JP2022103147A - 二重ロープ構造体 - Google Patents

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郷史 勝谷
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周平 頼光
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Abstract

【課題】内層と外層で構成される二重ロープ構造体を提供する。【解決手段】前記二重ロープ構造体(10)では、内層(3)が、ヤーン強度20cN/dtex以上かつヤーン弾性率400cN/dtex以上である高強度・高弾性率繊維で構成され、前記内層のストランドを構成する各ヤーンの撚り数が150~0.1T/mであり、前記二重ロープの引張強力が2.0kNを超え、撚り合わせ摩耗試験に供した場合の、二重ロープ構造体が切断に至るまでの撚り合わせ摩耗回数が55万回を超える。【選択図】図1

Description

本発明は、内層と外層で構成される二重ロープ構造体に関する。
ロープは、ストランドを多数本合撚あるいは編組して綱や紐状としたものであり、船舶の係留、漁網用縁綱などの水上用途、牽引綱、荷綱などの陸上用途において用いられる。ストランドは複数本のヤーンで構成され、ヤーンは複数本の単糸を原糸として形成される。
ロープには、単層構造のロープ構造体に加えて、二重構造のロープ構造体が存在する。二重構造のロープ構造体は、内層および外層に、それぞれ合撚または編組したストランドを配することにより形成され、例えば、特許文献1(実用新案登録第3199266号公報)には、芯材とその外側を被覆する外層ロープの二重構造とした繊維ロープで、芯材が高強度・高弾性率繊維よりなり、外層ロープには高強度・高弾性率繊維と汎用繊維が混在するヤーンによりなる編組されたロープであり、外層ロープにおいて高強度・高弾性率繊維が汎用繊維よりも多く混在されることを特徴とする繊維ロープが開示されている。
実用新案登録第3199266号公報
しかしながら、特許文献1のロープでは、芯材として高強度・高弾性率繊維からなるストランドを複数本撚り合わせて構成することは記載されているものの、ストランドを構成するヤーンについては何ら記載されておらず、芯材のヤーンの調整により強度を向上させるという技術思想が存在しない。
したがって、本発明の目的は、強度および耐摩耗性に優れる二重ロープ構造体を提供することにある。
本発明の発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、高強度・高弾性率繊維を二重ロープ構造体の内層として用いると、高強度・高弾性率繊維の強度特性に由来してロープ構造体の強度を向上することができることを確認したが、その一方で、高強度・高弾性率繊維を内層に用いた場合、耐摩耗性を向上させることが困難であることを新たな課題として見出した。そして、さらに研究を進めた結果、内層に用いる高強度・高弾性率繊維を構成するヤーンの撚り数を、特定の範囲となるよう調整すると、高強度・高弾性率繊維が本来有する強度を有効利用できるだけでなく、ロープ構造体の耐摩耗性についても向上することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様で構成されうる。
〔態様1〕
内層と外層とで構成される二重ロープ構造体であって、
前記内層は、ヤーン強度20cN/dtex以上(好ましくは22cN/dtex以上)であり、ヤーン弾性率400cN/dtex以上(好ましくは450cN/dtex以上)である高強度・高弾性率繊維で構成され、
前記内層のストランドを構成する各ヤーンの撚り数が150~0.1T/mであり、
前記二重ロープの引張強力が2.0kNを超え(好ましくは2.2kN以上であってもよく、より好ましくは2.4kN以上、さらにより好ましくは3.0kN以上)、
500mm間隔で配設された内径45mmの上側および下側プーリーの間にループ状の二重ロープ構造体を間で3回ねじって掛け渡し、下側プーリーに3kgの負荷をかけた状態で、プーリーを角度180度、周期60回/分(MV=34.2Hz)で往復運動させる撚り合わせ摩耗試験に供した場合の、二重ロープ構造体が切断に至るまでの撚り合わせ摩耗回数が55万回を超える(好ましくは60万回以上であってもよく、さらに好ましくは80万回以上であってもよく、特に好ましくは100万回以上である)、二重ロープ構造体。
〔態様2〕
態様1の二重ロープ構造体であって、前記二重ロープ構造体を所定の長さで切断した切断部のロープ長に対する、前記切断部の内層を構成するヤーンのヤーン長の平均値の比が、ヤーン長/ロープ長として1.005以上1.200以下(好ましくは1.006~1.180、より好ましくは1.007~1.150、特に好ましくは1.007~1.130)である、二重ロープ構造体。
〔態様3〕
態様1または2の二重ロープ構造体であって、外層が非高強度・高弾性率繊維で実質的に構成される、二重ロープ構造体。
〔態様4〕
態様1~3のいずれか一態様に記載の二重ロープ構造体であって、内層を構成するストランドの、ロープ長手方向に対する交差角が40°以下(好ましくは35°以下、より好ましくは33°以下、さらに好ましくは30°以下、特に好ましくは27°以下)である、二重ロープ構造体。
〔態様5〕
態様4に記載の二重ロープ構造体であって、内層のヤーンの撚り数が100~2T/m(好ましくは80~3T/m、より好ましくは70~5T/m、さらにより好ましくは60~6T/m)である、二重ロープ構造体。
