなわなどの
水産用資材、ロープ、ガット、凧糸、“雑草除去(we
edeater)”糸、または手術用縫合糸等に好適に
用いることができる。
【0033】
【実施例】以下に、本発明の実施例を挙げるが、本発明
がこれに限られないことはいうまでもない。また、実施
例中の引張り強度は、JIS L 1013「化学フィ
ラメント糸試験方法」に従った方法にて、東洋精機製作
所株式会社製 ストログラフR引張試験機で測定した。
【0034】〔実施例1〕側糸としてダイニーマー 1
50d/140F(東洋紡績株式会社製)4本を用い、
芯糸としてサーモラックスPO105 300d(ルク
シロン社製)1本を用いて、これらを編紐機で製紐し
て、組みひもを製造した。これを送り込みローラー10
0m/分の速度で、140℃に加熱した加熱炉に送り込
み、巻き取りローラー120m/分の速度で巻き取り、
本発明に係る高強力繊維融着糸1を製造した。該高強力
繊維融着糸1の引張り強度は、16.2kgであった。
【0035】〔比較例〕ダイニーマー 150d/14
0F(東洋紡績株式会社製)4本を編紐機で製紐して、
組みひもを製造した。該組みひもの引張り強度は、1
4.4kgであった。
【0036】 〔参考例1〕 側糸としてダイニーマー 150d/140F(東洋紡
績株式会社製)の代わりに、ザイロン 250d/16
6F(東洋紡績株式会社製)を用いた以外は、実施例1
と全く同様にして、高強力繊維融着糸2を製造した。
【0037】 〔参考例2〕 側糸としてダイニーマー 150d/140F(東洋紡
績株式会社製)の代わりに、ベクトランT−101(2
50d/50F 株式会社クラレ製)を用いた以外は、
実施例1と全く同様にして、高強力繊維融着糸3を製造
した。
【0038】
【発明の効果】本発明の高強力繊維融着糸は引張強度、
耐磨耗性、耐久性ともに、フィラメント糸同士の自己接
着融着糸と比較して大幅に向上する。また接着樹脂が繊
維糸表面から内部まで拡散浸透し繊維を固める効果があ
るので毛羽の発生もない。耐水性、加荷重による破断強
度にも優れ、糸切れが防止できるという優れた特長を有
する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−28250(JP,A) 特開2000−199144(JP,A) 特開 平3−205070(JP,A) 特開 平1−266232(JP,A) 特開 平6−2236(JP,A) 特開 平8−9850(JP,A) 特開 平9−31786(JP,A) 特開 平5−168381(JP,A) 特開 平6−46726(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D02J 1/00 - 13/00 A01K 91/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高強力ポリオレフィン系繊維のマルチフ
    ィラメント糸、モノフィラメント糸またはモノマルチフ
    ィラメント糸のいずれか少なくとも1種以上のフィラメ
    ント糸複数本からなり、金属細線は含まず、かつ、周り
    が合成樹脂からなるテープを巻回して被覆された形態を
    も採用しない糸条と、前記フィラメント糸の融点よりも
    低い融点を有する低温熱接着性ポリオレフィン系樹脂と
    を一体的に構成してなり、かつ低温熱接着性樹脂が内部
    まで拡散浸透していることを特徴とする高強力繊維融着
    組みひもからなるレジャー用釣糸。
  2. 【請求項2】 高強力ポリオレフィン系繊維が、超高分
    子量ポリエチレン繊維である請求項1に記載の釣糸。
  3. 【請求項3】 低温熱接着性樹脂の融点が50〜200
    ℃の範囲である請求項1または2に記載の釣糸。
  4. 【請求項4】 フィラメント糸と低温熱接着性樹脂との
    重量構成割合が1:1〜0.01である請求項1〜3
    いずれか1項に記載の釣糸。
  5. 【請求項5】 さらに樹脂で被覆されている請求項1〜
    のいずれか1項に記載の釣糸。
  6. 【請求項6】 すべての高強力ポリオレフィン系繊維フ
    ィラメント糸条が低温熱接着性樹脂からなる糸に接触す
    るように編み、その後熱をかけることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか1項に記載の釣糸の製造方法。
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