JP7232454B2 - 合成繊維ロープおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
即ち本発明に係る合成繊維ロープは、高強度合成繊維からなるヤーンを複数本撚り合わせて形成されたストランドが、複数本互いに撚り合わされて形成されており、前記ストランド同士が熱融着性樹脂により部分的に接合されていることを特徴とする。
前記合成繊維ロープは特定の用途に限定されないが、延縄の幹縄や枝縄に好適である。前記合成繊維ロープを延縄に用いる場合には、前記高強度合成繊維が全芳香族ポリエステル繊維であると、甘撚にすることで強力利用率の低下を効果的に抑制でき、全芳香族ポリエステル繊維の高い強度と高い弾性率を有効に生かすことができて好ましい。
ここで、前記の「ストランド2同士が部分的に接合されている」とは、ストランド2の表面であって隣り合うストランド2と接触している部位のうち、一部では接合されているが、他の部位では隣り合うストランド2と接していても接合されていない状態をいう。例えばその接合部位は、合成繊維ロープ1の長さ方向に間欠的に形成することができる。
最初に、図3(a)に示すように、高強度合成繊維の原糸4と熱融着性樹脂繊維5とを撚り合せて、合成繊維ロープ前駆体1aを形成する。
高強度合成繊維として、株式会社クラレ製の全芳香族ポリエステル繊維「ベクトラン(商標名)」(太さ1650dt)と、熱融着性樹脂として、東レ株式会社製の熱融着性ポリアミド繊維「エルダー(商標名)」(太さ330dt、融点110℃)を用い、前記全芳香族ポリエステル繊維を5本と前記熱融着性ポリアミド繊維を2本とを束ねて軽く下撚り(Z撚り)してヤーンを形成した。次にこのヤーン3本を撚り合わせ(中撚り、S撚り)てストランドを形成した。さらに、得られたストランド3本を撚り合わせ(上撚り、Z撚り、撚りピッチ13.97mm)て、合成繊維ロープ前駆体を形成した。なお撚りピッチとは、1本のストランドが合成繊維ロープ前駆体の中心軸の周りを1回転する間に中心軸方向に進む距離をいう。その後、この合成繊維ロープ前駆体を延伸しながら、120℃~180℃に加熱して前記熱融着性ポリアミド繊維を溶融させ、各ストランド同士を部分的に接合させて合成繊維ロープからなる幹縄を得た。得られた幹縄の撚りピッチは14.29mmであり、従って延伸により合成繊維ロープの長さが2.3%伸長していた。
なお、1本の幹縄に用いた原糸は、1650dtの全芳香族ポリエステル繊維が(5×3×3)本と、330dtの熱融着性ポリアミド繊維が(2×3×3)本であるので、撚り合わせる前の状態では1000m当り8019gとなる。得られた実施例1の幹縄の8019g相当の長さは、約787mとなるので、前記撚り合わせにより短くなった比率(縮み率)は78.7%であった。一方、前記全芳香族ポリエステル繊維の理論上の強度は0.02070kgf/dtであるので、用いた全芳香族ポリエステル繊維全体の強力(理論値)は1537kgfである。従って、得られた実施例1の幹縄は強力利用率が52%であった。
全芳香族ポリエステル繊維「ベクトラン(商標名)」を3本と熱融着性ポリアミド繊維「エルダー(商標名)」を1本とを束ね、軽く下撚り(Z撚り)してヤーンを形成した。次にこのヤーン3本を撚り合わせ(中撚り、S撚り)てストランドを形成し、さらに、得られたストランド3本を撚り合わせ(上撚り、Z撚り、撚りピッチ9.36mm)て合成繊維ロープ前駆体を形成したのち、実施例1と同様に、この合成繊維ロープ前駆体に延伸・加熱処理を施して撚りピッチ9.68mmの合成繊維ロープからなる枝縄を得た。上記延伸による伸びは、3.4%であった。