〔態様6〕
態様1~5のいずれか一態様に記載の二重ロープ構造体であって、高強度・高弾性率繊維のヤーン伸度が3~6%(好ましくは3.5~5.5%)である、二重ロープ構造体。
〔態様7〕
態様1~6のいずれか一態様に記載の二重ロープ構造体であって、高強度・高弾性率繊維が、液晶ポリエステル繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維、およびポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維からなる群から選択される少なくとも一種から選択される、二重ロープ構造体。
〔態様8〕
態様1~7のいずれか一態様に記載の二重ロープ構造体であって、内層を構成するストランドのヤーン強力×内層中の総ストランド数に対する、二重ロープ構造体の引張強力の比率が、40%以上(好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上であってもよく、さらに好ましくは60%以上)である、二重ロープ構造体。
〔態様9〕
態様1~8のいずれか一態様に記載の二重ロープ構造体であって、二重ロープ構造体を曲げRを7.5mmとし、屈曲角度240°において30万回屈曲を繰り返す屈曲試験に供した場合の屈曲前後の強力保持率が45%以上(好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上)である、二重ロープ構造体。
〔態様10〕
態様1~9のいずれか一態様に記載の二重ロープ構造体であって、80℃での強度保持率が45%以上(好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上)である、二重ロープ構造体。
〔態様11〕
態様1~10のいずれか一態様に記載の二重ロープ構造体であって、内層および外層が編組体である、二重ロープ構造体。
本発明によれば、内層に高強度・高弾性率繊維ヤーンを用いるとともに、前記高強度・高弾性率繊維ヤーンの撚りを特定の範囲に調整して内層を形成し、この内層を外層により被覆した二重ロープ構造体であるため、ロープ構造体の強度向上および耐摩耗性を両立することができる。
この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明から、より明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。図面は必ずしも一定の縮尺で示されておらず、本発明の原理を示す上で誇張したものになっている。
本発明の一実施形態に係る二重ロープ構造体の概略分解側面図である。 図1の二重ロープ構造体の内層を形成するストランドを部分的に拡大した概略斜視図である。 二重ロープ構造体の切断部分のストランドを形成する複数のヤーンのうちの一つのヤーンの長さと、切断部分の長さとの関係を説明するための概略斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る二重ロープ構造体の概略分解側面図である。 撚り合わせ摩耗試験を説明するための概略側面図である。
(二重ロープ構造体)
本発明の二重ロープ構造体では、内層と外層とで構成される二重ロープ構造体であって、内層に高強度・高弾性率繊維ヤーンを用いるとともに、前記高強度・高弾性率繊維ヤーンの撚りを特定の範囲に調整して内層を形成するため、強度および耐摩耗性の双方を向上することができる。
本発明の二重ロープ構造体では、内層により高い強度を実現できるため、引張強力は、2.0kNを超えており、好ましくは2.2kN以上であってもよく、より好ましくは2.4kN以上、さらにより好ましくは3.0kN以上であってもよい。上限は特に限定されないが、例えば、6.0kNであってもよい。二重ロープ構造体の引張強力は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
本発明の二重ロープ構造体は、耐摩耗性に優れており、500mm間隔で配設された内径45mmの上側および下側プーリーの間にループ状の二重ロープ構造体を間で3回ねじって掛け渡し、下側プーリーに3kgの負荷をかけた状態で、プーリーを角度180度、周期60回/分(MV=34.2Hz)で往復運動させる撚り合わせ摩耗試験を行った場合、二重ロープ構造体が切断に至るまでの撚り合わせ摩耗回数が、55万回を超えており、好ましくは57万回を超えており、より好ましくは58万回以上であってもよく、さらに好ましくは60万回以上であってもよく、さらにより好ましくは80万回以上であってもよく、特に好ましくは100万回以上であってもよい。なお、試験では上限を277時間(100万回摩耗)として、耐摩耗性を判断してもよい。上限は特に限定されないが、500万回程度であってもよい。
二重ロープ構造体の強力利用率は、高いほど好ましいが、例えば、40%以上であってもよく、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上であってもよく、さらに好ましくは60%以上であってもよい。上限は特に限定されないが、例えば、100%であってもよい。二重ロープ構造体の強力利用率は、内層を構成するヤーンのヤーン強力×内層中の総ストランド数に対する二重ロープ構造体の引張強力の比をパーセント表示することにより算出される。
また、二重ロープ構造体は、屈曲前後の強力保持率、例えば、二重ロープ構造体を曲げRを7.5mmとし、屈曲角度240°において30万回屈曲を繰り返す屈曲試験に供した場合の屈曲試験前後の強力保持率が高いほど好ましいが、例えば、45%以上であってもよく、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上であってもよい。上限は特に限定されないが、例えば、100%であってもよい。屈曲後の強力保持率は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
また、二重ロープ構造体は、耐熱性に優れているのが好ましく、耐熱性の指標となる80℃に30日間保持した後の強力保持率は、例えば、45%以上であってもよく、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上であってもよい。上限は特に限定されないが、例えば、100%であってもよい。二重ロープ構造体の耐熱性は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
以下、本発明を例示に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る二重ロープ構造体の概略分解側面図であり、図2は、図1の二重ロープ構造体の内層を形成するストランド3を部分的に拡大した概略斜視図である。図1に示すように、二重ロープ構造体10は、内層1と、この内層を覆う外層2とを備えており、図1では内層1の状態を示すために外層2の図示を一部で省略している。
内層1および外層2は、いずれも複数のストランドを編組した構造を有し、各ストランドは複数のヤーンで構成され、各ヤーンは複数の単糸で構成され、特定の範囲で合撚されている。例えば、図1の二重ロープ構造体10の内層1を形成するストランド3は、図2に示すように、複数のヤーン4で構成され、各ヤーン4は、複数本の原糸の合撚体である。
図1には、内層1において、所定の長さVを構成する切断部分1Aが示されている。切断部分1Aは、二重ロープ構造体10を所定の長さVで切断した際の内層部分を示している。切断部分1Aを分解すると、切断部分1Aを構成する複数のストランドが得られ、図1では、そのうちの1つのストランド3Aをドットで示している。前記ストランド3Aは、複数のヤーン(図示せず)で構成されている。
図3は、切断部分1Aのストランド3Aを形成する複数のヤーンのうちの一つのヤーン4Aの長さWと、切断部分1Aの長さVとの関係を説明するための概略斜視図である。二重ロープ構造体10を所定の長さVで切断した切断部分1Aに存在するストランド3Aをヤーン4Aまで分解し、ヤーン4Aの長さを測定すると、ヤーン4Aは長さWを有している。
本発明の二重ロープ構造体では、内層1を構成する高強度・高弾性率繊維により、二重ロープ構造体の強力および耐屈曲性の双方を向上させる観点から、切断部分1Aにおいて、ストランド3Aを形成するヤーン4Aの長さWが、ヤーン長/ロープ長(W/V)として1.005以上1.200以下の範囲に存在するのが好ましい。ストランドを構成するヤーンの長さをロープそのものの長さに近づけることにより、高強度・高弾性率繊維から形成されたヤーンの強力を効率よく利用することが可能となるだけでなく、耐屈曲性を向上することができる。
また二重ロープ構造体の中心を通る長手方向Z(以下、単にロープ長手方向Zと称する)に対して、ストランドの交差角はなるべく小さい交差角で交わるのが好ましく、例えば、図1に示すように、内層を構成するストランド3Aは、ロープ長手方向Zに対して交差角θ(0°<θ<90°)で交差している。交差角θは、外層1を除去して内層2をむき出しにした状態で繊維の側面を撮影した画像を利用して測定することができる。例えば、図1では、二重ロープ構造体10のロープ長手方向Zと交わるストランド3Aがランダムに選択され、前記ロープ長手方向Zと、ストランド3Aのロープ長手方向Z側の辺とで形成される角度θを交差角としている。
図4は、本発明の他の実施形態に係る二重ロープ構造体の概略分解側面図である。二重ロープ構造体20は、内層6と、この内層を覆う外層2とを備えている。外層2は編組体であり、内層6と一体化して二重ロープ構造体を形成する。なお、図1と共通する部分については、同じ符号を用いて説明を省略する。
内層6は、複数のストランド7を撚り合わせた合撚構造を有し、各ストランドは複数のヤーンで構成され、各ヤーンは複数の単糸で構成されている。例えば、図4の二重ロープ構造体20の内層6を形成するストランド7は、図2に示すストランド3と同様に、複数のヤーン4で構成され、各ヤーン4は、複数本の原糸の合撚体である。
図4には、内層6において、所定の長さVを構成する切断部分6Aが示されている。切断部分6Aは、二重ロープ構造体20を所定の長さVで切断した際の内層部分を示している。切断部分6Aを分解すると、切断部分6Aを構成する複数のストランドが得られ、図4では、そのうちの1つのストランド7Aをドットで示している。前記ストランド7Aは、複数のヤーン(図示せず)で構成されており、切断部分6Aの長さVに対して、ストランド7Aを形成するヤーンの長さWは、例えば、ヤーン長/ロープ長(W/V)として1.005以上1.200以下の範囲に存在する。
また、図4に示すように、内層を構成するストランド7Aは、ロープ長手方向Zに対して交差角θ(0°<θ<90°)で交差している。例えば、図4では、二重ロープ構造体20の中心を通るロープ長手方向Zと交わるストランド7Aがランダムに選択され、前記ロープ長手方向Zと、ストランド7Aのロープ長手方向Z側の辺とで形成される角度θを交差角としている。