実施例1と異なり熱融着性ポリアミド繊維は用いずに、実施例1で用いた高強度合成繊維「ベクトラン(商標名)」を5本を束ねて軽く下撚り(Z撚り)してヤーンを形成した。次にこのヤーン3本を撚り合わせ(中撚り、S撚り)てストランドを形成し、さらに、得られたストランド3本を撚り合わせ(上撚り、Z撚り、撚りピッチ13.48mm)て、加熱処理を施すことなく、合成繊維ロープからなる幹縄を得た。
実施例2と異なり熱融着性ポリアミド繊維は用いずに、実施例2で用いた高強度合成繊維「ベクトラン(商標名)」を3本を束ねて軽く下撚り(Z撚り)してヤーンを形成した。次にこのヤーン3本を撚り合わせ(中撚り、S撚り)てストランドを形成し、さらに、得られたストランド3本を撚り合わせ(上撚り、Z撚り、撚りピッチ9.09mm)て、加熱処理を施すことなく、合成繊維ロープからなる枝縄を得た。
1a…合成繊維ロープ前駆体
2…ストランド
3…ヤーン
4…高強度合成繊維の原糸
5…熱融着性樹脂繊維
Claims (12)
- 高強度合成繊維と前記高強度合成繊維と異なる熱融着性繊維とを束ねて下撚りしたヤーンを複数本撚り合わせて形成されたストランドが、複数本互いに撚り合わされて形成されており、前記ストランド同士が、前記熱融着性繊維を溶融させた熱融着性樹脂により部分的に接合されていることを特徴とする、合成繊維ロープ。
- 前記熱融着性樹脂は、前記合成繊維ロープに質量比で4~15%含まれている、請求項1に記載の合成繊維ロープ。
- 前記ストランドは、前記熱融着性樹脂により、前記合成繊維ロープの長さ方向において間欠的に、隣接するストランドと接合されている、請求項1または請求項2に記載の合成繊維ロープ。
- 前記の撚り合わせにより得られた合成繊維ロープの長さが、前記高強度合成繊維の原糸の撚り合わせる前の長さの70~85%である、請求項1から3のいずれかに記載の合成繊維ロープ。
- 延縄に用いる合成繊維ロープであって、前記高強度合成繊維が全芳香族ポリエステル繊維である、請求項1から4のいずれかに記載の合成繊維ロープ。
- 延縄の幹縄に用いる合成繊維ロープであって、撚り合わせにより得られた合成繊維ロープの長さが、全芳香族ポリエステル繊維の原糸の撚り合わせる前の長さの75~85%である、請求項5に記載の合成繊維ロープ。
- 延縄の枝縄に用いる合成繊維ロープであって、撚り合わせにより得られた合成繊維ロープの長さが、全芳香族ポリエステル繊維の原糸の撚り合わせる前の長さの70~80%である、請求項5に記載の合成繊維ロープ。
- 高強度合成繊維と前記高強度合成繊維と異なる熱融着性樹脂繊維とからなるヤーンを撚り合わせてストランドを形成し、複数本の前記ストランドを撚り合わせて合成繊維ロープ前駆体を形成したのち、この合成繊維ロープ前駆体を加熱して前記熱融着性繊維を溶融させ、この溶融物により前記ストランド同士を部分的に接合することを特徴とする、合成繊維ロープの製造方法。
- 前記熱融着性繊維を溶融させる際に、前記合成繊維ロープ前駆体を延伸しながら加熱する、請求項8に記載の合成繊維ロープの製造方法。
- 前記ヤーンに含ませる熱融着性繊維の質量比は4~15%である、請求項8または請求項9に記載の合成繊維ロープの製造方法。
- 前記高強度合成繊維に加える撚りは、撚り合わせにより得られた合成繊維ロープ前駆体の長さが、前記高強度合成繊維の長さの70~85%となるように撚り合わせる、請求項8または請求項9に記載の合成繊維ロープの製造方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の合成繊維ロープの再生方法であって、使用により前記熱融着性樹脂による接合性能が低下した前記合成繊維ロープを加熱して、前記合成繊維ロープに含まれる前記熱融着性樹脂を溶融させ、この溶融物により前記ストランド同士を部分的に接合させることを特徴とする、合成繊維ロープの再生方法。
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