図1および4に示すように、外層2はストランドの編組体で形成されている。ストランドは、図2に示すように、さらに複数のヤーンから構成されている。
以下に、本発明の二重ロープ構造体の好ましい態様について説明する。
(内層)
本発明の二重ロープ構造体では、内層のストランドを構成する複数のヤーンについて、各ヤーンの撚り数は、150~0.1T/mであり、好ましくは100~2T/m、より好ましくは80~3T/m、さらにより好ましくは70~5T/m、特に好ましくは60~6T/mであってもよい。撚り数が小さいと、ロープの強度を向上させることが可能であるが、無撚りであるとストランドを形成する際の取り扱い性が低減する。また、内層を構成する複数のストランドについては、必要に応じて撚りをかけてもよく、例えば、ストランドの撚り数の目安としては、内層のヤーン長/ロープ長を満たす範囲で、必要に応じて撚りをかけてもよい。さらに、必要に応じて複数のストランドをさらに撚り合わせてもよい。
ヤーンの繊度は、二重ロープ構造体に求められる繊度などに応じて適宜設定することができるが、例えば、30~5000dtexであってもよく、好ましくは200~4000dtex、より好ましくは400~2500dtexであってもよい。
本発明の二重ロープ構造体を構成する内層では、長さ1m(正確には1.000m)で切断した切断部分のロープ長に対する、前記切断部の内層を構成するヤーンのヤーン長の平均値の比として、前記ヤーン長/ロープ長(W/V)が、1.005以上1.200以下の範囲に存在してもよく、好ましくは1.006~1.180、より好ましくは1.007~1.150であってもよい。なお、ヤーン長およびロープ長の長さは、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。前記範囲においては、二重ロープ構造体の引張強力を向上できるとともに、屈曲後においても高い強力保持率を維持することができる。
本発明の二重ロープ構造体の内層は、前記ヤーン長/ロープ長(W/V)を所定の範囲で充足する限り、合撚体であっても編組体であってもよい。合撚体の場合、3つ打ちや4つ打ちであることが多く、編組体は、8つ打ち、12打ち、16打ち、32打ちなどであってもよい。これらのうち、編組体が好ましく、特に、8つ打ち、12打ち、16打ちの編組体が好ましく、耐摩耗性を向上させる観点から、12打ち、16打ちの編組体がより好ましい。また、編組体は、丸打ちまたは角打ちのいずれであってもよいが、耐摩耗性に優れる観点から、丸打ちであるのが好ましい。
合撚または編組するに当たり、ピッチ(目/inch)は、例えば、2.5~20となるように調整されてもよく、好ましくは3~18、より好ましくは3.3~15であってもよい。ピッチはロープ中の長手方向における1インチ間のヤーン数を表しており、例えば、(株)キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-2000を用いて測定して、確認することができる。
また、合撚または編組するに当たり、リード(mm/目)は、例えば、18~100となるように調整されてもよく、好ましくは20~90、より好ましくは23~85であってもよい。ここで、リードはストランドがロープを一周するのに必要な長さを表している。
また、合撚または編組するに当たり、リード/直径(/目)は、例えば、8~70とな
るように調整されてもよく、好ましくは9~60、より好ましくは10~50であってもよい。ここで、リード/直径は内層の直径に対するリードの割合を表している。
ロープ長手方向に対して、ストランドの交差角はなるべく小さい交差角で交わるのが好ましく、θは、40°以下であってもよい。層体を構成するストランドの、ロープ長手方向に対する交差角θは、好ましくは35°以下、より好ましくは33°以下、更に好ましくは30°以下、特に好ましくは27°以下であってもよい。交差角の下限は、例えば、2°以上であってもよく、好ましくは3°以上であってもよく、より好ましくは6°以上であってもよい。
内層の直径は、用いられる用途に応じて適宜設定することができるが、例えば0.5~100mmであってもよく、好ましくは1.5~80mm、より好ましくは2~60mmであってもよい。内層の直径は、二重ロープ構造体を樹脂で包埋した後、ロープの長手方向に直交する方向で切断した繊維断面を電子ノギスにより測定することができる。
二重ロープ構造体における内層の比率は、高強度・高弾性率繊維の強度を利用する観点から、例えば、40重量%以上90重量%以下であってもよく、好ましくは50重量%以上80重量%以下であってもよく、さらに好ましくは60重量%以上75重量%以下であってもよい。
内層を構成する高強度・高弾性率繊維は、ヤーン強度20cN/dtex以上かつヤーン弾性率が400cN/dtex以上を達成することが可能な高強度・高弾性率繊維であれば特に限定されないが、具体例としては、例えば、液晶ポリエステル繊維(ベクトラン(商標)、シベラス(商標)、ゼクシオン(商標)など)、超高分子量ポリエチレン繊維(イザナス(商標)、ダイニーマ(商標)など)、アラミド繊維(ケブラー(商標)、トワロン(商標)、テクノーラ(商標)など)、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維(ザイロン(商標)など)などが挙げられる。これらのうち、耐摩耗性に優れる観点から、液晶ポリエステル繊維または超高分子量ポリエチレン繊維が好ましく、耐熱性の観点から、液晶ポリエステル繊維またはアラミド繊維が好ましく、耐熱性および耐摩耗性に優れる観点から、液晶ポリエステル繊維が好ましい。
液晶ポリエステル繊維は、例えば、液晶ポリエステルを溶融紡糸し、さらに紡糸原糸を固相重合することにより製造できる。液晶ポリエステルマルチフィラメントは、液晶ポリエステルモノフィラメントが2本以上集まった繊維である。
液晶ポリエステルは、溶融相において光学的異方性(液晶性)を示すポリエステルであり、例えば試料をホットステージに載せ窒素雰囲気下で加熱し、試料の透過光を偏光顕微鏡で観察することにより認定できる。また、液晶ポリエステルは、例えば芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸又は芳香族ヒドロキシカルボン酸等に由来する反復構成単位からなり、本発明の効果を損なわない限り、前記構成単位は、その化学的構成について特に限定されない。さらに、また、本発明の効果を阻害しない範囲で、液晶ポリエステルは、芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミン又は芳香族アミノカルボン酸に由来する構成単位を含んでもよい。
例えば、好ましい構成単位としては、表1に示す例が挙げられる。
Figure 2022103147000002
ここで、Yは、1~芳香族環において置換可能な最大数の範囲の個数存在し、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アラルキル基[ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)等]、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)及びアラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)などからなる群から選択される。
より好ましい構成単位としては、下記表2、表3及び表4に示す例(1)~(18)に記載される構成単位が挙げられる。なお、式中の構成単位が、複数の構造を示し得る構成単位である場合、そのような構成単位を二種以上組み合わせて、ポリマーを構成する構成単位として使用してもよい。
Figure 2022103147000003
Figure 2022103147000004
Figure 2022103147000005
表2、3及び4の構成単位において、nは1又は2の整数で、それぞれの構成単位n=1、n=2は、単独で又は組み合わせて存在してもよく、;Y及びYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アラルキル基[ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)等]、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)等であってよい。これらのうち、好ましいYとしては、水素原子、塩素原子、臭素原子又はメチル基が挙げられる。
また、Zとしては、下記式で表される置換基が挙げられる。
Figure 2022103147000006
好ましい液晶性ポリエステルは、好ましくは、二種以上のナフタレン骨格を構成単位として有する。特に好ましくは、液晶性ポリエステルは、ヒドロキシ安息香酸由来の構成単位(A)及びヒドロキシナフトエ酸由来の構成単位(B)の両方を含む。例えば、構成単位(A)としては下記式(A)が挙げられ、構成単位(B)としては下記式(B)が挙げられ、溶融成形性を向上しやすい観点から、構成単位(A)と構成単位(B)の比率は、好ましくは9/1~1/1、より好ましくは7/1~1/1、さらに好ましくは5/1~1/1の範囲であってよい。
Figure 2022103147000007
Figure 2022103147000008
また、(A)の構成単位と(B)の構成単位の合計は、例えば、全構成単位に対して65モル%以上であってよく、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であってよい。ポリマー中、特に(B)の構成単位が4~45モル%である液晶ポリエステルが好ましい。
本発明で好適に用いられる液晶ポリエステルの融点は、好ましくは250~360℃、より好ましくは260~320℃である。ここで、融点とは、JIS K7121試験法に準拠し、示差走査熱量計(DSC;メトラー社製「TA3000」)で測定し、観察される主吸収ピーク温度である。具体的には、前記DSC装置に、サンプルを10~20mgとりアルミ製パンへ封入した後、キャリヤーガスとしての窒素を100cc/分で流通させ、20℃/分で昇温したときの吸熱ピークを測定する。ポリマーの種類によってDSC測定において1st runで明確なピークが現れない場合は、50℃/分の昇温速度で予想される流れ温度よりも50℃高い温度まで昇温し、その温度で3分間保持し、完全に溶融した後、-80℃/分の降温速度で50℃まで冷却し、しかる後に20℃/分の昇温速度で吸熱ピークを測定するとよい。
なお、前記液晶ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、及びフッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加してもよい。また、酸化チタン、カオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料、顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を添加してもよい。
高強度・高弾性率繊維の有するヤーン強度は20cN/dtex以上であり、好ましくは22cN/dtex以上であってもよい。上限は特に限定されないが、例えば、40cN/dtexであってもよい。
また、高強度・高弾性率繊維の有するヤーン弾性率は400cN/dtex以上であり
、好ましくは450cN/dtex以上であってもよい。上限は特に限定されないが、例えば、600cN/dtexであってもよい。
さらに、高強度・高弾性率繊維の有するヤーン伸度は、例えば、3~6%であってもよく、好ましくは3.5~5.5%であってもよい。
ヤーン強度、ヤーン弾性率およびヤーン伸度は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
(外層)
本発明の二重ロープ構造体では、外層は、内層を被覆するストランドの包撚体または編組体で構成される。包撚体は、内層に対してストランドをらせん状に巻きつけることにより形成することができ、編組体は、内層を芯として8打ち、12打ち、16打ち、24打ち、32打ち、40打ち、48打ち、64打ちなどにより編組して形成することができる。これらのうち、16打ち、24打ち、32打ち、40打ち、48打ちの編組体が好ましく、24打ち、32打ちまたは40打ちの編組体がより好ましい。
外層を構成するストランドは、前記高強度・高弾性率繊維で形成してもよく、非高強度・非高弾性率繊維(以下、単に非高強度・高弾性率繊維と称する)で形成してもよい。非高強度・高弾性率繊維では、例えば、ヤーン強度が20cN/dtex未満であってもよく、通常は、1cN/dtex~15cN/dtex程度であってもよい。ヤーン弾性率が400cN/dtex未満であってもよく、通常は、10cN/dtex~200cN/dtex程度であってもよい。ヤーン伸度が、例えば、3~20%であってもよく、好ましくは7~20%であってもよい。
非高強度・高弾性率繊維としては、汎用の合成繊維、例えば、汎用ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維)、ポリオレフィン繊維(例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維)、ポリアミド繊維(例えばナイロン6繊維、ナイロン6,6繊維)、ポリビニルアルコール繊維(例えば、ビニロン(商標)など)などが挙げられる。
二重ロープ構造体では、ロープ構造体の強度を内層で担保することができるため、外層が非高強度・高弾性率繊維で実質的に構成されていてもよい。ここで、実質的とは、外層中の非高強度・高弾性率繊維の割合が80重量%以上を意味しており、好ましくは90重量%以上(90~100重量%)であってもよい。
外層のストランドを形成するヤーンの繊度は、二重ロープ構造体に求められる繊度などに応じて適宜設定することができるが、例えば、50~1000dtexであってもよく、好ましくは100~500dtex、より好ましくは200~400dtexであってもよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例においては、下記の方法により各種物性を測定した。
[ロープ長・内層のヤーン長]
二重ロープ構造体(以下、単にロープ構造体と称する場合がある)から、ランダムに選択して1.000mを切断し、ロープ長とした。また、切断した部分を構成するストランドを分解し内層を取出し、さらに、内層を構成する任意に選択した1本のストランドを分解して内層を構成するヤーンを得て、得られた内層ヤーンの全てについて、JIS L 1013に基づいてピンと張った状態で長さを測定して、平均値をヤーン長とした。
[ヤーン繊度(dtex)]
ロープ構造体を構成するストランドを分解して内層および外層を構成するヤーンを得て、得られたヤーンについてJIS L 1013に基づいてヤーン繊度を測定した。
[ヤーン強力(N)・ヤーン強度(cN/dtex)・ヤーン伸度(%)・ヤーン弾性率]
ロープ構造体を構成するストランドを分解して内層を構成するヤーンを得て、得られたヤーンについてJIS L 1013に基づいてヤーンの引張強さをヤーン強力(N)として測定するとともに、ヤーン伸度およびヤーン弾性率を測定した。また、ヤーン強力(cN)をヤーンの繊度(dtex)により除した値をヤーン強度(cN/dtex)とした。
[ピッチ(目/inch)・リード(mm/目)]
(株)キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-2000を用いて、ロープ中の1インチ間に存在するヤーン数を測定してピッチとした。また、ストランドがロープを一周するのに必要な長さであるリードは、25.4/(ピッチ)×(ストランド数)により算出した。
[直径]
二重ロープ構造体および内層の直径は、電子ノギスを用いて測定した。
[交差角]
(株)キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-2000を用いて、二重ロープ構造体の内層中のストランドがロープの長手方向に対する角度を測定した。
[ヤーン撚り数]
解舒したヤーンをメジャーで計測し、解舒したヤーンの撚りを測定した。
[ロープの引張強力(kN)・強力利用率(%)]
二重ロープ構造体について万能試験機のつかみ治具として、ロープ評価用渦巻き型治具(株式会社中部マシン製)を用いて、渦巻き部の溝部分にロープを巻き付け、表面の摩擦抵抗でロープを固定して、JIS L 1013に基づいて二重ロープ構造体の引張強力を測定した。
また、二重ロープ構造体の強力利用率は、内層を構成するストランドのヤーン強力×内層中の総ストランド数で算出された最大強力に対する二重ロープ構造体の引張強力を算出し、パーセント表示した。
[耐屈曲性:屈曲後の強力保持率(%)]
屈曲試験機(TC111L/ユアサシステム製)において無張力屈曲試験治具(DX-TFB/ユアサシステム機器株式会社製)を用いて、曲げRを7.5mmとし、屈曲角度240°において30万回屈曲を繰り返す屈曲試験を行い、屈曲試験前後の二重ロープ構造体の引張強力を測定した。屈曲後保持率として、屈曲試験前の二重ロープ構造体の引張強力に対する屈曲試験後の二重ロープ構造体の引張強力を算出し、パーセント表示した。
[耐摩耗性:撚り合わせ摩耗]
図5に示すように、撚り合わせ摩耗試験に際しては、二重ロープ構造体のサンプルを上側プーリーおよび下側プーリーに掛け、プーリーと二重ロープ構造体が滑らないように固定した。なお上側プーリーおよび下側プーリーの内径はいずれも45mmであり、二重ロープ構造体が固定された状態における、上側プーリーおよび下側プーリーの中心間の間隔を500mmに調整した。
二重ロープ構造体は、まずループ状とし、次いでループ状になった二重ロープ構造体をプーリーの間で3回ねじって掛け20mm程度のねじり部分Xを形成した状態で、上側および下側プーリーに固定し、下側のプーリーに下側矢印で示す向きに3kgの荷重を掛けた。プーリーを角度180度、周期60回/分(MV=34.2Hz)で往復運動させて、二重ロープ構造体を撚り合わされた部分で摩耗させたときに、内層が破断するまでのプーリー往復回数をカウントした。なお、往復回数の上限は100万回とした。
[耐熱性]
あらかじめ、二重ロープ構造体を恒温器中で80℃の条件下にて30日間保管処理した後、標準状態(温度:20±2℃、相対湿度65±2%)の試験室内に取り出し、30分以内に引張強力を測定した。耐熱性としては、加熱試験前の二重ロープ構造体の引張強力に対する加熱試験後の二重ロープ構造体の引張強力を算出し、パーセント表示した。
[実施例1]
高強度・高弾性率繊維として液晶ポリエステルマルチフィラメント((株)クラレ製、「ベクトラン」、繊度1760dtex)を用い、表5に示すヤーン撚り数として、EL型12打製紐機(株式会社コクブンリミテッド製)においてピッチが13目/inchになるようにブレーダーの回転数と引取り速度を調整して内層ロープを製造した。得られた内層ロープを芯材としてポリエステルマルチフィラメント(株式会社東レ製、繊度280dtex、ヤーン強度7.2cN/dtex、ヤーン弾性率88cN/dtex、ヤーン伸度15.1%)を用い、中型32打製紐機(株式会社コクブンリミテッド製)においてピッチが46目/inchになるようにブレーダーの回転数と引取り速度を調整して二重ロープを製造した。
[実施例2~4]
二重ロープ構造体の内層のヤーン撚り数、ピッチおよびリード/直径を表5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして二重ロープ構造体を製造した。結果を表5に示す。
[実施例5]
二重ロープ構造体の内層の高強度・高弾性率繊維として、超高分子量ポリエチレンマルチフィラメント(東洋紡(株)製、「イザナス」、繊度1750dtex)に変更した以外は、実施例1と同様にして二重ロープ構造体を製造した。結果を表5に示す。
[実施例6]
二重ロープ構造体の内層のヤーン撚り数、ピッチおよびリード/直径を表5に示すように変更したこと以外は、実施例5と同様にして二重ロープ構造体を製造した。結果を表5に示す。
[実施例7]
高強度・高弾性率繊維として液晶ポリエステルマルチフィラメント((株)クラレ製、「ベクトラン」、繊度1760dtex)を用い、大型角8打製紐機(株式会社コクブンリミテッド製)において、表5に示すヤーン撚り数として、ピッチが9目/inchになるようにブレーダーの回転数と引取り速度を調整して内層ロープを製造した。得られた内層ロープを芯材としてポリエステルマルチフィラメント(株式会社東レ製、繊度280dtex、ヤーン強度7.2cN/dtex、ヤーン弾性率88cN/dtex、ヤーン伸度15.1%)を用い、中型32打製紐機(株式会社コクブンリミテッド製)においてピッチが46目/inchになるようにブレーダーの回転数と引取り速度を調整して二重ロープを製造した。
[実施例8]
高強度・高弾性率繊維として液晶ポリエステルマルチフィラメント((株)クラレ製、「ベクトラン」、繊度5280dtex)を用い、EL型12打製紐機(株式会社コクブンリミテッド製)においてピッチが9目/inchになるようにブレーダーの回転数と引取り速度を調整して内層ロープを製造した。得られた内層ロープを芯材としてポリエステルマルチフィラメント(株式会社東レ製、繊度244dtex、ヤーン強度7.2cN/dtex、ヤーン弾性率88cN/dtex、ヤーン伸度15.1%)を用い、中型54打製紐機(株式会社コクブンリミテッド製)においてピッチが30目/inchになるようにブレーダーの回転数と引取り速度を調整して二重ロープを製造した。
[比較例1~2]
二重ロープ構造体の内層のヤーン撚り数、ピッチおよびリード/直径を表5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして二重ロープ構造体を製造した。結果を表5に示す。
[比較例3]
二重ロープ構造体の内層ロープを芯材としてポリエステルマルチフィラメント(株式会社東レ製、繊度1670dtex、ヤーン強度7.2cN/dtex、ヤーン弾性率88cN/dtex、ヤーン伸度15.1%)に変更した以外は、実施例2と同様にして二重ロープ構造体を製造した。結果を表5に示す。
Figure 2022103147000009
表5に示すように、比較例1ではヤーンの撚り数が大きすぎるため、高強度・高弾性率繊維で内層を形成しているにもかかわらず、高強度・高弾性率繊維の強度を有効に利用することができず、二重ロープ構造体の引張強力および強力利用率が低減している。
また、比較例2では、ヤーンが無撚りであるため、撚り合わせ摩耗に対する耐摩耗性が不十分である。さらに、屈曲後の強度保持率が十分維持できていない。また、比較例3では、ヤーンが高強度・高弾性率繊維ではないため、二重ロープ構造体の引張強力が不十分である。
一方、実施例1~8は、いずれも、比較例1よりも高い二重ロープ構造体の引張強力および強力利用率、さらに高い耐摩耗性を示すことができ、比較例2よりも高い耐摩耗性を示すとともに、屈曲後の強力保持率を向上することができる。さらに内層がPET繊維である比較例3よりはるかに高い引張強力および耐摩耗性を示すことができる。
特に、実施例1~4および7~8の二重ロープ構造体は耐熱性に優れている。
本発明の二重ロープ構造体は、船舶の係留、漁網用縁綱、水上に浮いた状態で設けられる浮体式の水上設備の係留、海洋資源の探査等に用いられる浮遊海上構造物を海底に係留するためのロープなどの水上用途、牽引綱、荷綱、風力発電設備、変電設備などの水上用途、牽引綱、荷綱などの陸上用途、さらにはスポーツ、レジャー用などの分野で非常に好ましく利用できる。
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。

Claims (11)

  1. 内層と外層とで構成される二重ロープ構造体であって、
    前記内層は、ヤーン強度20cN/dtex以上であり、ヤーン弾性率400cN/dtex以上である高強度・高弾性率繊維で構成され、
    前記内層のストランドを構成する各ヤーンの撚り数が150~0.1T/mであり、
    前記二重ロープの引張強力が2.0kNを超え、
    500mm間隔で配設された内径45mmの上側および下側プーリーの間にループ状の二重ロープ構造体を間で3回ねじって掛け渡し、下側プーリーに3kgの負荷をかけた状態で、プーリーを角度180度、周期60回/分(MV=34.2Hz)で往復運動させる撚り合わせ摩耗試験に供した場合の、二重ロープ構造体が切断に至るまでの撚り合わせ摩耗回数が55万回を超える、二重ロープ構造体。
  2. 請求項1の二重ロープ構造体であって、前記二重ロープ構造体を所定の長さで切断した切断部のロープ長に対する、前記切断部の内層を構成するヤーンのヤーン長の平均値の比が、ヤーン長/ロープ長として1.005以上1.200以下である、二重ロープ構造体。
  3. 請求項1または2の二重ロープ構造体であって、外層が非高強度・高弾性率繊維で実質的に構成される、二重ロープ構造体。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の二重ロープ構造体であって、内層を構成するストランドの、ロープ長手方向に対する交差角が40°以下である、二重ロープ構造体。
  5. 請求項4に記載の二重ロープ構造体であって、内層のヤーンの撚り数が100~2T/mである、二重ロープ構造体。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の二重ロープ構造体であって、高強度・高弾性率繊維のヤーン伸度が3~6%である、二重ロープ構造体。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の二重ロープ構造体であって、高強度・高弾性率繊維が、液晶ポリエステル繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、アラミド繊維、およびポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維からなる群から選択される少なくとも一種から選択される、二重ロープ構造体。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の二重ロープ構造体であって、内層を構成するストランドのヤーン強力×内層中の総ストランド数に対する、二重ロープ構造体の引張強力の比率が、40%以上である、二重ロープ構造体。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の二重ロープ構造体であって、二重ロープ構造体を曲げRを7.5mmとし、屈曲角度240°において30万回屈曲を繰り返す屈曲試験に供した場合の屈曲前後の強力保持率が45%以上である、二重ロープ構造体。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の二重ロープ構造体であって、80℃での強度保持率が45%以上である、二重ロープ構造体。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の二重ロープ構造体であって、内層および外層が編組体である、二重ロープ構造体。
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